武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「第1話:恐怖」で検索した結果
-
第1話:恐怖
「キミの剣は、ちょっと遅すぎるよ」 騎士剣「コルヌ」で鋭く打ち込む、が、サブアームに接続された二本の大型刀がそれを容易く切り払う。 いくら斬りこんでもあの二本の大型剣に防がれてしまう、ならば―― 「まだ、終わってはいないっ!」 ワンステップ、距離を置き、間髪いれず加速、打ち込みをかける。 持てる全ての力と速さをかけた、必殺の一撃。 限りない加速によって倍加した全体重を掛けて、サブアームごと打ち砕く! 「はぁぁぁぁあああああああああああッ!」 相手と同じストラーフタイプにも、この一撃を止められたものはいない。 「これで、終わりだ!」 コンマ数秒のラグタイムのあと、打ち込んだときの衝撃が痺れるように伝わる。 私は、目を疑った。 両端のアームに接続されていたウイングが、こともあろうに私の一撃を止めたのだ。 刃との接触面は波打つような波紋が広がっている... -
第11話:オペラ座の瑠璃唐草
まず、眼にしたのは荘厳なつくりのアーチ。 真っ赤な幕が下り、向こう側は分からない。 アーチのこちら側は客席がいくつも並び、アーチと客席の間には、いくつもの楽器が置かれた広いスペースがある。 いくつもの明かりと非常に広いその空間は、いわゆる劇場だった。 「…………こういう、ステージ……?」 誰も居ないはずの楽器スペースから、突然音が漏れ始める。 「……!?」 まるでクラシックの序章のようなテンポで、ゆるやかに音楽が場を満たす。 それにつられるように、真っ赤な幕が上がり始めた。 「……これ……」 『落ち着いて……ただの演出みたいだから』 幕が上がりきり、照明がステージを照らす。 「すごいね、こういう演出もあるんだ」 あの声だ。私と、柚子を泣かせた、あの声。 私が、もっとも憎悪する声。 幕の向こう側には、まるで中世の王の間を... -
Black×Bright
Black×Bright ちょっとダークな少女と、おバカで明るい少年と。 少女に付き従う機械仕掛けの悪魔と、少年のツッコミ相棒(?)の紅い3輪走駆と。 そんな彼らの、ちょっとしたお話。 書いたひと:けだもの 全体的に残酷な描写が点在する場合があります。ご注意ください。 コラボ等はご自由にどうぞ。むしろ大歓迎。 登場するヘンな人たち 登場する妙な装備たち 第1話 恐怖 少女と剣の悪魔 第2話 駿足 少年と紅い走駆 第3話 エンカウント 邂逅 第4話 紅銃×黒剣 Get Ready 第5話 紅黒決着 決着と脱出 第6話 少年少女 少年と少女と美女オカマ 第7話 スタート・ポイント 夕暮れ時のティー・タイム 第8話 high speed SAMURAI まさに韋... -
Night Games
~Night Games~ story 序章 第1話・彼女たちの日常 1 2 3 *New* 第2話・誰がために 1? Coming Soon…… Night Games キャラクター紹介? 著 ねここのひと 更新状況 1/29 第1話(3)をアップしました。 1/21 第1話(2)をアップしました。 1/12 第1話をアップしました。 3/29 序章【完全版】アップしました。 2/10 仮設アップしました。 ご感想、ご要望やリクエストなどは、こちらへどうぞ。 感想お待ちしております。 名前 ... -
武装神姫~ストライカーズ・ソウル~
武装神姫~ストライカーズ・ソウル~ 時は、西暦2036年。 昔に言われてた「第3次世界大戦」も勃発せず・・・。 ウィ○・ス○ス主演の「イ○ディペ○デン○・デ○」ばりの宇宙人の襲撃も無かった・・・。 まぁ、そんな物騒な事はゴメンなんだがな・・・。 そんな物騒な事以上に「ロボット工学」は進化・発展を続け、ホ○ダの「ア○モ」よりもロボットのサイズは小さくなり、あの「カス○ムロ○」の半分・・・「15cm」の掌サイズにまで縮小化・超低コスト化に成功。 神の如き美しき姫達は・・・・無骨なる鎧で「武装」し―。 己が仕える「マイスター」の誇り・プライド・信念に従い・・・―。 技・テクニックをぶつけ合う―。 人はそれを・・・「武装神姫(ぶそうしんき)」と呼び、新たなるホビーとして発展していった。 (ストライカーズ・ソウル第1話「起動~start up~」冒頭よ... -
デュアル・マインド
デュアル・マインド 二人で一人。一人なのに、二人―― 著・璽儡 バトルロンドの設定の一部をMighty Magic様からお借りしています HOBBY LIFE,HOBBY SHOP様から、キャラクター及び設定の一部をお借りしています 推敲や誤字脱字の為、制作済みのページを更新する事があります コラボ大歓迎です! モブなどに使いたい場合は無許可でご使用ください キャラの死亡、行き過ぎのキャラ改変はやめてください 更新履歴 2011 1/6 第1話掲載、登場人物紹介作成 2011 1/11 第1話誤字訂正 2011 1/12 第2話掲載、登場人物紹介更新 2011 2/1 第1話改稿 2011 2/3 第3話掲載、第2話誤字訂正 2011 2/10 登場人物紹介誤字訂正 2011 2/12 第4話掲載 2011 3/10 第4話削除 ... -
『捨てる神あれば拾う神あり』楽屋裏…という名の裏話
え~読者のみなさん、初めて書いてみた神姫SSの第1話、読んでくださりありがとうございます。 小学校の時から作文が苦手にもかかわらず、可能な限り頭をひねって三時間くらいで、しかも一発打ちで仕上げたので粗があるかもしれませんが… 皆さんは最初にお迎えした神姫は誰ですか? 作者は震災のあった2011年の5月末にアキバのヨドバシで手に入れたラヴィーナです。コンポジット版の蜃気楼と一緒に。 神姫については、某ガンプラ劇場の人の動画に触発されfigmaを購入しだし、そのうち神姫も気になりだして、己の感覚に任せて選んだ結果、ピンときたといった感じです。以来、俺のお気に入り。 それまで神姫の事は何も知りませんでした。 ちなみに初figmaは中古4000強のキョン。 この裏話についてですが、作者の気分で入れたり入れなかったりします。凝った話題をしたい時も入れますけど。 第1... -
wiki相関図 最新投稿対応状況
wiki版キャラクター相関図最新投稿対応状況 2007年4月5日時点で、以下の話までは確認しています。 主に相関図の進度確認用のメモ。 もどる Mighty Magic インターバル6 神姫たちの舞う空 コンタクトイエロー CROSS LO[A=R]D 14話 神姫狩人 第五話 武装神姫のリン 3章第20話 凪さん家シリーズ 凪さん家の十兵衛さん第十二話 真・凪さん家の弁慶ちゃん 第一話 凪さん家の弁慶ちゃん/0 TR-2 凪さん家の弁慶ちゃん 3話 ねここの飼い方 そのじゅうよん 劇場版~十一章・終焉~ ねここの飼い方・光と影 ~十章~ 岡島士郎と愉快な神姫達 第十三話 外伝第一話 『不良品』 師匠と弟子 明日の為に、其の... -
Les lunes
初心者神姫マスター・月夜のどかと、人形型MMSノートルダムのマリーの何か。 あとみんなのアイドル、斎藤香子ちゃんとジルダリアのラーレの大活躍(?) 書いた人:ryusei - 本編 プロローグ Je suis heureuse de vous connaître! ――『初めまして』―― 第1話 Contre la princesse de la rêve blanche. ――『ラーレ・ザ・トライアンフ』―― 前半 | 後半 その他 設定 よろしければ、感想などいただけると嬉しいです_o_ -- ryusei (2007-03-31 16 26 55) つづきは…まだ? -- げしもちゃん (2012-09-16 20 15 42) ... -
第11話:海だ山だ温泉だ(その3)
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第11話:海だ山だ温泉だ(その3) 「ふぅ…」 美人は何をやっても絵になるが、ビールをジョッキで一気飲みとかはどうなんだろう? そんな事を考えさせられる飲みっぷりを披露するのは、高校教師斉藤浅葱。 枝豆食べつつビールをもう一杯。 「……ああ。和みますわね~」 「浅葱、浅葱~」 「何ですの? 今良い気分なので邪魔しないで頂きたいですわね」 浅葱は、自らの所有するネコ型神姫、マヤアの声に気だるげに答える。 一緒に居ると退屈はしないが、平和とも無縁になるトラブルメーカー、腐れ縁の幼馴染、島田雅は席を外していた。……多分、トイレか何かだ。 「雅が居ると、風情や情緒とは無縁になりますもの。鬼の居ぬまに何とやら、短いながらも平和を堪能したいものですわ」 「うん、でも……」 マヤアはそう言って、浅葱の持つジョッキを指差した。 ... -
悪魔に憑かれた微駄男
相棒とはなにか… 作者:鋼鉄武神 初めまして…ツイッターやらfgやらに出没している武装紳士、鋼鉄武神です。 wikiで新規ページ作るのもSS書くのも初めてで、不定期かつぎこちない出来になるかもしれないですが、生温かい目で見守って下さい… 名前は、バトマス(Mk.2しか持ってないが)でのファイトネーム的なものです。痛いセンスかもしれないが気にしないでくれ… 当wikiの作品を読んでるうちに妄想が膨れてきて、思いついたストーリーを書き込むといった感じで。 最初はスマホからの投稿を予定していたのですが、ワープロモードだとスマホでは入力箇所がずれまくるという事態が… あ、一番上の一文は何となく。 作品の内容としては、バトマス基準+オリ設定だったりしますが、微量のバトロン成分も・・・バトロンやったことないけど。 妄想の産物故、破損描写とかあるかも… キャラのネタが少ないかもしれな... -
悪魔に憑かれた微駄男 修正版
相棒とはなにか… 作者:鋼鉄武神 初めまして…ツイッターやらfgやらに出没している武装紳士、鋼鉄武神です。 wikiで新規ページ作るのもSS書くのも初めてで、不定期かつぎこちない出来になるかもしれないですが、生温かい目で見守って下さい… 名前は、バトマス(Mk.2しか持ってないが)でのファイトネーム的なものです。痛いセンスかもしれないが気にしないでくれ… 当wikiの作品を読んでるうちに妄想が膨れてきて、思いついたストーリーを書き込むといった感じで。 最初はスマホからの投稿を予定していたのですが、ワープロモードだとスマホでは入力箇所がずれまくるという事態が… 本ページはアットウィキモードで作り直したものです。 あ、一番上の一文は何となく。 作品の内容としては、バトマス基準+オリ設定だったりしますが、微量のバトロン成分も・・・バトロンやった... -
第11話:海だ山だ温泉だ(その5)
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第11話:海だ山だ温泉だ(その5) 大宴会場『葛の葉』 「おお~、豪華メニュー♪」 マヤアが驚嘆の声を上げるのも無理は無い。 テーブルを埋め尽くさんばかりに広げられた料理の山を見れば、無反応でいる事の方が難しい。 「当館では海の幸、山の幸を季節に合わせたアレンジでご提供しております。メインディッシュには―――」 季州館の女将である藤堂奈津子の説明は、誰に聞かれる事も無く続く。 「お母さん、誰も聞いてないみたいだけど?」 「―――なお、料金は晴香のお小遣いから天引きとなっておりますので、お替りはご自由にどうぞ」 「は~い♪」 間髪居れずに返事をする雅。 「ちょっと、お母さん!? そんな話聞いてないわよ!?」 「あら? だって、無料で招待したのは晴香でしょう?」 「それはそうだけど……」 「因みに、宿泊費も晴香のお... -
第1話 『捨てる神あれば拾う神あり』
日曜。大抵の人は休日としてこの曜日を満喫するだろう。 ある者は家でのんびり、ある者は気晴らし外出、あるいは他の事…? まぁ、それは人それぞれに任せるとしよう。 ちなみに俺、『獅子堂 竜馬』の場合は秋葉原へプラモ物色しに行く。自転車で。 (むぅ…迷う) 俺はそんなことを思いながらアキバの某量販店にてプラモの品定め。 しかし、たとえいざ決まったとしてもなかなかレジに向かえないのはいつもの事だ。 ガチで欲しいと決めた奴はすぐ購入に移れるが、ふらりとやってきてピンときたのを手に入れるときはいつも足踏み… 「…別の店に行ってみよう」 結局保留だよ。 俺のアキバでの探索場所は専ら量販店か中古ショップだ。あとア○メイト。 メイド喫茶?行かねぇよ高いらしいし。 思えば、高校に上がってからアキバに来るようになったな… 資金は使い道が見つからないまま貯まって... -
第11話:海だ山だ温泉だ(その4)
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第11話:海だ山だ温泉だ(その4) 「……よ、よもやこれ程とは……」 藤堂晴香の実家、旅館『季州閣(きしゅうかく)』は最早和風ホテルと言う方がしっくり来るような豪華なたたずまいであった。 「ほ、本当にこんな所にタダで泊っても宜しいんですの?」 「浅葱は小心者だなぁ。そういう話になっているんだからいいじゃん、いいじゃん」 浅葱にそう言って雅は旅館の中へと入っていった。 「いらっしゃいませ、季州閣へようこそ。『とっても可愛い雅さまと愉快なご一行』様……、ですね?」 「うん、そうだよ」 「あんた、そんな名前で予約したんですの?」 「何か問題が?」 「それを問題に思わない貴女の脳みそが問題ですわ」 「むぅ、そんな事無いと思うけどな……」 頬を膨らませる雅。 「あの、こちらでは六名様と伺っておりましたが……?」 「「「「「「... -
第10話:復讐×心燃
「…………負けた」 「やっぱ強いね、ムラクモちゃんは。ここで注目されてるだけのことはあるかも」 それから一時間と経たず、俺と柚子っち、ひいてはムラクモさんとルリさんのタイマンバトルが始まって終わった。 ルリさんは基本装備に+αしただけのもの。要はムラクモさんと同じような構成なわけだけど。 どっちかというと近接戦闘をベースにしてあるタイプだけど、ルリさんはゼルノグラードのガトリングガンなんかで遠~中距離のレンジを強化してあるみたいだ。 あとさりげなーくおいてくるシュラム・グレネードが怖かった。 トライクで急接近してのエアロチャクラムもなかなか恐ろしかったけど、ムラクモさん、意外と冷静に立ち回っていたなぁ。 近接はさっちゃんのおかげでいつのまにかだいぶ上達したらしい。 「しかし……バトルしてないとはいいつつも、タイミングとか距離感とか、随分実戦慣れしてないか... -
第12話:青嵐血風録
迫りくるのは鋭い弾丸と、炸裂する榴弾。 あれから5分、あれだけ燃え滾っていたぼくの熱は、焦りに変わりつつあった。 ステップとショートダッシュで距離を詰めようとはするけど、相手はホイールでギュンギュン逃げ回る。 ―――あーもう、うざったいなぁ。 「...You scared?(……キミ、ビビッってんの?)」 反応は無し。ただ黙々と遠距離から攻め立てるだけ。 「つれないなぁ……さっきみたいにさ、打ち込んでみてよ!それが楽しみなんだから」 やっぱ応答なし、挑発ももうダメかな? しかし、なんだかんだでグレネードが厄介だなぁ……。 破片痛いし。 『弾だって無限じゃないよ、フラン?』 さっすがマスター。 爆発したのは6回。シュラムのグレネードなら、シリンダーに弾はすでにないはず。 ローダーなんかないから装填に時間もかかる。 でも、ガトリングが痛いか... -
第11話:海だ山だ温泉だ(その2)
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第11話:海だ山だ温泉だ(その2) 青い空。 輝く太陽。 純白の入道雲に黄金の砂浜。 そして、よせてはかえす瑠璃色の波。 問答無用で海だった。 これでもかと言うぐらい海だった。 もうとにかく、徹底的に海だった!! 「いぃ~、やっほうぃ!!」 砂浜を飛び跳ねる少女、伊東美空。 猫科の肉食獣を思わせるしなやかな身体を覆うのは、布地の少ない純白のビキニ。 ふちの部分にあしらわれたレース地と、胸元の小さなリボンがチャームポイント。 「マスター、海ですよ、海!! 砂です、水です、貝殻です、空き缶ですぅ!!」 美空の肩の上で、色々台無しな事をのたまうのは彼女の神姫フェータ。 その水着は主と同じくビキニだが、色は相対色である黒。 真紅の瞳と相まって、普段は感じられない妖艶な魅力を溢れさせている。 ... -
燐の1 「リン」
武装神姫のリン 第1話「リン」 今日は久々の休みだった。ということで某家電量販店へ出掛た。 目当ては今話題の「武装神姫」。 最初は購入を考えていなかったが、ネットでの評判や友人に勧められたこともあったので購入することにした。 結構な人ごみの中、なんとか最後の1箱を入手して帰宅した。 購入したのは「TYPE DEVIL STRARF」一番気に入っていたモデルだった。 早速起動させてみる。 瞳をゆっくりと開くと彼女は俺に挨拶をした。 「おはようございます。」 どうやら正常に起動したようだ。 マニュアルを片手に初期設定(とは言っても彼女に名前を与えるだけなのだが)を開始する。 「まず最初に私の個体識別のための呼び名をいただけますか?」 名前については購入前から決めていた。 「リン・・・リンですね。認識しました。」 それから彼女は部屋の中を走り回って... -
第11話:海だ山だ温泉だ(その1)
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第11話:海だ山だ温泉だ(その1) ドギュギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!! タイヤがアスファルトを削る怪音が、山間道に響き渡る。 左右に曲がりくねった道を疾走するのは一台の自動車。 ドライバーは島田雅その人だった。 「いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!? カーブで踏むのはブレーキぃ!! アクセルじゃない~っ!!」 助手席で絶叫するのは幼馴染でもある斉藤浅葱。 何を大げさな、と思った人は速度計を見てみるといい。 30キロ制限の細い山道を疾走するその速度、実に平均80キロ!! …普通死にます。 片側崖だし…。 「おぅ、前方に手頃な丘発見♪」 雅が見据えるのは、ちょっとした山なりの道。 「子供の頃お父さんのビデオで見た、黒いトランザムに憧れたものさ………」 遠い目で過去を懐かしむ雅さん。 …お願... -
第13話:ハートブレイク
確かにぼくは、相手を斬った。 手ごたえは十分あった。コレで決まってるはず。 しかし、その黒い手は勢いもそのままに、ぼくに迫った。 限界まで肉薄したこの距離で、斬っただけで勢いが殺せるわけない。 加速のついた爪先は、ぼくの胸に食い込む。 アーマーの装甲強度を超えて、メキメキといやな音を立てながら。 不思議と冷静に、ぼくはその光景を見ていた。 痛みは無い。むしろ、感覚そのものが無い。 まるでスクリーン越しからそれを見てるかのような錯覚。 そして爪は、アーマーから胸の保護材を抜けて、胸のなかの何かに触れ――― あ、まっしろ、だ――― 「……あ……」 瞬きの間に行われた、刹那の双閃。 ルリの身体に光った銀色の線と、フランの胸元に喰らいついた黒い線。 交差の後3秒後くらい、力なく、糸が切れたかのよう... -
『不良品』トップページ
あらすじ 無気力気味な青年、藤丘遼平の元に誤配されてきた悪魔型武装神姫。 ほんの少しの偶然とほんの少しの共通点が織り成す大きな変化…。 運命なんか、蹴っ飛ばせ。 著 不良品オーナー キャラクター紹介 オリジナル設定 ストーリー ☆第1~8話はSSまとめに掲載されているものに加筆修正しております。 ☆それ以外でも作者の気分次第であっちこっちに加筆修正されます。 詳しくは更新履歴を。 ☆コラボレーション大歓迎。 キャラはまだ多くないですが遊んでやってください。 第01話 「邂逅」 第02話 「開始」 第03話 「呼名」 第04話 「武装」 第05話 「歴史」 第06話 「世論」 第07話 「隻脚」 第08話 「初戦」 第09話 「友人」 第10話 「予約」 第11... -
第11話:海だ山だ温泉だ(その6)
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第11話:海だ山だ温泉だ(その6) 満天の星空だった。 深夜の2時。 祐一は一人廊下を歩く。 「……ふぅ」 宴会が終了したのは、もうじき0時になるかと言う頃。 酔い覚ましに起きた祐一が、風呂を目指して部屋を出たのはつい先程だった。 脱衣所で手早く浴衣を脱いで湯船に入る。 「……っ」 湯船につかる一瞬、脳裏をよぎる記憶に顔を顰め、それでも湯の中に進み出た。 海ならばともかく、この程度の広さの水ならば我慢できる。 淵から離れ、あえて縋る物の無い中央部に出て身を沈めた。 「……ったく、もう5年以上立つって言うのに……」 結局、今日は海に入ることができなかった。 泳げない訳ではない。 もし泳げないのならば、今この場に祐一が居る事は無いだろう。 祐一は水に囲まれ星空を見上げる。 「……くっ!!... -
第12,5話:柚子のファーストインプレッション
うららかな3時ごろ。日差しが少しだけ柔らかくなってきたこの時間。 今日のおやつはゴマプリン。 この間、お店で買ったのが思いのほか美味しかったので、自分でも作ってみようと思ってやってみた。 ゴマの香りとタマゴの優しい甘さがいい感じ、シロップも甘すぎず出来た、成功っ。 やっぱりお菓子はいいな、優しい気持ちになれるから。 「……スウィートジャンキー、柚子…………」 「いいじゃない……好きなんだもん……」 キッチンカウンターに座り込んで、私のほうを見ていた小さな姿。 最近迎えた私の、友達。 武装神姫、イーダ型。瑠璃唐草(ルリカラクサ)って名前。 中学生になってもなかなか人に話しかけられない私の、新しい友達。 「…………砂糖漬けの柚子」 ―――ちょっと口数が少なくて、珍しい性格だけど。 お母さんあ... -
UGV(仮)
あらすじ 2036年 民需向けに開発、発表された武装神姫は、社会現象とも言える大ヒットを記録し、彼女たちの活躍の場は世界中に広がっていた。 それは各国の軍・警察を始めとした公的機関も例外ではなく、アメリカ合衆国軍も、ゼネラル・エレクトリックとレイセオンが独占的にライセンス生産権を獲得した機体の試用購入を行う。陸軍が武装神姫を改良した無人偵察機を試験採用したことを皮切りに、彼女たちは空軍、海軍、沿岸警備隊、海兵隊と順次実戦に投入されていった。 これは、そんな彼女たちの戦いの記録…… コラボその他は大歓迎です~ Hだろうが、鹵獲されての洗脳だろうがなんでもこいです! 筆者がwikiの編集初心者で神姫にわかのため読みにくい点など多々あると思いますが、どうかお目こぼしをば… 注意 途中、破損or全損する神姫が出てきます。 そのような表現が苦... -
戦うことを忘れた武装神姫
戦うことを忘れた武装神姫 書いている中の人:けものや(#4 - 618) < 100401・第43話追加。> < 091225・第42話追加、イベント情報追加。> < 081228・第41話追加、東杜田技研 人物追加。 > お話の中身:何故か戦いたがらない性格になっちゃった神姫と、そのオーナーのお話。 まぁ、戦いを忘れた・・・というよりオーナーがさせないだけのようですが。 ※更新履歴には出ませんが、こっそり加筆修正を加えることが多々あります。 〜中 身〜 久遠家の日常(本編)基本設定@久遠家とその周辺 第1部・Monolouge of HISATOH 第2部・What's Battle style? -It's my Life style. 第3部・Day after day 久遠家の... -
鋼の心 ~Eisen Herz~
鋼の心 ~Eisen Herz~ フブキ「祝『忍者型MMSフブキ黒い翼ver』発売~❤ これでようやく私の写真が、写真がぁ~❤」 アイゼン「……ま、今回でアンタの出番終わりだけどね……」 フブキ「え?」 アイゼン「……多分次は私の写真。……それも比較的更新は早いと見た」 フブキ「………(ぼーぜん)」 アイゼン「……ふふん(何故か勝ち誇るアイゼンさん)」 Web拍手 WEB拍手を「猫と仔猫(以下略)」のお礼画面に差し替え。 メッセージログにて、WEB拍手へのお返事を行っていました。 著:ALC あらすじ 敷地面積日本最大級のとある神姫センター。 そこで繰り広げられるバトルにはちょっとした特色があって・・・。 多人数参加型のバトルロイヤルを舞台にキワモノ神姫が目白押し。 高校生、島田祐一とストラーフのアイゼンを中心... -
第11話 探索の果てに
「ここか」 俺達がビーコンの信号を頼りに電車とバスを乗り継いでたどり着いたのは、港湾地域の貸倉庫街だ。 この一帯は神姫ユーザーには【貧民街】(スラム)、ないし【無法地帯】(ロウレス)などと呼ばれている。 由来は読んで字のごとく。無法バトルが行われる温床となっているのだ。 とはいえ、無法と言ってもそれは日本の法律ではなく、飽くまでMMS管理機構の提示するオフィシャルルールに依るものでない、というだけもの。そのため警察は何かしらの被害届でもない限り動くことはできず、大体の被害者は裏バトルであることをわかっていて参加しているため、泣き寝入りすることになる。結果誰の手出しもできない状況が出来上がったわけだ。 ――しかし、十二月ごろに、このあたりで違法神姫バトルをつぶしまくった謎のシスター型神姫がいたらしく、最近は最盛期ほど危険ではないらしい。もちろん、油断ができるほどでは... -
第2話:駿足
「このままガンポッドとミサイルで削りきりゃこっちの勝ちだ、がんばれマイシスター!」 『エールは嬉しいけどそのマイシスターってのは違うとおもうよマイマスター!?』 「HAHAHAHAなんだい恥ずかしいのかいマイシスター、じゃあココは妹からランクアップしてマイワイフでどうだ」 『してない!ランクアップしてないから!?むしろそれはダメだよいろんな意味でっ!?』 『お、お前ら戦うか漫才するかどっちかにしろぉおお!』 相手さんのヴァッフェバニーが焦っている、こちらの弾幕をギリギリで凌ぎながら。 そりゃぁそうだろう、シリアスな戦闘中にこんなやりとり、真面目なウサギさん型にはキツイだろうさ。 「ふふふ、かかったなウサ子ちゃんよ、コレが我が戦術『コントDEポン』だ。もはやオマエは逃げられないッ」 『違うでしょ!?戦術でも作戦でもなくてただノリと勢いでほざいてるだけでしょぉ!?』... -
第1章 狂犬(2)
判らなかった。訳が判らなかった。何が起きたのかも、“アレ”が何者であるのかも。ただ一つ、アトロが理解したのは、“アレ”がクロトを殺した事だけ。 「・・・っ!!!」 標準、射撃射撃連射連射。弾弾弾弾、強跳躍、回避。跳、疾走。 彼女の恐怖を撃ち払うように、次女ラケがアルヴォマシンガンを斉射する。謎の神姫は瞬時に跳び上がり、弾は石塀を叩くのみ。 「ラケ・・・?」 「・・・」 加速、飛翔、追跡。 ラケは、姉を叱咤するように一瞥して、下を駆ける敵の元へと飛び込む。 「私・・は・・・。くっ!! 私は姉じゃないか!!」 転向、急、加速飛翔。 出もしない涙を拭うように顔を擦り、死、恐怖、混沌、全て振り払うように【悪魔の翼】を最大に羽ばたかせる。そして、残る全ての為に、アトロは戦場へ飛び込んだ。 射撃射撃銃撃。弾弾、連射連射掃射。 「・・・・!!... -
第5話:紅黒決着
『キメろフラン!両断しろ!』 『いけぇムラクモ!お前の一撃叩き込んでやれ!』 「マスターの求めるものは、全て!」 「マイマスターの為にッ!」 オーナーの叫びが交差すると同時に、神姫たちが駆け出し、また、お互いの言葉が交差する。 紅い神姫は、手にしたリボルバーから大粒の弾を吐き出しながら、ホイールのうなりと共に。 黒い神姫は、左手でハンドガンを取り出しつつ、迫りくる銃弾を右手の大太刀で切り払いながら。 「なっ、あんな大きな刀を片手でッ!?」 『信じられねぇ、どういう間接してやがる!?オマケにスラッグを切り払うなんざ、どんなスキルだ!』 3発の銃声の後、専用ローダーで素早く弾を交換、青いショットシェルを詰め込む。 「鍛え方と、勝利への貪欲さが違うからさ!」 『勝つために培ってきた技と強化駆動系、ナメてもらっちゃ困るんだよ、三輪車が』 なおも飛来し続ける弾を切... -
第6話:少年少女
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁー……どうよ?ここまでくれば、連中も追ってこまい、けっけっけ」 「人を、はぁ、引っ張ったまま、ぜぇ、全力、はぁ、疾走するな、はぁ、はぁ、クソ、バカが、ぜぇ、はぁ」 走ること10分弱ほど、センターのある大きな通りを抜けて、商店と民家の並ぶ小さな通りへ。 そこにあるこじんまりとした喫茶店に二人は駆け込んだ。 ―――いや、少年が少女を引っ張り込んだというほうが正しいのかもしれないが。 「いーだろここ。馴染みの店なんだぜー」 「そんな、ぜぇ、ことは、はぁ、どうでも、いい……」 少女は未だ息を切らして、テーヴルの上に突っ伏していた。 「なんだい、オレより若いのにー。ダメだぜ?体力つけなきゃ」 「だま、れ……」 「全く、小学生がそんなんじゃイカンよー?サッカーとかもっとやらんとー」 少女がピクリ、と動いた。そしてゆらりと、起き上がり、男に視線を... -
第4話:紅銃×黒剣
そこはコンクリート片の散らばったハイウェイ、バックには崩れたビル街が広がる。 標識は朽ち果て、路面はヒビ割れ、空には厚い雲がかかり、憂鬱な色合いを醸し出している。 ステージはゴーストタウンバリエーションの一つ、ハイウェイ。 ステージ特殊条件はなし、うん、これなら思う存分走れる。 『どうよムラクモさん、いけそう?』 「ん、大丈夫。ヒビだらけだけど、ハイウェイだけに路面もしっかりしてるし」 ウォーミングアップに辺りを軽く走行する。風を切る感じが心地よい。 「とりあえず、どうくると思う?」 長いハイウェイを流しながら、マイマスターとの作戦会議。 『マッチングの時の情報じゃ、向こうは白兵型らしい。あんまり近づくとヤバイだろう』 「じゃあシルバーストーンとミサイルの遠距離からかな」 『だな、あとはガンポッドで弾幕張って接近させないことだ。こっちゃたいした格闘装備ない... -
第9話:高校と友人と
がやがやわいわいとざわめき立つ教室。 そりゃまぁ、めんどくさーいHRも終わり、これからやっとの放課後に相成るわけで。 腕伸ばしておしゃべりやら、したくもなるわなぁ。 でも、最近俺は即お帰りの超・帰宅部なわけですが。 もちろん、愛しのさっちゃんに会いに行くって大変なお題目があるからさッ。 さっちゃんとまさかの再開からそこそこ経ったわけだけど、段々笑顔が見え隠れしてきている気がする。 これが俺のおかげだったらいいなぁー、とか、すごい自惚れてみたいんだけど。 昔の、太陽みたいな笑顔と腰の入った右ストレートが懐かしい。 ……こればっかりは時間、かけるしかないよなぁ。 少しずつ近づいていこう。 「相沢ちゃーん、最近一人でどこいってるのぉー?」 カバンを手に、席を立った矢先、とっても聞き覚えのあるお声がひとつ。 「そうだぞ、こないだもゲーセンめぐり断... -
第3話:エンカウント
眼前にそびえるのはそこそこの大きさを持つビルディング。 神姫センターめぐりに、わざわざ電車を利用して遠出するあたり、私は大概バトルジャンキーなんだろう。 「ここなら満足できそうな相手、いそうだね」 フランドールが微笑みかける、うずうずしてたまらない意味での笑み。 「少しは、期待できるといいけどね」 ふん、と鼻を鳴らして、センターの中へ。 「うぃー、今日もやるぞぉー」 「マイマスターはその元気を少しは勉強に使ったらいいと思うんだ」 土曜日の午後、出入りのセンターにてドンパチはじめることにしました。 「なんだよー、勉強に精出したらムラクモちゃんとは遊べなくなるんだぞー、それでもいいのかー?」 「学生としてちゃんと生きようよっ!遊んでばっかじゃまた赤点ギリギリだよ!?」 「赤点じゃなきゃオッケー」 「オッケー、じゃないでしょぉおお!?」 食い下がるムラク... -
第1章 狂犬(2.5)
剛断粉砕、崩。 「・・・予想外ね。・・でも・・」 箱庭の“惨殺”、否、“破壊”。それを眺めていた闇が、呟く。 「2時・・・、アトロ達が仕事を終える頃か」 公園のベンチに独り座っていた男は、白い息を吐きながら呟く。傍らには少し薄汚れたミニバッグ。中身は、むき出しの現金に貴金属。 ・・・手口は簡単だった。論理プログラムに違法改造を施した神姫に勝手に盗みを働かせるだけ。自分は自宅にさえいればアリバイは成立。目立たない程度に少々の貴金属と紙幣だけ盗ませれば足が着く事もない。今彼は先んじて彼女らが盗んで隠していた盗品を回収し、後は隣町へ向かった彼女達を待つだけという、それはそれは優雅な時間を過ごしていた。 「そろそろ、通信を入れてやるか・・・」 通信、無音。 「・・・ん? 繋がらないのか?」 『本当に、いいご身分よねぇ』 闇... -
CL:第六話 恐怖の正体
前へ 先頭ページ 次へ 第六話 恐怖の正体 鶴畑屋敷の客部屋に入るなり、理音は外套を脱いでベッドにダイブした。ダブルほどの大きさの客用ベッドは、金持ちらしいふかふかのやわらかい造りをしていた。飛び込んだ瞬間理音の体が半分も沈んだのである。 しっかりと手入れしてあるから、埃がたつはずもない。 「やわらかぁい」 甘くたるんだ声を出して理音はベッドの上でもがいた。きっと寝返りを打とうとしたに違いないのだろうが、部屋の宙で浮かびながらダイビングの一部始終を呆れ顔で見ていたクエンティンの頭には、もがいた、という動詞しか浮かんでこなかった。 「そんな歳にもなって大人気ない」 「いいじゃないの。ベッドダイビングはいくつになっても楽しいものよ。それに」 やっとのことで仰向けになった理音。 「こんなベッドで寝られる機会なんて、今ぐらいし... -
第1日目
「俺とティアナの場合」 第1日目 ティアナがウチに来て2ヶ月と数週間。 4月の某日。今日は学校が始まる日だ。 しかし時計が指す時間は朝5時。早朝にもバイトをしている俺の朝は早く、たとえ始業式だろうと関係ない。 以前はもっと早く起きなきゃならなかったんだけど、今は5時半の出勤(?)で十分間に合う仕事になった。 まずはカーテンを開けてから部屋のTVをつけ、いつものチャンネルのアナウンサーの声を聞く。 なんでも今日は冷え込むらしい。ということで俺は昨日より厚めのジャンパーを羽織る。 そうしてやっとティアナを起こしにかかる。 「おい、ティアナ。朝だぞ!」 「…ぅ……ん………」 ティアナは気さくな性格であってもちゃんと礼儀はわきまえているし、ドジをふむということもない。 しかし唯一寝起きだけがとても悪い。 昨日は窓を開けて外の冷気で起こせたのだが、果たして今日も... -
日記その二 〈後編) それぞれの恐怖
「……無残だな…」 「……無残だねぇ~」 イベント会場であるバトルシステムがある中央ホールではなにやらバトルがおこなわれていた 片方は俺と同じく臨時神姫バトルレクチャー教室の先生役をしている雄也である となれば相手は生徒だよな? でもどう見たって… 「おされてるよなぁ~」 「おされてるよねぇ~」 そうなのだ、俺の目から見ずとも明らかに裕也のほうが劣勢なんだわ 「……手加減してんのか?」 ほんとにそうならレクチャー教室の先生役としては尊敬物だな ………俺は嫌だけど 「どうやらそうじゃないらしいよ?」 そういいながら俺たちの後ろにやってきたのはユーナだった 「あれ? ユーナ、久しぶり! どこいってたの?」 「ほんと久しぶりだぜアネキ、今回も外で客の呼び込みかとヒヤヒヤもんで…」 「なにいってんだ... -
第31話:THE TOWER
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第31話:THE TOWER 「……ちゃお」 「えらく軽い再会だな、おい?」 地下を守っていたアルアクランを、アイゼンとカトレアが撃破してから10分後。 プラントの海上第一層(一階)にて、アイゼンたちはそれぞれのマスターと合流を果たしていた。 「申し訳ありません。予定時刻に間に合いませんでした……」 与えられた任務を完遂できなかったカトレアが、京子の前に進み出る。 「……そちら側に被害などは無かったのでしょうか?」 「ああ、こちらは問題ない」 頷き、屈みこんでカトレアを掬い上げる京子。 「しかし……」 「?」 カトレアと、そして祐一によじ登っているアイゼンを交互に眺め、京子は眉を潜めた。 「……なんで二人ともズタボロなんだ?」 「……ん?」 「ええと……」 それぞれのマスターの肩の上で顔を見合わせる二人。... -
第7話:スタート・ポイント
「まさかねぇ、離れ離れになった二人が数年後に再開……ドラマチックじゃなぁい?」 「いやぁ、オレもそう思うんだぜマリコさん。まさかさっちゃんにまた会えるとはなぁ……」 「私だってまさかだ。アイツがこんなどうしようもないバカになってるあたりが余計にね」 三者三様、それぞれにコーヒーとケーキを嗜みながら、思い思いを口にする。 「なんだよー、バカだって悪くないよ、毎日楽しくやれるんだぜ?」 「だからって私はバカ呼ばわりなんかされたくない、そっち側には行かないよ」 軽口を叩きながらコーヒーを啜る晃、と。 フォークでガトーショコラを一口大に切り分け、口に運ぶ咲耶。 「あれからもっかい引越ししたからなー。そうか、新しい場所と昔いたとこって近いんだ」 スイッチを切り替えたように、カチリと突然話題が変わる。 「……みたいだね、2回も転居してるとは思わなかったけど」 チョコの甘さを上書き... -
第19話:メタルジャケット
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第19話:メタルジャケット 「~I m thinker. I could break it down ♪」 『ちょっと、ちゃんと索敵しているんでしょうね?』 筐体を通じて彼女だけに聞こえるマスターの声に、フォートブラッグは得意気に鼻を鳴らす。 「ふふん、こう見えても私の索敵能力は並みの神姫を凌ぐのです。その上、立地も良いとあっては敵を見逃すほうが難しいというもの」 『私が気にしてるのは、能力じゃなくて気構えと言うか、油断の有無と言うか……』 狙撃銃を構えつつ、遺棄されたビルの屋上に陣取っているフォートブラッグに、彼女のオーナーは溜息を漏らす。 「いつもながら心配性ですね。そんなに気を張らなくても、敵が近付いてくれば一目瞭然です。―――ほら」 『!!』 フォートブラッグの指した先に、複数の爆炎とマズルフラッシュ。 「どうやら既... -
第12話:夜の戦場(その5)
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第12話:夜の戦場(その5) 大気をも焼き尽くす閃光が奔り、周辺の下草が熱に焦げてゆく。 光条はレライナが盾にした岩を数秒間焙り、ようやく途絶えた。 「……冗談見たいな威力じゃな……」 軽口を叩きはするが、その実レライナにはいつもの余裕は無い。 流石にあのレーザーはマズイ。 「ふむ。威力はLC3の……。かるく倍と言った所か……?」 小さく呟くのは、神姫にとっては代表的な大型レーザー砲であるLC3レーザー。 アーンヴァルの標準装備の一つだが、神姫の武装としてはかなりの威力を誇る。 軽装の神姫ならば、一撃で戦闘不能になりかねないその威力は、如何なる神姫にも無視できるものではなく、そしてもちろんレライナがその例外と言うことも無い。 だが、その倍の威力と言うことは、倍のダメージを受けると言う事ではないのだ。 ... -
「邂逅」
第1話 「邂逅」 俺が求めたのは天使だったのに、やってきたのは悪魔だった。 事の起こりは今から約1年前。 念願のマイホームを購入した祝いにと、家族総出で旅行に行った帰り道。 飲酒運転のダンプがこっちの車の横っ腹に突っ込んで、両親と妹と弟……あっという間に家族全員あの世行き。 俺だけ命は助かったものの、病院で目が覚めた時には左の足が無くなっていた。 家族全部と足1本……それらと引き換えに俺の手元に残ったのは、4人分の生命保険と多額の慰謝料、それから真新しい一軒家。 20代半ばにして一生遊んで暮らせるだけの財産が手に入ったわけだが……さて、幸運なんだか不運なんだか。 何をするにも気力が沸かず、結局務めていた仕事も辞めた。 日がな一日マンガにTVにゲームに昼寝……悠々自適にボーっとするだけの時間を過ごしていた俺の目に留まったのは、何気なくつけていたTVから流れる映像だった。 ... -
第21話:夜明けの翼
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第21話:夜明けの翼 「ほほぅ、VR(バーチャル)は初めてなのだが表とあんまし変わんないのな~」 「僕は起動してからの一週間で、50時間は篭ってました」 はしゃぐマヤアのすぐ隣、感情の無い声で呟くセタ坊。 少し目がウツロで、虚空を見詰めている。 「……ますたー、止めて下さい、止めて下さい。……3時間以内に命中率100%にしないと尻尾引っこ抜くとか、マジ外道です」 「んゆ、セタ坊?」 「ぷち達も恐がってます、もう出来ません分りませんゴメンなさい許してください、わふぅ~っ!?」 「……むにに、セタ坊が壊けた」 『ふふ…。懐かしい思い出ね、もうあれから3ヶ月も経ったなんて……』 『いや。普通に神姫虐待でしょ、こういうの』 『雅さんの愛情は祐一君以外にはネジくれてますからねぇ、ははは』 『……ははは。じゃねぇよ』 「ダメです、... -
スロウ・ライフ 1話
トップへ 戻る 武装神姫。 人の持てる技術の粋を結集して作られた、機械仕掛けの御姫様。 そして、今私の目の前にいる小さな少女。 「主よ、一つ質問を許して貰えるか?」 セイレーン型武装神姫、エウクランテ。 「ええ、体重以外ならなんでも」 桃色の髪に赤い瞳を揺らす、小さな、とても小さな少女。 「感謝する。主はどういう目的で私を求めたのだ?」 まるで雛鳥のような純粋さを持つ少女。 「目的?」 まるで子供のような無垢な瞳を持つ少女。 「私は主の神姫だ。主の目的に沿った働きをするのが、私の役目なのだ」 まるで、ナイトのような忠義心を持つ少女。 私が貴女に求める事はただ一つ。 私が、貴女を必要とする理由はただ一つ。 「じゃあ、一つだけお願い出来る?」 「なんなりと、主」 「……私の家族になってくれる?」 貴女は笑った... -
第18話:きすみみ
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第18話:きすみみ 「ネコミミ、ネコミミ、ネコミミモード。ネコミミモードで~す♪」 戦場の空、レインディアバスターの上で陽気にはしゃぐマオチャオが居た。 『……いきなり何を口走ってんのよ、アンタ』 ぶっちゃけ、マヤアだった。 「うむ、今日のネコは少しワクワク全壊モードなのだよ浅葱クン」 『全壊?』 「ああ、間違い間違い。全開な、全開」 『口語で漢字を間違えられるのも、ある意味凄い事ですわね……』 会話でそれに突っ込める貴女ほどじゃありません。 『んで、そんなにご機嫌なのはどうしてですの?』 顔を顰めながら問う浅葱。 このバカネコがはしゃぐとロクナコトが無いのは経験則で熟知していた。 「うむ、今日のネコは新兵器と新奥儀の二本立て、そう。最早今までのネコとは違う生まれ変わった新・ネコ!! って言うかここはやはり英語で... -
第8話:high speed SAMURAI
「ようこそオレの部屋へ。まー狭いけど入ってくんねぃ!」 「マイマスターなんでそんなハンパに訛るのさ」 「いいだろー、そのくらいテンション高いんだよー」 「……なんでこんなことに」 「お邪魔しまーす」 彼女のオレのお部屋訪問、実はちょっち緊張。 いや、別にそーいうことするわけじゃないんだけどね? さて、どうしてこんなことになったと、言うと――― 「は?」 何いってんだコイツ、って顔された。ひどいっ、ひどいわっ。 「いやだから格闘戦のレクチャーとか、頼めない?」 なんとかしてオレは彼女に頼み込む。拝むようなポージングまでつくって。 「なんで、私がアンタにレクチャーしてやらなきゃいけないんだよ、倒すべき相手に」 ぶすーっとした顔で見上げられてる。そりゃまぁ、彼女の言うこともわかるけど…… 「わざわざ相手... -
第14話:ファンタズマ
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第14話:ファンタズマ 「取り敢えずは、現状を確認しておくわよ?」 島田雅がそう言って一同を見渡す。 「まず、事の起こりは土方真紀。製作者である彼女がCSCにウイルスを仕込んだところから始まっているわ」 「うん」 そう言って頷くのは、彼女の弟である島田祐一。 現状で最も真相に近い位置に居る少年だった。 「目的は良く分からないけど、ともかく彼女はCSCにウイルスを仕込んで、全ての神姫を破壊する準備を整えた……」 実行犯である土方京子の言から、黒幕が既に死亡している彼女の妹、土方真紀である事は判明していた。 「―――で、死亡する前に彼女は、姉である土方京子にイレギュラーへの対処を任せたのだと思うわ……」 本人は既に死亡している為、不測の事態へ臨機応変に対応する人物を必要とする筈だと言う雅の推察。 それが間違いだと言う事に... -
第15話:リ・インフォース
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第15話:リ・インフォース 「……で、見せたい物って何、祐一?」 「ああ、これなんだけどね……」 島田家に招かれたリーナと(特に理由も無く着いて来た)美空の前に、小さな箱が出された。 「……京子さんとの再戦まであと一週間ちょっと。だからそれまでに、アイゼンの新しい武器を作ろうと思うんだけどさ……」 そう言って祐一は箱を開ける。 「リーナの力を借りたい、手伝って欲しいんだ……」 そう言って祐一はそれを取り出した。 8月7日。 土方京子の予告した15日まであと……、8日。 それは同時に、天海神姫センターで行われる大会の日でもあった。 「ふ~ん、結構よく出来ているわね……」 そう言ってリーナが眺めるのは、神姫サイズのエアバイクだった。 フロート式で車輪の無いそれは、移動速度で劣るアイゼンの為に祐... - @wiki全体から「第1話:恐怖」で調べる