武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「妄想神姫:後日談・二幕(後半)」で検索した結果
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妄想神姫:後日談・二幕(後半)
白花と黒華──あるいは聖者の再来(後半) 第三節:純愛 十二時過ぎ。アタシ達は、秋葉原駅から電車に乗り込んで移動を始めた。 出てくる途中に見た……その、アタシが“罪”を犯した現場。今はもう、 その痕跡も殆ど無くて、看板とかの再建工事がかなり進んでいたわ……。 「……でも、良かったわ。本当に、誰か一人でも“殺す”事が無くてさ」 「そうだな……怪我だけで済んだのは、本当に良かった……なぁ、皆?」 「ええ。だからこそこうして、今のエルナちゃんを抱きしめられます♪」 そう呟いたアタシ・エルナを、アルマお姉ちゃんが抱きしめる。彼女も、 アタシの中に残っていた“悪夢”が原因で、色々酷い目にあったのに…… マイスター同様、彼女もクララお姉ちゃんも……アタシを赦してくれた。 「ん。もう、誰にも咎められずに……こうしていちゃいちゃできるもん」 「いちゃいち... -
妄想神姫:後日談・二幕(前半)
白花と黒華──あるいは聖者の再来(前半) ──『女三人依れば姦しい』って言葉が、この島国にはあるらしいわね。 ……それなら、五人集まればどうなのかしら?しかも皆が皆を大好きで、 更に今日は何か、恋人同士には大切な日らしいの。どうしようかな──? 第一節:白花 ──通電……システムをスタンバイから解除……徐々に、アタシの意識が 戻っていく。目を開ければ、そこはもう見慣れた白天井。時刻は朝六時。 強化プラスチックとフレームの躯も、気怠くはなくて……今日も快適ね。 「う、うぅん……よく寝たわ、って“神姫”には変な言い回しかしら?」 「そんな事無いですよ、おはようございますエルナちゃん……よっと!」 「あ、おはよアルマお姉ちゃん。そうなの?マイスターがよく言うけど」 「そうですよ~。神姫も休眠状態で、メモリのデータを整理するんです」 「ふぅん、頭が... -
妄想神姫:後日談・一幕(後半)
紫風の尖姫──あるいは誇りと誓い(後半) 第三節:軍隊 エルナが吼えた。それは大切な物を喪う事の畏れ。『無くしたくない』。 それが彼女の、強烈な精神的支柱となっている。一見弱さにも見えるが、 裏返せばその心は、大切な“何か”を護り通したい強さにもなるのだッ! そして“想い”が突き動かすままに、紫の姫君は龍に乗って駆け抜ける! 「はあああああぁぁっ!!」 「ふ、ふん!突撃戦なら、あたしの方が得意よ!せやあああっ!!」 だが、アールヴだって負けてはいない。今度は掌中の武器を巨大な剣へと 変形させて、エルナの“突撃”に応じて突き進む。それは、中世の騎士が 互いの誇りを賭けた試合と同様……だが、エルナには『ランスはない』。 その手には、フルネレス・バスタードソード形態と……そしてもう一つ、 “センチュリオン”と“ティンクルスター”の合体した光剣があるの... -
妄想神姫:後日談・一幕(前半)
紫風の尖姫──あるいは誇りと誓い(前半) ──“妹”になる事は出来たわ。でも、それで満足しちゃいけないのよ。 その名に恥じない生き方……大好きな人達に胸を張れる姿を、見せる事。 それが出来た時、アタシ達は嬉しいから。皆に、笑ってほしいから──。 第一節:挑戦 その日は、朝から晴れ渡っていた。今時珍しい都心での猛吹雪は終わり、 残雪がまだ道路の端々に残っていた……これは太陽が融かしてくれよう。 というわけで私・槇野晶と“四人の妹達”は、外出準備に追われていた。 「マイスター、エルナちゃんもお風呂から上がりましたの♪ほらほらっ」 「え、良いわよロッテお姉ちゃん。自分で拭け……ってちょっとぉ!?」 「そう言わないでください、今日はエルナちゃんの大切な日ですから!」 「有無、今日はエルナのセカンド昇進を賭けた大事な試合ではないかッ」 「……だから身... -
妄想神姫
妄想神姫:メインメニュー 注意 本作品は“突飛な設定”の類を多分に含有しております。 意図的に行っているので、その手の要素を苦手とする方は 閲覧に細心の注意を払って下さいます様、お願いします。 あらすじ 登場人物紹介 本編 外伝 後日談 各種解説 おまけ 協力・引用 あらすじ アキバの隅にMMSショップを構える幼女店長、槇野晶。 彼女の側には“妹”と言うべき、三人の武装神姫がいた。 長女“アルマ”と、次女“ロッテ”に、三女“クララ”。 これは、そんな姉妹のマッドで百合気味な日常とバトル、 更に武装神姫を逸脱気味なメカを、妄想のみで綴るお話。 登場人物紹介 登場人物MMSショップ“ALChemist” ライバルの神姫達 黄昏よりの使者+α(ネタバレ有り) 本編 序章 「苛烈なる少女?と、目覚めし神の姫」 第一章 「晴れた日には、2... -
妄想神姫:終章(後半)
前を見た少女と、煌めく神の姫達(その二) 第四節:真心 楽しかった夕餉も終わり、私達は電車で次の場所へと向かった。そこは、 冬のお台場である。バレンタインには相当早い為か、夜と言ってもさほど カップルの数は多くない。私達の邪魔をされないという意味では、上等! 「とりあえず、観覧車にでも乗るか?街の夜景を見るのも、いいだろう」 「はいっ!あたし達も、こんな所に来るのは初めてですから緊張します」 「……多分それは、マイスターも同じなんだよ?だって頬が、紅いから」 「マイスターも来た事無かったの?大丈夫かしら……でも付いていくわ」 「折角のデートですから、デートコースはマイスターにお任せですの♪」 民放キー局が遠くないこの場所にあるのは、湾岸地区の夜景を楽しむには 最適と、午前中に買い求めた雑誌の記事で書かれていた大観覧車である。 なるほど……目の前... -
妄想神姫:第十一章(後半)
神は降りて、姫とならん(後半) シャッターの奥にあったのは、女性三人の裸体……より厳密には、 それは機械だった。外見では判別できないが、私のカンが告げる。 フェレンツェめ同様、伊達でマイスター(職人)を名乗りはしない。 人を模した肉の噐とでも言うべきか。それが3つ、目の前にある。 「マイスター、これって……なんだか感じますの」 「その感覚が事実ならば、フェレンツェ……貴様」 「如何にも。本来はロッテ君の為に用意したのさ」 ここで私は数年来の付き合いで初めて、博士の研究を知る事となる。 それは即ち『人と神姫のコミュ二ケーション』。高度知性体・人類と 人が産み出した新たな高度知性体・AI……その代表格たるMMS。 更にその中でも氾世界的にメジャーな存在となりつつある、神姫達。 「なるほど。博士の研究とは、相互交流に於ける諸問題か……」 「そう言... -
妄想神姫:第十章(後半)
再誕せし、哀しき神の姫(後半) 人間から逃げ出そうと走り出した“彼女”を、ロッテが抱き留める。 移動中に武装は解除したが、琥珀色の瞳で“彼女”には分かる様だ。 人間である私達に対して程ではないが、少し怯えの色が見て取れた。 「……あたしは、自分の誇りに気付いてそれに従い戦いました」 「はいっ。それは……誇らしくて素敵でしたの、お姉ちゃんは」 「でも、あの人は応えてくれなかった……あたしを“殺した”」 感極まったのか、涙声でロッテの胸板をぽかぽかと叩く“彼女”。 ロッテは言葉もなく、暫くの間自らの胸で泣く神姫を撫でてやる。 落ち着くのを見計らい、クララがそっと挟み込む様に背中を抱く。 物理的に涙を流せずとも、間違いなく“彼女”は泣いているのだ。 「ずっと、あたしはあの人に喜んでほしかっただけなのに」 「その為に痛くても辛くても……我慢し続けたん... -
妄想神姫:第九章(後半)
哀れなる傀儡に、祝福を(後半) 『己の戦いに自信を持て』。ロッテの言葉に、対戦相手である所の “あくまたん”は、何処か迷いを吹っ切った様な笑みを浮かべる。 猪刈に抑圧されていた何かが、どうやら湧き上がってきた様だな。 彼女の姿勢保持を待って、お互いに全力での砲撃戦を開始するッ! 「えいっ、えいっ……!!このバズーカで……貴方を倒しますっ!」 「わたしも、マイスターと自分の誇りに賭けて……負けませんのっ!」 「きゃうっ!御主人様の……ううん、あたしの為に、っあッ……!」 「ぶ、ぶっ!?何してるんだ“あくまたん”っ!早く壊せっ!!」 思いも寄らぬ展開に猪刈が大慌てを始めた。貴様の戦術ミスだぞ? 元々射撃管制に秀でたアーンヴァルタイプだ、砲撃戦なら負けん。 実弾中心の“あくまたん”に威力は補えても、精度までは無理だ。 ストラーフタイプの真髄は白兵戦闘、そ... -
妄想神姫:第八章(後半)
総てを司る、脆き神の姫(後半) 数時間後。そっとCSCを装填し直し、バッテリー確認……満タン。 彼女の起動を開始、20%……50%……起動を完了。モーターの微細な 音の後、私にとって二人目である彼女、“クララ”が目を醒ました。 初めツガルタイプを装備していた名残として頭髪は緑色に変更され、 大きな瞳はロッテと同様に、琥珀色の澄んだ逸品へ取り替えてある。 その上に眼鏡。これは、彼女の特質を象徴する為に選んだ品なのだ。 「ここ……ボクは?マスター登録後に、火器が使えなくて……」 「そうだ。そして解析の結果、お前を私が引き取る事にしたよ」 「……ボクを?ボクの名前は?貴女がボクのマスター、なの?」 「有無。私の名前は槇野晶、お前に与えし名前は“クララ”だ」 「クララ……それがボクの新しい名前なの?了解だよ、マ……」 「“マイスター”と呼ぶといいとおもいますの~... -
妄想神姫:第三章(後半)
戦乙女は、かく降臨せし(後半) 相手はサイフォスタイプ。但しその手には片手剣でも大型の槍でもなく、 専用にチューンしたであろう、厳ついツヴァイハンダーが握られている。 全身の装甲は重装型と軽装型の折衷。背部には……ツガルタイプの翼か。 ともあれ剣一本を極めようとしているようで、油断はできそうもないな。 「仕掛けぬのか?では、一本往くぞ……ハイヤァーッ!!」 「はいですの……畏れず突進ッ、いやぁああーっ!!」 白兵戦に強いとされている第三シリーズだけあり、一太刀の威力は重い。 私のロッテにもフレーム換装を施してあるとはいえ、地力では一歩譲る。 それでもロッテは懸命に、右に構えた長大な細身のランスで受けている。 ヴァーチャルとはいえ飛び散る火花に、私は興奮と期待を全く隠せない。 「うっ、く……サイフォスタイプの剣技は、やっぱり凄いですの」 「そな... -
妄想神姫:第四十八章(後半)
遙かに見据えし巨神の宴(後半) ロッテの“心”を持つ葵の言葉に、目前の日暮はふと疑問符を浮かべた。 此処までの評価は良好。とすれば次に何を相談されるのか、という事だ。 私も少々方針に悩んでいた所であったので、神姫たる彼女らに言わせる。 「えと……あたし達が悩んでいるのは、二つです。一つ目は武装の傾向」 「もう一つは、生まれ来る“相棒”の傾向なんだよ……結構、大事な事」 「武装の傾向、というと……ああ、種類とか数の話かいアルマちゃん?」 日暮の言葉に、アルマが何度も肯く。それは、私の生来の性分だけでは フォローしきれない、新たな戦い方の模索であったのだ。同時にそれは その戦法を体現する“相棒”の模索でもある。皆が矢継ぎ早に語った。 「今の重量級ランクは、バイザー派と神姫パーツ派が主流です……が」 「それと別に、“重武装派”と“単武装派”という区分... -
妄想神姫:第五十章(後半)
そして姫を護る、神竜へ(後半) 暢気にじゃれ合う竜達を横目に、アルマ達三人の神姫は己の服に新たなる パーツを付け足していく。まずは“セイクレール”だ。大柄のケープに、 長手袋とブーツ。そして、四肢に嵌め込む“リング”で構成されている。 ケープの留め金には、“階級章”を用いたペンダントヘッドを流用する! これで“シルフィード”標準装備のロザリオを併用出来る、という訳だ。 「流石マイスターなんだよ、デザインも色味もボクらにぴったりだもん」 「“シルフィード”のデザインも殺さないですしね、良い感じですっ♪」 「後は、この盾を利き腕の逆に嵌めて武器を持って……出来ましたの~」 「よし!では早速、見せてやれ……私もそうだが、何より彼女らにな?」 『グオオオォォンッ♪』 待ちこがれたッ!という感じの“プルマージュ”達が一斉に飛びかかる! そう、彼女らは全機飛行... -
妄想神姫:第十三章(後半)
適材を誂え、適所に与え(後半) 私・槇野晶は、当初彼女ら“槇野晶の神姫”に戦わせる気がなかった。 より正確に言えば、神姫バトルを無理強いする気は私になかったのだ。 だが、ロッテは戦いを望んだ……自らの存在意義を求めた故だったか? そうして“誇り”を培った彼女に刺激され、アルマとクララも望んだ。 「さて、ロッテが“フェンリル”を気に入ったのならば次は此方か」 「あっ、はいっ!クララちゃんがまだなら、これはあたしの……?」 「そうだ、こっちも拘って作ったぞ……数が少々多いがな、ほれッ」 “客のニーズには全力を以て応える”……それが私のモットーである。 ならば“妹達”の求めにも全力を以て応じるのが、私の役目であろう? という信念の元、アルマに用意したのは……6振りの黒い刃であった。 専用の鞘も2本セットだ。強化セラミックの輝きには、自信があるッ! ... -
妄想神姫:第五十九章(後半)
主の無き華と、新しき風(後半) 私は、アルマ・ロッテとクララに強請られて新作を着せてやる事とした。 尤も“菫色”だけは、そのまま手を付けぬ。誰に着せるべきか、結局私は 判断が付かなかったのだ。いずれ打開策が見いだせたら……とは思うが、 それよりも今は目の前の着替えだ。こう、なんというかドキドキしてな? 「ん……ニーソックスとブーツまで、ちゃんと細かく出来てますの~♪」 「そ、そうか?お前達の“硬質の肌”を侵さぬ様に、質感を厳選したが」 「大丈夫です、よマイスター!これ、引っかからないし快適ですっ!!」 「な、ならいいのだがな!?……う、うぅ。ほれ、ブラウスだぞクララ」 「よいしょ……マイスター、何故か顔赤いけど風邪でも引いたのかな?」 「う゛!?そ、そんな事はないッ!至って健康だぞ私は!!……多分っ」 実は“告白”以後、私が手ずから服飾を着させるのは... -
妄想神姫:第五十五章(後半)
僅かな慢心、産まれた闇(後半) これはロッテが初めて直面する、己の意義・信念を揺さぶられる事態だ。 “奇襲”による戦意喪失とダメージもあって、反撃は精彩を欠いている。 何より機動力を最大の武器とするウィブリオが、その翼をやられる始末。 彼女の不利は火を見るより明らか……そう、前例がない程の逆境だった。 「その雷を放つ剣も、恐らく私達神姫の“心”に敏感なのだろうな」 「ぅ……ライナスト、どうしましたの?!出力が、上がらない……!」 『キュ、キュィッ!!?』 ロッテの“惑い”に、魔剣たるライナストも感づいたのだろう。能力を 十分に発揮出来ていない……いや、発揮させようとしない。フリッグは 僅かに改造された“ソードダンサー”を己の身に纏い、ロッテの射撃を 受ける。ダメージは通っているのだが、命中率も低く逆転には至らぬ! 「では此方も往くぞ……ふっ!... -
妄想神姫:第四十五章(後半)
山と森の台、響く神の音(後半) まずは信州名物・蕎麦を昼食に供する為、国宝・松本城の方へと赴いた。 流石に他の有名な城程ではないが、なかなか風情があって良い天守閣だ。 その正門近くには、よい蕎麦屋が幾つか有ると聞く。その一店を訪ねた。 人当たりの良さそうな所謂“おばちゃん”が、私達を座敷へと案内する。 「もし、ざるを……二人前もらおうか。出汁は小分けに、四人前頼もう」 「四人……?そっちのお人形さんまで食べるのかい、こりゃ珍しいねぇ」 「まぁ、普通ではないがな……?それより灯、お前は何を食べるのだ?」 「あ、ええと……ミニセット一つ。この娘らの分は、いらないのですな」 「あら、可哀想じゃない~?ああいいのよ、ここはおばさんに任せてっ」 灯が『ぅ゛ぁ゛~……』と止めるのも聞かず、おばちゃんは勝手に注文を 書き換えて、厨房へと入っていってしまった。肝心な... -
妄想神姫:第三十一章(後半)
剣の目覚めは、未だ遠く(後半) 奇襲とも言える一撃を胸に喰らい、アルマのSSSは機能を発揮する間も 与えられずに脱落した。一応戦績を重ね、サードリーグとは言えど上位に 上がり始めてきたアルマなのだが、ここまで手酷い先制攻撃を受けたのは 初めてだ……よもやアルマよ、魔剣に気を取られているのではないか!? 「どうした、剣を抜かぬのか」 「うぅ……エルテリア、まだダメなんですか!?」 「両脇のはさておき、腰のは飾りか……下らぬッ!!」 「あっ……速いっ!?“アイゼンナーゲル”……きゃああっ!」 奴の、兎型神姫の拳を受けるな!……そう叫ぶ間もなく、胸に装着した “アイゼンナーゲル”が打ち砕かれる。黒き翼……“フリューゲル”の 防御機能が死んだ瞬間だった。咄嗟にアルマは、背部の“チーグル”を 展開し、鋼の翼をもぎ取って炎の剣……“ヒッツェメッサー”と為す。 ... -
妄想神姫:第四十九章(後半)
騎士姫と、覚醒せし鋼竜(後半) USBを経由し、三機の“竜”に0と1で出来た魂が刻み込まれていく。 既に充電を済ませてあるそれは、超AIのデータ焼き込みさえ完了すれば 私のキータッチ一つで起動するのだ……皆が動向を、固唾を呑み見守る。 「80……90……よし、完了だ。これから起動する、気を付けろよ?」 「え、え?気を付けるって……ちょっと不安です。でも、分かりました」 「どんな性格になるかは私も分からぬ。襲いかかる事はないだろうがな」 アルマが少々怯えているので、私は彼女の頭を撫でつつ……キーを押す。 それと同時に、乱雑に分解されていたフレームにエネルギーが満ち渡り、 程なく“己の形”を取り戻すべく変形を開始したッ!紅い塊は、爬虫類を 想像させる四肢を持った、二足歩行の獣……恐竜の様な形態へと変じる。 「まずは一体。これがアルマの“竜”だ……と... -
妄想神姫:第三十六章(後半)
禍つ刃を抜き、競う白日(後半) それは一瞬の出来事だ……クララを中心にして解放された巨大な紫電は、 柱の影にいたアルマとクララを呑み込もうと蠢きだした。そこにアルマが “ヨルムンガルド”を数本投げ込んで、避雷針代わりとして電気の流れを 阻害した。白熱化させる関係から、“ヨルムンガルド”のセラミック刃は 電気を通す構造なのだ。そして出来た大きな風穴に、ロッテが撃ち込む! 奇襲を受けて不発に終わった紫電が、虚空に散るのは数秒も掛からない。 「ぅ……既知現象の再現をベースにする“情報魔導学”の弱点かな……」 「ですけど紫電の壁に遮られて、雷撃も十分な打撃になってませんの」 「かといってあたしの突撃では反撃のリスクもありますし……さてと」 「……そろそろ〆に行くんだよ。アルマお姉ちゃん、ロッテお姉ちゃん」 「望む所ですの♪現時点で最大の一撃を、お見舞いしますの……... -
妄想神姫:第三十八章(後半)
成長、戦乙女を護る騎士(後半) ロッテが大群衆の三分の一を率い、フィールドの端へと駆け去っていく。 それは、撃ち漏らしによってアルマとクララの負担を増やさない配慮だ。 そのクララはと言えば、なんと“魔術”を封印して模擬戦に望んでいる。 彼女が念じれば何時でも“マビノギオン・ウィザード”を召喚出来るし、 コライセルが手にある以上、マニュアル実行でも十分“魔術”は使える。 「クララは、と……おお、それは例の光刃か!」 「そうだよマイスター。偶にはボクも、魔剣を示さないと……ふっ!」 『Gyaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!』 だが敢えて、ギリギリまで使わずに戦う。クララはそう約束したのだ。 コライセルの力は魔術のブーストだけではない。クララの意思する力は 三姉妹の中でも誰より強固であり、それを“魔剣”が巧く利用すれば、 大きな“力場”の剣・盾を... -
妄想神姫:第三十五章(後半)
疲れた時は、玉を磨いて(後半) 極力、意識を反らす。普段からやっている事と言え、凝視すると彼女らも 私も……どうにも気恥ずかしくて堪らぬ。シチュエーションの魔力だな。 『何をしてるか』?見ての通り……否、見るな!今すぐ目を潰すぞッ!? 「んん……♪はぁ。気持ちいいです、マイスター。本当、優しい手」 「……アルマお姉ちゃんは、とっても気持ちよさそうなんだよ……」 「そうですねぇ、こんなに惚けた評定しちゃってますの……えい♪」 「ふにゃん!?へ、へんな所突っつかないで下さいロッテちゃん!」 「……お、お前達ッ……頼むから、もう少し大人しくしてくれんか」 ……何を想像している?神姫素体と人工毛髪を洗っているだけだッ!! だが、その。彼女らは“服を着る”神姫である。故に、服のデザインを 邪魔しない様、素体のペイントは私が考案した特殊なパターンなのだ。 ... -
妄想神姫:外伝・その三十(後半)
曙の女神達──あるいは新年三ヶ日(後半) 雪は無くとも、元日の空気は刺す様な冷たさを以て私達四人を襲う。 真っ白い息を吐きながら、私は大切な“妹”達を抱えて歩を進めた。 その行き先こそ“狛犬はうりん”が居るという、近所の神社が一つ。 「こういうのは久しぶりだな、有無……お前達、寒さは問題ないか?」 「あ、大丈夫です。特に関節の動きも悪くないですし、平気ですよっ」 「……それにしても、ハウリンタイプの娘に逢うのが楽しみなんだよ」 「クララちゃんはやっぱり、どんな感じか気になっちゃいますの~?」 私の腕の中で、クララが肯く。やはり情報を知っていただけあってか、 その“狛犬はうりん”とやらに酷く強い興味を抱いているらしかった。 今が元日である事も考えると、忙しくて逢えぬかもしれないが……だが それでもなお、クララは『行ってみたい』欲求を隠さなかったのだな。... -
妄想神姫:外伝・その七(後半)
特殊戦闘訓練──あるいは神姫無双(後半) 実際の“鳳凰カップ”では、予選リーグから一貫してクララが代理の オーナーとして……HVIFを使い“梓”として……ロッテを導く。 とは言え今日は当番日ではない為、実際に“コレ”をサイドボードに セットするのは、私の役目だ。その形状は……大きな“弾”だった。 厳密にはその上に、白鳥を模したぷちマスィーンズがセットされる。 「サイドボード、クローズ。これから転送するんだよ……座標は?」 「東南東に5sm……ハイウェイの上にお願いしますの!」 「了解。カウント5で転送されるから、気を付けて……ゲーン(発進)」 「く……ッ!5……4……!」 『ギギィー!!!』 ロッテは落下する様に高度を下げ、ハイウェイを滑る様にして奔る。 飛行能力を備えているぷちマスィーンズがそれを追い掛け、飛べない 6機のネイキッドタイプは、全... -
妄想神姫:第二十七章(後半)
剣よ集え、神なる姫の元(後半) クララの綺麗な腕に“魔導刻印”なる模様を彫り込んだ、ナマモノ二匹を 粛正して……改めてクララの様子を見る。そう言えば連中、現実世界でも 云々と言っていたが……この実空間で“魔術”が使えると言う事なのか? クララの“魔術”は“情報魔導学”、即ち電脳に作用して起こす現象だ。 原理的には、実空間では強力な電磁パルス以上の物ではないのだが……。 「クララや、その……“コライセル”か?少々使ってみてくれぬか」 「うん、いいよ。まずは“魔の刃”から展開してみるんだよ……ッ」 「う、うぉっ!?なっ……なんだ、この半透明なエネルギー刃は?」 「これだけじゃないもん。マイスター、驚かないでね……?ふッ!」 驚くな、とクララは前置きしたが……目の前のこれにはかなり驚きだ。 今までヴァーチャル空間内のみだった、環状魔法陣が展開されたのだ! ... -
妄想神姫:外伝・その十三(後半)
熱気の坩堝──あるいは初日その三(後半) 魔剣匠工房“鬼奏”とは、此処より遠い片田舎にある刀剣専門店だ。 中でも“魔剣”等と呼ばれる異能の刃を……しかもMMS用のそれを 打ち出す事へと特化しており、その経営実態にも色々と秘密が多い。 それ故なのか私は工房専属の刀匠と出会って以来、親近感を覚える。 刀匠の名は、神浦琥珀。琥珀色の瞳が愛らしい、年齢不詳の女性だ。 ……お前もだろう、とか言った奴は後で八つ裂きにしてやるからな? 「しかし、まさか琥珀がこの“鳳凰カップ”に出典するとはな?」 「何よ、出て来ちゃいけないっての!穴蔵暮らしの癖してっ!?」 「そうは言っておらぬ、エルギール。非礼は、これで免じてくれ」 「……“フィオラ”。ふ、ふんっ!そんなインチキしていいの?」 私に突っかかってきたのは、ジルダリアタイプの神姫・エルギールだ。 無口な琥珀に変わり... -
妄想神姫:外伝・その十(後半)
麗しき戦い──あるいは予選その一(後半) マオチャオのミモザさんは、此処に至って漸くぷちマスィーンズ達を 指揮して、ロッテお姉ちゃんを射止めようと射撃を開始したんだよ。 その間に、腕の“研爪”をドリルの“旋牙”に換装するみたいだね。 ボクはそれを見て、咄嗟に指示を下すんだもん。このままは拙いし。 「ロッテちゃん、ぷちを急いで迎撃して。“ターザン”だよ!」 「わかりましたの、梓ちゃん!なら、これを利用してッ!」 『ビビ?』 ボクが“お姉ちゃん”と声に出さないのは、周囲に不審がられない為。 少々辛い事だけど、コレ位は我慢しなくちゃいけないもん。そして今、 そのロッテお姉ちゃんは、ホール脇にある大きなカーテンの奥に退避。 もちろん賢いAIを搭載したぷち達も、その隙を狙って集中砲火開始。 でも賢いなら、尚更ちゃんとした指揮をしてあげないとダメなんだよ? ... -
妄想神姫:外伝・その二十五(後半)
水辺に泳ぐ女神達──あるいは入水(後半) 人が大幅に減っているとはいえ、まだまだ気温は泳ぐにふさわしい。 しかも閑散と言う程でもない程々の喧噪は、のんびり皆で水辺遊びを 楽しむには、最適な環境と言えた。早速、造波プールの側を陣取る! 「海だぁッ!……いや、気分だけだがそれでいいのだ!どうだ、皆?」 「きゃははっ♪湯船以外で大きな水辺は、わたし久しぶりですの~♪」 「あたしとクララちゃんは初めてです……本当、海みたいですよねぇ」 「……以前に水上バスから見たけど、こうして触れるのは初めてだよ」 パレオを腰に纏ったロッテ達は、心地よい音を奏でている水辺に立ち、 その感触を確かめている。そう、離れた所で見たりヴァーチャル空間で 感じた事はあっても、リアルに泳ぐ為の水辺は初めてなのだ……まぁ、 アルマはよく湯船で泳いだりするのだが。それはそれ、これはこれだ。... -
妄想神姫:外伝・その二十三(後半)
誇り──あるいはちょっとした挑戦(後半) 物の十分もしない内に、周辺は予想以上の騒ぎとなっていた。曰く、 『あの香田瀬に隠し子が居た』だの『実は浮気までしていた』だの。 そんな私達と、私刑場に引きずり出されるが如き香田瀬を見ようと、 僅かでも暇を持っている社員全てが、その視線を一点に向けている。 青ざめた顔で香田瀬がやってくるのに、そう時間は掛からなかった。 ……にしても、広大な敷地なのに集合が早いな。香田瀬も野次馬も。 「あ、晶ち……さん、いきなり乗り込んでくるなんて。しかも、それ」 「何か文句あるか?こちらとて本気なのだ。それに、アポは取った筈」 「た、確かに……とりあえず一課の研究棟に!あーもう、散れ散れッ」 「ふふん。子供だと侮る貴様に、それなりの報復をしてやったまでよ」 そう、私とて自分の容貌と性格位は承知の上だ。なればそれを逆手に、 香... -
人型神姫インターフェイス
《人型神姫インターフェイス》 通称HVIF(Human-type Valkyrie InterFaces) 開発概念や基本思想などは本編参照 アンドロイドやヒューマノイドの改良型と考えるのが妥当 しかし、基本的な体の造りや感触、耐水性なども忠実に再現してあるため言われなければ100%わからない 基本は食事だが緊急時には電気エネルギーでもエネルギー確保ができる 生殖機能もついていて受胎や出産も可能である(DNA情報はランダムで個人の性格にあわせて設定される) バトルのときなどは暗号化した専用の信号でデータを遣り取りすることでそれぞれの神姫素体に入れ替わることができる その時人型神姫インターフェイスのほうは睡眠状態に入り呼吸も再現するので死んでいるようには見えない なお、神姫紹介でも記述している通りノアールらが『人型神姫インターフェイス』だと知っているのは当事... -
妄想神姫:第七十二章(後半)
ただその翼は、姫を解き放つ為に(その四) 第八節:明星 それは星が生じる時の様に、極々低い確率でしたの。ロキちゃんの言葉に 共鳴したわたし達の超AI……そして“プロト・クリスタル”。繋がった “心”の中で見出した共通のイメージが、“魔術”にも似た空間の侵蝕と いう形で、皆の躯を覆いましたの。マイスターの、叫ぶ声が聞こえます。 『“約束の翼”!?歩姉さん、ペンダントに……予期していたのか?』 「さぁ、最期の勝負ですの!……絶対に、勝ちますの!」 「やって、みせなさいよぉぉっ!!せやぁぁあっ!!」 隠し機能なんか無いはずのわたし達に、何故こんな異変が起きたのか…… それは、マイスターも分かりません。それでも“心”は叫んできますの。 一秒でも速くロキちゃんを止めろと、“心”が皆を突き動かしますの!! 「ふっ!!う、受けられた……これならっ!!」... -
妄想神姫:解説トップ
注意 各項目は順不同に並びます。また、扱われる内容によっては 専用の解説ページを設ける事もありますのでご注意下さい。 また、以下は全て妄想神姫に於ける世界設定類の解釈です。 一部皆様の解釈とは異なる点がありますが、ご了承下さい。 それでも採用してくださる場合は、遠慮無くご利用下さい。 大前提MMSショップ“ALChemist” 神姫用ファッションブランド“Electro Lolita” 食事機能 晶の得意分野 HOS(ハイパー・オペレーティング・システム) アシモフ・プロテクト ゲヒルン 情報魔導学(魔術) 2036年のネットワーク事情 人工知性心的外傷症候群(AIPTD) 人型神姫インターフェイス 万世橋無線会館 集光タワー 趣味嗜好 重量級クラス 合法ハッキング 晶の眼鏡 神姫の解析 2036年~2037年の気候 HVIFの免疫系 一応塾 “Elec... -
妄想神姫:解説その二
注意 各項目は順不同に並びます。また、扱われる内容によっては 専用の解説ページを設ける事もありますのでご注意下さい。 また、以下は全て妄想神姫に於ける世界設定類の解釈です。 一部皆様の解釈とは異なる点がありますが、ご了承下さい。 それでも採用してくださる場合は、遠慮無くご利用下さい。 警告 この頁は物語の終盤に出てきた要素を、主に扱っています。 その為、所謂“ネタバレ”が含まれている恐れがあります。 前頁へ戻る ペンダント ロッテが飛べた理由 和食屋 春の新作 “ALChemist”の営業期間(及び時間) 最初の現場 デュアルCSCシステム ラグナロク 二回目の現場 心情の変化と、その代償 藤村外科 怪文書 主要国家の現状と意向 シンクロニシティ 決闘の舞台 模造された“魔術” 晶のペンダント 自己認識 総力戦モード 命を賭け... -
妄想神姫:序章
苛烈なる少女?と、目覚めし神の姫 武装神姫。2030年代においてホビーとして多大な人気を誇る、 次世代ロボット・MMSの発展系として生まれた“神の娘”達。 彼女らの人気は、技術躍進がない限り揺らがないとも言う。 「ですからええと、ですね?規約は満たしてるんですが」 「何だ。言いたい事があったらさっさと言えばいいだろう!」 「その、まず“解除”に要する基準は問題なくクリアです」 秋葉原神姫センター8階、KONMAI事務局東京支部の一室。 ここで私は、なかなかに手強いカタブツの審査官と戦闘中。 流石に、“彼女”の先進性はイレギュラーらしい。満足。 「でも……“リーグ”に出すなんて正気です、槇野晶さん?」 「当たり前!重量級と軽量級。規約内と自分で認めたろうが!」 「確かにそうですけど、やぁ。どちらもギリギリなんですよ」 おおっと、申し遅れ... -
妄想神姫:第十章(前半)
再誕せし、哀しき神の姫(前半) 常連・田中の車に乗る事、およそ数十分。着いたのはM市である。 ロッテ及びクララ用の保全用部品一式を店から担ぎ出して、猪刈に 破壊された神姫の修復を手伝ってもらおうと、ここを訪れたのだ。 無論金は掛かるが、そんな物を惜しんで彼女を死なせはせんッ!! 「電話をした槇野だ!夕方なのにすまんが、頼めるか!!」 「はいっ、おにーさまが待っています!はやくはやくっ!」 「つ、ツガルタイプ?……分かった、案内してくれんか?」 そうして2人と3体の神姫で飛び込んだ先は、あの東杜田技研。 出迎えてくれたのは、レインディア・バスターに跨ったツガル。 話を聞くに、Dr.CTa女史は本業の方がアップアップ気味らしい。 女史の……会社の専門分野はマイクロマシン系。神姫ばっかりを 面倒見ている訳にはいかんしな……我が侭を、心中で詫びよう。 そ... -
妄想神姫:第八章(前半)
総てを司る、脆き神の姫(前半) 我がMMSショップ“ALChemist”は、平日はそう多く客が来ない店だ。 かといって、店長が店を閉めずに勝手にぶらついてる訳にも往かぬ。 そこで今日は、神姫カスタマイズ用パーツの準備を行っている所だ。 何せ今日は、あの娘の帰ってくる日であるからな。有無、腕が鳴る。 と、準備を進めているとドアの開く気配がした。どうやら来た様だ。 「……ここか。ちわっす~、シロネコですよっと」 「おお、何時もすまない……って、お前は誰だ?」 「お嬢ちゃんこそ、ここの店長さんって何処さ?」 「待て、お嬢ちゃん言うな!私が店長・槇野だッ」 私の答えに目を丸くしているのは運送屋の兄ちゃん等ではなく、 見た事もない若い女性であった。手に箱を持ってきてはいるが、 一体人をなんだと思っているのだ。……しかしこの箱のロゴは。 「へぇ~。てっ... -
妄想神姫:第三章(前半)
戦乙女は、かく降臨せし(前半) ヒートアイランド現象の所為であたたかいと言え、今は冬真っ只中。 流石に冷えるが、ここは今日も賑やかで熱気に満ちているな。有無。 秋葉原神姫センター3階、ヴァーチャル式バトルフィールド装置前。 ここではサードリーグとセカンドリーグの試合を、年中やっている。 設置台数は、両リーグを合わせて凡そ……16基という所だろうか? 「お兄さんお姉さん達でいっぱいですの~、それとわたしの妹達もッ」 「そうだぞロッテ。今日はここで初バトルをやるんだ……大丈夫か?」 「はい。ちょっぴり緊張しますけど……精一杯がんばってきますの♪」 「良い娘だ~……こほん、勝ったらご褒美も考えてやろうか、有無?」 「むむむっ。そう聞いたら、もっとも~っと頑張っちゃいますの~♪」 そう、我々は先日“解除”と並行してサードリーグに登録したのだ。 草リーグとは... -
妄想神姫:第九章(前半)
哀れなる傀儡に、祝福を(前半) 日曜日。クララのサードリーグ登録を済ませ、私・晶が向かう先は 秋葉原神姫センター3階にある、ヴァーチャルバトルフィールド。 今日はここで、ロッテの二戦目を実施しようかと思っているのだ。 クララの装備は開発中だ。あの日暮にも助力を頼んでいるが……。 「アレス・グリューン──────マイスター、今日も快調ですの♪」 「有無、何よりだ。クララ、ロッテのこの装備を土台にする予定だが」 「……マイスター、綺麗だけど少し大型。CQBでは大きすぎるもん」 「ふむむ?そうか。この翼に負けぬ様、自然と重装化しているからな」 この通り“ゲヒルン”の効能もあり、分析能力では私を越えている。 確かに軽量級ランクの水準よりも多く、吟味して武装させたからな。 何らかの方法で、CQB……戦略的近接戦闘も考慮せねばいかんか? 何せバトルフィールドは... -
妄想神姫:第十二章
新たに産まれ落ちた、その意味を 静かな冬の夜、と言っても暖冬の今年は雪など欠片も見あたらんが。 ともあれ今日の雑事を終えた私は、神姫達が眠る自分の寝床に赴く。 HVIFを得た事で、私の寝床では常にもう一人が眠る事になった。 「……すぅ、すぅ……」 「葵め、いい寝顔だな」 今日は槇野葵……立場上では私達“四姉妹”の三女となったロッテ。 諸処の事情でHVIFの運用にあたっては、当番制を敷く事とした。 昨日はアルマである茜、明日はクララである梓、明後日はお休みだ。 非番のHVIFは、下階の居室で自己メンテナンスをしながら眠る。 「人型神姫インターフェイス、か……便利ではあるのだがな」 “人間の心”と“神姫の心”に、違いは殆どないと私は思っている。 故にこそ、役割の違う“肉の躯”と“殻の躯”は共にあるべき要素。 それぞれの立ち位置を認識し、更... -
妄想神姫:第五章
“職人”として、私達にできること 冬の昼さがり、店の会計処理を一通り終えた私・晶は店のシャッターを がらごろと降ろし始めた。この作業がいつでも大変だ……私一人では。 だが、彼女がいればそれも苦にならぬ。本当に手伝いはありがたいな。 「よっこらしょ……はい、マイスター持ってくださいですのっ」 「うむ、御苦労。いつもすまぬな、私の身長が足りぬばかりに」 「もう。おとっつぁんそれは言わない約束だよぉ、ですの~♪」 「おとっつぁん言うなッ。まったく、ワンセグの見すぎだぞ?」 ロッテが滞空しながら引き降ろしたシャッターを完全に閉じ、施錠。 そしてフックに、ラミネート加工を施した張り紙をこしらえてやる。 “外出につき、本日は臨時休業いたします”。これで準備は整った。 「これでよしと……では往こうかロッテ、奴めの店にな」 「はいですの~、いいお返事がもらえ... -
妄想神姫:解説・後日談装備編
警告 この頁は物語の終盤に出てきた要素を、主に扱っています。 その為、所謂“ネタバレ”が含まれている恐れがあります。 エルナの各種装備調達経緯装束:“レーラズ”/“シルフィード”/“セイクレール” 携行武装:“影羽”フルネレス アドバンスド・ターミナル:“マビノギオン” 多重可変型戦術支援システム:“アルファル” 重装型高機動戦闘システム:“プルマージュ” プログラム・システム:“W.I.N.K.”/“W.I.N.G.S. Ver.ALC” エルナの各種装備調達経緯 新たに晶達の“妹”となった、紫の姫・エルナ。彼女用の装備は、 当然だが存在しなかった。過去に使っていた物は、神姫バトルでは とても利用出来ない代物だったからだ。そこで、槇野晶は“姉”の 補修用余剰パーツを元にして、エルナ専用の装備を作る事とした。 そのコンポーネントは、重量級と軽量級の両... -
妄想神姫:第一章
晴れた日には、2人でそぞろ歩きを 今日、私・槇野晶は渋谷センター街へと繰り出している。 レディたるもの、ファッションの一つや二つは気を遣わねば。 ……「どうみても幼女」とか「その眼鏡は邪魔」とか言った奴。 即刻前に出てこい、顎に飛び膝蹴り入れてやろう。返品不可。 「コワイ顔してどうしましたですの、マイスター?」 「ああいや、不埒な読者諸兄にちょっと釘をな、ロッテ」 「よくわかりませんけど、マイスターも大変ですの~」 「それよりもだ、この服はロッテ的にどうだ?」 「わぁ……この色合いがステキですの~♪」 そう。今日来たのは何も私の為ではない、ロッテの為でもある。 開発当初こそ様々な色眼鏡で見られまくった“神姫”ではあるが、 アミューズメント施設にバトルフィールドが普及した努力もあり、 昨今では趣味としての市民権を得ている。故に、今日の私の様に お... -
妄想神姫:第六章
世に一人しかいない、あなただから エルゴから帰ってきた私達は、シャッターの前で待っていた常連客の 応対を終えて、預かった“ツガルタイプオプション付きハウリン”の チェックをしている。研鑽中の情報処理技術も総動員しての作業だ。 その傍らでは私服のロッテが心配そうに、眠る神姫を見つめている。 ちなみにこの神姫、昨日買われていったばかりなのだが、有無……。 「ふむ。むぐ……むむ、これはどうにも深刻かもしれんな」 「マイスター。この娘は治せませんの?火器管制システム」 「うむ。論文で読んだ事も、日暮に聞いた事もあるのだが」 「だが~……?だがってどの事なんですの、マイスター?」 「所謂あれだ、“ワン・オブ・サウザンド”という奴だよ」 銃器職人の伝説であるそれは、千挺に1つの偶然の産物を意味する。 微細な部品加工時のミスや、手作業による部品同士の相性。これら... -
妄想神姫:終章(前半)
前を見た少女と、煌めく神の姫達(その一) ──もう、手放さない。滅びが分かつまで、愛しき姉妹と共に生きよう。 “妹”達の笑顔の為ならば私は尚の事、己の全てを神姫に捧げていこう。 それが……共に歩んでいく彼女らに対し、私が捧げられる“誓い”──。 第一節:訣別 “悪夢”の暴威が去った翌朝。私・槇野晶は、朝一番の電車で出かけた。 行き先は東杜田技研。勿論“四人の妹達”……アルマとロッテ、クララに 昨日から加わったエルナも一緒だ。但し、彼女らは目を醒まさない……。 あまりに受けたダメージが大きすぎたのか、一様に酷い不調を訴えてな。 なので私は、ありったけの修理用部品を持って東杜田技研を頼ったのだ。 「……私を置いて逝くには、まだ早いよ。まだ、色々あるんだから……」 「晶ちゃん?おーい、あーきーらーちゃーん?何ブツブツ言ってるのさ」 「どわっ!?げ... -
妄想神姫:第四章
私と彼女、小さな小さな“幸せ”を 対戦相手に名刺を渡して意気揚々と帰る、私・槇野晶と神姫・ロッテ。 とは言えそろそろ、夕食の時間であるな……。買い物を手早く済ませ、 外食へ赴く事にしようか。たった2人のささやかな祝宴だが、十分だ。 「マイスターっ、わたしチキンのサンドが食べたいですの♪ねっ?」 「む?遠出になるが……よし、今日は頑張ったからな!いいだろう」 「やった!マイスター、マイスター、大好きですの。えへへ~……」 「わぷ、こらっ。すりすりするなっ!?うぅ、しょうがない娘だッ」 我々が帰りの足で向かったのは、神田神保町にあるサブウェイである。 少し秋葉原からは離れているが、ロッテの好物なのだ。仕方あるまい? 何、「神姫の食事って電気じゃないか」だと?……その筈、なのだが。 「いっただ~きま~すの~、マイスターっ!!チキン、チキンっ」 「冷... -
妄想神姫:第二章
サムライ男に見る、最近の犯罪事情 2007年初旬、英国の地で押し込み強盗を働いた5人組がいたらしい。 彼らは駆けつけた警官2人をナイフで刺そうと襲いかかる。その時! 突如何処からか現れた侍が一人を斬り伏せ、逃げるもう一人も斬る! 結果警官は助かったが、“サムライ男”は既に姿を消していた……。 「……だそうだ、なんか何処ぞのVシネマ時代劇でありそうな展開だな」 「マイスター、マイスターっ。わたしも、ばば~んと活躍したいですの」 「うむ、最近はハイテク犯罪も多いし、その中でこそローテクは光るな」 「特に神姫犯罪は最近多いですの、わたし達の姉妹が悪い事してますの」 深夜のティーブレイク。暇な時は旧時代のニュースアーカイブを見る。 そして最近と比較していろいろ沈思黙考。これぞ私・槇野晶の休息だ。 昨今は……恐らく私が生まれ出る前から……この国は荒れ放題であり... -
妄想神姫:コメント受付
ご意見等が有りましたら、以下のフォームよりどうぞ。 商品内容等のご質問・コラボの相談もお受け致します! テストです -- (妄想の人) 2007-01-15 14 51 57 先だってはどうも(笑)wikiの方にも進出ですかー。頑張って下さい! -- (Gの人) 2007-01-15 22 34 55 進出させて頂きました。まったり書いていきますッ。(笑) -- (妄想の人) 2007-01-16 03 20 48 "ALChemist"いいっすね!うちの明人は暇人ですから(おいアキバの外れまで幼女店長を拝見しに行かせて頂こうかと… -- (神姫の父) 2007-01-17 22 57 07 有り難うございますッ!どうぞお越し下さいませ。(笑)お礼と言ってはなんですが、タイミングとチャンスが合えば“人型神姫インターフェイス”... -
:〈2つ名〉辞典
2つ名 辞典 各作者様の登場人物紹介から抜粋させていただきました。 なお、Wikiに登録及び出演しているキャラクターのみです。 また、新キャラや新たな2つ名誕生の際は各作者様ご自由に更新OKです。 [非]= 非公式バトル [ロ]= ローカル(一部地域でのみ通用) [自]= 自称 《マスター編》 あ行 か行 《外道》[ロ] 猪刈 久夫 妄想神姫 《コンダクター》 長月 スバル Raven and Cat~紅き瞳と猫の爪~ さ行 《G》 日暮 夏彦 HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 《屍ケン》[非] ケン Mighty Magic 《Executioner》《死刑執行人》[非・ロ] ミラ・ツクモ EXECUTION 《死の恐怖-スケイス-》 橘 明人 橘明人とかしまし神姫たちの日常日記 《... -
妄想神姫:第七章
天の妙なる響きに、しばし身を委ね 夜の東京……と言っても、いかがわしいゲームの発売日でもない限り 真夏と暮れの魔境現出時以外、アキバの夜はおよそ静かなのである。 ましてやここは外れでしかも地下、換気さえ注意すれば快適な物だ。 と言うわけで今晩は、昼に虫干しを兼ね整頓した蔵書を読んでいる。 「ふぅむ、この配線パターンはこれが効率的か……なるほど」 「むにゃ……マイスター、起きてらしたですの~?ふぁ……」 「ん……?おおッ。起こしてしまったかロッテ、すまないな」 「いえ、充電も問題ないですし……わたしは構いませんの♪」 「そうか、なら曲でもかけてやろうか……パイプオルガンだ」 OK、そこの貴様。人を怪物でも見る様な目で眺めるんじゃない。 クラシックは私の好みだ、文句あるか?それに、その……ロッテも 実はクラシックを気に入っていてな?──少し違う意味で、... -
妄想神姫:コメント一覧
テストです -- (妄想の人) 2007-01-15 14 51 57 先だってはどうも(笑)wikiの方にも進出ですかー。頑張って下さい! -- (Gの人) 2007-01-15 22 34 55 進出させて頂きました。まったり書いていきますッ。(笑) -- (妄想の人) 2007-01-16 03 20 48 "ALChemist"いいっすね!うちの明人は暇人ですから(おいアキバの外れまで幼女店長を拝見しに行かせて頂こうかと… -- (神姫の父) 2007-01-17 22 57 07 有り難うございますッ!どうぞお越し下さいませ。(笑)お礼と言ってはなんですが、タイミングとチャンスが合えば“人型神姫インターフェイス”の設定をお借りするかも? -- (妄想の人) 2007-01-17 22 58 44 うはwwwどうやら美味... - @wiki全体から「妄想神姫:後日談・二幕(後半)」で調べる