そばにいる たとえどんなに哀しい夢だとしても ◆xkf1s1CVio
街灯に照らされた夜の市街地を一人の男と一人の少女が歩いていた。
周囲に人の気配はなく、不気味なほどの静寂が二人を包み込んでいる。
動いている者は二人だけ、音をあげている者も二人だけ。
二人は勘を頼りに、無人の市街地をただひたすらに進み続けている。
周囲に人の気配はなく、不気味なほどの静寂が二人を包み込んでいる。
動いている者は二人だけ、音をあげている者も二人だけ。
二人は勘を頼りに、無人の市街地をただひたすらに進み続けている。
「そういえば、銀さんは武器の確認しました?」
声を掛けたのは少女・沙英の方であった。
早々に信頼できそうな人に出会えたからか、その表情や口調は殺し合いの場に似つかわしくない程落ち着いていた。
早々に信頼できそうな人に出会えたからか、その表情や口調は殺し合いの場に似つかわしくない程落ち着いていた。
「そういやしてねーな。何? 核兵器とか入ってんの?」
対する男―――坂田銀時はやる気の欠片も感じられない瞳を前に送ったまま口を開く。
口調もその内容も軽々しく沙英は苦笑いを浮かべてしまう。
口調もその内容も軽々しく沙英は苦笑いを浮かべてしまう。
「さすがにバズーカは入ってないと思いますけど……」
「あ、あれも良いな。キモい格好したピエロが持ってた奴。あのバリバリ雷だす。あれあったら銀さん無双見せちゃうんだけどなー」
「あ、あれも良いな。キモい格好したピエロが持ってた奴。あのバリバリ雷だす。あれあったら銀さん無双見せちゃうんだけどなー」
銀時としては何気ない、場を和ます為のジョークを含んだ一言。
だが口にして直ぐに銀時は自分の発言の誤りに気付いた。
やっちまった、という表情を浮かべ前方に向けられていた視線を沙英の方へと移す。
そこには銀時の予想通り青ざめた表情で俯く沙英の姿があった。
だが口にして直ぐに銀時は自分の発言の誤りに気付いた。
やっちまった、という表情を浮かべ前方に向けられていた視線を沙英の方へと移す。
そこには銀時の予想通り青ざめた表情で俯く沙英の姿があった。
「……あー、その、悪かった。さっきの発言は考え無しすぎた。全面的に俺が悪ぃ、マジですまん」
確かに沙英は、一般人とは思えない程に落ち着いていた。
シチュエーションがシチュエーションだったからかもしれないが銀時と遭遇した
時も、驚愕はしていたが恐怖を覚えている様子はなかった。
彼の周りにいる騒がしく落ち着きのない仲間達とは全く違う、冷静で大人しい少女。
目の前の少女をそう認識していたからこそ、銀時も口を滑らせてしまった。
シチュエーションがシチュエーションだったからかもしれないが銀時と遭遇した
時も、驚愕はしていたが恐怖を覚えている様子はなかった。
彼の周りにいる騒がしく落ち着きのない仲間達とは全く違う、冷静で大人しい少女。
目の前の少女をそう認識していたからこそ、銀時も口を滑らせてしまった。
銀時だって気付いている。
沙英はただの一般人なのだ。
争い事や殺し合いなどからかけ離れた生活を送っていた、平凡な一般人。
銀時と出会ってなければ、恐慌状態に陥っていても何らおかしくない少女だ。
ただ開始早々、こんな状況にも関わらずエロ本を読んでいるバカな男に会えたから、落ち着きを取り戻す事ができた。
だが、それで恐怖が消えた訳ではない。
表に出さないだけで、彼女だって恐怖心を抱えている。
沙英はただの一般人なのだ。
争い事や殺し合いなどからかけ離れた生活を送っていた、平凡な一般人。
銀時と出会ってなければ、恐慌状態に陥っていても何らおかしくない少女だ。
ただ開始早々、こんな状況にも関わらずエロ本を読んでいるバカな男に会えたから、落ち着きを取り戻す事ができた。
だが、それで恐怖が消えた訳ではない。
表に出さないだけで、彼女だって恐怖心を抱えている。
そう、沙英は覚えているのだ―――目の前で男が黒こげになって死んだ事を、爆発した首輪により絶命した少女の姿を、黒こげの死体から流れてきたあの臭いを、
あの強烈な閃光を、吹き飛ばされた首から真紅が噴き出す瞬間を……。
銀時に―――信頼できる人に出会えた幸運が、沙英の心を平穏に押し留めていたのだ。
あの強烈な閃光を、吹き飛ばされた首から真紅が噴き出す瞬間を……。
銀時に―――信頼できる人に出会えた幸運が、沙英の心を平穏に押し留めていたのだ。
だが銀時の一言は少女に先の光景を思い出させてしまった。
一度思い出してしまったらもう止まらない。
必死に抑えていた恐怖心が急速に拡大し、平常心と虚栄心を呑み込んでいく。
一度思い出してしまったらもう止まらない。
必死に抑えていた恐怖心が急速に拡大し、平常心と虚栄心を呑み込んでいく。
「おい、大丈夫か? おい!」
気付けば沙英の体は震えていた。
両腕で自身の体を抱き締めるが、一向に止まる気配はない。
ガチガチという歯のぶつかり合う音が、頭蓋を通して鼓膜を揺らす。
黒こげになった男の死体と血を噴出させる首無し死体のビジョンが、脳内を埋め尽くす。
異常なまでに呼吸が早くなり、体中から冷や汗が噴き出す。
止まらない。
止められない。
身体が言う事を聞いてくれない。
怖い。
怖い。
怖い。
自分も死んでしまうのか。
あの男の人のように身体を焼かれて、あの女の人のように首輪を爆発させられて、自分も―――死ぬ?
両腕で自身の体を抱き締めるが、一向に止まる気配はない。
ガチガチという歯のぶつかり合う音が、頭蓋を通して鼓膜を揺らす。
黒こげになった男の死体と血を噴出させる首無し死体のビジョンが、脳内を埋め尽くす。
異常なまでに呼吸が早くなり、体中から冷や汗が噴き出す。
止まらない。
止められない。
身体が言う事を聞いてくれない。
怖い。
怖い。
怖い。
自分も死んでしまうのか。
あの男の人のように身体を焼かれて、あの女の人のように首輪を爆発させられて、自分も―――死ぬ?
「おい! こっち見ろ、コラ! てか見て下さい! そんなに無視しちゃうと銀さん泣いちゃうよ! 二十半ばの男が大声あげて泣いちゃうよ!? お願いだからこっち見てぇぇえええええええ!」
頭上から響く銀時の怒鳴り声に沙英もようやく反応を見せた。
青ざめ冷や汗に染まった顔をノロノロと挙げ、銀時に向ける。
そこに、数分前までの活発げな様子は何処にもない。
恐怖に心を支配された少女が、ただ一人震えている。
その恐怖に染まりきった表情に銀時も顔を歪めてしまう。
青ざめ冷や汗に染まった顔をノロノロと挙げ、銀時に向ける。
そこに、数分前までの活発げな様子は何処にもない。
恐怖に心を支配された少女が、ただ一人震えている。
その恐怖に染まりきった表情に銀時も顔を歪めてしまう。
「ぎ、銀さん……私、怖いんです……みんなと……ヒロと……もう会えないんじゃないかって……死んじゃうんじゃないかって……そう考えると……怖くて……怖くて……震えが……止まら……ない……」
銀時は自身の軽はずみな発言に後悔と怒りを覚えていた。
この発言をした相手が新八や神楽であれば、冴えないツッコミや殺人級のドツキが返ってきてそれで終わりだった筈。
だが、この少女はそこまで図太い人間ではない。
それはしっかりと理解していた筈なのに……銀時はハチャメチャな日常で身に付けてしまったボケ癖を初めて恨めしく思った。
この発言をした相手が新八や神楽であれば、冴えないツッコミや殺人級のドツキが返ってきてそれで終わりだった筈。
だが、この少女はそこまで図太い人間ではない。
それはしっかりと理解していた筈なのに……銀時はハチャメチャな日常で身に付けてしまったボケ癖を初めて恨めしく思った。
「死にたくないんです……みんなとまた楽しくお喋りしたい……みんなとまたプールに行ったり、動物園に行ったりしたい……死にたくない……死にたく、ない……!」
そう言葉を絞り出すと少女はそのまま泣き崩れてしまった。
銀時は、少女を元気づける方法を必死に考える。
殆ど……というか完璧に自分のせいで追い込んでしまった少女。
この状況には、流石の銀時にも罪悪感が芽生える。
だからこそ、必死に考える。
少女を元気づける方法を。
これまでの人生に無かった程に頭を働かせて、必死に言葉を探し、そして文章を組み立てる。
銀時は、少女を元気づける方法を必死に考える。
殆ど……というか完璧に自分のせいで追い込んでしまった少女。
この状況には、流石の銀時にも罪悪感が芽生える。
だからこそ、必死に考える。
少女を元気づける方法を。
これまでの人生に無かった程に頭を働かせて、必死に言葉を探し、そして文章を組み立てる。
(…………出てくる訳ねぇだろうがぁぁぁああああああ! こちとら二十数年彼女無しなんだぞぉぉおおおお! ここですんなり言葉が出たら彼女の一人や二人できてるわぁぁぁああああああああああああ!!)
だが現実は非情である。
ここで気の良い台詞が出て来ない辺りがやはり銀時と言うべきか。
兎にも角にも言葉が詰まり、少女のすすり泣く音だけが場を占めてしまう。
銀時は所在なさげに頭を掻き、落ち着きなく周囲をキョロキョロと見渡す。
自分の一言が一人の少女を此処まで追い込んでしまった……その事実が普段の彼からは考えられない程の焦りを産み出す。
焦燥感と罪悪感……普段のダメ人間まっしぐらの彼からは程遠い二つの感情がせめぎ合う。
ここで気の良い台詞が出て来ない辺りがやはり銀時と言うべきか。
兎にも角にも言葉が詰まり、少女のすすり泣く音だけが場を占めてしまう。
銀時は所在なさげに頭を掻き、落ち着きなく周囲をキョロキョロと見渡す。
自分の一言が一人の少女を此処まで追い込んでしまった……その事実が普段の彼からは考えられない程の焦りを産み出す。
焦燥感と罪悪感……普段のダメ人間まっしぐらの彼からは程遠い二つの感情がせめぎ合う。
「な、泣くんじゃねえ! ま、守ってやっから! お前を、いやお前だけじゃねぇ、ヒロって友達も、お前も、全員!
俺が、命を賭けて! な? だ、だから泣かないで、な、お願いだからぁぁああああああ!」
俺が、命を賭けて! な? だ、だから泣かないで、な、お願いだからぁぁああああああ!」
結果、生じるパニック現象。
真っ白な脳内で、ただ少女を元気付けようと吐いた言葉。
だが、その真摯な叫びは―――いや真摯な叫びだからこそか、絶望に怯える少女へ届いた。
真っ白な脳内で、ただ少女を元気付けようと吐いた言葉。
だが、その真摯な叫びは―――いや真摯な叫びだからこそか、絶望に怯える少女へ届いた。
「……ほ、本当ですか……?」
「へ? な、何が?」
「……守ってくれるって……」
「へ? な、何が?」
「……守ってくれるって……」
その時、少女の表情に久方振りの光が射した。
チャンス。これは銀時にしてみれば渇望の瞬間であった。
チャンス。これは銀時にしてみれば渇望の瞬間であった。
「お、おうよ、この銀時さんに任せときなさい! あんな悪趣味変態ピエロやガングロ幼女なんて俺がチョチョイのちょいと、片手でぶっ飛ばしてやるから!
だから、泣かないでぇぇぇぇええええええ!」
だから、泣かないでぇぇぇぇええええええ!」
返答の暇を与えぬ言葉のマシンガン。
ただひたすらに少女に元気が戻る事を願っての言葉の数珠。
逆に涙目になりつつある銀時の必死の形相。
その数々は――
ただひたすらに少女に元気が戻る事を願っての言葉の数珠。
逆に涙目になりつつある銀時の必死の形相。
その数々は――
「……ありがとう、ございます……」
――遂に少女を恐怖の支配から解放する。
少女は笑っていた。
両の瞳から涙をこぼしながら、それでも満面の笑みを浮かべ銀時を見つめていた。
それは銀時が待ち望んでいた笑顔。
自分のせいで失わせてしまった笑顔が再び少女の顔に浮かんでいた。
少女は笑っていた。
両の瞳から涙をこぼしながら、それでも満面の笑みを浮かべ銀時を見つめていた。
それは銀時が待ち望んでいた笑顔。
自分のせいで失わせてしまった笑顔が再び少女の顔に浮かんでいた。
「……いや、ホント悪かったな。俺も不用心すぎたわ」
「良いですよ、別に。もう気にしてませんから」
「良いですよ、別に。もう気にしてませんから」
それから数分後、銀時と沙英の二人は再び市街地を歩き始めていた。
銀時は何時も通りのやる気の感じられない表情で、沙英もまた何時も通りの活発な表情で、市街地を進んでいく。
銀時は何時も通りのやる気の感じられない表情で、沙英もまた何時も通りの活発な表情で、市街地を進んでいく。
「まぁ、あんま気張んねーで、七面倒な事は全部俺みてぇな大人に押し付けちまえば良いんだよ。
んでガキはガキらしく、帰った後に友達と何して遊ぶか考えてゃあ良い。お前みたいなガキが泣いてまで悩む事なんてねーんだ」
んでガキはガキらしく、帰った後に友達と何して遊ぶか考えてゃあ良い。お前みたいなガキが泣いてまで悩む事なんてねーんだ」
だが一つだけ変わっているものもある。
それは銀時の瞳。
先程までの死んだ魚のような濁った目はもうそこにはない。
その昔、国を守る為に戦った侍の―――全てを守り通す男の目がそこにはあった。
それは銀時の瞳。
先程までの死んだ魚のような濁った目はもうそこにはない。
その昔、国を守る為に戦った侍の―――全てを守り通す男の目がそこにはあった。
【I-8/市街地/1日目 黎明】
【沙英@ひだまりスケッチ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、不明支給品(0~2)
[思考・備考]
1:銀さんと協力して、ヒロを見つけたい。
【沙英@ひだまりスケッチ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、不明支給品(0~2)
[思考・備考]
1:銀さんと協力して、ヒロを見つけたい。
【坂田銀時@銀魂】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、大量のエロ本、不明支給品(0~2)
[思考・備考]
1:沙英を守りながら、ヒロを探すのを手伝う
2:ヒロを見つけたら、二人を守る
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、大量のエロ本、不明支給品(0~2)
[思考・備考]
1:沙英を守りながら、ヒロを探すのを手伝う
2:ヒロを見つけたら、二人を守る
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| 023:なんだかんだで第一印象は結構大事 | 沙英 | 049:バトロワは人生の縮図である |
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