俺は
>>169
佐々木のクラスメイトで、彼女に思いを寄せる男の一人だ。
あの他の人にはない雰囲気。つい見惚れてしまう容姿。そして僕っ娘。これで惚れるなという方がムリだ。
そして今日は――
俺の誕生日。
別にだからと言って何を求めているわけではない。ただ一言佐々木に
「誕生日おめでとう」
と声を掛けてもらいたいだけなんだ。
もしそんなこと言われたら俺どうなるんだろ。
そんなことを妄想していたが考えたら佐々木が俺に話し掛けてくるわけもないのでムダなことに気付いた。
夢見るくらいいいじゃねえか。
我に返った俺が視線を佐々木へと移すと――あの忌々しい男『キョン』と一緒にいた。
佐々木はどうやらキョンにだけは心を許しているらしく俺たちには見せたことのないような笑顔で話している。
まったくもって羨ま・・・いやいや忌々しい。
俺は愛すべき佐々木と憎っくきキョンの元へと向かっていった。
え、なぜかって?嫉妬だよ嫉妬。
「よぉ、キョン・・・と佐々木」
なぜか最後は声が小さくなる。意識してんのは俺だけなのはわかってんだが・・・
「お、
>>169か。どうかしたのか?」
理由が無きゃ話し掛けたらいけねえのか、この野郎。
ハッ!いかん。ついつい考えが後向きになってしまった。
こいつはそんな奴じゃない。今のも社交辞令みたいなもんだ。俺は気を取り直して返答した。
「いや、なんか二人で楽しそうに話してたからよ」
佐々木が少し睨んでいたのは気のせいか?
じゃあ邪魔しないでくれとでも言いたげに。
いや、違うんです。佐々木さん。決してあなたの邪魔するつもりは――
あああぁぁでも邪魔しないとキョンと楽しく話しているアナタを見ないといけないわけで
やっぱり邪魔する気が無いと言えば嘘に――
などと頭の中で色々俺が言い訳していると
「確かに。
>>169は少し様子がおかしいね。大丈夫かい?」
俺の女神が話し掛けてきた。
(ちょw 佐々木さんが俺の心配してくれた━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!)
俺は生まれて初めての出来事に酔い痴れた。
しかもあろうことか俺の名前まで呼んで下さっている。
佐々木さん、俺は今なら裸足でヒマラヤ山脈にでも南極大陸にでも行けそうです。
「いや、大丈夫。気にしないで」
極めて平静を装って俺は言った。ちなみに頭の上では小さな天使がラッパを吹いて回っている。
おいおい、なに言ってんだ。天使は俺の目の前にいるじゃないか。
誰が上手いこと言えと(ry
さっきから脳内が忙しい。俺は今相当テンパってるな。でも幸せだからいいんで――
「そうか?ならいいけどな」
しかしその俺の幸せ気分をぶち壊す輩が現れた。
またお前か、キョン。お前には言ってないんだ。
あああぁぁ俺の頭上の天使達が悪魔に唆されている。
行っちゃダメだああああああああああああいあいあいあぉ!!!
行っちゃった。
この悪魔めがあ!消えちまえ!!!
俺の魔王の如き願いが通じたか、キョンがうれしいことを言った。
「あ、やべ。もうこんな時間か。早いとこプリント取りに行かないとな」
そうだ!今日はキョンが日直だった!
「そうだね、僕たちも急ごう」
そうだ・・・今日は佐々木も日直だった・・・
「お、おぅ。じゃあな」
今思えば日直を手伝えば良かったのかも知れないが仕方ない。その時は頭が働いてなかったんだ。
そして俺が茫然と天使と悪魔を見送ろうとした時に――突然それは訪れた。
「あ、そういえば今日
>>169って誕生日だっけ?なんか朝聞いた気がするんだが」
「へぇ。そうなのかい?」
俺は思っきし頭を上下させた。
「それは大変喜ばしいことだね。生命の誕生というものは尊ぶべきものだよ。誕生日おめでとう」
「おめでとうな」
俺は一言
ありがとう、と言って
二人の天使を見送った。
最終更新:2007年11月24日 13:40