【名前】 |
ヘルヘイムの果実 |
【読み方】 |
へるへいむのかじつ |
【登場作品】 |
仮面ライダー鎧武/ガイム |
【名前の由来】 |
ヘルヘイム |
【詳細】
ヘルヘイムの森に植生する摩訶不思議な極彩色の色形をした植物に成る果実、もしくは森を形作る謎の植物群。
皮は簡単に剥け、中身の薄桃色のゼリー状の果肉は森に生息する
インベスの唯一の食糧として食されている。
インベスは
ロックシードを取り込むことで突然変異を起こして強化されるが、その原型であるこの果実にも同じ効能があるようで強化体になる上級インベスや、背中から翅が生えて飛行能力を獲得する
初級インベスも存在する。
しかし、この効能は全てのインベスに適用されるわけでは無いようで、食べていた果実を途中で地面に叩きつけている個体も存在した。
実は作中における「全ての元凶にして脅威」とも言える存在。
その理由は、下記2つの厄介な性質を持っているからである。
1つは「繁殖力」。
異常な成長速度で生息域を拡大し、元々あった土壌を汚染、他の生態系を駆逐してしまう。
凌馬はこの現象を「ニホンタンポポを凌駕したセイヨウタンポポ」に喩え、「時空を超えた外来種」と表現している。
「ヘルヘイムの森」自体も、元々は人間(と同等の知的生命体)が生活するごく普通の文明を営んでいた異世界が、この植物の汚染で崩壊したなれの果てであることが20話で判明する。
そしてもう1つがその「繁殖方法」。
果実を見た生物に強力な食欲を促す作用を持ち、実際にそれを摂取した生物の遺伝子構造を変換してインベスへと変えてしまう。
インベス化した生物はもはや嘗ての理性や自我が消え、ただ本能のままに暴れ回る怪物と化す。
ただし、戦極ドライバーをつけている状態ではこの果実に対する抵抗力が発揮されるのか、その誘惑に捕らわれる心配はない模様。
インベスの肉体には果実の成分、あるいは因子が含まれているらしく、インベスに襲われた者たちに寄生して発芽、それを触媒に成長して生活圏を拡大する。
なお戦極ドライバー装着者はヘルヘイムの果実に含まれるエネルギーをインベスになること無く無害なものに変換し摂取ができる。
つまり食べるとインベスになるこの果実を属さずともエネルギーを摂取し生きられることになるのだが、これに関しては洸太が27話中で実際に体験している。
ただロックシード内のエネルギーも有限であるため、時間経過とともに取り替える必要がある模様。
上記に上げたとおり、単なる植物の繁殖に収まらない脅威を察知した人類が研究機関として創設した組織こそが、現在
沢芽市を拠点に持つ「
ユグドラシル・コーポレーション」である(そもそも沢芽市に本拠地を設置したのも、森に通ずる「
クラック」の発生率が最も高かったのが理由)。
現時点では市内のどこかで不規則に発生する「クラック」から現実世界に介入し、黒影トルーパーらを初めとするユグドラシルの処理班によって焼却処理されている。
しかし、上記のような圧倒的な「繁殖力」により絶滅させることができず、貴虎によれば専門家の解析で向こう10年で地球も「ヘルヘイムの森」と同じ状態になって滅亡するらしい。
厄介なのは、その活動域を拡大する動機が「種の繁栄」という自然界としては至極尤もな摂理に基づいたものであり、他の作品の「悪の組織」における「侵略そのものの意思が無い」ということである(他の生物(インベス)を利用する点においても、風や虫を利用して花粉や種子を運ばせる現実の植物の生態とさほど変わらない)。
そのため、貴虎は皮肉を込めて「理由のない悪意」と称している。
基本的にユグドラシルはこの脅威を隠蔽した上で救済計画を練っているが、最近クラックの発生頻度が上昇しているとのこと。
アーマードライダーが変身する際に発生する裂け目も作中では「限定クラック」と呼んでいるが…
物語が進むにつれ果実と森の正体、脅威が浮き彫りになっていく中、状況を打破しうる「世界滅亡」を回避する2つの可能性が存在することが判明する。
1つは「
オーバーロードインベス」。
本来、食べた者を理性を失った怪物にするはずの果実を摂取しても、自我を保ったまま進化してより超越的な力を持つようになった存在。
本人たちはあくまで「ヘルヘイムの侵食」に対しては無関心だが、「支配者」として「ヘルヘイムの植物」を操る固有能力を持ち、紘汰は交渉次第で人間の未来を守れると考えている。
しかし、強大な力を持つ彼らの眼には人類は敵対どころか干渉に値しない「弱者」としか写っておらず、戒斗は「奴らに対等だと認めさせるほど、相手を屈服させる力が必要」だと告げている。
貴虎も「相手を戦意喪失まで追い込んでから拘束しろ。話はそれからでも遅くはない」と称した。
もう1つの可能性は本作の最大のキーワードである「
禁断の果実」。
「実は
ヘルヘイムの森(あるいはそれに侵食した植物)は有史以前から人間の世界と接触していた」という凌馬の仮説(神話起源説)を裏付ける存在。
北欧、ギリシアなど数多くの伝承に残されている「植物に由縁する神話」はすべてこの「ヘルヘイム」が齎したもので、その中で「得た者に『奇跡の力』を授けた果実」こそが「禁断の果実」と同一のものだと考えられている。
しかし、詳細は不明だがこの果実を得るには求める者たちが争い、最後に生き残った者が勝ち取る必要があるようで、こちらも生半可な覚悟で手に入る代物ではない(
サガラ曰く「進化の本質は闘争」)。
なお、サガラによるとこの果実の手掛かりもオーバーロードが握っているらしい。
ロシュオによるとその果実は「
知恵の実」と呼ばれ、ヘルヘイムが世界1つを侵食して崩壊させる度に1つだけ森のどこかに実るものとされる。
これを得た者は「支配者」としての絶対的な力を得ることができ、この事からヘルヘイムの森は「世界崩壊」とともに「知恵の実を得た支配者(勇者)を生み出す試練」という二面性を持っていることが分かる。
ちなみに、現在の「知恵の実」は先代支配者であるロシュオが既に入手して独占している(サガラ曰く「ルール違反」)。
実はサガラが仄めかしていたヘルヘイムから地球を救う方法は、「オーバーロードと交渉してヘルヘイムを止める」のではなく、「知恵の実を得た者自身が新たな支配者(オーバーロード)としてその終末を食い止める」ことだった。
【余談】
「禁断の果実」は、主題歌の歌詞にも用いられているが、いくつか意味深なフレーズがある。
- 『戦いはネバーエンド、最後の1人になるまで』
- 『この争いを終わりにできる誰かは天下無双の勝者』
- 上記の通り、闘争の果てに終焉を迎えることができる。
- 『何処にある?どう使う?禁断の果実』
- 強大な力を持つが、その用途は手に入れた者に委ねられる。
- 『見ぬふりか?もぎ取るか?禁断の果実』
- 『お前だけに聞いているんだ、壊すのか守るのか』
- 「禁断の果実」を手にしても、新たな選択や葛藤が待っている。
実際にロシュオの口からも、「禁断の果実」を手にした自分が選択を誤ったことで文明を消してしまったという後悔が語られている。
なお、上記のように人間や生物が食すと危険な植物だが、何故か
ファントムにとっては魔力に取って代わるほど至高のものらしく、キマイラが大層気に入っていた(攻介が武神ライダーの世界で巨大な籠いっぱいに詰め込んでいたが、元の世界に持ち帰ったのかは不明)。
最終更新:2021年09月23日 20:41