ベローサマギア

「人間を皆殺しにする!」

【名前】 ベローサマギア
【読み方】 べろーさまぎあ
【声/俳優】 なかやまきんに君
【登場作品】 仮面ライダーゼロワン
仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション
【登場話】 第1話「オレが社長で仮面ライダー」
【分類】 マギア
【ゼツメライズキー】 ベローサゼツメライズキー
【データイメージ】 クジベローサ・テルユキイ(クジコハクトガマムシ)
【対象ヒューマギア/職業】 腹筋崩壊太郎/お笑い芸人
【目覚めた感情】 自分のネタでお客さんを笑わせる「喜び」
【特色/力】 斬撃鎌「トガマーダー」を用いた攻撃、頭部からのエネルギー照射
【モチーフ】 カマキリ

【詳細】

ヒューマギアがベローサゼツメライズキーをゼツメライザーにセットし起動することによりマギア化した姿。

ベローサゼツメライズキーには昆虫の絶滅種「クジベローサ・テルユキイ」のデータイメージ「ロストモデル」が記録されており、
そのデータが反映されてボディが強化されたことで頭部がカマキリを思わせる巨大なものに変貌。
さらに両腕に「トガマーダー」という鎌を備え、これを駆使した戦闘を得意とする。
単純に鎌で切り刻むだけでなく、エネルギーを集中させ緑色の発光斬撃を飛ばす他、頭部からビームを発射することが可能。

また至近距離にいるヒューマギアに対し、有線接続によって暴走プログラムを打ち込むことでそのヒューマギアもまた暴走状態に移行させる「増殖行為」と呼ばれる行動で仲間を増やして人間に襲いかかる。
外部機器をハッキングして操ることも可能とされる(次話に登場したエカルマギアが披露している)。

第1話に登場したベローサマギアはくすくすドリームランドで働くお笑い芸人型のヒューマギア「腹筋崩壊太郎」が変身した個体。
腹筋崩壊太郎は自分のネタで笑顔になる人間達を想い、喜びを得る極めて善良なヒューマギアだったが、滅亡迅雷.netによってゼツメライザーが装着されてしまったことで暴走プログラムがインストールされてしまい、
「私の仕事は人を笑わせること」と抵抗を見せるもインストールが完了すると同時に暴走。

この姿へとゼツメライズ(変形?)し、遊園地に遊びに来ていた一般市民たちに襲いかかる。
止めに入ったヒューマギア達も有線接続で暴走させ戦力を増やしたことで破壊活動を開始。

破壊されていくドリームランドを前に、「皆が笑顔になれる遊園地を作る」という夢が潰えていく支配人に対し、
「人類に夢を見る未来は…来ない」と高らかに笑いながら言い放つ。
その態度に激怒した飛電或人はイズからゼロワンドライバーを受け取って仮面ライダーゼロワンへと変身。

対抗するためにゼロワンへと向かっていったベローサマギアだったが、その力に為す術もなくライジングインパクトを受け粉砕された。

滅亡迅雷.netに接続し暴走したヒューマギアは、ヘッドセットのレッドアラートが点灯する。
そうなってしまったが最期、元の状態に戻すのは技術的にほぼ不可能であるとされ、破壊するしか暴走を止める手段は無い。
そもそもゼツメライザーはシンプルな機能故に一度起動してしまうと止める手段は破壊しか無い(電源のオンオフ機能が無い。起動したら起動しっぱなし)。
ベルトを取り付けられた時点でヒューマギアのボディを破壊して内側からハッキングするため、レッドアラートが点灯する前にベルトのみピンポイントに破壊するのも困難であり、そもそもゼツメライザーを破壊したところでプログラムのインストールが止められるかどうかはまた別問題と言える。

人々を笑顔にする、その目的のためお笑い芸人として笑いを提供していた腹筋崩壊太郎。
その彼の思いは滅亡迅雷.netに台無しにされ、人類絶滅のための尖兵として利用されてしまった。

ゼツメライザーが装着されたあとも完全に暴走するまで全力で抵抗していたその思いは誰にも伝わらない。
心優しき「喜び」に目覚めたヒューマギアは、二度とその喜びを得ることは叶わなくなってしまった。

第2話ではマギア化し破壊されたマモルというヒューマギアは同一外見の個体が再製造されたようだが、あちらは警備担当だったのに対し、
こちらはお笑い芸人型ということで再製造されたとしても、暴走事件を知る者が増えればお客がネタで笑ってくれる可能性は低い。
最早「腹筋崩壊太郎」というお笑い芸人の復活はメタ的な視点からもほぼ不可能であると言える。

劇場版仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーションでは別個体が登場。
会社員風のヒューマギアがゼツメライザーを装着し、近くにいたオクレルと共にベローサゼツメライズキーを装填、起動しマギア化した。
オクレルも同様にクエネオマギアとなり、周囲にいたヒューマギアをハッキングしてトリロバイトマギアへと暴走させ或人に襲いかかる。

第16話ではアークマギア版のベローサマギアが登場した。

【余談】

モチーフはカマキリだが、データイメージの「クジベローサ・テルユキイ」とはクジコハクトガマムシという和名を持つトガマムシ科の昆虫である。
2006年に発見され、日本では唯一のカマキリの化石であると考えられていたが、再調査の結果トガマムシ科の新種の昆虫であると判明した。
なおそれがわかったのは2018年、去年の話である。

クジコハクトガマムシという和名は、岩手県久慈市で琥珀に閉じ込められた状態で発見されたこと、さらに学名は昆虫好きで有名な俳優の香川照之氏にちなんでつけられたもの。
発見された年代も比較的新しい上に、すでに絶滅した昆虫のデータながら、このベローサマギアの外見はカマキリがモチーフであるため、「ゼツメライズキーに記憶された絶滅種に近い現在も生き残っている原生生物」がマギアの外見モチーフになっていると考えられる。

令和という新時代に移行した令和ライダーシリーズ第1号怪人となる。
ちなみに仮面ライダーオーズ/OOOにも、第1話にカマキリモチーフの怪人が登場している。

腹筋崩壊太郎、しかも演者が筋肉美ネタを得意とするなかやまきんに君ということもあり、放送開始前から既に注目度は高まっていた。
そんな中、第1話におけるあまりに酷い結末は視聴者に大きな影響を与えており、
  • 「笑い」を生み出すAIというこれまでの人工知能とは一線を画す高性能さを見せつけるヒューマギアという存在。
  • 「人々を笑顔にさせる」という主人公と同じ夢を持つにもかからず支配人によって実力の差から主人公を押しのけ、舞台に上がった腹筋崩壊太郎(AIが人間の活躍する場を奪った)。
  • 与えられた役割を機械的に果たすだけでなく、自ら望んでその職業を全うするという優しき自我の目覚めを敵に利用される。
  • 完全に暴走する最期まで暴走プログラムに抵抗し、ゼツメライズする直前にすら目の前の観客と、舞台裏でリプレイしていた観客たちの笑顔の動画データがオーバラップする。
  • 上記の通り同じ夢を持つ主人公から、「夢」に対しての解釈違いを述べられる。
  • カマキリとバッタという一方的な捕食関係同士の戦い。
  • 破壊されたあとも、観客、支配人は誰も惜しんでいない。ただ壊れた機械が壊されただけという扱い。
  • 支配人と主人公の夢は続いていく。笑顔のために職務を全うしようとしていたあのヒューマギアはもう存在しない。再製造されたとて、同じ自我に目覚めるとも限らない。

並べるときりがないが、総じて仮面ライダーゼロワンの世界観とこれから展開されていくであろう物語がどういうものか、
敵組織の行い、敵怪人がどのような存在であるのかを見事に書ききった秀逸な第1話、そして腹筋崩壊太郎という出落ち極まりないネーミングながらも高い完成度を有するキャラクターであったと言える。

それを知るのは我々視聴者と、彼に目をつけ暴走させた滅亡迅雷.netというサイバーテロリスト達だけというのが何ともいえない哀愁を感じさせる。

最終更新:2022年07月17日 01:40