29-212「黒木田のラブラブズキューン大作戦」

「ねぇキョン、そういえば最近佐々木さんと会った?」
そんなことをふいに国木田に聞かれた。
お前この前もそれ聞いてなかったか?
「そうだったかもね。ところで今週の日曜日に中学の頃のクラスメイトみんなで遊びに行こうってことになってるのは知ってる?」
「初耳だな。そんな企画が進行してたのか」
「うん。急に決まったんだ。同窓会の前にワンステップ踏もうって話になってね」
発案者は?
「もちろん須藤」
ああやっぱり……

「で、このチケットを預かっていて欲しいんだよ」
なぜそれを俺に?
「これも須藤の案なんだけど、男子が一人二枚ずつ持って女子に残りの一枚を渡そう、ということになってるんだ。まぁたぶん岡本さんを誘う練習がしたいだけなんだと思うけど。
だから須藤以外はみんなカモフラージュのために相手に渡すだけだから、恥ずかしがることはないよ」
全く面倒なことをしてくれるな。正に須藤必死。愛しの岡本が振り向いてくれるよう祈ってやるか。
「で、これは俺と誰の分なんだ?」
「そこで話は始めに戻るのさ。つまるところ佐々木さんにそのチケットを渡して欲しいんだ」
そうくるか。
ハルヒたちになんて言い訳するかな………
「大丈夫。そこはもう話をつけてあるからね」
ほう凄いな。どうやったんだ?
「半泣きになりながら僕の悲願の恋愛成就のためにキョンを役者として貸してください、って依頼したんだ」
サラッとすごいこと言ったな。国木田………恐ろしい子!!
「でもなんでお前そんなに必死に色々やってるんだ?そこまでする必要ないだろ」
「そこはほら、色々あるのさ。面白そうというか、面白かったからというか………」
……よくわからんな。
「分からなくていいと思うよ。まぁそういうわけでよろしく。遊園地に持って行くだけでもいいから」
誘わないでいいのか?
「それでもいいけど、恥ずかしいでしょ?僕からも佐々木さんには言っておくから」
ニコッと笑った国木田は小走りで去っていった。
よくわからないなアイツは………。



「あ、もしもし?キョンに話しておいたよ」
『本当かい!?いや悪かったね、こんなことさせてしまって』
「気にしないでよ、元クラスメイトの頼みとあってはね。しかもそれが愛しい人を振り向かせる為のラブラブズキューン大作戦とあっては無下に断れないよ。大好きなんだもんね、キョンのこと」
『そそそそんなことないよちょっと話があるだけだよ!べ、別にキョンのことなんか好きって訳じゃないんだからね!勘違いしないでよね!』
「ふふっ、わかってるよ。叶うと良いね!少し早めのチョコも渡すんでしょ?」
『な、何故それを知ってるんだい!?あれは橘さんにしか話してないのに……』
「あれ、当たってた?ごめんね、少しカマをかけてみたんだけど」
『君はやはり恐ろしい男だよ……』
「褒め言葉として受け取っておくね。じゃあこれで。愛の告白頑張ってね!」
『だから違うと……』

ふぅ。やっぱり面白いな佐々木さんは。
キョン、彼女を悲しませてはダメだよ?
でも適度に心を抉ってくれるともっと面白いことになりそうだから、フラグは折ってね?


ふふふふふふふふふふ………



キョンが遊園地に着くともちろん佐々木さんしか居らず、他のみんなはインフルエンザで休みと聞かされて仕方なく二人で遊園地を満喫したらしい。
これは予想外だったんだけど、キョンは今回フラグをほとんど折らず、お化け屋敷イベントまで上手くいったそうだ。
しかしフィニッシュの観覧車の中で突然眠気に教われたキョンが、一周回るまで起きてくれず、肝心の告白&チョコは出来なかったそうだ。
そのとき雪とともにしおりが落ちてきたらしいけど、一体誰の仕業だったんだろうね。

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最終更新:2013年03月03日 01:33
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