武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「妄想神姫:第六十一章」で検索した結果
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妄想神姫:第六十一章
新しき風と、揺れ動く錬金術師達(その一) ──遂に吹いた新しき風。それこそ、災禍と幸福をもたらす因果の使者。 それは私と大切な“妹”達の運命を押し流して、歪めて往く激流である。 初めは、何という事のない事故の筈だった……私が、気付くまでは──。 第一節:契機 今日、私・槇野晶は渋谷に出てきている。年も明けて暫く経ち、材料類や 新たな資料を求めて、この街へと出てきたのだ。見る物や荷物は多いが、 私には心強い助っ人達が居る。そう……言うまでもなく“妹”達の事だ。 「よい、しょ……晶お姉ちゃん、買い物はこれで全部ですの~?とと」 「おお、大丈夫か葵や?そうだな、お前達……のHVIFの分も完了」 「……後は、また春の新作とかを見物して帰るのかな。マイスター?」 「有無、それで渋谷へ出てきた用事は全て完了する。手早く行こうか」 「はいっ!あ、マイスタ... -
妄想神姫
妄想神姫:メインメニュー 注意 本作品は“突飛な設定”の類を多分に含有しております。 意図的に行っているので、その手の要素を苦手とする方は 閲覧に細心の注意を払って下さいます様、お願いします。 あらすじ 登場人物紹介 本編 外伝 後日談 各種解説 おまけ 協力・引用 あらすじ アキバの隅にMMSショップを構える幼女店長、槇野晶。 彼女の側には“妹”と言うべき、三人の武装神姫がいた。 長女“アルマ”と、次女“ロッテ”に、三女“クララ”。 これは、そんな姉妹のマッドで百合気味な日常とバトル、 更に武装神姫を逸脱気味なメカを、妄想のみで綴るお話。 登場人物紹介 登場人物MMSショップ“ALChemist” ライバルの神姫達 黄昏よりの使者+α(ネタバレ有り) 本編 序章 「苛烈なる少女?と、目覚めし神の姫」 第一章 「晴れた日には、2... -
妄想神姫:第六十章
新しき波浪と旋風の、前にある物 “聖夜”も過ぎ、帳簿上の仕事納めが目前となった。お台場で巻き起こる “聖戦”を前に、年の瀬の秋葉原は活気に満ちているが……しかし、この MMSショップ“ALChemist”は別だ。普段より客が多少増えた程度であり、 私・槇野晶は、優雅に紅茶を頂きながら店番をしていたりする訳だ……。 「ふぅ……ここは、外の喧噪が嘘の様だな。帳簿作成も大方終わり、と」 「お疲れ様なんだよマイスター。在庫検品も、パーツ類は終わりだもん」 「あ。通販の最終発送分も、宅配便のお姉さんが先程持っていきました」 「友人さんへの“年賀メール”も、雛形の打ち込みは完了ですの~っ♪」 「皆、御苦労だな。後出来るのはメールの個別調整と掃除位の物か……」 とは言え、前者は“ながら作業”でも十分な量だ。後者は一見大変だが 普段から神姫達が自由に動き回れる様に…... -
妄想神姫:第六十三章
新しき風と、揺れ動く錬金術師達(その三) 第六節:宿業 アルマとクララが飛び出し、葵……ロッテが後を追って、どれ位の時間が 過ぎただろうか。物音が止んだのを確認し、私・槇野晶も漸く動き出す。 暇潰しに一人で淹れたココアは、苦い。だがそれも、三人の心中に湧いた “澱”の苦さと思えば、敢えて飲み干さねばならぬという想いが勝った。 「なんで……あたし達なんて、所詮ただのお人形遊びだったんです?」 「ボクらは、歩さんとクリスティアーネさんの……代わりなのかな?」 嘆きが聞こえる。黙っていたが為、傷つけてしまった二人の哀しみが。 改めて己の愚かさと弱さを悔いつつ、そっと聞き耳を立てる。今の私が 何を喚いた所で、容易には聞き入れてくれぬだろう。ロッテが頼りだ。 「あたし達の所為で、マイスターのお姉さんが死んじゃったなんて……」 「ボクらの存在意義が分... -
妄想神姫:第六十六章
過去と流血に囚われし、嘆きの姫(その三) 第六節:感触 ハンカチで止血されつつ、私は外神田の古びた外科医へと運び込まれた。 幸いにも目立った患者はおらず、すぐに処置室での治療が行われたのだ。 消毒液やガーゼによる激痛は、筆舌に尽くし難い。だが私は幸運だった。 「お~、晶ちゃんよぅ来たのう。今度は何をしたんじゃ?……おお?」 「先生、外傷と火傷があるみたいですの。出血は酷いですけど~……」 「ほうほう。こりゃまた派手じゃのぅ。ハンダごてでも掴んだかの?」 「痛たたたた!?そ、そう言う事にしといてくれぬか藤村先生……ッ」 好々爺の藤村先生は、私が店を開くよりも前から度々世話になっていた 熟達の外科医だ。私がロッテを受け入れて、彼女の為にと物を作る様に なってから、未熟や油断故に生傷を作った私を的確に治療してくれる。 喰えない所もあるが、その腕は確か... -
妄想神姫:第六十九章
姫の閉ざされし檻、呪われし高貴(その三) 第五節:自我 紅い日が西に傾いていき、やがて夜が来る。そんな神姫センターの片隅で 私と“妹”達は、何を語るでもなく呆然と景色を眺めていた。前田達は、 とっくに神姫センターを出ていった。しかし、それはどうでも良いのだ。 「……ロッテ、随分と啖呵を切った物だな。呆れておったぞ、彼奴らは」 「そうですの……自分でも、ちょっとアレは吃驚しちゃいましたの……」 「彼処まで激しくなったのは、フリッグさんに負けて以来だったんだよ」 「珍しい物が、見られましたね。ロッテちゃんは、何時も笑顔ですから」 ロッテの勢いに流された自分達の思考を、ずっと整理する。これより挑む 相手は、世界の全てを呪い続けている窮極の小型殺戮兵器、とも言えた。 前田達は、それを誰よりも強く認識している為に……首を突っ込んで来た 私達を止めようと、... -
妄想神姫:第六十八章
姫の閉ざされし檻、呪われし高貴(その二) 第三節:賢者 半ば日が中天に差し掛かる頃、私達はアキバへと帰ってきた。昼食さえも 摂る時間を惜しみ、駅の売店で買った栄養補助食品とスポーツ飲料を皆で 分け合いながら、神姫センターへと赴く。連休も明けて暫く経った平日の センターは、多少賑わっていた物の……混雑という程の人は居なかった。 「ふぅむ……緊急充電用のレンタルクレイドルは、どれも正常だな……」 「ん~……電源ケーブルが何処かへ引っ張り出された跡も、ないですの」 「となると、ロキちゃんは一体何処で充電しているんでしょうね……?」 「……ひょっとして、充電が不要な位のジェネレータを積んでるのかな」 一緒になってクレイドル周辺をまさぐる梓から、そんな推論が飛び出す。 しかし、強ち的外れとも言えない事情がある。それは、彼女の躯に備わる “装備”だ。可変式... -
妄想神姫:第六十七章
姫の閉ざされし檻、呪われし高貴(その一) ──哀しみの姫を見据え、しかし怒りより先んじて生じるのは“真心”。 それは今まで生きてきた私達の全存在を、肯定するが為に産まれるエゴ。 しかしエゴでも良い……ただ助けたい。その為には、“知る”事だ──。 第一節:孤独 ロキに掌を撃たれた翌朝……私・槇野晶の手は藤村先生の見立て通りに、 傷の痛み以外は特に何の問題もなく動かす事が出来た。微細な作業は些か 手間取る物の、何事もないという事実だけで十分と言える。故に神姫達と 朝食を取りつつ、私はあのMMS……“ロキ”について整理する事とした。 「むぐ……という訳でだ、もう一度ちゃんとした推論をだな……はむ」 「ああもう、マイスター!喋りながら食べちゃ行儀が悪いですのっ!」 「んぐ。す、すまんなロッテ……しかしここまでせんでも、食事位は」 「ダメですよ?少し... -
妄想神姫:第六十五章
過去と流血に囚われし、嘆きの姫(その二) 第三節:怨霊 ゆっくりと、幽鬼の様な動きでその姿を見せたのは……神姫ともその他の MMSとも判断しがたい、軍隊風の装束に身を包んだ12センチの少女だ。 否……軍隊風、というのは正確でない。どちらかというと“戦闘機”だ。 流暢な日本語で捲し立てるその娘を見て、私は率直にそんな印象を抱く。 「来るなって、言ってるでしょ!?……貴女、やっぱり当局なのね!」 「日本語が分かるのか。いや、私達は権力を持たぬ……只の民間人だ」 「嘘よ!アタシを叩き壊す為に来たのよ、奪う為なんだわ!そうよ!」 「マイスター、この娘……脚が……ううん、腕も全部……武器ですの」 ロッテが青ざめた様な表情で呟く。彼女の言う通り、私達の眼前に居る MMSの姿は酷く歪だった。両脚が、無骨な武器に置換されていたのだ。 左脚は、膝にパイルバンカー... -
妄想神姫:第六十二章
新しき風と、揺れ動く錬金術師達(その二) 第三節:探求 翌日。私・槇野晶は、手早くシャワーだけ浴びると雑踏へと飛び出した。 食事はコンビニのパンで済ませ、爆破現場を中心とした馴染みの店主達と 幾度と無く情報を交換する。自分でも驚く程のハイペースでな。そんな、 忙しない移動と会話の中でふと後ろから掛けられた声に、動きが止まる。 「はぁ、はぁ……あ、晶お姉ちゃんどうしちゃいましたの……慌てて」 「ん?む、ロッテ……じゃない、葵か?アルマとクララも、一緒だな」 「当然ですよっ!昨日は失神してそれっきりだったじゃないですか!」 「……そして目が覚めた途端、人が変わった様に動き始めてるんだよ」 ……冷静になってみればそうだ。『出かけるぞ!』とだけ叫んで、私は 彼女らを置いて出てしまった。それだけ私が心理的に切羽詰まっている 証明なのかもしれないな……皆、... -
妄想神姫:第六十四章
過去と流血に囚われし、嘆きの姫(その一) ──嘆きと喜びで飾った時を分かち合い、追い求めるは彼方よりの使者。 それは私達の予想を超えて、絶望を深く纏った憎悪と哀しみの塊だった。 しかし恐怖を感じてもなお……だからこそ、それは皆の心に留まる──。 第一節:鳴動 あの爆発事故……否、“事件”より数日後。私・槇野晶は神姫達と相棒を 伴って再び秋葉原の雑踏に繰り出した。あれから店の営業を半日で休み、 もう半日を周辺の聞き込みや路地の捜索に費やす日々が続いている。無論 警察等も出張っては居た様だが、爆発その物が“事故”扱いされた事で、 街全てを洗う程の捜査ではなかった。その間隙を、私は縫っているのだ。 「ふぅむ……小学校近辺までの路地は凡そ調べたが、目立った物証は」 「ないですね、お姉ちゃん……あの“闇樹章”以外影も形もないです」 「有無。やはり、残... -
妄想神姫:第六章
世に一人しかいない、あなただから エルゴから帰ってきた私達は、シャッターの前で待っていた常連客の 応対を終えて、預かった“ツガルタイプオプション付きハウリン”の チェックをしている。研鑽中の情報処理技術も総動員しての作業だ。 その傍らでは私服のロッテが心配そうに、眠る神姫を見つめている。 ちなみにこの神姫、昨日買われていったばかりなのだが、有無……。 「ふむ。むぐ……むむ、これはどうにも深刻かもしれんな」 「マイスター。この娘は治せませんの?火器管制システム」 「うむ。論文で読んだ事も、日暮に聞いた事もあるのだが」 「だが~……?だがってどの事なんですの、マイスター?」 「所謂あれだ、“ワン・オブ・サウザンド”という奴だよ」 銃器職人の伝説であるそれは、千挺に1つの偶然の産物を意味する。 微細な部品加工時のミスや、手作業による部品同士の相性。これら... -
妄想神姫:第二十一章
真っ直ぐに学び、ひたむきに語り 秋葉原を要する千代田区には、“一応塾”なる大学出資の学習塾がある。 どことなく安心出来ない屋号であるのだが……実績は確かと聞いていた。 私は戸籍謄本等を求められぬこの塾へ、実験的にクララを通わせている。 勿論“殻の躯”で門前払いされたので、HVIFを用いて審査を通った。 そこで彼女は高校生・槇野梓として、一般の“同年代の人間”と過ごす。 「ただいまなんだよ、お姉ちゃん。今日も宿題が一杯あるんだよッ」 「おお、御苦労だな梓……いや、クララ。HVIFを休ませるか?」 「ううん。今日は筆記問題もあるから、この姿でないといけないよ」 「この時代にプリントとはなぁ。電子データに統一すればいい物を」 そうなのだ。“当番制”を崩せない以上、毎日塾に通う事は出来ない。 とは言え進学塾故に、ノルマというか必要な単位はこなさねばならん。 ... -
妄想神姫:第七十一章
ただその翼は、姫を解き放つ為に(その二) ──幕は切って堕ちる、羽は舞い散り焔となる。それは、ボクらが彼女を 受け入れる為の“儀式”。大切な人の願いを叶える為に、捧げる“舞”。 迷いはある。けど、絶対叶えてあげたい。そしてその先に、ボクの──。 第三節:決闘 ボクらは、彼女の内に秘められた殺気を殻の肌で感じ取るんだよ。そう、 同じMMSとして……ボク・クララとお姉ちゃん達には、誰よりも分かる。 けれど憎悪の果てにある暖かい光を抱きしめる為なら、恐がれないもん。 「……本気ね?もし負けたら、アンタだけじゃない。そっちの神姫も」 「遠慮無く殺ってくださいですの。マイスターを喪えばどの道、ね?」 「あたし達は生きられませんから……ならせめて一緒に滅びたいです」 「ボクらは、死を畏れない。一緒にいられない事が、恐ろしいんだよ」 そう。自分を呪... -
妄想神姫:第一章
晴れた日には、2人でそぞろ歩きを 今日、私・槇野晶は渋谷センター街へと繰り出している。 レディたるもの、ファッションの一つや二つは気を遣わねば。 ……「どうみても幼女」とか「その眼鏡は邪魔」とか言った奴。 即刻前に出てこい、顎に飛び膝蹴り入れてやろう。返品不可。 「コワイ顔してどうしましたですの、マイスター?」 「ああいや、不埒な読者諸兄にちょっと釘をな、ロッテ」 「よくわかりませんけど、マイスターも大変ですの~」 「それよりもだ、この服はロッテ的にどうだ?」 「わぁ……この色合いがステキですの~♪」 そう。今日来たのは何も私の為ではない、ロッテの為でもある。 開発当初こそ様々な色眼鏡で見られまくった“神姫”ではあるが、 アミューズメント施設にバトルフィールドが普及した努力もあり、 昨今では趣味としての市民権を得ている。故に、今日の私の様に お... -
妄想神姫:第十一章(後半)
神は降りて、姫とならん(後半) シャッターの奥にあったのは、女性三人の裸体……より厳密には、 それは機械だった。外見では判別できないが、私のカンが告げる。 フェレンツェめ同様、伊達でマイスター(職人)を名乗りはしない。 人を模した肉の噐とでも言うべきか。それが3つ、目の前にある。 「マイスター、これって……なんだか感じますの」 「その感覚が事実ならば、フェレンツェ……貴様」 「如何にも。本来はロッテ君の為に用意したのさ」 ここで私は数年来の付き合いで初めて、博士の研究を知る事となる。 それは即ち『人と神姫のコミュ二ケーション』。高度知性体・人類と 人が産み出した新たな高度知性体・AI……その代表格たるMMS。 更にその中でも氾世界的にメジャーな存在となりつつある、神姫達。 「なるほど。博士の研究とは、相互交流に於ける諸問題か……」 「そう言... -
妄想神姫:解説トップ
注意 各項目は順不同に並びます。また、扱われる内容によっては 専用の解説ページを設ける事もありますのでご注意下さい。 また、以下は全て妄想神姫に於ける世界設定類の解釈です。 一部皆様の解釈とは異なる点がありますが、ご了承下さい。 それでも採用してくださる場合は、遠慮無くご利用下さい。 大前提MMSショップ“ALChemist” 神姫用ファッションブランド“Electro Lolita” 食事機能 晶の得意分野 HOS(ハイパー・オペレーティング・システム) アシモフ・プロテクト ゲヒルン 情報魔導学(魔術) 2036年のネットワーク事情 人工知性心的外傷症候群(AIPTD) 人型神姫インターフェイス 万世橋無線会館 集光タワー 趣味嗜好 重量級クラス 合法ハッキング 晶の眼鏡 神姫の解析 2036年~2037年の気候 HVIFの免疫系 一応塾 “Elec... -
妄想神姫:第十一章(前半)
神は降りて、姫とならん(前半) アルマも落ち着き、暫く経ったある冬の日。私達は四人連れ立って とある場所を目指し電車を乗り継いでいた。ロッテとクララは肩、 アルマは白衣の胸ポケットだ。何れも掴まりやすく改造してある。 しかし何だ。アルマは意外な側面を、先程から見せつけてくれた。 「はぐはぐ……マイスターおいしいです、はいっ……♪」 「アルマや、コンビニのおにぎりを1つ丸々喰うのか?」 「うぐ、んっ……はい、だって食べ物がこんなにっ……」 この通りアルマにも食事機能があるのだ。しかもこの娘は大食い。 恐らくあの大修理時にMk-Z氏が仕込んだのだろうが……侮れぬな。 というわけで三人に昼食を与えながら、私達は電車を乗り継いだ。 「けふっ。ごちそうさまでした、マイスター……えっとぉ」 「そうか……では、そろそろ指定された駅だ、降りるぞ?」 「はい... -
妄想神姫:第五章
“職人”として、私達にできること 冬の昼さがり、店の会計処理を一通り終えた私・晶は店のシャッターを がらごろと降ろし始めた。この作業がいつでも大変だ……私一人では。 だが、彼女がいればそれも苦にならぬ。本当に手伝いはありがたいな。 「よっこらしょ……はい、マイスター持ってくださいですのっ」 「うむ、御苦労。いつもすまぬな、私の身長が足りぬばかりに」 「もう。おとっつぁんそれは言わない約束だよぉ、ですの~♪」 「おとっつぁん言うなッ。まったく、ワンセグの見すぎだぞ?」 ロッテが滞空しながら引き降ろしたシャッターを完全に閉じ、施錠。 そしてフックに、ラミネート加工を施した張り紙をこしらえてやる。 “外出につき、本日は臨時休業いたします”。これで準備は整った。 「これでよしと……では往こうかロッテ、奴めの店にな」 「はいですの~、いいお返事がもらえ... -
妄想神姫:第四章
私と彼女、小さな小さな“幸せ”を 対戦相手に名刺を渡して意気揚々と帰る、私・槇野晶と神姫・ロッテ。 とは言えそろそろ、夕食の時間であるな……。買い物を手早く済ませ、 外食へ赴く事にしようか。たった2人のささやかな祝宴だが、十分だ。 「マイスターっ、わたしチキンのサンドが食べたいですの♪ねっ?」 「む?遠出になるが……よし、今日は頑張ったからな!いいだろう」 「やった!マイスター、マイスター、大好きですの。えへへ~……」 「わぷ、こらっ。すりすりするなっ!?うぅ、しょうがない娘だッ」 我々が帰りの足で向かったのは、神田神保町にあるサブウェイである。 少し秋葉原からは離れているが、ロッテの好物なのだ。仕方あるまい? 何、「神姫の食事って電気じゃないか」だと?……その筈、なのだが。 「いっただ~きま~すの~、マイスターっ!!チキン、チキンっ」 「冷... -
人型神姫インターフェイス
《人型神姫インターフェイス》 通称HVIF(Human-type Valkyrie InterFaces) 開発概念や基本思想などは本編参照 アンドロイドやヒューマノイドの改良型と考えるのが妥当 しかし、基本的な体の造りや感触、耐水性なども忠実に再現してあるため言われなければ100%わからない 基本は食事だが緊急時には電気エネルギーでもエネルギー確保ができる 生殖機能もついていて受胎や出産も可能である(DNA情報はランダムで個人の性格にあわせて設定される) バトルのときなどは暗号化した専用の信号でデータを遣り取りすることでそれぞれの神姫素体に入れ替わることができる その時人型神姫インターフェイスのほうは睡眠状態に入り呼吸も再現するので死んでいるようには見えない なお、神姫紹介でも記述している通りノアールらが『人型神姫インターフェイス』だと知っているのは当事... -
妄想神姫:第二章
サムライ男に見る、最近の犯罪事情 2007年初旬、英国の地で押し込み強盗を働いた5人組がいたらしい。 彼らは駆けつけた警官2人をナイフで刺そうと襲いかかる。その時! 突如何処からか現れた侍が一人を斬り伏せ、逃げるもう一人も斬る! 結果警官は助かったが、“サムライ男”は既に姿を消していた……。 「……だそうだ、なんか何処ぞのVシネマ時代劇でありそうな展開だな」 「マイスター、マイスターっ。わたしも、ばば~んと活躍したいですの」 「うむ、最近はハイテク犯罪も多いし、その中でこそローテクは光るな」 「特に神姫犯罪は最近多いですの、わたし達の姉妹が悪い事してますの」 深夜のティーブレイク。暇な時は旧時代のニュースアーカイブを見る。 そして最近と比較していろいろ沈思黙考。これぞ私・槇野晶の休息だ。 昨今は……恐らく私が生まれ出る前から……この国は荒れ放題であり... -
妄想神姫:第三十一章(前半)
剣の目覚めは、未だ遠く(前半) 神浦琥珀嬢に“妹達の魔剣”を仕立ててもらってから、暫くが経過した。 それぞれの練度にも、若干の違いが出てきている様でなかなか興味深い。 例えば、今ここで模擬戦を行っているロッテとクララの方を見てみよう。 敢えて今回“Valkyrja”は装備せず、基本武装と魔剣のみで戦っている。 「まだまだ行きますの♪……“放ち刺し穿て、ライナスト”ッ!!」 「くっ……不可視の傘、疾く来たれ!“ソニック・アンブレラ”!」 「う、うわ……あの雷撃が三つも一遍に出ましたよ、マイスター」 「有無。だが、クララの防御も……いや、防御とは呼べんがな」 並みの装甲を射抜く、ロッテの雷撃。クララが“魔術”とコライセルに 備わる防御障壁を駆使しても、超音速のそれを凌ぐのは非常に厳しい。 そこで彼女は、受けきらず……己が避ける為の時間稼ぎを行っている。 ... -
妄想神姫:第五十一章(前編)
猛り狂いし、地を灼く竜(前編) その日、私・槇野晶は神姫達が目覚める前から大忙しであった。何しろ、 彼女らが重量級ランクに挑む日なのだ。リサーチしたデータと自己鍛錬の 経験……そして私自身と彼女らの“技術”が、勝敗の全てを握っている。 ノウハウなど存在しないも同義。正直、全員未知の荒野へ旅立つ気分だ。 ならば、出来る準備を可能な限り行うしかない。それが明暗を分けるッ! 「充電完了、システム起動──ふぁ……おはようございますですの~♪」 「む、起きたかロッテ。アルマとクララも、起こしてやってくれんか?」 「はいですの!マイスター、寝ないでずっと準備していましたの……?」 「……仮眠は少々取ったが、結構ギリギリだな。しかし頑張らねばッ!」 そして朝日を迎える内に、前日まで練習尽くしだった“妹”達も次々と 目覚めてくる。それと前後して、“プルマージュ”の最... -
妄想神姫:第七章
天の妙なる響きに、しばし身を委ね 夜の東京……と言っても、いかがわしいゲームの発売日でもない限り 真夏と暮れの魔境現出時以外、アキバの夜はおよそ静かなのである。 ましてやここは外れでしかも地下、換気さえ注意すれば快適な物だ。 と言うわけで今晩は、昼に虫干しを兼ね整頓した蔵書を読んでいる。 「ふぅむ、この配線パターンはこれが効率的か……なるほど」 「むにゃ……マイスター、起きてらしたですの~?ふぁ……」 「ん……?おおッ。起こしてしまったかロッテ、すまないな」 「いえ、充電も問題ないですし……わたしは構いませんの♪」 「そうか、なら曲でもかけてやろうか……パイプオルガンだ」 OK、そこの貴様。人を怪物でも見る様な目で眺めるんじゃない。 クラシックは私の好みだ、文句あるか?それに、その……ロッテも 実はクラシックを気に入っていてな?──少し違う意味で、... -
妄想神姫:第五十一章(中編)
猛り狂いし、地を灼く竜(中編) このガルラという娘。セイレーン型をベースとしていながら、機動性能は さほどでもない……というより、ピーキーな調整となっている様だった。 何故か?パッと見飛べないアルマの先手を取るならば、上空に舞い上がり 彼女の攻撃を回避しようと努める筈だ。だが、浮遊こそすれ飛び上がらぬ その飛行能力は……恐らく、大剣を活かした突進の為に用いる物なのだ。 読み通り彼女は騎乗するアルマの高さまで浮かび……一直線に突撃した! 「では、行きます……その愚鈍なトカゲで何処まで耐えられますか!」 「ッ!?は、速いッ!きゃうっ!?……っと!」 「……と言いつつ、その小さな盾で凌ぐとは。侮れませんわね」 「痛……作ってくれたマイスターの、御陰です!せぁぁぁっ!!」 「くっ、この槍も……鋭い!?いえ、これは貴女自身の……!」 だがアルマの反射とて生半... -
妄想神姫:第四十一章(後編)
紅き星の下、月を臨む者(後編) 光弾でボロボロになり、蛇の尻尾と獣の頭部を失ったティテュスさんが、 自らの装備を組み換えて最期の姿を形取ります。それは、神姫の躯をほぼ 覆い隠した、鳥の脚と巨大な走行用バックパックを備えた騎士の姿です。 飛行能力まで棄てた様で、エウクランテの翼も先端部がパージされます。 その姿に、マイスターが驚いています……新商品のアイデアでしょうね? 「今まで、この姿を取ったのは数える程しかありませんわ!屈辱……!」 「ならば戦って、その汚名を殺いでください……あたしもそうします」 「言われなくてもッ!この槍で串刺しにしてあげますわ、小娘ッ!!」 「モリアン、ここが正念場です──────“アクセプト!”」 『No problem(ロック解除。“アクセプト・フィギュア”承認します)』 槍を構えて地を蹴る彼女を見て、あたしもモリアンに檄... -
妄想神姫:第三十一章(後半)
剣の目覚めは、未だ遠く(後半) 奇襲とも言える一撃を胸に喰らい、アルマのSSSは機能を発揮する間も 与えられずに脱落した。一応戦績を重ね、サードリーグとは言えど上位に 上がり始めてきたアルマなのだが、ここまで手酷い先制攻撃を受けたのは 初めてだ……よもやアルマよ、魔剣に気を取られているのではないか!? 「どうした、剣を抜かぬのか」 「うぅ……エルテリア、まだダメなんですか!?」 「両脇のはさておき、腰のは飾りか……下らぬッ!!」 「あっ……速いっ!?“アイゼンナーゲル”……きゃああっ!」 奴の、兎型神姫の拳を受けるな!……そう叫ぶ間もなく、胸に装着した “アイゼンナーゲル”が打ち砕かれる。黒き翼……“フリューゲル”の 防御機能が死んだ瞬間だった。咄嗟にアルマは、背部の“チーグル”を 展開し、鋼の翼をもぎ取って炎の剣……“ヒッツェメッサー”と為す。 ... -
妄想神姫:第十二章
新たに産まれ落ちた、その意味を 静かな冬の夜、と言っても暖冬の今年は雪など欠片も見あたらんが。 ともあれ今日の雑事を終えた私は、神姫達が眠る自分の寝床に赴く。 HVIFを得た事で、私の寝床では常にもう一人が眠る事になった。 「……すぅ、すぅ……」 「葵め、いい寝顔だな」 今日は槇野葵……立場上では私達“四姉妹”の三女となったロッテ。 諸処の事情でHVIFの運用にあたっては、当番制を敷く事とした。 昨日はアルマである茜、明日はクララである梓、明後日はお休みだ。 非番のHVIFは、下階の居室で自己メンテナンスをしながら眠る。 「人型神姫インターフェイス、か……便利ではあるのだがな」 “人間の心”と“神姫の心”に、違いは殆どないと私は思っている。 故にこそ、役割の違う“肉の躯”と“殻の躯”は共にあるべき要素。 それぞれの立ち位置を認識し、更... -
妄想神姫:第十七章
その御名は、誇りと想いと麗しの 今日は良い日だった。アルマは自らの忌まわしい過去をほぼ清算して、 クララは己の武器を見つけ、良い師にも出会った。本当に素晴らしい。 というわけで今日の祝勝会は、少し奮発して“エルゴ”近所の喫茶店を 訪ねる事とした。日暮にクララの戦闘ログを見せるのも目的だが……。 「いらっしゃい……あらあら貴女、エルゴさんに通ってる女の子ね?」 「有無。私の“妹”が此処の評判を聞きつけたのでな、来てみたのだ」 「初めましてですの。人間一人と神姫三人ですけど、大丈夫ですの?」 「ああ。神姫の為のコーヒーなら任せろ、大火力で相手してやるぞッ」 喫茶店“LEN”と言ったか?なんでも看板娘の神姫・レンが淹れる コーヒーは店主の物に負けず、食事が出来る一部神姫に好評らしい。 ……些か“大火力”の意味を測りかねるが、信頼は出来そうだった。 という... -
妄想神姫:第十八章
我が意思よ、より遠くより高みへ “妹達”の決意は確かで、自分達の質を高めようと日々努力している。 そうなれば、彼女らの“姉”である私・槇野晶とて負けていられない。 マイスター(職人)を自認し、神姫用アイテムの工作精度は既に十分だ。 だがそれで満足してはいないし、何より私には欠けている所があった。 「……ふむ、この関数を使えばこう。いや、これはもう少し早く……」 「マイスター。そっちのインクルード関数なら、解析速度が速いもん」 「これか……おお、確かにCSCのパターングラフが!?……流石だ」 それは、神姫にまつわる精密部品の情報処理能力。自ら作った武装の 制御関数はこれまで独力で作れたが、それとて満足する物ではない。 更にその先……CSCの専門的解析や、ディープな制御系に至っては “ちっちゃい物研”や“エルゴ”に頼らねばならなかった。側にいる クララ... -
妄想神姫:第二十章
働いた“妹”の、心意気に触れて “鬼の霍乱”という言葉の通り、誰しも意外な行動を見せる事がある。 私・槇野晶とて、それは例外ではない。まあ、その……なんだ、有無。 なんとも情けない事だが、数年ぶりに風邪を引いてしまったのである。 かといって、店を空けるわけにも行かない。これでも一応、客商売だ。 「こほ、こほっ……店はどうなっている、葵……っと、客が来たか」 「いらっしゃいませですの、中野さん♪今日はマイスターの代役で」 「お、アルバイトの……あ、あー。君ら名前が紛らわしいからなぁ」 時刻は既に夕方。こっそり寝床を抜け出して様子を見に来た所で、 丁度接客を始めたロッテのHVIF……葵の姿を見る事となった。 今日がロッテの“当番日”だったのは、病床の私にとって幸運だ。 たまに店番をロッテに頼むが、今日は葵に一日中頼む事が出来た。 一番私との付き合いが長... -
妄想神姫:第十九章
手織り、羽織り、慈しみを込めて “♪梅は咲いたか、桜はまだかいな”等という詩もあるが、暖冬傾向が 進んだ2037年現在は、冬は短い物である。東京ともなれば尚更だ。 という訳で折角の冬服も出番が多少減ってきた今日この頃である故に、 HVIFと私用の春物衣装を買い、私・槇野晶はアキバに帰ってきた。 「うむ、今日も可愛い服がいろいろあったな……今帰ったぞ、茜!」 「あっ!おかえりなさい、お姉ちゃん。うんと、えと……収穫は?」 「見てみるといい。今年の春物新作は、可愛らしくも動きやすいぞ」 最初に出迎えてくれたのは、住居フロアで編み物をしている茜だった。 そう、今日はアルマの“HVIF当番”の日なのだ。人前に出る行為を 率先して行わないアルマ……茜は、当番の日を部屋で過ごす事が多い。 無論買い物などで必要なら出かける事もあるがな。それにしても……。 ... -
妄想神姫:終章(後半)
前を見た少女と、煌めく神の姫達(その二) 第四節:真心 楽しかった夕餉も終わり、私達は電車で次の場所へと向かった。そこは、 冬のお台場である。バレンタインには相当早い為か、夜と言ってもさほど カップルの数は多くない。私達の邪魔をされないという意味では、上等! 「とりあえず、観覧車にでも乗るか?街の夜景を見るのも、いいだろう」 「はいっ!あたし達も、こんな所に来るのは初めてですから緊張します」 「……多分それは、マイスターも同じなんだよ?だって頬が、紅いから」 「マイスターも来た事無かったの?大丈夫かしら……でも付いていくわ」 「折角のデートですから、デートコースはマイスターにお任せですの♪」 民放キー局が遠くないこの場所にあるのは、湾岸地区の夜景を楽しむには 最適と、午前中に買い求めた雑誌の記事で書かれていた大観覧車である。 なるほど……目の前... -
妄想神姫:第二十二章
可愛いという事実は、罪にも似て 知人紹介で神姫系イベントへの参加を予定している私・槇野晶であるが、 その準備段階も最終フェイズに突入した。つまり、私が着ていく衣装だ。 また進展に伴って、本来私が進めていた“重量級ランク”への参加準備も どうにか先行試作型弌号機の仕上げ段階まで移行していた。という訳で、 今日は、それら用件全てを満たす為に“ホビーショップ・エルゴ”のある 商店街までやってきた。衣服の“材料”調達と、日暮への試作機紹介だ。 「日暮。今日も来てやったぞ、暖冬と早春のコンボは躯にどうだ?」 「や。良くないね……ん、そっちの娘は葵ちゃんじゃないのかい?」 「あ、は……はい。葵ちゃんのお姉さんで、槇野茜って言いますっ」 「葵にはフィンランドでの姉妹が居てな。妹の方は梓という、有無」 前者の用事は片づいた為、後はMMSショップ“ALChemist”... -
妄想神姫:第三十章
次女の生い立ち、遠くて近き過去 暑苦しい夜が訪れる。地下は常に快適な物、と思いきや気を抜くとすぐに 湿っぽくなるので、この時期は空調をしっかりしないと寝苦しいのだな。 とは言え過度に湿気を取り去ると、今度は肌や髪によろしくない。神姫の 人工毛髪も、その影響を受けてしまう。私・槇野晶は勿論、“妹達”にも 気を遣い設定は厳密にしてある……だが、日々のコンディションもある。 「今晩は、こうか……よし、エアコンの設定終わりッ!寝るか……」 「──────なら、ロッテお姉ちゃんが神姫として産まれたのは」 「ええ、その暫く後なんですの。リーグ登録は昨年末ですけどね?」 「意外と昔から、なんですね……あたし達の中にある“コレ”って」 ……部屋に入ろうとした所で、何やらロッテ達の会話が聞こえてくる。 否、それは寝物語という感覚の物であり……ロッテがアルマとクララに ... -
妄想神姫:第七十章
ただその翼は、姫を解き放つ為に(その一) ──思う所は有りました。今でも、無いなんて言ったら嘘です。それでも あの娘に笑顔を灯したい。哀しい呪いから、彼女を解き放ってあげたい。 そんな、あたしの“大切な人”の願い……叶えたいのが、あたしの──。 第一節:奇策 燃える様な太陽が、落ちました。冷たい夜に、あたし・アルマと“妹”の ロッテちゃんとクララちゃんは、戦闘態勢を整えます。マイスターの手を 気遣って、あたし達が自分で出来るチェックや調整は個人で行いました。 「足のモーターは大丈夫ですか、ファフナー?モリアンの駆動率は……」 『グルォッ!!』 『No problem(全身のチェックを完了しました)』 もちろんこんな夜分遅くに、マイスターやあたし達が神姫センターへと 出かける事はありません。ここはMMSショップ“ALChemist”……... -
妄想神姫:第五十一章(後編)
猛り狂いし、地を灼く竜(後編) 閃光の刃を両手で受け止めている、“ゴーレム・シルエット”のアルマ。 その均衡を打ち崩す為、彼女は背にしている二基の二連装ブースターを、 肩に接続し……一気に点火した!その大推力で刃を押し返す魂胆なのだ! 「これが勝機……一気に、推して参ります!はぁああっ!!!」 「う、ぅっ……うわぁっ!?」 「“フルメタル・クラッカー”、“ブレイズ・ストーム”!一斉砲撃!」 「なっ……!?きゃうううっ!!ビームと鉛玉の、制圧射撃……!?」 その目論見は成功、浮いていたガルラはバランスを大きく崩す。そこを 狙って、アルマは両腕と両肩の補助火砲を一斉に解き放ったのだ!即ち 一種の指向性地雷を模したベアリング弾の散布装置と、拡散ビーム砲の 四連続近距離射撃である。実体・光学の両面から攻められたガルラは、 地に倒れ伏す。それを見たアルマは、... -
妄想神姫:解説その二
注意 各項目は順不同に並びます。また、扱われる内容によっては 専用の解説ページを設ける事もありますのでご注意下さい。 また、以下は全て妄想神姫に於ける世界設定類の解釈です。 一部皆様の解釈とは異なる点がありますが、ご了承下さい。 それでも採用してくださる場合は、遠慮無くご利用下さい。 警告 この頁は物語の終盤に出てきた要素を、主に扱っています。 その為、所謂“ネタバレ”が含まれている恐れがあります。 前頁へ戻る ペンダント ロッテが飛べた理由 和食屋 春の新作 “ALChemist”の営業期間(及び時間) 最初の現場 デュアルCSCシステム ラグナロク 二回目の現場 心情の変化と、その代償 藤村外科 怪文書 主要国家の現状と意向 シンクロニシティ 決闘の舞台 模造された“魔術” 晶のペンダント 自己認識 総力戦モード 命を賭け... -
妄想神姫:第四十一章(前編)
紅き星の下、月を臨む者(前編) まずは“妹”のロッテちゃんがセカンドへの昇格権をゲットしましたッ! こうなると三姉妹の“長姉”であるあたし・アルマも負けてられません。 心の奥では不安と期待に闘志でいっぱいですけど、まずはそれを押し殺し 勝利の凱旋をしてきたロッテちゃんを、皆で労う為に出迎えてあげます。 「ロッテ、見事だっ!これで一歩上に望めるな、良い働きだぞ有無ッ!」 「……正直ヒヤヒヤしたけど、あの逆転劇とかかなり出来過ぎなんだよ」 「みんな、ありがとうございますの~♪でも、まだ気は抜けませんの!」 「そう、ですね……皆で上に行かないと意味はないですからね、うんッ」 『槇野晶さん、アルマのバトルが開始出来ます。オーナー席までどうぞ』 あたしとマイスターの名前が喚ばれました。マイスターが作っている、 “Electro Lolita”製のジャンパースカ... -
妄想神姫:第四十一章(中編)
紅き星の下、月を臨む者(中編) 海中に潜ったティテュスさんの姿は見えないまま、相変わらずミサイルが 驟雨の如く降り注ぎます。海上基地の床は爆風で徐々に破壊されていき、 あたし達が避ける空間もそれに伴って狭まっていきます……不利でした。 「おお~っほっほっほっほ!そのままスクラップにしてあげますわ!!」 「……そんな事。あたしのちっぽけな誇りでも、許しませんッ!」 『No problem(その意図は叶えられます)』 「モリアン……有り難うございます、行きましょうッ!」 『アルマよ!水中では剣のみが頼りだ、気を抜くなよッ!』 マイスターの助言に肯いて、あたしとモリアンは海上に飛び出します。 そのまま疑似重力に沿って堕ちて、その間に“レーラズ”のスカートが 窄まる様に変形します。同時に腰には“ヨルムンガルド”が装着され、 それと同時に、あたし達……ううん... -
妄想神姫:第五十四章
輪舞曲を踊る姫達と、暖かき宴を 私・槇野晶は暫く、三人の神姫をベンチに座って撫でていた。つい先程、 重量級ランクでの初戦という激闘を勝ち抜いた、我が三人の“妹”達だ。 思った以上に神姫素体やAIへの負荷は激しかったらしく、三人とも今は 持参した簡易クレイドルに身を預け、急速充電をしている状態なのだな。 「……よし、異状無し。充電もそろそろ終わる頃だが……辛かったか?」 「むにゃ……そんな事はないですの、マイスター。おはようですの~♪」 「む、起きたかロッテ……よく頑張ったぞお前達は。見事な戦いだった」 「ぅ、っぅうん……マイスター、そんな所を撫でたらボク、ボク……ッ」 妙な“夢”を見て身悶えるクララを、私は落ちつかせる意図で撫でる。 ちっとも落ちつく気配がない物の、ある意味“疲れた”彼女を癒すには スキンシップと食事に休息が必要だと、思っていたのでな... -
妄想神姫:第三十四章
剣の王妃、戦場を去れば神の姫君 アルマの戦績記録カードを受け取った後も、私・槇野晶は現実感が今一つ 乏しかった。いくら小さな島とは言え、天空に浮かぶ大陸ごと対戦相手を 斬り捨てて……否、消し飛ばしてしまったのである。そんな中で冷静さを 保てたのは、当事者の神姫二人……そしてクララのみである。ロッテも、 普段の彼女からすれば落ち着いていた方だ。神姫のみのシンパシー故か? 「しかしアルマや。あの巨大な爆炎……魔剣の能力、ではないな?」 「はい。電磁加熱機構をオーバードライブさせただけですよ、ただ」 「……エネルギーを無駄にせず、魔剣に蓄熱させて活用したんだよ」 「そうですの。わたしとアルマお姉ちゃんの剣は、頑丈ですから♪」 「あ、あたしの言葉~……とにかく、あれはマイスターの力ですっ」 確かに“ヨルムンガルド”と“マビノギオン・アサルト”の発生熱量を ... -
妄想神姫:第四十三章
晩夏の空に響くは、遙かなる凱歌 私・槇野晶と“三姉妹”たる神姫三人の戦いは、無事に終わった。無論、 ロッテ達がこれで引退と言う事ではない。むしろ今以上の激戦が行く手に 立ちはだかるだろう。だが、セカンドに昇格出来たという喜びに浸るのも 今だけならば悪くはない。そう想い、皆と連れ立ってセンター内を歩く。 ただ“アルファル”のギガノイド・フィギュア……合体形態を試す機会は 訪れなかった……当然の話だがな?……のでそれが今後の課題か、有無。 「大儀だ……本当に、本当によく頑張ったぞ皆ッ!凄い娘達だ、有無!」 「も、もうマイスターこれで何度目ですか~?はしゃいじゃってますよ」 「アルマお姉ちゃん……これはこれでこれでいいんだよ。喜んでるもん」 「そうですの♪マイスターに笑顔が灯せれば、それだけで誇りですの!」 「お、お前達ってば……本当にこのこのっ!私を狂喜させる... -
妄想神姫:第三十九章
星空に想うは、遙か遠けき人の影 夜。うだる様な陽炎も収まった……と思いきや、温暖化著しい東京では、 深夜になろうとも熱気は収まらぬ。冷房がなければとても寝ていられんが 私・槇野晶は何となく作業が終わっても眠る気になれなかった。そこで、 肩ひものない服を纏って、地上に赴く。胸元に、ロッテを入れてな……。 「どうしましたの、マイスター?“アルファル”完成して脱力ですの?」 「ん……それもあるのだが、ふいに思い出してな……“あの人”の事を」 「“歩さん”、ですの?そう言えばあの人が失われたのも、こんな……」 「夏の日だったと記憶している。地中海の沿岸だったからな、より暑い」 何を惚けている?そうか。以前“歩”について、私は語らなかったな。 私には姉が居てな、いや……居たんだ。その人こそ“槇野歩”だった。 技術者だった彼女の薫陶を、受けていないとは言えない。... -
妄想神姫:第二十六章
職人気質は遺伝か、努力の賜物か 初めての3on3は見事“私の妹達”が勝ち星を収めた。実にめでたいな。 そう言う訳で、近所の天丼屋にて本日は祝勝会だ……『豪華だな』だと? いや、仕方有るまい。私達四人だけならもっと適当な場所があるのだが、 今日は遠方の親戚も同席するのだ。しかもあろう事か、今日の対戦相手。 「というわけでだ……まずは公約通り、これをくれてやるぞ灯ッ!」 「うあうあ、痛い痛いですがッ。ギャアー、そここめかみーっ!?」 「灯さん……そのボイスチェンジャーはオフにしてほしいですの~」 そう。渋いバリトンで喚くこの幼女・碓氷灯が、一応私の従姉である。 人が怖いと言って声を変えたり大きなサングラスを常に装備する変人、 山奥に年中引っ込んで、こんな所になど来るはずもないと思っていた。 だが現に此奴めはアキバの神姫バトルランキングに、名を記している。... -
妄想神姫:第三十二章
葉の香り、初夏に麗し四人の姉妹 アルマの苦い敗北ではあったが、決して無為ではない貴重な一戦だった。 次への活路も見出したらしいので、普段通りに打ち上げへ赴く事とした。 私・槇野晶とHVIF・葵は気合を込めた夏用ドレスで、神姫素体である アルマとクララは“シルフィード”に装飾用パーツを付加したドレスで。 行き先は今回もちょっと捻って、非チェーン展開の喫茶店に入ってみる。 「ふむ。“LEN”とはまた少々違うが、落ち着いた店で何よりだ」 「お会いしたのは三月が最後ですの。また行ってみたいですの~♪」 「……しかも、あの時は移動店舗で本来の場所じゃなかったもんね」 「そうですねぇ……あ、ウェイターさんが来ましたよマイスター!」 「お帰りなさいませ、御嬢様。何かお飲みになられますでしょうか」 ──────なんだその顔は。秋葉原にメイド喫茶や執事喫茶があって ... -
妄想神姫:第三十七章
妖精の騎士、その御印は虹の如し “W.I.N.K.”の搭載・定着と充電の為に、我が“妹”達が眠って数時間。 その間に私・槇野晶もシャワーや仮眠を取り、目覚めたのはつい先程だ。 見れば充電は完了していた……傍らに収納してある“アルファル”もだ。 チェックプログラムも異常なし。起動して良さそうだ……では起こすか! 「ん……そろそろいいぞ。起きてくれんか、アルマ・ロッテ・クララ?」 「……むにゃ。あ、後三分寝かせてください~……ぅぅん、ふぇ……?」 「アルマお姉ちゃん、寝坊しちゃダメだよ。晩御飯に間に合わないもん」 「ば、ばんごは……ええっ、もうそんな時間ですかクララちゃんッ!?」 「ふふふっ。アルマお姉ちゃんってば~、まだおやつの時間ですの~♪」 寝惚けていた事に気付き赤面するアルマ、それを見て笑う二人の神姫。 ロッテもクララも……慣れた故とはいえ人が悪... -
妄想神姫:第四十七章
変わり往く者達、帰り往く少女達 盛大にして此処最近で一番の大勝負を追えた翌日。私・槇野晶と神姫達は 帰り支度を進めていた。旅行の宿としては、従姉たる碓氷灯の家に泊めて 頂いたのでな?チェックアウト等の手間が不要なのは楽だ。何より……。 「ではこれにて失礼する、伯母貴に伯父貴。その……料理、旨かったぞ」 「あらそぉ?晶ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいわぁ、伯母さん♪」 「灯!ちゃんと晶ちゃんを送ってやるんだぞ。最近お前も変わったしな」 「だ、大丈夫ですぞパパッ!……コストはかかったけど、その色々とっ」 家庭の味。というより家庭そのものか、私達の住む秋葉原にはイマイチ 不足していた要素である。こういう雰囲気を“妹”達に味わわせるのも 良かれと思い、日程調整の時に言われた伯母貴の申し出を呑んだのだ。 「本当においしかったです、あの辛味噌とかも御飯に... -
妄想神姫:第五十八章
真心と、惑いし想いの、その先に ぎこちない。それが、戦闘終了後の感想だった。フリッグとロッテ達が、 戦闘終了後に何を会話していたのか、幸か不幸か私・槇野晶は知らない。 戦績の管理で、暫く彼女らの側を離れていたのでな。だが、確かに聞いた あの言葉は……ロッテの“心”からの想いは、私の耳にまだ残っていた。 「……私が『大好きな人』か……歩姉さん。遺言は、達成出来たのか?」 「マイスター、マイスター?どうしました~?カード還ってきましたよ」 「む?……あ、ああそうか。すまないアルマ、これで帰り支度も完了か」 「フリッグさん達はとっくに帰ったんだよ。また戦おう、って約束して」 私を愛してくれている。人だから、神姫だから。一応は同性だから…… そんな垣根等問題でない、唯一無二の存在として。私を想ってくれる。 しかし、私がそれに応える資格は果たしてあるのか?明確... - @wiki全体から「妄想神姫:第六十一章」で調べる