世界最期の陽(後編) ◆wqJoVoH16Y



ピサロが放とうとしたイオナズンにニノがメラミを当てる。本来ただの炎であるはずのメラミが、爆発した。
その現象を見て、ピサロの表情から余裕が消える。たった何合かの打ち合いで、ニノはイオの要諦を掴み始めているのだ。
経験とは、相手が自分よりも格上であればあるほど得られるものだ。
魔族の王ピサロと“戯れた”ことで、皮肉にもそれは図らずもニノにとって何物にも変えがたい『授業』となっていたのだ。
だが、ピサロは今の拮抗を崩そうとはしなかった。それよりも、真っ向から向けられる想いに耳を傾けていたかった。
それは記憶だった。ニノがロザリーに出会い、マリアベルに出会い、再びジャファルヘクトルに出会った想い出だった。
ヘマもした。落ち込みもした。怒られもした。でも、楽しかった。
殺し合いの中で“場違いすぎる”だろうが、それでも偽れない楽しい想い出だった。
ジャファルとあの雨の中で出会うまで、ニノがニノでいられたのは、きっとその想い出があったからだ。
想い出に、ニノは救われた。辛いときにも思い出せる想い出がある限り、人はまだ前を向ける。諦めずにいられるのだ。

「貴方が何のために戦ってるかなんて、今更聞かない。けどそれは、絶対にロザリーさんが望んでいることじゃない!!
 それでも、まだ分からないっていうのなら―――――――デュアルキャスト<ゼーハー×ゼーハー>」

両手のゼーハーを、自分の胸の中で一気に限界へと導く。まだ未完もいいところの隠し技だったが、躊躇は無かった。
ピサロに必要なのは、言葉ではなく『想い出』だ。彼が案じてきたものが、どれだけ見当違いだったかを伝えることだ。
だから、ニノは伝える。想い出を分かち合うために。今のロザリーの想い出だけじゃ足りないというのなら、この想い出を知れ。
ヘクトル達といたときじゃない、あたしが『この島で歩んできた想い出』の、総決算を!

「あたしが、ロザリーの代わりに、目を覚まさせてやるんだからッ――――――アカシックリライターッッ!!!!」

極小範囲とはいえ、原初の遺伝子すら書き換えかねないほどの『無』の力が、魔王に向かって放出される。
直撃ならばピサロとて無事では済まない一撃。しかも、無の力となると魔封剣で凌げる保証が無い。
「……バイキルト。『装填・イオナズン』」
本来ならば回避するべき一撃を前にピサロは足幅を大きく取り、自らに攻撃力倍加を、砲剣に爆裂の属性を付与した。
力には力。全てを真っ向から受け止めると決めた、魔族の王の構えだった。

「爆ぜろ――――まじん斬りッ!!」

ピサロの視界が爆震する。無が破裂するという矛盾が、現象となって世界を揺らした。
力の霧散のなか、ピサロは剣の手応えを感じた。砲身は壊れてはいない。これで――――
「今のは、マリアベルとの想い出。あたしは馬鹿だったから難しいことは分からなかったから、
 ロザリーさんも、難しいことはマリアベルに相談してたんだよ」
突如響くニノの声。ピサロはその声の方を向く。だが、“そこには誰もいなかった”。
「『パープルミスト』。これも、あたしの想い出。憎しみは消えない。でも、消えなくても、抱えて、前を向かなきゃいけないんだよ」
本当の声が、ピサロの背後から聞こえる。マント越しに僅かに伝わる熱は、それが最上級の業火であることを教えていた。

「だから、受け取って。これが、あたしとロザリーとの想い出の、最後。魔法3倍段<メラ×メラ×メラ>――――――――」

導きの指輪が赤く輝き、ニノとピサロの狭間で、第二の太陽が生まれた。
それは、マリアベルの世界にも無い力。ニノだけが、ニノだから得られた、三重魔法。
ロザリーが開いたメラの扉の先に、ニノは終ぞ至った。

「『必殺』のッッ―――――――メラ、ゾーマァァァァァッッッ!!!!」

荒涼たる大地と、雨上がり澄み渡る青い空。
その大地の下で炸裂したその一撃を、誰もが見た。
ジャファルも、ヘクトルも、セッツァーも、ゴゴも、魔王も僅かに戦いを止めた。
見くびっていたとはいえ、手を抜いていたとはいえ、あのピサロが、一撃貰った。
誰もが予想し得ない番狂わせが、そこにあった。

だが、ピサロは倒れなかった。そのマントを消し炭となくしながらも、二本の足でしっかりと大地に立っていた。
いつまでも力強いその背中を見て、ぜえぜえと息を切らせながらニノは、力なく笑った。
「やっぱ、無理か……はは、やっぱ、あたしじゃ、誰も救えないかぁ……」
ゴメン、とニノは想い出の中の人達に謝る。あたしじゃ、どうがんばっても、無理なものは無理だったよ。
「何故。誰も救えぬという」
ニノが寄り掛かった背中から、声が響いた。小さく、しかしニノにはっきりと聞こえる声で。
「え、だって、あたし……」
「一ツだけ、教えて欲しい。ロザリーはお前達と共にいたとき、笑っていたか?」
ダメージはあるはずだ。だが、それでもピサロの声に淀みは無かった。
ニノはそのとき、言われるがまま問われるがまま、うんと頷いた。
あれほどまでに張り詰めていた敵意が、霧散している。間近でも感じるほどにピサロから戦意が消失していた。
「そうか。笑えていたのか……ならば、お前は救っている」
え、という吃音さえ、ニノの咽喉につっかえた。
「お前の言葉には、紛うこと無きロザリーがいた。だからこそ、分かるのだ。お前達と共にいて笑うロザリーが。
 ならばお前は救っている。お前がロザリーを救ったように――――“ロザリーもまたお前に救われていた”」
それはピサロにしか断言できないことだった。ニノの言葉が真であり、ピサロの中に息づくロザリーが真であるからこそ断言できた。
この島に投げ出されたロザリーは、いつ果ててもおかしく無かっただろう。外敵に襲われるよりもそうだが、
なにより、優しすぎるが故に命が潰えているという事実に心を痛め、苦しみ続けたかもしれない。ピサロが、ロザリーが居るという事実に気付かない間に。
だが、そうはならなかった。彼女はずっとピサロの知る優しい彼女のままだった。
それはきっと、自分よりも幼くそして傷つきやすい少女に、優しさを向けられたからだろう。
その優しさがニノを救えたからこそ、彼女もまたその優しさを疑うことなく前を向くことができたのだ。
「でも、あたしは……」
ニノの中の一番重たい扉が軋みを上げる。それは、何処か遠くの国の言葉にも聞こえた。
だからそれは、きっと自分には無縁の言葉だと思っていたのだ。足手まといの、役立たずの、クズのあたしには。
くしゃ、と翠の髪が擦れる音がし、ニノの頭に微かな重みが乗った。ピサロの手のひらが、ニノの頭を不器用に撫でる。

「ニノと言ったな。他の人間がお前のことをどう思っているのかなど知らぬ。
 だが、少なくとも、私にとってはお前は意味があった―――――ありがとう」

ニノの頬に涙が流れた。それは、きっと欲してやまなかった言葉だった。
そして、その手のひらから伝わる感情がそれが嘘ではないと教えてくれる。
乗せられた手のひらから腕をとおり、見上げてその表情を見た。僅かな笑みも無い無表情だが、生真面目な誠意がある。
同情でもない、慰めでもない。腹に突き刺さる真っ直ぐな刃。
今まで出会ったことの無い人から、確かに自分の行いだけからのみ生じた敬意、そして感謝。

――――ニノちゃんは落ちこぼれじゃないの。 落ちこぼれなんて言って、自分の限界を決め付けたりしないで。
    ニノちゃんはいつも頑張ってる、笑顔の素敵な、かわいい女の子だって知っているから。

「……う、うん。どぅ…………いたぢ、まして……ッ」

初めての返事は、嗚咽でまみれて実に不恰好になってしまった。
伝わった。伝わるのだ。例え雨の中、夢の中で届かなくとも、この澄み渡る青空の下に届かない祈りなど無いのだ。
だから、きっと、ジャファルとも分かり合える、合えるんだよ。


「何をやっている、ピサロォォッォォオォォォォォ!!!!!!!!」


だから、最初、最後にいつ聞いたかも忘れたジャファルの叫び声にびっくりした。
そして、それが何のことを言っているのかを、ニノは見上げたその瞳を下に降ろして漸く理解した。
“あたしのお腹に、刃が突き刺さっている”。
「『ヒールフォース』――――最後に覚えておくといい。これが、ベホマだ」
ニノには何も理解できなかった。痛みが無くて、刺さっている刃とそこから流れる血液を見ていないと刺さっていることさえ忘れてしまいそうになる。
最後、最後って“なに”? そして、もう一度ピサロの表情を見る。そこには、先ほどと変わらない表情。感謝と、敬意と、誠実だけ。
騙された? 僅かな思考が過ぎるが、実体の伴わない思考は即座に血流と流れる。突き刺さる刃に、嘘などかけらも無かった。

感謝と、敬意と、誠実な気持ちだけで、彼の刃は人を殺す。


「なん、ニノ……なんで……ッ!!」
ニノ達とほどなく離れた戦場でその光景を見たヘクトルは、その光景を信じられなかった。
ピサロの刃が、ニノの腹に突き刺さっている。意味は分かる。だが、その意図が分からなかった。
まだピサロには余力があった。殺す必要は無かった。なのに、何故このタイミングでニノを殺すのか。
今ニノを殺せば“どうなるか”など、分かりきっているというのに。
ジャファルの体が、撥ねるようにニノへと駆けていった。当然だ、これでも遅いくらいだ。
そう、分からないのはそれだけではない。“何故ジャファルは、気付かなかった?”。
ジャファルのことだ、他の連中にとっても今ニノを殺すことにメリットが無いということが無いと分かっていても、
その視線は常にニノのことを懸念していた。ニノを殺そうと思うだけで、ジャファルはそれを察知し、ニノを守りにいくだろう。
(いや、というか、今、いつ刺した!? 殺気なんて無かったぞ)
何より、ピサロからはまったくといっていいほど殺気を感じなかった。殺すという意思が、完全に欠落している。
計画も無い、殺意も無い殺害――――そんなものが、あっていいのだろうか。いや、それよりもまず、ニノを助けないと――――

「く、ニノ……!」
「“お手つきだぜ、ヒヨコの王様”」

ニノの方へ体を向けようとしたヘクトルの耳に、死神の羽音が侵入する。
これは、誰にも予想できなかった状況。誰もが望んでいなかった状況。それに、ヘクトルもジャファルにも対応できなかった。
故に、この場で一番速く動けたのは―――――――この状況を“覚悟”していたギャンブラーだけだ。

「ンGOOOOOOOOLDEEEEEENNNNNNッッッ!!!!!!」

ヘクトルが死神の方を向く。羽音だと思っていた鎌の音は、秒間千回転以上の唸りを上げる回転のこぎりだった。
食い込めば肉はおろか背骨まで輪切りになるだろうそれが、ヘクトルの眼前にあった。
「う、うぉおあおッ!!」
思考に気をとられていた矢先に、この凶器を前にしては、ヘクトルも慌てざるを得なかった。
とっさにかち合わせたアルマーズがのこぎりを破壊するが、のこぎりの回転とかみ合い吹き飛ばされ、ヘクトルの体が大きく仰け反ってしまった。
「安い。安いな、ヘクトル。そう簡単に手札をポロポロ落とすもんじゃねえよ、丸見えだぜ? お前の考えていることがな」
「セッツァー、手前、まさか――――――」
強烈に瞼を見開くセッツァーの瞳の奥に、ヘクトルは最悪の予感を想起する。
「『ジャファルを切るつもりか!?』ってところだろ、お前が言いたいのは? “それは、この後次第さ”」
だが、セッツァーはそれを見越した上であざ笑い、その手元に2枚のカードを握る。
回転のこぎりはフェイク。ヘクトルに生まれた『虚』を更に揺さぶり、大きくこじ開けるための演出道具。
そして、アルマーズを手放し、上体を崩したヘクトルに本命の2射が放たれる。

「ジャファルから聞いたよ、ヘクトル。あんた国を作りたいんだってな? その夢も悪かねえぜ。
 だが、それをなすにゃちっとばかし『ユーモア』が足りなかったな。あの、のこぎりを持っていた王様のような、余裕がな。
 まあ、なんだ。お前は国を建てるより地べたで斧を振って国を耕してる方が似合ってるよ」

死神のカード、そのひとつがヘクトルの左手首へ突き刺さる。両手で斧を持つときに必須な、左の手首に傷がつく。
そして、もう一つが、ヘクトルの左目に近づいてきた。
ヘクトルには、訳が分からなかった。このギャンブラーはいったい何なんだ。どうして、こんな滅茶苦茶な状況で笑えるのか。

「ぐぁ……!!」
「ま、もっとも―――――お前は、ここまでだがな」

それを理解できるのが『ユーモアのある王』だというのなら、そいつはきっと碌でもない野郎なのだろうな、
と、世界の半分が途絶える中でヘクトルはバランスを崩し倒れた。残る右目に、青空に浮かぶ幸薄い少女を見ながら。


善し。ヘクトルが倒れる中で、セッツァーはやっと一息をついた。
ピサロが動いてから、一呼吸もしていなかったのだ。それほどまでに、この状況は“張り詰めていた”。
当然、セッツァーもこの事態を覚悟はすれど、このタイミングで起こされるとは思ってもいなかった。
理屈でもない。殺意でもない。ピサロの考えは本人に問い詰めない限り、察しようも無い。
ならば今できることは、この後ジャファルがどう動こうがどのような状況になっても支えられるように、この隙を最大限に利用することだった。
回転のこぎりを使い潰し、ヘクトルの片手と片目を潰した。ここまでは善し、後は―――――

「セッツァーァァァァァ!!! 手前ェェェッッ!!!!」

侍を纏った物真似師が、勇者の剣と共に突っ込んでくる。当然だ、今から行って間に合わない小娘よりも、今間に合うヘクトルを守りに来るだろう。
フードに覆われてもはっきりと分かる殺意。手札を全部さらしているようなものだ。だから、この『2枚目のコイン』が役に立つ。
「おぅ、物真似師。そういえばまだ礼を言っていなかったな。ありがとうよ、アシュレーを殺してくれて! おかげで手間が省けたぜ!」
「グッ、ガ……セッツァーの……船長の口で、その名を嘲るなアァァァァァッ!!!!」
ゴゴが胸を押さえながら、感情を滾らせて剣を振りかぶる。まったく、猪か何かか。考えうる限りの挑発で、相手の心を逆撫でする。
十分と見て取ったセッツァーはやれやれといった様子でサックに手を伸ばす。手が震えないようにだけ、神経を張り巡らせながら。
(さて、賭けの時間だ―――――――――これで、止まってくれよ!!)
「いや、何か遺品の一つも渡してやりたかったんだが、顔もぐちゃぐちゃになっててな! ひどいことをするやつもいるもんさ。だからよ――――」
「右腕一本くらいは、覚悟しやがれ! 桜花ッ!!」


「これで、許してくれねえか? 未だ動いてるぜ?――――――――『こいつの心臓』ッ!!」


瞬間、ゴゴの世界が凍りついた。内側より沸き出でようともがく衝動も、優しき物真似達も、何もかもが。
直後、内側からこみ上げて器を壊さんと足掻く無念を押しとどめながら、ゴゴはセッツァーの手のひらを見た。
セッツァーの手のひらをすっぽり覆い、諾々と存在しない血を流し続ける英雄の心臓が。ゴゴの砕いた残骸が。

「お、お前、それを……ッ!!」
「ふん……蓋を開けてみればやっぱり三下か。あれだけ酷い死体の癖に心臓だけ妙に綺麗に残ってるから拾ってみたが――いや、拾い物はするものだな。
 で、いいのか物真似野郎。お前の相手は、俺じゃなかったはずだぜ?」

セッツァーの声にゴゴははたと気付き、右手を背中に向けると、魔王のランドルフとゴゴの右手が激突する。
内側の衝動を抑えながらの行動としては、最上の防御であっただろう。だが、対応としては最低だった。
「ほう、貴様……中に面白そうな物を飼っているな。なるほど、カエルの言っていたのがお前か……面白い」
ゴゴの苦悶の表情にそれ以外の何かを見出した魔王が、興味深そうに言った。
「ならば、まずはその邪魔な右腕<扉>―――――――開錠させて貰おうか」
そしてランドルフが光を放ち、光は中空で分かたれ、再び魔鍵へと収束する。

「七星鍵にて開け、電界25次元」
「その技は――――――」

ゴゴの予感は的中する。
魔の鍵に防御など無意味。腕だろうが、多次元だろうが、差し込んで開く。それが魔鍵ランドルフ。

「「超次元穿刀爆砕」」

ゴゴが右手ごと大きく吹き飛ぶ。
多元を超えて集められたエネルギーが、ゴゴの右腕の内側に放出される。
つながってはいるが、もはや右腕は使えないだろう。だが、腕を失ったことよりもセッツァーの行いが悔しかった。
もう、分かり合うことなど出来ないのだろうか。やつにとって俺はただの盗人でしかないのか。

その現実を認めたくなくて、吹き飛びながらゴゴは空を見上げた。よく晴れた青空に、黒き祈りが立ち上っていた。

「礼を言う、ニノ。貴様は、私が何よりも欲していたものを伝えてくれた」

ピサロの声が、次第に遠くなっていく。意識ははっきりしているはずなのに、あたしはそれを聞くことしか出来なかった。

「装填・ラリホーマ。私からの、せめてもの礼だ。痛みは無い。終わりまで全て、夢の中だ」

ぐい、と体が持ち上げられるのがわかる。でも、痛みは無い。ピサロ以外の誰かの声がする。

「ありがとう、人間の少女よ。私は誓おう。“かなう事ならば、お前とマリアベルとやらも蘇らせよう”」

何を、何を言っているんだろう。よく分からない。だけど、それが本当に心の底からあたしを想ってくれている音だと分かって、あたしは少し安心した。

「“独法師は寂しかろう”。今は、ロザリーと共に遊ぶがいい。蘇らせるまでのしばしの間とはいえ、ロザリーも寂しがらずに済むだろう」

ロザリーさんに会える。マリアベルに会える。それは、酷く素敵なことのように聞こえた。
眠くなっていく。あたしの体から力が抜け、空を飛ぶような感覚に包まれる。呼び声が聞こえる。あたしを呼ぶ声がする。


「細密充填――――――人間<セッツァー>曰く、これは、この武器を使っていた英雄の技の名らしい。
 案ずるな、娘。勇者のそれとは比べるもおこがましいだろうが――――路は、この一撃が導こう」


あたしの遥か下で、何かがバチバチと鳴っている。それは昨日の夜何処かで聞いたような音だった。
その中に叫び声がする。ニノ、にのと、呼ぶ声がする。
あたしは、その声の先へ手を伸ばした。頭は朦朧として、目はうまく見えない。でも、なぜかその手の大きさが分かる気がした。


「ゃ、ふぁ」
「来たれ、黄泉の雷」



安心できるはずなのに、怖いものはないはずなのに。
なぜだろう。眠る前に、その手だけは、掴まなきゃって、想ったんだ。



「じゃ、ふぁる」
「―――――――――フルフラット・ジゴスパーク」
「ニノォォォォォォォォッォォォォォォォォォォォォォオヲオッォオォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」









かつて勇者の雷が降りた地より、地獄の雷の一閃が撃鉄の如く立ち昇る。
空より赤く大きな陽が見守る中、地より紅く大きな火が見定める中――――――――

世界最期の日は、こうして始まった。


【C-7とD-7の境界(C-7側)二日目 朝】

【ジャファル@ファイアーエムブレム 烈火の剣
[状態]:健康 慟哭
[装備]:影縫い@FFVI、アサシンダガー@FFVI、黒装束@アークザラッドⅡ、バイオレットレーサー@アーク・ザ・ラッドⅡ
[道具]:聖なるナイフ@ドラゴンクエストIV、毒蛾のナイフ@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち、潜水ヘルメット@ファイナルファンタジー6
    マーニ・カティ@ファイアーエムブレム 烈火の剣、基本支給品一式×1 メイメイさんの支給品(仮名)×1
[思考]
基本:殺し合いに乗り、ニノを優勝させる。
1:にの?
[備考]
※ニノ支援A時点から参戦
※セッツァーと情報交換をしました
※ジョウイからマリアベル達の現在の状況を知りました。その他の情報については不明です。

 【メイメイさんの支給品(仮名)×1】
  メイメイさんのルーレットダーツ2等賞。メイメイさんが見つくろった『ジャファルにとって役に立つ物』。
  あくまでもメイメイさんのチョイスであるため、それがジャファルが役に立つと思う物とは限らない。


【セッツァー=ギャッビアーニ@ファイナルファンタジー6】
[状態]:好調、魔力消費(中) ファルコンを穢されたことに対する怒り
[装備]:デスイリュージョン@アークザラッドⅡ、つらぬきのやり@FE 烈火の剣、シロウのチンチロリンセット(サイコロ破損)@幻想水滸伝2
[道具]:基本支給品一式×2 拡声器(現実) フレイムトライデント@アーク・ザ・ラッドⅡ ゴゴの首輪
    天使ロティエル@サモンナイト3、壊れた蛮勇の武具@サモンナイト3
    小さな花の栞@RPGロワ 日記のようなもの@??? ウィンチェスターの心臓@RPGロワ
[思考]
基本:夢を取り戻す為にゲームに乗る
1:ジャファルの反応を見極め、対応
2:魔王、ピサロ(可能ならばジャファルも)と連携し、ヘクトル・ゴゴを倒す
3:C7制圧後は南下し、残る参加者を倒す
4:ゴゴに警戒。
5:手段を問わず、参加者を減らしたい
※参戦時期は魔大陸崩壊後~セリス達と合流する前です
※ヘクトル、トッシュ、アシュレー、ジャファルと情報交換をしました。
※ジョウイからマリアベル達の現在の状況を知りました。その他の情報については不明です。

 【日記のようなもの@???】
  メイメイさんのルーレットダーツ1等賞のイカサマのダイスを放棄してセッツァ―が手にした『俺にとって役に立つ物』。
  メイメイさんの店にあった、場違いな書物。装丁から日記と思われる。
  専用の『鍵』がないと開かないらしい。著者名は『Irving Vold Valeria』。

※回転のこぎりは破壊されました


【ピサロ@ドラゴンクエストIV】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(中)、心を落ち着かせたため魔力微回復、ミナデインの光に激しい怒り ニノへの感謝
    ロザリーへの愛(人間に対する憎悪、自身に対する激しい苛立ち、絶望感は消えたわけではありません)
[装備]:ヨシユキ@LIVE A LIVE、ヴァイオレイター@WA2、クレストグラフ(ニノと合わせて5枚。おまかせ)@WA2
[道具]:基本支給品×2、データタブレット@WA2、双眼鏡@現実  点名牙双@幻想水滸伝Ⅱ、解体された首輪(感応石)、 バヨネット
    天罰の杖@DQ4、小さな花の栞×数個@RPGロワ メイメイさんの支給品(仮名)×1 
[思考]
基本:ロザリーを想う。優勝し、魔王オディオと接触。世界樹の花、あるいはそれに準ずる力でロザリーを蘇らせる
1:ニノ……ロザリーを頼んだぞ……
2:セッツァー・ジャファル・魔王と一時的に協力し、ヘクトル・ゴゴを撃破しつつ南へ進撃する
3:可能であれば、マリアベルとニノも蘇らせる
[参戦時期]:5章最終決戦直後
[備考]:確定しているクレストグラフの魔法は、下記の4種です。
 ヴォルテック、クイック、ゼーバー(ニノ所持)、ハイ・ヴォルテック(ニノ所持)。
※バヨネット(パラソル+ディフェンダーには魔導アーマーのパーツが流用されており魔導ビームを撃てます)

 【メイメイさんの支給品(仮名)×1】
  メイメイさんのルーレットダーツ3等賞。メイメイさんが見つくろった『ピサロにとって役に立つ物』。
  あくまでもメイメイさんのチョイスであるため、それがピサロが役に立つと思う物とは限らない。


【ヘクトル@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中) 左手首に傷 左目消失
[装備]:アルマーズ@FE烈火の剣 
[道具]:ビー玉@サモンナイト3、 基本支給品一式×4
[思考]
基本:オディオを絶対ぶっ倒して、オスティアに戻り弱さや脆さを抱えた人間も安心して過ごせる国にする
1:ニノォォォォォォォ!!!!!
2:ジャファルは絶対止めてニノと幸せにさせたいが…
3:つるっぱげ、ダブル銀髪を必ず倒す。
4:ゴゴとちょこから話を聞きたい。
5:アナスタシアとセッツァーを警戒。
[備考]:
フロリーナとは恋仲です。
※セッツァーを黒と断定しました。


【ゴゴ@ファイナルファンタジー6】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、首輪解除、アガートラーム 右腕損傷(大)感情半暴走
[装備]:ブライオン@ LIVE A LIVE 、ジャンプシューズ@WA2
[道具]:基本支給品一式×2(ランタンはひとつ)
[思考]
基本:物真似師として“救われぬ”者を“救う”というものまねをなす
1:ヘクトル達を助け、セッツァー達を倒す。
2:セッツァー…俺は…!!
[参戦時期]:本編クリア後
[備考]
※本編クリア後からしばらく、ファルコン号の副船長をしていました。
※基本的には、『その場にいない人物』の真似はしません。
※セッツァーが自分と同じ時間軸から参戦していると思っています。
※内的宇宙に突き刺さったアガートラームで物真似によるオディオの憎悪を抑えています
 尚、ゴゴ単体でアガートラームが抜けるかは不明です


【魔王@クロノ・トリガー
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)
[装備]:魔鍵ランドルフ@WILD ARMS 2nd IGNITION 、サラのお守り@クロノ・トリガー
[道具]:不明支給品0~1個、基本支給品一式
[思考]
基本:優勝して、姉に会う
1:セッツァー、ピサロと連携してゴゴ・ヘクトルを倒す
2:ジャファルについては興味がない
3:ヘクトル・ゴゴを倒した後、カエルの援護に向かう
4:カエルと組んで全参加者の殺害。最後にカエルと決着をつける。
[参戦時期]:クリア後
[備考]
※ラヴォスに吸収された魔力をヘルガイザーやバリアチェンジが使える位には回復しています。
※ブラックホールがオディオに封じられていること、その理由の時のたまご理論を知りました。
※遺跡の最深部、危険なのはその更に地中であるということに気付きました。
※ランドルフの解析が進み、『ゲートオブイゾルデ』と『超次元穿刀爆砕』が使用可能になりました。


【ニノ@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:■■■■■■■■■■■■■■■■
[装備]:表示できません
[道具]:表示できません
[思考]
基本:――な―――っしょ――――――――
1:言語化できません
[備考]:
※いまさら、何を備えるというのか、何を考えるというのか


時系列順で読む


投下順で読む


136-1:世界最期の陽(前編) ゴゴ 137:クロスファイア・シークエンス
カエル
魔王
ニノ 138:ある『暗殺者』の終わり
ヘクトル
セッツァー
ピサロ
ジャファル



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年12月08日 01:37