橘「SSには文学的要素を求めるよりも読むとニヤニヤできる妄想表現力のほうが必要だと思うのです!」
昼下がりのファミレスに橘の大音声が響く。迷惑だから少しボリュームを下げてくれ。
「そういえば、かぎ括弧で括られたセリフの終端に句点を付けても直木賞は取れるのだよ。以前読んだ受賞作品がそうだった。内容?言葉を借りればユニーク、といった所か。」
佐々木は何がおかしいのか吹き出すのを必死に堪えるようにくつくつと喉を鳴らした。
いつも思うのだが、それどうやってるんだ?
「この――スレが――伸びたのも……」
虚空を見上げながら一人言ちた九曜はそこで突然こちらに向き直り、
「……SS職人の――お陰?」
と、問うてきた。
いや、一概には……
「一概にそうとは言えないが、確かに彼らによる所が大きいかも知れないな。それ以上は知らないが」
おい未来人、俺のセリフを取るな。
「では代わって続けさせてもらうよ。僕の素性や閉鎖空間、その他僕に関して様々な考察をしてくれた熟読者諸君や、素敵な絵を描いてくれた絵師様達も忘れてはいけない。彼らにも深く御礼を申し上げたいな」
橘「そこから妄想が広がったり、SSが生まれる事もありますからね。スレはみんなで作るもの。と、それは置いておいて、なんで私だけまだセリフ前の名前が取れないのですか?」
バカっぽいからじゃないか?と俺。
だが橘はこちらに目もくれず、ナチュラルに無視した。というかさっきから九曜以外誰一人として俺の方を見ない。イジメか?
「まぁいいじゃない橘さん。そんなことであなたの品位は汚されないよ」
橘「佐々木さん………」
瞳を閉じて迫る橘を片手で押さえながら佐々木は続けた。
「ところで、キョンはどうしてるだろうね。藤原、知らないかい?」
「僕があんなくだらない現地民の動向なんか知っている訳ないだろ」
歯ぁ食いしばれ未来人……
おい佐々木、俺ならここにいるだろ。
「まぁ彼の事だ。日曜日くらい家でゆっくりしたいんだろう。さて、僕らもそろそろ解散しようか」
橘「ですね。じゃあまた次回。日取りは追って連絡します」
「――歯磨き……宿題――」
「全く……規定事項で無ければこんな会合即刻不参加届を叩き付けてやるのに……」
唖然とする俺を置いて異色の四人組はファミレスを後にした。
あれ!?俺、終止モノローグだけか!?主人公なのに扱い酷くないか!?ああ…メタ的なのも容赦してくれよ?っておい!佐々木!佐々木ーっ!!
最終更新:2008年05月19日 10:04