もしもふたり逢えたことに意味があるなら ◆xmpao6V6sI
「おおう、扉が勝手に開いた! 自動ドアとは人間界も進歩したものだのう!」
「はあ……」
「はあ……」
エリアBー10、博物館。
その入り口付近で騒いでいる、二人組がいた。
その入り口付近で騒いでいる、二人組がいた。
稼働する自動ドアを見て驚きの声を上げているのは、道士・太公望。
そして、その横にいるのは借金執事――もとい、今はただの借金野郎・綾崎ハヤテである。
太公望に向ける視線が、若干どころではなく冷めているように見えるのは、おそらく気のせいでは無いだろう。
太公望に向ける視線が、若干どころではなく冷めているように見えるのは、おそらく気のせいでは無いだろう。
太公望が、申公豹の知り合いであること。
太公望が、自分にとっての過去の人間であること。
太公望が、仙界――崑崙山脈に属する、道士であること。
それらについては道中、太公望の口から説明を受けたものの――そのすべてを、ハヤテは信じたわけではなかった。
半信半疑どころではない。
疑が九割九分を占めている。
太公望が、自分にとっての過去の人間であること。
太公望が、仙界――崑崙山脈に属する、道士であること。
それらについては道中、太公望の口から説明を受けたものの――そのすべてを、ハヤテは信じたわけではなかった。
半信半疑どころではない。
疑が九割九分を占めている。
(というか、そんな話をいきなり信じろって言う方が無茶なんだよな……漫画じゃあるまいし)
現代日本に住む高校生としては、極々普通の反応である。
しかし、話を信じたわけではないとは言っても、武器まで受け取ってしまった手前別れるわけにもいかず。
とりあえず害意は無さそうなので、博物館までの同行を受け入れたのだが。
しかし、話を信じたわけではないとは言っても、武器まで受け取ってしまった手前別れるわけにもいかず。
とりあえず害意は無さそうなので、博物館までの同行を受け入れたのだが。
(やっぱり、別れた方がよかったかなあ……)
自動ドアを見てはしゃぐ自称仙人の姿に、ハヤテは不安を募らせる。
と、そんなハヤテの心を見透かしたかのように、一転して落ち着いた様子で、太公望は言う。
と、そんなハヤテの心を見透かしたかのように、一転して落ち着いた様子で、太公望は言う。
「信じられぬか? わしが――おぬしにとっての過去の時代の人間だということを?」
「い、いえ、別に……」
「い、いえ、別に……」
見事に図星をつかれ、言い淀む。
そんなハヤテの様子を見て、実に愉快そうに笑う太公望。
そんなハヤテの様子を見て、実に愉快そうに笑う太公望。
「別に構わんよ――奇異の視線を向けられることなら、馴れておる」
それにしても随分と大きな建物じゃのう、とそんな言葉を続けて。
何も言えずに立ち尽くすハヤテを残して、ほいほいと太公望は館内に足を進めていく。
何も言えずに立ち尽くすハヤテを残して、ほいほいと太公望は館内に足を進めていく。
(……まあ、とりあえず当分はついていこうかな)
数瞬だけ考えて――ハヤテは、結局その後を追った。
◆
「ふむ……どうしたもんかのう」
十五分後。
とある展示室の長椅子に腰掛けて、考えを巡らせる太公望。
その近くに、ハヤテの姿はない。
とある展示室の長椅子に腰掛けて、考えを巡らせる太公望。
その近くに、ハヤテの姿はない。
「建物が大きいから、別れて探索すると決めたまではよかったが……」
入り口付近を見る限り、自分達より先に誰かが侵入した形跡はない。
鍛えているし、武器もあるから心配はいらないというハヤテの弁を信じて、太公望は別行動を選択したのだが。
鍛えているし、武器もあるから心配はいらないというハヤテの弁を信じて、太公望は別行動を選択したのだが。
「……すっかり迷ってしまったようじゃ」
博物館のあまりの入り組みように、完全に現在位置がわからなくなっていた。
「困ったのう……せめて地図でもあれば話は別なんじゃが」
デイバッグに入っていた地図には、無論こんな細かい所まで表記されてはいないし。
館内の案内板を見ようにも、そもそも案内板の場所がわからない。
他に客がいれば客の流れにそって進めば出られるのだろうが、太公望とハヤテしかいない今、その方法は取りようがない。
館内の案内板を見ようにも、そもそも案内板の場所がわからない。
他に客がいれば客の流れにそって進めば出られるのだろうが、太公望とハヤテしかいない今、その方法は取りようがない。
「だいたい、展示物に規則性が無いから迷うんじゃ……」
そう呟くと、太公望は展示室を見回す。
そこには奇妙なオブジェが、所狭しと並んでいた。
そこには奇妙なオブジェが、所狭しと並んでいた。
「帆船模型ゴーイング・メリー号…29期生卒業制作マーライオンホース…新型介護ロボット『8』…巨大鹿ナダレの剥製…少しは統一せいっちゅーに。
そうは思わんか、スープー?」
そうは思わんか、スープー?」
言ってから、この場に四不象がいないことに気付き、溜め息をつく。
「むむむ……あんなやつでもおらんと調子が狂うのう」
そういえばスープーは無事かのう、と今更ながらに太公望は考え始める。
自分があの場所に連れてこられてくる前、スープーは自分のそばにいた。
どうやってかは知らないが、自分が連れてこられた以上、スープーが無事である保証はないのだ。
自分があの場所に連れてこられてくる前、スープーは自分のそばにいた。
どうやってかは知らないが、自分が連れてこられた以上、スープーが無事である保証はないのだ。
「……いや、それはスープーに限った話ではないか」
ナタク、ヨウゼン、武吉に天祥。
こうして自分が拉致されている以上、彼らもまた、この場に来ている可能性はある。
こうして自分が拉致されている以上、彼らもまた、この場に来ている可能性はある。
「まあ、その時はわしが働かずに済むからオールオッケーじゃがのう!」
そう言って、太公望はニョホホと笑う。
ニョホホと笑って――ふと真剣な顔に戻り、呟く。
ニョホホと笑って――ふと真剣な顔に戻り、呟く。
「申公豹よ……わしのような道士や、ハヤテのような未来の人間を集めて、何を考えておる?」
ここにいない首謀者の一人に、尋ねるように。
「おぬしが享楽でこのようなことをする奴では無いのは理解しておる……おぬし、何を企んでおるのだ?」
しかし、その問に答えが返ってくることは無く。
部屋には太公望と、静寂のみが残された――
部屋には太公望と、静寂のみが残された――
◆
一方、太公望のいるのとは別の展示室。
その部屋に展示されていたものを見て――綾崎ハヤテは絶句した。
そこにあったのは、豪華な装飾で周囲を彩られた、巨大な水鏡。
それは、ハヤテにとってはただの豪華な水鏡というだけではなかった。
そこにあったのは、豪華な装飾で周囲を彩られた、巨大な水鏡。
それは、ハヤテにとってはただの豪華な水鏡というだけではなかった。
「なんで……なんでこれがこんな場所に!?」
手に持った荷物を投げ捨てて水鏡に駆け寄り、
そこにあるものが自分の知るそれと同一のものであることを認識して。
ハヤテは困惑し、ただ水鏡の名を叫ぶ。
そこにあるものが自分の知るそれと同一のものであることを認識して。
ハヤテは困惑し、ただ水鏡の名を叫ぶ。
「――天球の鏡!」
天球の鏡。
王族の庭城を訪れた幼き日のハヤテに、天王洲アテネが見せた、
使用者の知る人間の姿をその水面に映す、魔法の鏡。
この世の全てを見下ろす、神の瞳。
王族の庭城を訪れた幼き日のハヤテに、天王洲アテネが見せた、
使用者の知る人間の姿をその水面に映す、魔法の鏡。
この世の全てを見下ろす、神の瞳。
本来、このような場所にあるはずの無いものだった。
このような場所にあってはならないものだった。
このような場所にあってはならないものだった。
しかしハヤテはそれがここにあるという事実の意味を考えるよりも早く――
「本当に天球の鏡なら――アテネを、アーたんを、映して!」
天王洲アテネの姿を――探し求めてきた彼女の姿を、鏡に求めた。
自分の失敗から、永遠に別れることとなってしまった彼女の姿を。
何度もう一度会いたいと、謝りたいと願ったかもわからない、彼女の姿を。
何度もう一度会いたいと、謝りたいと願ったかもわからない、彼女の姿を。
しかし――鏡は一向に、ハヤテ以外の誰の姿も映そうとはしない。
やがて、ハヤテの瞳が壁に貼られた説明書きのパネルを認識する。
「天球の鏡……自分の知る人の姿をその水面に映す、魔法の鏡……。見れるのは姿のみで、声は聞けない……」
震える声で、ハヤテはそこに書かれた文字を読み進めていく。
「……ただし、これは複製ですのであしからず……。そんな……」
ようやく見つけた、アーたんの手掛りだったのに。と、ハヤテの膝が、冷たい床に触れる。
探し続けてきた青い鳥は、また、自分の手の中から飛び去ってしまったのかもしれない。
自分はこれから先、青い鳥の居場所もわからないままに、ここで殺されてしまうのかもしれない。
そんな絶望感に支配されかけて――ハヤテは思い出す。
探し続けてきた青い鳥は、また、自分の手の中から飛び去ってしまったのかもしれない。
自分はこれから先、青い鳥の居場所もわからないままに、ここで殺されてしまうのかもしれない。
そんな絶望感に支配されかけて――ハヤテは思い出す。
『そんな運命、ぶっ壊してやる!』
ほんの数十分前に、自らが立てた誓いを。
絶対にこんな殺し合いなんかで死ぬものかと、運命と闘おうと決意した宣言を。
絶対にこんな殺し合いなんかで死ぬものかと、運命と闘おうと決意した宣言を。
「そうだ……こんなところで絶望してるようじゃ、運命なんて壊せない。
天球の鏡だって……元はと言えば、アーたんの手掛りなんてゼロだったんだ。でも、今は違う!」
天球の鏡だって……元はと言えば、アーたんの手掛りなんてゼロだったんだ。でも、今は違う!」
ハヤテの瞳に光が戻る。
「あいつらなら――この博物館を用意した、天球の鏡を知っているあいつらなら、アーたんについて何か知ってるはずだ!
それなら僕は――」
それなら僕は――」
「あいつらを倒して、アーたんのことを聞き出してやる!」
(だって僕は――アーたんの、天王洲アテネの執事だから!)
少年は、決意を新たにする。
必ず己に課せられた運命を打開するという、決意を。
必ず己に課せられた運命を打開するという、決意を。
今再び少年は――執事へと戻った。
――執事 それは仕える者。
――執事 それはかしずく者。
――執事 それは主の生活すべてをサポートするフォーマルな守護者。
――そう、これは一人の少女のため、命をかけて闘う少年の、超コンバットバトルロワイアルストーリーなのである。
Hayate the combat butler START!
【B-8/博物館/1日目 深夜】
【太公望@封神演義】
[状態]:健康
[装備]:太極符印@封神演義
[道具]:支給品一式、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×1@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:殺し合いを潰し、申公豹を倒す。
1:ハヤテと博物館を探索する。
2:申公豹の目的は……?
[備考]
※殷王朝滅亡後からの参戦です。
※手配書は渡されただけで詳しく読んでいません。
※ハヤテと情報交換をしました。
[状態]:健康
[装備]:太極符印@封神演義
[道具]:支給品一式、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×1@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:殺し合いを潰し、申公豹を倒す。
1:ハヤテと博物館を探索する。
2:申公豹の目的は……?
[備考]
※殷王朝滅亡後からの参戦です。
※手配書は渡されただけで詳しく読んでいません。
※ハヤテと情報交換をしました。
【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
[状態]:健康
[服装]:トレーナーとジーンズ(第1話終了時の服装です)
[装備]:銀時の木刀@銀魂
[道具]:支給品一式、若の成長記録@銀魂、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×2@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:運命と戦う、主催を倒す
1:太公望と博物館を探索する
2:西沢さんを含めた友人達が心配
3:出来ればヴァッシュを捕まえて賞金を手に入れたい
4:少年(火澄)の言っていた『歩』は西沢さんなのか、東城歩って人のことなのか、それとも他の歩という名前の人なのか……?
5:金髪でツインテールの少女(ナギ)が心配
[備考]
※第1話直後からの参戦、つまりまだナギの執事となる前です。
※参戦時期からわかる通り、西沢・ナギ以外のハヤテキャラとの面識はありません。また、ナギも誘拐しようとした少女としか認識していません。
※太公望と情報交換をしました。また、その際に封神演義の世界についておおまかなことを聞きました。ただし、そのことについては半信半疑です。
※博物館の展示品から、主催が天王洲アテネについて何か知っていると考えています。
※博物館には、各作品出展の物品が展示されているようです
[状態]:健康
[服装]:トレーナーとジーンズ(第1話終了時の服装です)
[装備]:銀時の木刀@銀魂
[道具]:支給品一式、若の成長記録@銀魂、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×2@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:運命と戦う、主催を倒す
1:太公望と博物館を探索する
2:西沢さんを含めた友人達が心配
3:出来ればヴァッシュを捕まえて賞金を手に入れたい
4:少年(火澄)の言っていた『歩』は西沢さんなのか、東城歩って人のことなのか、それとも他の歩という名前の人なのか……?
5:金髪でツインテールの少女(ナギ)が心配
[備考]
※第1話直後からの参戦、つまりまだナギの執事となる前です。
※参戦時期からわかる通り、西沢・ナギ以外のハヤテキャラとの面識はありません。また、ナギも誘拐しようとした少女としか認識していません。
※太公望と情報交換をしました。また、その際に封神演義の世界についておおまかなことを聞きました。ただし、そのことについては半信半疑です。
※博物館の展示品から、主催が天王洲アテネについて何か知っていると考えています。
※博物館には、各作品出展の物品が展示されているようです
時系列順で読む
Back:扉を開いたらまた次の扉 Next:出会って別れて
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Back:扉を開いたらまた次の扉 Next:そばにいる たとえどんなに哀しい夢だとしても
| 034:序章の始まり | 綾崎ハヤテ | 044:地獄とは神の在らざることなり(前編) |
| 034:序章の始まり | 太公望 | 044:地獄とは神の在らざることなり(前編) |