武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「妄想神姫:外伝・その二十四」で検索した結果
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妄想神姫:外伝・その二十四
現(いまどき)の神姫──あるいは祭 世間では、物の見事にお盆である。一般の人々は行楽の時だろうが、 接客業となれば暇か忙殺か、どちらかしかない。さて、私・槇野晶が MMSショップ“ALChemist”を置く秋葉原はと言うと、表通りを中心に 何処から集まったのか……とボヤきたくなる程の混雑を見せている。 「と言っても分かってるんだよ、マイスターもさっき行ってきたもん」 「これクララや、人の思考を勝手に継ぎ足すでない……とはいえ、な」 「ぁ、あぅぅう……鳳凰杯の比になりませんよぉ~……有明と幕張~」 「アルマお姉ちゃん、すっかり熱がこもっちゃってますの~……もう」 「やむを得まい。日中“行軍”して、これから店を開けるのだしな?」 そう。今年は久しぶりに、皆を連れて“祭典”へと行く事にしたのだ。 察しのいい諸兄なら分かるだろう、欲望渦巻く夏冬二回の“アレ”... -
妄想神姫:外伝・その二十
楽しい、来客──あるいは葵の日常 今日もMMSショップ“ALChemist”は大盛況~♪……と言いたいですが 地下にある玄人向けのお店ですから、平日は割と静かな環境ですの。 あ、申し遅れました。わたしは神姫三姉妹の次女・ロッテですの~♪ ……マイスターが忙しい時は、レジでお留守番するのが日課ですの。 それはHVIFを使って“葵”となっている日でも、代わりません。 「消化不良には大根ですか~……晶お姉ちゃんにも実践ですのッ」 「……や。見るからに外国人の少女が、主婦御用達の情報番組ね」 「ふぇぇぇっ?!あ、お客様……い、いらっしゃいませですの♪」 にゅっと顔を出したお客様に突っ込まれましたの……一応接客業ですし 実際の昼食は遅めにしているので、ついついテレビを見てしまいます。 そのお客様は、ラフな服装の男性とハウリン……に限定版ストラーフ。 ハウリン... -
妄想神姫
妄想神姫:メインメニュー 注意 本作品は“突飛な設定”の類を多分に含有しております。 意図的に行っているので、その手の要素を苦手とする方は 閲覧に細心の注意を払って下さいます様、お願いします。 あらすじ 登場人物紹介 本編 外伝 後日談 各種解説 おまけ 協力・引用 あらすじ アキバの隅にMMSショップを構える幼女店長、槇野晶。 彼女の側には“妹”と言うべき、三人の武装神姫がいた。 長女“アルマ”と、次女“ロッテ”に、三女“クララ”。 これは、そんな姉妹のマッドで百合気味な日常とバトル、 更に武装神姫を逸脱気味なメカを、妄想のみで綴るお話。 登場人物紹介 登場人物MMSショップ“ALChemist” ライバルの神姫達 黄昏よりの使者+α(ネタバレ有り) 本編 序章 「苛烈なる少女?と、目覚めし神の姫」 第一章 「晴れた日には、2... -
妄想神姫:外伝・その二十六
最新の技術──あるいは公式の武装 さて、我が店“ALChemist”はMMSショップである。ともなれば、当然 一般流通している神姫や、時には一部の限定品も販売せねばならん。 が、ただ売るだけでは面白くない。客のオーダーに合わせて、武装を 寄せ集めて全く別の神姫に見立てたり、改造や調整もこなしている。 『というわけで、晶さんにはウチのサオリに着せる第六弾の装甲を!』 『公式の武装をメインフレームにしつつ戦闘法に合わせた調整を、か』 『そそ。そもそもサオリ自身を調整してくれたのも晶さんだしね……』 こういう経緯で私・槇野晶が引き受けた仕事も、その一環である。一応 アフターケアの意味も兼ね、私に武装調整のお鉢が回ってきたのだな。 そして眼前には、梱包から取り出した第六弾の武装パーツが存在する、 今からコレを、神姫・サオリに適したデザインと能力に改造するのだ... -
妄想神姫:外伝・その二十七
舞い踊る秋──あるいは少女の危機 長かった2037年の夏も、俄に秋の様相を呈してきた。しかしだ、 当代に於いて人々の情熱が冷えていくのかというと、そうではない。 むしろ踊り明かす事で自分達を体現し、エネルギーを発散させる者も 存在する。私・槇野晶と“妹”の神姫達は、今“それ”を見た所だ。 『はい、香耶!皆、いいね!行くよッ!それそれそれそれぇぇっ!!』 『エト!遅れないで、あたい達の“魂”を人に見せつけるんだよッ!』 『は、はいっ!そ、そぉーれっ!!それそれそれっ!……ととっ!?』 その名は東京よさこい。2000年に入るか否か、という所で始まった 一種の“ダンスフェス”とでも言うべき新しき祭りだ。私は本来、全く この手の催しに興味がなかったのだが……第三十八回を数えた今年は、 神姫を愛するマスターとして、そしてMMSショップの店主として、是非 見て... -
妄想神姫:外伝・その二十一
叡智、輝いて──あるいは梓の日常 Σはつまり……あっ、気付かなくてごめんなさいなんだよ。ボクは、 犬型神姫のクララ……と言っても、この姿じゃ全然説得力無いかな? 今ボクは人型神姫インターフェイス・HVIFを装着して、学習塾の “一応塾”って所に、女子高校生・槇野梓として通っているんだよ。 「講義をおわーるッ!はい君達、次の時間まで自習しなさーい!」 「……ん。相変わらず、金鉢先生のは歯応えがある授業なんだよ」 「ん~……ねえ、もう出ていいでしょ?はぁい皆、そして梓さん」 「そっちも結構お疲れみたいだね、ジュピジーの“綺羅”さん?」 「あら分かる?神姫だって、ずっと同じ姿勢は大変なのよね……」 隣の友達が持つバッグから這い出してきたのは、種型神姫の綺羅さん。 この塾では、神姫等の“ホビー”を持ち込んでも講義中に使わなければ お咎めはないんだよ……流石... -
妄想神姫:外伝・その二十八
隣は何をする姫ぞ──あるいは晩秋 秋である。景色がセピア色からモノトーンへと遷移し、人々や神姫の “心”にも変化をもたらす時期である……そして、『何とかの秋』と 散々使われるフレーズが示す通りに、その変化は様々なアクションを 行わせる不思議な力を持っている。何故、わざわざ秋なのだろうか? MMS部品を買いこんだ客を見送りつつ、私・槇野晶はそう考える。 「はむはむ……やっぱり焼きたてが一番おいしいですの~♪あむあむ」 「こらこらロッテ、食べすぎると……ガスは出ぬが、腹に溜まるぞ?」 「今なら大丈夫ですの!食事機能のエネルギー変換効率がいいですの」 「……そう言う物なのか?さしずめロッテは“食欲の秋”という所か」 そう。人と若干異なるとは言え、“心”を備える神姫も例外ではない。 流石に普通の神姫であれば有り得ぬが、ロッテが発現させたのはまさに 人で言う... -
妄想神姫:外伝・その二十二
星に、願いを──あるいは七夕の夜 本日最後の客も帰り、どっと疲れが沸く。私・槇野晶の一日が終了、 となる所なのだが……今日はこれからが本番だ。何故なら七月七日。 そう、七夕である。昼の内に、我が“妹”たる三人の神姫には準備を お願いしてあるがどうなっているだろうか。居住スペースに向かう。 「ふぅ。待たせたなお前達、準備は……おお。しっかり出来ているな」 「がんばりましたの~♪飾り付けもばっちり完成してますのっ……♪」 「……千羽鶴まで。有無、無駄に豪勢だな……再生紙故問題はないが」 「竹じゃなくて中古の釣竿なのは勘弁してほしいんだよ、マイスター」 「しょうがないですよ。環境問題もありますし、この辺から……ね?」 テーブルの上にあったのは、リールの付いていない古い釣竿1セットに 釣り糸に結ばれた紐。更にそこに繋がった無数の短冊や折り紙などだ。 ……更... -
妄想神姫:外伝・その二十九
大切な人に──あるいは粉雪の聖夜 時は2037年のクリスマス・イヴ。温暖化が進んだ東京に、ようやっと 今シーズン初の粉雪がちらつき始めた日の事。私は一人、春に向けた 新作“Electro Lolita”の試作材料を補充する為、渋谷に来ていた。 当然だが、周りはカップルだらけである。居心地の悪さは拭えぬな。 「ふぅ……材料も揃ったし資料も集めた、今日は早めに帰るとするか」 ふと隣を見て、そして私・槇野晶は自嘲する。今日は、神姫が居ない。 無論、私は誰か連れてこようかと声を掛けたぞ。しかし、ダメだった。 『ロッテや、渋谷にでも出ぬか。少々買い物をしようと思うのだがな』 『え、えと……ごめんなさいですの、仕入れ先の人がこの後来るって』 『むむ、では店番を任せるぞ。アルマや、お前は……って“茜”か?』 『はい。ちょっと夕飯の買い物をしないといけないので... -
妄想神姫:外伝・その二
神姫たちの夜──あるいはその本性 夜。作業も一通り終わって、私・槇野晶はそ~っと我が寝床に入った。 隣には神姫・ロッテとクララのクレイドルがある。起こす訳には……? いや、耳を澄ますと何か聞こえてくる様な。耳を峙てて聞いてみるか。 ──────それを後悔したのは、時間にして数秒後の事だったがな。 「ん……っ。クララ、そんな所なでちゃだめで……んっ!」 「でもロッテお姉ちゃん、これに反応っておかしいもん?」 「だって、マイスターがする時も……メモリが溢れそうで」 やたら甲高いロッテの声。そして好奇心を隠そうともせぬクララの声。 その、だな……えっと、あの。これってもしかして、アレなのかッ!? ううッ、迂闊に振り向けん。これを見てしまってはならん気がする!! 「メモリが……?ただ撫でているだけなのに、そんな現象が?」 「はいですの。その、あまり嫌... -
妄想神姫:外伝・その九
上がる緞帳──あるいは初日その一 “鳳凰カップ”初日を迎えるこの日。前々からの準備が奏功したのか 単に運勢が良かったのか、あるいはフェレンツェめの手引きなのか。 ともあれ、私と梓……クララのHVIFは、会場前の大群衆を後目に 悠々と会場へ入る事が出来た。無論神姫素体のロッテとアルマもだ。 背後には休日繁忙期のアキバも比較にならない、異様な行列がある。 「ううむ、実際に訪れるのは初めてだが……物凄い人の群れだな」 「マイスター……これ全部“鳳凰カップ”のお客様なんですか?」 「その表現は正しくないなアルマや。こういう時は“参加者”だ」 「……皆で群体となってイベントを構成し、成功に導くんだよ?」 「その為には何よりも、精一杯楽しんじゃうのがいいですのっ♪」 私と梓の二人は、予め製作した自前のトータルコーディネイトで望む。 アルマとロッテはその土台とな... -
妄想神姫:外伝・その十四
熱き心魂──あるいは二日目その一 さて、“鳳凰カップ”という祭りもいよいよ折り返しを過ぎ二日目。 今日も昨日同様……いや、それ以上に私・槇野晶と“妹”のアルマは 出典ブースの準備に余念がない。何せクララ……もとい梓とロッテの “大番狂わせ”は、良かれ悪しかれ多少の注目を集めてしまう物だ。 MMSショップ“ALChemist”のホームページにも、問い合わせが幾つか 寄せられていた。恐らくブースへの来客数も微増するだろう、有無。 「というわけでだアルマや、今日は朝からかっ飛ばして良いぞ?」 「え、ええっ!いいんですか!?……レパートリー無くなりそう」 「一向に構わん。全力全開、魂の限りを込めて唱い上げるのだ!」 「……はいっ、精一杯……唱える限り、あたし……唱いますね?」 本当は誰かに手伝ってもらいたかったが、梓とロッテは決勝ブロックの 説明を受けねば... -
妄想神姫:外伝・その十六
折り返し──あるいは二日目その二 “鳳凰カップ”は二日目の中天を過ぎ、流石に客足は決勝ブロックの ギャラリーへと流れつつあった。私・槇野晶は必死で客を捌き続け、 神姫たる“妹”のアルマも、数時間に及ぶゲリラライブをこなした。 あれ程の大群衆を引きつけてくれたのは、彼女の功績に他ならんな。 故に、遅めの昼食を摂る事とした。アルマも空腹だろうしな、有無。 「アルマ、よく頑張った。あれ程歌い続けて、ヘトヘトだろう?」 「あ、はい……ちょっとだけバッテリー残量が心許ないですけど」 「ならば昼食をたっぷりと食べて、午後のライブまで休むと良い」 「えっと……すみませんマイスター、本当はお手伝いの時なのに」 構わぬ、と言って私は彼女の躯を軽くチェックし、着衣の乱れを正す。 しっとり風のラブソングから熱血の極みと言えるファンファーレまで、 アルマは実に、アルバム1... -
妄想神姫:外伝・その三
姦し神姫──あるいはトレーニング 長女アルマと次女ロッテ、更に三女クララ。賑やかになった物だ。 だがこれ以上養い切れぬし、事実上私達はこの四人で生きるのだ。 そうと決まれば拘りたいのは……衣装だな。ツッコミは禁止だぞ? 「というわけで、今日はお前達の基本姿を整えようと思うッ!」 「はいですの~♪でもマイスター、これ脱いじゃうんですの?」 「機能性も十分だし、重ね着も出来て……勿体ないと思うけど」 「うんと。そ、そうですよっ。あたしは別にお下がりでも……」 皆が不平を言うのも無理はない。私がロッテに元来与えていたのは 万能アンダースーツとしては勿論、夏場はジャケットとして使える 少々SF気味なデザインの、神姫専用アーマージャケットなのだ。 既存・自作を問わず大半の戦闘用アーマーと併用可能である上に、 MMS用共通ジョイントを20%程増やす効果もある、... -
妄想神姫:外伝・その十一
誠意の返礼──あるいは初日その二 “鳳凰カップ”初日も昼を迎え、長大な客足もやっと途切れた所だ。 小型のブースなのだが、それでも我がMMSショップ“ALChemist”には 多数の方々が噂を聞きつけて、一目展示物を見ようと訪れてくれた。 やはりアキバの地下ではなかなかこれだけの集客は出来ぬ……だが! 「ふぅぅ……なんなのだ、この大群衆は。PRは控えめの筈だぞ」 「そうですねぇ。マイスター、やっぱりあたしもHVIFの方が」 「否、それには及ばん。お前はその姿でしか為しえない事がある」 「は、はい……でも少し汗だくですよ?今が暖冬だからって……」 1ステージ終えたアルマが、心配そうに楽屋のコンテナから見上げる。 確かに私・槇野晶は、結構疲労していた。白衣を脱ぎ捨て、小さな躯を “フィオラ”のそれに包んで、たった一人で客を捌き続けているのだ。 だが、それ... -
妄想神姫:外伝・その四
眠れない夜──あるいは清らな誓い フェレンツェめからHVIFを3体“借り受けた”、その帰り道。 私・槇野晶は彼女らに服を買ってやる事とした。何せな、そのな? ……私と大きく変わらぬ外見年齢の、少女達の裸体を曝せるかッ! 鳳条院グループから女性社員用のスーツを借りたが、それだけでは 少々生活に苦慮するだろうし、彼女らの望む服を着せてやりたい。 「そう言うわけでだ、お前達三人には渋谷で服を買ってやろう」 「有り難うございますですの、マイスター♪服、ですかぁ……」 「うんとっ……マイスター、どんな服でも大丈夫なんですか?」 「勿論構わん。制服はいずれ返さねばならんしな、必要な事だ」 「……注目集めてるけど、ボク達大丈夫かな……マイスター?」 電車に乗る者が、珍しげに私達を眺める。原因は三人の造作だな。 アルマ・ロッテ・クララのHVIFは、何故か北欧系の躯... -
妄想神姫:外伝・その六
燃ゆる聖杯の誘い──あるいは姫君 三月。“冬”を衣服以外で殆ど実感する事のないまま、私・槇野晶は 春を迎えた。とは言っても何が変わるわけでもない、今まで通りだ。 ……私の神姫、“妹達”に対する仕込みが着々と進んでいる程度で、 特に何もイベントは無い。その筈……だったのだが、今年は違うな。 「“鳳凰カップ”だと?……そう言えば例年はスルーしてきたな」 「マイスター、今回は出る気ですの?わたし達がいますけど……」 「バトルはどうも気が引ける。お前達も頂点に興味はなかろう?」 「……そう、ですね。うんと、なんていうか……荷が、重いかも」 「だろうな。“選手として”無理に出場させる気は私にもないぞ」 橘明人めが女子同伴で持ってきたチラシには、無駄に大きなロゴがある。 なんでも、実家……つまり鳳条院グループ主催の神姫バトルイベントで、 企業やショップも“店”... -
妄想神姫:外伝・その一
新製品レポート──あるいは惚気話 初戦も終わり、直後の祝勝会もささやかながら楽しく終了したその夜。 MMSショップ“ALChemist”に帰った私・槇野晶は、包みを開いていた。 “神姫”専用のデラックスタイプクレイドル「ふたごのおひめさま」。 これが、出てきた外箱に大きく書かれていた。東杜田技研の最新作だ。 「わぁぁ~……マイスター、これって、クレイドルなんですの?」 「有無。いくら飾っても純正クレイドルでは味気ないと思ってな」 「早く開けて、セットしてくださいの~!見てみたいですの~♪」 神姫・ロッテに急かされるままに、箱を開けてやる……お、重いッ!? 読めば“天然素材をふんだんに使用”とあるが、この木も石もそうか? 定位置にはどうにか置けそうだが、これは設置に一苦労するぞッ……。 「ふぅ、どっこらしょ……っと。よしっ、ちゃんと収まったか」 ... -
妄想神姫:外伝・その八
晴れの舞台へと──あるいは内職業 “鳳凰カップ”への参加を決めた私・槇野晶だが、少々ピンチだッ! のっけから怒鳴りつけて済まない。だが、欲張るべきではなかった! レーダーリボンに帽子、ジャケットとスカート、ベストとブラウス。 更にアンダーやネクタイ、コードタイなど……品数が多すぎるのだ。 いずれも各々50個程と搾ったのだが、それでも家内制手工業の身だ。 「こ、これで開催までに間に合うか葵ッ?!レーダーリボンは?」 「ここまで241個動作確認が終わってますのッ!もう少しッ!」 「コードタイの強化ワイヤーは、強度試験は済んだかアルマや?」 「え、えっと……こっちは全数強度試験クリアです、エラー0!」 「梱包作業の準備はどうか、クララや?……よし、箱はOKだな」 運悪く“HVIF”当番だったロッテ……葵をも動員して、下準備は 本日24時間全てを使い、突貫... -
妄想神姫:外伝・その二十三(後半)
誇り──あるいはちょっとした挑戦(後半) 物の十分もしない内に、周辺は予想以上の騒ぎとなっていた。曰く、 『あの香田瀬に隠し子が居た』だの『実は浮気までしていた』だの。 そんな私達と、私刑場に引きずり出されるが如き香田瀬を見ようと、 僅かでも暇を持っている社員全てが、その視線を一点に向けている。 青ざめた顔で香田瀬がやってくるのに、そう時間は掛からなかった。 ……にしても、広大な敷地なのに集合が早いな。香田瀬も野次馬も。 「あ、晶ち……さん、いきなり乗り込んでくるなんて。しかも、それ」 「何か文句あるか?こちらとて本気なのだ。それに、アポは取った筈」 「た、確かに……とりあえず一課の研究棟に!あーもう、散れ散れッ」 「ふふん。子供だと侮る貴様に、それなりの報復をしてやったまでよ」 そう、私とて自分の容貌と性格位は承知の上だ。なればそれを逆手に、 香... -
妄想神姫:外伝・その十九
歌声、響いて──あるいは茜の日常 こうして手を動かしメロディを口ずさんでいると、時間を忘れます。 ふぇ……あたしですか?ええっと、マイスター・槇野晶の“妹”たる 神姫のアルマですッ……と言っても今日はHVIF当番の日なので、 “茜”として台所に立ち、お姉ちゃんが起きるのを待ってるんです。 あ、目が覚めたみたいです……もう、武装作るのに根詰めちゃって。 エアコンで冷えない様に、設定温度を上げて毛布も掛けたんですよ。 「ん、むぅ……くしゅっ。くそ、冷えてしまった様だな……む?」 「ふんふふんふ~ん……♪あ、起こしちゃいましたマイスター?」 「いや、構わぬ茜。ロッテとアルマは、今はどうしているのだ?」 ずれた眼鏡を掛け直しつつ整った黒髪を手櫛で直し、毛布を畳む少女。 これが、あたし達の“姉”である晶お姉ちゃん。“職人”を名乗るのは ハッタリじゃないんです... -
妄想神姫:外伝・その二十五(前半)
水辺に泳ぐ女神達──あるいは入水(前半) 2037年の夏もピークを過ぎ、秋の気配が密かに忍び寄っている。 私・槇野晶も稼ぎ時に働き、また“妹”たる神姫達と共に様々な所へ 物見遊山に出かけたが……思えば“夏らしい事”は余りしていない。 そこで、私は彼女らにこんな提案をしてみる事としたのだな。有無。 「なぁ、皆……八月最後の定休日、ここは一つ泳ぎにでも行かぬか?」 「え?!い、いいんですかマイスター?でも、水着なんてあります?」 「案ずるな、ちゃんと作っておいた。だからこそ、今日しかないのだ」 「……塾の宿題も終わったし、それならボクらも安心して行けるかな」 「でも……マイスター、本当に……ほんっとうに“大丈夫”ですの?」 ロッテが、何度も念を押す様に私を見上げて問い掛ける……そう言えば あの事を知っているのは彼女だけだったか。心配するのも無理はない。 ... -
妄想神姫:外伝・その十八
引き続いて羽休め──あるいは叙情 神田明神を後にした私・槇野晶と愛すべき三人の神姫達は、その脚で 良さげな蕎麦屋へと入る事にした。普段通り、洋食やジャンク系でも 構わぬのだが折角の和装だ、それに見合っただけの立ち居振る舞いを してみたい。それが人情って物だろう?何より蕎麦を希望したのは、 神姫・クララなのだ。彼女は辛味を好む以外は、割と淡白なのでな。 「へいらっしゃい!……うん?おい、嬢ちゃん一人で食事かい?」 「文句あるか!?見ろ、身分証明書だ……私とこの娘らに蕎麦を」 「へぇ~、最近は人形まで食事でき……ああ悪ぃな。口が滑った」 「……オヤジ、二度と“妹達”をそう喚ぶな。味で、評価したい」 「ヘッ。どうも石頭はいけねぇや……座んな、旨ぇの茹でてやる」 何の気なしに入ったその店は、路地裏の奥にある鄙びた蕎麦屋だった。 このご時世でもアキバ……地勢... -
妄想神姫:外伝・その二十五(後半)
水辺に泳ぐ女神達──あるいは入水(後半) 人が大幅に減っているとはいえ、まだまだ気温は泳ぐにふさわしい。 しかも閑散と言う程でもない程々の喧噪は、のんびり皆で水辺遊びを 楽しむには、最適な環境と言えた。早速、造波プールの側を陣取る! 「海だぁッ!……いや、気分だけだがそれでいいのだ!どうだ、皆?」 「きゃははっ♪湯船以外で大きな水辺は、わたし久しぶりですの~♪」 「あたしとクララちゃんは初めてです……本当、海みたいですよねぇ」 「……以前に水上バスから見たけど、こうして触れるのは初めてだよ」 パレオを腰に纏ったロッテ達は、心地よい音を奏でている水辺に立ち、 その感触を確かめている。そう、離れた所で見たりヴァーチャル空間で 感じた事はあっても、リアルに泳ぐ為の水辺は初めてなのだ……まぁ、 アルマはよく湯船で泳いだりするのだが。それはそれ、これはこれだ。... -
妄想神姫:外伝・その五
聖者バレンタイン──あるいは歓喜 二月ともなり、アキバの外はすっかり甘い香りで満ちあふれていた。 そう、バレンタインデー。とは言え日本のそれは些か好きになれん。 私・槇野晶はそう思う。甘い物は大好きなので、チョコは構わない。 “チョコを渡す日”という宣伝も菓子職人の妙案とは認めるが……。 「どうにもそれに乗る気にはなれぬのだな、なぁ……ってそうか」 「お嬢ちゃん、暇なの?なんならオレが新宿案な──────!」 「失せろ下郎がッ!ナンパしたいなら、乗ってくる女を捜せ!!」 「い、いてぇぇぇ!?なんだこのガキなめやが……ゲボッ!!?」 ニヤケていた変態を飛び膝蹴りで轟沈せしめ、私は寂しさを覚える。 別に彼氏がいない事自体には、何の感慨もないぞ?その様な魅力在る 男に出会った事は一度たりとてないし、今後も恐らく無いだろうな。 では何かというと、外出時はい... -
妄想神姫:外伝・その十七
久方ぶりの羽休め──あるいは啓示 えー……その、なんだ。世の中は、昨日までゴールデンウィークか? その様な気楽な休日を謳歌していたそうだな。だが、私・槇野晶には そんな物は無関係だッ!……否、別の意味では関係あったのだがな。 矛盾の答えは、目の前にあるモニターに全てが映っている訳で……。 ちなみに今日は定休日だが、“これ”を処理する為に朝から缶詰だ。 「うーむむむ……これが、昨日の伝票の最後で……結果はこうか」 「あの……マイスター、お茶でも如何です?麦茶いれたんですよ」 「む。すまんなアルマ……有無、キンキンに冷えていて旨いぞ!」 「あ、ありがとうございますっ!それで……えと、どうでした?」 「売り上げか……流石に祝日を全て潰しただけあって、多少はな」 そう。あくまでもこのMMSショップ“ALCemist”は、客商売である。 諸処のイベントも多く... -
妄想神姫:外伝・その二十三(前半)
誇り──あるいはちょっとした挑戦(前半) さて、随分と面白い事になってきた。國崎技研の香田瀬と言ったか? 私・槇野晶の事を随分おちょくったあの技術者風の男が持ってきた、 一つの“仕事”。そのサンプルと仕様書に契約書が、目の前にある。 ふと視線をずらせば、それに応じて私が作り上げた“解答”が3つ。 「“アルファル”製作の息抜きに丁度良かったな。これで完成だ」 「でもマイスター、なんでこのお仕事を受ける気になったのかな」 「ん?確かに香田瀬とやらは好かぬ方だ。ワッフルは旨かったが」 「あう……ま、マイスターあの時の事まだ根に持ってるんです?」 「無論ッ!この私を餓鬼扱いしたのだ、一発程度では物足りんぞ」 あの時、奴は『仕事に私情を挟まぬのが職人』と言った。私からすれば 『仕事に私情を挟むのが職人』である……いや、厳密には少々違うな。 己の誇りと拘りに欲... -
妄想神姫:外伝・その三十(後半)
曙の女神達──あるいは新年三ヶ日(後半) 雪は無くとも、元日の空気は刺す様な冷たさを以て私達四人を襲う。 真っ白い息を吐きながら、私は大切な“妹”達を抱えて歩を進めた。 その行き先こそ“狛犬はうりん”が居るという、近所の神社が一つ。 「こういうのは久しぶりだな、有無……お前達、寒さは問題ないか?」 「あ、大丈夫です。特に関節の動きも悪くないですし、平気ですよっ」 「……それにしても、ハウリンタイプの娘に逢うのが楽しみなんだよ」 「クララちゃんはやっぱり、どんな感じか気になっちゃいますの~?」 私の腕の中で、クララが肯く。やはり情報を知っていただけあってか、 その“狛犬はうりん”とやらに酷く強い興味を抱いているらしかった。 今が元日である事も考えると、忙しくて逢えぬかもしれないが……だが それでもなお、クララは『行ってみたい』欲求を隠さなかったのだな。... -
妄想神姫:外伝・その十二(前編)
白鳥の乙女──あるいは予選その二(前編) “鳳凰カップ”一日目も大分過ぎて、予選Hブロックも決勝戦の時。 ここに至るまでお昼休みの懸念通り、ファーストランカーとも一度は 戦火を交える事になった。でも“油断”もあり、ロッテお姉ちゃんは ボク・槇野梓の想像以上に良く戦い、そしてここまで残れたんだよ。 準決勝、相手はスナイパー型のヴァッフェバニータイプだったかな? 『きゃあっ!?……く、精度が高いですの……このままじゃッ!』 『何処に隠れていますか、小鳥さん……さあ、出ていらっしゃい』 場所はショッピングモール風の建物。遮蔽物を巧く利用した狙撃技能は 流石、ファーストランカーとも言うだけある精度と威力だったもんね。 勿論近~中距離気味の“フィオラ”及び“フェンリル”では、役不足。 近付く前に、どうしても敵のビームスナイパーライフルを破壊しないと ロッテお... -
妄想神姫:外伝・その十(前半)
麗しき戦い──あるいは予選その一(前半) “鳳凰カップ”は周辺イベントやブースの賑わいも勿論目玉だけど、 一番のウリはやっぱり“聖杯”を目指した、神姫達の戦いだもんね。 だから今年は、ボク達MMSショップ“ALChemist”の面々も全力全開。 その一環としてボク……クララである所の“槇野梓”は、この会期中 お姉ちゃん・槇野晶の全権代理人として、バトルを担当するんだよ? 「梓ちゃんっ、わたしもなんだか“ニキニキ”してきましたの♪」 「……どこで覚えたのかな、ロッテ……ちゃん?それはさておき」 「うん。極力“コレ”を脱がない様に、頑張って戦ってきますの」 「でも、いざって時は迷わず脱いで本気を見せてね。相手も必死」 「もちろん分かっていますの。でも、やっぱりスタイルも大事!」 “神姫”として戦いに出るのは、次女でありボクらの精神的支柱である ロッテお... -
妄想神姫:外伝・その七(前半)
特殊戦闘訓練──あるいは神姫無双(前半) そこは、荒野というよりも砂漠という形容詞がしっくりくる場所だ。 不毛の大地には一つの高層ビルと、荒れ果て放棄されたハイウェイ。 朽ちたビルの一室に、“Heiliges Kleid”姿のロッテが佇んでいる。 彼女の周囲には、無数のぷちマスィーンズと無地の神姫素体が数体。 「よし、ではこれから集団戦闘の訓練と“SSS”の試験を行う」 「はいですの、マイスター!……この訓練用ポッドも久々ですの」 「大規模集団戦闘に対応するタイプへと買い換えたからな、有無」 「うんと、ロッテちゃん頑張ってくださいね?数は……108機」 「……ぷちが100機にネイキッドタイプが8機。物量は多いよ」 無論何の脈絡もなく、こんな世紀末的な状況に陥ったのではないぞ? “鳳凰カップ”に備えて、私はロッテ用に追加武装を用意したのだ。 加えて今... -
妄想神姫:外伝・その十二(後編)
白鳥の乙女──あるいは予選その二(後編) 相手は精密砲撃のプロ、空に舞い上がるなんて愚考は考えられない。 それでもロッテお姉ちゃんは私の指示で、迷う事なく空を目指した。 一重に“SSS”の最後の機能、“アーマメント”による行為の為。 マントを格納して、肩アーマーになっていた翼を展開、空中に静止。 背部には、さっきまで盾だった白鳥の翼をブースターとしてセット。 同時にマスクを開いて、アンテナを立てる。これが、武装形態だよ。 「……“正気”なの?」 「はい、これは“勝機”ですの!」 「……ッ。なら、撃ってあげる」 この時、プル軍曹は見落としていたけど……先程より僅かに相対距離を 詰めていたロッテお姉ちゃん。これが実は、お姉ちゃん用“SSS”の 必殺のレンジなんだもん。その理由こそ、前方に先端を向けた“盾”。 涙滴状のシールドが上下左右、四方に展開して... -
妄想神姫:外伝・その十二(中編)
白鳥の乙女──あるいは予選その二(中編) 徹甲弾を直撃させたのに、対戦相手がまだ生きている。流石に誰もが 信じられない状況に、“サンドワーム”のプル軍曹が姿を現したよ。 それは2~3人分の装備を贅沢に使った、“多脚戦車”に乗る神姫。 二挺の滑空砲を備え、近距離でもアサルトライフル・拳銃……更には “ハグタンド・アーミーブレード”までも備えた、重装型の戦車兵。 そんな見るからに強そうな娘が、ゆっくりと周囲を検分するんだよ。 「……確か、この辺りの筈……ッ!?」 「クェェーッ!!」 「……あれは、ぷち?でも、大きすぎる……!」 その脚を止めたのは、“SSS”に搭載した防御用ぷちマスィーンズ。 ロッテお姉ちゃんの伴侶は“スヴェンW”、白鳥型の戦闘機なんだよ。 予期しない小型レーザーガンポッドにより、怯むプル軍曹。その好機を 見逃さずにロッテお姉ちゃんが... -
妄想神姫:外伝・その七(後半)
特殊戦闘訓練──あるいは神姫無双(後半) 実際の“鳳凰カップ”では、予選リーグから一貫してクララが代理の オーナーとして……HVIFを使い“梓”として……ロッテを導く。 とは言え今日は当番日ではない為、実際に“コレ”をサイドボードに セットするのは、私の役目だ。その形状は……大きな“弾”だった。 厳密にはその上に、白鳥を模したぷちマスィーンズがセットされる。 「サイドボード、クローズ。これから転送するんだよ……座標は?」 「東南東に5sm……ハイウェイの上にお願いしますの!」 「了解。カウント5で転送されるから、気を付けて……ゲーン(発進)」 「く……ッ!5……4……!」 『ギギィー!!!』 ロッテは落下する様に高度を下げ、ハイウェイを滑る様にして奔る。 飛行能力を備えているぷちマスィーンズがそれを追い掛け、飛べない 6機のネイキッドタイプは、全... -
妄想神姫:外伝・その十五(前編)
激烈なる拳──あるいは決勝その一(前編) “鳳凰カップ”二日目。ボク達ロッテお姉ちゃんとクララ……梓は、 神姫バトルの決勝ブロックまで、進める事になったんだよ。サードの ロッテお姉ちゃんが何故……とか色々言われるけど、こればっかりは 運とロッテお姉ちゃんの弛まぬ努力、としか言えないもんね。うん。 でも此処からは、本当に強い人しか残れない。気が抜けないんだよ。 「んしょ……梓ちゃん、そう言えば最初の相手はどなたですの?」 「誰、だったかな……オーナーは、柊咲矢さんって言う男性だよ」 「柊さん?それって確か“神姫部”の……って、あれですのッ!」 “フィオラ”姿のロッテお姉ちゃんが指さした先から駆けてくるのは、 渡瀬美琴っていう部長さんが率いる“黒葉学園神姫部”の面々、数名。 一回戦は個室の控え室じゃないから、こうして他の人と話す事もOK。 でもその手に... -
妄想神姫:外伝・その十三(前半)
熱気の坩堝──あるいは初日その三(前半) 予選を無事勝ち上がり、我が“妹達”が意気揚々と引き揚げてくる。 予選各ブロックは館内のミニFMでダイジェスト紹介されているが、 この電脳時代に、ラジオを聴取する者は決して多数派ではない為に、 全国中継される明日の決勝ブロック実況程には、注目されていない。 とは言え私は、作業しながら楽しめるラジオや音楽が大好きなのだ。 「よく戻ったな、ロッテに梓。勝ったという放送だけは聞いたぞ」 「ただいまですの~、マイスター♪物凄く、手強い人達でしたの」 「……あの“光の舞い”も、色々と改良点が見えてきたんだよ?」 「だろうな。明日はこれを持っていけ、どちらを使うかは任せる」 そう言い私が梓に握らせたのは、マイクロミサイルランチャーである。 コンテナタイプのそれは2~3種の弾を併用出来る。煙幕弾も然りだ。 インパクトカノン... -
妄想神姫:外伝・その三十(前半)
曙の女神達──あるいは新年三ヶ日(前半) い、いた……頭が痛い……私は、わたしは……ああそうだ、槇野晶。 今日は、確か……えと、そうだ。一月一日、新年を迎える頃か……。 しかし、なんかこう胸の辺りがスースーする様な……な、何ぃッ!? 「うわぁっ!?な、なんだこの格好は!それに……お前達何をッ!?」 「わふぅ……ん、んんぅ~……あったかいんだよぉ、マイスター……」 「はぁ~♪……う、うわわ!地震、地震ですのぉ~!?わきゅっ!?」 「痛たたぁ、えと……朝、ですか?マイスターおはよ……きゃっ!!」 「お、おはよう!というか明けまして、いやあっちを向いてくれッ!」 私は……正確に言うと私達は、主に私のあられもない艶姿に赤面した。 ブラウスは大きく乱れ、その……見えていた。貴様は見ていないな?! 『何を』だと!?聞くな、神田川に沈めてやるぞ!あっちを向けッ!?... -
妄想神姫:外伝・その十五(中編)
激烈なる拳──あるいは決勝その一(中編) そうしてボク・槇野梓とロッテお姉ちゃんは、決勝ブロックの舞台へ 上がっていったんだよ……でも、クローズアップされるのはこの後。 この第一回戦を勝ち上がった八人で再度組み合わせ抽選が行われて、 そこから大々的な演出が行われるんだよ……ここはまだ入口だもん。 と言っても、専用のヴァーチャル型バトルフィールドは大きいけど。 「それじゃ行くぜ、リアル系!ちょこまかすんじゃねぇぞッ!!」 「いえいえ、全力で参りますの。それじゃあ……始めましょう!」 『ハンゾー・ヴァーサス・ロッテッ!!レディ──────ゴー!!』 『“W.I.N.G.S.”……Execution!』 「変身、しやがったっ!?」 「流石に“フィオラ”のままでは、勝てませんの」 戦闘開始と同時にロッテお姉ちゃんは、瞬時に“Heiliges Kleid”へ... -
妄想神姫:外伝・その十六半(前編)
零より来る者──あるいは準々決勝(前編) ボク・クララ……槇野梓と晶お姉ちゃんの神姫・ロッテお姉ちゃんは “鳳凰カップ”の、ついに準々決勝まで勝ち上がったんだよ。でも、 これが最後の戦い……ここで勝っても負けても、ボクらは進まない。 それは晶お姉ちゃんと会った時、改めて確認した“約束”なんだよ。 そう言えば、その時に“面白い賭けをまた行った”って言ってたね。 『という訳で、勝った暁には改めて私の言う通りにしてもらうと』 『千空さんに詰め寄ったんだね、晶お姉ちゃん。でも負けたら?』 『……む、そこまで決めていなかったな。まあ勝てば問題ない!』 『マイスターってば、変な所だけアバウトですの~……全くもう』 『大丈夫ですよ、対戦するまでに相手が負けた場合も……ですし』 敗北を認める為、渡瀬美琴さん達“黒葉学園神姫部”の面々がブースを 訪れた時のやり取りら... -
妄想神姫:外伝・その十三(後半)
熱気の坩堝──あるいは初日その三(後半) 魔剣匠工房“鬼奏”とは、此処より遠い片田舎にある刀剣専門店だ。 中でも“魔剣”等と呼ばれる異能の刃を……しかもMMS用のそれを 打ち出す事へと特化しており、その経営実態にも色々と秘密が多い。 それ故なのか私は工房専属の刀匠と出会って以来、親近感を覚える。 刀匠の名は、神浦琥珀。琥珀色の瞳が愛らしい、年齢不詳の女性だ。 ……お前もだろう、とか言った奴は後で八つ裂きにしてやるからな? 「しかし、まさか琥珀がこの“鳳凰カップ”に出典するとはな?」 「何よ、出て来ちゃいけないっての!穴蔵暮らしの癖してっ!?」 「そうは言っておらぬ、エルギール。非礼は、これで免じてくれ」 「……“フィオラ”。ふ、ふんっ!そんなインチキしていいの?」 私に突っかかってきたのは、ジルダリアタイプの神姫・エルギールだ。 無口な琥珀に変わり... -
妄想神姫:外伝・その十六半(後編)
零より来る者──あるいは準々決勝(後編) ロッテお姉ちゃんが構えたのは、天使の輪によって極限まで収束した 閃光の槍。対する弁慶さんの相棒は、刃を集め力を束ねた旋風の槍。 どちらも、まともに喰らえば必死……全身全霊を込めた一撃だもん。 距離は十分取り……互いに残ったブースターを、全開にするんだよ! 「……ドライ!」 「……ツヴァイ!!」 「……アインッ!!!」 『ゲーン(往きます)!!!!』 そしてきっかり三カウントの後、二人はアスファルトを蹴って走る! 瞬きする間にも距離は詰まっていき……互いの力が高まるんだよ!! 「穿て閃光ッ!!……神儀、ブリッツ・シュピッツェッ!!」 「偽りよ、全てを覆せ……ストラーダフェイクゥッ!!」 そして、僅かコンマ0.24秒……互いの槍は大気を切り裂いて交錯ッ! 互いのエネルギーがスパークした衝撃で、フ... -
妄想神姫:外伝・その十(後半)
麗しき戦い──あるいは予選その一(後半) マオチャオのミモザさんは、此処に至って漸くぷちマスィーンズ達を 指揮して、ロッテお姉ちゃんを射止めようと射撃を開始したんだよ。 その間に、腕の“研爪”をドリルの“旋牙”に換装するみたいだね。 ボクはそれを見て、咄嗟に指示を下すんだもん。このままは拙いし。 「ロッテちゃん、ぷちを急いで迎撃して。“ターザン”だよ!」 「わかりましたの、梓ちゃん!なら、これを利用してッ!」 『ビビ?』 ボクが“お姉ちゃん”と声に出さないのは、周囲に不審がられない為。 少々辛い事だけど、コレ位は我慢しなくちゃいけないもん。そして今、 そのロッテお姉ちゃんは、ホール脇にある大きなカーテンの奥に退避。 もちろん賢いAIを搭載したぷち達も、その隙を狙って集中砲火開始。 でも賢いなら、尚更ちゃんとした指揮をしてあげないとダメなんだよ? ... -
妄想神姫:外伝・その十五(後編)
激烈なる拳──あるいは決勝その一(後編) ロッテお姉ちゃんの“光と闇の舞い”を受けてなお、ハンゾーさんは 立っていて……流石にダメージは大きいけど……しかも、周囲の気を 掻き集め、二匹の“ゲキビースト”と自身の鎧に集積してるんだよ。 そして不意に竜巻が立ち上って、煙幕を巻き込み吹き飛ばす……!? 「マオッ!!……トージャァァッ!!!!」 「“ゲキビースト”を脚にして、合体しましたの……」 『ハンゾー、無理はするなよ。まだ使い慣れてないんだ』 「なぁに、さっさとブチ倒せば問題ねぇだろ!?」 「……ロッテちゃん、気を付けてほしいよ。エネルギーが!」 風の中心にいたのは……ヌンチャクを振り回して型を決める、拳法家。 上半身は“マオタイガー”と余り変わらないけど、下半身に先程までの “ゲキビースト”が合体していて、その所為か出力も規約上限レベル。 ヴァー... -
妄想神姫:外伝・その十六半(中編)
零より来る者──あるいは準々決勝(中編) 煙幕弾とは言ってもミサイルだから、弁慶さんには相応のダメージを 与えてる。でも、ロッテお姉ちゃんは追加装甲でもあり武器でもある “SSS”を、三分の二は失ってるんだよ。この攻防は、一進一退。 どちらかでも気を抜いた方が負ける……そんな予感がするんだもん。 ここで仕掛けたのは、ボクら……レーザーキャノンが、火を噴くよ! 「今度はこちらから仕掛けますの!“アインホルン”、フォイエル!」 「ぐ、ぅっ!?……近距離で、レーザー……なんて奴ッ」 『弁慶!大丈夫?!』 「ほっとけ、問題ない……!」 「……確かに、すんでの所で直撃を避けられてますの」 戦慄するロッテお姉ちゃん……無理もないんだよ。およそ5smって 近距離でのレーザー攻撃を、脚部後のブースターと自前の脚力だけで ジャンプして避けてしまうんだもんね。そして... -
妄想神姫:解説その二
注意 各項目は順不同に並びます。また、扱われる内容によっては 専用の解説ページを設ける事もありますのでご注意下さい。 また、以下は全て妄想神姫に於ける世界設定類の解釈です。 一部皆様の解釈とは異なる点がありますが、ご了承下さい。 それでも採用してくださる場合は、遠慮無くご利用下さい。 警告 この頁は物語の終盤に出てきた要素を、主に扱っています。 その為、所謂“ネタバレ”が含まれている恐れがあります。 前頁へ戻る ペンダント ロッテが飛べた理由 和食屋 春の新作 “ALChemist”の営業期間(及び時間) 最初の現場 デュアルCSCシステム ラグナロク 二回目の現場 心情の変化と、その代償 藤村外科 怪文書 主要国家の現状と意向 シンクロニシティ 決闘の舞台 模造された“魔術” 晶のペンダント 自己認識 総力戦モード 命を賭け... -
ホワイトファング・ハウリングソウル
ホワイトファング・ハウリングソウル 作者:ミヤコン 世を捨て、竹の生い茂る山に引き篭もった老人と、銀色の狼の物語。 『――――それは、恋でもなく愛でもない』 5/26 最終話を更新、いままでありがとうございました! コラボ大歓迎です! 前作クラブハンド・フォートブラッグと前々作ハウリングソウル(外部リンク注意)とリンクしています。 もし宜しければそちらとあわせて読んでみてくださいm(_ _)m WFHS 登場人物紹介 WFHS 武器紹介 WFHS 設定 WFHS 白狼型MMS 『神凛』 * ホワイトファング・ハウリングソウル本編 第一話『老人と犬』 第二話『砂漠よりの使者』 第三話『爺の心労』 第四話『Prophet of amethyst』 ... -
妄想神姫:解説トップ
注意 各項目は順不同に並びます。また、扱われる内容によっては 専用の解説ページを設ける事もありますのでご注意下さい。 また、以下は全て妄想神姫に於ける世界設定類の解釈です。 一部皆様の解釈とは異なる点がありますが、ご了承下さい。 それでも採用してくださる場合は、遠慮無くご利用下さい。 大前提MMSショップ“ALChemist” 神姫用ファッションブランド“Electro Lolita” 食事機能 晶の得意分野 HOS(ハイパー・オペレーティング・システム) アシモフ・プロテクト ゲヒルン 情報魔導学(魔術) 2036年のネットワーク事情 人工知性心的外傷症候群(AIPTD) 人型神姫インターフェイス 万世橋無線会館 集光タワー 趣味嗜好 重量級クラス 合法ハッキング 晶の眼鏡 神姫の解析 2036年~2037年の気候 HVIFの免疫系 一応塾 “Elec... -
人型神姫インターフェイス
《人型神姫インターフェイス》 通称HVIF(Human-type Valkyrie InterFaces) 開発概念や基本思想などは本編参照 アンドロイドやヒューマノイドの改良型と考えるのが妥当 しかし、基本的な体の造りや感触、耐水性なども忠実に再現してあるため言われなければ100%わからない 基本は食事だが緊急時には電気エネルギーでもエネルギー確保ができる 生殖機能もついていて受胎や出産も可能である(DNA情報はランダムで個人の性格にあわせて設定される) バトルのときなどは暗号化した専用の信号でデータを遣り取りすることでそれぞれの神姫素体に入れ替わることができる その時人型神姫インターフェイスのほうは睡眠状態に入り呼吸も再現するので死んでいるようには見えない なお、神姫紹介でも記述している通りノアールらが『人型神姫インターフェイス』だと知っているのは当事... -
妄想神姫:終章(後半)
前を見た少女と、煌めく神の姫達(その二) 第四節:真心 楽しかった夕餉も終わり、私達は電車で次の場所へと向かった。そこは、 冬のお台場である。バレンタインには相当早い為か、夜と言ってもさほど カップルの数は多くない。私達の邪魔をされないという意味では、上等! 「とりあえず、観覧車にでも乗るか?街の夜景を見るのも、いいだろう」 「はいっ!あたし達も、こんな所に来るのは初めてですから緊張します」 「……多分それは、マイスターも同じなんだよ?だって頬が、紅いから」 「マイスターも来た事無かったの?大丈夫かしら……でも付いていくわ」 「折角のデートですから、デートコースはマイスターにお任せですの♪」 民放キー局が遠くないこの場所にあるのは、湾岸地区の夜景を楽しむには 最適と、午前中に買い求めた雑誌の記事で書かれていた大観覧車である。 なるほど……目の前... -
妄想神姫:第二十四章
翼を持つ、姉妹達の絆を確かめて 春の夜……と言ってもこのご時世、結構気温は熱い物だ。私・槇野晶も、 店を畳んでからすぐに白衣を脱ぎ捨てて、三姉妹と軽めの食事を摂った。 この姿は、少々見せられぬな。上着のジャケットを脱いで……見るなよ? 流石にあられもない格好とまでは行かぬが、大胆気味の姿で夜を過ごす。 だが無為に過ごす事は彼女らも耐えられぬらしく……すぐにやってきた。 「マイスター、マイスター!“特訓”のお手伝い、今いいですの?」 「む?いつもは自分らでこなして……ああ、あれか?“SSS”か」 「は、はいっ。流石にこればっかりは、オペレータがいないと……」 「……うん、今日はボクらの誰もHVIFの当番日じゃないからね」 このところ、HVIFはご無沙汰である。以前クララのそれ……梓のみ 二日以上連続使用してしまったので、帳尻合わせの為にそうしている。 ... - @wiki全体から「妄想神姫:外伝・その二十四」で調べる