合間(乾杯) - (2007/02/16 (金) 23:18:15) の最新版との変更点
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[[真・凪さん家の十兵衛さん]]
第一話 合間 「乾杯」
「いただきます」
用意を完了した千空が先陣をきる。
「「いただきます」」
続いて俺と創さんも。
「いっただっきま~す」
ミーシャも
「ん」
弁慶も…ってちゃんと言えって弁慶。
「え、えと?いただきま…す?」
周りの真似をしてなんだか分からないままのTYPE10.0こと十兵衛。
そんなこんなで夕飯の時間。十兵衛にとっては始めての食事、という事になるようだ。
「今までこういった日常生活を体験した事が無いんですよ、TYPE10.0は」
「創さん?私はもうTYPE10.0では」
「おっと、失礼、十兵衛…さん?」
「さん?なんでさん付けなんです?」
「ん~なんとなくですね」
「はぁ…?」
「ま、良いじゃないか、食うとしよう」
「ですね。今日は~和ですか」
「うん、やっと洋食地獄から開放されたしね」
「「ですね」」
そう、洋食地獄。まぁ簡単に言えば「ビーフシチュー大暴走」である。安売りしていた大量の牛肉を買ってきた千空はその予想以上の量を裁ききれず、遂に全ての牛肉を突っ込んだこれまた大量のビーフシチューを作ったのだ。消費に3日かかった…。三人がかりでだ。どんだけなんだと言わんばかりではあるのだが、実際そうだったのだから仕方が無い。
そしてこの危機を脱した我々は、やっと別の食事にありつける事が出来たのである。
「あ、でもまた肉が」
目の前には牛肉が使われた和食が。
「あ、それは今日買ってきたのだけどね。あ、もしかして肉自体駄目になっちゃったかな?」
「いや、そんな事は無い。同じ牛肉物でもこれは別だ」
「ですね」
「はい」
「うむ」
「???」
俺達の目の前には凪家秘伝の一品といっても過言では無い料理が中央にどんと置かれていた。
「この…肉じゃがだけは別だ」
「あはは」
「まったくです」
「はい、おいしそうです」
「よし、食うぞ」
「????」
そこで俺は十兵衛の困惑に気付いた。
「どうした?十兵衛」
「へ、あ、あの」
「?」
「これを…どうしたら?」
「食べるんだが?」
「私もですか???」
「…まぁ、そうだな」
「でも…」
「?」
「私たち神姫には消化吸収能力はないはずですが」
「ないからどうした」
「え?」
弁慶が間に入る。
「せっかく食えるんだから食え」
「はぁ」
「食えば分かる。ほら」
「ふぇ?ふぁ、ふぁひほふるんへふは」
十兵衛の口に肉じゃがを無理やり運ぶ弁慶。
「ただ食って消化するだけなら弁慶も食わない」
「…」
口をもふもふしたまま黙り込む十兵衛。
「ふ、分かったようだな」
もふもふ
「…」
もふもふ
「十兵衛?」
もふもふ
「う…うぅ…」
「!?」
「ぐす…」
泣き出した!?
「な、なななななな!?」
おいおいどうしてって言うんだ!?
「十兵衛ちゃん!?」
驚く千空。
「十兵衛さん?」
顔をうかがう創さん。
「弁慶ちゃん一体何を?」
「ん?いや、ただ食わせただけだ」
ミーシャの問いかけに普通に答える弁慶。そして次の瞬間十兵衛が発したのは
「おいしい…」
という言葉だった。
「じゅ、十兵衛?」
「これが…おいしいと言う事なんですね…」
「おいしかった?」
「はい、初めておいしいと言う事が何なのか…実感できました」
「楽しいだろ?」
弁慶が珍しく微笑んでいる。久しぶりに見たな。こいつのこんな顔。
「弁慶さん」
「さん…はやめろ。堅苦しい」
「えっと…」
「それ以外でなら好きに呼べ」
「分かりました。弁慶…ちゃん」
「む、躊躇ったな?今呼び捨てで呼ぼうとして躊躇っただろ?」
「え、いや、そんな事は」
言いながら迫る弁慶。もう少しで鼻と鼻が触れ合うくらいのところで
「ふ、まぁいい。改めてよろしくだ」
と言ってその進行は止まった。
「あ、は、はい!お願いします」
「それにしても泣くほどとはな」
「あ~びっくりした。おいしくなかったかなぁって」
「千空のこれがまずいわけがない」
「いや、でも十兵衛ちゃんが一番に食べたからね?今日の」
「…あ」
回りが固まる。俺も含めて。
「?」
この家では何故か弁慶が一番初めに食べる事になっているのだ。しかし寿もあろうに弁慶自らこの掟を破棄して十兵衛に「一番肉じゃが」を与えてしまったのだ。
「吐け、十兵衛」
キッと十兵衛の方を向きなおす弁慶。
「え!?」
「一番に食すのはこの弁慶だ!」
「え、でも…弁慶ちゃんが」
「問答無用!」
「!?」
飛び掛る弁慶。そのまま十兵衛を押し倒す形となった。そして
「「「「!?」」」」
俺たちは固まった。
「~~~~!?」
十兵衛は目を見開いた。
「ふぅ…うむ、今日も美味いぞ千空」
「弁慶…」
弁慶は十兵衛の唇を奪った。
・
・
・
その頃、とある御宅
「!…弁慶!!」
「義経??どうしたの?」
「い、いえ、何故か悪寒が」
「?」
「弁慶…」
「なんだかなぁ~変な子」
「あ、いや…申し訳ない」
「ま、いいけどね」
「あぁ、弁慶…」
窓の外を見てため息をつく神姫が一体。
・
・
・
「きゅぅ~~」
顔を真っ赤にしてぶっ倒れる十兵衛。そりゃそうか。
「なんだ、どうした十兵衛」
「どうしたじゃないよ、弁慶?」
「ん?」
「いきなりそういうことするの禁止」
「う、そうか…分かった」
「大丈夫か?十兵衛~??」
「は、はい~」
「ふ、ふ、はははははは!」
なんか可笑しくなっってきた。自然と笑いがこみ上げてくる。
「あは、はははは」
千空も苦笑い。というかまったく微笑ましい事じゃないか。今までこういう事をさせてもらえなかったこいつが、いきなり食べる楽しさを覚え、そして始めてのキスを奪われるという前代未聞の体験をしたのだ。もう笑うしかない。
「ふぅ、よし!じゃあしきり直して乾杯だ」
「乾杯?ですか?」
「あぁ、十兵衛が家族になった事にな!よし!乾杯!」
『乾杯!!』
「…マスター」
「ふ、乾杯。十兵衛」
「あ、はい!ありがとう御座います!」
・
・
・
その後は十兵衛に食べ物食わせ大会と化した。
たとえば
「じゃあ次はこれとか」
無難に焼き魚とか。
「これなんかも」
大根の味噌汁とか。
「これもおいしいですよ?」
自家製の漬物とか。
「食え」
甘くない卵焼きとか。
「これもおいしいですよね~?」
日本酒とか…って!!
『ミーシャ!?』
「おいしかろぉ~??」
ミーシャ…おま…。
「は~じ~め~さ~ん~!!」
「え、いや、僕のせいじゃ!?」
「ふぁい、おいひいれふ~」
「十兵衛!」
神姫って…酔うんだな…初めて知った。メモメモっと。
こうして十兵衛との生活一日目が過ぎていった。
[[真・凪さん家の十兵衛さん]]
第一話 合間 「乾杯」
「いただきます」
用意を完了した千空が先陣をきる。
「「いただきます」」
続いて俺と創さんも。
「いっただっきま~す」
ミーシャも
「ん」
弁慶も…ってちゃんと言えって弁慶。
「え、えと?いただきま…す?」
周りの真似をしてなんだか分からないままのTYPE10.0こと十兵衛。
そんなこんなで夕飯の時間。十兵衛にとっては始めての食事、という事になるようだ。
「今までこういった日常生活を体験した事が無いんですよ、TYPE10.0は」
「創さん?私はもうTYPE10.0では」
「おっと、失礼、十兵衛…さん?」
「さん?なんでさん付けなんです?」
「ん~なんとなくですね」
「はぁ…?」
「ま、良いじゃないか、食うとしよう」
「ですね。今日は~和ですか」
「うん、やっと洋食地獄から開放されたしね」
「「ですね」」
そう、洋食地獄。まぁ簡単に言えば「ビーフシチュー大暴走」である。安売りしていた大量の牛肉を買ってきた千空はその予想以上の量を裁ききれず、遂に全ての牛肉を突っ込んだこれまた大量のビーフシチューを作ったのだ。消費に3日かかった…。三人がかりでだ。どんだけなんだと言わんばかりではあるのだが、実際そうだったのだから仕方が無い。
そしてこの危機を脱した我々は、やっと別の食事にありつける事が出来たのである。
「あ、でもまた肉が」
目の前には牛肉が使われた和食が。
「あ、それは今日買ってきたのだけどね。あ、もしかして肉自体駄目になっちゃったかな?」
「いや、そんな事は無い。同じ牛肉物でもこれは別だ」
「ですね」
「はい」
「うむ」
「???」
俺達の目の前には凪家秘伝の一品といっても過言では無い料理が中央にどんと置かれていた。
「この…肉じゃがだけは別だ」
「あはは」
「まったくです」
「はい、おいしそうです」
「よし、食う」
「????」
そこで俺は十兵衛の困惑に気付いた。
「どうした?十兵衛」
「へ、あ、あの」
「?」
「これを…どうしたら?」
「食べるんだが?」
「私もですか???」
「…まぁ、そうだな」
「でも…」
「?」
「私たち神姫には消化吸収能力はないはずですが」
「だからどうした」
「え?」
弁慶が間に入る。
「せっかく食える…食え」
「はぁ」
「食えば分かる」
「ふぇ?ふぁ、ふぁひほふるんへふは」
十兵衛の口に肉じゃがを無理やり運ぶ弁慶。
「食べて消化するだけ…なら弁慶も食べない」
「…」
口をもふもふしたまま黙り込む十兵衛。
「分かったか」
もふもふ
「…」
もふもふ
「十兵衛?」
もふもふ
「う…うぅ…」
「!?」
「ぐす…」
泣き出した!?
「な、なななななな!?」
おいおいどうしてって言うんだ!?
「十兵衛ちゃん!?」
驚く千空。
「十兵衛さん?」
顔をうかがう創さん。
「弁慶ちゃん一体何を?」
「ん?食わせた」
ミーシャの問いかけに普通に答える弁慶。そして次の瞬間十兵衛が発したのは
「おいしい…」
という言葉だった。
「じゅ、十兵衛?」
「これが…おいしいと言う事なんですね…」
「おいしかった?」
「はい、初めておいしいと言う事が何なのか…実感できました」
「ほら楽しい」
弁慶が珍しく微笑んでいる。久しぶりに見たな。こいつのこんな顔。
「弁慶さん」
「さん…はだめ。堅苦しい」
「えっと…」
「それ以外で呼ぶ」
「分かりました。弁慶…ちゃん」
「む、躊躇った…今呼ぼうとして躊躇った?」
「え、いや、そんな事は」
言いながら迫る弁慶。もう少しで鼻と鼻が触れ合うくらいのところで
「ふふ、よろしく」
と言ってその進行は止まった。
「あ、は、はい!お願いします」
「それにしても泣くほどとはな」
「あ~びっくりした。おいしくなかったかなぁって」
「千空のまずいわけない」
「いや、でも十兵衛ちゃんが一番に食べたからね?今日の」
「…あ」
回りが固まる。俺も含めて。
「?」
この家では何故か弁慶が一番初めに食べる事になっているのだ。しかし事もあろうに弁慶自らこの掟を破棄して十兵衛に「一番肉じゃが」を与えてしまったのだ。
「吐け、十兵衛」
キッと十兵衛の方を向きなおす弁慶。
「え!?」
「一番に食べるの弁慶!」
「え、でも…弁慶ちゃんが」
「問答無用!」
「!?」
飛び掛る弁慶。そのまま十兵衛を押し倒す形となった。そして
「「「「!?」」」」
俺たちは固まった。
「~~~~!?」
十兵衛は目を見開いた。
「ふぅ…今日も美味い」
「弁慶…」
弁慶は十兵衛の唇を奪った。
・
・
・
その頃、とある御宅
「!…弁慶!!」
「義経??どうしたの?」
「い、いえ、何故か悪寒が」
「?」
「弁慶…」
「なんだかなぁ~変な子」
「あ、いや…申し訳ない」
「ま、いいけどね」
「あぁ、弁慶…」
窓の外を見てため息をつく神姫が一体。
・
・
・
「きゅぅ~~」
顔を真っ赤にしてぶっ倒れる十兵衛。そりゃそうか。
「なんだ、どした」
「どうしたじゃないよ、弁慶?」
「ん?」
「いきなりそういうことするの禁止」
「うん…分かった」
「大丈夫か?十兵衛~??」
「は、はい~」
「ふ、ふ、はははははは!」
なんか可笑しくなっってきた。自然と笑いがこみ上げてくる。
「あは、はははは」
千空も苦笑い。というかまったく微笑ましい事じゃないか。今までこういう事をさせてもらえなかったこいつが、いきなり食べる楽しさを覚え、そして始めてのキスを奪われるという前代未聞の体験をしたのだ。もう笑うしかない。
「ふぅ、よし!じゃあしきり直して乾杯だ」
「乾杯?ですか?」
「あぁ、十兵衛が家族になった事にな!よし!乾杯!」
『乾杯!!』
「…マスター」
「ふ、乾杯。十兵衛」
「あ、はい!ありがとう御座います!」
・
・
・
その後は十兵衛に食べ物食わせ大会と化した。
たとえば
「じゃあ次はこれとか」
無難に焼き魚とか。
「これなんかも」
大根の味噌汁とか。
「これもおいしいですよ?」
自家製の漬物とか。
「食え」
甘くない卵焼きとか。
「これもおいしいですよね~?」
日本酒とか…って!!
『ミーシャ!?』
「おいしかろぉ~??」
ミーシャ…おま…。
「は~じ~め~さ~ん~!!」
「え、いや、僕のせいじゃ!?」
「ふぁい、おいひいれふ~」
「十兵衛!」
神姫って…酔うんだな…初めて知った。メモメモっと。
こうして十兵衛との生活一日目が過ぎていった。
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