出会って別れて ◆Nfn0xgOvQ2
深夜の市街地を一人の少女がただ只管に駆ける。
自分が頼れる仲間達を求め、当ても無く……。
自分が頼れる仲間達を求め、当ても無く……。
「…って、私は何処に向かうつもりなのよ!!」
少女の突っ込みが虚しく木霊する。
自分がどこに向かうのかも決めてなかった事、そしてこの舞台がどんな所であるか確認してなかった事に気付き、デイパックから地図を取り出そうとする。
ガサゴソとディパックを漁ると、まず出て来たのは白紙の名簿。
今は別に気にする必要も無いと思い、地図を探す為に脇にどけようとして思いとどまる。
これが神様を決める戦いの延長だとしたら、そもそも名簿を何故白紙にする必要があるのか?
三次選考でバロウチームとの戦いが終わった今、自分のチーム以外の20人の顔と名前と能力は既に把握済み。
自分がどこに向かうのかも決めてなかった事、そしてこの舞台がどんな所であるか確認してなかった事に気付き、デイパックから地図を取り出そうとする。
ガサゴソとディパックを漁ると、まず出て来たのは白紙の名簿。
今は別に気にする必要も無いと思い、地図を探す為に脇にどけようとして思いとどまる。
これが神様を決める戦いの延長だとしたら、そもそも名簿を何故白紙にする必要があるのか?
三次選考でバロウチームとの戦いが終わった今、自分のチーム以外の20人の顔と名前と能力は既に把握済み。
(…あれ、そういや李崩の能力ってなんだっけ?)
訂正、一名の能力以外把握済み。
そんな現状で、名簿を白紙にする意味は?
まず考えられるのは、チーム全員が参加している訳じゃ無い。
……これはどうなんだろうか、確かにあり得るが特に意味のないような。
そうなると、もともと一人しかいないアノンと李崩は強制参加になる上、最悪…
そんな現状で、名簿を白紙にする意味は?
まず考えられるのは、チーム全員が参加している訳じゃ無い。
……これはどうなんだろうか、確かにあり得るが特に意味のないような。
そうなると、もともと一人しかいないアノンと李崩は強制参加になる上、最悪…
(下手すると、植木チームからの参加って私一人だけ可能性もあり?)
最悪の展開を予想して、森の顔は真っ青になった。
孤立無援で死亡、そんな未来がありありと想像できてしまう。
孤立無援で死亡、そんな未来がありありと想像できてしまう。
「い、いいい、いくらなんでもそんな事はありえないよね」
ブルブルと首を横に振り虚勢を張るが、明らかにその声は震えていた。
その予想を覆すべく、何か他の理由が無いか必死で知恵を巡らせる。
その予想を覆すべく、何か他の理由が無いか必死で知恵を巡らせる。
(―っ、そうだ、名前)
この殺し合いの説明の時に殺されてしまった人の名前、麻子とミズシロの二つ。
三次選考の中にこの二つの名前と、同じ名前の人物はいなかった。
つまりそれは、一次選考での脱落者もしくはこの殺し合いで新たに参加する事になった能力者がいる、それを気付かせない為に名簿が白紙になっている。
それだ! とばかりに森の顔が綻ぶ。
始めの考察が最悪過ぎた為に、十分に納得できる次の考察を確定事項にしてしまう森。
最も両方とも正しくないのだが、そんな事森が知る由も無かった。
三次選考の中にこの二つの名前と、同じ名前の人物はいなかった。
つまりそれは、一次選考での脱落者もしくはこの殺し合いで新たに参加する事になった能力者がいる、それを気付かせない為に名簿が白紙になっている。
それだ! とばかりに森の顔が綻ぶ。
始めの考察が最悪過ぎた為に、十分に納得できる次の考察を確定事項にしてしまう森。
最も両方とも正しくないのだが、そんな事森が知る由も無かった。
名簿の考察が一段落つくと、ディパックの中を漁り地図を見つけ出す
まずは自分の現在位置を確認する。
自分が居るのはI-6とI-7の境目辺りだろうか、近くにはデパートがある。
まずは自分の現在位置を確認する。
自分が居るのはI-6とI-7の境目辺りだろうか、近くにはデパートがある。
「佐野や鈴子ちゃんなら、ここに向かってくるかもしれないよね」
神様を決める戦いに選ばれた中学生、彼らに与えられた異能『変える能力』。
何かを何かに変えるであるのなら、元になる物が必要になるのは当然の事。
最も、中にはヒデヨシの声を似顔絵に変える能力の様に、自前で直に用意できる物もあるが。
だが鈴子のビーズを爆弾に変える能力も、佐野の手ぬぐいを鉄に変える能力もそうはいかない。
後者の場合は民家を何件か漁れば、それなりの量の手ぬぐいを確保できるだろう。
しかし前者であるビーズは、流石に民家にあるとは限らない。
だがデパートならば確実にある。
ビーズや手ぬぐいがそれぞれに支給されているどうか分からない。
なら、デパートの近くに居る自分がある程度確保しておけば、合流した時に皆の戦力もぐっと上がるはず。
そう考えて森は気がついた、そういや自分には何が支給されたんだろう? と。
そう考えてディパックを漁った所、出て来たのは棒状の物体。
武器には見えなくもない……、それなりにリーチがある事から剣の代わりに出来そうだ。
元々殺し合いに乗るつもりのない森にすれば、日本刀が出てくるよりはましであった。
これならばよほど当たり所が悪くないかぎり、相手を殺してしまう事は無いから。
何かを何かに変えるであるのなら、元になる物が必要になるのは当然の事。
最も、中にはヒデヨシの声を似顔絵に変える能力の様に、自前で直に用意できる物もあるが。
だが鈴子のビーズを爆弾に変える能力も、佐野の手ぬぐいを鉄に変える能力もそうはいかない。
後者の場合は民家を何件か漁れば、それなりの量の手ぬぐいを確保できるだろう。
しかし前者であるビーズは、流石に民家にあるとは限らない。
だがデパートならば確実にある。
ビーズや手ぬぐいがそれぞれに支給されているどうか分からない。
なら、デパートの近くに居る自分がある程度確保しておけば、合流した時に皆の戦力もぐっと上がるはず。
そう考えて森は気がついた、そういや自分には何が支給されたんだろう? と。
そう考えてディパックを漁った所、出て来たのは棒状の物体。
武器には見えなくもない……、それなりにリーチがある事から剣の代わりに出来そうだ。
元々殺し合いに乗るつもりのない森にすれば、日本刀が出てくるよりはましであった。
これならばよほど当たり所が悪くないかぎり、相手を殺してしまう事は無いから。
「よしっ、これなら一応私でも戦え……ないよねやっぱり」
相手がただの一般人なら、当たりではないものの外れでもない支給品だろう。
だが、相手が天界人や能力者などの常識を逸した存在では、ただの棒では話にならない。
そこで森は、自分の握っている棒状のものに張り付けてある、一枚の紙に気がついた。
何だろうと思い、手を伸ばそうとして……
だが、相手が天界人や能力者などの常識を逸した存在では、ただの棒では話にならない。
そこで森は、自分の握っている棒状のものに張り付けてある、一枚の紙に気がついた。
何だろうと思い、手を伸ばそうとして……
「もしかして、そこにいるのは森か?」
声をかけられ振り向くと、そこには自分の探していた人物の一人、植木耕介が立っていた。
▽
「―にしてもまずいなこの果物」
それから約二年後、人間界において繁華街の人間により、人間界の人々の大切な人の記憶が入った、『キューブ』と呼ばれる物が盗まれると言う事件が発生した。
キューブ自体は、自称『犬』である羊のウールの中に封印され、元に戻すには繁華街の唯一絶対の聖地メガサイトと呼ばれる場所へ行く必要があった。
繁華街と言っても、パッと頭に思い浮かぶような繁華街の事ではない。
キューブ自体は、自称『犬』である羊のウールの中に封印され、元に戻すには繁華街の唯一絶対の聖地メガサイトと呼ばれる場所へ行く必要があった。
繁華街と言っても、パッと頭に思い浮かぶような繁華街の事ではない。
植木の住む世界、それは人間界・天界・地獄界からなる三界。
それとは元々は一つであったが、遥か昔に三界とは別の道を辿る事になってしまった、『パラレルワールド』である―繁華街。
この二つの世界で構成されていた。
そのパラレルワールドの繁華街に向かう必要があったのだ。
それとは元々は一つであったが、遥か昔に三界とは別の道を辿る事になってしまった、『パラレルワールド』である―繁華街。
この二つの世界で構成されていた。
そのパラレルワールドの繁華街に向かう必要があったのだ。
自分の親友達が次々と自分の記憶を忘れて行く中、ただ一人記憶を奪われなかったのが植木であった。
彼の持つ『再会の才』、それは別れた物を再び繋ぐ強力な“出会いの才能”。
それ故記憶を奪われなかった植木は、植木を新たな主人と定めたウールの導きにより仲間達のキューブを取り返すべく繁華街へ向かう。
彼の持つ『再会の才』、それは別れた物を再び繋ぐ強力な“出会いの才能”。
それ故記憶を奪われなかった植木は、植木を新たな主人と定めたウールの導きにより仲間達のキューブを取り返すべく繁華街へ向かう。
繁華街の人口の約3/4は能力者である。
繁華街に着いて直に、ミリーという見も知らずの少女を助ける為に能力者と相対した植木だが、手も足も出なかった。
その場はウールのアシストも有り、何とか逃げる事に成功した。
だが変える能力はおろか、天界力を失い神器を使えなくなった植木は、その能力者の前にあまりにも無力だった。
ある特定の道具に特定の効果を付与する『加える能力』である職能力。
植木は職能力の必要性を痛感し、苦難の末に見事職能力を手にする事が出来た。
その後ハイジやソラ、ナガラといった新しい仲間。
彼らの協力もあり決選の場・メガサイトにおいて、人間界で記憶を奪うように指示した人物・プラスからキューブを奪い返す事が出来た。
繁華街に着いて直に、ミリーという見も知らずの少女を助ける為に能力者と相対した植木だが、手も足も出なかった。
その場はウールのアシストも有り、何とか逃げる事に成功した。
だが変える能力はおろか、天界力を失い神器を使えなくなった植木は、その能力者の前にあまりにも無力だった。
ある特定の道具に特定の効果を付与する『加える能力』である職能力。
植木は職能力の必要性を痛感し、苦難の末に見事職能力を手にする事が出来た。
その後ハイジやソラ、ナガラといった新しい仲間。
彼らの協力もあり決選の場・メガサイトにおいて、人間界で記憶を奪うように指示した人物・プラスからキューブを奪い返す事が出来た。
だがそこで問題が発生した。
プラスはキューブを初期化してそこに『自分のイメージ』を入れる事で、人間界の人間とって唯一自分自身が『大事な人間』となろうとした。
その為にメガサイトでキューブを解放したのだが、それがいけなった。
キューブは人間界で開放しなければならなかった、メガサイトで開放してしまって人間界に持っていけない。
プラスはキューブを初期化してそこに『自分のイメージ』を入れる事で、人間界の人間とって唯一自分自身が『大事な人間』となろうとした。
その為にメガサイトでキューブを解放したのだが、それがいけなった。
キューブは人間界で開放しなければならなかった、メガサイトで開放してしまって人間界に持っていけない。
そんな中、ウールから一つの打開案が出される、それは三界と繁華街を再び一つにする事。
その為には、強力な出会いの才能を持つ植木が、100年間メガサイトで二つの世界を繋ぎ留めなくてはならなかった。
植木の性格を知っている者ならば、その後の結末は簡単に想像できるだろう。
植木はメガサイトに残り、100年の時を過ごし二つの世界を一つにしたのだった。
その為には、強力な出会いの才能を持つ植木が、100年間メガサイトで二つの世界を繋ぎ留めなくてはならなかった。
植木の性格を知っている者ならば、その後の結末は簡単に想像できるだろう。
植木はメガサイトに残り、100年の時を過ごし二つの世界を一つにしたのだった。
メガサイトで100年の時を過ごした植木、その姿は年老いて見る影も無い……等と言う事は全くなかった。
メガサイト内では全然老けない、お腹もすかない、だからボーとしていたら100年経ったと言うのは本人の談だ。
さらに言えば、繁華街と人間界では100倍の時間差がある、つまりメガサイトでの100年は繁華街と融合した人間界において、一年の時しか経っていなかったのだ。
メガサイト内では全然老けない、お腹もすかない、だからボーとしていたら100年経ったと言うのは本人の談だ。
さらに言えば、繁華街と人間界では100倍の時間差がある、つまりメガサイトでの100年は繁華街と融合した人間界において、一年の時しか経っていなかったのだ。
人間界の時間で一年後、植木は仲間達と再会する――筈だった。
だが植木が人間界に戻った直後、彼はこの殺し合いに連れてこられてしまう。
だが植木が人間界に戻った直後、彼はこの殺し合いに連れてこられてしまう。
ならばこの植木と言う少年、元の場所に戻る為殺し合いに乗るような人物であろうか?
それはありえない。
道路に飛び出した子供を助けて車に轢かれ、悪質な借金とりに絡まれた少女を身を呈して助ける。
自分の身を呈して人を助ける。
幼い頃ビルの屋上のヘリから足を滑らせた時、墜落死しかけた自分を救ってくれた恩師がいた。
その恩師の様に、他人の為に身を投げだせる人でありたいと。
そう志して行動してきた、そんな彼が殺し合いに乗る筈も無い。
ましてや自分の仲間達がいるかもしれない現状でだ。
この殺し合いを止め為まずは自分の仲間達を探すべく、人の集まりそうな市街地を進んでいた。
それはありえない。
道路に飛び出した子供を助けて車に轢かれ、悪質な借金とりに絡まれた少女を身を呈して助ける。
自分の身を呈して人を助ける。
幼い頃ビルの屋上のヘリから足を滑らせた時、墜落死しかけた自分を救ってくれた恩師がいた。
その恩師の様に、他人の為に身を投げだせる人でありたいと。
そう志して行動してきた、そんな彼が殺し合いに乗る筈も無い。
ましてや自分の仲間達がいるかもしれない現状でだ。
この殺し合いを止め為まずは自分の仲間達を探すべく、人の集まりそうな市街地を進んでいた。
(いくらハイジやソラ達に職能力があるからって、道具を取られてたらやばいだろうし。
ミリーや今の佐野達は能力自体がねぇし、早く合流しないとあいつらがあぶねぇ。
上手い事、俺みたいに変な力を持ったアイテムが支給されてればいいんだが)
ミリーや今の佐野達は能力自体がねぇし、早く合流しないとあいつらがあぶねぇ。
上手い事、俺みたいに変な力を持ったアイテムが支給されてればいいんだが)
植木の職能力、モップに『掴』を加える能力。
その職能力で使う道具は、普段右手の道具紋の中に納められているのだが、その道具紋の中にモップは無かった。
そんこで植木が初めに目指したのはデパート、自分の職能力に必要なモップ。
他に仲間が必要とするであろう、洗濯機、砂時計、ハンバーガー等を手に入れるためだ。
偶然にも、森と同じ様に仲間が必要とする物を求め、デパートにむかっていた。
その職能力で使う道具は、普段右手の道具紋の中に納められているのだが、その道具紋の中にモップは無かった。
そんこで植木が初めに目指したのはデパート、自分の職能力に必要なモップ。
他に仲間が必要とするであろう、洗濯機、砂時計、ハンバーガー等を手に入れるためだ。
偶然にも、森と同じ様に仲間が必要とする物を求め、デパートにむかっていた。
支給品の一つである果物を食べながらデパートに向かう途中、前方にどこか見た事ある様な後姿を見つけた。
植木は即座に声をかけた。
植木は即座に声をかけた。
「もしかして、そこにいるのは森か?」
「植…木?」
「植…木?」
(…あれ?)
その森の姿に植木は微妙な違和感を感じた、何というかこう何か微妙に小さいと言うか幼いと言うか。
実際に森は、植木がメガサイトで別れた時から約二年前の時間軸から連れてこられている、少々幼く見えるのは当たり前だ。
だが植木にとっては100年ぶりの再会、森の姿が最後に見たものより少々若返っている事に気がつかなくても、誰も責められはしまい。
しかもそんな些細な違和感など、森と無事に会えた安心感と嬉しさにあっと言う間に押し流されていった。
実際に森は、植木がメガサイトで別れた時から約二年前の時間軸から連れてこられている、少々幼く見えるのは当たり前だ。
だが植木にとっては100年ぶりの再会、森の姿が最後に見たものより少々若返っている事に気がつかなくても、誰も責められはしまい。
しかもそんな些細な違和感など、森と無事に会えた安心感と嬉しさにあっと言う間に押し流されていった。
「よかった、無事だった…」
「そんな始まって早々、訳も分からないまま死ねるか!!」
「そんな始まって早々、訳も分からないまま死ねるか!!」
どこか懐かしいやり取りに、植木の表情が綻ぶ。
だが、直に真剣な顔つきに戻る。
だが、直に真剣な顔つきに戻る。
「…それは兎も角、大変な事になっちゃったね。やっぱ神様を決める戦いと何か関係があるのかな?」
「ああ三年前のアレか、……けどな、犬丸がこんな事をするとは思えんが」
「え、三年…前? 犬丸?」
「ん? 三年前だろ、俺達今高一であん時は中一だったから、うん三年前だ。それに新しい神様決める時は、全員一致で犬丸だったじゃねえか」
「ああ三年前のアレか、……けどな、犬丸がこんな事をするとは思えんが」
「え、三年…前? 犬丸?」
「ん? 三年前だろ、俺達今高一であん時は中一だったから、うん三年前だ。それに新しい神様決める時は、全員一致で犬丸だったじゃねえか」
植木からすれば正確には百二年前なのだが、それはこの際置いておく。
植木は話を続ける、すぐ傍にいる森の表情がどんどん険しくなっていくのに気付かずに。
植木は話を続ける、すぐ傍にいる森の表情がどんどん険しくなっていくのに気付かずに。
「いくら佐野や鈴子でももう能力がねぇからかなり危険な筈だ。早く合流しねぇと」
「あんたは…神器があるか」
「神器? 神器はアノンとの決戦で天界力を殆ど使いきっちまったから、使えねぇぞ?」
「じゃあ、あんたも能力なしなんじゃ……」
「いや俺には職能力がある、森もメガサイトで見たろ」
「あんたは…神器があるか」
「神器? 神器はアノンとの決戦で天界力を殆ど使いきっちまったから、使えねぇぞ?」
「じゃあ、あんたも能力なしなんじゃ……」
「いや俺には職能力がある、森もメガサイトで見たろ」
植木と森の間には、連れてこられた時間軸の違いによる時間差がある。
故に森が知らない事を、植木は森も知っている様に語る。
だがそれは仕方のない事、植木の認識ではその事も森は知っているのだから。
そして今その認識の違いから、隣にいる森に自分がどれ程不信感を増大させているか植木は気が付いていない。
故に森が知らない事を、植木は森も知っている様に語る。
だがそれは仕方のない事、植木の認識ではその事も森は知っているのだから。
そして今その認識の違いから、隣にいる森に自分がどれ程不信感を増大させているか植木は気が付いていない。
「佐野や鈴子、ヒデヨシ以外にも、ハイジやソラ、ナガラが居ればきっと力を貸してくれる。……プラスは微妙だな」
「誰よ……それ……」
「おいおいどうしたんだよ森、ハイジやソラ達ならお前もメガサイトであって……森?」
「誰よ……それ……」
「おいおいどうしたんだよ森、ハイジやソラ達ならお前もメガサイトであって……森?」
そこでようやく植木は気がついた、森がどんな顔で自分を見ているのか。
恐怖に怯えながらも明確に敵意の混じった、そんな表情で自分を見ている事に。
その森の口から、震える口調で紡がれる
恐怖に怯えながらも明確に敵意の混じった、そんな表情で自分を見ている事に。
その森の口から、震える口調で紡がれる
「あんた……誰よ?」
▽
「もしかして、そこにいるのは森か?」
聞き覚えのあるその声に反応して、森はとっさに振り返る。
そこに居るのは自分の探していた仲間の一人・植木耕介……だと思うのだが何か違和感がある。
微妙に背が伸びているような、逞しくなっているような、些細だけど見逃せない違和感。
そこに居るのは自分の探していた仲間の一人・植木耕介……だと思うのだが何か違和感がある。
微妙に背が伸びているような、逞しくなっているような、些細だけど見逃せない違和感。
「植…木?」
だから自然と言葉が疑問形になる。
はっきり植木だとは断定できない。
それが森には何となくもどかしい。
しかし
はっきり植木だとは断定できない。
それが森には何となくもどかしい。
しかし
「よかった、無事だった…」
「そんな始まって早々、訳も分からないまま死ねるか!!」
「そんな始まって早々、訳も分からないまま死ねるか!!」
そう言った植木と思われる人物の本当に安心した顔に、とりあえず森は警戒心を和らげる。
「…それは兎も角、大変な事になっちゃったね。やっぱ神様を決める戦いと何か関係があるのかな?」
「ああ三年前のアレか、……けどな、犬丸がこんな事をするとは思えんが」
「ああ三年前のアレか、……けどな、犬丸がこんな事をするとは思えんが」
とりあえず目の前の人物を植木と仮定して、森は自分の考えを聞いて見た。
植木があまり考察に向いてないのは分かっているが、植木自身がどう考えているのかも確かめるついでに尋ねてみた。
だが帰ってきた答えは、完全に森の予想外の物だった。
植木があまり考察に向いてないのは分かっているが、植木自身がどう考えているのかも確かめるついでに尋ねてみた。
だが帰ってきた答えは、完全に森の予想外の物だった。
「え、三年…前? 犬丸?」
「ん? 三年前だろ、俺達今高一であん時は中一だったから、うん三年前だ。それに新しい神様決める時は、全員一致で犬丸だったじゃねえか」
「ん? 三年前だろ、俺達今高一であん時は中一だったから、うん三年前だ。それに新しい神様決める時は、全員一致で犬丸だったじゃねえか」
神様を決める戦いが、三年前に終わっている?
そんな馬鹿な……あり得ないわ、私はついさっきまでバロウチームと戦っていたのよ。
いつの間にか終わっていたとしても、三年前だと言う事はあり得ない。
それに私は中一だ、高一じゃ無い。
とりあえず三年前の事は置いておくとしても、新しい神様が犬丸? 全員一致で決まった? 嘘だそんなはずは無い。
確かにコバセンより犬丸の方が神様になった方が良いけど、私はそんなの投票した覚えが無い。
そんな馬鹿な……あり得ないわ、私はついさっきまでバロウチームと戦っていたのよ。
いつの間にか終わっていたとしても、三年前だと言う事はあり得ない。
それに私は中一だ、高一じゃ無い。
とりあえず三年前の事は置いておくとしても、新しい神様が犬丸? 全員一致で決まった? 嘘だそんなはずは無い。
確かにコバセンより犬丸の方が神様になった方が良いけど、私はそんなの投票した覚えが無い。
「いくら佐野や鈴子でももう能力がねぇからかなり危険な筈だ。早く合流しねぇと」
三年前かどうかはおいとくとしても、バトルが終わっただから能力はもう使えない。
盲点だ、あの戦いに関係ないのならそれもありなのだろうか。
だがそうすると目の前の植木も……
盲点だ、あの戦いに関係ないのならそれもありなのだろうか。
だがそうすると目の前の植木も……
「あんたは…神器があるか」
「神器? 神器はアノンとの決戦で天界力を殆ど使いきっちまったから、使えねぇぞ?」
「神器? 神器はアノンとの決戦で天界力を殆ど使いきっちまったから、使えねぇぞ?」
そういや、植木には能力とは関係なしに神器が……って、えええぇぇぇぇ!!
なによ神器が使えないって、天界力を使い切った? 何時・どこで?
そもそもいつの間にアノンと戦ってんのよ、バロウチームとの戦いの後から今までの間に、そんな時間なんてなかったはずよ。
あれ? でもだとしたら……
なによ神器が使えないって、天界力を使い切った? 何時・どこで?
そもそもいつの間にアノンと戦ってんのよ、バロウチームとの戦いの後から今までの間に、そんな時間なんてなかったはずよ。
あれ? でもだとしたら……
「じゃあ、あんたも能力なしなんじゃ……」
「いや俺には職能力がある、森もメガサイトで見たろ」
「いや俺には職能力がある、森もメガサイトで見たろ」
職能力・メガサイト…私の知らない単語。
こいつはいったい何の事を言っているの。
わからない、そもそもこいつは本当に植木?
たまたま同じ名字の、そっくりさんとか言うオチじゃないよね?
こいつはいったい何の事を言っているの。
わからない、そもそもこいつは本当に植木?
たまたま同じ名字の、そっくりさんとか言うオチじゃないよね?
「佐野や鈴子、ヒデヨシ以外にも、ハイジやソラ、ナガラが居ればきっと力を貸してくれる。……プラスは微妙だな」
「誰よ……それ……」
「誰よ……それ……」
また私の知らない単語、ううん名前よね。
ハイジやソラ、ナガラって誰よ? あとプラス。
知らない、私そんな人達見た事も会った事も無いよ。
ねぇ、貴方は誰?
貴方は私の知っている植木?
それとも貴方がモリって私のそっくりさんと、勘違いしているだけなの?
ハイジやソラ、ナガラって誰よ? あとプラス。
知らない、私そんな人達見た事も会った事も無いよ。
ねぇ、貴方は誰?
貴方は私の知っている植木?
それとも貴方がモリって私のそっくりさんと、勘違いしているだけなの?
小さな疑念が積み重なり、目の前の人物を森は植木と認められなくなっていく。
目の前の人物は間違いなく、植木耕介であり目の前人物が言う森は彼女自身である。
だが時間軸の差による、情報の違いから相手の事が他人に思えてしまうのだ。
目の前の人物は間違いなく、植木耕介であり目の前人物が言う森は彼女自身である。
だが時間軸の差による、情報の違いから相手の事が他人に思えてしまうのだ。
「おいおいどうしたんだよ森、ハイジやソラ達ならお前もメガサイトであって……森?」
分からない、けど少なくともこいつは植木ではない事は確かだ。
あまりにも言ってる事がめちゃくちゃだし、話がかみ合わない。
もしかして、こいつ能力で姿だけ植木に変えているとか?
さしずめ、自分の姿を他人に変える能力かしら。
前の戦いでは全く役に立ちそうにないけど、今みたいな戦いならある意味かなり脅威よね。
チームを内部崩壊させたり、悪評ばら撒いたりと、色々やりようがあるわ。
そっか、じゃあ神器が使えないと言う話は、自分が植木ではない事をばれない様にする作り話。
天界人じゃ無かったら神器が使えないから、戦闘で神器を使わなかったら凄く怪しくなる。
けど、前もって使えないと理由を添えて離しておけば、それほど怪しまれなくなる。
つまり、こいつは植木になり済まして、何かする気でいるんだ。
戦闘力自体は無いんだろうけど、仲間と思って油断している所を後ろからナイフとかで刺せば、弱くても佐野や鈴子ちゃん達を十分に殺せる。
あまりにも言ってる事がめちゃくちゃだし、話がかみ合わない。
もしかして、こいつ能力で姿だけ植木に変えているとか?
さしずめ、自分の姿を他人に変える能力かしら。
前の戦いでは全く役に立ちそうにないけど、今みたいな戦いならある意味かなり脅威よね。
チームを内部崩壊させたり、悪評ばら撒いたりと、色々やりようがあるわ。
そっか、じゃあ神器が使えないと言う話は、自分が植木ではない事をばれない様にする作り話。
天界人じゃ無かったら神器が使えないから、戦闘で神器を使わなかったら凄く怪しくなる。
けど、前もって使えないと理由を添えて離しておけば、それほど怪しまれなくなる。
つまり、こいつは植木になり済まして、何かする気でいるんだ。
戦闘力自体は無いんだろうけど、仲間と思って油断している所を後ろからナイフとかで刺せば、弱くても佐野や鈴子ちゃん達を十分に殺せる。
……させない、そんな事絶対に。
もし森がもっと落ち着いていたなら、いや殺し合いと言う状況でなければ、もっとしっかり話し合う事で、目の前の植木の疑惑を晴らす事が出来ただろう。
だが、下手に特殊な状況下に離れしてしまっていた事が。
互いの持つ情報に齟齬があった事が。
そこから目の前の人物に不信感を抱いてしまった事が。
間違った考察をしていた事が。
森に仲間を守る為に体を張る勇気があった事が。
互いの持つ情報に齟齬があった事が。
そこから目の前の人物に不信感を抱いてしまった事が。
間違った考察をしていた事が。
森に仲間を守る為に体を張る勇気があった事が。
幾つもの要因が重なり、二人の道は違えてしまった。
「あんた……誰よ?」
▽
「何言ってんだよ森、俺は植木だ」
「嘘だ!! あんたは植木じゃない、能力か何かで植木に化けてるだけでしょ、私は騙されないわ」
「嘘だ!! あんたは植木じゃない、能力か何かで植木に化けてるだけでしょ、私は騙されないわ」
そう言い放ち、森は手に持っていた棒状の物を構える。
植木の方はただただ困惑した様に
植木の方はただただ困惑した様に
「俺が植木じゃ無いってどういう事だよ、訳がわからんぞ」
「とぼけないでっ!!」
「とぼけないでっ!!」
森は声を張り上げて指摘していく、目の前の植木が矛盾点を。
自分がまだ中一な事。
神様に犬丸を選んだ覚えが無い事。
アノンと植木の決戦なんて無かった。
メガサイトや職能力なんて知らない。
ソラやハイジ、ナガラにプラス何て人物は会った事すらないと。
自分がまだ中一な事。
神様に犬丸を選んだ覚えが無い事。
アノンと植木の決戦なんて無かった。
メガサイトや職能力なんて知らない。
ソラやハイジ、ナガラにプラス何て人物は会った事すらないと。
その指摘には今度は植木の方が困惑する。
今指摘された事全部、森も知っている事である。
メガサイトは時間の流れが違うから、森がまだ中三だと言うのなら納得は出来る。
だが、幾らなんでも学年が下がる何て自体はあり得ない。
他の事にしたって、その場に森も居たのだから知らない筈は無いのだ。
森は実は物忘れがひどい……と言う訳ではないのは、森の鬼気迫る表情から分かる。
本当に森は知らないのだ。
だから植木はどう返答したらいいのか分からなかった。
今指摘された事全部、森も知っている事である。
メガサイトは時間の流れが違うから、森がまだ中三だと言うのなら納得は出来る。
だが、幾らなんでも学年が下がる何て自体はあり得ない。
他の事にしたって、その場に森も居たのだから知らない筈は無いのだ。
森は実は物忘れがひどい……と言う訳ではないのは、森の鬼気迫る表情から分かる。
本当に森は知らないのだ。
だから植木はどう返答したらいいのか分からなかった。
果たして返答に困った植木を、森はどうとらえたのか。
少なくとも、今弁解出来なかった事によって、和解の道が閉ざされたのは確かだった。
少なくとも、今弁解出来なかった事によって、和解の道が閉ざされたのは確かだった。
「とにかく、あんたが植木の格好で悪さする前に、あたしが倒してやるから覚悟しなさい」
森が目の前の偽物に向かって棒状の物で殴りかかる。
狙いは頭。
頭は打ち所が悪ければ相手を殺してしまいかねない。
だが剣の心得のない森からすれば下手に頭以外の所を狙うよりも、気絶させやすい事は確かだ。
幸い近くにはデパートもある、簡単な治療用の薬や道具はすぐに手に入るだろう。
とりあえず、まずは相手を気絶させて身動きをとれなくする。
そしてデパートに連れて行って、治療した後にどこかに目立たない所に閉じ込める。
そうすれば、偽物が悪さをする事も殺される事も無い。
そう思い、森はそれをふるった。
狙いは頭。
頭は打ち所が悪ければ相手を殺してしまいかねない。
だが剣の心得のない森からすれば下手に頭以外の所を狙うよりも、気絶させやすい事は確かだ。
幸い近くにはデパートもある、簡単な治療用の薬や道具はすぐに手に入るだろう。
とりあえず、まずは相手を気絶させて身動きをとれなくする。
そしてデパートに連れて行って、治療した後にどこかに目立たない所に閉じ込める。
そうすれば、偽物が悪さをする事も殺される事も無い。
そう思い、森はそれをふるった。
一方植木は、先程に森の指摘に答えが出せぬままだった。
だが、理由は分からないが森と自分の間には、何か致命的な齟齬があるのを感じ取っていた。
そのせいで、自分は誤解されているのだと。
とりあえず森を何とか落ち着かせて、誤解を解こう。
そう思いながら、迫りくる棒状の物をよけようとした。
森を抑え込むために、ギリギリで。
だが、理由は分からないが森と自分の間には、何か致命的な齟齬があるのを感じ取っていた。
そのせいで、自分は誤解されているのだと。
とりあえず森を何とか落ち着かせて、誤解を解こう。
そう思いながら、迫りくる棒状の物をよけようとした。
森を抑え込むために、ギリギリで。
ここで二人にとって共通の誤算が発生した。
森の振るう棒は、ただの棒では無かった事。
青雲剣、かつて魔家四将の一人、魔礼青が使用していた宝貝。
その能力は複数の斬撃を発生させる事。
森の振るう棒は、ただの棒では無かった事。
青雲剣、かつて魔家四将の一人、魔礼青が使用していた宝貝。
その能力は複数の斬撃を発生させる事。
ギリギリでかわすつもりであった植木は、斬撃が分裂した事に虚を突かれ一瞬回避が遅れた。
そして剣を途中で止める等と言う芸当ができるはずも無く、悲鳴を上げ何とか棒を植木から逸らせようとする森。
だが植木はその斬撃をかわし切れずに――
そして剣を途中で止める等と言う芸当ができるはずも無く、悲鳴を上げ何とか棒を植木から逸らせようとする森。
だが植木はその斬撃をかわし切れずに――
次の瞬間、宙に大量の紅が舞った。
▽
寒い。
植木が感じたのは、まるで体中の熱が奪われていくような、そんな寒さだった。
傷口からはとめどなく血が噴き出し、目の前の森を赤く染める。
目が霞み、体中の力が抜けていく。
植木が感じたのは、まるで体中の熱が奪われていくような、そんな寒さだった。
傷口からはとめどなく血が噴き出し、目の前の森を赤く染める。
目が霞み、体中の力が抜けていく。
(やべぇな)
森は顔を真っ青にしながら、カチカチと歯を鳴らしながら震える。
何で? ただの棒じゃ無かったの? 等、聞き逃してしてしまいそうな小さな声で、ブツブツと呟いている。
きっと、支給品の効果を確認してなかったのだろうと、植木はひどく落ち着いて考えていた。
森が人を殺して平然としていられる性格でない事を、植木は知っている。
もしこのままにしておけば、ショックで混乱したまま、この殺し合いの舞台を彷徨いかねない。
何で? ただの棒じゃ無かったの? 等、聞き逃してしてしまいそうな小さな声で、ブツブツと呟いている。
きっと、支給品の効果を確認してなかったのだろうと、植木はひどく落ち着いて考えていた。
森が人を殺して平然としていられる性格でない事を、植木は知っている。
もしこのままにしておけば、ショックで混乱したまま、この殺し合いの舞台を彷徨いかねない。
「森……俺の…事は気…にするな。……大丈…夫……死には……しな……い」
だから植木は森に微笑みかける、残っている力を振り絞って。
落ち着く様に、安心する様に、自分は大丈夫だと言う確信持ちながら。
次に目を開けた時にも森はまだそこにいて、今度こそ誤解を解こうと。
そう願いながら、植木の意識は深い深い闇の中に落ち、心臓はその鼓動を止めた。
植木は死ぬその瞬間まで、自分より他人の事を優先した。
落ち着く様に、安心する様に、自分は大丈夫だと言う確信持ちながら。
次に目を開けた時にも森はまだそこにいて、今度こそ誤解を解こうと。
そう願いながら、植木の意識は深い深い闇の中に落ち、心臓はその鼓動を止めた。
植木は死ぬその瞬間まで、自分より他人の事を優先した。
【植木耕介@うえきの法則 死亡確認】
熱い。
熱くて赤い何かが私の身を濡らしている。
この赤い液体は何? って、そんなの考えるまでも無い。
現実をしっかり見ろ、私の身に降りかかっているのは――血だ。
誰の? 目の前の植木の偽物のだ。
何で? 私の振るった棒から出た斬撃の一部が、相手の動脈を切り裂いたから。
治療は? って無駄かぁ、こんなにドバドバ血が溢れたんじゃねぇ、医療器具も無いんじゃお手上げだぁ。
つまりあなたは――そう、私は……人殺しだ。
熱くて赤い何かが私の身を濡らしている。
この赤い液体は何? って、そんなの考えるまでも無い。
現実をしっかり見ろ、私の身に降りかかっているのは――血だ。
誰の? 目の前の植木の偽物のだ。
何で? 私の振るった棒から出た斬撃の一部が、相手の動脈を切り裂いたから。
治療は? って無駄かぁ、こんなにドバドバ血が溢れたんじゃねぇ、医療器具も無いんじゃお手上げだぁ。
つまりあなたは――そう、私は……人殺しだ。
ガチガチガチガチ
森には自分の歯が鳴る音がやけに大きく聞こえていた。
殺すつもりは無かった、そんな言葉はもはや言い訳にしかならないだろう。
手から滑り落ちた棒―青雲剣に目を向ける。
森には自分の歯が鳴る音がやけに大きく聞こえていた。
殺すつもりは無かった、そんな言葉はもはや言い訳にしかならないだろう。
手から滑り落ちた棒―青雲剣に目を向ける。
「何で? ただの棒じゃ無かったの?」
そんな事を問いかけても、返事は返ってくる事は無い。
「森……」
名前が呼ばれる、今にも消えてしまいそうな声で。
植木の偽物が自分を見つめている、血の気の失せた真っ青な顔で。
これから彼が発するであろう言葉に、森は恐怖する。
彼が断末魔に残すのは、恨みの言葉か憎しみの言葉か。
だが聞こえて来たのはどちらでも無かった。
植木の偽物が自分を見つめている、血の気の失せた真っ青な顔で。
これから彼が発するであろう言葉に、森は恐怖する。
彼が断末魔に残すのは、恨みの言葉か憎しみの言葉か。
だが聞こえて来たのはどちらでも無かった。
「俺の…事は気…にするな。……大丈…夫……死には……しな……い」
そして微笑む、いつも自分を安心させる植木の笑顔で。
だからこそ、森の心を深く深く抉る。
何時も何時も自分の事より他人を優先する、そんな植木の笑顔がそこにはあった。
森は戦慄と共に気が付く、もしかしたら自分は取り返しのつかない事をしてしまったのではないか。
確かにこの男の話す事は信じられない事が多すぎる、だがもっと落ち着いてしっかり話し合えば納得した答えが出たのかもしれない。
そしたらこいつは本当に植木なのかもしれない。
だって、
森は戦慄と共に気が付く、もしかしたら自分は取り返しのつかない事をしてしまったのではないか。
確かにこの男の話す事は信じられない事が多すぎる、だがもっと落ち着いてしっかり話し合えば納得した答えが出たのかもしれない。
そしたらこいつは本当に植木なのかもしれない。
だって、
自分が死ぬかもしれないのに、他人を優先して笑える大馬鹿なんて……植木以外居ないじゃ無いか。
「いやあああぁぁぁぁぁ!?」
森はディパックをひったくる様に掴むと、脇目を振らずその場から駆け出した。
植木を殺したかもしれないと言う恐怖に駆られ、今はただ一秒でも早くこの場から立ち去りたくて。
自分がどこに向かっているかもわからないまま、ただただ我武者羅に。
植木を殺したかもしれないと言う恐怖に駆られ、今はただ一秒でも早くこの場から立ち去りたくて。
自分がどこに向かっているかもわからないまま、ただただ我武者羅に。
【I-7 北西/市街地/1日目 深夜】
【森あい@うえきの法則】
[状態]:健康 混乱 血まみれ
[装備]:血濡れの眼鏡(頭に乗っています)
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1
[思考・備考]
基本:植木チームのみんなを探し、この戦いを止める。
0:私……植木を殺しちゃった!?
1:とにかくこの場から去りたい。
2:とりあえずみんなを探す。
3:できれば「1st」も探してみる。
4:能力を使わない(というより使えない)。
5:なんで戦い終わってるんだろ……?
※第15巻、バロウチームに勝利した直後からの参戦です。その為、他の植木チームのみんなも一緒に来ていると思っています。
※この殺し合い=自分達の戦いと考えています。
※デウス=自分達の世界にいた神様の名前と思っています。
※植木から聞いた話を、もしかしたら本当かもしれないと思いました。
【森あい@うえきの法則】
[状態]:健康 混乱 血まみれ
[装備]:血濡れの眼鏡(頭に乗っています)
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1
[思考・備考]
基本:植木チームのみんなを探し、この戦いを止める。
0:私……植木を殺しちゃった!?
1:とにかくこの場から去りたい。
2:とりあえずみんなを探す。
3:できれば「1st」も探してみる。
4:能力を使わない(というより使えない)。
5:なんで戦い終わってるんだろ……?
※第15巻、バロウチームに勝利した直後からの参戦です。その為、他の植木チームのみんなも一緒に来ていると思っています。
※この殺し合い=自分達の戦いと考えています。
※デウス=自分達の世界にいた神様の名前と思っています。
※植木から聞いた話を、もしかしたら本当かもしれないと思いました。
▽
森が立ち去ってから数分後。
血溜まりの中に倒れ伏す少年。
彼の体は確実に生命活動を停止していた。
だがいかな奇跡か、その心臓は再び生命活動を開始した。
彼の体は確実に生命活動を停止していた。
だがいかな奇跡か、その心臓は再び生命活動を開始した。
【植木耕介@うえきの法則 蘇生確認】
「すげぇな、本当に生き返った……」
植木が蘇生した理由、それは彼が食べた支給品・ヨミヨミの実の効果によるものである。
ヨミヨミの実、それは死後に一度だけ復活を約束された悪魔の実である。
そのヨミヨミの実の力で、植木は蘇生したのだ。
最も、その実の能力も制限により首輪が爆発した場合と、首を切断された場合には効果を発揮しない様にされていたが。
だからあの時、植木の首が切断されていたなら、植木はそのまま死んでいただろう。
幸い、青雲剣の斬撃は首を切断するまでには至らなかった。
ヨミヨミの実、それは死後に一度だけ復活を約束された悪魔の実である。
そのヨミヨミの実の力で、植木は蘇生したのだ。
最も、その実の能力も制限により首輪が爆発した場合と、首を切断された場合には効果を発揮しない様にされていたが。
だからあの時、植木の首が切断されていたなら、植木はそのまま死んでいただろう。
幸い、青雲剣の斬撃は首を切断するまでには至らなかった。
そもそもヨミヨミの実は、残機が一つ増えるだけで何か特殊な力を得る事もなく、カナヅチになると言う変わった実だ。
普通ならあまり食べたくは無いが、植木は迷わずに食した。
普通ならあまり食べたくは無いが、植木は迷わずに食した。
植木は自分の性格をよく分かっている。
『何が他人の為だ、お前の身勝手な考え、他人に押し付けるな!!』
『死ぬな!! あんたの考えてるコトくらい……見え見えなんだから…!!』
『いつもいつも…自分一人で何とかしようとするな!!』
『みんなが助かればそれでいいとかそんなの…いい加減にしろバカヤローーー!!』
『一人で駄目なら私だっている!! みんなだっている!! あんたはひとりじゃない!!』
『死ぬな!! あんたの考えてるコトくらい……見え見えなんだから…!!』
『いつもいつも…自分一人で何とかしようとするな!!』
『みんなが助かればそれでいいとかそんなの…いい加減にしろバカヤローーー!!』
『一人で駄目なら私だっている!! みんなだっている!! あんたはひとりじゃない!!』
『だから…だから消えないでよ…』
かつて植木が森に言われた台詞、それらが植木の性格を物語っている。
自分が仲間の命を守る為なら、どんな無茶だって平気な事を。
どんなに止められても、それを聞かない事を。
そして、それが直せと言われても直らない事を。
自分が仲間の命を守る為なら、どんな無茶だって平気な事を。
どんなに止められても、それを聞かない事を。
そして、それが直せと言われても直らない事を。
その結果仲間を悲しませる事になる事も。
だが、それでも植木は無茶をする事を止めはしないだろう。
何よりも仲間を守りたいから。
それ故、無茶をして死んだとしても一度だけ生き返れるこの実は、植木にとって当たりだった。
例え代償に一生カナヅチになっても、そんな事は些細な事なのだ。
何よりも仲間を守りたいから。
それ故、無茶をして死んだとしても一度だけ生き返れるこの実は、植木にとって当たりだった。
例え代償に一生カナヅチになっても、そんな事は些細な事なのだ。
首の傷はとりあえず塞がってはいた、蘇生した時に一緒に塞がったのだろうか?
だが、傷のあった辺りが激しく痛む事から、完全に治った訳ではない事を物語る。
だが、傷のあった辺りが激しく痛む事から、完全に治った訳ではない事を物語る。
辺りを見回すが森はいない。
おそらくこの場を立ち去ってしまったのだろう。
森が持っていた支給品が落ちている。
自分の身を守れる武器を放り出しているから、おそらく酷く混乱しているのだろう。
すぐに追いかけねば。
幸い方向だけは、血で出来た足跡のおかげで分かる。
もっとも、途中で方向転嫁されればおしまいだが。
おそらくこの場を立ち去ってしまったのだろう。
森が持っていた支給品が落ちている。
自分の身を守れる武器を放り出しているから、おそらく酷く混乱しているのだろう。
すぐに追いかけねば。
幸い方向だけは、血で出来た足跡のおかげで分かる。
もっとも、途中で方向転嫁されればおしまいだが。
植木は青雲剣を拾いながら立ち上がり、そのまま駆け出そうとする。
だが体はふらつき力は入らず、思うように歩く事さえままならない。
それもその筈、首の傷は塞がりはしたが、失われた血は戻っていないのだ。
悪魔の実の力故か、意識はあるものの本来なら絶対安静なのだ。
走る何てもってのほかだ。
だが体はふらつき力は入らず、思うように歩く事さえままならない。
それもその筈、首の傷は塞がりはしたが、失われた血は戻っていないのだ。
悪魔の実の力故か、意識はあるものの本来なら絶対安静なのだ。
走る何てもってのほかだ。
「……くそっ、血が足りねぇ」
それでも植木は、青雲剣を杖の代わりにして進む。
今にも倒れそうな足取りで、ゆっくりとだが一歩ずつ。
だがその足取りは、確実に森が去った方向に向かっていた。
今にも倒れそうな足取りで、ゆっくりとだが一歩ずつ。
だがその足取りは、確実に森が去った方向に向かっていた。
【I-6 北東/市街地/1日目 深夜】
【植木耕介@うえきの法則】
[状態]:極めて重度の貧血、カナズチ化 、首に大ダメージ
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1、青雲剣
[思考・備考]
基本:佐野やハイジ達の仲間と共にこの戦いを止める。
1:森を追いかける。
2:血が足りねぇ。
3:森と話が合わない、何でだ?
4:モップが欲しい。
※+第5巻、メガサイトから戻って来た直後から参戦です。
【植木耕介@うえきの法則】
[状態]:極めて重度の貧血、カナズチ化 、首に大ダメージ
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1、青雲剣
[思考・備考]
基本:佐野やハイジ達の仲間と共にこの戦いを止める。
1:森を追いかける。
2:血が足りねぇ。
3:森と話が合わない、何でだ?
4:モップが欲しい。
※+第5巻、メガサイトから戻って来た直後から参戦です。
【青雲剣@封神演義】
魔家四将の一人、魔礼青が使用する宝貝。
複数の斬撃を発生させる魔剣。
魔家四将の一人、魔礼青が使用する宝貝。
複数の斬撃を発生させる魔剣。
【ヨミヨミの実@ワンピース】
悪魔の実の一つ、一度死んだ後に生き返る事が約束されている。ただし制限の為、首輪の爆発で死んだ場合と、首を切断した場合は効果が無い。原作ではブルックがその能力者。
悪魔の実の一つ、一度死んだ後に生き返る事が約束されている。ただし制限の為、首輪の爆発で死んだ場合と、首を切断した場合は効果が無い。原作ではブルックがその能力者。
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| GAME START | 植木耕助 | 070:Men&Woman&Boy&Girl~英雄譚~ |
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