66-23 バレンタインデーをすっぽかされた佐々木さん

「やぁ、キョン」
「なんでお前はいつも背後から現れるんだ」
くっくっく。いつもの笑顔の佐々木が居た。

「さてなんでだろうね? どうも僕は中学時代からキミの背中に縁があるようだ」
「とか言いながら実は狙ってるんじゃないだろうな?」
「何のことやら。それにしても今日はどうしたのかね?」
3月14日水曜日。俺はいつものSOS団待ち合わせ場所こと駅前公園に居た。
もちろん平日に用のある場所じゃない。
という訳でもないが。

「なんとなく、な」
「なんとなく、ね」
何故か一歩はなれて微笑みあう。
それからまた一歩離れると、鏡合わせのようにそれぞれカバンに手を伸ばす。
「そら」
「ほら」
互いに右手で差し出して、互いに左手で受け取った。 

「なんでお前はホワイトデーにチョコ渡すんだよ」
「キミこそ何で貰ってもいないチョコのお返しを用意しているんだい?」
笑いが重なった。
なんでだろうな。お前がくれそうな気がしたんだよ。
「なら何でバレンタインデーに来てくれなかったんだい?」
楽しげだけど毒が混ざった声。

「決まってるだろ。あの日の俺はお前の学校で待ってたからだよ」
はじけるように佐々木が笑った。

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最終更新:2013年03月03日 01:53
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