「マスター、完全に身体が溶けてるよ」
ぼーっとする頭の上から聞こえてきたのは、凛とした声。
溶けてるとはなんだ、私は雪だるまか、あるいはバターか何かかね。あ、でも確かに太った気もする、ヤバい気になる。
いっそ脂が溶ければダイエットになっていいんじゃね
溶けてるとはなんだ、私は雪だるまか、あるいはバターか何かかね。あ、でも確かに太った気もする、ヤバい気になる。
いっそ脂が溶ければダイエットになっていいんじゃね
……ダメだー、完全にダメだー。
もう暑さで頭回る気がしねー。
もう暑さで頭回る気がしねー。
「……全く、女の子として自覚に欠けるんじゃないか、その歳で」
やかましいぞ、我が姫よ。アンタは気温でどうこうなるほどやわい身体してないからいーでしょーよぅ。
生身の人間は30度超えるとやってられなくなるのー。
そら、ちゃんと外出る予定がありゃ化粧もネイルもきっちりやるわい。
でもねー、出ないのにあついとねー、くそー、やーってらんねー。
やってらんねーからいいじゃないかー、どうせ、私以外誰もいないし、男もいないし。
……やばい、男いないとか言ってて更に悲しみがこみ上げる。
なんだよなんだよ、顔の造詣は悪くないはずなんだ、私だって!
生身の人間は30度超えるとやってられなくなるのー。
そら、ちゃんと外出る予定がありゃ化粧もネイルもきっちりやるわい。
でもねー、出ないのにあついとねー、くそー、やーってらんねー。
やってらんねーからいいじゃないかー、どうせ、私以外誰もいないし、男もいないし。
……やばい、男いないとか言ってて更に悲しみがこみ上げる。
なんだよなんだよ、顔の造詣は悪くないはずなんだ、私だって!
「いや、その、マスターの場合なんというか、残念な美人すぎて、こう。ごめん、私もフォローできない」
自分の神姫にこうも言われる悔しさ!
いーもんいーもん、こうなったら、彼氏なんかいらないもんね!女一人で生きてやるもんね!
いーもんいーもん、こうなったら、彼氏なんかいらないもんね!女一人で生きてやるもんね!
「……まさか、私の不用意な発言で、マスターにこうも重い決意をさせてしまうとは、このタマ、不覚」
至極冷静なトーン。その言葉のニュアンスに、冗談が読み取れない。
あれ、ちょっと、タマさん。神姫のタマさん?なにマジに受け止めちゃってるの。
ちょっと頭が冷めたくなる、私。
あれ、ちょっと、タマさん。神姫のタマさん?なにマジに受け止めちゃってるの。
ちょっと頭が冷めたくなる、私。
「かくなる上は、我が腹掻っ捌いてお詫びを」
おいちょっとお待ちよ!なんかありえねぇ選択じゃございませんかねぇ姫さま!?
がばりと起き上がる、見ると、片手には既に、短刀一本を握り、つ、と剣先をおなかにあてていた。
ちょっとまてやめて!お願いだから!タマさん早まらないで!?
がばりと起き上がる、見ると、片手には既に、短刀一本を握り、つ、と剣先をおなかにあてていた。
ちょっとまてやめて!お願いだから!タマさん早まらないで!?
「……一振りで、決めますが、もし、叶わぬ時は、介錯をお願いしたく、存じます」
だからやめてぇ!?こんな漫才みたいなやり取りで、自分の神姫に切腹されたら私さすがにトラウマだよ!?
一生ものの心の傷だよ!?ヘタしたら対神姫恐怖症だよだからお願いぃぃい!
私の嘆願むなしく、短刀を振り上げ、勢い良く、振り下ろす。
私はもう、涙目だ、だって、こんなアホみたいな理由で、私は私のパートナーをなくしたくない。
一生ものの心の傷だよ!?ヘタしたら対神姫恐怖症だよだからお願いぃぃい!
私の嘆願むなしく、短刀を振り上げ、勢い良く、振り下ろす。
私はもう、涙目だ、だって、こんなアホみたいな理由で、私は私のパートナーをなくしたくない。
やめてってばぁあああ!
とっさに、手、正しくは指先をおなかへ伸ばす。刃が落ちるその刹那、私の指は間に合った。
続いて、くるであろう痛みをこらえるため、私はぎゅっと目を閉じる。くるなら、こい!
続いて、くるであろう痛みをこらえるため、私はぎゅっと目を閉じる。くるなら、こい!
かしょん。
想像したようなの痛みは、こなかった。
変わりに聞いたのは、気の抜けたバネの音と、ちょっとちくりとする指先の感触。
妙なので、目を開けてみてみると……。
変わりに聞いたのは、気の抜けたバネの音と、ちょっとちくりとする指先の感触。
妙なので、目を開けてみてみると……。
「冗談でした。本気になったマスターは、本当にかわいいね」
したり顔で、私を見上げるタマさんが、かしょんかしょんと、刃が引っ込む仕掛けになった、短刀を指に突き刺す様だった。
後で、私は泣きながら怒りまくって説教かましました。こうして、塚原 茉莉絵と、タマさんの日曜日は終わったのでありました。
いやだって、マジで怖かったんだって。
後で、私は泣きながら怒りまくって説教かましました。こうして、塚原 茉莉絵と、タマさんの日曜日は終わったのでありました。
いやだって、マジで怖かったんだって。
ところでなんでクーターつけないのって?いやぁ、冷房病とか、こわいやん?