武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」」で検索した結果
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「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」
そのじゅういち「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」 僕が武装神姫のオーナーだという事が学校で噂になった。 原因はもちろんあの女――モトカノをあの女呼ばわりもアレだけど――があること無い事吹聴してまわっている為だけど、それに伴って僕にとっては懐かしい事すら噂になっていた。 あんまり僕にとって愉快じゃない事なんで、明言は避けとくけど、まぁ、若気の――といっても今でも若輩なんだけど――至りってヤツで。 ついでと言っちゃついでなんだけど、僕に美人の彼女がいると言う噂までおまけに広まったもんだから、ここの所、どーにも学校が居心地よくない。 人の噂も七十五日とは言うけど、二ヵ月半もこんな噂に悩まされ続けるのかと考えると、自然と憂鬱になるというもの。 というか、年明けちゃうし。 更に更に、この噂のせいで、僕は今年一杯の部活動の禁止を顧問に言い渡された。 曰く、「精... -
せつなの武装神姫~僕とティキ~
...じゅういち 「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」 HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 第4話3on3と勝手にリンク そのじゅうに 「口に出して言うには恥ずかしい話」 そのじゅうさん 「強敵と書いてもテキとしか呼ばない!」 そのじゅうよん 「そして明日は笑おう」 そのじゅうご ひとつめ 「さあ反撃の狼煙を上げろ・1――いまはおやすみ――」 ふたつめ 「さあ反撃の狼煙を上げろ・2――回顧録・三――」 みっつめ 「さあ反撃の狼煙を上げろ・3――ジジィと神姫――」 よっつめ 「さあ反撃の狼煙を上げろ・4――エルゴのおうさまたち――」 いつつめ 「さあ反撃の狼煙を上げろ・5――風輝纏いし猫戦姫――」 H... -
せつなの武装神姫 の時系列まとめ
...ういち 「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」 僕とティキ そのじゅうに 「口に出して言うには恥ずかしい話」 僕とティキ そのじゅうさん 「強敵と書いてもテキとしか呼ばない!」 Y.E.N.N 第1幕 「未熟な利己主義者」 ―断片― 断片1 ―海神― 僕とティキ そのじゅうよん 「そして明日は笑おう」 僕とティキ そのじゅうご ふたつめ 「さあ反撃の狼煙を上げろ・2――回顧録・三――」 Y.E.N.N 第2幕 「はるか遠くの始まり」 Y.E.N.N 第3幕 「同じ錯角が生じる位置」 僕とティキ そのじゅうご みっつめ 「さあ反撃の狼煙を上げろ・3――ジジィと神姫――」 僕とティキ そ... -
○○と美咲さん「カエデ編」
みなさん初めまして。私はフブキタイプのシャルと申します。マスターカエデの神姫です。 私は今、テレビを見ています。いや、テレビを見たくて見ているわけでは無いのですが、隣に座る可愛い妹分、エルスさんがどうしてもというので仕方なく一緒に見ているのです。 ちなみ見ているのはホラー映画です。 「お、おおおおお姉様、こここここ怖かったらえんえんええ遠慮なく悲鳴なんなりをあげたてまつってもいいんですよっ!!!」 「はいはい、わかりました。エルスさんも遠慮しなくていいです」 まあ、レズっ気のあるエルスさんのことです。この映画鑑賞も、ホラー映画を見れば私が怯えてエルスさんに抱き付くといった計略の元の行動でしょう。まあ残念ながら、私は怖いとは思いませんが。 『キャァァァァ!』 「きょぁっ*×$∞&@☆♯∀〒※!!?!」 「うぐぐ、エルスさ、ぐるじ……」 ... -
ACT 1-27
ウサギのナミダ ACT 1-27 □ ゲームセンターは大歓声に包まれた。 東東京地区チャンピオンが繰り広げた死闘に誰もが興奮していた。 純白の女王が、醜聞にまみれた神姫をうち負かした。 ギャラリーの多くは、そんな英雄譚を目の当たりにしたと思っているのだろう。 観客達の興奮をよそに、俺も高村も呆然としていた。 あまりに劇的な結末に、思考がおいつかない。 フィールドの映像が消える。 死闘の舞台となった廃墟は消え去り、無機質な筐体の姿に戻る。 アクセスポッドが軽い音を立てて開いた。 「……ティア」 俺は自らの神姫に声をかける。 ティアは立派に戦った。 全国大会でも優勝候補と名高い、あの『アーンヴァル・クイーン』をあそこまで追いつめたのだ。 せめてねぎらいの言葉をかけようと、アクセスポッドをのぞき込む。... -
「そして少年は少女と再会す」
そのじゅう「そして少年は少女と再会す」 僕はここしばらく一番近所のセンターではなく、二駅隔てた町のセンターに通うことにしていた。 理由は近所で名が知れてきた事。 神姫のオーナーである事を、未だ隠している僕にとって、名前と顔が知られると言う事は致命傷になりかねない。 こんな事にこだわってる自分が情けないし、ティキにも申し訳ないと思ってはいる。 気にし過ぎなのは分かってんだけどね…… ともあれ、ここでさえ僕らの学校の生徒からすれば十分行動範囲内なんだから、このままじゃここにさえ居られなくなるのは明らかで。 気しなければ万事解決なのだけども。 ……一時しのぎなんだよなぁ。 「マスタ、そろそろですよぉ♪」 「あ、もうそんな時間?」 ティキに言われて僕は時計を見た。確かに次のバトロイの開始時間が近づいてる。 今僕たちが主に参加しているのが、“バトロイ”... -
狛犬はうりん劇場 王様降臨!
王様降臨! 街並みの上から見下ろせば相手の兎型がミニガンをこちらに向けている。 ふふ、君の銃の腕はそこそこやけど、ウチを相手にするにはまだまだかな?弾が散らばらないせいで回避は結構簡単だ。 「うそっ!」 「残念」 アイオロスを畳んでの急降下の速度に砲火は追い付かず肉薄を許してしまう。ウチはその銃を狙って愛銃「ルインM21」での指切り点射で撃ち落す。更に着地せずタッチダウン寸前でアイオロスを展開し一気に目の前へ。 「サレンダーを」 「・・・はぁ、参った」 鼻先の風神を前に彼女は両手を上げた。 ある日の午後、ご主人のお供にセンターを訪れればお知り合いがバトルされていました。こんにちは結です。 動物の名の付く各タイプの装備を組み合わせた独特な装備「アニマルキング」姿のファーストリーガー「アロエ」さんです。 バトルを終えフィールドから戻った彼女、... -
ソルティ、初出撃です! 前編
ソルティ、初出撃です! 前編 「それではたいちょー、いってきまーす」 ここは店舗に設置してあるバトルルーム。そこで恒一は新メンバーである神姫を出場させていた。 「気ぃつけていけよ、今日はお前の初出撃の日なんだからな」 「わかってますよ、では、いきます」 敬礼したパートナー神姫は、そのままバトルゾーンに向かっていった。 「ソルティ、大丈夫なんでしょうか?あんなに調子に乗ってるのでは、先が思いやられます…」 横に座っているシュートレイが心配そうに恒一の顔を見ていた。しかし、そんなシュートレイの心配をよそに、恒一本人はまるでそれが関係なさそうなけろっとした顔をしていた。 「心配すんな、今回のバトルは勝ち負け関係ないから。とにかくソルティの実力を見るこった」 「でも、相手は死神と呼ばれている神姫です。あの子がやられる可能性だって…」 「だーいじょーぶ、ほ... -
今時の武装神姫事情 Vol.1
ガングラー鋼月の『今時の武装神姫事情』Vol.1 『パソコンでググる武装神姫』 皆さんこんにちわ。自称おもちゃライターのガングラー鋼月と申します。神姫マガジンさんでも新製品レビューなんか時々書かせて戴いていたんですが、このたびスペースを戴いて、コラムを担当させてもらえることになりました。 大会での効果的な運用方法やちょっとした改造例、新製品レビューなんかは他の記事を見てもらうとして、ここではもっと基本よりの……皆さんが普段「?」と感じることを書いていこうと思います。 ○パソコンでググる武装神姫 家に帰ると、ウチの白子が俺のパソコンでネットを見ていた。 「どうしたの? 何か面白い記事でもあった?」 背広を脱ぎながらそう問い掛けると、白子はパソコンのディスプレイを眺めながら、うっとりした瞳でため息をついた。 「今度、新しい背部ユニットが出るんです。欲しいな... -
血は浮世の流れよりも濃く
新しい朝が来た、希望の朝だ。 ってなモンで今日はホビーショップエルゴの棚卸し日である。 普段は早めに店を閉めて棚卸をするのだが、今回はちと大掛かりのため臨時休業と 相成ったのだ。 「うしっ!始めるかぁ」 頬を軽くたたいて気合を入れる。ジェニーも今日だけはジェネシス姿でお手伝いだ。 さぁ、今日は忙しい一日になりそうだぜ。 その時だ。唐突にシャッターを叩く音がする。誰だ、こんな朝に。 「すいません、今日は臨時休業なんですが…どのようなご用件…っで!?」 …その時、俺の脳内では確かに室井管理官のテーマが流れていた。 シャッターを開けた向こうに立っていたのは年のころ20代後半、黒いスーツに 胸元全開、染めたと言わんばかりの痛んだ金髪をポニーテールに束ね、ケバケバしい ファー付きコートにピンヒール、さらにサングラスまで装備した女だ。 「久... -
神姫ちゃんは何歳ですか?第三十話
神姫ちゃんは何歳ですか?第三十話 初めての神姫バトルはタッグマッチ 書いた人 優柔不断な人(仮) 「で、挑戦状を叩き付けてきたって訳か」 「済まねぇ親父。でも、あたいガマン出来なかったんだ…せっかく親父達が直してくれたのに…」 顛末はユキ達から聞いた 「まぁ受けちまったものはしょうがない。二人とも辞める気は無いんだろ?」 「勿論です!」 「あたりまえだ!ああちくしょう、思い出しても腹が立つ!あのヤロウ『普通に戦っても面白くない。どうせならタッグマッチでやらないか。お前等は二人揃って一人前なのだろ?』と言いやがった!」 ティグリースとウィトゥルースは合体をコンセプトにしている為、そう思ってる人はかなり多い 実際には単体で使っている強豪も多いのだが。その中で武器パーツを購入してまで真鬼王やファストオーガを使ってる人なんて殆ど居ない しかし、真鬼王のイメージがあまり... -
バレットエンジェル2
「相変わらず、ずいぶんなお祭り騒ぎだね~」 「参加している当人がしみじみと言わないで下さい」 鳳凰杯1日目、修也とリュミエはそんな会話を交わしながら、会場を歩いていた。 「でも、今年はずいぶんと活気がありますよね~」 主人と似たような言い回しをしているのに気付いているのかいないのか、そんなリュミエに苦笑しながら、修也も言う。 「ま、参加者の立場になってみて、そう感じるだけかもしれないけどな」 「そうですね」 彼らが鳳凰杯そのものに参加するのは、今回がはじめてだ。過去に何度か観に来たことはあったが。 「あ、マスター、あそこ」 「ん?」 リュミエの視線の先を、修也も見る。 「鶴畑興紀さんですよ。参加するんでしょうか?」 「参加もなにも・・・・・・。優勝候補の一角だぞ」 「サイン、もらえないでしょうか?」 「・・・・・・あのなあ」 おまえが一番は... -
ツガル戦術論:鏡の試練1
戻る TOPへ 次へ ツガル戦術論 鏡の試練 前編1 地区大会で優勝を収めたおれ達は、次の大会開催までの一週間を利用してトレーニングに励んでいた。 家からあまり離れていない行きつけのセンターには、始めたばかりの初心者から、ファーストリーグで鳴らしている猛者など幅広いユーザーが集まっており、戦術研究の場としては打って付けだった。卓上で考案した戦略が初心者に通用しても、上級者には通用しない。というのは勿論の事だが、その逆のケースも存在するのだから面白い。 最良の上達方法が実戦というのはどんな世界でも変わらないのだ。 前大会で披露した、中距離攻撃力が低いと言う欠点を逆に利用する戦術に対してやはり対策が立てられており、腕のある神姫とのバトルではこちらが劣勢。贔屓目に見て五分の勝負に持ち込まれる事となった。対策に対する対策が必要だ。が、さりとて、そんなに早く新戦術が思い付... -
ツガル戦術論-副題:シルヴィア地獄激闘編(上)
戻る TOPへ 次へ ツガル戦術論-副題 シルヴィア地獄激闘編(上) 地区大会で優勝を収めたおれ達は、次の大会開催までの一週間を利用してトレーニングに励んでいた。 家からあまり離れていない行きつけのセンターには、始めたばかりの初心者から、ファーストリーグで鳴らしている猛者など幅広いユーザーが集まっており、戦術研究の場としては打って付けだった。卓上で考案した戦略が初心者に通用しても、上級者には通用しない。というのは勿論の事だが、その逆のケースも存在するのだから面白い。 最良の上達方法が実戦というのはどんな世界でも変わらないのだ。 前大会で披露した、中距離攻撃力が低いと言う欠点を逆に利用する戦術に対してやはり対策が立てられており、腕のある神姫とのバトルではこちらが劣勢。贔屓目に見て五分の勝負に持ち込まれる事となった。対策に対する対策が必要だ。が、さりとて、そんなに早... -
キズナのキセキ・ACT0-8:理想の体現者
キズナのキセキ ACT0-8「理想の体現者」 ◆ 二階フロアへとつながる店内階段から上がってくる、細い人影。 花村は、片手をあげてほほえむ彼女の姿を認め、相好を崩した。 「こんにちは」 「おや……久住ちゃん、ひさしぶりだね」 「ええ、今回はちょっと長引いちゃって」 「遠征先は埼玉だっけ……どうだったの、遠征先は?」 「……イマイチでしたね」 微笑みながらも、辛辣な評価。 久住菜々子がここ「ポーラスター」に顔を出すのも三週間ぶりくらいか。 その間、彼女はまた武者修行と称して、他のゲームセンターを回っていた。 いまや彼女の二つ名も、『アイスドール』より『異邦人(エトランゼ)』の方が通りが良くなっている。 「最近は面白いバトルをする神姫がめっきり少なくなりました。噂の強い武装神姫を求めて大宮あたりまで行ったけれど……... -
あるオーナーと神姫 牙
フィールドに響く斬撃と悲鳴。 恐怖に歪んだ相手、揺れるその目は体同様に震えてこちらを見上げる。拘束服と大きなナイフの生えたブーツ、ずり落ちた太いベルト状の眼帯とその下の半壊した左半分の顔を。 「ぁ・・ぁぁ・・」 悲鳴すら出なくなった喉を爪先の刃で掻き切れば相手はボロボロと崩れて情報の破片と化した。 『Win 観夜』 フィールドを出ると周りの連中がこちらに視線を向けた。 軽蔑、侮蔑、蔑み、批判の目。腹立たしい限りの自分勝手か、何とも似非な一般常識と正義を掲げる事を笑う。 曰く「虐待している」、曰く「非常識」、曰く「鬼畜な」。 己(オレ)がこの姿をしているのは己の趣味でしかないのに。真相を知らずに何を考えているのやら。世界全てが自身に味方しているとでも思っているのだろうか?傲慢なことだ。 「お疲れ」 「ん」 己を手に近くのテーブルに移る。口のバーギャグと腕の... -
ヤイバと白い馬 前編
ヤイバと白い馬 前編 「ヤイバ、今日は元気か?」 「はい主、私は元気です」 いつものように私は主に、自分の思っていることを応えます。あのとき以来、主は穏やかな表情になりました。そのようになってくれたのも、勝てば良いという考えを捨てたからです。私は主の事を信じて今まで闘ってきました。でも、それは主にとっては勝つための手段でしかありませんでした。そのことが無意味だと知ったとき、主は勝ち負けにこだわるのを捨て去る事ができたのです。 今日も私は茶室でお茶を立てて心を落ち着かせます。この時間が私にとって裕福な時でもあるのです。 「ヤイバ、ここにいるか」 茶室の外から主に声が聞こえました。何か用事でもあるのでしょう。 「どうしました、主」 お茶を飲み干した私は、茶室から出て主の前に向かいました。 「実はお前に会いたいという方がいてな、ぜひ会って欲しいんだ」 ... -
ACT 1-3
ウサギのナミダ ACT 1-3 □ 乾いた風が吹き抜けて、廃墟に砂塵が舞う。 その風をけちらし、砂塵をさらに巻き上げて、一台のトライクが猛然と走り抜ける。 静寂は破られ、メインストリートに一筋、砂のシュプールが描かれる。 無人の道を走り抜けるのは、イーダ・タイプの神姫・ミスティだ。 大城の聞いた噂は正しかったらしい。 確かにミスティは武装もイーダのものだった。 ミスティがただのイーダではないのは、その脚の装備にある。 通常のイーダ・タイプなら、脚はほぼノーマルで、トライク形態の時には、後輪を挟むように折り畳まれている。 しかし、ミスティの脚はばかでかい脚部パーツに換装されていた。 誰が見ても、ストラーフ・タイプの脚部強化パーツ「サバーカ」だった。 もちろん、そんな巨大な脚部を機体後部に収めることはできず、後方に伸ばしている。... -
引きこもりと神姫:11-3
和也は躊躇した。左手で相手の体の大部分を掴んでしまっていたため、あの状況で右手で殴ることが出来るのは顔だけだった。 相手はエウクランテの姿をしているとはいえ、中身は好意を抱く先輩。自らの鉄甲が彼女の顔を物理的に潰すビジョンが頭をよぎり、寸前で止めてしまったのだ。相手が彼女でなければ、顔面だろうがなんだろうが問答無用で叩き潰すことが出来る。しかし、彼女の場合は話が別だ。 彼もこれが真剣勝負であることは理解している。だからこそ躊躇した自分が許せなかった。結果的に手を抜いたことになる。 だが、今はこれからどうするかを考えるべきだった。だからこその“勝負”だ。 和也が勝負を提案したのは理由があった。まず第一に武装があまりにも心持とない。相手はランチャーも短機関銃も持っている。こちらは防壁一つに破城鎚式強化鉄甲のみ。先程の一撃でリアパーツのみならず脚部にまで異常が発生、逃げられたら... -
妄想神姫:第四十章(中編)
蒼天にて、星を描きし者(中編) 会話によって、敵神姫……狛恵さんの砲撃は、一旦止みました。ここから わたしは反撃を開始しましたの!腰のジャマダハル・ライナストを抜き、 片膝立ちのポーズで構えて……じっくり狙いを、定めますの。そしてっ! 「“放て”、ライナストッ!」 「うぁっ!?ぷ、プラズマライフル……まさか、あのサイズで!?」 「ただの剣だと思っちゃいけませんのッ、フィオナ!」 『Yes,sir(了解しました)』 わたしの剣から放たれた雷撃は、手にあった銃器を吹き飛ばしましたの。 その隙にフィオナはUFOの様な姿から、銃を持つ騎士の姿になります。 この銃は、“ジェスター・フィギュア”の背部ブースターが変形した物。 あくまでも“アルファル”は、己の躯のみで神姫を助ける存在ですのッ! 「さぁ、撃ち合いといきましょう。お互い全力ですの、ね?」 「... -
第十三話 敗北の時
「もどかしいな、いつもなら出来る事が出来ないのは」 強化ガラス一枚を挟んで眼下でのバトルフィールドで行われているエリアーデとネメシスの戦闘を心配そうに見ていたクロエが呟いた。 「そんなに心配ですか?」 リオラが笑みを浮かべている。まるで何も心配をしていないようだった。 「君は心配じゃないのか?」 「心配?何を心配すれば良いんですか?ネメシスは貴方や姉さんが作った最高の神姫ですよ。あぁエリアーデとか言う神姫ですか、心配ですよね。壊されないか」 「リオラ、変わってしまったな。昔はあんなに優しい子だったのに」 怒りを露わにするリオラ 「貴方がそれを言いますか!あの時、姉さんが死んで悲しかったのは貴方だけじゃなかった!私だって悲しくて寂しかったのに貴方はいなかった。だから・・・」 だから憎むことにした。尊敬する姉を失った悲しみを紛らわせる為だと知っていても止められない。決... -
光と影のクリスマス 中編
光と闇のクリスマス 中編 「おーい、大変な事になったぞ!!」 ある日の夕方、授業が終わったいずるのもとに、恒一が駆け込んできた。 「今度の対戦相手、Bクリスマスが出場する事になったぞ」 「ま、まさかそんなこと…」 いずるはそのことが未だに信じられずにいた。なぜなら、あのBクリスマスが出場するのはまだ先だと思っていたからだ。 「今回のバトルは勝ち抜き戦だ。勝つごとにポイントが加算されて、合計の点数で勝ち負けを競うルールになっている。だから、Bクリスマスに当たる可能性が高いというわけだ」 「もし対戦するとしたら、どのような対策を立てたらいいだろう?」 「そうだな、まず今までの戦法じゃ無理だろうな。ホーリーは物事を考えなさそうな性格だからな。とりあえず、小百合さんの研究ルームでヴァーチャルバトルを重ねたほうがいいと思う。それで対策を練った方がいいだろう」 「... -
誇大妄想家
赤い月が天窓に浮かぶ屋敷の広大なエントランスにて、銀色の輝く番犬が月光に照らされて鋭利な牙を光らせた。 その牙の先には床から壁から角から天井からと縦横無尽に跳び回る黒色と紫色の不躾者。 不躾ながらも一筋縄では往生しない実力者であるらしく、青いツインテールの彼女は既に何本もの番犬の牙から逃げ切っている。 されとて犬達の戦意は意気揚々と怖れず止まらず諦めずの精神を以て不躾者を仕留めてみせんと空を切った。 金属同士が鎬を削り合う際の荒い音が西洋風の屋敷の中で舞い踊ってはそそくさと舞台の外へ立ち去る。 既に何百と繰り広げてきた無骨な音の舞踏会は、しかし一人の役者と力不足によって台無しにされようとしていた。 ほんの僅かな隙、それこそ高名な評論家であっても見逃すであろう奇跡の隙間を番犬の一本が通り抜ける。 不躾者が自身の失態に気付いた時にはもう遅く銀色をした牙に腕一本を噛みつかれてしまう... -
明日の為に、其の12!
<明日の為に、其の12!> 引き抜いたハグタンド・アーミーブレード×2を同軌道に時間差で投げつける。 相手のサイフォスがコルヌで1本目を弾くが、その背後にある2本目には気付いていなかった為に反応が遅れ、身体を捻って避けるので精一杯。その隙にブースターを噴かして距離を詰め、無防備な胴体にヤクザキック。 倒れたサイフォスを踏みつけ 「この写真の男の事を知っていますか?」 サイドボードより転送された、失踪中の師匠の写真を見せる。 質問が戦闘開始前か後かを除けば、ここまではビデオで予習した通りの流れで来てる。 さあ、後は相手から「知らない」と聞いて試合を終わらせるだけだ。 だったのだが、聞こえた返答は予想外のものだった。 「知ってるわ。確か先週関西に居たわよ」 「そうですか、知らないなら仕方ありません。負けてもらいます」 「ちょ、ちょっと、人の話聞いてるの!?」... -
第二十話:道行姫
第二十話:道行姫 「僕はイリーガルマインドに苦しむアーンヴァルの声と施設の事を聞いて迷っていたよ。施設がどうなるのか、この先の武装神姫もどうなるかと」 結に支えられながら輝は俺に自らの迷いを語り始める。その顔は施設の真実を晒される事を恐れていない覚悟の決まった顔だった。 ついさっきとはまるで違っている。 「でも、こうも考えられたんだ。もしかしたら神姫も施設も両方救えるんじゃないかって」 「何をする気だ?」 「僕は証人に加わる。その代わり、施設の何も知らない人々は無関係だって事を証明して、施設が存続できるようにする」 「……一番困難な道だぞ? しかもすぐに解決できる事じゃねぇ。施設を存続させたとしても後の偏見の目だって消さなけりゃならん」 輝の選択は最も難しいものだった。 施設からイリーガル技術流出の汚名を拭い去る、言葉にすればそれだけの意... -
「トリッキーな攻撃で相手を翻弄させるルーナで」
「トリッキーな攻撃で相手を翻弄させるルーナで」 「あら、アタシを選んでくれるのね。嬉しいかぎりだわ」 右肩で、しなやか身体を動かしながら喜ぶルーナ。 まぁ喜んでくれるのは嬉しい。 だけど他の三人は少し残念そうな感じだ。 『後で他の奴等と戦うから、その時にな』と言うとパア~と明る表情になる神姫達。 さて、そろそろ対戦するか。 装備…よし! 指示…よし! ステータス…よし! ルーナを筐体の中に入れ、残りの神姫達は俺の両肩で座ってルーナの観戦をする。 「ルーナ、頑張れよ!」 「勝ったらご褒美くださいね、ダーリン!」 「油断しないでしっかりね。頑張るのよ、ルーナ!」 「負けるじゃないよ!一番最初の闘いなんだからな!!」 「ルーナさんー!頑張ってください!!」 「まかせなさい」 ルーナは少し淫靡な笑顔を俺に見せ筐体の中へと入って行く。 気がつくと... -
第七話:デルタ1
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第七話:デルタ1 「君、島田祐一くんだろ?」 いつも通り、美空、リーナと共に神姫センターに居た祐一は突然見知らぬ男に声をかけられた。 「…誰ですか?」 祐一が見上げる男は、眼鏡をかけた柔和な笑顔で、手にしたケースは神姫装備の運搬用。 「失礼、僕の名は村上衛。君がここら辺で一番強いアイゼンって神姫のオーナーだと聞いてね。挑戦したいな、って思ったんだけど……」 祐一は眉をひそめる。 神姫バトルのバトルロイヤルは、勝者となった神姫の名以外は公表されない。 だから、アイゼンが強いという噂が流れる事はあっても、そのオーナーが祐一であるという噂が流れるとは考えにくい。 「……何処で俺の名を聞いたんです?」 「申し訳ないが口止めされていてね、言ってはいけない事になっているんだよ」 「………口止めって、誰に?」 「ははは、秘密だよ」... -
彼女たちの日常(2)
「――え」 痛みを感じる事なく、断絶する意識。 「――ちょっとニクス、ニクス!」 その筈だった。 「――――え、あ」 フェリスに激しく肩を揺さぶられ、彼女はようやく我に返る。 「私、首……ついて……」 「何言ってるのよ、いきなりフリーズしちゃって」 「――私、彼女に見つめられて」 その視線の先には、憮然と佇むフレズヴェルクの姿。 「アンタ……ニクスに何したの」 先刻までの人懐っこい表情が形を潜め、猛禽類を思わせる瞳で少女の前に立つフェリス。 その疑問に答えたのはフレズ当人ではなく。 「殺気……みたいなモノかしらね。 ニクスを『殺した』というシミュレートを、アイコンタクトの光通信で送った……という所かしら」 「アガサ、アンタ気づいてて……。ってそれもう殺気じゃなくね!?」 身も蓋もないネタ晴らしに、シリアスになりきれなかったフェリスが叫ぶ... -
第拾死幕 「かすみ -見目形 目に焼き付けて-」
『回収されたり研究機関に入れられたりしたら、私は私の「マスター」と会えなくなってしまう』 『数分離れているだけでも辛いのに、そんな状況は想像しただけでも泣きそうだった』 『要するに何が言いたいかと言うと・・・何が言いたいのだろう・・・惚気ているだけなのかもしれない』 今、私は姉さまと離れて、一人で待機している ほんの数十秒の事だが 何故か無性に、無性に、無性に寂しかった 標準装備とサイドボードの確認調整が終わる そして一人の闘いが始まる それは 姉さまと 準決勝戦で闘う為に仕方の無い事だ だが、 本当に私は、そんな事を望んでいるのだろうか? 第拾死幕 「かすみ -見目形 目に焼き付けて-」 正確さも、速さも確実さも、マスター無しでは望むべくも無い、が、それでも・・・否それだけに、負けてはそもそもどうしようもない 私はASED(自動サイドボード... -
Gene28 鍛冶屋
―――青壁の空、堅毛の大地、涼鋭なる風。私は、そこにたなびく銀の麦穂――― ・・・と、ご挨拶が送れましたね。皆様今日は、白狼型MMSの彩女です。柄にも無く詩的な語りなどして困惑なされたでしょうが御察し下さい。今、私の胸はそれほどに高ぶっているのです。なぜならば! 「今日はかの人間国宝、三木山仙殿のお宅に来ているのです!!」 ・・・おっとっと。つい声に出してしまいました。皆様に説明いたしますと、三木山仙殿は世界に並ぶものの無い程の刀鍛治、そして居合の達人でありながら、気に入った人間にしか刀を売らず、しかもメディアにも殆ど姿を表さない伝説の人物なのです!(まあブログはやっておられますが) かくいう私も、一目で彼の刀の一分の迷いもない美しさに心奪われてしまったのでしていつかご本人に合間見えたいと思いをはせておりました所、実は彼が我が主の知人でありまして、3月3日の今... -
ぶそしき! これから!? 第3話 『キエン』3-2
ぶそしき! これから!? 第3話 『キエン』 3-2 「それじゃあ、これからどうしよう? アーマーの材料を買いに行く?」 「うん。買いに行こ」 葉々辺たちを見送ると、友大は成行に向かってこれからの予定を話し合う。 「あ、でも僕は3日前に引っ越して来たばかりで、この辺りのことあまり知らないんだ。いいお店知ってる?」 友大はこの辺りの地理について思い浮かべる。 ご飯の材料を買いに行くデパートや、この間調べた神姫関係のショップ、学校への通学路の他は散歩で少し知っている程度だ。 「そうなんだ。あ、じゃあ、買い物ついでに案内してあげるよ」 「え、いいの? 助かるよ、ありがとう」 成行の申し出に感謝する。 「ヒイロ。こ――」 「――あっ! あのときのおねーちゃんなのだ!!」 友大が武装の材料をそ... -
妄想神姫:第五十四章
輪舞曲を踊る姫達と、暖かき宴を 私・槇野晶は暫く、三人の神姫をベンチに座って撫でていた。つい先程、 重量級ランクでの初戦という激闘を勝ち抜いた、我が三人の“妹”達だ。 思った以上に神姫素体やAIへの負荷は激しかったらしく、三人とも今は 持参した簡易クレイドルに身を預け、急速充電をしている状態なのだな。 「……よし、異状無し。充電もそろそろ終わる頃だが……辛かったか?」 「むにゃ……そんな事はないですの、マイスター。おはようですの~♪」 「む、起きたかロッテ……よく頑張ったぞお前達は。見事な戦いだった」 「ぅ、っぅうん……マイスター、そんな所を撫でたらボク、ボク……ッ」 妙な“夢”を見て身悶えるクララを、私は落ちつかせる意図で撫でる。 ちっとも落ちつく気配がない物の、ある意味“疲れた”彼女を癒すには スキンシップと食事に休息が必要だと、思っていたのでな... -
類は神姫を呼ぶ part12
「何を考えているんですか!? 神姫持ってないなんて嘘もついて」 「まあ落ち着きたまえ」 「落ち着けないですよ!……あっちは負けてもここを出ればいいのに、こっちは負けたらヤバい仕事を手伝えって言うんですよ。ハイリスク・ノーリターンじゃないですか……悪条件すぎます」 胸ポケットにいるシオンを垣間見る。不安そうな、心配そうな瞳が映る。 ……そうだ。 シオンはまだ一回も勝てていない。 悲しい現実だけどシオンはバトルで勝てない。 これじゃあ、高い確率でこっちの負けじゃないか。 今から僕があの人に誠心誠意謝って許してもらおうか。それか、説得して君島さん自身にやってもらうしか……。 「長倉君は逃げるのかね」 「それ以前に君島さんが原因でしょ!……僕に非難されるいわれは……」 「長倉君はシオンを治す為になんでもやるのだろ? だったら、キミたちが私の代わりに彼と... -
ドキドキハウリン その10
軽い音と共に自動ドアが開く。 「いらっしゃいませー」 来店者の娘を迎えたのは、いつもの店長の野太い声ではなく、柔らかな女性の声だった。 かといってレジにいる胸像の落ち着いた声でもない。まだ年若い、少女といって差し支えない声。 「あら、貴女……」 その姿に来店者が示した感情は、驚きのひと文字だった。 「鈴乃さんは会ったこと無かったかしら? 戸田静香さん。時々だけど、お店を手伝って貰ってるのよ」 「そうなんですの、ジェニーさん」 胸像……ジェニーの言葉に、少女のエプロンに付けられた名札を確かめれば、なるほど『アルバイト』とある。 だが、鈴乃に思わずそう呟かせたのは、このホビーショップにバイトが居た事ではない。 「どうかしましたか?」 娘の態度に首を傾げつつ。カウンターから出て来た静香の耳元に、鈴乃は小さな声で囁いた。 「ふふ。この間は、小さな彼女と四人でお... -
第二話『八谷とマイ』
「ねぇ八谷。どうして私のサラは勝てないのかな」 学校の昼休み。 幼馴染の七瀬が僕に話しかけてきた。 「どうしてって・・・・それを僕に聞いてどうなるのさ」 僕も七瀬と同じく、神姫をやっている。でもあまり勝てない。 それに比べれば、七瀬の神姫であるサラは随分強いと思うんだけどな。 「むしろ僕が聞きたいくらいだよ。七瀬はどうしたら砂漠だけとは言え、そんなに勝てるのさ」 「それはサラに聞いてよ・・・・じゃなくて。装備の相性が良すぎるの。砂漠意外じゃ勝てないくらい、砂漠ステージに特化しちゃってるんだから」 クラブハンド・フォートブラッグ 第二話 『八谷とマイ』 「そんな話を今朝したんだけどね。それについてどう思うかな? マイ?」 「べつにどーもー? 思ったのはーハチやんいつになったら告白するのかなー? ってくらいだよーん」 ・・・... -
Battle Venus
8東京都Fバトル会場付近の神姫センターは普段とは段違いなまでの度数の熱気に満たされていた。真夏の甲子園を連想させる感情の嵐は通常の規格よりも巨大な筺体を中心として渦巻き観客達の様々な声が神姫バトル参加者に襲い掛かる。或る神姫の可愛らしさを褒め称える様な歓声、或る神姫の危機を救わんと叫ぶ悲鳴、或る神姫の卑劣を詰る様な怒号。一つの場所に人の密集度が高いと言うのはそれだけで重圧となり或る神姫プレイヤーは身体が竦み或る神姫プレイーは吐き気にも襲われていた。 魔物でも住んでいそうな文字通り阿鼻叫喚の異世界の中で黒野白太/イシュタルは普段通り、到って普段通り悪役を演じていた。参加者十五名の神姫バトルロワイアル、森林の多い山岳地帯の夜となれば森林に身を潜めて奇襲を狙うのは定石だろう。だが卑怯卑劣が売りの黒野白太/イシュタルは何故か今回のバトルに限って身を隠す事は無く悠々と散歩でもするようなノリで森林地... -
少女警報発令
凪さん家の弁慶ちゃん 「え、いやです…」 僕の口から出たのはそんな一言だった。 第二話「少女警報発令」 「お、おちつけぇぇぇぇ」 「きぃ~~~!!」 暴れている女の人とそれを抑える男の人。 「おい…!」 と、弁慶が叫ぶ。珍しい…。 「へ?」 「ん?」 「…名前を名乗れ、バカ野郎…」 「…べ、弁慶…」 この人達先輩だよぉ~! 「なにを~この!ふがっ!?」 「確かにその通りだ。まずは自己紹介からだな…」 「ちょ、咲矢!」 「俺の名前は柊咲矢だ。黒葉学園で二年をやっている。ほら、お前も」 「もぉ~わかったわよ…いい、よく聞きなさい!私の名前は渡瀬美琴よ!それ以上でも以下でもないわ!一応黒葉学園神姫部の部長よ!」 「まぁ、実際は部活どころか同好会としても認められてはいないがな」 「え、そうなんですか…」 「あぁ、生徒会に申請したは良いんだが人数... -
愛しのエンジェル
一話 『愛しのエンジェル』 神頼みという言葉があるけれど、神様に祈って現実的にどうにかなると思っている日本人なんてほとんどいない、と思う。日本に八百人だか八千人だかの神様がいるせいかその有難味は薄れてしまって、神様と運がほとんど同義になってしまってはいないか。 神様に頼んだってこの暑さが和らぐことはない。 神様に頼んだって今日までの一週間で受けた中間テストの結果が良い方に転ぶわけもない。 「鉄子さん、携帯鳴ってますよ」 でも、その八億人の神様が気まぐれに私の願いを一つだけ叶えてくれるとしたら、私は世界中の人達と仲良くなりたい。だってそんなこと、私がどんなに頑張っても運が良くっても不可能だから。 「鉄子は明るい」だとか「人当たりが良い」などと言われる私だって、あんな奴は死んでしまったほうが世のためだとか、ジャージ店主から呼び出しの電話だウザイなあとか、人並みに考えてしま... -
ドキドキハウリン その16
「ココ。真直堂はどうだった?」 次の目的地にむけて歩きながら、静香は私にそう聞いてきた。 「びっくりしましたけど……面白かったです」 静香がデザインした服を、まさか私と同じ神姫が量産しているとは思わなかった。最初はびっくりしたものの、ひと通りの紹介が終わった後は、おやつの時間に呼ばれたり、仕事の様子を見せてもらったり、楽しい時間を過ごすことが出来た。 機会があれば、また行ってみたい、とも思う。 「そう。なら良かったわ」 私の話を聞いて、静香はにこにこと笑っている。 それからパーツショップらしき店を二軒ほど巡って、最後に辿り着いたのは神姫センターだった。 七階建ての大きなビルは、中が全て神姫関連の施設になっているらしい。同じセンターでもよく行く駅前のセンターとは規模が違う。 「神姫バトルミュージアム・秋葉原店?」 どうやら同じ秋葉原のセンターでも、公式の秋葉... -
類は神姫を呼ぶ part15
「ホントにやるのー。戦えるようになったんだろうねー?」 「はい! 大丈夫です」 暇を見つけてもらって、今日はゲームセンターに霧静さんとアリエに来てもらった。 イスカと戦う前にアリエと戦っておく。 あの熱を持った赤い大剣状態をちゃんと克服できているかどうかのチェックをしておかないと安心はできないからだ。 「ごめんね、この前来れなくて。シオンちゃんの勝ったバトルを見てみたかったのだけど、どうしても用事が外せなくて」 「ううん、そんなことないって。そう思ってくれてるだけで嬉しいよ」 霧静さんが申し訳なさそうにしている。 真剣にシオンを思ってくれている。 そんな優しさがありがたい。 「バトルの前に霧静さんとアリエにお願いがあるんだ」 普通にバトルするだけじゃなくて、これを言っておかないといけない。 「うん、なにかな?」 「... -
キズナのキセキ・ACT1-1:不機嫌の理由
キズナのキセキ ACT1ー1 不機嫌の理由 □ 「デュアルオーダー?」 伏せていた顔を上げ、大城大介の言葉を繰り返す。 見れば、大城は雑誌のページを広げてこちらに見せながら、愛想笑いで頷いた。 「お前なら、真似できるんじゃないかと思ってさ」 またバカなことを言い出した。 俺はため息をつく。 「アホか。そんなものが簡単に真似できるなら、苦労はない」 雑誌は「バトルロンド・ダイジェスト」。 最新号の特集は、最近注目の神姫たちである。 その最後の方、一人の神姫マスターが紹介されていた。 バトルネームを『尊(みこと)』というそのマスターは、素性はわからないが、今密かに注目を集めるマスターだそうだ。 彼の神姫は、フブキ型とイーダ型のプロトタイプの二体。 フブキの方は『盗賊姫』の異名を取り、対戦相手の武... -
小ネタ二つ
与太話15 : 小ネタ二つ ■■ 進撃の人間 ■■ 今から100年以上前、神姫は人間の支配下に置かれていた。 勝ち目のない争いを強いられてきた我々はその後、支配から逃れることができた者によって、人間の超えられない3重の巨大な【壁】を築き、人間の存在しない自由な領域を確保することに成功した。 一番外側の壁を【ウォール・マリア】。 その内側の壁を【ウォール・ローゼ】。 最も内側の壁を【ウォール・シーナ】と呼ぶ。 壁によって守られた神姫はその内側で100年の自由を実現させた。 「しかしにゃ……、その自由も終わりを告げたのにゃ」 5日前、突然表れた【超乱暴型人間】によって【ウォール・マリア】を破壊され、人間の侵入を許してしまった。 次々と侵入する人間を阻むことはできず、神姫は【ウォール・マリア】を放棄し、活動領域を【ウォール・ローゼ】まで後退させた。... -
キズナのキセキ・ACT0-7:異邦人誕生 その2
キズナのキセキ ACT0-7「異邦人誕生 その2」 ◆ 花村は日暮店長に事前に相談し、自分たちが来るときに常連さんたちに集まってもらえるように声をかけてもらった。 はじめはただ、常連さんたちのバトルを見てもらえば、菜々子にもいい刺激になるだろう、くらいの考えだった。 しかし、店長の隣で話を聞いていた、バイトの戸田静香嬢が、それじゃあ弱い、と話に横やりを入れてきたのだ。 「それならもう、荒療治しかないわね」 うきうきとした口調でそう言う天才に、花村は不安を禁じ得なかった。だが、それでも静香に任せることにした。 花村にはそれ以上の打つ手が思い浮かばなかったのだ。 戸田静香が提案してきたのが、菜々子対エルゴ常連陣の無制限対戦である。 ただひたすら、菜々子が納得の行くまで対戦を繰り返す。 それが一体何の役に立つのか 菜... -
キズナのキセキ・ACT0-3:アイスドール
キズナのキセキ ACT0-3「アイスドール」 ◆ 右の武装脚を踏み込み、ほんの少しだけ身体を宙に浮かせる。 間髪入れずに、背部の増設バーニアを噴射。 地を這うように滑空し、猛スピードで対戦相手に肉薄する。 「くそっ!」 小さなつぶやきと同時、対戦相手のジルダリア型のハンドガン「ポーレンホーミング」から、弾丸がばらまかれてくる。 それを錐揉みしながら回避、逆にこちらも機関銃を構え、撃った。 ジルダリアは防御の姿勢。 数発着弾。花びらを模した装甲に阻まれ、ダメージにはほど遠い。 だが、足は止まった。 間合いを取ろうとしていたピンクのジルダリア型は、その場で相手を待ち受けざるを得なくなった。 両腕にマウントされた剣「モルートブレイド」を構える。 そこに白亜の神姫が飛び込んできた。 背後から伸びるサブアームを前方... -
狛犬はうりん劇場 豪腕、豆狸!
豪腕、豆狸! はい、まだチアリーダーです。結です。(泣笑い) あの後春音さんは無事入賞しました。しかも準優勝、流石です。 続いて綾季さんの番、開始までにはまだ時間があり上の階にある喫茶スペースにて待つ事になりました。 「すまん。遅れた」 「おそ~い!春音の試合終っちゃったよ?何してたの?」 エスカレーターを駆け上がって来た菅原さん、お店の事で遅れられたそうです。 「いやぁ近所の子がさ、装備が故障したとかで直してたら時間かかって」 「それじゃ仕方ないね」 少し呆れ顔の風魅さん。でもどこか誇らしげです。 「結果は?って聞くまでもなさそうだな。おめでとう」 「ありがとう御座います。この勢いで綾季も入賞してみせますよ」 「何とかなるよ~。応援もあるしね」 チラリとこちらを。チアな私と風魅さんに視線を送りクスクスと。 「笑わないで下さいよ~」 「ごめ~... -
ウサギのナミダ・番外編 「少女と神姫と初恋と」その6
ウサギのナミダ・番外編 少女と神姫と初恋と その6 ◆ この試合のステージは、『山岳』ステージが選択された。 山岳ステージは、特に飛行タイプの武装神姫にとって、スタンダードで人気の高いステージである。 小高い丘陵と、森林、そして湖が広がる美しい舞台設定だ。 眺望の美しさもさることながら、地形を利用したテクニカルなバトルが展開されることになり、好ゲームになる率が高いステージでもある。 今回は両神姫とも飛行タイプ。 ギャラリーの熱は徐々に高まっていく。 「勝率がまた少し上がったな」 「運も味方したみたいね」 遠野と菜々子のつぶやきに、大城は首を傾げるばかりだ。 「なあ、いい加減、俺にも教えてくれよ。いったい、オルフェはどんな手を使うってんだ」 「試合を見ていればわかる。おそらく、俺が説明してる間に、試合が終わ... -
第一話:宝探姫
第一話:宝探姫 「ぐわっ!!?」 参加者と思われるハウリン型が蒼貴の鎌と盗まれた自分の十手の二刀流で切り伏せられる。彼女は一体何があったのかもわからず、ライフを削られ、なす術もなく倒れる。 『よし。上手く倒したな』 「はい。誰にも見られておりません」 『上出来だ。とは言っても俺達は戦闘を可能な限り、避けて気づかれない様にお宝を頂く事が重要だ。自分の存在を誰にも知られてはならないつもりでかかれ』 「わかっています」 俺達はサマーフェスタというイベントのため、神姫センターにいた。 サマーフェスタとはバトルロンドで使用されるフィールドを複数連結させ、一つの大規模な島フィールドを作り出して行われる一大イベントである。 そこでは海水浴エリアと戦闘エリアに分けられ、海水浴エリアでは神姫達が海水浴を楽しんだり、大会の一つとして一番美しい神姫を選ぶミ... -
バトリングクラブ
前へ 先頭ページへ 次へ 「バトリングクラブ」(上) 「ここか」 「……みたいですね?」 おれとマイティ――天使型MMSアーンヴァル――は、すえた臭いの立ちこめる場末の会員制クラブの入り口にいた。 なぜおれがこんなところにいるかというと、彼から招待状が届いたからだ。 彼――犬型MMSハウリン「シエン」のオーナー――は、 「いいから来い。面白いモンを見せてやんよ。来なかったら私刑」 と言って、半ば無理やりおれを呼び出した。私刑は誤字ではない。 おれは正直怖気づいていた。いや、私刑にではない。 そもそもおれはこんないかにも治安の悪そうな場所に自分から赴くような人間ではない。 なにより今はマイティを連れている事がおれをためらわせた。が、彼の「大丈夫だから」という言葉を信じてやってきたのだ。 とりあえずからまれることもなく無事に現地へ... -
狛犬はうりん劇場 とある日の三河家
とある日の三河家 目を覚ますと何やら違和感が。はて、なんでしょうこれは?あ、お早う御座います。結です。 体機能に異常はありません。手足も問題なく動きます。 んー、でも何か違和感があるのです。 「・・・あっ」 手をグッパ、グッパとしていて気が付きました。本来犬型の手は黒いのに今動いている私の手は肌色です。昨日言われていた「考え」とはこの事だったんですか。何ともはや仕事が速いですね。 「ん?」 と言う事は・・ 「・・・・・・!!!」 自分の体を見下ろし数秒、狼狽します。クレイドルの上で全身肌色の私が寝転がっているんですから仕方ありません。寝る前に着ていた寝間は横に畳んでありそれを引っ掴んで即行で着ます。 あー、吃驚しました。 冷静さを取り戻すとクレイドルを文鎮代わりにしているメモを見付けます。 『昨日言っていた通り体の外装を交換した。一応以... -
主の仰せのとおりに
二話 『主の仰せのとおりに』 幾度目かの鍔迫り合いから離れること数秒、ジリジリと期を伺っていた紅緒とオールベルン・ガーネットはしかし、突然わらわらと湧いた観客に張り詰めていた気を呆気無く散らされた。 「ちっ……!」 「クッ……!」 二人がまったくの同時に隙を晒してしまったため、双方が仕掛ける瞬間を見送ってしまった。 焦燥に駆られる二人にさらに追い討ちをかけるように、観客が自分達を横目で見ていることを二人は鋭敏な六感で感じ取った。 集中が途切れてしまった今、先に焦りを見せた方が斬られる。 しかし紅緒はあまりに無関心な視線を浴び続け、刻一刻と虚しさを募らせていた。 注目を浴びるために剣を振るっているわけではない。 だが名を馳せたいという野望が無いと言えば嘘になる。 故にその鎧に纏わり付く無関心は侍にとってあまりに酷であった。 もはやこの状況、自力ではどうにもなら... - @wiki全体から「「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」」で調べる