15-131「佐々木と藤原のファーストコンタクト」

佐々木と藤原のファーストコンタクトは立ったらどういう感じだったんだろうか?

呆然と藤原さんが私のことを見ている。
どうしたのだろうか?
「藤原さん?僕の顔に何かついているかな?」
「いやなんでもない……」
藤原さんは考え込むように軽く下を向いている。
なにかつぶやいているようだがよく聞き取れない……
「……で――あった――既定事こ――か?いや――」
「藤原さん?」
私が何かしてしまったのだろうかと少し心配になってしまう。
彼が私を見たときの顔はどこか幽霊を見た人間に通じるものが有った気がする。
「駄目だね橘さん彼は思考に没頭してしまって私の話を聞こうともしていないみたいね。」
私は仕方なく橘と名乗る同年代の少女に助けを求める事にした――





「これが、規定事項か」
さまざまな考えが脳裏に浮かぶ。
最悪だ、反吐が出る。
冷笑的になったと自覚していた心が、実はそれなりの温もりを保持していたのが
自覚できるほど、加速度的に心が冷え込んでいく。
僕を指導した上司の複雑な表情の意味が、ようやく理解できた。
哀れみや悲しみを含んだそれは、僕がここに来た経緯を知るゆえによるもの
だと思っていたが、なるほどさらにその先があり、それを彼は知っていたのだ。
「こっけいだ、ピエロじゃないか」
同時に、規定事項の恐ろしさがこみ上げてくる。
心を殺そう。
歴史の規定事項を進めるためには、それしかない。
選択肢などないんだ。
僕が治療を受けられることになったとき、なぜ自分は受けられないのかと非難
することはなく、純粋にそれを喜んで送り出してくれた彼女に会える未来は、そ
れしか無いのだから・・・

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最終更新:2007年07月23日 07:39
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