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第九話
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「マスター!起きてください!!」
「ごべらっ!?」
次の日の朝、優一の一日はモーニングスターの一撃で始まった。
「スタンガンの次はこれかよ!!」
「だってジェni・・・」
「またかよ!!」
起動させてからもうダブルスコアに達しようかという数になったいつものやりとりだが、優一にとってもアカツキにとっても一つの習慣になろうとしていた。
「それより今日、今日ですよ!」
「判っとる×2。支度してくるからちょっと待ってろ」
十五分後、支度を終えた優一はアカツキと共に幸平と事前に決めておいた待ち合わせ場所に到着した。
「ところで・・・、何でアネゴがいるんだよ」
「何でって、こういうのは何かとトラブルが起きる物よ。あ、初めまして、治安局の安田聡美です」
「堂元です。どうも」
「しっかし、アインだけでなくツヴァイやドライまで引っ張ってくるとは・・・。まさか」
「そのまさか、カタロンよ。二人がこれから行く神姫センターは最初はかなり小規模だったけど、ある時期を境に急速に規模を大きくしていったのよ。機密情報だからこれ以上の事は言えないけど、捜査線上にカタロンが浮上してきたって訳。まぁぶっちゃけた話、偶には真剣勝負も楽しみたいからね」
「まったく、姉さんがタッキーのブロマイドをちらつかせるから嫌な予感はしてましたが・・・」
「それに釣られるアインもどうかと思うけど」
「まあまあ、アイお姉様もツーお姉様も同レベルと言うことで・・・」
「「貴女に言われる覚えはない!!」」
「ひやぁ!ごめんなさい!」
あきれ果てるアインに突っ込む悪魔型のツヴァイとそれにダメ出しして怒られる砲台型のドライ、二人ともアインと同様にCACが搭載された聡美の神姫だ。
「それで堂元君だっけ、その神姫センターのルールは?」
「四体の神姫で行われるタッグバトルです。形式はリアルバトルで、一回の参加人数は言うまでもなく4人です。それで、そこを牛耳っている兄弟はある程度の成績を上げた神姫のタッグと試合を行う事になっているんです。八百長は前者、不正ジャッジは主に後者で行われています」
「アネゴ、何か作戦は?」
「無い!」
「「へっ!?」」
聡美のあまりにも堂々とした物言いに優一と幸平は開いた口がふさがらなかった。
「証拠は大体掴んでいるから、後は主犯格を捕まえれば一件落着」
「いや、それ警察としてあるまじき考えですけど・・・」
「それじゃぁ行ってみよー!」
「「ダメだこりゃ」」
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中に入った一行が目にしたのは文字通りの地下闘技場と言わんばかりの異様な雰囲気だった。
試合用コロシアムの外見は通常と同じに思えるが、試合の中継画像を見る限り、墓場とも言えるフィールドだった。
「あたしは外で見てるから、二人とも楽しんで来ちゃって」
「やれやれ、気楽なモンだよ全く」
「気にすんなって、アネゴはいつもこうだから。それじゃ、登録しに行くぞ」
優一と幸平はタッグバトルの部に参加する事にした。これなら万に一つ、不測の事態が起きたとしても的確に対応できる。
「リィナ、気を引き締めて行こう!」
「そう言うアカツキこそ、アタイの足を引っ張るなよ!」
張り切っている二人だが、少なくともアカツキの方は空元気であることは否めない。何せアカツキに取っては初めてのリアルバトルだ。敗北の代償は破壊、最悪の場合自身の死を意味する。現に、アカツキの知り合いの神姫がリアルバトルで命を落としている。
「ばとるふぃーるどハぐれいぶやーど、各神姫ノおーなーハすたんばいヲオ願イシマス」
今回のアカツキの装備は精密狙撃用スナイパーライフルと中距離用のブルパップ・マシンガン、腰には迎撃用のスラッシュハーケン、格闘用の武装は両脚に仕込んだナイフのみと殆ど近接戦を無視した装備だが、リィナが前衛に立つのでさほど問題ではない。
一方でリィナは二振りのショーティルといつものファンネルに飛翔滑走翼を装備している。後衛はアカツキが担当するので、ファングはあくまで切り札だ。
「ばとるろんど、せっとあっぷ。れでぃ・・・GO!!」
「さあ、行こうか相棒!!」
「リィナ、アローフォーメーション!援護するわ!!」
「ガッテン!!」
試合開始と同時に上空に飛び上がったアカツキは前方に相手を捉えると、リィナと連携を取りながら戦闘を開始する。
相手のタッグ、マオチャオがクローを振りかざしながら突進し、ゼルノグラードが傲然と砲撃を開始した。しかし、二人の連携は相手を大きく上回っていた。
先ずアカツキのライフルが火を噴き、リィナに接近していたマオチャオを叩き落とす。間髪を入れずにリィナがアカツキの援護を受けながら弾幕をかいくぐり、ショーティルでゼルノグラードを横薙ぎに斬りつけた。
ゼルノグラードは致命傷を負ってリタイアとなったが、マオチャオの方はダメージを与えただけだった。
「ちょっとアカツキ、これはバーチャルじゃないんだよ!」
「っごめん、次は気を付けるわ」
バーチャルとリアルの違いにアカツキは戸惑いを覚えた。やはり勝敗の決め方に関する事が引っかかるのだろう。
結局2体ともリィナが仕留めてこの試合を終えた。
アカツキは今、100勝して舞い上がっていた己の未熟さを実感した。
[[とっぷへ>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2005.html]]
第九話
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「マスター!起きてください!!」
「ごべらっ!?」
次の日の朝、優一の一日はモーニングスターの一撃で始まった。
「スタンガンの次はこれかよ!!」
「だってジェni・・・」
「またかよ!!」
起動させてからもうダブルスコアに達しようかという数になったいつものやりとりだが、優一にとってもアカツキにとっても一つの習慣になろうとしていた。
「それより今日、今日ですよ!」
「判っとる×2。支度してくるからちょっと待ってろ」
十五分後、支度を終えた優一はアカツキと共に幸平と事前に決めておいた待ち合わせ場所に到着した。
「ところで・・・、何でアネゴがいるんだよ」
「何でって、こういうのは何かとトラブルが起きる物よ。あ、初めまして、治安局の安田聡美です」
「堂元です。どうも」
「しっかし、アインだけでなくツヴァイやドライまで引っ張ってくるとは・・・。まさか」
「そのまさか、カタロンよ。二人がこれから行く神姫センターは最初はかなり小規模だったけど、ある時期を境に急速に規模を大きくしていったのよ。機密情報だからこれ以上の事は言えないけど、捜査線上にカタロンが浮上してきたって訳。まぁぶっちゃけた話、偶には真剣勝負も楽しみたいからね」
「まったく、姉さんがタッキーのブロマイドをちらつかせるから嫌な予感はしてましたが・・・」
「それに釣られるアインもどうかと思うけど」
「まあまあ、アイお姉様もツーお姉様も同レベルと言うことで・・・」
「「貴女に言われる覚えはない!!」」
「ひやぁ!ごめんなさい!」
あきれ果てるアインに突っ込む悪魔型のツヴァイとそれにダメ出しして怒られる砲台型のドライ、二人ともアインと同様にCACが搭載された聡美の神姫だ。
「それで堂元君だっけ、その神姫センターのルールは?」
「四体の神姫で行われるタッグバトルです。形式はリアルバトルで、一回の参加人数は言うまでもなく4人です。それで、そこを牛耳っている兄弟はある程度の成績を上げた神姫のタッグと試合を行う事になっているんです。八百長は前者、不正ジャッジは主に後者で行われています」
「アネゴ、何か作戦は?」
「無い!」
「「へっ!?」」
聡美のあまりにも堂々とした物言いに優一と幸平は開いた口がふさがらなかった。
「証拠は大体掴んでいるから、後は主犯格を捕まえれば一件落着」
「いや、それ警察としてあるまじき考えですけど・・・」
「それじゃぁ行ってみよー!」
「「ダメだこりゃ」」
----
中に入った一行が目にしたのは文字通りの地下闘技場と言わんばかりの異様な雰囲気だった。
試合用コロシアムの外見は通常と同じに思えるが、試合の中継画像を見る限り、墓場とも言えるフィールドだった。
「あたしは外で見てるから、二人とも楽しんで来ちゃって」
「やれやれ、気楽なモンだよ全く」
「気にすんなって、アネゴはいつもこうだから。それじゃ、登録しに行くぞ」
優一と幸平はタッグバトルの部に参加する事にした。これなら万に一つ、不測の事態が起きたとしても的確に対応できる。
「リィナ、気を引き締めて行こう!」
「そう言うアカツキこそ、アタイの足を引っ張るなよ!」
張り切っている二人だが、少なくともアカツキの方は空元気であることは否めない。何せアカツキに取っては初めてのリアルバトルだ。敗北の代償は破壊、最悪の場合自身の死を意味する。現に、アカツキの知り合いの神姫がリアルバトルで命を落としている。
『バトルフィールドは、グレイブヤード。各神姫のオーナーはスタンバイをお願いします』
今回のアカツキの装備は精密狙撃用スナイパーライフルと中距離用のブルパップ・マシンガン、腰には迎撃用のスラッシュハーケン、格闘用の武装は両脚に仕込んだナイフのみと殆ど近接戦を無視した装備だが、リィナが前衛に立つのでさほど問題ではない。
一方でリィナは二振りのショーティルといつものファンネルに飛翔滑走翼を装備している。後衛はアカツキが担当するので、ファングはあくまで切り札だ。
『バトルロンド、セットアップ。レディ・・・GO!!』
「さあ、行こうか相棒!!」
「リィナ、アローフォーメーション!援護するわ!!」
「ガッテン!!」
試合開始と同時に上空に飛び上がったアカツキは前方に相手を捉えると、リィナと連携を取りながら戦闘を開始する。
相手のタッグ、マオチャオがクローを振りかざしながら突進し、ゼルノグラードが傲然と砲撃を開始した。しかし、二人の連携は相手を大きく上回っていた。
先ずアカツキのライフルが火を噴き、リィナに接近していたマオチャオを叩き落とす。間髪を入れずにリィナがアカツキの援護を受けながら弾幕をかいくぐり、ショーティルでゼルノグラードを横薙ぎに斬りつけた。
ゼルノグラードは致命傷を負ってリタイアとなったが、マオチャオの方はダメージを与えただけだった。
「ちょっとアカツキ、これはバーチャルじゃないんだよ!」
「っごめん、次は気を付けるわ」
バーチャルとリアルの違いにアカツキは戸惑いを覚えた。やはり勝敗の決め方に関する事が引っかかるのだろう。
結局2体ともリィナが仕留めてこの試合を終えた。
アカツキは今、100勝して舞い上がっていた己の未熟さを実感した。
[[第壱拾話>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2070.html]]
[[とっぷへ>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2005.html]]
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