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人間

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[来歴]


この世界に存在する神族に創造された種族で、世界との合一を果たした古き神の落とし子
本来、この世に存在する生命は、人も亜人も魔も神も、すべて世界を作り出した原初の混沌〝大いなる意思〟よって創造されたとされる。
だが、人間のみはその範疇から漏れた存在とされてきた。

人間世界と呼ばれるだけあり、この世にもっとも多く住んでいる種族、新神暦以前の旧暦世界で栄華を極めた。
絶頂期には、古くからこの世界に根を張っていた亜人種や鬼族などを武力をもって制圧するなど、かなりの力を持っていた。
しかし、今から四百余年前、古き神々が世界への合一を果たした後、彼らの子孫たる新しき神々が、人間界に降り立ち、世界を統治せんと動きだす。
人間は、この戦争に挑む形で神と剣を交えることとなる。
彼らは、これまでに人外の者たちとの戦争で得た戦功から、神といえども勝てない相手ではないと考えていた。
しかし、人間側の予想とは裏腹に、九国全土の軍隊は、急激にその数を減らしてゆき、結果として二ヶ月の後に制圧される。

その後、世界は神々が統治する新神暦へと移り変わり、それまでの来歴は人々の栄華とともに塵芥と消えた。
人々が栄華の終末を迎えた六十日の戦争を後に〝明の終焉〟といった。

ただし、この戦争は、現在各国を統治する神々の王侯が参戦したものではなく、天魔両界の崩壊と共に行き場を失った神や魔神が、ただ力の奔流として、人間たちに牙を剥き、搾取したものであり、人間側からは、最後の戦争として語られているが、神々の側からは、これは戦争とは捉えられていない。

その後、後世への憂いも、思慮もなく、個々による土地の支配をつづける神々のあいだにも、派閥対派閥などの小規模な争いがあり、混沌とした人間界を統治できる実力を持ち、他の思慮に浅い神々を押さえ込み、世界との共存を図れる明君、あるいは暴君が、各国を治めるに至り、現在の王侯が統治する世界の図式が出来上がった。
ここまでに、百年弱を要しているが、永遠の命をもつ神々の歴史からすれば、素早く纏まった方だろう。

一方、神々が内輪を固めている間に、人間たちの社会には、神々が使用していた〝神金貨〟なる通貨が人間世界に流入するなどして、本来人が使っていたドラクマ通貨との貨幣価値を大きく変貌させることとなり、向こう百年あまり、人間世界の情勢は安定せず、病や飢餓に対する手段も無く、この世を去る者たちが後を絶たなかった。
この当時は、孤児院などの施設も常に満員であったが、それとは逆に神への信仰は失われ、教会は寂れていった。
余談だが、トグマカゴモリが生まれたのが丁度この頃である。

その後、これまでの農耕のみに頼った生活ではなく、人間はギルド(職業別組合)に所属し、自らの才能で賃金を得るという資本主義思想のもとに、人間たちの新たな生活は始まった。
いち早く、この思想を人間たちに広めたのは、後世を憂う大冥国の少女王ヘルであった。


[言語]


ミドガルド人の公用語として、旧暦からも広く使われているのは、北ゲルマン語群の一つ、フリジア語である。
店、組織、城などにも度々フリジア語が使われるなど、街のいたるところで見ることができる。
ミドガルドで作られる魔力結晶の解放口伝もフリジア語である場合が多い。

他にも、九国全土で広く知られる人間の使用言語として、イングラス語が使われるなどしているが、職業別組合の発足に伴い、ギルド内制度の一つである徒弟制度の優位性などから、幼少期からギルドに属し仕事を得る者が激増し、同時に、勉学を学べるような場が姿を消していったことで、他の主要言語を話せる者は少なくなっていった。
特に職種で必要な技術は、徒弟制度の下、教育役として先達が指導してくれるため、勉学の場が廃れていったのは必然ともいえた。

それ以外の他国公用語は、アスガルズでは北ゲルマン語群ブークモール語、ヴァナヘイムも同じく北ゲルマン語群ニーノシュク語、アルフヘイムでは印欧祖語ケントゥム語派の一つであるラテン語、スヴァルトアルフヘイムも同じく印欧祖語だが、こちらはサテム語派の一つであるアヴェスタ語が用いられている。
多くの民族が暮らすニダヴェリールにおいては、多数存在するが主要言語は東ゲルマン語群ゴート語を用いる傾向が強い。
ヨトゥンヘイムでは北ゲルマン語群フェロー語が主な公用語として用いられる。
少女王ヘルが統治する大国ヘルヘイム(ニブルヘイムも含む)では、イタリック語派のロマンス語が用いられている。

一方で、ムスペルヘイムでは、熱帯気候が常であり、特に四百余年前の世界と神々の合一以来、気温は下がることがなく、既に神族以外に住むものはいないといわれており、一部、特殊装備に身を固めた商人などが行商に赴く以外では、人間は存在しておらず、人間が使用する言語は話されていないらしい。
更に、行商に赴く場合も、相手が神しか存在しないムスペルヘイムにおいては、独自のコネクションを持っていたり、あるいは人ではなくエルフ族であったりという特別な条件がなければ、商談を円滑に進めることが難しいため、ムスペルヘイムを商いの場とする者は少ない。


[職種]


人間の中には、ギルドに属する者以外に〝ガヴァナー〟(現在の知事にあたる役職)と呼ばれる、神の命により地域管理を任された者たちがいる。
彼らは、そのほとんどが〝明の終焉〟戦争にて誰よりも速く神々に降伏したかつての権力者たちの子孫であり、人間世界の娯楽を神々に提供することで、その地位を得た者たちである。
彼ら〝ガヴァナー〟は、旧暦以前から貯えられた財貨や土地などをそのまま子孫が継承しているなど、他の人間たちに比べ、遥かに裕福な生活を送っている。
更に〝明の終焉〟戦争の際に、神々に魂を売り渡すような行為に及んだことから、他の人間たちからは売国奴として蔑まれており、一般に生活する人間の意識の中では、生物としては同じ人間でも、種族として同じ人間であるとは思われていない。
同じく〝ガヴァナー〟たちも、貧しい生活の中で生きる人間たちを、自分たちと同じだとは思っておらず〝ガヴァナー〟たちは、往々にして選民意識が強く、神族支配に肯定的な最たる人種といえる。

その他にも、特殊な人種が存在する。
それが、一般に魔術師と呼ばれる存在であり、古くは〝明の終焉〟戦争で最後まで抵抗を見せた人間たちでもある。
現在は、魔術師たちの隠れ里である【木末隠る語り部】フロプトメハシェファで隠棲生活を送る者と【英知と探究】の空中都市エリエスファルナの魔術学院で学び、社会へ巣立って行く者の二通りが存在する。

前者は、旧暦から魔術を研究し〝明の終焉〟戦争で死力を尽くした者たちの直系にあたる子孫で、そのため神族支配には否定的であり、またそれに甘んずる世俗の人間たちを毛嫌いする傾向が強い。
更に、プライドが高く、自分たちこそが魔術師の始祖たる人物の血を色濃く受け継いでいると確信している。
ただし、この風潮からか、外から来た人物でも高い魔力と魔術の技量を有していれば、敬意をもち接することがある。
良くも悪くも、魔術の能力が人間の価値観として定着してしまっている一族である。
トグマ、カゴモリ、エンペドクレス、アブドゥルがこの集落の出身者だが、この価値観には染まっていなかった。

後者は【木末隠る語り部】フロプトメハシェファの先々代の長であった【凪人】エンペドクレスが【英知と探究】の空中都市エリエスファルナに開院した魔術学院で学ぶ者たちだ。
彼らは、平均四歳の頃に入学し、主に一般必須科目などを学びながら、専攻した魔術を極めるために勉学に励む。
その後、卒業資格を取得すると、学院に院生として残る者、研究者となる者など様々だが、学院の席を外れる者は、大抵それぞれの希望するギルドで職に就く者が大半を占める。
彼らは、武装を鍛冶と錬金術で特殊強化する錬金鍛冶師や医療と魔術、あるいは魔術薬などを使用して病気を治す呪術医、ルーン技術や魔力機関、魔力結晶の応用理論などを構築し、新たな商品を開発する魔術技師などになることが多い。

補足ではあるが、ギルドに属する場合、必ずしも魔術師である必要はない。
魔術を人間に教える学院は、世界広しといえども、【英知と探究の空中都市】エリエスファルナ以外には在りえないが、それ以外にも、蒸気機関や機械工学を伝授する学び舎がヘルヘイムに存在しており、人間のなかには、こちらで学ぶ者も多い。
だが、ギルドには、先達が行進を指導する徒弟制度が存在するため、魔術学院ほどには、通い学ぶ者が少ないようだ。
ギルド徒弟制度のもと、皆伝以上の称号を持つ者は、現代社会において人間の尊敬を集める偉大な職人たちであり、なかには、〝ガヴァナー〟を凌ぐ財を築いた者たちも存在する。

その他、変り種としては、魔力で運行を可能としている魔鉄道の駅員などに就職する者もいるなど、前者の隠棲生活を送る魔術師を古い世代とするならば、後者は、社会的により拓けた活躍をしている新しい世代の魔術師といえるだろう。

上記の記述からも解るとおり〝ガヴァナー〟とは、神々に降伏することで、命を長らえ、今に至る地位を手に入れた者たち、一方で魔術師は、神々に抗うことで、命を長らえ、今の生き方を手にした者たちといえる。


[寿命と不死性]


人間の寿命について語りたいと思う。
まず、主要都市部と田舎の村々では、技術水準に開きがあり過ぎるため、人間の平均寿命を算出することは正確な答えを導き出すうえで正しいやり方ではない。
平均ではなく、大まかにとりあげることが、もっとも正確だろう。
開きはあるが、人は現在、四十代後半から八十代前半まで生きるという結論がある。
この開きは、そのまま田舎の村落と都市部の寿命の違いと考えてもらって差し支えないものだ。

ただし、人間の中には、数百歳を越えても生きつづけている特別な者たちが少なからず存在する。
その理由は、魔術にある。
簡単に言ってしまえば、魔術師は他の人間よりも平均寿命が長いのだ。
その理由の最たるところは、学院の推奨教育でもあるエレメンタルマジックにある。
エレメント系統を使用する者たちは、単純に精霊が体内を通り抜けるための道が出来上がっている。
その道を通じて、体内に精霊を取り込むことで、土の精霊が精神に活力を呼び、水の精霊が細胞を調整し、火の精霊が不純物を浄化し、風の精霊が生命力を運ぶことで長命を可能にしているのだ。
これでも、百三十歳ほどで天寿をまっとうするといわれているが(現実に魔術学院現学院長ローゼンなどは百二十三歳で長命とされる)中には、稀代の魔術で更なる延命を実現する者たちもいる。
それが、魔法使いと呼ばれる魔術師の上に存在する者たちだ。
これにより、トグマなどは、水の精霊の加護を他の三精霊より強めることで、老いることすらない。
この方法は、完全にエレメンタルマジックの才能に左右される。

その他にも、錬金術を極め、エリクシルによって不死を得る方法も存在する。
これを実現したのが、パラケルススなどの一部の錬金魔法使いだが、この方法は、恐らく魔術学院で学んでいても一生叶わないだろうと思われるほどに困難な方法であり、誰もエリクシル製造などは考えないだろう。
ただし、エリクシルの効果は、精霊などより遥かに科学的である。
その効果は、DNAの塩基配列を束ねる〝DNAキャップ〟に影響を与えるもので、本来、人間はこの〝DNAキャップ〟を縮めることで細胞分裂を行い、新しい細胞に入れ替えている。
しかし、この〝DNAキャップ〟にも限りはあり、一定の短さに到ると、塩基配列を束ねる分だけを残し、以後縮むことがなくなるのだ。
これにより、人の身体は細胞分裂を行わなくなる。即ち、老化が始まるのだが、エリクシルは、この〝DNAキャップ〟を無限に増殖させるための薬なのだ。
これにより、人体の細胞分裂は尽きることがなく、薬剤の濃度によっては若返りも可能である。

ただし、両者の場合も気をつけなければならないのは治癒能力は常人のそれと大差が無いという点だ。
傷を負っても、精霊の加護によりある程度の自己回復は可能だが、それでも神聖系統などにあるような〝生命の治癒〟ほどの効果は到底望めない。
病気に対する耐性などは、精霊の加護や無限細胞を生むエリクシルの効果などにより確立されているが、外傷に対する耐性は常人に毛が生えた程度だと思って差し支えない。

もっとも、上記とは異なる方法で不死性を得ている魔法使いも存在する。
それが、カゴモリ、アブドゥルの死霊使い親子だ。
彼らは、一種の呪術的手法で延命しているのだと思われるが、ネクロマンシーについては魔術学院でも教えることがないため、詳細は不明だ。
ただ、一つ言えることは、カゴモリがネクロマンシーを習い始めたのは、彼女が四十歳を過ぎた頃だった。
その後、彼女は父であるアブドゥルから、七十年の歳月をかけてネクロマンシーを習得したが、彼女の場合、月日の経過で肉体が年老いることはなく、むしろ若返っていったらしい。
更に言えば、精霊魔法の雄たるエンペドクレスですら、徐々に年老いていっているにも関わらず(もっとも、彼は転生の法を確立しているため、延命にはそれほど熱心ではない)アブドゥルが未だに十代後半の容姿を保っていることも謎ではある。


[名前]


人間という種族を説明するうえで、補足的なものとして、名前について短く語らせてもらおう。
まず、名前には三種類が存在する。
自身の名を表すファーストネーム〝ギブン〟自身の本質を表すミドルネーム(正確には真実の名を意味する〝真名〟であり、本質的には名前とは言い難い)〝ベリティ〟そして、最後が、血統や身分を表すラストネーム(血統を表す場合はファミリーネームともいう)〝サー〟の三種類である。
人間は、このうち〝ギブン〟のみを使う種族で知られ、産まれたときに実親や名付け親などが、自身の名を付けてくれる。
大半の人間は、このときに与えられた名を生涯偽ることなく使ってゆく。

〝ベリティ〟については、〝真名〟を意味し、人間が持つことはないとされているが、稀に一部の優秀な魔術師などに冠されることが在る。
これは、彼ら魔術師が個々に使用する魔術の本質や偉業、あるいは所業になぞらえて、付けられるもので〝真名〟ではなく、一般に魔術師の名という意味で〝魔術名〟と呼ばれるが、〝ベリティ〟に近いものである。
例としては、クリスチャン=ローゼンが冠する〝クロイツ〟やアレイスターが冠する〝クロウリー〟、ヘルメスが冠する〝トリスメギストス〟などが〝魔術名〟にあたる。(正確にはヘルメスは魔術師ではなく魔法使いであるため〝魔術名〟とはいい難いかもしれないが)
その他にも、社会の裏に暗躍するといわれる夜の王【ニュクス】の上位を形成する幹部会のメンバーは、盟主ミッドナイトが与えた〝ベリティ〟を名乗っているといわれている。(〝ミッドナイト〟の名そのものが既に〝ベリティ〟ではないかという話もある)

〝サー〟について言えば、旧暦以前には使われていたものだったが、それも王侯に限った、土地や家柄がはっきりと知れる上流階級層に限られた。
現在に至っては、その上流階級層すら人間の中では、一部の地域管理者たる〝ガヴァナー〟に限られることから、ラストネームをもつ人間は、ある意味〝ベリティ〟を持つ者より少ないかもしれない。
〝ガヴァナー〟の息子であったアレイスーが持っていたアレクサンダーの名が、俗にいうファミリーネームだったが、現在は自身の改名によりその名も失われている。

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