29-222「薬漬けキョン」

「キョン、それ以上飲んではいけない!死んでしまうよ!」
私がキョンの家に着いた時、既にキョンはぐったりとして次のものに手を出そうとしていた。床には空になったものがいくつも転がっている。

先程キョンの御母堂から「もう私ではどうにもできない……いろいろな先生に頼んだり有名なところに入れてみたりしたけど、あまり効果はなかった……頼れるのは佐々木さん、あなただけなの!」と連絡を受けて飛んできたのだ。
なんでこんなものに手を出したんだ!
「はは……佐々木の幻覚か……俺はもうダメかも知れねぇな…」
「いいから落ち着いてそれをこちらに渡すんだ」
「なんだ?佐々木もこれが欲しいのか。やめた方がいい。俺みたいになっちまうぜ……」
「君のために言ってるんだ……。僕が手伝ってあげるからもうやめるんだ!」
「うるせぇ!!もうなりふり構っていられねぇんだよ………時間がないんだ…それに俺の体は俺のもの、どうしようと勝手だろ?」
「そんな……そんなことしなくても僕がいるじゃないか!僕が君を助ける!だからそんなものに手を出すのはやめてくれ……」
「………佐々木」
「僕が付きっきりで手伝うから……これ以上体に負担をかけるのはやめてくれ………」
「……いいのか?迷惑かけるぜ?」
「迷惑じゃない!一緒に頑張って行こうよ。君なら大丈夫……ね?」
「佐々木……ありがとうな、俺頑張ってみるよ」
そういうとキョンは手にしていたビン、ユンケル皇帝液を床に置いた。
受験を目前に控えたキョンが「超栄養剤で不眠で追い込み」という無茶な試みに挑んだ、中三の冬の話だ。
その後の勉強の甲斐あってか、なんとか高校進学は出来たものの、別々の高校になってしまったのが心残りだけど……。

栄養剤は用法用量を守って飲みましょう。
強いのはマジで切れた時辛いよ………。

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最終更新:2008年02月16日 10:32
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