「クリスマスだな」「クリスマスですね」
そう。12月24日。クリスマスイブ。俺達玩具屋にとっちゃ掻き入れ時だ。
つっても、クリスマスプレゼントはたいがい事前に買って置く物だと思う。思うんだが。
「いっそがしいーなぁっ!オイッ!!」
「やっぱり今日ばかりは増援無しはキツイでしょう。誰かにお願いしては?」
なかばヤケ気味に叫んだ俺にジェニーさんが進言する。
つっても、クリスマスって皆何かしら予定ありそうだしなぁ。
「さすがにそうもイカンだろ。と…言いたいが…背に腹は、か」
俺は恐る恐る受話器を握りダイアルする…カンの良い人、もうわかったね?
そう。12月24日。クリスマスイブ。俺達玩具屋にとっちゃ掻き入れ時だ。
つっても、クリスマスプレゼントはたいがい事前に買って置く物だと思う。思うんだが。
「いっそがしいーなぁっ!オイッ!!」
「やっぱり今日ばかりは増援無しはキツイでしょう。誰かにお願いしては?」
なかばヤケ気味に叫んだ俺にジェニーさんが進言する。
つっても、クリスマスって皆何かしら予定ありそうだしなぁ。
「さすがにそうもイカンだろ。と…言いたいが…背に腹は、か」
俺は恐る恐る受話器を握りダイアルする…カンの良い人、もうわかったね?
「で、我々を呼び出したワケか愚弟」
「今日ばかりは悪魔の力でも借りてやる。持ち場に着け」
「まぁまぁ…ええと、御礼はしますので今日だけ雇われて貰えませんか秋奈さん」
三者三様の遣り取り。
「ま、いいだろう。ベル、バンカー、レイザ。状況開始」
『ヤー、ボス』
姉貴の合図と共にサンタコスの三人組がそれぞれに散る。何故かサンタコスだ。
準備良いのか、それとも自宅で乱痴気騒ぎしてたかどっちだろう。
レジ打ち接客、俺。店内システム管理のジェニー。品出し補充役の姉貴。
ベル、2階のシステム制御。バン子、クリスマス大会の司会進行。レイザ、店頭接客。
とりあえず無難な布陣で行く。
「そーいやラストは?」
「連絡がつかん」
そういうトコはマメなヤツなんだが…はて。
「じゃ、バン子。クリスマスのバトル大会は任せた。盛り上げてくれ」
「任せとくネー!ベルも居るしダイジョブよ」
今回は結構商品奮発したからな。せっかくだから盛り上がって欲しいモンだ。
昼からの本戦に向けてそろそろ予選スタートの時間。後は任せるとしよう。
どれ、店頭接客は…まぁ、レイザは外面いいから大丈夫だろうけど。
「実は最近、推進システムの調子が悪くて…」
「まぁ、それは大変ですわね…推進システムは汚れやすい部分ですから、メンテナンス
が大事です。このクリーニングキットをお勧めしますわ…本来ならこのカタログ
通りのお値段ですけれど今ならクリスマス特価で驚きのお値段ですわー」
メーカーカタログの希望小売価格を見せつつ案内するレイザ。
いや、ウチ元々2割引なんだけど。知らないのか詐欺行為に勤しんでるのかどっちだ。
まぁ、いつもより割引率上げてるのはマジだしいいか。嘘ではないし。
「おい愚弟。ツガルとストラーフ、サイフォスが売り切れだ。在庫はどこだ」
「ああ、ジェニーに聞いてくれ。今レジ接客で空かない
「仕方あるまい。ジェニー、何番だ?」
「E6の下の棚です、秋奈さん」
とりあえず上手く回ってるようで安心する。
昼を回ればピークを越える、もう一頑張りだ。
「今日ばかりは悪魔の力でも借りてやる。持ち場に着け」
「まぁまぁ…ええと、御礼はしますので今日だけ雇われて貰えませんか秋奈さん」
三者三様の遣り取り。
「ま、いいだろう。ベル、バンカー、レイザ。状況開始」
『ヤー、ボス』
姉貴の合図と共にサンタコスの三人組がそれぞれに散る。何故かサンタコスだ。
準備良いのか、それとも自宅で乱痴気騒ぎしてたかどっちだろう。
レジ打ち接客、俺。店内システム管理のジェニー。品出し補充役の姉貴。
ベル、2階のシステム制御。バン子、クリスマス大会の司会進行。レイザ、店頭接客。
とりあえず無難な布陣で行く。
「そーいやラストは?」
「連絡がつかん」
そういうトコはマメなヤツなんだが…はて。
「じゃ、バン子。クリスマスのバトル大会は任せた。盛り上げてくれ」
「任せとくネー!ベルも居るしダイジョブよ」
今回は結構商品奮発したからな。せっかくだから盛り上がって欲しいモンだ。
昼からの本戦に向けてそろそろ予選スタートの時間。後は任せるとしよう。
どれ、店頭接客は…まぁ、レイザは外面いいから大丈夫だろうけど。
「実は最近、推進システムの調子が悪くて…」
「まぁ、それは大変ですわね…推進システムは汚れやすい部分ですから、メンテナンス
が大事です。このクリーニングキットをお勧めしますわ…本来ならこのカタログ
通りのお値段ですけれど今ならクリスマス特価で驚きのお値段ですわー」
メーカーカタログの希望小売価格を見せつつ案内するレイザ。
いや、ウチ元々2割引なんだけど。知らないのか詐欺行為に勤しんでるのかどっちだ。
まぁ、いつもより割引率上げてるのはマジだしいいか。嘘ではないし。
「おい愚弟。ツガルとストラーフ、サイフォスが売り切れだ。在庫はどこだ」
「ああ、ジェニーに聞いてくれ。今レジ接客で空かない
「仕方あるまい。ジェニー、何番だ?」
「E6の下の棚です、秋奈さん」
とりあえず上手く回ってるようで安心する。
昼を回ればピークを越える、もう一頑張りだ。
「しかしツガルが良く出るな。クリスマス繋がりか」
「皆意外とイベント好きだな」
姉貴の呟きにぽつりと返す俺。時刻は二時半。多少は波も引いてきた所だ。
「ツガルといえば…父さんから話は聞いているか?」
「親父から?いや、何も聞いてねぇ。何?親父がツガル買ったとかか?」
「いいや?ま、じきに連絡があるだろうさ。私の口からは黙っておくよ」
意味ありげに笑う姉貴に何か嫌な予感を感じて眉をしかめる。
素知らぬ顔で棚に在庫を補充しようとしていた姉貴の携帯が鳴った。
「と…取っても良いか?」
「外で頼む。一応従業員だからな。」
「判った」
姉貴が早足で店外へ出て行く。
それを気にする間もなく俺は次のお客さんの対応に追われた。
「皆意外とイベント好きだな」
姉貴の呟きにぽつりと返す俺。時刻は二時半。多少は波も引いてきた所だ。
「ツガルといえば…父さんから話は聞いているか?」
「親父から?いや、何も聞いてねぇ。何?親父がツガル買ったとかか?」
「いいや?ま、じきに連絡があるだろうさ。私の口からは黙っておくよ」
意味ありげに笑う姉貴に何か嫌な予感を感じて眉をしかめる。
素知らぬ顔で棚に在庫を補充しようとしていた姉貴の携帯が鳴った。
「と…取っても良いか?」
「外で頼む。一応従業員だからな。」
「判った」
姉貴が早足で店外へ出て行く。
それを気にする間もなく俺は次のお客さんの対応に追われた。
数分後、姉貴が何か考え事をしながら帰ってくる。
「仕事か?ピークは過ぎたし忙しいなら大丈夫だぜ?連中は借りたいけど」
姉貴が首を横に振り、俺の顔を見る。
「レジは替わろう。お前に行って欲しい所があるんだが」
「俺に?」
「ラストからだ。調子が悪いので今日は来れないと。アイツが断るからには本当に
調子が悪いんだろう。少し気になるのでな…様子を見てきて欲しい」
「なるほど。…了解、行くよ。ジェニー、後頼めるか?」
「はい」
頷いた後、ジェスチャーでこちらに耳を寄せる様に示す。何だ?内緒話?
(相手は病人なんですから、エッチな事は今度にして下さいよ?)
ぐあ。その話か。
(あのね、ジェニーさん。俺はあの町にはメンテで行ってるの。別にそーいう事しに
行ってるワケじゃありませんて)
(目的はそうでしょうけど、毎回流されて来てるでしょう。少しは自制心と言うモノを
持って下さいってば)
(ジェニーさんが俺のコレクション隠すからですよ。堪える為には常日頃からマメな
ガス抜きをですね?)
(却下します。人様の秘め事をその…オ、オカズになんて趣味が悪いですよ)
(どもるな、こっちが恥ずかしい)
「だからっ、そーいうコトじゃなくて!」
「うおっ?声でかいよジェニーさん!?」
(あ…ええと。とにかく、お願いしますよ)
(だからそもそもその為に行ってんじゃないってば。つか、ジェニーさん真面目だから
怒られると思ってたんだが何でラストの件は寛容なんだ?)
(明らかに遊ばれてるのが貴方だからですよ、マスター)
「ひでぇ」
姉貴が集音マイクの準備を始めて居るのが視界の端に見えたので、あわてて話を此処で
打ち切った。
裏から3階…自宅へ上がってコートとトランクを掴んで一階に戻る。
「じゃ、行ってくる」
「ああ、頼む」「お気をつけて」
二人に手振りで合図しながら俺はラストの住む裏町へ向かった。
「仕事か?ピークは過ぎたし忙しいなら大丈夫だぜ?連中は借りたいけど」
姉貴が首を横に振り、俺の顔を見る。
「レジは替わろう。お前に行って欲しい所があるんだが」
「俺に?」
「ラストからだ。調子が悪いので今日は来れないと。アイツが断るからには本当に
調子が悪いんだろう。少し気になるのでな…様子を見てきて欲しい」
「なるほど。…了解、行くよ。ジェニー、後頼めるか?」
「はい」
頷いた後、ジェスチャーでこちらに耳を寄せる様に示す。何だ?内緒話?
(相手は病人なんですから、エッチな事は今度にして下さいよ?)
ぐあ。その話か。
(あのね、ジェニーさん。俺はあの町にはメンテで行ってるの。別にそーいう事しに
行ってるワケじゃありませんて)
(目的はそうでしょうけど、毎回流されて来てるでしょう。少しは自制心と言うモノを
持って下さいってば)
(ジェニーさんが俺のコレクション隠すからですよ。堪える為には常日頃からマメな
ガス抜きをですね?)
(却下します。人様の秘め事をその…オ、オカズになんて趣味が悪いですよ)
(どもるな、こっちが恥ずかしい)
「だからっ、そーいうコトじゃなくて!」
「うおっ?声でかいよジェニーさん!?」
(あ…ええと。とにかく、お願いしますよ)
(だからそもそもその為に行ってんじゃないってば。つか、ジェニーさん真面目だから
怒られると思ってたんだが何でラストの件は寛容なんだ?)
(明らかに遊ばれてるのが貴方だからですよ、マスター)
「ひでぇ」
姉貴が集音マイクの準備を始めて居るのが視界の端に見えたので、あわてて話を此処で
打ち切った。
裏から3階…自宅へ上がってコートとトランクを掴んで一階に戻る。
「じゃ、行ってくる」
「ああ、頼む」「お気をつけて」
二人に手振りで合図しながら俺はラストの住む裏町へ向かった。
まさか数時間後にジェニーが攫われたとか聞くハメになるとは毛ほども思ってなかった
ワケで。
これが俺の長いクリスマスの始まりだった。
ワケで。
これが俺の長いクリスマスの始まりだった。