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『双月の騎士』






……言うか言うまいか悩むがやはり話そう。
わたしはかつて罪を犯した。
大きすぎる罪だ。
大きすぎて、どうしようもないほどの罪だ。
その罪を贖おうと思って研究に打ち込んできたが…
最近思うようになったことがある。
それはだな、罪を贖うことはできないということだ。
どれほど人の役に立とうと考えてそれを実行しても…私の罪が赦される事はない。決してない。
だからきみ、一つ約束してほしい。
いいか、これからきみは困難な事態に多々直面するだろう。
戦争に行くんだ、人の死にたくさんふれねばならんだろう。
だが……。
慣れるな。
人の"死"に慣れるな。
それを当たり前だと思うな。
思った瞬間、何かが壊れる。
わたしは、きみにわたしのようになってほしくはない。
だから重ねてお願い申し上げる。
戦に慣れるな。
殺し合いに慣れるな。
"死"に慣れるな。

…………………
…………
………

なぁきみ。
その世界では本当に誰もがきみの言う"くるま"を操り道をゆくのか?
遠く離れても意志が通じる小箱の存在はまことか?
本当に月へ人が降り立ったことがあるのか?
魔法を使わずそれらのことをやってのけるとは、なんと素晴らしいことだろう。
わたしは、そんな世界が見たい。









《 Saito Hiraga -虚無の使い魔/神の左手- 》


「フリーレン、この…園さんを殺した奴はもうこの近くにいないんだな?」
「うん、ミホやサイトの魔力量を基準に索敵範囲を広げてるから、多分間違いない」
「そうか……くそ、まだこの糞ゲームが始まっていくらも経ってねぇのに…酷ぇ事しやがる」

ルイズがこのクソッタレゲームに参加していなかった。それはいい。
いや、よくはないけど。俺がまたいなくなったって、絶対アイツ泣くだろうし。
でもそれ以上に、このゲームには反吐が出る。
そう思いながら俺は、撃たれない様に物陰に移動させた──
園みどり子って女の子だったモノの、もう動かない瞼を降ろした。

「その…私と園さんが話してたら突然銃声が鳴って…園さんが倒れて………」

グリンデルバルドに襲われてから、自称ターボババアと取っ組み合いを初めて。
俺がババアの頭突きの十連発を喰らってる時に丁度現れたのがティファと同じエルフのフリーレンと、西住みほって女の子だった。
まず友達が撃たれたって、少し錯乱している様子の西住を落ち着かせて。
それから魔力の反応で近くに人がいるか分かるってフリーレンが名乗り出たから、こうして死体の様子を確かめに来た。
誰がどんな武器でルイズくらい小さな女の子を殺したか、分かるかもしれないし…
それに動揺している西住を見ていると、放っておくわけにもいかなかった。

「おう帰ったぞクソだらぁ共。そこの耳の長いババアの言う通りだ。今この近くにゃワシらだけだよ」

つい少し前まで殴り合って蹴り合ってたクソムカつくターボババアの声が響く。
今までは無駄にデカい態度で俺に喧嘩を吹っ掛けて来ていたババアだったけど。
それでも顔中で動揺しまくってるのを伝えてくる西住と、倒れた女の子の遺体を見たら自分から近くに誰かいないか見てくると申し出た。
ターボババアってゆうくらいだし、この辺りを走り回って探してきたのかもしれない。
さっきまでの恩着せがましい言葉も吐かなかったし、この化け猫ババアにも思うとこがあったのかもな。

「…とにかく安全そうな場所まで移動してから…埋めてやろう。このままじゃ可哀そうだ」

ばさっと適当な家から失敬したカーテンを上からかけて、包んでやる。
俺達も何時撃たれるか分からない以上、ちゃんと弔ってやることはできないけど。
それでもルイズと同じくらい小さな子がこんなとこに野ざらしにされるのは忍びない。
そう思って、カーテンに包んだ遺体を抱え上げようとした、その時の事だった。

「待って、サイト」
「?何だよ、フリーレン」

フリーレンが俺を呼び止めて。
続く言葉で、その場の空気が凍った。
フリーレンが言ったのはたった一言。
一旦ここから離れて、首輪を回収しよう。フリーレンはそう言った。

「フリーレン、お前…!西住のいる前で……!」
「そうだね。でも隠れてこっそりやるよりはいいと思った」

首輪には俺のガンダールヴの力も働かない。フリーレンの魔法も同じだって言ってた。
無理矢理外したら爆発するかもしれない。となるとあと外す方法は一つしかねぇ。
遺体の首を斬る。けどここは園さんって子の友達の西住がいる。
誰でも友達の首を切られていい思いする訳ねぇ。
俺だってギーシュやキュルケ、タバサは勿論マリコルヌでも首を切るって言われたらいい思いはしない筈だ。


『相棒、俺もそこのエルフの嬢ちゃんに同感だ。どの道ここでやらなくてもこの島から脱出するにはいずれやらなきゃいけねぇ』
「けど…!」
『二日しか時間がないならなおさらだ。次死体をめっけても回収してる余裕があるか分からねぇしな』
「……………」

デルフのその言葉に、言い返せなかった。
フリーレンもデルフも死んじまった人間より生きてる皆。そう言いたいんだろう。
それは俺ももっともだと思う。だけど……
真っ青な顔で俯いてる西住を見たら、「そうだ」って直ぐに受け入れるのは難しかった。

「やるかやらないかさっと決めなガキ共。こうしてる時間が一番無駄だぜい」

ターボババアが興味無さそうに寝っ転がりながら口を挟んでくる。
相変わらず無駄に態度がデカいんだよ。アホが。
…そう思いつつも、こいつの性格ならさっさとやれってせっついて来そうだと思ってたから、少し意外だった。
とは言え、さっさと決めろって言われた所で直ぐに割り切れる筈もない。
この場にいる全員、押し黙っちまう。

「……平賀くん。フリーレンさん」

十秒くらい経ってから、重苦しい沈黙を破ったのは西住だった。
その声は、少し震えてた。

「ごめんなさい。本当は、私がやらなきゃいけないかもしれないけど……でも……お願いしていいですか」
「……本当にいいのか?わざわざ友達でやらなくたって」
「……うん。フリーレンさんやデルフリンガーさんの言う通り時間も余りないですし。
お母さんやお姉ちゃん。優花里さんと華さんも探してあげないといけないですから……」

ぎゅっと袖を掴んで、西住は言う。
そして残った手でカーテンをかけた園みどり子の遺体にそっと手を当てて呟いた。

「園さん…ごめんなさい………」

その時の西住の表情を見たら、もう何も言えなかった。

「……分かった。まずは移動しようぜ。狙い撃ちにされるのは御免だ」



《 Frieren -Frieren the Slayer- 》



サイトに会えたのは丁度良かった。
私の様な魔法使いがあのバージルの様な男と戦うには、前衛が必要だ。
サイトは正直、素の力量ではバージルに及ぶべくもないけど…それでも左手に宿った魔力。
ガンダールヴというらしい力を考慮すれば、装備次第で前衛の務めを果たせる。
その考えの元私は、支給されていた鍵剣をサイトに投げ渡した。

「フリーレン、これは?」
「あげる。支給されたけど魔法使いの私には宝の持ち腐れだから。
ガンダールヴって力があるんでしょ?なら近接武器はサイトに集約させてた方が合理的」
「ふーん……インクルシオ、か。生きた竜が素材で鎧に変わるなんて大した武器だな」

……ガンダールヴの力というのは本当らしい。
見た目はただの剣のインクルシオの隠された効果を、才人は私の説明もなく。
支給品の説明書にも目を通さず看破して見せた。
火薬が籠められてる首輪には何か仕掛けがあるのか中がどうなっているか分からないそうだけど。
それでもその仕掛けをどうにかすれば、彼の力で首輪がどうなっているか調べられるかもしれない。
そう思いながら、私は魔法で地面に穴をあけた。

「サイト。サイトはミホやこの子が住んでた様な世界にいて、ハルケギニアって国に連れてこられたって言ってたよね」
「あぁ、俺の御主人様のルイズ…虚無の魔法使いの召喚でな。鏡みたいな門を潜ったら、月が二つある世界に出たよ」
「私の世界でも月は一つだったから、多分ハルケギニアとは別の世界だろうね。その魔法で私達を連れてきたのかも」
「うーん…どうだろうな。少なくともルイズに召喚された時と違って俺には鏡を潜った覚えねぇし」
「私も無い」

話ながら、そっとサイトは布から出した女の子の死体を穴の中に横たえた。
後は私がするというと、多少食い下がったが、最後には了承してその場を退いた。
その少し後に。ごとり、と何か肉が落ちるような鈍い音が響く。
首輪本体は魔法の干渉を弾くけれど、首輪の少し上の肉の部分は問題なく通った事で楽に仕事は終わり。
そして私達は首輪を手に入れた。

「…正確に言えば、多分俺と西住がいた世界も違うと思う。俺のいた日本には戦車を動かせる部活何て無かったからな
俺がハルケギニアに召喚された後日本じゃ数十年経って法が変わってたとかでもない限り、女子高生が戦車に乗る事なんてまずないだろ」
「サイト。君の御主人様が使ってた虚無の魔法を使えば、ここから脱出できると思う?」
「どうかな。何しろ俺はメイジじゃないし。ルイズの奴も始祖の祈祷書?ってのを使って虚無の魔法を使ってたから……」
「ふむ。一度その祈祷書が君に支給されたデルフリンガーみたいに支給されてないか探すのも手だね」

もし役に立たなくても他の世界の魔導書とか、絶対読みたいし。
そう思いながら、土をかけて行くサイトを魔法で手伝う。
最後にパンパンとサイトが剣の腹で地面を鳴らして、埋葬は終わった。
墓標などは用意できなかったけど、今はこれで我慢してもらうしかないだろう。
せめてもの贐に、膝をついて祈りを捧げる。

「………どうしたの?」

数拍の間を置いて閉じていた瞼を開くと、感心したように才人が手を合わせたままこっちを見ていた。

「いやー…さっきまでフリーレンの事、俺を助けてくれたエルフと違って大平原だし、
冷たい奴かと思ってたんだけど…でも、俺の勘違いだったみたいだってそう思ってさ。ごめん」
「何処が大平原か聞こうか。あとこれからサイトの呼び方はお約束に倣って馬鹿犬にでも変える?」
「あ、うん。本当すんません」

サイトの今の発言を心の日記帳に10回ぐらいメモしてから、一応は許す。
私の知らない科学と言う技術に、世界を渡る魔法の知識。それにガンダールヴの能力。
単なる前衛と言うだけじゃない。この命の授業を打破するのに彼は押さえておきたい人材だった。

「さ、そろそろ出発する準備をしよう。フェルンやシュタルクも探さないと」
「そうだな。その…マハトやソリテールって奴とフリーレンの仲間が鉢合わせる前に合流しないと」
「うん。それじゃあの"せんしゃ"って乗り物を出してもらえる?」
「え?お、おいおい…確かに燃料は満タンだったけどさ、あんなもん乗り回したら目立ちすぎるだろ」
「うん、それについてはある程度なら問題ない。この島は地図で区切られている範囲の境目に結界が張ってあるみたいなんだ。
その結界のお陰で、今いる地点から区切られている範囲の外の状況が掴みにくくなってる。少なくとも五感と魔力の探知では」

空間か認識か、どちらが歪んでいるか分からないけれど。
今私達がいるこの島は結界で一種の異空間になってる。
だから普通なら見えたり聞こえたりすることが気づきにくくなってる……それも絶対ではないけど。

「区切られた範囲の中なら私の魔力探知の範囲に引っかかる。私が指示したらしまってくれればいい」

何故死んだはずのマハトとソリテールが今この島にいるのかは分からない。
だが、この二体の魔族の魔力ははっきり記憶している。忘れる筈もない。同じエリアに入った瞬間確実に気づける。
…それは向こうも同じではあるだろうけど。でも鉢合わせるより先にしまう事はできるだろう。
そうでなくとも、あいつらも知らないせんしゃで先手を打ってもいい。
だから馬車よりも早いせんしゃに乗るのは至極合理的な判断なんだ。

「乗ってみたいんだな?」
「うん」

一瞬でバレた。
とは言えサイトの側からしても歩きより楽だし安心できるんだろう。
嫌とは言わず、じゃあ準備するとだけ答えてミホの元に歩いて行く。
私は、そんな彼の背中にもう一言だけ尋ねた。無視できない懸念材料を。

「…サイト、あの猫の事なんだけど」
「あぁ、あのババアの事か。あいつは…まぁ信用はならないけど、多分この殺し合いに乗ってる訳じゃないと思う。
あのババア自身は首輪を外す為だって言ってたけど、実際グリンデルバルドって男に襲われた時は助けられたしな」
「そう、でも気は許さないで」
「………あぁ、わかった」

あの猫の置物の中からは、魔族と似た気配を感じた。
ミホやサイトが言うには招き猫っていう幸運を招く置物で、ターボババアという名もサイト達の世界では有名な怪談らしい。
つまり私の世界の魔族とは近しいけれど別の世界の…似て非なる存在である可能性を示唆する。
ただ、本猫の態度を見ると人類に敵対的である事は明らかだ。警戒する必要はある。

「けど……」

サイトは私の言葉を否定しなかった。
だけど、私の世界の魔族に馴染みが薄いせいだろう。ハッキリと肯定もしなかった。
彼の視線の先には、さっきまで興味なさげに寝ころんでいたのに。
埋葬が終わって少女が眠っている場所の前で。
まるで死者を悼むように静かに佇む別世界の魔族を見つめて。

「あの姿は…嘘じゃねぇって思いたいな」

私はその言葉を肯定しなかった。
例え別の世界の魔族でも、私が決して気を許すことはないだろう。
信じたりもしないだろう。けど……

「……………」

その言葉を、否定することはしなかった。






《 Turbo BBA -Radical Good Speed- 》

よう、災難だったな。
取り込めるならワシが取り込んで、森口の奴を一緒にボキャボキャにして呪い殺すこともできたんだろうけどよォ。
お前さんの霊魂はここにはねぇらしい。残念だぜ。
その代わり…ワシがテメェの無念分も呪ってやる。必ずな。
だから…心配なんざしなくていい。

「おいババア、行くぞ!」

…っち、
分かってんだよ。くそだらぁのクソガキが。




《 Miho Nishizumi -大洗の軍神- 》


『コッチノチェックハ終ワッタヤンケ』
「ありがとう、トダー…?トダーさん?」
『ドッチデモエエヤンケ』

園さんの事は、平賀君達に任せて。
私は支給されたロボット?のトダーさんと一緒に平賀君が持っていた10式戦車のチェックをしていた。
自動車部の人たちほど整備の腕がある訳じゃないし、整備の為の道具も無いから本当に簡単な点検だけだけど…
それでもやっておくほうが安心だし、今は何か作業に没頭したい気分だったから。

「それにしても、AIって凄い。これなら点検どころか整備でもできそう……」
『学習済ミダカラ道具ガアレバデキルヤンケ」

トダーさんの性能は凄くて。
支給されたスマホに入っていたメモアプリにチェック項目を連ねて点検を頼むと、正確に損傷などを読み取り。
後で私が確認のために追って確かめたけど、トダーさんの点検結果は正確の一言だった。
大洗にも一台持って帰りたいと、本気で思ってしまう。

「おー、トダー。そっちも終わったか。そろそろ出発するから西住のデイパックに戻ってくれ。戦車は三人乗りなんだ」
「分カッタヤンケ」
「…しかしお前何で関西弁なんだよ。最新式の軍用ロボットなんだろ?」
「キー坊ニ教ワッタヤンケ」
「誰だよキー坊」
「細カイ事ハ気ニスルナ」

そうしている内に平賀君が園さんの事をすませて帰って来た。
平賀君がまずトダーさんに声をかける。気を遣わせてしまっていたのかな。
それとも最初にトダーさんが凄いロボットだと気づいたのは平賀君だったから、本当はトダーさんと色々したかったのかも。
教えればきっとこいつは戦闘機だって動かせる。それが左手でトダーさんを触った平賀君からの評価だった。

「中の構造とか教えれば首輪を外す事だってできるんじゃねぇか?」
「構造はサイトが教えられるかもしれないけど、誰が外し方を教えるの?」

彼は直ぐに肩を落としていたけど、フリーレンさんとそんなやりとりさえしていたくらいだから。
命じられた通り私のデイパックに自分から収まっていくトダーさんを眺めながら、つい先程のやりとりを思い返していると。
平賀君は今度は私の方に視線を移してきて、目が合う。

「西住、戦車はどうだ?結構無茶な使い方したけど、動かせそうか?」
「うん、簡単な点検しかしてないけど。大丈夫だと思う。あと私が普段乗ってるのとは大分違うけど……何とかなりそう」
「そっか……凄いな。俺の知ってる日本じゃ戦車を乗り回せる女子高生とかいないと思うぞ」

別にそこまで凄い事じゃないと思うけど…でも平賀君の知ってる女子高生は艦の上で生活したり、戦車道もやらないらしい。
法律とか、安全性とかどうなってんの?と聞かれて特殊なカーボンが…というと彼は心底不思議そうな顔をしていた。
フリーレンさんにいたっては戦車を見た事もないらしい。あとで本人は冗談だって言ってたけど…
最初平賀君が戦車を出して動かした時、人参をあげようとしていた。
私がそんな逃避じみた事を考えていると、平賀君がさっきよりも真剣な顔で声をかけてくる。

「………西住の友達の事は十分とは言えないけど、弔っておいた」
「うん………ごめんなさい」

本当は園さんと友達だった私が一番…やらなきゃいけない事だったのに。
平賀君達と出会った後、自己紹介と情報交換を終えたら我慢できなくなって。
園さんを撃った人や平賀君やフリーレンさんを襲った危ない人がまだ近くにいるかもしれないのに。
それなのに無理を言ってここに連れてきて。嫌な役目は平賀君とフリーレンさんに任せて。
本当に、私は身勝手だと────、

「いいんだよ。それで」

私の思考を断ち切る様に。
きっぱりと、平賀君はそう言った。
表情は暗くてよく見えない。

「俺のずっと世話になった先生がくれた手紙に…書いてたんだよ。人が死ぬことに慣れるな。
それが当たり前なんだって思うなって。思っちまったら……きっと、大事な何かがぶっ壊れる」

友達の首を斬るなんて、やらない方がいいに決まってる。
立場が逆ならきっとどんだけ情けなくても、俺もフリーレンや西住に頼んでたと思う。
平賀君はそう…断言してくれた。多分、励ましてくれてるんだとその時分かった。

「…いい先生だったんだね」
「あぁ、恩人だよ。右も左も分からない時に………何度も助けられた」

平賀君の語る声は誇らし気で。
でも同時に、何処か暗かった。
その先生と何かあったのかは聞けなかった。


「サイト、それってもしかしてコルベールって人のこと?」
「え!?何でお前が知ってるんだよフリーレン」

ひょっこりとフリーレンさんが横合いから顔を出して。
支給品だという手紙を差し出してきた。
それを一読して、間違いないって、平賀君はそう言った。
私はそんな彼の横顔を見て、我儘を一つ願う。
その手紙を、私も一度読んでもいいかと。
今の私に必要な言葉が、その手紙に綴られている気がしたから。
平賀君は少し迷った顔をしたけど、もう一度頼むと頷いてくれた。
私は手紙を受け取って、それに目を通す。そんなに文量もないため、直ぐに読むことができた。

「……うん」

内容自体は私に向けられたモノではなかったけれど。
それでも読んでいると心の中が奮い立つ様な、そんな気持ちになる事が出来た。
だから、私は。

「そろそろ行きましょう。お母さんたちや、フリーレンさんの仲間の人たちとも合流しないといけませんから」
「………もう大丈夫なんだね?」

フリーレンさんの問いかけに、しっかりと頷く。
私の様子を見た平賀君はそれじゃあ早く行こう、早く帰らないと生きて帰れてもルイズに殺されるって軽口を叩いて。
そうして戦車に乗り込もうとして、ターボババアさんとぶつかる。

───悪いなババア。この戦車は三人乗りなんだ。
───じゃあテメーが降りろやクソガキ。
───ふざけんな!俺が降りたら誰がこれ操縦するんだよ!
───ミホの奴に任せるわくそだらぁ!

会った時の様に、取っ組み合いを始める二人を苦笑して見つめた後。
もう一度だけ、園さんに思いをはせる。
私の不注意で死なせてしまって、ごめんなさい。
どれだけ謝って、悔やんでも悔やみきれないけれど。悔やんでばかりもいられないから。
時間は私に寄り添って一緒に悲しんではくれないから……
少しだけ…これから二日の間だけ、私に間違いを償うまでの時間を下さい。園さん。
例え…それが決して償いきれない間違いだとしても。
そう思いながら、小さな声で「行ってきます」と呟いて、その後に後悔も迷いも振り払うように。
私は戦車道の試合が始まる時の様にはっきりとした声で、皆さんに言う。



────行きましょう。







【F-5/市街地/深夜/1日目】
【平賀才人@ゼロの使い魔】
[状態]:健康
[装備]:デルフリンガー@ゼロの使い魔、悪鬼纏身インクルシオ@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、グロッグ17(残弾12/17)&予備弾倉×3@現実
[思考]:脱出してルイズの元へ帰る。殺し合いはしない。
1:ルイズがここにいなかったのはよかったけど…泣いてんだろうな……
2:フリーレン達と行動する。
3:首輪の「仕掛け」を解除できそうな参加者か支給品を探す。
4:トダーに首輪の外し方教えられそうな工学に強い参加者もどっかにいねぇかな?
※参戦時期はルイズと再契約を行った原作八巻終了時、九巻開始直前。

【フリーレン@葬送のフリーレン】
[状態]:胸と背中に刀傷(応急処置済み)
[装備]:フリーレンの杖@ 葬送のフリーレン、園みどり子の首輪
[道具]:基本支給品一式
[思考]:殺し合いから脱出する。
1:サイトやミホと行動を共にする。
2:フェルンやシュタルクと早く合流する。
3:ターボババアには警戒。こちらに害を成せば容赦はしない。
4:バージル、マハト、ソリテールを警戒、再戦するならまだ前衛がいないと負ける。
※参戦時期はマハト編終了以降です。

【西住みほ@ガールズ&パンツァー】
[状態]:動揺(小)、決意
[装備]:10式戦車@現実
[道具]:基本支給品一式、コルベールの手紙@ゼロの使い魔、トダー@TOUGHシリーズ、不明支給品×1
[思考]:殺し合いから脱出する。
1:平賀君たちと行動する。
2:お母さんやお姉ちゃん、優花里さんや華さんを探す。
3:園さん…ごめんなさい。でも少しだけ私に間違いを償う時間を下さい。
4:トダーさん、これなら戦車の運転もできるかも…

【ターボババア@ダンダダン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:何が命の授業だよ。こっちはもうキャンパスライフ堪能する年じゃねぇんだ。
1:生意気なクソガキはぶっ殺すが、殺し合いは面倒くさいので乗らない。
2:クソだらぁな首輪を外すために生意気なガキ(才人)を脱出のため利用する。
3:…テメェの無念はワシがなかったことにしねぇ。
※参戦時期は原作17巻で、力を取り戻した直後。


※フリーレン、才人、みほはお互いの世界の情報と要警戒人物の情報を交換しています。


【支給品説明】
【コルベールからの手紙@ゼロの使い魔】
フリーレンに支給。
トリステイン魔法学園の教師、ジャン・コルベールが戦地へと赴く才人に綴った手紙。
彼のかつての悔恨と苦悩。生徒への戒めと夢が綴られている。それだけの手紙。

【トダー@TOUGH 龍を継ぐ男】
西住みほに支給。
米軍の協力者であるゴア、という博士が作った軍用ロボット。
破壊力3トンのパンチを音速かつノー・モーションで放てるモンキー・リアリティのロボットで、
その拳の破壊力は寸止め状態ですら衝撃波で人を転ばせることができるほど。
頭部さえ残っていればエネルギーの続く限り戦い続ける事が可能で、
事実腕や足がもげた程度では自己修復機能で問題なく行動可能だが、剥き出しの配線が弱点となる。
また、AIの学習能力もハイ・スペックで学習させれば戦闘機でも問題なく操縦できる。
キー坊の関西弁も一瞬で学習し対応した。

【悪鬼纏身インクルシオ@アカメが斬る!】
フリーレンに支給。
主人公タツミが所有する鎧の帝具。
凶暴な超級危険種タイラントを素材として作られた帝具で、素材となった竜の強靭な生命力により装着者に合わせて進化する。
身体能力を向上させ、更に副武装として「ノインテーター」と呼ばれる槍、奥の手として「透明化」などがある。






前回 キャラ 次回
012『スタア誕生 014『Opposing Souls
採用No.07『I need more power! フリーレン
採用No.11『ゆきゆきて戦車道 みほ
採用No.34『闇の帝王(グリンデルバルド) 才人
採用No.34『闇の帝王(グリンデルバルド) ターボババア

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最終更新:2026年08月22日 23:31