死屍累々。この惨状を招いた人物は、未だにスピリタスをあおっている。
ハルヒはソファーに頭を突っ込み、朝比奈さんはうつ伏せに潰れ……橘は壁に向かい笑っている。
「げ…………現地人……………ぐぶっ!」
真っ青な藤原がトイレに駆け込む。古泉は、既にバケツとお友達だ。
「ユニーク。」
長門と九曜は、スピリタス片手に皆を見ている。俺は藤原を介抱してやった。
この騒動が起きたのは、1時間前…………。ハルヒのバカが、また酒を持ち出した事がきっかけだった。
北高文化祭の翌日。佐々木達も映画に協力してくれただけに、佐々木達を誘い、長門の家に集まったのだが………
「世界で一番強い酒って、何かしら?」
というハルヒの一言があったのだ。あとは言わずともわかるな?長門がスピリタスを調合しやがった。
で、このアルコール度数96%という、あまりに酷い物体を長門は、500mlのペットボトルに入れて持ってきた。
率先して口をつけたのが、佐々木。負けん気の強いハルヒが飲み…………
そしてご覧の有り様である。
「アルコールに酔うということは、脳の表層の麻痺らしいね。どうやら、僕には耐性があるらしい。」
「もう飲むな。」
酒豪というよりは蟒蛇だ。
「…………へべれけに酔っ払うのを想像していただけに、この結果には寂寥すら覚えるね。キョン、君は飲まなかったのかい?」
「ああ。長門が嫌な笑いをしていたからな。」
長門が首を傾げる。いや、お前の表情に関してなら、お前以上に俺が知っている。
「くつくつ。アルコールというものは、僕にはあまり効かないみたいだね。安心したかい?キョン。」
「それ以前にお前が、誰かと酒飲みにいくとも考えづらいがな。」
「くつくつ。」
何故嬉しそうに笑う。
「20になったら、飲みにいくかい?」
「考えとく。長門、周防、こいつらのアルコールを除去してくれ。」
こうして、騒動は終わった。
…………佐々木がアルコールのせいで歩けないと言い、自転車の荷台に乗せて帰ったせいで、閉鎖空間が発生して、古泉から小言を言われたのは、また別の話だ。
「くつくつ。」
END
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最終更新:2013年02月03日 18:04