人混みの中で佐々木の瞳を覗き込む俺 ドーンと花火が鳴る
「花火が瞳の中に映ってる」
「キミの瞳には星が映ってる。とても綺麗だね」
ドキドキドキドキ 何故か胸が高まる
「そうか。嬉しいな~」
その時、後ろの通行人に押され偶然にも俺の唇と佐々木の唇が重なる
体を寄せ俺の後頭部に両手を当て瞳を閉じる佐々木とは対照的に、目を見開いたままの俺
俺の両手はいつの間にか佐々木の肩をつかんでいた
佐々木の柔らかな唇の感触を感じながら、勘違いした周囲の第三者からニヤニヤした目で見られるのに気が付いていた
そして、半時後。平謝りに謝る俺がいた
「すまん。キスするつもりなんて全然無かったのに偶然唇が重なる形になってしまって」
「故意ではなかったということなのかな?そうは見えなかったが」
「後ろの通行人に押されたんだ。何でも奢るから今日のことは許してくれ」
「キョン。それよりキスをする時は瞳を閉じるのが礼儀だよ」
そういやずっと目を見開いたままだった。俺はそんな礼儀があることは全然知らなかった
「あれは事故で、偶然唇が重なっただけなんだ。だから許してくれ」
「キミがそう言うのなら、事故ということにしておいてあげるよ。くつくつ」
その後数日間、佐々木の顔をまともに見れなかったのは言うまでもないこと