11-52「1乙」

「もう11スレか。よく11という数字を見るとサッカーができるなんて言うけれど僕の場合は、
ひとつ多い。そんな風に感じてしまうことがあるよ。キミは、どう思う? おっと、失敬。挨
拶が遅れたね。こんばんは。>>1乙。くくっ、僕もスラングの使い方がなかなか堂に入っ
てきたな。ここの水にもずいぶんと慣れたということなのだろうね。さて、6月に入って、
一週間、世の中では、徐々に夏服も見られるようになってきたね。某夏の祭典の当落も
発表されて、創作に忙しいという人もいるのではないかな? 僕とキョンや涼宮さんを始
めとしたSOS団や橘さんたちとの関係性については材料が出そろった感もあるしね。
熟成されてきたという言い方もあるだろうね。果たして、僕はキョンに対して、思春期の女性
が持つことが自然とされるような淡い恋情を抱いていたのか、キョンは本当に僕を異性とし
て意識したことがなかったのか、転じて涼宮さんは僕をどう思いたいと考えているのか? 
異世界人は本当に登場するのか? 僕がキョンに連絡を取らないαルートの存在意義は?
おっと、前提として、言っておくが、我らが創造者、谷川流が僕と涼宮ハルヒとキョンの三角
関係を主軸とした不思議要素の少ないラブコメ的長編として分裂を設定した場合、αルート
に存在理由はほぼないのだということを押さえておいて欲しい。つまり、αルートが存在して
いる以上、この物語は僕とキョンの単なる恋愛事情程度のお話では済まないはずなのさ。
それに気になることはいくつもある。このお話が確認とリスタートと再配置のためにあるのは
間違いないからね。一年という時間が、主要キャラクターにどんな変化を与えたのかというこ
との確認、SOS団の周囲はどんな風に変わったのかの確認、存在するのならば“敵”の確認
などが、考えられるね。……まぁSOS団の内部事情は正直に言ってしまうと、僕にはどうでも
いい。僕にとって、重要なのは、キョンと僕の関係はどうなってしまうのか、だけだ。ぶっちゃけ
てしまえば、それ以外はどうだっていいのだ。僕が神だろうと、単なる思春期にはありがちな、
変人になることとアイデンティティの確立をはき違えている少女だろうと、そんなことはどうでも
いいんだよ、そうだろうキミ? すまない、少し興奮してしまったようだ。物語の主題がどこにあ
るにせよ、鍵は我らが親愛なる友人の選択次第と言うことは変わらないのだろう。キョンが僕
にとって悪い選択をすることはない、そんな風にキョンを信頼するしかないのだ。
 ……ふう、自分のね、存在それ自体が誰かの手に握られている。そう想像するだけで、少々
憂鬱にもなろうというものだよ。まぁ先の見えない未来について長々と予測を繰り返しても行動
できなくなるだけだろう。結局、神ならぬ人には目先の出来事を見て判断して、行動するしかな
いのだから。さぁ、キミは僕とキョンをどうしたいと思っているんだい? キミの奏でる音に従って、
僕とキョンはこのスレでも踊るのだ。少しは教えてくれてもバチは当たらない、僕はそう思うの
だけれど、ね。キミの言葉を聞かせておくれよ」

佐々木はそう言って、耳を澄ますかのように、瞑目した。

今日の佐々木さんは、すこし不安げなようです。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年07月20日 19:49
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。