今でも卒業式のことは昨日のように思い出される。忘れようとしても忘れられない思い出だ。
「キョン。別れても、会う機会がほとんど無くても僕達はずっと親友でいよう」
卒業式で佐々木に言われた時、複雑な気持ちだった。
『一生あなたとは男と女の関係になりません』と言われたのも同然だから…
時間は無限にある。若い頃はそう勘違いするものだ。皆、頭ではそんなこと無いと判っているのだが…
俺が佐々木と連れ立って塾に行くようになり、(今から思うと)恋人同士と見られるようになるのに大した時間はかからなかった。
その後、佐々木ともっと深い関係になり、いろいろな事をしたいと思わなかったわけじゃない。
しかし、それ以上踏み込むことができなかった。卒業式の日でさえ。
そこそこ仲良くなるまでは、断られて当然、OKしてもらえたら儲け物、嫌わられて当たり前の駄目元で捨て身になれた。
しかし、すごく仲のよい関係、周囲が恋人と誤解するのが当然となってくると、今の関係を失うのが途端に怖くなったんだ。
そして、佐々木は俺を友達以上と見ることは無い、俺も佐々木を友達以上に見ていない、と自分を誤魔化して一年を生きてきた。
あっという間に卒業式が来て。俺達は互いの「変わらぬ『友情』」を確認し
そして、それっきりだった。
その後、高校で新しい友人ができたので佐々木を何とか忘れることができた。
一年後、佐々木と再会したが、それは俺達の友情を壊すだけのものでしか無かった。
今度こそは、後悔したくない。中学時代のようなことは二度と繰返したくないんだ。
むしろ、今俺がやることは後悔することでなく、過去は過去として吹っ切って、今から行動すること。
今のSOS団は大事だけど、それが壊れるのを恐れていては前に進めないんだ。
「そうだったのですか。中途半端に仲が良いのも考えものですね。まるで我々みたいに」やっと佐々木さんを吹っ切っれましたか。ヤレヤレ
「あんた、ウジウジしないで告白しなさいよ。あんたが誰かに告白しても壊れるような団じゃないわ」佐々木を忘れさせたあたしに告白するのよね、可哀想だからOKしてあげるわ
「……私も同意見」何度も命を助けた私に告白すべき
「告白しなくて後悔するより、告白して後悔する方が良いわね」私が一番美人、キョン君は私の美貌にメロメロよ
「朝倉さんもですか。毎度のことながらあなたという人はどこまで」男に産まれてこれほど残念に思ったことは無いです
「えーと、わたしは未来じゃなくて実家に婚約者いるので遠慮します」キョンくんと同じ時代なら良かったのに。クスン
「鶴屋のお姉さんが未届け人になってあげるよっ」めがっさ楽しいことが起こるにょろ
「キョン。面倒なことは止めにして今すぐ告白しなさい」
「そうか、ありがとう。皆俺の大切な友人だ。早速今から佐々木に告白してくる」
「「「……ちょっと待った―!!!」」」
(終わり)
最終更新:2008年03月27日 22:36