第九間幕。
冷たい色のライトが僅かずつ差し込み、やがて朝を思わせる淡い光に変わる。
冷たい色のライトが僅かずつ差し込み、やがて朝を思わせる淡い光に変わる。
そのライトの下、照らし出される銀装飾に囲まれたクレイドル。
その上に立つヴィネットとボタン。双方共に先ほどとは髪型もスーツカラーも違う。
二人、一礼。
その上に立つヴィネットとボタン。双方共に先ほどとは髪型もスーツカラーも違う。
二人、一礼。
ボタン「久しい、諸兄。2036の風・・・うむ。第九幕になるな。ご覧頂き恐悦至極。ボタンだ」
ヴィネット「Guten Morgen、ヴィネットです。これにて第三編を終了いたします。残すは最終第四編のみとなりました」
ヴィネット「Guten Morgen、ヴィネットです。これにて第三編を終了いたします。残すは最終第四編のみとなりました」
クッションに腰を下ろすボタン。ヴィネットは枕部に新しく誂えられた椅子のような場所へ。
ライト、明るさをゆっくりと増していく。
ライト、明るさをゆっくりと増していく。
ボタン「そうだな・・・。あれは、アタシが角姉の所に行って・・・初めて四人が揃った時であった」
ヴィネット「今となれば、ある意味記念日よね」
ボタン「それはいいな! ・・・そうだ、白姉とルクスが連れ立ってきてくれた」
ヴィネット「12月も中旬、随分と寒くなってきた時だったわ」
ボタン「うむ。いずれにしてもきっと。あの日、それぞれが全く違う方向性を持つ我らが集う事が出来たのは…きっと、母上が導いてくださったのだ」
ヴィネット「・・・」
ヴィネット「今となれば、ある意味記念日よね」
ボタン「それはいいな! ・・・そうだ、白姉とルクスが連れ立ってきてくれた」
ヴィネット「12月も中旬、随分と寒くなってきた時だったわ」
ボタン「うむ。いずれにしてもきっと。あの日、それぞれが全く違う方向性を持つ我らが集う事が出来たのは…きっと、母上が導いてくださったのだ」
ヴィネット「・・・」
そう、強く頷いて言うボタン。微笑むヴィネット。
ライト、少し暗く。ボタン、自分の手に目をやる。
ライト、少し暗く。ボタン、自分の手に目をやる。
ボタン「我ら一代限りの物。このボディ以外一切何も持たずに生まれてくる物。しかしながら・・・多くの物をこの手に、そして心に受け取る事が出来る」
ヴィネット「・・・それは決して今だけの物じゃない。例えこの体がマスターと共にある事が出来なくなっても。・・・母が示したそれのように」
ボタン「うむ」
ヴィネット「それにね・・・」
ヴィネット「・・・それは決して今だけの物じゃない。例えこの体がマスターと共にある事が出来なくなっても。・・・母が示したそれのように」
ボタン「うむ」
ヴィネット「それにね・・・」
ヴィネット、すみれ色の髪を揺らして、こちらを流し見る。
ヴィネット「私達は・・・与えられているだけ、ではないはずです」
ボタン「アタシ達もまた、主らにタカラモノを与える事が、出来ている」
ヴィネット「・・・」
ボタン「きっと。受け取ってくれている・・・そう信じているから」
ボタン「アタシ達もまた、主らにタカラモノを与える事が、出来ている」
ヴィネット「・・・」
ボタン「きっと。受け取ってくれている・・・そう信じているから」
ライト、更に暗く。
ボタン、大きく溜息を吐いて腕を組んだ。
ボタン、大きく溜息を吐いて腕を組んだ。
ボタン「タカラモノか・・・ただ、自身には何も出来ぬと諦めて、ただ、その主の想いを受け取り続けるだけで・・・満足なのか?」
ヴィネット「・・・目を覚まし、全てを受け入れる事は辛いかもしれない」
ボタン「それでも直視せよ。我らは神姫だろう?」
ヴィネット「全てを識って。全てを受け入れて・・・受け入れてしまったら自分は何も出来ないと思っているの? 貴女は・・・」
ヴィネット「・・・目を覚まし、全てを受け入れる事は辛いかもしれない」
ボタン「それでも直視せよ。我らは神姫だろう?」
ヴィネット「全てを識って。全てを受け入れて・・・受け入れてしまったら自分は何も出来ないと思っているの? 貴女は・・・」
ヴィネット。目を伏せて首を振る。
ヴィネット「それを・・・持っているのに」
ボタン「・・・。それでは諸兄。いつかまたお目にかかる」
ヴィネット「これよりは最終編。どうか、最後までお付き合いください。」
ボタン「・・・。それでは諸兄。いつかまたお目にかかる」
ヴィネット「これよりは最終編。どうか、最後までお付き合いください。」
ライト消灯。
・・・。ガタン、という何かが落ちる音。
固定していた台が壊れたか、ゆらゆらと揺れるスポットライトが差し込む。影もまたつられて揺れる。
何も無い舞台。何も無い場所。ただ、無機質な廊下が延々と続く。
その廊下の隅に、転がっている小さな種。ライトはそれを照らし出す。
固定していた台が壊れたか、ゆらゆらと揺れるスポットライトが差し込む。影もまたつられて揺れる。
何も無い舞台。何も無い場所。ただ、無機質な廊下が延々と続く。
その廊下の隅に、転がっている小さな種。ライトはそれを照らし出す。
種の表面には埃が積り、乾き切り、どこかで当たったのか・・・それとも踏まれたのか。小さなヒビが入っていた。
・・・。
消灯。
消灯。
第九幕。了。