『シビレ』
痺れってのは、圧迫などの刺激で長時間血液の循環が阻害され、筋肉などの組織に必要
な酸素や栄養分が行き渡らなくなることで起き、しばらくの間感覚も無く動かすことがで
きなくなる症状だ。
RPGの一時的なバッドステータスでよくみる「麻痺」もこれを想定していると思われるが、
本来麻痺とは病気や事故で神経が損傷し、回復には手術や厳しいリハビリを必要とする非
常に重い症状なのだ。だからあれは「麻痺」ではなく「痺れ」と呼称すべきなのではない
かと思うがどうだろう。
で、この痺れ、正座の文化がある日本人ならおそらく誰もが経験しているであろう。幼
い頃、ちょっとした悪戯をして正座させられた記憶が全く無い奴なんているか?あるいは
普段から良い子で悪戯なんてしませんでしたって坊ちゃん嬢ちゃんなら座敷などの和室で
は常にきっちり正座であったに違いない。
だか逆に言えば、正座からくる足の痺れ以外の痺れには存外慣れていない者が大半であ
る。ぶっちゃけ腕の痺れには俺もまだ慣れてないってことだ。
足の痺れの対処法は、経験的に時々足の位置を変えれば良いということは皆知っている
と思う。どれだけ周りに気付かせず自然に組み替えるかが腕の(この場合は足のと言うべ
きか?)見せ所だ。知ってるか?長い時間正座したまんま読経する坊さんも、袈裟の下で
コッソリ足を組み替えてるらしいぜ。
だが腕の痺れとなるとそうは問屋が卸さない。腕が痺れる原因の多くは寝てる時の無理
な姿勢にあり、しかも意識して体勢を変えられないため足の場合とは較べものにならない
くらい長時間血流がストップしてしまい、その結果圧迫から解放されても30分以上感覚が無
くなり俺の腕はこのまま一生動かなくなってしまうのではないかと恐怖することさえある。
要するに何が言いたいかというと、
「起きてくれ佐々木、でないと俺の腕がもう保たん」
「フニャ!?」