シュヴァルツクベレ設定wiki

エンペドクレス

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紀元前五世紀に実在した人物で、精霊魔術に関わりの深い四元素説を唱えた。(作中設定においては、他の神話、伝承、書籍などの情報を統合してニ大根源素(光、闇)と二種複合素(氷、雷)を取り入れているが、これらの結合と発生に関する法則は、エンペドクレスが提唱したものをそのまま持ち込ませてもらっている)
古代ギリシャの都市アクラガスを強風が襲った際、知恵によってその風を鎮め、風を鎮める人【凪人】と呼ばれた。
横暴な振る舞いを見せる執政官を有罪にし、疫病に苦しむ街の住人たちのために私財をなげうって救ったというような逸話が多く残る。
心優しく、正義を重んじる人物だったようだが、同じくらい目立ちたがりでもあったらしい。

【凪人】の二つ名を持つ伝説の精霊魔法使い、トグマの養父にして師である。
七人の魔法使いの一人で、転生を司る大儀式魔法を単独で成功させるほど、七人の魔法使いに名を連ねる人間の中でも別格の力を有する。

これまで、幾多の姿に転生しており、ある時は少年であり、また少女であり、藪であり、鳥であり、魚であったらしい。
現在の姿に転生して以後、既に二千年を経過しているが、転生を繰り返し過ぎているため、実際にこの世に生まれて何年が経過しているかは、本人以外の誰も知らない。

かなりの長身で背筋も伸びているが、重ねてきた年月故なのか、顔には無数の皺が刻まれ、髪は白髪、長い白髭をはやしている。
その格好は、金冠をかぶり、紫の衣に金のベルトをつけている。
本人曰く、これほどの長き時間を一つの肉体ですごすことは初めてのことであるらしい。

四百余年前、人間界に神が降り立ったことで、人々の間に広く魔術が知れ渡り、同時期に【英知と探求】の空中都市エリエスファルナを私財を使って建設、巨大な魔術学院を造り、都市そのものを一個の学園都市とし、人々に魔術の真髄を伝えようと考えた人物。
魔術学院初代学院長でもある。
因みに、エリエスファルナは空に浮かぶ大地に創られた都市だが、大地の一部が天空に浮かんだのは、古き神々が世界に還ったすぐ後であり、世界には古き神々の力が溶け込み、その名残を見ることが出来る土地が数多ある。

鉄の森の中に存在する魔法使いの集落【木末隠る語り部(こぬれがくるかたりべ)】フロプトメハシェファの出身で、何代目かは不明だが、そこで集落の長を務めていた。
森の中の集落であるため、規模は大きくないが、住人は皆が(一部人狼族が含まれる)魔術師、或いは強大な力を持った魔法使いであり、魔法技術の水準は他の大都市を凌駕するほどに高い。
【フロプトメハシェファ】の長の地位は、本来はエンペドクレスの古い友人であり、同じく集落の出身者でもあるアブドゥル=アルハザードが継ぐはずのものだったが、人格破綻者のネクロマンサーとして住人たちの総意により、その資格を剥奪された。
その後、魔力の高さ、人格の素晴らしさから、エンペドクレスを長にという声が高まり、この地位を半ば強制的に継承された。
エンペドクレス本人は、アブドゥルのことを気にかけているようだったが、当のアブドゥルは、長の座に興味もなく、別に剥奪されたからどうだということはない、と言わんばかりにどこ吹く風でもあったため、エンペドクレスも渋々ながらに長の座を受け入れた。
アブドゥルに至っては『そんな面倒なものになろうなんて気が知れん』と語ったりと、伝統や格式を笑うことも多かった。そういったことも、住民たちから人格破綻者と蔑まれた要因の一つではある。

その後、しばらく穏やかな時の中で長の仕事を続けていたが、今から三百年ほど前、小さな事件が起こった。
村の妊婦が子供を出産したのだ。
だが、妊婦は出産と共に息をひきとり帰らぬ人となった。親戚筋はおらず、父親であり、死者の夫であった者も数ヶ月前の魔獣討伐の折に命を落としていた。
生れ落ちて孤独となった赤子の所在をエンペドクレスは考えたが、母親は心配などしていなかったようだ。
エンペドクレスを信じていた。いや、住人の誰しもが彼の人格を疑ったことなどなかったのだ。母親は、眠るように安らかに逝った。
だが、事件はそれだけに終わらなかった。
先代の【太陰の犬】(この頃、トーカは生まれていなかった)が鉄の森の入り口付近で産まれたばかりの捨て子を拾ってきたのだ。
処遇には頭を捻ったようだが、それでも一度長の意向を受けるために戻ったのだろう。
住民の意見は分かれたが、表情は一様にして苦いもので、その意見はそれほど長くない話し合いのもと、一致をみた。
それは、母親を失った村の赤子は保護し、外からやってきた赤子は外の町に預ける。というものであった。
この集落は隠れ里であったし、何より魔術師の血統以外は受け入れないという掟もあった。
それを当然と見る者もいれば、外で捨てられた赤子を哀れむ者もいたが、結論を覆す者はいなかった。
それはエンペドクレスにしても同じことだ。
もっとも、彼は集落の出身者で、今でこそ長の座に収まっているが、かつては世界各国を旅して歩いた放浪者だ。決してこの集落の掟に染まっている訳ではない。
出来ることなら救いたいが、それでも、エンペドクレスにはこの集落の鉄の掟とも呼べる戒律についても重々理解しているつもりだった。
自分が、自ら戒律を破るようなことをすれば、住民に対して示しもつかず、また、行為の良し悪しは置くとしても、よからぬ前例を作ってしまうことに変わりは無い。
長である自分が戒律を破ると言うことは、次に誰かが、これ以上の戒律破りをした際に言及し、諭すための言葉を失ってしまう。
指導者としてあってはならないことであった。
エンペドクレスは大いに悩んだが、結局、外からやってきた赤子を諦めることに決めた。
そのとき、会議所に乗り込む形でアブドゥルが現れる。
エンペドクレスを含め、驚く住人をよそに、アブドゥルは『二匹も飼うのはキツイだろ? 一匹貰ってやるぜ』と告げて、外からやってきた赤子だけを連れて会議所を出て行ったとか。
エンペドクレスは後に、アブドゥルの立場がより一層に危うくなることを示唆したが、アブドゥルは、お前の立場が危うくなるよりはいい。とだけ告げて自宅へ帰っていったという。
この当時、世界に神が降り立ち、神に抵抗する形でかつて存在した人間の国が滅び去った戦後まもない時代であり、未だ地域紛争の絶えない頃でも在ったため、孤児院などは戦災孤児で溢れ返り、孤児でなくとも明日の命さえ危ぶまれる状況であった。
こんな状況下にあって、街の孤児院へ預けたところで、来年まで乳飲み子が生きていられる保障はどこにも無い。アブドゥルはそのことを集落の誰よりも理解していたのだ。
自分などとは違い、掟などよりも命を想う。そんなアブドゥルをエンペドクレスは今まで以上に友として尊敬した。

その後、この二人の赤子は、エンペドクレスの子にはトグマアブドゥルの子にはカゴモリという名が付けられ、それぞれに魔術の修行に励んだという。
エンペドクレスは人としても父としても厳格であり、優しく、愛に満ちた老人だったが、こと魔術の修行においては厳しくトグマに仕込んでいたらしい。

エンペドクレスが転生し、肉体を新たにしないのも、娘の存在があるからだと言われている。

それから百年後、エンペドクレスは長の座をトグマに譲り、本人はアブドゥルと共に放浪の旅に出てしまっている。
トグマもこの後、十年ほどで長の座を後継に託しシュヴァルツクベレ城へと移り住んでしまった。

風の噂によれば、現在は探求者たちの宿木たる【果たされざる旧約】バベルの塔にて日々をすごしているとか。
バベルの塔は、探し求める者にその姿を現すとされ、それがどこに存在するかは知られていない。

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