中学生の佐々木さんの部屋にキョンがやってきた の巻
塾の無い日、一緒に勉強するためにキョンを部屋へ呼んだ。
異性を部屋に入れるなんて初めてだよ。ガラにも無く緊張してしまうね……
「じゃあ、僕はお茶を入れてくるから、適当にくつろいでてよ」
そう言って部屋を後にする。
そして、紅茶を淹れて部屋に戻ると、そこには驚きの光景が広がっていた。
「お、早かったな。お茶そこに置いてくれ」
「……いや……あの」
キョンは思った以上にくつろいでいた。
いや、そりゃ確かに『くつろいでて』とは言ったけれども、
まさか初めて訪れた人の部屋で、勝手に人のベッドに寝転んで、勝手に人の漫画を読まれているとは思わなかった。
「あ……これ妹の部屋で読んだことあるわ」
そう言って、キョンは手にしていた『快感フレーズ』を傍らに置いた。
せめて元の場所に戻してくれないかな……僕は本棚はきちんとしてないと気が済まない質なんだ。
しまった……本棚がいつものままだった……
「佐々木は案外少女漫画を読むんだな……」
早速指摘された。これは良くない展開だよ。わた……僕のクールなイメージが……
「ん?……なんだこれ?」
不意に、キョンが(僕の)布団の中に手を突っ込んだ。
そしてまたとんでもないものが出てきた……
「靴下と……ブルマー……か?」
しまったああああ!!何故そんなところに……
そう言えば、昨日は体育があって、面倒だからそのままブルマ穿いたままで……帰ってきてそこで脱ぎ散らかしたかもしれない。
ちなみに、普段は部屋ではシャツとパンツだけで過ごしているのは秘密だよ。
「お前なあ……まあ俺も人のこと言えないけどな」
ぽいっ!
あ……投げ捨てた……酷いな……そんな汚いものみたいに……
「さてと……寝るか……」
いやいやいやいや、君は勉強しに来たんだろう?
はっ!いけない!!その枕の下には秘密の写真が……
「だっ……ダメぇええ!!」
私は無我夢中でキョンにしがみ付いた。
あの写真だけは見られるわけにいかない!
「おいおい、何だよ急に……さてはお前……」
え?そんな……気付かれた?
「ここにエッチな本隠してるんだろう!!」
そう言ってキョンは僕の制止もきかずに全力でベッドを捜査しようとした。
「ちっ!!違うよ!!違うけどダメ!!」
私はもう必死でキョンの身体を押さえつけた。覆い被さるようにして、全体重を掛けてキョンに抵抗した。
「何ですか?騒々しい」
お母さんが部屋に入ってきた。
ちょうど、私がマウントポジションを取りながら、キョンの両腕を押さえつけたところだった。
「ふぅー……ふぅー……」
我ながら息が荒い。変なところを見られてしまった。
「……あのねえ……いくら好きでも、無理矢理は良くないと思うわ」
お母さんは何か勘違いをしている。
しかし、弁解をする間も与えてくれずに、顔を赤らめたままそそくさと部屋を去っていった。お父さんに変な事言わないでね。
お母さんの介入によって興醒めしたのか、キョンはそれ以上ベッドを探らなかった。
よく考えたら、何故このキョンは女性のベッドを探ることに罪悪感を覚えないのだろうか?
ひょっとして、私自身が女として認められていないのだろうか?
次の日。
「いやあ、昨日は佐々木に押し倒されて大変だった」
キョンが教室で国木田に話していた。
だめだこいつ……はやく何とかしないと……
おしまい
最終更新:2007年08月28日 23:22