ジル＝ド＝レイ - シュヴァルツクベレ設定wiki

百年戦争における救国の英雄にして、数百という幼子を黒魔術の名の下にその手にかけた大罪人

【青髭】の二つ名を有する【血の三大君主】の一角にして、始祖ヴァンパイアの一翼
七人の魔法使いの一人であり、その名は、人々にとって災厄として知られる最悪の存在。

人間として生を受けるが、混沌系儀式魔法により生後ヴァンパイアへと新生転化した。

転化後から数えて、その年齢は千二百歳あまり、他の始祖ヴァンパイアより遥かに若輩であるが、暗黒系統魔法を極め二者と同格の力を有する。
新生以前、人間であった頃は、神の降り立つ以前の九国大陸にて勃発した大戦を自国の勝利に導いた九国の英雄であった。
しかし、戦後、最愛の人を失った苦しみから、永遠の命を得ることに傾倒していき精神を崩壊させたと言われている。

今から千二百年前、自らの居城マシュクール城にて、有り余る財産を湯水の如く使い、幼子ばかりをさらっては実験と儀式の生贄として殺し、骸の数は千に達するほどで、その異様はさながら腐肉と屍骸の山であった。
数十年におよぶ研究と実験の結果として、混沌系儀式魔法によってヴァンパイアに転化が可能であることを探り当てた。
生まれながらの資質を必要とする神聖、元々人には使用不可能である神霊の二系統を除いて、儀式系統の魔術は古代語魔術に継ぎ実践が困難とされる最上位魔術である。
儀式魔術（当然、上位のものは儀式魔法と呼ばれるが）には、時間、天体位置、月の満ち欠け、魔方陣、使用言語、術者の人数など、行使する術によっては更に多くの条件や規制が存在する。
その中でも、混沌系はもっとも忌むべきものであり、同様に実現不可能な大儀式魔法である。
難易度としては、エンペドクレスが使用する転生を司る大儀式魔法と同格のものであるが、転生の儀式が純粋な知識、技術、それに合わせて精霊との交霊感度やピリア（愛）が必要であるのに対し、混沌系儀式は、最上級の知識、技術と合わせて、単純に、そして大量の生贄が必要となる。それは、小さなものでは血であったり、肉であったり、臓器の一部であるが、儀式の規模に比例して、徐々に生贄の規模も肥大化する傾向にある。
或いは動物の屍骸、或いは人間（自らと同じ者（同属））の肉体であったり、その数事態が異常であったりする場合もある。
ジルが行った大儀式魔法もこれにあたるもので、千に近い幼子の死体によって儀式の完成をみるものであった。
ジルは、この大儀式を成功させ、九国でもっとも恐れられるヴァンパイアとなった。
その容姿は、若返ることはなく、転化当初の七十代の老人の姿だが、転化後まもなく、蓄えられていた長く伸びた髭は黒から白、最後には青みががった蒼白となり、幼子を殺める恐怖の象徴として【青髭】の名で恐れられた。

その後、二大血族（ヒラサカは自らの血身を多く作らず小数でのみ行動していたため【血の三大君主】と呼ばれながら、当時猛威を振るった大血族は他の二者の血族のみであり、よって二大血族と呼ばれた）の一角である【蒼の血統】の王となり、もっとも多く人間をその手にかけ、人々に大いなる恐怖を撒き散らし、それにより、後に新神暦以後も活躍することとなるヴァンパイアハンターなる職種を生むきっかけをも作り出した。
その後の聖戦（実際に戦争が起こった訳ではなく、一部の聖痕者や聖人が率いる人間たちと、人間界に根を張っていたヴァンパイアを含めた鬼たちとの闘争の時代である新神暦以前の旧暦末期二百年をさして聖戦、或いは聖戦期という）において、二大血族のもう一方である【紅の血統】と人間たちが敵を同じくしたことで、実際に共闘という形こそないものの、お互いがお互いの戦略を補うように働き、【蒼の血統】は大血族と人間という両陣営を一手に相手取ることとなり、それによって【蒼の血統】は多大な被害を被り、彼の子供たちのほとんどは聖戦期に大地に還った。
だが、大血族【紅の血統】と人間の総攻撃を二百年にわたり回避しつづけ、最終的にもその首を掴ませることなく、ジル＝ド＝レイは今尚も生きつづけている。

血族離散後、現在はその身を潜めているが、今をもって【青髭】ジル＝ド＝レイの名は人々に恐怖の象徴として恐れられている。