「無頼20「蒼穹の猟犬劇場その2」」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
無頼20「蒼穹の猟犬劇場その2」 - (2008/07/13 (日) 17:15:35) のソース
実質的な主人公となってしまっている我らが零牙。 彼女に敵う相手は神姫無頼の中にはいない…だが。 まだここに、諦めていない男が一人いた。 ---- **蒼穹の猟犬劇場その2 ***~逆襲の張也~ ---- 午後2時30分ごろ 雪が降らないアオゾラ町周辺はそれだけ寒くなる。 制服とかだったらさむいのよ、これって。 「久しぶりやな、ここも…」 そう漏らす男が一人。 赤ジャージに黄色いマフラー、まるで00ナンバーサイボーグだ。 「…我らが敵、その名は零牙」 「………………」 **「いょし! 行くぞぉぉぉぉっ!!!」 ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ *「零牙!! わいは逆襲のため戻ってきたぁぁぁぁぁっ!!!!」 バトルルームの一同が騒然となる。 誰もが声がした方向に振りかえるが、一人だけため息をついた。 「ま た 張 也 か」 そう、形人である。 「形人、何だいあいつは?」 一緒に居た一深が聞く、あの時に居合わせていないからだ。 「張也金次、零牙に勝負を挑む無謀な奴さ」 「えぇい&bold(){真実を堂々と言うな}鳥頭!!」 変なポーズと共にビシッと指さし 「零牙のオーナーはどこに居る!?」 「先輩なら今来るよ、少しは落ち着いたらどうだ?」 「あら、お久しぶりですね」 張也のさらに後ろ、つまり東側出入り口から姿を現す聖憐。 実は一階神姫ショップに行ってたのだが張也は気付かなかったようである。 「おお!?早速だが対戦しろぃ!!」 「はいはい。…ルールはどうしましょう?」 「&bold(){空中戦!! }これに限る!! こちらは二体だ」 それを聞き少し口元が引きつる聖憐、だがそれに気づいたのは零牙のみであった。 「彩聞さん、タッグマッチらしいですので協力してほしいのですが…」 「構いませんが…どうしました?」 「なんでもありません、なんでも…」 疑問を感じざろう得ない形人と一深であった。 ---- 静寂を突き破る翼の風切り音 現実に換算すると音速で飛行する飛翔体。 鳥のような翼にミサイルを搭載したセイレーンが空を行く。 そして蒼い翼を持った猟犬も。 「それにしては、零牙も飛行用リアパーツを持ってたんだねぇ」 プレステイルに乗り風を切るヒカル。 「持ってて悪いか? …もっとも、我は苦手なのだがな。」 零牙の背に装着されているのはターボファンウイング、機動性を重視した飛行用部品である。 翼はデフォルトの黒色ではなく、お揃いの色にリペイントされている。 「苦手…? まさか&bold(){零牙って空戦苦手!?}」 「ん…そうだ。」 誰にだって不得意がある。 でもまさか零牙にあるとは…、ヒカルはそう思った。 「…!? ミサイル接近! 散開!!」 バイザーにそう映った直後、ヒカルは推力を全開にし急旋回を行った。 零牙も言われて別方向に旋回する。 ミサイルは見当違いの方向に飛んでゆき… 「うわっ!」 ミサイルは大爆発を起こし、二人は衝撃に煽られた。 「散弾ミサイル!?」 「凄い光だな…、目がチカチカする。」 体勢を立て直し、編隊を組み直す。 「散弾ミサイル…クラスター爆弾の一種で全方位に超高速で鉄の雨を降らす。…その威力は空母を沈めるほど…」 「ヒカル、空母はないんじゃないか?」 「いや、元ネタの話だから。…射程に入った、フォックスツー!!」 翼から"スティレット"小型ミサイル四発が飛び出す、そして自らは降下を開始した。 ~・~・~・~・~・~・~ &bold(){[WARNING!!]} ミサイル接近を警報が知らせる。 フブキ…ゼットとアーンヴァルは急上昇してこれを回避する…が、ゼットは直撃を食らい墜落してゆく。 「さあ、どう出る…?」 アーンヴァルはレーザーライフルを構えた、モードは「近距離」 「戦う理由は唯一つ、"武装神姫だから"だ」 引金を引いた。 ~・~・~・~・~・~・~ 「やった!! スプラッシュワン!!」 無邪気に喜ぶヒカル、まさか初弾で墜ちるとは思っていなかったのだ。 「これで二対一! 早く終わりそうね♪」 呑気もいいところだが、ここで反応出来るのも流石空戦主体の神姫だけはある。 「レーザー攻撃!? 振り回してくる!!」 ヒカルは即座にビークルモードを解除、武装状態で急上昇した。 「ヒカル!? うおっ!?」 目の前を光線が通り過ぎる。思わず悲鳴を上げた。 凄い勢いで振り回される光の剣、零牙とヒカルを追いかける。 「くうっ…! &bold(){零牙流剣技"衝撃刃・拡散波動"!!}」 セイバーを振い一際大きい閃光が放たれる。 閃光は巨大な矢となりアーンヴァルに迫る。 後退しつつすぐに上昇するが、ここで矢に変化が現れた。 光の矢が無数の線となり散らばる。 線はアーンヴァルを覆い、次々と刺さってゆく。 レーザーライフルなど蜂の巣となった。 「拡散波動砲かぁ…、いや表現的に多弾頭砲かな?」 呑気な感想を漏らすヒカル、ほんとオトボケさんである。…が。 「零牙!! 主役編で悪いけど、止めはわたしが戴くよッ!!」 「な、何ィ!?」 エウロスを両手で構え、上昇する。 「いくよっ 必殺! ブレイジングブリーズ!!!」 **キュイィン!! 決まった。 X字に切り裂かれたアーンヴァルが墜ちてゆくのを視界に入れ、ヒカルは又とない爽快感に包まれた。 そして、主役編なのにもかかわらず見せ場なしの零牙は呟いた。 「我も…まだまだだな…。」 ---- 「ぎゃーっ!? &bold(){雑魚に}負けたぁぁぁぁぁっ!!!!」 「誰が雑魚だ誰が!!」 絶叫する張也、ツッコむ形人。 **「ちくしょう!!おぼえていろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」 絶叫しながら走り去ってゆく張也。 「形人!やったじゃない! 久しぶりの勝利だったよね?」 「ああ、随分とな」 ここ最近は調子が悪く、危うく10連敗となるところだったのだ。 「お姉さますごぉい!」 「いやぁ…久しぶりだなぁ、勝つのって」 「……主、申し訳ない! ギャラリーが見ている中でこの様な醜態を晒してしまい…」 「いいのですよ。…たまには自重するのも」 「はぁっ…?」 「…形人、先輩の見せ場奪っちゃっていいの?」 それを見て問う一深。 「さあ、僕には判らない。…それより、張也が来たのに長瀬さんが出てこないのが頭に引っかかるんだ…」 ---- 「……ベルクト…!?」 月が変わったばかりだというのに、彼女たち神姫狩人は今日も事件を追っていた。 しかし、今回はちょっと事情が違った。 普段は町内を飛び回っているベルクトからの発信が途絶えたのだ。 すぐに途絶地点―雑居ビルの路地裏―に向かったのだが、…遅かった。 四肢が散らばり、潤滑油の海に沈んだベルクトの見るも無残な姿があった。 無造作に転がる首がこちらを見て泣いていた。 「…!!、…ベルクト…なんて事…!」 遅れて飛んできたジュラも、この光景に唖然となる。 表情のないベルクトの頭を抱き、ラスターは呟いた。 「何が…あったのですか? ベルクト…」 …事件は始まったばかりである。 ---- [[流れ流れて神姫無頼]]に戻る [[トップページ]]