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土下座そのに - (2007/09/21 (金) 23:32:58) のソース
「どうもありがとうございます、お疲れ様でした、犬子さん」 「いえいえ、お役に立てて光栄です、マスターさん」 正座をして深々と頭を下げる――座礼するマスターさんにあわせ、こちらも武装神姫の関節構造の許す限りの範囲で真似た、似非正座姿勢で深々と頭を下げ、擬似座礼を行います。 絡まったコードを共同で解きほぐし、目を離せばUSB端子をスピーカー用マイク端子に繋ごうとするほどの機械オンチなマスターさんに僭越ながら私めが指示を出しつつ、今しがた無事にクレイドル及びPC接続キットの接続、それからついでにマスターさんのユーザー登録が完了しました。 クレイドルやPC管理といった管理環境が整って一安心と言うのもあるのですが、特にユーザー登録が完了したことに、私の感情回路は大きな満足を覚えています。 「そんなに嬉しいことなのですか、ユーザー登録は?」 「ええ、言ってみればマスターさんとの絆を、公式に認めてもらったということですから」 「なるほど、そういう捕らえ方もあるのですね」 「はい、武装神姫は、オーナーとの絆が深まることに喜びを感じるようになっていますから」 「そういうものなのですか」 「そういうものなのです。それに……」 「それに?」 私は似非正座から立ち上るとその場でくるりとターンし、可愛らしいポーズをキメて言葉を続けます。 「ユーザー登録をしていただくと、定期メンテナンス料金や公式通販利用時の割引やバトルロンド登録手続きの簡略化! 登録ユーザー様を対象とした限定パーツの販売や、最新の武装神姫情報満載のメールマガジンの無料配布といった、各種特典がもれなくついてきて大変お得なのですっ!」 「なんというか、明らかに今までと声のトーンと芸風が違うというか、非常に定型文かつ宣伝文句ですね」 「申し訳ありません、やはり私も商業商品である以上、販促活動の義務からはなかなか離れられなくて」 「世知辛いですねぇ」 「世知辛いです」 「ま、何はともあれ……」 「はい?」 「改めて、これからよろしくお願いいたします、犬子さん」 すっかりおなじみ、深々と座礼するマスターさん。 「はい、こちらこそどうぞよろしくお願いいたします、マスターさん」 私も似非正座に座りなおし、精一杯の擬似座礼で応えました。 こうして私の、マスターさんとの生活が始まったのでした。 [[<そのいち>>土下座そのいち]] [[<そのさん>>土下座そのさん]] [[<目次>>犬子さんの土下座ライフ。]] ----