厨BOSS BATTLE-BERSERK- ◆L62I.UGyuw
闖入者はガッツを斬り付けた後、野生の狼を思わせる異常な身のこなしで剛力番長へと襲い掛かって行った。
剛力番長は面食らいながらも、ガッツが襲われている隙に素早く地面に刺さった大剣を抜き、それを振り回して対抗している。
剛力番長は面食らいながらも、ガッツが襲われている隙に素早く地面に刺さった大剣を抜き、それを振り回して対抗している。
(クソッタレ……何だってんだ、あいつは)
ガッツは殆ど鈍器と化したキリバチを支えに立ち上がる。
そして眼前の戦いから目を切らずに胸部の傷を確認。
これは肉が斬り裂かれたのみ。大した怪我ではない。
そんなことより、だ。
そして眼前の戦いから目を切らずに胸部の傷を確認。
これは肉が斬り裂かれたのみ。大した怪我ではない。
そんなことより、だ。
「ありゃマズいだろうが……!」
突如飛び掛ってきた乱入者が纏っている鎧は、紛れも無く狂戦士の甲冑。
あの凶暴性、そして異常な身体能力は贋物では有り得ない。
ただの鎧と思って身に付けてしまったのだろうか。
しかも中身も只者ではなさそうだ。
あの凶暴性、そして異常な身体能力は贋物では有り得ない。
ただの鎧と思って身に付けてしまったのだろうか。
しかも中身も只者ではなさそうだ。
面倒臭ぇことになったぜ、などと思いつつ舌打ちしたそのとき、狂戦士が剛力番長を力任せの一撃で遠くへと弾き飛ばした。
そしてすぐさま振り返ってこちらに狙いを変える。
対するガッツはキリバチを中段に構えて思案する。
剣だ。
何よりも、まず敵の剣を封じなければ。
獣の俊敏さで太刀筋と攻撃箇所が一致しないあの不可思議な剣を振るわれては堪らない。
幸い剣の特性を利用する知性は失われているようだが、それでも正確な間合いを計れないのは辛い。
その戦闘スタイルから怪力に任せて戦う暴戦士と誤解されがちだが、彼は高い技術を身に付けた超一流の剣士なのだから。
そしてすぐさま振り返ってこちらに狙いを変える。
対するガッツはキリバチを中段に構えて思案する。
剣だ。
何よりも、まず敵の剣を封じなければ。
獣の俊敏さで太刀筋と攻撃箇所が一致しないあの不可思議な剣を振るわれては堪らない。
幸い剣の特性を利用する知性は失われているようだが、それでも正確な間合いを計れないのは辛い。
その戦闘スタイルから怪力に任せて戦う暴戦士と誤解されがちだが、彼は高い技術を身に付けた超一流の剣士なのだから。
だが――、
「く……っ!」
素早い。
滅茶苦茶に振り回される剣とそれに伴う無数の剣撃。
小柄な身体に似合わず膂力も相当のものだ。
これを壊れかけた剣一本で捌くとなると、さしものガッツも防戦に回らざるを得ない。
全身に細かい傷が増えていく。
何処かに反撃の糸口は――、
滅茶苦茶に振り回される剣とそれに伴う無数の剣撃。
小柄な身体に似合わず膂力も相当のものだ。
これを壊れかけた剣一本で捌くとなると、さしものガッツも防戦に回らざるを得ない。
全身に細かい傷が増えていく。
何処かに反撃の糸口は――、
「でやあああああああああああ!」
そこに復活した剛力番長が叫び声を上げながら突っ込んで来た。
「たあっ!」
そして二人を両断せんと大剣を横薙ぎに振り回す。
それを見たガッツは身体を引いて剣の射程外ギリギリに逃れ、同時に狂戦士の逃げ道を塞ぐ。
だが、狂戦士は背後に目が付いているかのような動きでガッツの頭の高さまで跳び上がり、一気に身体を丸めて前方宙返りをした。
そしてその勢いを利用し、剣を叩き付けんばかりの勢いで振り下ろそうとする。
それを見たガッツは身体を引いて剣の射程外ギリギリに逃れ、同時に狂戦士の逃げ道を塞ぐ。
だが、狂戦士は背後に目が付いているかのような動きでガッツの頭の高さまで跳び上がり、一気に身体を丸めて前方宙返りをした。
そしてその勢いを利用し、剣を叩き付けんばかりの勢いで振り下ろそうとする。
「させるかよッ!」
しかしその打ち下ろしの一撃を、ガッツは右手首を掴んで止める。
無数の斬撃が生じる直前で霧散する。
だが、
無数の斬撃が生じる直前で霧散する。
だが、
「なッ……ガ、ハッ!?」
狂戦士は残った左腕でガッツの頸を鷲掴みにし、彼を押し倒した。
ミシミシと頚椎が悲鳴を上げる。声が出ない。
キリバチは狂戦士の体で押さえ付けられている。
口のように変形した狂戦士の頭部がガッツの視界を覆い、不気味に噛み合わされる。
そして――逆光に、ギラつく巨大な剣を振り被る剛力番長のシルエットが浮かび上がった。
ミシミシと頚椎が悲鳴を上げる。声が出ない。
キリバチは狂戦士の体で押さえ付けられている。
口のように変形した狂戦士の頭部がガッツの視界を覆い、不気味に噛み合わされる。
そして――逆光に、ギラつく巨大な剣を振り被る剛力番長のシルエットが浮かび上がった。
マズい。
あの怪力で甲冑ごとオレを叩き潰す気だ。
下は固い地面。
かかる力を逃がす場は無い。
舌打ち。
まだ手は有る。
キリバチを手放す。
金平糖に似た形の炸裂弾を懐から取り出し、キリバチと狂戦士の間に素早く滑り込ませる。
裂帛の気合と共に振り下ろされる鉄塊。
衝突音。
同時に乾いた破裂音。
あの怪力で甲冑ごとオレを叩き潰す気だ。
下は固い地面。
かかる力を逃がす場は無い。
舌打ち。
まだ手は有る。
キリバチを手放す。
金平糖に似た形の炸裂弾を懐から取り出し、キリバチと狂戦士の間に素早く滑り込ませる。
裂帛の気合と共に振り下ろされる鉄塊。
衝突音。
同時に乾いた破裂音。
「が――ッ、は……」
ガッツは――無事だった。
狙い通り、爆発の衝撃が剛力番長の一撃の威力を緩和してくれたようだ。
思わぬ衝撃によろめく剛力番長。
狂戦士は悲鳴一つ上げずに、しかし硬直している。
脱出するなら今――!
だが、
狙い通り、爆発の衝撃が剛力番長の一撃の威力を緩和してくれたようだ。
思わぬ衝撃によろめく剛力番長。
狂戦士は悲鳴一つ上げずに、しかし硬直している。
脱出するなら今――!
だが、
(畜生――腕が、痺れ……!)
キリバチに伝わった衝撃で、腕が麻痺している。
力が入らない。
回復まで数秒。
そしてその数秒は、
力が入らない。
回復まで数秒。
そしてその数秒は、
「このっ……小細工をッ!」
絶望的なタイムラグ。
覆い被さった鎧の向こうで、剛力番長が再び鉄塊を大上段に構える。
あれが振り下ろされれば、今度こそ命は無い。
何とかこいつを引き剥がして――駄目だ。間に合わない。
剛力番長の細腕に力が込められ――、
覆い被さった鎧の向こうで、剛力番長が再び鉄塊を大上段に構える。
あれが振り下ろされれば、今度こそ命は無い。
何とかこいつを引き剥がして――駄目だ。間に合わない。
剛力番長の細腕に力が込められ――、
そのとき彼女の足首に鞭が絡み、次の瞬間、彼女の天地を勢い良く引っ繰り返した。
「きゃあっ!?」
悲鳴を上げて頭からアスファルトに叩き付けられる剛力番長。
並の人間ならこれだけでも即死しかねないのだが、
並の人間ならこれだけでも即死しかねないのだが、
「いたた……どなたですの!?」
まるで平然と立ち上がり、鞭の飛んで来た方を睨み付けて誰何する。
そこには木刀を提げた優男、沖田総悟と、怪しい仮面の男、卑怯番長が並び立っていた。
そこには木刀を提げた優男、沖田総悟と、怪しい仮面の男、卑怯番長が並び立っていた。
「だからあのキングコングが全部悪ィんだって言ったろーが。これで少しは信用したかィ?」
「いいや、全く。
……とはいえ、尋常な状況でないことは確か、かな。
剛力番長、これは一体どういうことなんだ?」
「いいや、全く。
……とはいえ、尋常な状況でないことは確か、かな。
剛力番長、これは一体どういうことなんだ?」
瞳に蒼い炎を宿した卑怯番長が、拷問鞭を引き戻しながら、剛力番長を真っ直ぐに見据える。
その横で、沖田が緊張感の無い声を上げた。
その横で、沖田が緊張感の無い声を上げた。
「よぉ、ガッツの旦那。危ねェとこでしたねェ。
俺が助けなけりゃどうなってたことやら。
あァそうそう、礼は『鬼嫁』で頼みまさァ」
俺が助けなけりゃどうなってたことやら。
あァそうそう、礼は『鬼嫁』で頼みまさァ」
ガッツは回復した腕で狂戦士を無理矢理引き剥がし、蹴り飛ばす。
その拍子に狂戦士の腰が前後逆に捩れた。
その拍子に狂戦士の腰が前後逆に捩れた。
「……てめえは、何もやってねえだろうが」
乱れた息を整えながらもっともな悪態を吐くガッツ。
「あなたは――」
びしばしごきり。
睨む卑怯番長に対して剛力番長が何かを言おうとした直後、狂戦士の捩れていた身体が異様な音を立てて元の形に戻った。
あまりの異常さに、沖田も睨み合っていた二人も思わず目を剥く。
そんな中、ただ一人、ガッツは冷静に告げた。
あまりの異常さに、沖田も睨み合っていた二人も思わず目を剥く。
そんな中、ただ一人、ガッツは冷静に告げた。
「その鎧はな、でけえ力と引き換えに装着者を死ぬまで戦わせる代物なんだよ。
……もう中のヤツは手遅れだ」
……もう中のヤツは手遅れだ」
そして立ち上がりかけた狂戦士に向かって、既にヒビの入ったキリバチをぶつけるように突っ込み、弾き飛ばす。
「そいつはしばらくてめえらで抑えてろ!
オレは――こいつを止める!」
オレは――こいつを止める!」
**********
「剛力番長! 本当に僕のことが判らないのか!?」
飛来する鞭を回避し、剛力番長が叫ぶ卑怯番長に迫る。
「何度も言わせないで下さい!
あなたのことなんてっ、知りませんわっ!」
あなたのことなんてっ、知りませんわっ!」
力任せに振るわれた大剣が空を切る。
「だから無駄だっつーの。金剛の旦那も説得しようとしてたけどなァ。
こーいう手合いは体に言い聞かせたほうが早ェんだよッ!」
こーいう手合いは体に言い聞かせたほうが早ェんだよッ!」
隙を突いた沖田の剣閃が剛力番長の胴を薙ぐ。
状況は膠着していた。
沖田と卑怯番長の急造コンビは、意外なコンビネーションで剛力番長を完全に翻弄している。
だが沖田の剣撃も卑怯番長の鞭打も、剛力番長にダメージを与えられない。
攻撃は当たるのだが、彼女の白い肌には痣一つ出来ないのだ。
沖田と卑怯番長の急造コンビは、意外なコンビネーションで剛力番長を完全に翻弄している。
だが沖田の剣撃も卑怯番長の鞭打も、剛力番長にダメージを与えられない。
攻撃は当たるのだが、彼女の白い肌には痣一つ出来ないのだ。
二人は徐々に焦りだしていた。
傍目には両者は互角だが、このまま戦いが長引けば剛力番長のラッキーパンチが炸裂する恐れがある。
それにガッツが狂戦士に敗北した場合も危険だ。
剛力番長の体力切れを狙うのはリスクが大き過ぎる。
傍目には両者は互角だが、このまま戦いが長引けば剛力番長のラッキーパンチが炸裂する恐れがある。
それにガッツが狂戦士に敗北した場合も危険だ。
剛力番長の体力切れを狙うのはリスクが大き過ぎる。
多少賭けになるけど、仕方ない――か。
卑怯番長はある策を考え、剛力番長に聴こえない程度の小声で沖田に囁いた。
卑怯番長はある策を考え、剛力番長に聴こえない程度の小声で沖田に囁いた。
「沖田君。君、何処か体を痛めてるね?
無理をすることはない。彼女の相手は僕に任せて休んでいたらどうだい?」
無理をすることはない。彼女の相手は僕に任せて休んでいたらどうだい?」
沖田の目が僅かに細められる。
「はァ? 何の冗談でィ。誰がテメーの言うことなんざ聞くかよ」
確かに彼は先の潤也の不意打ちで腹にダメージを負っているのだが、この状況でハイそうですかと引き下がる訳にはいかない。
しかし卑怯番長は、なら言い方を変えよう、と更に続ける。
しかし卑怯番長は、なら言い方を変えよう、と更に続ける。
「彼女は――僕らの仲間だ。仲間の不始末は仲間が償うものさ。
そうでないと――『スジが通らねえ』だろう?」
そうでないと――『スジが通らねえ』だろう?」
それを聞いた沖田はなおも軽口を――叩かなかった。
「……フン。まァ、いいだろ。あいつァ確かにテメーの身内みてーだし、好きにしろィ」
そう言って、剛力番長がガッツの方へ向かった場合に妨害出来る距離を維持しつつ、剣を下ろして退く。
その様子を見た剛力番長は、あちこちが裂けてボロボロになった服を形だけ整えながら、不審そうな顔で口を開いた。
その様子を見た剛力番長は、あちこちが裂けてボロボロになった服を形だけ整えながら、不審そうな顔で口を開いた。
「あなた一人で私と戦うつもりですの?」
そうさ、と不敵に笑う卑怯番長。
「何故なら――本気を出した僕の力は君より上だからさ。
……おや、信じられないという顔だね。
なら力比べと行こうか」
……おや、信じられないという顔だね。
なら力比べと行こうか」
自信満々にそう言い放つと、卑怯番長は無造作に剛力番長に近付いて行く。
あまりに隙だらけのその行動に、逆に剛力番長は戸惑いを隠せず、攻撃する機を失う。
卑怯番長は彼女の数メートル手前で立ち止まると、足を肩幅に開いて剛力番長に正面から向き合い、腰を落としておもむろに彼女に対して軽く腕を突き出した。
そして、掌を天に向け、指をクイと曲げて挑発する。
あまりに隙だらけのその行動に、逆に剛力番長は戸惑いを隠せず、攻撃する機を失う。
卑怯番長は彼女の数メートル手前で立ち止まると、足を肩幅に開いて剛力番長に正面から向き合い、腰を落としておもむろに彼女に対して軽く腕を突き出した。
そして、掌を天に向け、指をクイと曲げて挑発する。
「どうした? 怖気付いたのかい? 君の剛力は正義の象徴なんだろう?
さあ、剛力番長。君の正義――真っ向から打倒してあげるよ」
さあ、剛力番長。君の正義――真っ向から打倒してあげるよ」
その台詞を言い終わるか否かというタイミングで、剛力番長が地を蹴った。
「ディバイン――」
剣撃ではない。
小細工無し、最速の直線攻撃。
小細工無し、最速の直線攻撃。
「ハンドッ!」
鋼をも砕く剛拳が卑怯番長を貫かんと放たれる。
唸りを上げて迫る掌底。
唸りを上げて迫る掌底。
次の瞬間、卑怯番長は突き出した拳をくるりと返して掌を前に向け、
「ハァッ!」
迫る拳に合わせるように突いた。
二人の中央で激しくぶつかり合う掌。
だが――誰もが想像したであろう致命的な破壊は、発生しなかった。
二人の中央で激しくぶつかり合う掌。
だが――誰もが想像したであろう致命的な破壊は、発生しなかった。
「――え?」
戸惑う剛力番長。
衝撃が無い。いや、それどころか手応えすら無い。
まるで巨大な綿を殴ったかのような――。
衝撃が無い。いや、それどころか手応えすら無い。
まるで巨大な綿を殴ったかのような――。
その一瞬の隙を突いて、卑怯番長は蛇のような動きで彼女の懐へと飛び込んだ。
「悪いね、少し眠っていてくれ」
トン、と。
服の上から剛力番長の薄い胸に掌を当て、
服の上から剛力番長の薄い胸に掌を当て、
「“衝撃(インパクト)”」
露出した鎖骨の間を押すようにして掌を傾け、
「“貝(ダイアル)”!!」
轟音。
剛力番長の小さな体が、ピンポン玉のように斜め下に弾け飛びアスファルトを粉砕した。
後ろで観ていた沖田が、ヒュウと口笛を吹く。
後ろで観ていた沖田が、ヒュウと口笛を吹く。
「イテテ……でもなるほど、確かにこれは便利だね」
痺れる手を振りながら、卑怯番長は路面を、いや、路面に開いた大穴を見下ろす。
穴の底には、服が破れ胸を大きく露出した剛力番長が仰向けに倒れていた。
穴の底には、服が破れ胸を大きく露出した剛力番長が仰向けに倒れていた。
**********
沖田と卑怯番長が剛力番長と戦っているとき。
ガッツも黒い鎧の戦士を彼らから引き離しつつ、剣を交えていた。
断続的に爆音が響く住宅街に、鈍い金属音が幾度となく響き渡る。
ガッツも黒い鎧の戦士を彼らから引き離しつつ、剣を交えていた。
断続的に爆音が響く住宅街に、鈍い金属音が幾度となく響き渡る。
「フン、やっぱりな」
鎧の戦士としばらく打ち合いを続けていたガッツが、一旦距離を取って小さな声で呟いた。
「おい、てめえ」
呼び掛ける。
彼にしては珍しく、声に力が無い。
反応は無い。
彼にしては珍しく、声に力が無い。
反応は無い。
「てめえの剣には殺意が無え。てめえから感じるのは敵意だけだ」
反応は無い。
動きも無い。
動きも無い。
「さっきてめえが本気でオレを殺す気だったら、オレの首は折れてただろうよ」
やはり反応は無い。
だが何故か襲い掛かっても来ない。
だが何故か襲い掛かっても来ない。
「てめえ――まだ、そのクソ鎧に抵抗してるんだな。……大した野郎だぜ」
それがどれほど驚くべきことか。
以前、何度も鎧に飲み込まれかけたガッツには解る。
この戦士の意志の強靭さと、底無しの優しさが。
以前、何度も鎧に飲み込まれかけたガッツには解る。
この戦士の意志の強靭さと、底無しの優しさが。
「てめえは――」
かつての、ただの復讐鬼だったガッツならば、そんなことは歯牙にも掛けなかっただろう。
どうせ倒すのだ。殺すのだ。
それなら、敵の事情など知らなくていい。知らない方がいい。
どうせ倒すのだ。殺すのだ。
それなら、敵の事情など知らなくていい。知らない方がいい。
「てめえは一体――」
だが――彼は再び仲間を得てしまった。掛け替えのないものを手に入れてしまった。
だから、鎧の戦士の戦う理由を理解してしまった。
だから、無意味と解っていても訊かずにはいられなかった。
だから、鎧の戦士の戦う理由を理解してしまった。
だから、無意味と解っていても訊かずにはいられなかった。
「――誰を護りたかったんだ?」
ォ――――オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
ガッツの言葉を合図とするように、鎧の戦士は雄叫びを上げた。
慟哭にも似たその咆哮を、ガッツはただ受け止める。
慟哭にも似たその咆哮を、ガッツはただ受け止める。
そして――鎧の戦士は弾丸のような勢いでガッツに向けて突進を開始した。
対するガッツも無言で地を蹴る。
対するガッツも無言で地を蹴る。
中央で、両者が激突した。
キリバチの刀身が根元から砕け、ガッツの右肩から派手に血が噴き出した。
鎧の戦士はガッツの背後で静止している。
鎧の戦士はガッツの背後で静止している。
そして、
パパパパン!
くぐもった複数の破裂音が、漆黒の鎧の内部から響いた。
すれ違い様にガッツが口を模した頭部の大穴から炸裂弾を放り込んだのだ。
どろりと、鎧の各所の隙間から赤黒い液体が流れ出す。
すれ違い様にガッツが口を模した頭部の大穴から炸裂弾を放り込んだのだ。
どろりと、鎧の各所の隙間から赤黒い液体が流れ出す。
「悪いな」
ガッツの殆ど消え入るような呟きと同時に、ビデオのスロー再生のように、血に塗れた鎧が崩れ落ちた。
最後にズシンと重い音が響き、そしてほんの僅かに道を過った少年は、それきり動かなくなった。
最後にズシンと重い音が響き、そしてほんの僅かに道を過った少年は、それきり動かなくなった。
【植木耕助@うえきの法則 死亡】
**********
「こいつは『衝撃貝(インパクトダイアル)』といってね。
衝撃を吸収、放出することが出来る道具なのさ。
流石の剛力番長も自分の全力をそのまま返されたら堪らないだろ?
まぁ彼女の怪力を吸収し切れるかは不安だったんだけど――これならこの先も役に立ちそうだ」
衝撃を吸収、放出することが出来る道具なのさ。
流石の剛力番長も自分の全力をそのまま返されたら堪らないだろ?
まぁ彼女の怪力を吸収し切れるかは不安だったんだけど――これならこの先も役に立ちそうだ」
掌に仕込んだ平べったい貝を掲げながら、卑怯番長は沖田に先程の攻撃のタネを明かしていた。
「オイオイ、自分から真っ向勝負挑んでおいてそれかよ。
ったく。卑怯な野郎だぜィ」
ったく。卑怯な野郎だぜィ」
呆れた調子で沖田が卑怯番長の戦法を非難する。
とはいえ、勿論本気で咎めている訳ではない。
卑怯番長も、褒め言葉と受け取っておくよ、と軽く返す。
とはいえ、勿論本気で咎めている訳ではない。
卑怯番長も、褒め言葉と受け取っておくよ、と軽く返す。
「……おっと、どうやらあっちも終わったようだね」
見ると、ガッツが道の向こうから歩いてやって来る。
右肩から胸にかけてその隆々とした筋肉が剥き出しとなり、血が流れているが、他に目立った外傷は無い。
卑怯番長がそちらに注意を逸らしたその瞬間、
右肩から胸にかけてその隆々とした筋肉が剥き出しとなり、血が流れているが、他に目立った外傷は無い。
卑怯番長がそちらに注意を逸らしたその瞬間、
「おいッ!」
沖田が叫ぶ。
「――たあァッ!」
同時に剛力番長がカッと目を開いて手に持つ鉄塊を力任せに振り回した。
咄嗟に上半身を反らす卑怯番長。その眼前を暴力の塊が素通りする。
体勢を崩した卑怯番長に彼女は追撃を――、
咄嗟に上半身を反らす卑怯番長。その眼前を暴力の塊が素通りする。
体勢を崩した卑怯番長に彼女は追撃を――、
「――何?」
せずに逃げた。
はだけた胸など気にもしない様子で一目散に走り去る。
弾かれたように飛び出して剛力番長を追い掛ける沖田。一瞬遅れて卑怯番長が続く。
剛力番長が逃げた先にいるのはガッツ。
彼は慌てずスキー板のような剣を構えて、迎え撃つ準備をする。
剛力番長は連戦の疲れを感じさせない速さであっという間にガッツの目の前まで駆け抜け――、
はだけた胸など気にもしない様子で一目散に走り去る。
弾かれたように飛び出して剛力番長を追い掛ける沖田。一瞬遅れて卑怯番長が続く。
剛力番長が逃げた先にいるのはガッツ。
彼は慌てずスキー板のような剣を構えて、迎え撃つ準備をする。
剛力番長は連戦の疲れを感じさせない速さであっという間にガッツの目の前まで駆け抜け――、
跳躍。
その勢いのまま、彼の遥か頭上を超えて行った。
その勢いのまま、彼の遥か頭上を超えて行った。
「あぁ?」
後ろを振り向きつつ、剛力番長の予想外の行動に戸惑うガッツ。
だがすぐにあることに思い至って、彼は舌打ちをした。
だがすぐにあることに思い至って、彼は舌打ちをした。
「しまった! クソッタレが!!」
**********
――私は、これから決死の覚悟で正義の実行に参ります。
もしかすると、これが最後の日記になるかもしれません。
もしかすると、これが最後の日記になるかもしれません。
ですから――もしこれを聞く方がいましたら、お願いがあります。
正義のために、どうか私の遺志を継いで下さい。
正義のために、どうか私の遺志を継いで下さい。
そうすれば、たとえ私の身が滅んだとしても、正義は――、
**********
天頂付近で存在を主張する太陽の下。
微かに潮の香りが漂う住宅街の一角に、三人の戦士が集まっていた。
いつの間にか砲撃音は止み、代わりに場違いな外れた歌声が大空に轟いている。
しかしそれに構わず、三人は油断無くそれぞれの武器を構えていた。
微かに潮の香りが漂う住宅街の一角に、三人の戦士が集まっていた。
いつの間にか砲撃音は止み、代わりに場違いな外れた歌声が大空に轟いている。
しかしそれに構わず、三人は油断無くそれぞれの武器を構えていた。
「あの、クソガキ……」
彼らが武器を向けているのは一般的な木造の民家。
「ナンつーかねェ。やっぱこりゃとっとと逃げた方がいいんじゃねーか?」
ついさっきまで、ガッツ達は遁走した剛力番長を捜していたのだが、最早その必要は無くなった。
「だったら逃げればいいだろう? 別に引き止めやしないさ」
と言っても、彼女が大人しく彼らの前に出て来た訳ではない。
「テメー、俺が一人で逃げたら絶対に囮にするつもりだろーが。誰がンな損な役引き受けるかィ」
三人のいる場所からは見えないが、民家の向こう側で禍々しい気配が生まれているのだ。
「あれ? バレたか。残念」
そのことと、植木の遺体が消えていたという事実を考え合わせると、考えられる可能性は唯一つ。
「おい、てめえら。その辺にしとけ。――来るぞ!」
ガッツの警告に二人は軽口を止め、武器を握り直す。
刹那――禍々しい気配が、一気に膨れ上がった。
刹那――禍々しい気配が、一気に膨れ上がった。
――それは一つの理想の終焉。
「正義はぁァァァァ!」
内に憤怒の塊を宿し――、
――破砕音。
民家の更に向こうに見えていた風見鶏が沈んでいく。
「絶対にぃぃィィィィ!!」
外に漆黒の鎧を纏い――、
――轟音。
地が揺れ、皮膚に突き刺さるような殺気が辺りを包みこむ。
「負ァけッ、ないのですわァァァァアアアア!!!!」
竜をも斬り伏せる分厚い魔剣を携え――、
――爆音。
そして、目の前の民家の壁と塀が纏めて粉々に吹き飛んだ。
濛々と立ち込める土煙。いくつもの家がみるみる傾いていく。
崩壊する住宅街を背後に、かつて白雪宮拳と呼ばれていた存在――究極の『番長』が、絶対の正義を執行すべく姿を現した。
【I-7/路上/1日目/午前】
【秋山優(卑怯番長)@金剛番長】
[状態]:疲労(小)
[服装]:超短ラン
[装備]:衝撃貝(インパクトダイアル)@ONE PIECE、拷問鞭@金剛番長
[道具]:支給品一式、激辛せんべい@銀魂、不明支給品1(卑怯番長が使えると判断したもの)
カセットテープ(前半に第一回放送、後半に演歌が収録)、或謹製の人相書き、携帯電話
[思考]
基本:どのような状態でも、自分のスタンスを変えない。
1:剛力番長を止める。
2:金剛を殺した者への怒り。
3:沖田を警戒。
[備考]
※登場時期は、23区計画が凍結された所です。
※桂雪路ととらを双子の姉妹だと思っています。
※放送をカセットテープに録音した事により、その内容を把握できています。
また、放送の女性の造反は“神”の予定外の事だったと考えています。
[状態]:疲労(小)
[服装]:超短ラン
[装備]:衝撃貝(インパクトダイアル)@ONE PIECE、拷問鞭@金剛番長
[道具]:支給品一式、激辛せんべい@銀魂、不明支給品1(卑怯番長が使えると判断したもの)
カセットテープ(前半に第一回放送、後半に演歌が収録)、或謹製の人相書き、携帯電話
[思考]
基本:どのような状態でも、自分のスタンスを変えない。
1:剛力番長を止める。
2:金剛を殺した者への怒り。
3:沖田を警戒。
[備考]
※登場時期は、23区計画が凍結された所です。
※桂雪路ととらを双子の姉妹だと思っています。
※放送をカセットテープに録音した事により、その内容を把握できています。
また、放送の女性の造反は“神”の予定外の事だったと考えています。
【沖田総悟@銀魂】
[状態]:疲労(中)、腹部に鈍痛、わずかな悲しみと苛立ち
[服装]:真選組制服
[装備]:木刀正宗@ハヤテのごとく!、首輪@銀魂(鎖は途中で切れている)
[道具]:支給品一式×2、イングラムM10(10/19)@現実、工具数種、不明支給品0~1(確認済み、武器はない)
[思考]
基本:さっさと江戸に帰る。無駄な殺しはしないが、殺し合いに乗る者は―――
1:剛力番長を何とかする。
2:火災をなんとかする。
3:潤也への対策を考えておく。
[備考]
※沖田ミツバ死亡直後から参戦。
※今の所まだ金剛達との世界観の相違には気がついていないようです。
※キンブリーを危険人物として認識。
※デパートの事件の顛末を知りました。
[状態]:疲労(中)、腹部に鈍痛、わずかな悲しみと苛立ち
[服装]:真選組制服
[装備]:木刀正宗@ハヤテのごとく!、首輪@銀魂(鎖は途中で切れている)
[道具]:支給品一式×2、イングラムM10(10/19)@現実、工具数種、不明支給品0~1(確認済み、武器はない)
[思考]
基本:さっさと江戸に帰る。無駄な殺しはしないが、殺し合いに乗る者は―――
1:剛力番長を何とかする。
2:火災をなんとかする。
3:潤也への対策を考えておく。
[備考]
※沖田ミツバ死亡直後から参戦。
※今の所まだ金剛達との世界観の相違には気がついていないようです。
※キンブリーを危険人物として認識。
※デパートの事件の顛末を知りました。
【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[服装]:黒い外套(胸から肩にかけて破れている)
[装備]:青雲剣@封神演義
[道具]:支給品一式、炸裂弾×5@ベルセルク、折れたキリバチ@ONE PIECE
[思考]
基本:グリフィスに鉄塊をぶち込む。
1:剛力番長を倒す。
2:グリフィスを殺す。
3:グリフィスの部下の使徒どもも殺す。
4:ドラゴンころしを取り戻す。
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[服装]:黒い外套(胸から肩にかけて破れている)
[装備]:青雲剣@封神演義
[道具]:支給品一式、炸裂弾×5@ベルセルク、折れたキリバチ@ONE PIECE
[思考]
基本:グリフィスに鉄塊をぶち込む。
1:剛力番長を倒す。
2:グリフィスを殺す。
3:グリフィスの部下の使徒どもも殺す。
4:ドラゴンころしを取り戻す。
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。
【白雪宮拳(剛力番長)@金剛番長】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、ホムンクルス『最強の眼』、狂戦士化
[服装]:キツめの体操服(ズタズタ)、紺のブルマ
[装備]:狂戦士の甲冑@ベルセルク、ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:
[思考]
基本:正義を実行する。
0:???
[備考]
※参戦時期は金剛番長と出会う直前です。
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、ホムンクルス『最強の眼』、狂戦士化
[服装]:キツめの体操服(ズタズタ)、紺のブルマ
[装備]:狂戦士の甲冑@ベルセルク、ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:
[思考]
基本:正義を実行する。
0:???
[備考]
※参戦時期は金剛番長と出会う直前です。
※I-7の裏路地には植木耕助の死体と植木耕助、剛力番長のデイパック(支給品一式×2、アルフォンスの残骸×3、ボイスレコーダー@現実)が放置されています。
※ボイスレコーダーには、剛力番長と出会うまでのマシン番長の行動記録と、
剛力番長の島に来てからの日記が記録されています。
※ボイスレコーダーには、剛力番長と出会うまでのマシン番長の行動記録と、
剛力番長の島に来てからの日記が記録されています。
【炸裂弾@ベルセルク】
金平糖のような形をした小さな爆弾。
擦過により着火し、三つ数えた後に爆発する。
金平糖のような形をした小さな爆弾。
擦過により着火し、三つ数えた後に爆発する。
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| 115:燃えよ剣(下) | 秋山優(卑怯番長) | 131:番長たちの挽歌(上) |
| 115:燃えよ剣(下) | 植木耕助 | GAME OVER |
| 115:燃えよ剣(下) | 沖田総悟 | 131:番長たちの挽歌(上) |
| 115:燃えよ剣(下) | ガッツ | 131:番長たちの挽歌(上) |
| 115:燃えよ剣(下) | 白雪宮拳(剛力番長) | 131:番長たちの挽歌(上) |