42-709「エイプリルフールと佐々木さん」

※台詞のみ

「なあ佐々木。 なんで俺の顔をずっと見てるんだ?」
「いや、別に理由はないよ。 …というよりも無意識に近かったね、今のは」
「…無意識で人の顔を見つめるな」
「どうしてだい?」
「まあ、なんだ……その……照れる、というか」
「ほう」
「なんだそんなに目を細めて」
「僕に見つめられて照れているのかい?」
「……すみませーん。 お冷お願いしまーす」
「あっ、逃げたな」
「ただ喉が渇いただけだ」
「じゃあ僕の質問に答えるんだ」
「はいはい分かったよ。 …ああ照れたさ。 なんて言ったって佐々木は可愛いからな」
「なっ……!! 君は……そういうことを口に出す奴だったのか」
「っていうのはエイプリルフールの冗談だがな。 っておい佐々木、水! 水がこぼれてるぞ!」
「君ってやつは……君ってやつは……」
「ああ、悪かったよ。 ほら、拭くから腕を上げなさい」

「そういえばキョン」
「ん?」
「君とエイプリルフールを過ごすのは初めてじゃないかい?」
「そう…なるのか?」
「中学の頃は3年生で初めて知り合ったから、始業式が始まる前と、卒業式の後だろう?」
「ああ、確かに」
「それで、僕達が感動の再会を果たしたのは新学期が始まってからだから、今回が初めてだよ」
「そう考えると結構意外だよな。 高校1年の間も会ってないわけだし、実質2年しか一緒にいたことがないのか」
「高校1年は退屈な日々だった……いや、君といた間が楽しすぎたのかもしれないね」
「そう言ってくれるのは有り難いが、高1の時に何か嫌な事があったのか?」
「くっくっ……。 痛いところを突いてくるじゃないか」
「あ、いや、話したくなかったら話さなくてもいいんだが、佐々木の口ぶりが気になってな」
「全く…君ってやつは。 その鋭さをもっと他の事に活用してほしいね」
「他の事、って何だ?」
「………」
「…なんだよ…呆けた顔をして」
「いや、まあ気にする必要はないんだが。 それが君の長所かもしれないからね」
「よく分からんが、気にしないでおくよ」

「話は戻るけど、君は今の生活を楽しんでるかい?」
「まあ、お前もよくご存じのおてんば娘がいるから退屈はしてないが」
「だろうね。 僕も君が楽しそうにしてたり必死になってたりするのを見るのが好きなんだ」
「それはそれは。 変わった趣味をしておられる」
「僕は、本気だよ。 君が嬉しそうだったら僕も嬉しいし、君が悲しめば僕も悲しい」
「佐々木……」
「滅多に見ないけど、怒っている君を見たらなぜか僕も腹が立つ」
「そうか」
「要はキョン。 僕は君に恋してるんじゃないかと思うんだ。 自分でも不思議だけど」
「そうか……って、え?」
「うん、僕は君のことが好きなんだよ。 きっと」
「そんなさらっと言われても。 結構重大な事じゃないか?」
「だからさ、この高校3年の受験シーズンもお互い励ましあったりしたいし、できれば一緒に勉強もしたい」
「そうか、もう3年か」
「息抜きに、デ、デート……も行きたい…し、良ければ…君と一緒にSOS団の不思議探索にも協力……したい」
「そうかそうか。 佐々木は嘘が上手いな。 顔が赤くなるタイミングも上手いし、演劇部に入れるんじゃないか?」
「そ、そうかい?」
「ああ。 ……おお、涙目もできるのか。 すごいな佐々木」
「…そうだろう。 一生懸命……練習……したんだ。 今日の……ために」
「今日のためにか。 ありがとうな。 俺ももらい泣きしそうになったよ」
「はあ。 君ってやつは全く……どうしようもないな」
「ん? 今なんか言っ」
「佐々木さ~ん! ……とキョンさん」
「橘、ってなんで俺に向かって露骨に嫌な顔するんだよ」
「そういえば佐々木さん! 佐々木さんは今日何か嘘をつきましたか?」
「生憎、私はエイプリルフールだからって嘘をつくような性格じゃないの」
「え」
「へえ~そうなんですか。 さすが佐々木さんです! …キョンさんどうしたんですか?」
「…いや。 佐々木……?」
「さて、僕の反撃の時間かな? 橘さん、協力してくれる?」
「もちろん!」
「え? ……俺? ちょっ、佐々木さん……?」
「さあ」
「ちょ、待っ」
「反撃開始だよ」


ずっと佐々木さんのターン!


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最終更新:2013年04月29日 15:17
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