38-550「寒い日には」

今日のように気温の低い日は、どんなに着込んでも背中が寒いと感じるのだ。
僕は少し血の巡りが良くないのかもしれないな。そう、冷感症というやつだね。あまり認めたくはないが。
ただ、人間の輻射熱というのは意外に馬鹿に出来ないらしい。
その証拠に、こうして誰かの前を歩いているときはあまり寒さを感じないのだ。

え?それならもっといい方法があるって?
……くっくっ、その手には乗らないよ。
こう見えても僕は世間体というものを気にする性質だ。
君が推奨する方法を取ったら、10m後ろから尾行している女神様がさぞかしお怒りになるだろう。

くっくっくっ、冗談だよ、冗談……
有り難く受け取らせてもらうよ、君の好意。

ああ、そうだとも。これは君の純粋な友人としての好意で、それ以上の何物でもないのだよね。
わかっているさ。でも、君のコートの中は熱いくらいに暖かい。
何かを誤解したくなるほどにね。くっくっ……


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最終更新:2009年10月09日 19:29
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