番長たちの挽歌(下)◆Yue55yrOlY
爆発の衝撃波で砕け散ったガラスの欠片を踏み越えて、バイクに乗ったまま卑怯番長はデパート内部へと突入する。
いまや素通しとなった窓から採り入れた自然光のみに照らされた店内の様子は、外の光量に慣れた目には
少し薄暗く感じる。
半日の内に幾度となく戦いの舞台となったデパート内は、不気味なほど静まり返っていた。
この建物のどこかで、彼女は身を潜め、傷を癒しているのだろうか。
少し薄暗く感じる。
半日の内に幾度となく戦いの舞台となったデパート内は、不気味なほど静まり返っていた。
この建物のどこかで、彼女は身を潜め、傷を癒しているのだろうか。
「出てこいよ、剛力番長!」
大声で呼ばわると、卑怯番長はハーレーのライトを灯し、スロットルを解放する。
密閉された空間に、高回転のエンジン音が鳴り響く。
それは『番長』への挑戦を告げる合図であり、その効果は覿面であった。
密閉された空間に、高回転のエンジン音が鳴り響く。
それは『番長』への挑戦を告げる合図であり、その効果は覿面であった。
ダァンッ!
二階の吹き抜けから、黒い影が落下する。
落下地点にあった宝石を陳列したショーケースが粉々になり、キラキラ輝く宝石が舞い散った。
挑戦に応え、現れた黒金の鎧。
落下地点にあった宝石を陳列したショーケースが粉々になり、キラキラ輝く宝石が舞い散った。
挑戦に応え、現れた黒金の鎧。
それに向かって人馬一体となった卑怯番長が突撃する。
綺麗に磨かれた床に、タイヤの跡が一直線に刻まれる。
激突の瞬間、ハーレーの上体を起こし、300kgを超える重量ごと叩きつけた。
綺麗に磨かれた床に、タイヤの跡が一直線に刻まれる。
激突の瞬間、ハーレーの上体を起こし、300kgを超える重量ごと叩きつけた。
「ッ!?」
踏みつぶし、そのまま乗り越えていくつもりだったその攻撃は、
しかし、ガッシリと『番長』に受けとめられる。
疲れや痛みなど知らぬとばかりに、『番長』の兜の奥の眼が光る。
やはり、強い。
ヒトを超え、番長を超え、その力は計り知れない。
ゾクリと、卑怯番長の背筋が凍る。
しかし、ガッシリと『番長』に受けとめられる。
疲れや痛みなど知らぬとばかりに、『番長』の兜の奥の眼が光る。
やはり、強い。
ヒトを超え、番長を超え、その力は計り知れない。
ゾクリと、卑怯番長の背筋が凍る。
メキリ
『番長』が握りしめた、ハーレーの下部フレームが歪む。
空回る前輪。
しかし後輪の推力を得て、更に圧し合う力は強まる。
空回る前輪。
しかし後輪の推力を得て、更に圧し合う力は強まる。
ミシッ! ミシッ!
スロットル全開。
最大トルクで拮抗する力に、フレームが軋む。
オイルを垂れ流し、悶え苦しむ束の間の愛馬。
その愛馬の腹に、垂直に蹴りあげられた『番長』の足が突き刺さる。
爆発的な衝撃。
パーツを撒き散らかし、崩壊しながら打ち上げられたハーレーの車体を足がかりに、卑怯番長は
トンボを切って脱出する。
最大トルクで拮抗する力に、フレームが軋む。
オイルを垂れ流し、悶え苦しむ束の間の愛馬。
その愛馬の腹に、垂直に蹴りあげられた『番長』の足が突き刺さる。
爆発的な衝撃。
パーツを撒き散らかし、崩壊しながら打ち上げられたハーレーの車体を足がかりに、卑怯番長は
トンボを切って脱出する。
宙を舞うように落下する卑怯番長。
その目前に、自らも跳躍した『番長』の追撃が迫る。
その目前に、自らも跳躍した『番長』の追撃が迫る。
「――っ!」
「アアッ!!」
「アアッ!!」
鎧の爪を寄り合わせた、貫くような右の手刀を、側面から弾いて直撃を避ける。
跳ねあがる蹴り足を、上体を仰け反らせて避ける。帽子が掠って吹っ飛んだ。
それで間合いが離れた卑怯番長に対し、旋回しながら振り向きざまのバックブロー。
伸びるようにして届いたその攻撃は、避ける事が出来なかった。
跳ねあがる蹴り足を、上体を仰け反らせて避ける。帽子が掠って吹っ飛んだ。
それで間合いが離れた卑怯番長に対し、旋回しながら振り向きざまのバックブロー。
伸びるようにして届いたその攻撃は、避ける事が出来なかった。
殴り飛ばされた卑怯番長の身体が、商品棚を巻き込みながら床へと叩きつけられる。
えずきながらうずくまる卑怯番長に、散乱する製品を踏みつぶして『番長』が近付く。
遠のきそうになる意識を、痛みが引き戻す。
拷問鞭を、胸に巻きつけて収納していたのが幸いした。
粉砕された右の肋骨は肺に突き刺さることもなく、即席の鎧としての役割を果たしていた。
えずきながらうずくまる卑怯番長に、散乱する製品を踏みつぶして『番長』が近付く。
遠のきそうになる意識を、痛みが引き戻す。
拷問鞭を、胸に巻きつけて収納していたのが幸いした。
粉砕された右の肋骨は肺に突き刺さることもなく、即席の鎧としての役割を果たしていた。
「カ、ハ」
とは言え、ダメージは甚大。
横隔膜が痙攣し、呼吸が出来ない。
情け容赦なく、サッカーキックで蹴り飛ばそうとする動きを、ゴロゴロ転がるように避けると
卑怯番長は立ちあがる。
横隔膜が痙攣し、呼吸が出来ない。
情け容赦なく、サッカーキックで蹴り飛ばそうとする動きを、ゴロゴロ転がるように避けると
卑怯番長は立ちあがる。
「アアッ!」
「シャアッ!」
「シャアッ!」
次の瞬間、二人の姿は再び空中で交わっていた。
倒れた商品棚を踏み台に、高く舞い上がった『番長』が鉈のような踵落としを放てば
それに応じた卑怯番長が、天を突くような前蹴りでそれを受ける。
二人の番長の拳が、蹴りが、体術の応酬が空中で展開され―――
弾けるように離れると、同時に地上へと降り立つ。
倒れた商品棚を踏み台に、高く舞い上がった『番長』が鉈のような踵落としを放てば
それに応じた卑怯番長が、天を突くような前蹴りでそれを受ける。
二人の番長の拳が、蹴りが、体術の応酬が空中で展開され―――
弾けるように離れると、同時に地上へと降り立つ。
卑怯番長は、舌を鳴らす。
こめかみがザックリと裂けて、ドロリと血が垂れ落ちる。
短ランはあっというまにズタボロになっていた。
呼吸器の機能も、いまだ回復していない。
無呼吸のまま、激しく動いたツケなのか。水中を溺れるかのように、足元は覚束ない。
だというのに、目前には変わる事のない圧倒的な憤怒の化身。
こめかみがザックリと裂けて、ドロリと血が垂れ落ちる。
短ランはあっというまにズタボロになっていた。
呼吸器の機能も、いまだ回復していない。
無呼吸のまま、激しく動いたツケなのか。水中を溺れるかのように、足元は覚束ない。
だというのに、目前には変わる事のない圧倒的な憤怒の化身。
盤面は既に詰んでいる。
だから、それを打開する者があるとするなら、それは―――
だから、それを打開する者があるとするなら、それは―――
パァンッ!!
乾いた破裂音が、デパート内部に木霊する。
炸裂したのは、『番長』の目前に投げ込まれた金平糖。
その目くらましと同時に、神速の踏み込みでそれは袈裟懸けに振り下ろされた。
魔を断つ剣が、魔性の鎧ごと『番長』の鋼の肉体を切り裂く。
鎧の下に隠された、生まれたての白い肌がぱっくりと裂け、赤黒い断面を覗かせた。
炸裂したのは、『番長』の目前に投げ込まれた金平糖。
その目くらましと同時に、神速の踏み込みでそれは袈裟懸けに振り下ろされた。
魔を断つ剣が、魔性の鎧ごと『番長』の鋼の肉体を切り裂く。
鎧の下に隠された、生まれたての白い肌がぱっくりと裂け、赤黒い断面を覗かせた。
「―――」
無言のまま卑怯番長の前に割り込んだ男の、隆々と発達した背筋から湯気のような蒸気が立ち昇る。
大剣が、再び閃く。
超重量の斬撃を、獣の俊敏さで『番長』は避けた。
臓物がはみ出したまま、後方へと飛び退いた彼女の傷痕を、鎧が繋ぎ合わせる。
生き物のように蠢く鎧が再結合を果たすと、斬撃の跡は隠れて消えた。
大剣が、再び閃く。
超重量の斬撃を、獣の俊敏さで『番長』は避けた。
臓物がはみ出したまま、後方へと飛び退いた彼女の傷痕を、鎧が繋ぎ合わせる。
生き物のように蠢く鎧が再結合を果たすと、斬撃の跡は隠れて消えた。
「しぶてェな」
剣を肩に載せ、男はポツリと呟く。
ようやく回復した卑怯番長が、乱入してきた男に声を掛ける。
ようやく回復した卑怯番長が、乱入してきた男に声を掛ける。
「……へぇ、まだ、手伝ってくれるのかい?」
「別にてめえの為にやるわけじゃねえ。オレはオレのスジって奴を通しに来ただけだ」
「旦那ァ、言ってる事がツンデレみてェで、キメェですぜィ」
「別にてめえの為にやるわけじゃねえ。オレはオレのスジって奴を通しに来ただけだ」
「旦那ァ、言ってる事がツンデレみてェで、キメェですぜィ」
駆けつけてきた少年が、軽口を叩いた。
ここに再び、三人の戦士が集った。
決着の幕切れが、近付こうとしていた。
ここに再び、三人の戦士が集った。
決着の幕切れが、近付こうとしていた。
◇
三人の戦士が颶風のように戦場を縦横無尽に駆け巡れば、
『番長』は重力から解き放たれたかのように天井や壁をも足場として戦う。
四者の織りなす闘いは、死闘と呼ぶのに相応しい展開となっていた。
『番長』は重力から解き放たれたかのように天井や壁をも足場として戦う。
四者の織りなす闘いは、死闘と呼ぶのに相応しい展開となっていた。
三戦士の振るう鞭や剣は『番長』に致命打を与えるものではなかったが、
『番長』の攻撃もまた、三人の連携の前に致命傷には至らない。
ここに来て戦局は、初端に戻っている。
得られた結論は、どれだけの炎を持ってしても、どれだけの深手を与えても、敵は不死身だという現実だけであった。
『番長』の攻撃もまた、三人の連携の前に致命傷には至らない。
ここに来て戦局は、初端に戻っている。
得られた結論は、どれだけの炎を持ってしても、どれだけの深手を与えても、敵は不死身だという現実だけであった。
「んで、なんか作戦とかねェのかっ!? ヒキョーな武器とかよっ!?」
「あいにく、もう何もないな」
「んじゃ、どうするんでェ?」
「死なないなら、死ぬまで殺し続ける。それだけさ」
「チッ、てめぇら、今度は逃げんじゃねーぞっ」
「あいにく、もう何もないな」
「んじゃ、どうするんでェ?」
「死なないなら、死ぬまで殺し続ける。それだけさ」
「チッ、てめぇら、今度は逃げんじゃねーぞっ」
きっと、金剛番長ならそうしただろう。
そう考えた卑怯番長の出した結論は、奇しくもかつてホムンクルスを相手取った焔の錬金術師と同じものとなる。
実際のところ、ホムンクルスの内臓する不完全な賢者の石の力には限りがあり、死に続ければいずれは
消滅するのだが―――
そう考えた卑怯番長の出した結論は、奇しくもかつてホムンクルスを相手取った焔の錬金術師と同じものとなる。
実際のところ、ホムンクルスの内臓する不完全な賢者の石の力には限りがあり、死に続ければいずれは
消滅するのだが―――
戦術レベルの打ち合わせをする間もなく、『番長』に投げつけられたスチール製の商品棚を避けて、三人は散る。
これまでの戦いの影響で、店内にはコンクリの破片やら、構造物の残骸やらで障害物の山が出来ている。
ガッツは、その障害物を縫うようにして走り、『番長』への攻撃を仕掛ける心積りであった。
これまでの戦いの影響で、店内にはコンクリの破片やら、構造物の残骸やらで障害物の山が出来ている。
ガッツは、その障害物を縫うようにして走り、『番長』への攻撃を仕掛ける心積りであった。
ガクン
しかし、ガッツの足がたたらを踏む。
無理を重ねた身体は、既に限界を軽く超えていた。
気配に気付いたのか、『番長』がガッツへと視線を向ける。
踏み込みが、足りない。
分かっていたが、剣を振り下ろす。
足りなかった踏み込みの分、『番長』は余裕を持ってそれを避けた。
無理を重ねた身体は、既に限界を軽く超えていた。
気配に気付いたのか、『番長』がガッツへと視線を向ける。
踏み込みが、足りない。
分かっていたが、剣を振り下ろす。
足りなかった踏み込みの分、『番長』は余裕を持ってそれを避けた。
反撃の剛腕が振るわれる。
避ける間もなく直撃した拳は、ガッツの頬骨を砕かんばかりの威力だった。
脳味噌がシェイクされて、堪らずガッツは昏倒した。
避ける間もなく直撃した拳は、ガッツの頬骨を砕かんばかりの威力だった。
脳味噌がシェイクされて、堪らずガッツは昏倒した。
止めをさした感触に至らなかったのか。
白眼を剥いて倒れるガッツに、なおも追い打ちをかけようとする『番長』。
それを止めようと、沖田が飛び出した。
白眼を剥いて倒れるガッツに、なおも追い打ちをかけようとする『番長』。
それを止めようと、沖田が飛び出した。
「てんめえっ!」
「アゥッ!?」
「アゥッ!?」
奇襲の機を窺い、三人の中でもっとも『陰』の役割に務めていた沖田の突撃は、完全に『番長』の意表を突いていた。
「調子に乗ってんじゃ……ねえやァーーー!!」
沖田の突きが、『番長』に炸裂する。
『番長』はその小柄な体躯の動きを止めた。
『番長』はその小柄な体躯の動きを止めた。
二段目の突きが、『番長』に突き刺さる。
『番長』はその小柄な体躯を揺るがせた。
『番長』はその小柄な体躯を揺るがせた。
三段目の突きが、『番長』を突き上げる。
『番長』のその小柄な体躯が浮き上がった。
『番長』のその小柄な体躯が浮き上がった。
「まだまだァーーー!!」
沖田の肉体が限界を超えて、矢のように加速する。
身体ごとぶつかる様な、四段目の突きが――『番長』の小柄な体躯を跳ね飛ばした。
身体ごとぶつかる様な、四段目の突きが――『番長』の小柄な体躯を跳ね飛ばした。
己の限界を超えた、疾風迅雷の四連突き。
それを為して、沖田はガッツの元へと駆け寄る。
それを為して、沖田はガッツの元へと駆け寄る。
「旦那ァッ」
容態を診る。
生きているが、戦線復帰は難しいだろう。
舌を打ち鳴らして、『番長』へと視線を戻す。
そこにあったのは、単独で『番長』と渡り合う卑怯番長の姿だった。
生きているが、戦線復帰は難しいだろう。
舌を打ち鳴らして、『番長』へと視線を戻す。
そこにあったのは、単独で『番長』と渡り合う卑怯番長の姿だった。
◇
ガッツが倒れるのを見て、彼の怒りは静かに爆発した。
突き飛ばされた『番長』に向かい、踊るように鞭を振り回す。
突き飛ばされた『番長』に向かい、踊るように鞭を振り回す。
「ダーティー・ロンド(汚れし舞踊)!!」
超音速で振るわれる、拷問鞭の動きに翻弄されるように『番長』の体躯が宙に舞う。
次いで、絡め取るように、鞭を巻き付けた。
次いで、絡め取るように、鞭を巻き付けた。
「ダーティー・エクスキューション(汚れし処刑)!!」
幾重にも巻き付けた、チタンスパイク入りの鞭が『番長』の自由を奪う。
しかし、『番長』の身体が、一瞬ぶわりと膨らんだかと思うと、次の瞬間。
鞭は散り散りに弾け飛んでいた。
しかし、『番長』の身体が、一瞬ぶわりと膨らんだかと思うと、次の瞬間。
鞭は散り散りに弾け飛んでいた。
構わず、渾身の右を叩きつける。
突き刺さるようにボディーを捉えたその打撃に、『番長』の身体がくの字に曲がった。
連打。連打。反撃の暇を与えずにマシンガンのようなラッシュは続く。
タンタンと、軽快にフットワークを刻み、的確な打撃を『番長』へと与え続ける。
突き刺さるようにボディーを捉えたその打撃に、『番長』の身体がくの字に曲がった。
連打。連打。反撃の暇を与えずにマシンガンのようなラッシュは続く。
タンタンと、軽快にフットワークを刻み、的確な打撃を『番長』へと与え続ける。
ステゴロタイマン。
奇襲、暗器による闘いを旨とする、卑怯番長のスタイルからもっとも懸け離れた戦い方だというのに、卑怯番長は
卑怯なほど強かった。
奇襲、暗器による闘いを旨とする、卑怯番長のスタイルからもっとも懸け離れた戦い方だというのに、卑怯番長は
卑怯なほど強かった。
だが、三人でようやく相手取れていたものを、一人でどうこう出来るはずがない。
しかも、魔性の力で強化された『番長』を相手に、ただの番長一人が圧倒出来る道理などどこにもない。
一瞬の優勢など何の意味も持たず、攻勢の後には大劣勢が待ち受けるのがこの場の道理。
しかし、そんな道理など……
しかも、魔性の力で強化された『番長』を相手に、ただの番長一人が圧倒出来る道理などどこにもない。
一瞬の優勢など何の意味も持たず、攻勢の後には大劣勢が待ち受けるのがこの場の道理。
しかし、そんな道理など……
「知った、ことかあああああああああああああああああああああっっっ!!!」
知らず、叫んだ。
かの鎧が、怒りと憎悪を糧として彼女の力を引き出すというのなら。
この身は友への想いと、決意に支えられている。
ならば、条件は五分と五分。
勝てぬ理由など、どこにもない。
勝てぬ理由など、どこにもない。
「オアアアアアアッ!」
旋風のような回し蹴りが、『番長』を吹っ飛ばすと、その身は障害物の山の中へと突っ込んで行く。
衝突の威力で、小山のようなそれは四散した。
跳躍し、飛び蹴りで追撃。
衝突の威力で、小山のようなそれは四散した。
跳躍し、飛び蹴りで追撃。
だが『番長』の左腕がそれを防御する。
同時に薙ぎ払われた右の爪が、卑怯番長の左腕を千切り飛ばしていた。
同時に薙ぎ払われた右の爪が、卑怯番長の左腕を千切り飛ばしていた。
構う事はない。
この左腕は、弟妹を守る決意の証。
卑怯番長が密かに隠し持ち、主催者とて取り上げる事は叶わなかった真の切り札。
義手となっていた、肉の下から現れたのは戦車をも貫く米国メタルハザード社開発の50ミリ・グレネードガン。
押し倒した『番長』をマウントポジションに捕えると、卑怯番長は口を模した兜の隙間にその銃を捩じり込む。
この左腕は、弟妹を守る決意の証。
卑怯番長が密かに隠し持ち、主催者とて取り上げる事は叶わなかった真の切り札。
義手となっていた、肉の下から現れたのは戦車をも貫く米国メタルハザード社開発の50ミリ・グレネードガン。
押し倒した『番長』をマウントポジションに捕えると、卑怯番長は口を模した兜の隙間にその銃を捩じり込む。
さぁ、どれだけ続ければ、君は終われるんだ?
「いつまでだって、付き合うさ……」
呟き、銃を放とうとしたその瞬間。
ひび割れた兜の隙間から、泣き濡れた剛力番長の瞳が見えた。
見えて、しまった。
顔を見てしまったら、考えてしまう。
揺らいでしまう。
揺らいでしまう。
決意が。覚悟が。
本当に、殺すより、ほかにはないのかと。
本当に、殺すより、ほかにはないのかと。
刹那の戸惑い。
刹那の逡巡。
刹那の逡巡。
その、刹那の一瞬が、命取りだった。
ぞぶり
見開かれる瞳。
卑怯番長の分厚い胸板が貫かれ―――
背中まで突き出たその抜き手に、血に濡れた心臓が握られていた。
(……酷いじゃないか、剛力番長。卑怯は僕の専売特許だって言うのに)
女の子の涙という、自分には絶対使えない最強の卑怯技。
それが自分を倒した決まり手とは、なんとも皮肉な話だった。
それが自分を倒した決まり手とは、なんとも皮肉な話だった。
ぐしゃり
水気たっぷりの果実を握りつぶすような、その音を聴きながら、卑怯番長の意識は、ゆっくりと闇に沈んでいった。
◇
沈んでいく闇の中、人影が見えた。
最後に見えるのは弟妹の顔か、それとも金剛番長、君なのか。
最後に見えるのは弟妹の顔か、それとも金剛番長、君なのか。
「ごめんな、兄ちゃん、お前たちのところに帰れそうにないよ……
金剛番長、不甲斐無くて、済まない……」
金剛番長、不甲斐無くて、済まない……」
結局、何も為せなかった。
忸怩たる思いは残るが、もはやどうにもならない。
あの場に残る二人に託すより、他はないだろう。
忸怩たる思いは残るが、もはやどうにもならない。
あの場に残る二人に託すより、他はないだろう。
「ほっほっほっ、それで、よろしいのですかな?」
人影が語りかけてくる。
その人影は……思いもよらぬ姿となって現れた。
その人影は……思いもよらぬ姿となって現れた。
獄牢正宗。たしか、剛力番長の執事を勤めていた爺さんである。
なぜ、最後のこの瞬間、現れたのがこの男なのか。
理解不可能な現象に、少し戸惑う。
だが、死後の世界などというものは元より人知の及ばぬ物。
そう言う事も、まぁあるのだろうと受け入れる。
なぜ、最後のこの瞬間、現れたのがこの男なのか。
理解不可能な現象に、少し戸惑う。
だが、死後の世界などというものは元より人知の及ばぬ物。
そう言う事も、まぁあるのだろうと受け入れる。
「もう諦めたのですかな。最近の若い者は、根性が足りませんな」
飄々とした様子で、獄牢さんは僕をからかう。
まるで若者をからかうのが、楽しくてしょうがないといった性悪爺の顔だった。
こんな爺さんには、絶対になりたくないと思った。
まぁ、もう死んでしまったのだけれど。
まるで若者をからかうのが、楽しくてしょうがないといった性悪爺の顔だった。
こんな爺さんには、絶対になりたくないと思った。
まぁ、もう死んでしまったのだけれど。
「心臓が止まるのと、死ぬのは別問題ですよ。卑怯番長」
おいおい、僕は金剛番長じゃないんだ。無茶言うなよ。
「ならば、何一つ為す事もなく、あなた方はこの戦いから退場するというのですかな。
正気を失った、お嬢様一人を遺して」
正気を失った、お嬢様一人を遺して」
番長の、面汚しですな。
獄牢さんは、そう呟きながらフゥーと肩を竦めてみせる。
僕はともかく、金剛番長を馬鹿にされるのは気分が悪くなった。
まだだ。
金剛番長の灯した勇気の炎は、まだ僕の心に燃えている。
この炎が消える前に……僕が先に燃え尽きるわけにはいかないっ!
獄牢さんは、そう呟きながらフゥーと肩を竦めてみせる。
僕はともかく、金剛番長を馬鹿にされるのは気分が悪くなった。
まだだ。
金剛番長の灯した勇気の炎は、まだ僕の心に燃えている。
この炎が消える前に……僕が先に燃え尽きるわけにはいかないっ!
萎えていた足に力が戻る。
僕は、あの不死身の漢のように立ちあがった。
意識がゆっくりと浮上するのを知覚する。
獄牢さんの声が遠くなっていく。
僕は、あの不死身の漢のように立ちあがった。
意識がゆっくりと浮上するのを知覚する。
獄牢さんの声が遠くなっていく。
「――己のスジを通すためなら、煉獄からも蘇る。
それこそが――真の『番長』!!」
それこそが――真の『番長』!!」
◇
「卑怯番長ーーーっ!!」
沖田の声で、目が覚めた。
状況は、意識を失った一瞬の後。
『番長』をマウントポジションに捕えている事に変わりはない。
卑怯番長は、胸の筋肉を引き締めると、彼女の身体を抑え込んだ。
なぜか、彼女の抵抗は弱弱しく感じた。
状況は、意識を失った一瞬の後。
『番長』をマウントポジションに捕えている事に変わりはない。
卑怯番長は、胸の筋肉を引き締めると、彼女の身体を抑え込んだ。
なぜか、彼女の抵抗は弱弱しく感じた。
「卑怯……お前、まだ生きて……」
「――死んださ」
「――死んださ」
彼とは違う。
この身体は既に死に絶えており、出来る事は限られている。
だから
この身体は既に死に絶えており、出来る事は限られている。
だから
「君は……彼を連れて逃げろ。
彼女は、僕が連れていく」
彼女は、僕が連れていく」
沖田に、ガッツを連れて逃げるように言う。
せめて、彼女だけは一緒に連れていく。
それが、この身体でも可能な、ただ一つの事だった。
せめて、彼女だけは一緒に連れていく。
それが、この身体でも可能な、ただ一つの事だった。
そう、卑怯番長にはまだ隠していた手札があった。
沖田に報酬として渡したデイパックは、剛力番長が落としていったバックにがらくたばかりを詰め込んだ物。
自分自身のデイパックは短ランの下に背負って隠していたのだ。
心臓を貫かれた抜き手で、デイパックも破けた。
だから、少し身を揺すれば……ごとりと、支給品が地に落ちた。
沖田に報酬として渡したデイパックは、剛力番長が落としていったバックにがらくたばかりを詰め込んだ物。
自分自身のデイパックは短ランの下に背負って隠していたのだ。
心臓を貫かれた抜き手で、デイパックも破けた。
だから、少し身を揺すれば……ごとりと、支給品が地に落ちた。
特製バギー玉。
メロンほどの大きさのその爆弾は、使えばあたり一面を吹き飛ばす大爆発を起こすという。
このデパート内でそれを使えば……瓦礫に圧し潰されて、さすがの彼女も終わるだろう。
これだけ暴れ回っても誰も出て来なかった所から考えて、巻き添えになる人間も店内には
残ってはいないと卑怯番長は判断した。
メロンほどの大きさのその爆弾は、使えばあたり一面を吹き飛ばす大爆発を起こすという。
このデパート内でそれを使えば……瓦礫に圧し潰されて、さすがの彼女も終わるだろう。
これだけ暴れ回っても誰も出て来なかった所から考えて、巻き添えになる人間も店内には
残ってはいないと卑怯番長は判断した。
「てめぇ……自爆する気かよ」
「――」
「――」
沖田の問いに、卑怯番長は頬を少し歪ませることで応える。
キンブリーと妲己。そして神に復讐するまで、死ぬつもりなどなかった。
しかし、もはや命の炎は燃え尽きようとしていた。
金剛番長の死を見届けた、この二人になら……託してもいいと思った。
キンブリーと妲己。そして神に復讐するまで、死ぬつもりなどなかった。
しかし、もはや命の炎は燃え尽きようとしていた。
金剛番長の死を見届けた、この二人になら……託してもいいと思った。
「後を……頼む」
「……」
「……」
沖田は、もう何も言わなかった。
なにを言い残す事もなく、気絶したガッツを連れてデパートを出る。
その姿が、完全に見えなくなるまで卑怯番長は頑張りたかったのだが……
いい加減、意識が消えそうになったので、爆弾を左手の銃で撃った。
なにを言い残す事もなく、気絶したガッツを連れてデパートを出る。
その姿が、完全に見えなくなるまで卑怯番長は頑張りたかったのだが……
いい加減、意識が消えそうになったので、爆弾を左手の銃で撃った。
轟音と共に、崩壊する建物の中、最後まで『番長』を抑え込んで―――卑怯番長は逝った。
今度こそ、愛する弟妹の姿を脳裏に思い浮かべながら。
今度こそ、愛する弟妹の姿を脳裏に思い浮かべながら。
そして、超重量の瓦礫の山に圧し潰されて、『番長』は生き返っては死に。生き返っては死んだ。
やがて、全ての命を使い果たし――その姿はホムンクルスの宿命に従い、霞のように砕けて消えた。
やがて、全ての命を使い果たし――その姿はホムンクルスの宿命に従い、霞のように砕けて消えた。
【秋山優(卑怯番長)@金剛番長 死亡】
【白雪宮拳(剛力番長)@金剛番長 死亡】
【白雪宮拳(剛力番長)@金剛番長 死亡】
◇
――ガリ……ガリ……、
「ハァ……また、派手にやりやがって……誰が直すと思ってやがるんだ……」
王天君は、目前の無数のウィンドウに映された光景を溜息をつきながら眺める。
その口調には呆れというよりも、疲労から来る虚無感の方が強く含まれていた。
その口調には呆れというよりも、疲労から来る虚無感の方が強く含まれていた。
デパート。
その建物が崩壊したことにより、会場に設置した『非常口』あるいは宝貝空間を使った亜流の『龍脈』とでも呼んだ方がいいのか?
まぁ呼び方なんぞ、どうでもいいんだが……
それもまた潰されてしまったのだ。
その影響は、この『非常口』だけが使えなくなったという事だけには留まらず、他のさまざまな空間に影響が出る事が予想された。
その建物が崩壊したことにより、会場に設置した『非常口』あるいは宝貝空間を使った亜流の『龍脈』とでも呼んだ方がいいのか?
まぁ呼び方なんぞ、どうでもいいんだが……
それもまた潰されてしまったのだ。
その影響は、この『非常口』だけが使えなくなったという事だけには留まらず、他のさまざまな空間に影響が出る事が予想された。
この『非常口』、別に参加者の移動の利便の為に作られたわけではない。
さまざまな思惑の元、寄り集まった諸勢力。
その中の、とある陣営の依頼で設置したものだった。
何に使うつもりだったのかは知らないが……
その中の、とある陣営の依頼で設置したものだった。
何に使うつもりだったのかは知らないが……
これを再び綿密な計算の元に結界を紡ぎ直し、修復するには膨大な……そう、膨大な時間と労力が必要になるだろう。
下手をすれば、この会場を作った時以上に。
王天君は、再び深い溜息を付く。
下手をすれば、この会場を作った時以上に。
王天君は、再び深い溜息を付く。
「つーかよぉ、報告する必要あんのか? どうせこう言うんだろ?
全ては定められた運命だ、とかなんとか……」
全ては定められた運命だ、とかなんとか……」
そりゃお前さんは楽だろうよ、そうして全部見通してまーすってポーズとってりゃいいんだからよ?
だが、奴の提示する条件に釣られて、この計画に加わった連中にはそれぞれ思惑というものがあるのだ。
やれ、約束が違う。
やれ、予定外だと。
しかし、そんな不満もあの男の一言で全てもみ消される。
何か一つある度に、そんな喧々囂々たる騒ぎが起きる中、王天君はすっかりやる気を失っていた。
だが、奴の提示する条件に釣られて、この計画に加わった連中にはそれぞれ思惑というものがあるのだ。
やれ、約束が違う。
やれ、予定外だと。
しかし、そんな不満もあの男の一言で全てもみ消される。
何か一つある度に、そんな喧々囂々たる騒ぎが起きる中、王天君はすっかりやる気を失っていた。
当たり前だ。全てが予定調和とされる世界で、真面目に働こうなどと言う人間がいるわけがない。
自分が何をしようが、全て神の掌の上。
バカバカしすぎて涙が出てくる。
全ての行為が予定調和である『神』の世界と、全てが予定通りになるまで何度でも同じ事を繰り返す『歴史の道標』の世界。
はたしてどちらがマシなのか。
自分が何をしようが、全て神の掌の上。
バカバカしすぎて涙が出てくる。
全ての行為が予定調和である『神』の世界と、全てが予定通りになるまで何度でも同じ事を繰り返す『歴史の道標』の世界。
はたしてどちらがマシなのか。
それでも何かをしようなどと思う奴は、目の前にぶら下がった利益に目のくらんだ俗物か、よほどの変わり者か
でなければ何も見えていない愚者だけだ。
でなければ何も見えていない愚者だけだ。
だからこそ、『神』とは本来孤高の存在であり、凡俗とは別の世界に居るべき存在なのだ。
そうあるべきだし、そうしてもらわなければ困る。
そうあるべきだし、そうしてもらわなければ困る。
それが――何をトチ狂って、こんな大掛かりな『計画』を遂行しようなどと思ったのか。
自分たちを力づくでこの『計画』に引っ張り込んだ申公豹は既に計画から外れている。
だから別にフケてしまっても、誰に咎められる謂われもないのだが。
自分たちを力づくでこの『計画』に引っ張り込んだ申公豹は既に計画から外れている。
だから別にフケてしまっても、誰に咎められる謂われもないのだが。
ここまで深く関わってしまっては、結末を見届けねばどうにも目覚めが悪い。
彼が母親のように思っている妲己もその肉体を失ってしまったようだし、
半身たる男の肉体も、この『計画』によって永久に失われてしまったのだから。
彼が母親のように思っている妲己もその肉体を失ってしまったようだし、
半身たる男の肉体も、この『計画』によって永久に失われてしまったのだから。
あるいは、王天君のこの気持ちも、神に言わせれば定められた運命通りなのか。
「さて……どうすっかね……」
ちょっと気分直しに『外』に出ると言い残して、王天君は席を立つ。
いつ戻るかって?
知らねえよ。
いつ戻るかって?
知らねえよ。
――― 文字通り、神のみぞ知るって事でいいんじゃねえのか?
◇
沖田の足は、デパートの崩落と周囲の火災を避け、隣のエリアI-08にまで達していた。
ガッツは重かったので、途中で捨ててきた。
とはいえ火災の範疇を抜けだしてからの事なので、まぁ死にはしないだろう。
あの男には、土方の野郎や、万屋の旦那のような殺しても死なない男特有の雰囲気があった。
その内、また会うこともあるだろう。
ガッツは重かったので、途中で捨ててきた。
とはいえ火災の範疇を抜けだしてからの事なので、まぁ死にはしないだろう。
あの男には、土方の野郎や、万屋の旦那のような殺しても死なない男特有の雰囲気があった。
その内、また会うこともあるだろう。
「にしても、最後まで卑怯な野郎だったぜィ」
貰ったデイパックの中には、ろくなものが入っていなかった。
便所紙の代わりくらいにしかなりそうもねえ、妙な男の顔が書かれたチラシ。
細かく砕けた、鎧の破片。
音楽用の、カセットテープ。
そして……
便所紙の代わりくらいにしかなりそうもねえ、妙な男の顔が書かれたチラシ。
細かく砕けた、鎧の破片。
音楽用の、カセットテープ。
そして……
「かれェな……」
バリバリと、辛すぎるせんべいを食う。
ツンと鼻に来て、思わず天を見上げる。
さっきまで快晴だった空が、いつの間にか泣き出す直前のような曇天になっていた。
ツンと鼻に来て、思わず天を見上げる。
さっきまで快晴だった空が、いつの間にか泣き出す直前のような曇天になっていた。
一雨来てくれりゃあ、これ以上の延焼も防げるんだがな。
そう思いながら歩く沖田の眼に、一人の少女の姿が目に入った。
そう思いながら歩く沖田の眼に、一人の少女の姿が目に入った。
最初、物狂いかと思った。
が、あたりを慎重に窺いながら歩くその姿には理性を感じたし、華奢な身体に包帯だけを身に纏い、
何も持たずに歩くその姿はどう見ても保護を必要とする小娘だった。
が、あたりを慎重に窺いながら歩くその姿には理性を感じたし、華奢な身体に包帯だけを身に纏い、
何も持たずに歩くその姿はどう見ても保護を必要とする小娘だった。
「どしたぁ? ガキィ。迷子にでもなったのかィ?」
こんなガキまで連れて来られていた事に内心驚きながらも、沖田は少女に気怠く声を掛けて近付く。
少女は驚き、逃走しようとする様子だったが、こちらは警察だ。
相手を逃さぬように近付く術には長けている。角度とか。
少女は驚き、逃走しようとする様子だったが、こちらは警察だ。
相手を逃さぬように近付く術には長けている。角度とか。
「う……」
「ん?」
「ん?」
こちらを見上げてくる少女の表情は、どこか印象的だった。
どこかで、こんな顔を見たような気がして、沖田は少し記憶を辿り――
どこかで、こんな顔を見たような気がして、沖田は少し記憶を辿り――
次の瞬間、腹部に冷たく硬い何かを突っ込まれた。
「――っ!?」
視線を下に移すと、何も持っていなかったはずの少女の手の中に、血に塗れた何かの輪郭がうっすらと見える。
「うわあああああああああああっ!!」
少女は、狂ったように叫びながら、何度も何度も沖田の腹をめった刺しにする。
垂らすように纏められたツインテールの金髪が、少女の動きに合わせて跳ね回るように激しく揺れる。
沖田は、万屋のガキの声に似てやがるな……などとボンヤリ考えながら、無感動にそれを見ていた。
制服がすっかり真っ赤に染まり、内臓がドロドロになるまでたっぷりとかき回された頃。
ようやく少女の動きが止まる。
垂らすように纏められたツインテールの金髪が、少女の動きに合わせて跳ね回るように激しく揺れる。
沖田は、万屋のガキの声に似てやがるな……などとボンヤリ考えながら、無感動にそれを見ていた。
制服がすっかり真っ赤に染まり、内臓がドロドロになるまでたっぷりとかき回された頃。
ようやく少女の動きが止まる。
ずるりと、沖田の身体が力を失い、仰向けに倒れ込む。
少女は、沖田から荷物を奪うと、どこかに向かって駆け出した。
沖田には、それを目で追う余力も残っていなかった。
少女は、沖田から荷物を奪うと、どこかに向かって駆け出した。
沖田には、それを目で追う余力も残っていなかった。
(ああ……そうだ、あの眼は……人を殺しちまった後の、ガキの眼じゃねえか……)
ちょっとばかり遅かった、その発見に納得しながら、沖田は静かに目を閉じる。
「ケホッ」
せり上がった血で、喉が噎せかえる。
姉が死の直前に味わった苦しみも、こんな感じだったのだろうか。
姉が死の直前に味わった苦しみも、こんな感じだったのだろうか。
「姉……上ェ……」
路上に広がる、血の海に沈みながら真撰組一番隊隊長は、誰にも看取られる事無くその短い生涯を終えた。
【沖田総悟@銀魂 死亡】
【I-8/路上/1日目/昼】
【三千院ナギ@ハヤテのごとく!】
[状態]:疲労(大)、全身(特に胸周辺)に多数の刺傷(治療済み)
[服装]:全身に包帯
[装備]:蝉のナイフ@魔王 JUVENILE REMIX
[道具]:支給品一式×7、ノートパソコン@現実、旅館のパンフレット、サンジの上着、各種医療品、安楽死用の毒薬(注射器)、
特製スタンガン@スパイラル ~推理の絆~、トルコ葉のトレンド@ゴルゴ13(4/5本)、不明支給品0~2(一つは武器ではない)
カセットテープ(前半に第一回放送、後半に演歌が収録)、或謹製の人相書き、アルフォンスの残骸×3、
木刀正宗@ハヤテのごとく!、首輪@銀魂(鎖は途中で切れている)、イングラムM10(13/32)@現実、工具数種、
[状態]:疲労(大)、全身(特に胸周辺)に多数の刺傷(治療済み)
[服装]:全身に包帯
[装備]:蝉のナイフ@魔王 JUVENILE REMIX
[道具]:支給品一式×7、ノートパソコン@現実、旅館のパンフレット、サンジの上着、各種医療品、安楽死用の毒薬(注射器)、
特製スタンガン@スパイラル ~推理の絆~、トルコ葉のトレンド@ゴルゴ13(4/5本)、不明支給品0~2(一つは武器ではない)
カセットテープ(前半に第一回放送、後半に演歌が収録)、或謹製の人相書き、アルフォンスの残骸×3、
木刀正宗@ハヤテのごとく!、首輪@銀魂(鎖は途中で切れている)、イングラムM10(13/32)@現実、工具数種、
[思考]
基本:なんとかして最後の一人になり、神にみんなが生きている世界に帰して貰う
1:参加者を皆殺しにする。手段は問わない。
2:武器の入手を優先する。
[備考]
※サンジからワンピース世界についてかなり詳しく聞きました。
※ブラックジャックの容姿の特徴を聞きました。
※拷問などの影響で精神が非常に不安定になっています。
※スズメバチに対して激しい恐怖を抱いています。
※注射器の中身についての説明は受けてません。
基本:なんとかして最後の一人になり、神にみんなが生きている世界に帰して貰う
1:参加者を皆殺しにする。手段は問わない。
2:武器の入手を優先する。
[備考]
※サンジからワンピース世界についてかなり詳しく聞きました。
※ブラックジャックの容姿の特徴を聞きました。
※拷問などの影響で精神が非常に不安定になっています。
※スズメバチに対して激しい恐怖を抱いています。
※注射器の中身についての説明は受けてません。
◇
―――今回は―――だが―――
いずれ―――会おう―――
いずれ―――会おう―――
地を這いながら、影のように獣が離れていく。
夢とも現ともつかぬ世界で、耳元で何かを囁かれている。
夢とも現ともつかぬ世界で、耳元で何かを囁かれている。
胡乱な意識は、それを記憶に留める事もなく泥沼のように沈んでいく。
だが、どこまでも沈んでいく意識の中で、光り輝く何かを見つけて―――
だが、どこまでも沈んでいく意識の中で、光り輝く何かを見つけて―――
腐臭漂う、ゴミ捨て場でガッツは目を覚ました。
【I-8/ゴミ捨て場/1日目/昼(放送直前)】
【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:疲労(特大)、ダメージ(大) (応急処置済み)
[服装]:上半身裸
[装備]:衝撃貝(インパクトダイアル)@ONE PIECE
[道具]:支給品一式、炸裂弾×2@ベルセルク、折れたキリバチ@ONE PIECE、青雲剣@封神演義、ドラゴンころし@ベルセルク
[思考]
基本:グリフィスに鉄塊をぶち込む。
1:戦いはどうなった?
2:グリフィスを殺す。
3:グリフィスの部下の使徒どもも殺す。
4:なんか、夢に見たか?
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。
※左手の義手に衝撃貝が仕込まれています。
[状態]:疲労(特大)、ダメージ(大) (応急処置済み)
[服装]:上半身裸
[装備]:衝撃貝(インパクトダイアル)@ONE PIECE
[道具]:支給品一式、炸裂弾×2@ベルセルク、折れたキリバチ@ONE PIECE、青雲剣@封神演義、ドラゴンころし@ベルセルク
[思考]
基本:グリフィスに鉄塊をぶち込む。
1:戦いはどうなった?
2:グリフィスを殺す。
3:グリフィスの部下の使徒どもも殺す。
4:なんか、夢に見たか?
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。
※左手の義手に衝撃貝が仕込まれています。
【特製バギー玉@ONE PIECE】
町1つを消し飛ばせる爆弾。
このロワでは制限を受けており、さすがにそこまでの威力はない。
町1つを消し飛ばせる爆弾。
このロワでは制限を受けており、さすがにそこまでの威力はない。
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| 131:番長たちの挽歌(上) | 秋山優(卑怯番長) | GAME OVER |
| 131:番長たちの挽歌(上) | 沖田総悟 | GAME OVER |
| 131:番長たちの挽歌(上) | ガッツ | 136:罪の最後は涙じゃないよ |
| 088:ブラック・ジャックによろしく | 三千院ナギ | 136:罪の最後は涙じゃないよ |
| 131:番長たちの挽歌(上) | 白雪宮拳(剛力番長) | GAME OVER |