武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「祭りの前の楽しさよ」で検索した結果
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祭りの前の楽しさよ
「鳳凰カップとはあの鳳凰カップか?」 「あれがどれかは知らねぇけど…まぁそれだな」 俺は訳のわからない返事をしながら出されていた紅茶に口を運んだ 鳳凰カップのために本社に呼び出された一件の騒動から二、三日が経った ほんでもって俺たちは何をしているのかと言うと 知り合いの神姫関係のショップにブース参加と店での宣伝ポスター掲示のお願い、まぁ簡単に言うと宣伝回りってところなんだろうな 今まで俺自身がスルーしていたからこんなことはしなくてもよかったんだが… 何せ今回はバッチリ関係者だ イベントが盛り上がればいいと思う気持ちも多少なりともあるのは間違いない 大手企業は御袋達の仕事なので俺の関わる所ではない つまり、親しいショップや神姫マスター達が関わるであろうお店に挨拶に行けばいいのだ そう思うと思い当たるのは…エルゴ、<日... -
鳳凰杯・まとめページ
... ぷろろーぐ 祭りの前の楽しさよ (以上、神姫の父) 燃ゆる聖杯の誘い──あるいは姫君 特殊戦闘訓練──あるいは神姫無双 前半/後半 晴れの舞台へと──あるいは内職業 (By 妄想の人) 鳳凰杯編Ⅰ 「蒼い翼」 (byぬえ) バレットエンジェル1 (幻の人) 「それは盛大な」「祭」 (チアキの人) EXECUTION-Another 02-『TimeLimitation』 (以上、穂刈) 1日目 予選の裏で祭りめぐり 揃い始めた者たち (以上、神姫の父) ちっちゃい物研・鳳凰カップ編-02 戦うことを忘れた武装神姫-28 (けものや) 恋人達の午後・「予選の裏で祭りめぐり(神姫の父)」の後の話 審査員爆誕・お菓子作りコンテスト 審査速報・お菓子作りコンテスト 花乃二... -
橘明人とかしまし神姫たちの日常日記
...カップ 祭りの前の楽しさよ 鳳凰カップ初日 午前 予選の裏で祭りめぐり 午後 揃い始めた者たち 鳳凰カップ二日目 アルティVS葉月 『策謀家』再び 弾丸と悪魔と準々決勝と 『表』と『裏』 『緑色のケルベロス』 『α』の鼓動 鳳凰カップ編は以下の作品とリンクさせていただいています。 神姫ちゃんは何歳ですか? 妄想神姫 HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 春夏秋冬 凪さん家シリーズ 戦うことを忘れた武装神姫 魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン 幻の物語 岡島士郎と愉快な神姫達 武装神姫のリン アールとエルと EXECUTION 剣は紅い花の誇り 徒然続く、そんな話。 Gene Less おまけ 第1回『初兄』会議 日記その六 前話 ... -
予選の裏で祭りめぐり
春の風にしてはやや肌寒い感じが残る鳳凰カップ初日 雲ひとつない日本晴れがまさにイベント日和といった感じだろうか 予選開始時間は十時 初日である今日の予定はバトルカップ予選とブース出店 ちなみにバトルカップの解説は決勝リーグからとなっている だから今日の俺にはあまりやることがないのだ 本来イベントの始めにおこなわれる開会式は軽く開会宣言のみで、主催者挨拶なんかは決勝リーグ前におこなわれるらしい 御袋曰く「運動会前の校長先生のお話ほどやる気が無くなるものはないからねぇ~」とのこと 俺はその判断に激しく同意していた 「グッジョブ、御袋…」 そう頷く俺の両隣には 「うっわぁ~スッゴイ人の数~」 「こんなに大掛かりなイベントだったのか?」 と人間大のマオチャオとアーンヴァル 言わずもがな、神姫のコスプレをしている... -
バレットエンジェル3
「・・・・・・何やってんだこんな所で」 喫茶店「LEN」のオープンカフェで、修也はコーヒーを運んできたかすみに聞いた。 さかのぼる事数時間前、かすみは轟号の中で目を覚ました。時計を見ると、まだ5時前である。 夜型人間の割には起きるのが早いかすみだが、今日はいささか早すぎた。眠っている人達を起こさないよう静かに、上着を羽織って外に出る。3月とはいえ、明け方はまだ寒い。 会場は、静まり返っていた。祭りの前の静けさ、とはよく言ったものだと思う。 昨日、研究所にこの大きなトレーラーが来た時は、さすがに驚いた。これが自分の働く場所だと知って、さらに驚いた。もっとも、相手側も自分の小ささに(かすみとしては不本意ながら)驚いていたのだが。 「・・・・・・別に、困ってはいないんですけど・・・・・・」 基本的に、あまり人と接する機会のない仕事をしている関係上、自分... -
幕間『in the dark.....』
「―――――――セットアップ完了。起動します」 私は私が何者かを認識する。 私はケモテック社製KT36D犬型ハウリン。 目を開けてまず視界に映るのは骨ばった大きな手。 その手がどかされると、老人の顔が見えた。 「オーナーの事は何とお呼びすれば宜しいですか?」 私がそういうと老人は鼻を鳴らして、起動したばかりの私をおいて部屋を出て行った。 ・・・・・・私は何か、あの老人の気に触ることでもしたのだろうか。 「ねぇ。そこのキミ!」 「・・・・・はい?」 “そこのキミ”、というのは恐らく私の事だろう。そう思って振り返るとそこには悪魔型MMSストラーフがいた。 ツインテールパーツも何もつけていない、髪の短いストラーフ。 「キミのオーナー登録されなかったんだよね?」 「はい・・・・なぜでしょう」 「ここの... -
第拾話:雪の日に思い耽る
{雪の日に思い耽る} 「わーい♪降ってる、降ってるー♪♪」 「天気予報通りでよかったですね、姉さん♪」 「綺麗ですわ。このブンだと積もりますわね」 「雪は綺麗で素敵だと思いますけと…ご主人様が、ど~思うかぁ…」 ワイワイガヤガヤと右耳から聞こえてきたので、浅い眠りから俺は目を覚ました。 まだ頭がぼやけているみたいなのか、眠気が覚めない。 「ボクもう我慢できない!」 ガラガラー 「あっ!?姉さん!」 「あらあらまあまあ」 「好奇心旺盛ていいますか、子供っぽいといいますか…あ、ご主人様!おはようございます」 「 ̄O ̄)ノ ふぁ~あ、おはようアンジェラス。なんか騒がし、てサブ~~~~!?!?」 俺は条件反射で自分の両肩を両腕をクロスさせて両手で掴んだ。 ワイシャツ一枚とパンツだけの俺に容赦なく吹き付ける冷徹な風。 おかしい、こんな... -
無頼6「第二の神姫、起動」
今日の授業も、MMSを使った犯罪がテーマとなった。 社会問題となっているMMSによる犯罪。 MMSはそのサイズと価格から、犯罪に使われやすいようだ。 そんなことはどうでもいい。それよか今の僕は懸案事項を抱えているのだ。 「形人、弁当食わないなら俺が頂いちゃうぞ?」 見た時、風間はすでにダシ巻き卵をつまんでた。 「おいこら! 人の楽しみを盗るな!」 僕は風間の手を叩いた。 懸案事項とは、この間の大会で入手した武装神姫一式を指す。 それのセットアップをしなければならない。 ちなみに風間の賞品はグレースと同じVulcan Lab製のイルカ型神姫「ヴァッフェドルフィン」だとか。 このパターンでいくと、僕の賞品はヒカルと同じMagic Market製のマーメイド型神姫「イーアネイラ」のはずなんだが…。 目の前にあるのは、武装神姫の有... -
凪さん家の弁慶ちゃん
凪さん家シリーズ 凪さん家の弁慶ちゃん 「決まった…!」 ここではチアキが書いて描いて作ったりした「凪さん家の弁慶ちゃん」を掲載しています。 著/チアキ <真・登場キャラ紹介> <舞台設定> OP 「路地裏の宇宙少年」 ED 「びいだま」 お話一覧 第零話 「それは」「常」 僕が神姫部に入って、十兵衛ちゃんが来る少し前の普通の朝。 第一話 それは始まり 合間 (義経) 弁慶の戦い方、義経の信頼 第二話 それは剣を持つ者 2-2 剣を持つ神姫と龍を操る神姫…この人達なんなんだろう? 第三話 それは龍を従えし者 変身するハウリン…対するハンゾーは? 第四話 それは海の向こうから来た者? え、海外から誰か来るんですか?どんな人が来るんだろう…。 第五話 それは神姫部の戦い? ついに揃った神姫部の面々。でも... -
ACT 1-29
ウサギのナミダ ACT 1-29 □ 結論から言うと、雪華とティアのバトルは、伝説になった。 別に、俺や高村、ティアと雪華がそう望んだわけではない。 これはある意味、雑誌記者の三枝さんの、俺に対する報復と見ている。 あのバトルから数日後、「バトルロンド・ダイジェスト」の記者である、三枝めぐみさんから、直接俺に電話があった。 どこから俺の電話番号を入手したのだろう? そう尋ねると、 「情報源に対する守秘義務があるので、答えられないわん♪」 と、はぐらかされた。 三枝さんという女性は、終始こんな風にふざけたような口調で話す。 三枝さんの用件は、先日の、ティアと雪華のバトルを記事にさせて欲しい、ということだった。 「その件は、最初に断ったはずですが」 「だから、直談判するために、電話したのよぅ」 ... -
白い天使に舞い降りた奇跡
白い天使に舞い降りた奇跡 年の瀬も迫るころ・・・街はクリスマスムード一色。 夕暮れ迫る頃にはイルミネーションの灯がともされ、より一層あでやかな表情となる。 そんな本通りの片隅、赤煉瓦作りを模した小洒落た外観を持つロボット専門店のショーケースに・・・凛々しいスタイルで飾られているアーンヴァルがいた。 両の手にサーベルを構え、白く輝く翼を背負い、今にも飛び出そうといわんばかりの格好・・・ではあったが。 どことなく、うつろな表情で。どこかしら、哀しい目つきで。 ショーケースの内側から、街の灯りを・・・行き交う人々を眺め続けていた。 彼女は、この店の武装神姫のディスプレイとして・・・発売されたその日から、いわば仮起動の形で置かれていた。 AIは起動しているものの、自らの意志で動くことは出来ず、焦点もディスプレイを覗いた人と目が合う位置で固定されて。 移りゆく季節... -
始まりの午前9時
幼なじみのおにいさんの家で見せてもらった15センチの金髪の人形 クレイドルに横たわったそれ・・・いや彼女が目を覚まし僕に声をかけたその時から 僕は、神姫(カノジョ)に恋をした 連続神姫ラジオ 浸食機械 1:始まりの午前9時 暗い道をずっと歩いて今日も僕は彼女に会いに行く。やがて単調な道の先に光の玉が現れた。僕が触れるとそれは小さく震えて僕に声をかけてきた。 「おはようございます、マスター!今日も張り切っていきましょう」 周りの闇がぱんとはじけ、工場の中のような光景が目の前に広がっていく。 2020年後半から始まった急激なロボットの社会進出は2030年に開発された新型制御系によって一つの完成を見た。CSCと呼ばれる高密度集積回路を使用したロボットたちはMMS規格と呼ばれ社会のあらゆる場所に進出した。人... -
ぶそしき! これから!?
ぶそしき! これから!? さびしい思いをしている少年が、ずっと一緒にいてくれる友だちを欲しがった。 友だちとして武装神姫を購入した少年とそんな彼の神姫に、とある困難が立ちはだかる。 それは―― 武装が、 ない。 2014.8.9 第4話『シッパイ』の『4-5』を更新しました。 時間を取るのが難しくなりそうなので、今回ので更新はしばらくお休みです。 ……ヒイロの武装の更新が、思ったより進まない。 第0話『トモダチ』 0-1 0-2 0-3 0-4 第1話『ハジメテ』 1-1 1-2 1-3 第2話『イキトウゴウ?』 2-1 2-2 2-3 第3話『キエン』 3-1 3-2 第4話『シッパイ』 4-1 4... -
妄想神姫:外伝・その九
上がる緞帳──あるいは初日その一 “鳳凰カップ”初日を迎えるこの日。前々からの準備が奏功したのか 単に運勢が良かったのか、あるいはフェレンツェめの手引きなのか。 ともあれ、私と梓……クララのHVIFは、会場前の大群衆を後目に 悠々と会場へ入る事が出来た。無論神姫素体のロッテとアルマもだ。 背後には休日繁忙期のアキバも比較にならない、異様な行列がある。 「ううむ、実際に訪れるのは初めてだが……物凄い人の群れだな」 「マイスター……これ全部“鳳凰カップ”のお客様なんですか?」 「その表現は正しくないなアルマや。こういう時は“参加者”だ」 「……皆で群体となってイベントを構成し、成功に導くんだよ?」 「その為には何よりも、精一杯楽しんじゃうのがいいですのっ♪」 私と梓の二人は、予め製作した自前のトータルコーディネイトで望む。 アルマとロッテはその土台とな... -
ぶそしき! これから!?第0話『トモダチ』
ぶそしき! これから!? 第0話 『トモダチ』 0-1 武装神姫。 彼女達は西暦2036年に発売され、一挙に社会に広まっていった15cmほどの心を持つフィギアロボだ。 その用途と需要、活躍は多岐にわたり、同時に彼女達のマスターとの関係も多岐にわたる。 当然、ただのおもちゃとしても扱われることもある。 動いて喋る着せ替え人形、暇つぶしの道具、ただ名誉と勝利のために戦わせるなど扱われ方は様々だ。 当然、家族としても扱われることもある。 ペット代わり、子供の遊び相手、仕事や家事の手伝い、大事なパートナー、バトルで苦楽を分かち合いともに戦うなどなど扱われ方はこれもまた様々だ。 当然、少子高齢化で不足した人手を補うために扱われる。 様々な分野と場所で、社会や会社、お店などで備品として扱われることもある。 後に神姫のマスターとなる、とある少年... -
妄想神姫:外伝・その十七
久方ぶりの羽休め──あるいは啓示 えー……その、なんだ。世の中は、昨日までゴールデンウィークか? その様な気楽な休日を謳歌していたそうだな。だが、私・槇野晶には そんな物は無関係だッ!……否、別の意味では関係あったのだがな。 矛盾の答えは、目の前にあるモニターに全てが映っている訳で……。 ちなみに今日は定休日だが、“これ”を処理する為に朝から缶詰だ。 「うーむむむ……これが、昨日の伝票の最後で……結果はこうか」 「あの……マイスター、お茶でも如何です?麦茶いれたんですよ」 「む。すまんなアルマ……有無、キンキンに冷えていて旨いぞ!」 「あ、ありがとうございますっ!それで……えと、どうでした?」 「売り上げか……流石に祝日を全て潰しただけあって、多少はな」 そう。あくまでもこのMMSショップ“ALCemist”は、客商売である。 諸処のイベントも多く... -
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -08
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -08 註:このSSも、完全に勢いと思いつきだけで出来ています。 「背徳のKISS」(奥井雅美)をイメージ曲としています。 お手元にありましたらBGMとでもしていただければと存じます。 戦場からの帰りの電車。 「今日も・・・勝ちましたね・・・。」 マスターの胸ポケットに収まった私が静かに言うと、マスターはじっと外を見たまま小さく頷いた。 窓の外には、夕日に照らされてすべてが赤くなった街並み。私の顔も、紅く染まる・・・。 「Black DEVIL」、これが私のバトルネーム。 いまや、マスターの下で仕えるただひとりの神姫。 電車を降り、にぎやかな通りを歩いて家路に向かう私たち。 土曜とあって、手をつないで歩み行く恋人たちも多く。彼らの楽しそうな笑顔もまた、夕暮れの空に吸い込まれていく・・・そんな澄みき... -
第11話:オペラ座の瑠璃唐草
まず、眼にしたのは荘厳なつくりのアーチ。 真っ赤な幕が下り、向こう側は分からない。 アーチのこちら側は客席がいくつも並び、アーチと客席の間には、いくつもの楽器が置かれた広いスペースがある。 いくつもの明かりと非常に広いその空間は、いわゆる劇場だった。 「…………こういう、ステージ……?」 誰も居ないはずの楽器スペースから、突然音が漏れ始める。 「……!?」 まるでクラシックの序章のようなテンポで、ゆるやかに音楽が場を満たす。 それにつられるように、真っ赤な幕が上がり始めた。 「……これ……」 『落ち着いて……ただの演出みたいだから』 幕が上がりきり、照明がステージを照らす。 「すごいね、こういう演出もあるんだ」 あの声だ。私と、柚子を泣かせた、あの声。 私が、もっとも憎悪する声。 幕の向こう側には、まるで中世の王の間を... -
偽りの装甲
与太話4 : 偽りの装甲 苛烈なる日々に生きる紳士諸君よ、おっぱいは好きか。 いや、確たる証拠が無くとも、諸君がおっぱい好きであることを俺は重々承知している。 愚問だった。 しかし、そこにあえて意味を見出そうとするならば、それは我々を紳士たらしめる宿命だからである。 何故男に生まれたその瞬間から我々の双眸はおっぱいのある方へ移ろってしまうのか。 発達した前頭葉を操る我々にとって、原始的意識など意味を成さないはずが、なぜ。 その答えは、実に分り易いものである。 我々紳士の眼球はおっぱいを探し、捉え、観察するためにあるのだ。 おっぱいを脳に焼き付けるためだけに、我々の眼球はあらゆる色と空間を識別するよう進化したといっても過言ではない。 では構造的に同様である淑女の眼球もそうなのか? そこは一紳士である俺に聞かれても困る。 諸君の側にいる神姫にでも聞いてみ... -
神姫と暮らす日常 第一章
武装神姫…それはテクノロジーが生み出した全く新しいロボットである。 MMSと呼ばれる基本素体にCSCチップを搭載、さらに様々なパーツを使用することで無限の能力を引き出す事ができるのである。 武装神姫と暮らす日常 第一章『始まりの日』 「………重い」 両手に紙袋を持ちながら卯月は言う。 「がんばって~」 「がんばなのにゃ~」 その前を耿と邏貴を肩に乗せたゆかりが歩く。 「しっかし、姫さんが神姫に興味持つとはねぇ」 手に持っている紙袋の中身を見ながら言う。 中には悪魔型と天使型の武装神姫のパッケージとその他付属品やオプションパーツが入っていた。 「だって耿も邏貴もこんなに可愛いんだもん~」 言ってゆかりは肩に乗っていた邏貴を抱き締める。 「んぎゃ~…く、くるしいにゃ~…」 目をくるくると回しながら邏貴は言う。 「お~い…俺の神姫壊すなよ~…」 「... -
閑話休題:其の8、後日譚
<閑話休題:其の8、後日譚> 頭からデビルバニーの最期の表情が離れない。 自我など無い筈なのに、どうして別れの言葉を自分に向けて放ったのか。 そう聞かされたから信じていたけど、本当に自我の無い神姫だったの? 「アナタガ ワタシヲ コロシタ」 違う、暴走を止めただけだ。 「アナタハ ジブンノチカラヲ タメシタカッタダケ」 あの戦闘を心地よく感じていたのは事実。 ならば私は自分の愉しみの為に、バニーに自我がある事実に気付かないフリをして、力を振るって満足感に包まれていただけなのか。 『何してる馬鹿、避けろ!』 私の心を削るかのように、相手のガトリングより放たれる弾丸が、手を足を削り取っていく。 そうだった、確か今は試合の最中だったんだ… 薄れ行く意識の中、大きな光が迫ってくるのが見えた。 当然の如く試合に負けた訳だけども、私を諌めるどころか、師匠は... -
戦うことを忘れた武装神姫-42
戦うことを忘れた武装神姫 その42 ・・・初雪が噂される、12月24日の神姫センターで開かれた、公式のクリスマスイベント戦で、鬼神の如く、次々と勝利を収めるツガルの姿があった。 1戦終えるごとに、ツガルのマスターは装備のメンテナンス・調整を短時間で行い、すぐさま次の試合に送り出す。 フィールドに戻ったツガルは、再びツガルらしからぬ荒々しい、しかし華麗なバトルを展開し、わずかな時間でまた1勝を上げていた。 数年前のある日。 レンガ造りを模した建物にテナントで入る神姫ショップのショーウインドウに、武装神姫のディスプレイとして、ツガルが仮起動状態でそっと置かれた。 どうやら昨年は、アーンヴァルが同じ場所に置かれ、仲間の道しるべとなるべくこの任務をこなしていたらしい・・・。AIは起動しているツガルは、準備する店員の会話を聴きながら、初めて見る外の世界にワ... -
第一話:宝探姫
第一話:宝探姫 「ぐわっ!!?」 参加者と思われるハウリン型が蒼貴の鎌と盗まれた自分の十手の二刀流で切り伏せられる。彼女は一体何があったのかもわからず、ライフを削られ、なす術もなく倒れる。 『よし。上手く倒したな』 「はい。誰にも見られておりません」 『上出来だ。とは言っても俺達は戦闘を可能な限り、避けて気づかれない様にお宝を頂く事が重要だ。自分の存在を誰にも知られてはならないつもりでかかれ』 「わかっています」 俺達はサマーフェスタというイベントのため、神姫センターにいた。 サマーフェスタとはバトルロンドで使用されるフィールドを複数連結させ、一つの大規模な島フィールドを作り出して行われる一大イベントである。 そこでは海水浴エリアと戦闘エリアに分けられ、海水浴エリアでは神姫達が海水浴を楽しんだり、大会の一つとして一番美しい神姫を選ぶミ... -
ドキドキハウリン その18
目の前に広がる世界の全てが、灰色に見えていた。 果てしなく伸びていく灰色のアスファルト。 視界の左右を覆う灰色のビル。 歩く人間達の姿は皆一様の灰色で。 見上げた空でさえ、灰色だ。 灰色。 灰色。 灰色。 全て灰色の街。 朝通ったばかりの道のはずなのに。世界がこんなに灰色だなんて、思いもしなかった。 灰色の中。 灰色の喧騒を抜け、灰色の路地を歩き、また灰色の大通りへ。 この街では神姫の一人歩きなど珍しくもないのだろう。灰色の人間達は、私の存在など見えていないかのように無言で歩いているだけだ。 やがて、灰色の交差点へ。 歩みを止める。 目の前のビルにあるのは見たこともない看板。 灰色の信号に提がる灰色のプレートには、聞いたこともない地名が書き込まれている。 迷った。 ……迷った? 迷ったって……。 迷うなんて、... -
すとれい・しーぷ007
すとれい・しーぷ007 「最初は勝たなくてもいいさ」 ふと、ルキスの頭に碧の言葉が蘇る。 いいえ、この戦いは、負けられません。 メルのためにも、オーナーのためにも。 そして何より、自分のためにも。 アクセスポッドに寝かされたルキスは、電子の海を通過し、バトルステージへと降り立った。 広い海原が視界に入る。燦々と照りつける太陽はまるで彼女を焦がすかの如く注ぎ足元の砂を焼いた。見渡す限りでは、そう広くはない。対岸のビーチに、天使が舞うのが見えた。 索敵機能のついた武装をしていないルキスにとっては好都合と言えるだろう。 緊張を和らげようと、ルキスは自分の頬を軽く張った。すぐに状況の分析に入る。 ステージは浜辺。打ち寄せる波のギミックがこのステージ最大の特徴だ。 泳ぐ手段のない神姫が流されれば、即THE・END。ルキスはぞくりと背筋が凍るのを感じ... -
明日の為に、其の7!(前編)
<明日の為に、其の7!(前編)> 初夏の陽射し眩しいあの日、あの時、私達は出会った… 「アレに対抗するには、このシステムを完成させるしかないんだ。」 ある日悪友により渡された映像には、世間を賑わせているらしい魔法少女の戦闘が映し出されていた。 えらくガチンコな魔法少女だと感心したものだが、同時収録のリリカル何とかによると、どうも最近の魔法少女とやらは熱い戦闘が基本らしい。 その中でもライダーシステムとやらが個人的にツボった訳だが、どうせやるなら二番煎じでは無く、別の方向からアピールするしかないとの結論に至った。 「ふみゅ~ん」 無視 「はにゃ~ん」 聞こえない 「ご主人様ぁ~ん」 「ええい、修行のしすぎでついに回路が1本ぐらい切れたのか!?」 「違いますよ師匠、私なりに”萌え”なるものを体現した結果です。」 「間違ってるし、そもそもお前には無理だ... -
4話 新しい家族
第4話 新しい家族 比較的早い時間に夕食を取ったので、小腹が空いた俺は買い物へと出かけた。 最近、俺が買い物とかで出かけると、アールがついてきたがるようになった。 今日も、アールが一緒だ。 丁度、俺の半歩くらい前の目の高さぐらいを、歩く速度に合わせて飛んでいる。 「なぁ、何がそんなに楽しいんだ?」 「マスターと出かけるのが楽しいんですよぉ~」 「食い物買いに行くだけだぞ?」 「それでもいいんです」 「そんなもんかねぇ」 「そんなもんです」 そんなやり取りをしていると、アールが空中で停止した。 「マスター! あれ!」 「ん?」 アールの指差す方を見ると黒い物体が落ちている。 「おい! あれって」 はっきりとは見えなかったが、その物体が何か直感的に分かった。 そして、その答えが間違いであってほしいと思いながら走る。 その場所に到着したが、残念なことに間... -
第十五話 桐皮町コーヒー・フルーツ戦争
第十五話 「桐皮町コーヒー・フルーツ戦争」 俺たちの住む桐皮町では、毎年七月の九日から十一日に夏祭りをやる事になっている。 今日はその一日目。五時になってから、待ち合わせた俺と健五は駅前商店街の奥へと向かう。 「今日は友達と行くんだろ?」 「うん」 「楽しんでこいよな。あ、そうだ健五。小遣いは百円だけは絶対に残しておけよ」 「え? どうして?」 健五は理由が分からないようだったが、そろそろこいつも我らが明石食堂の一員として『アレ』に参加してもらうとしよう。 「……おっ、もうお囃子やってるか」 笛と太鼓の音が聞こえたということは、会場である桐皮稲荷神社が近づいてきたようだ。……ほら、赤茶けた鳥居と石段が見えた。 この桐皮稲荷神社の歴史は江戸時代あたりまでさかのぼり、かの徳川家康公の治世に商工業、特に武家に献上されていた桐箱を作っていたこの... -
第一話 塩と米だけで
第一話 「塩と米だけで」 夕暮れ時の商店街は、夕食の材料を買いに来る主婦や、仕事帰りに呑みに行くサラリーマンでいつも賑わっている。 あちらこちらで、魚や肉の安売りを知らせる威勢の良い声や、買い物先で知り合いと世間話をするおばちゃんの笑い声がする。 そして店先には、まな板の上に乗せられるのを待っている魚や野菜たち。 なんともいえない、この独特の空気が、俺はたまらなく好きだ。ちょっと息を深く吸い込むと、通りかかった惣菜屋の前から揚げたてのコロッケの香ばしい匂いがする。 「おう、あんちゃんじゃねえか。そんなとこでどうしたよ?」 「ああ、ちょっと買い出しに……」 惣菜屋のおっさんが笑いながら声をかけてくれた時だった。 「キャーッ!」 いきなり、甲高いおばさんの声が響く。 「ひったくりよ-! だれかーっ!」 見れば、犯人であろう高価そうな... -
第2話 雨の日の憂鬱
第2話 雨の日の憂鬱 ザァァァァァァァァァァァァァァァァ 「ふぅ……外は雨か………さて、どうしたものか」 しばらく続く雨の所為か、やや灰色っぽく見える窓の外の景色をぼんやり眺めつつ溜息をつく俺 俺は子供の頃から雨の日は嫌いだ、外に出るのが億劫になる。 今日の日が休みだからこそ良かったが、これが仕事の日だったら少し嫌な気分になっていただろう。 こんな日はさっさと寝直すに限る………と、今までの俺はそうしていただろう、だが… 「主殿ぉぉぉ!!、これは一体なんでしょうかぁぁぁぁぁっ!?」 台所の方から、つい数時間程前に名前を付けたばかりの騎士型神姫が何やら叫んでいた。 今日から、彼女、いやルージュとの生活が始まったのだった……にしても何だぁ? 「一体何の騒ぎだ……幽霊とでも出くわしたのか?」 「あ、主殿ぉ……見慣れぬ奴が居たから、私は何... -
インターバトル2「誤情報」
前へ 先頭ページ 次へ インターバトル2「誤情報」 「…………」 ぱかぱか。 「ま、マスター、どうですか……?」 ぱかぱか。 マスターは一瞬目の前どころか頭の中が真っ暗になり、立ちくらみを起こして倒れそうになった。 「まったく……」 「ご、ごめんなさい」 椅子に座り腕を組んで渋い顔をしているマスターの前の机の上で、アーンヴァル「マイティ」は恥ずかしさと申し訳なさと自分のバカさ加減に顔を真っ赤にして小さくなっていた。いや、もとから小さいのだが。 「シエンちゃんが、こうすればマスターが喜ぶって」 「奴の仕業か……」 マスターの言う「奴」とはハウリン「シエン」のことではなく、そのオーナーのことである。 「ココちゃんも、言ってましたよ」 「…………」 かの魔女っ子神姫ドキドキハウリンのことである。 マスターは大きなため息を... -
SecondPlace『第五話「空」を撃て-1-』
セットアップの最中、可凜は何気ない質問をしてきた。 「…ねぇ隆斗」 「どうした?」 「この前の、初めて一緒に戦った時の…何でボクを『可凜』にしたの?…前の名前からは想像もつかない変え方だけど」 少し物思いにふけりつつ答えた。 「う~ん、最初セザンヌに抵抗あってさ。で、ハウリンて総称聞いてから君の大人しさをみて『凜』を考えたんだけど重複で登録できないみたいだから諦めて、可愛いから語呂よく可をつけて可凜にした訳だけど…」 途中ポンッという音がしたので可凜をみる 顔が固まって赤~くなっている 「か…可愛くなんかないよっ、仮にそうだったとしてもこの顔は犬型共通なんだから…」 「いや、その反応にその表情は可凜だけのものだからな。充分君の魅力だ」 「~~~///っ」 自分でもよくわからん方向に話が進んでいるのに気付かず存分に恥ずかしい台詞を吐いていると 卓「お前ら惚気るには早ぇぞ。素人どもが~... -
第十一話 「妹、襲来」
わ~た~し~に~か~え~り~な~さ~い~ き~お~く~を~た~ど~り~ぃ~♪ 昔やってたアニメの劇場版テーマが部屋に流れる。 「マスター!おでんわなのだ~!」 「おう、相手は…っと!?」 「?? どうしました、マスター?」 「何かヤな電話でもきたのか~?まさか…借金取りからとか?」 「いや…、 実 家 か ら だ 。」 俺は一瞬受話器を取るのをためらった。 それもそのはず、大概実家からの電話というのはロクな事がない。見合いの話だとか見合いの話だとか見合いの話だとか…。 俺はまだまだ独身生活を謳歌したいと思ってる。と言うか、神姫を5人も所有している現在、更にもう一人を 養うなど、どだい無理な話である。あ~あ、どっかに神姫に理解があって、さらに収入もある女性は居ないものか…。 などと思いつつ電話を取る。 「あ!士郎!何やってんのよ!あんまり遅いから... -
ACT 1-28
ウサギのナミダ ACT 1-28 ■ マスターは家に帰るまで、ずっと無言だった。 胸ポケットの中で、やっと落ち着いたわたしは、マスターの顔を見上げる。 マスターはいつも真剣な表情の人なのだけれど、なにかいつも以上に脇目も振らない様子だった。 すでに夕闇が迫っている。 足早に帰宅を急ぐ。 マスターが何をそんなに急いでいるのか、このときのわたしにはまだ分かってはいなかった。 家に着いて、マスターがまずしたことは、わたしをクレイドルに座らせることだった。 わたしは素直にクレイドルに座った。 わたしは少し沈んだ思いで、マスターの指示を待つ。 今日のわたしを、マスターはどんな風に思っただろうか。 雪華さんとの試合の後、なし崩しに騒ぎになってしまって、マスターとお話する時間もなかった。 あの時、わたしは感情の高ぶるまま... -
戦う神姫は好きですか 四話前半
前へ 先頭ページへ 「アリカって変わったよねぇ」 「…人の目を見て話しなさいよ」 高校の麗らかな昼下がり。 昼休みの教室では生徒達が思い思いの方法で身体を休ませている。 談笑するもの、昼寝をしているもの、携帯電話を弄っているもの。 アリカとて例外ではない。 ある意味例外だが。 アリカは女の子にしてはかなり大食いで、今もかなり大盛りな弁当を食べている。 教室内で未だに弁当を食べているのはアリカただ一人。 そして、その傍らで空を仰ぎながらアリカと談笑しているのは彼女の数少ない理解者、国崎 茜だ。 「いやね、アリカが神姫を買った当初は随分可愛がってたのになぁーって」 「アタシはあんたみたいに神姫ラヴァーズじゃないのよ……だから人の目を見て話しなさいよ」 茜は空を仰ぐのをやめ、自身の神姫であるアーンヴァル型のロンの頭を撫でている。 「トロンベ... -
第参章第拾四節:楽しい日々の終焉
{楽しい日々の終焉} ☆ 西暦2030年10月5日の記憶 「…女の子?」 今、僕の目の前に一人の女の子が大きな試験管のようなものの中に入っている。 裸でブクブクと何かの液体に入っていて息が出来るのかな? 苦しくないのか? というか身体が物凄くちっちゃいなぁ。 まるでお人形さんみたい。 「……ン?」 「あ、起きた」 女の子が目を覚まし、眠そうに僕を見る。 すると無表情で僕に語りかけてきた。 「人間の…子供?」 「え?あ、うん。僕は子供だけど」 「子供が何故このような場所にいる?それに何故、我の部屋に侵入?」 「ごめんなさい、ボタンを押したら勝手に開いちゃって」 「勝手に押した?…不確定要素が多数、原因解析。…解析完了」 「何か、解ったの?」 「どうやら貴方は勘でこの部屋に侵入できたらしい。監視カメラの映像を閲覧し... -
合間(乾杯)
真・凪さん家の十兵衛さん 第一話 合間 「乾杯」 「いただきます」 用意を完了した千空が先陣をきる。 「「いただきます」」 続いて俺と創さんも。 「いっただっきま~す」 ミーシャも 「ん」 弁慶も…ってちゃんと言えって弁慶。 「え、えと?いただきま…す?」 周りの真似をしてなんだか分からないままのTYPE10.0こと十兵衛。 そんなこんなで夕飯の時間。十兵衛にとっては始めての食事、という事になるようだ。 「今までこういった日常生活を体験した事が無いんですよ、TYPE10.0は」 「創さん?私はもうTYPE10.0では」 「おっと、失礼、十兵衛…さん?」 「さん?なんでさん付けなんです?」 「ん~なんとなくですね」 「はぁ…?」 「ま、良いじゃないか、食うとしよう」 「ですね。今日は~和ですか」 「うん、やっと... -
第三話「始まりの終わり」>『始まりの終わり』
「もうっ!いつまで隠れてんのよ!」 アタシの対戦相手のハウリン、たしか凛っていったっけ?正直、あのコには同情する。起動直後でバトル?ありえない。アタシなら絶対イヤ。 そもそもこのバトルの原因の、アイツが絡んでたあの娘。そりゃあ、原因はあっちかもしれないけど、よそ見して歩いてたアイツも悪いんだし。向こうも謝ってるんだからそれでいいのに、なんでまたこんな面倒な事にするのかしら? いっつもそうなのよ、アイツは!態度ばっかりでかくてイヤになっちゃう。 ……いや、悪いトコばっかりってワケでもないのよ?たまにだけど優しいコトもあるし……あ、今は関係ないわよね。 とにかく、そんなワケであのコには同情してるワケ。でも、それはそれ。バトルになった以上は恨みっこなしという事で、さっさと勝たせてもらうつもりだったんだけど。 初心者ってワリにはなかなかやるのよね、あのコ。攻撃はもらっちゃうし、さっきの... -
序章 語り始めるとすれば、その平凡な冬の日より
西暦2036年、世界には「神姫」というモノが存在していた。 神姫は、全高15cmの“心”あるフィギュアロボである。 神姫は、つまりは機械であり、人間の被造物である。 そして神姫は、どうしようもなく“女”である。 機械の身である神姫に生殖能力など無く、それはただ創造者に設定されたジェンダー。それ故に、その“心”を支えるアイデンティティは、ただ一つ、“女”である事。 しかし、そうでありながらも、神姫には“それ”を失うという事態が発生しうる。それが、“G・L” G・L ~Gender Less~ 序章 語り始めるとすれば、その平凡な冬の日より 暗い部屋。乱雑な部屋。狭い部屋。谷のような部屋。そこで、溺れるように眠っていた男は、微かな眩しさに身をよじる。視線の先、その光源であるスタンドライトの下には、漆黒の【玉座】に身を預け、身に余るほどの大きさの... -
5.ショッキング・ショッピング
5.ショッキング・ショッピング 「へえ、結構賑わってるもんだねえ」 土曜日の夕刻、僕達はその筋では有名だと言われている神姫専門ショップへと足を運んでいた。一通りの説明を受けたあと、「やっぱり実際に扱ってる店に行ってみたいな」という僕の要望に応えて、若山さんが連れてきてくれたのだ。品揃えはもちろんのこと、サポート体制も充実しており、若山さんの一押しショップなんだとか。 『ホビーショップ・エルゴ』、それがこの店の名前だった。 「それにしても、年齢層とか性別とか……随分ばらばらだね」 正直に言って、僕が武装神姫に対して若干マニアックなイメージを抱いていたことは否定出来ない。いくら最先端のロボットとはいえ、元々は女の子の形をしたフィギュアなわけだし。だから、こういう店の客層も、もっと野暮ったい……そう、僕みたいな雰囲気の男性客が多いものと思っていた。 ところ... -
揃い始めた者たち
お菓子作りコンテストは何とか無事に終わった ノアの作ったのはオーソドックスなクッキー 「何事も基本が大事ですから」 …それってさ、逆に言うと手加減なしってことなんじゃないですか? まぁ問題を起こさないでいてくれるだけでもこいつらよりかはいいか…… 「うぅ~私も出たかったよおぅ~~!!」 「アニキ、なんだよその冷ややかな目は……」 お前らが出たら問題どころか死人が出るかもしれんだろうが… お菓子作りコンテストの結果は夕方に出るそうだ そうとなれば今のうちに他の知り合いのブースにでも顔を出しておくかね 「あ・き・ひ・とっ!」 ブースを三つか四つ回ったところで後ろから声をかけられる 「ん? ああ、エリーか」 見慣れた少女を発見 「美子も優奈も凄い格好だねぇ…」 「アタシは嫌だったんだけどな…ア... -
ドキハウBirth その16 後編
千喜の呼んだ名前を理解するまで、プシュケにはほんの少しだけ、時間が必要だった。 「……ジル?」 「ほら、お兄ちゃんとこの」 千喜には兄がいる。それは、プシュケもよく知っていた。 大して密な付き合いではないし、名字は離婚した父親の側になってもいるが……兄妹の仲がそれほど悪いものでは無いことも。 「いえ、あの、千喜………」 それはちゃんと知っているのだが……。 「大丈夫ですか?」 プシュケはあえて、そう問うた。 「何がよ」 「具体的に言えば、脳?」 「脳言うな!」 耳元から少女の怒鳴り声が聞こえてくるが、むしろそれは相手のお脳が残念なことになっていない証拠でもある。 若干、うるさくはあるが……判断力は、まだ正常な域にあるらしい。 「けれど、十貴さまの神姫はストラーフでしょう?」 プシュケの目の前にいる神姫は、シスター型神姫。多少手が入ってはいるよう... -
『老人G』
「なー記四季ん」 「なんでぇ山仙」 「彩女ちゃん可愛ぇなー」 「手を出したら漬物やらんぞ」 『老人G』 「んーいや手ぇ出すとかそう言うんじゃないんよ。単に孫娘的なあれや」 記四季の屋敷。その縁側で人間国宝にして関西弁のファンキージジイ、三木山仙は記四季の入れた番茶を飲みながらそういった。 「ふん。急に遊びに来て言うことがそれか。あんなちんちくりんのどこがいいんでぇ?」 「なんちゅーか素直やん。色々寄り道しても最後には家に帰ってくる的な素直さや。うちらのだましにも引っかかってくれたしな」 「寄り道してる時点で素直じゃないだろう。それに引っかかったのはあいつが馬鹿だっただけだ」 いいながら記四季は山仙の湯飲みに茶を注ぐ。ついでにせんべいを二、三枚拝借していた。 森の奥から、雀の声が聞こえている。 「というかだな。素直さで言うならロクも... -
妄想神姫:終章(後半)
前を見た少女と、煌めく神の姫達(その二) 第四節:真心 楽しかった夕餉も終わり、私達は電車で次の場所へと向かった。そこは、 冬のお台場である。バレンタインには相当早い為か、夜と言ってもさほど カップルの数は多くない。私達の邪魔をされないという意味では、上等! 「とりあえず、観覧車にでも乗るか?街の夜景を見るのも、いいだろう」 「はいっ!あたし達も、こんな所に来るのは初めてですから緊張します」 「……多分それは、マイスターも同じなんだよ?だって頬が、紅いから」 「マイスターも来た事無かったの?大丈夫かしら……でも付いていくわ」 「折角のデートですから、デートコースはマイスターにお任せですの♪」 民放キー局が遠くないこの場所にあるのは、湾岸地区の夜景を楽しむには 最適と、午前中に買い求めた雑誌の記事で書かれていた大観覧車である。 なるほど……目の前... -
第一次戦乙女戦争
与太話3 : 第一次戦乙女戦争 おかしいと思った。 ここ数日は暇さえあればディオーネコーポレーションのホームページを開き、何度も何度もウェブブラウザの更新を、全国の神姫達と示し合わせてF5アタック――短時間で大量のアクセスをかけ、相手のサーバなどをダウンさせる単純明快なサイバーテロ――でも仕掛けているのかのように繰り返していたエルが、まったく唐突に、抑揚のない声で、 「神姫センターへ行きますよ」 なんて言い出すものだから、俺がよからぬ企てを疑うのは当然のことだった。 結局、アルトレーネ型の再販締切り期間の最終日であり、俺と姫乃がエルを慰めることに失敗した日から、ほんの気持ち程度だけ受付期間が延長されることとなり、ボロアパートの一室にボソボソと吐き散らされていた呪言はひとまず落ち着いてくれた。 そして長かったような短かったような延長期間が終わりを迎え、それまでずっと取り... -
あるオーナーと神姫 牙
フィールドに響く斬撃と悲鳴。 恐怖に歪んだ相手、揺れるその目は体同様に震えてこちらを見上げる。拘束服と大きなナイフの生えたブーツ、ずり落ちた太いベルト状の眼帯とその下の半壊した左半分の顔を。 「ぁ・・ぁぁ・・」 悲鳴すら出なくなった喉を爪先の刃で掻き切れば相手はボロボロと崩れて情報の破片と化した。 『Win 観夜』 フィールドを出ると周りの連中がこちらに視線を向けた。 軽蔑、侮蔑、蔑み、批判の目。腹立たしい限りの自分勝手か、何とも似非な一般常識と正義を掲げる事を笑う。 曰く「虐待している」、曰く「非常識」、曰く「鬼畜な」。 己(オレ)がこの姿をしているのは己の趣味でしかないのに。真相を知らずに何を考えているのやら。世界全てが自身に味方しているとでも思っているのだろうか?傲慢なことだ。 「お疲れ」 「ん」 己を手に近くのテーブルに移る。口のバーギャグと腕の... -
ねここの飼い方 ~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅩⅡ~
――意識が拡散し、やがてゆっくりと相手との意識と交じり合うように収束していく。肌を合わせ、互いが相手を想い、求め合った結果の……それは、きっと錯覚。それでも私は、この儚い一瞬の時間がとても好きだった。 ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅩⅡ 「……あ」 段々と覚醒してきた私の眼前には、先程まで私が攻め抜いた光景の残滓が広がっていた。 「ぁ……ふ…………」 ぐったりとして動かないラストが甘い吐息を漏らす都度、膣口がひくひくと痙攣するように蠢き、膣内からは軽く白濁したモノがとろりと溢れてくる。クリトリスも大きく充血したまま、膣口につられるように痙攣を繰り返していて、その鮮烈で淫猥な光景に思わず自分自身を重ね合わせてしまう。 「――っ」 無意識にすり合わせた脚が、くちゅりと湿った音を立てる。乾き始めていたローションに代わるかのように、私の内股を一筋の雫が流れ落ちていた。 ... -
神姫ちゃんは何歳ですか?
神姫ちゃんは何歳ですか? これはある神姫とそのマスターとの愛と肉欲の日々を描いた物語である… でも最近、肉欲の日々は送ってないよね… 書いた人 優柔不断な人(仮) 神姫ちゃんは何歳ですか?本編 過去編 番外編 武装神姫飛鳥ちゃんエウクランて その他作品 騎士子シリーズ コラボ大歓迎 話を大幅に変えてしまうようなのでなければ大丈夫 チョイ役とかなら許可も要りません ドンドン出して出して ※鳳凰カップ等で神姫の父さんの橘明人とかしまし神姫たちの日常日記とリンクしております ※学園設定に於いてチアキ氏の凪さん家シリーズとリンクしております 登場人物&登場神姫 舞台解説・特殊設定 國崎技研商品カタログ 本編 第一話 学園天国 微エロ注意 香田瀬がユキに買ってきた物は… 第二話 NY決戦 ※エロ注意!1... -
第十六話 ファンシーズのオーナー
第十六話 「ファンシーズのオーナー」 「……『メロスは、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城に入っていった。たちまち彼は、巡邏の警吏に捕縛された。調べられて、メロスの懐中からは短剣が出てきたので、騒ぎが大きくなってしまった。』……」 壁際の席の友達が読む文章を、僕も目で追う。今は学校の国語の時間だ。 「……『『言うな!』と、メロスはいきり立って反駁した。『人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。王は、民の忠誠をさえ疑っておられる。』』……」 もうすぐ七月の十九日が近い。その日から三日間期末テストがあるから、みんな今から準備に忙しくしている。僕もクラスの友達からノートを貸してと頼まれたりするし、漢字があまり得意じゃ無いから練習しなくちゃいけないし、とにかく大変だ。前の席の戸川君は、先生から見えないようにこっそり数学のドリルを解いてい... -
ドキドキハウリン その3
魔女っ子神姫ドキドキハウリン その3 だらしなくベッドに寝ころんだ静香の顔は、今までに見たことがないほど険しい物だった。 「うー……」 目の前のノートが真っ白なのだ。 もちろん学校の宿題などではなかった。 傍らに私の写真が何枚か置いてある所を見ると、どうやら新しい衣装のアイデアを考えているらしい。 「思いつかない……」 静香が悩むなんて、珍しい。 眉間には見たこともないほど深いしわが寄っている。 これが、いわゆるスランプというやつだろうか。 (そうだ) 私はふと、前にネットで見た情報を思いだした。 感情がトゲトゲしくなったときに、落ち着くための方法を、だ。きっと悩んでいる静香にも効果があるだろう。 「あの……静香」 おずおずと静香の傍らに腰を下ろし、そのままころりと寝ころんだ。 「んー?」 澱んだ瞳で、こちらをぼんやりと見遣... - @wiki全体から「祭りの前の楽しさよ」で調べる