アットウィキロゴ
新漫画バトルロワイアル
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

欲望の轍から……

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

欲望の轍から…… ◆RLphhZZi3Y


 まだ技術が発展していないころに望遠鏡を覗いた学者は、火星には運河があり、文明も存在するものだと信じていた。
今でこそ無味乾燥した星だと証明されているが、なぜ学者すら騙されたのか。

『観察と観測の違いだよ、セイバー』



#####



 仄暗い空気が充満している。
空気は乾いていない。しかし湿ってもいない。
書斎の埃くさい涼しさに似ていた。
とある階段の果てにあったのは、卵を横に半分にしたようなドームだった。
ドームの頂点からは届くはずのない光が差して、真下の床を丸く照らしていた。
月のように柔らかい光が、影のヘリを強調する。光の円の中心に、石台が静黙していた。
台は光を白く反射する。

 光のほとりに、テラスで使うような、一本足の丸テーブルが用意されていた。
向き合い座るのは、ハンターでも、ウォッチャーでも、セイバーでもない二人だった。
色素が薄い二人の髪は、影にも光にもよく似合っている。
青年は机上に盤と駒を広げ、一人で戯れていた。白と黒だけの、彩りが一切ない盤に、ランプを引き寄せる。
仄かに橙に染まる白色の駒が、灯火に合わせて揺らめいた。
静かなドームに、狭い布陣で駒が織り成す音が響く。
一人遊びの手をさっと止め、青年はゆっくり顔を上げた。
光の輪とランプ、両方のささやかな明かりに二人は照らされる。

「……第二放送が過ぎて、やっと駒が揃った。そう言った方がいいのかな?」

 かつて人を導いた手で駒を指す。ゲーム開始を意味しているのではない。
傍にいた少年は、言外の含みをすぐに悟った。
一般的な意志疎通とは駆け離れていたが、白眉達にとって察するぐらいは造作もないことだった。

 8×8の枡より多かった者が、駒の初期配置の数近くまで減った。
これからまた、片側の布陣の数にまで減るだろう。そこで初めて、こちら側と釣り合う。調和する。
キング、クイーン、ビショップ……各々の役割を携えて、対面するときはすぐにくる。
青年が、それが神様のレシピだと薄笑う。銀髪の少年は無表情で、青年と目を合わせた。そのまま頬杖をつき、駒をひとつ握る。黒い馬の首で、白いクイーンを弾き出した。
床にクイーンが転がる。呆れたように口の端を下げて、青年は駒を拾った。

「まったく、君を見ていると、若い頃の僕を思い出すよ」

 恭しさに加えて、倦んだ本心をかすかに見せてきた。青年の過去話に、ぞんざいに少年が答える。

「俺はお前に未来を重ねられない。無事に成人を迎えられているから言える戯言だ、犬養舜二」
「重ねるつもりで言ったんじゃない。君と逆だったから、かえって思い出す。
 僕は、若いからこそ見える未来を持っていた。それは今も同じだがね。
 アイズ君は運命に翻弄されているからそう思うだけだ」
「詭弁だ。運命に衝突したら、粉々になるのはブレード・チルドレンの方だ。血が、そう言っている」

 アイズは椅子を引いて立ち上がった。光の中心へ進み寄り、石台に腰をかけた。膝に肘を置き、指を組む。
光が溶けるほどに暖かった。少なくとも、少年の呪われた冷たい血にはそう感じた。

 石台はアイズの影をも白く反射する。
その上に横たわる、離反した女さえいなければ、より白く輝いていただろう。
瞳は何も映さない。うっすらと開いている瞼の奥には充血が残っていた。
脳天の風穴からはもう何も出てこない。心臓はとっくに止まっているはずなのに、重油のよりも重く、濁った魂魄は滞留しているらしい。
渦巻く思念が、少しづつドームに毒気をちらしていく。
死体は神々しいといえる姿とは程遠かった。だが遡れば神の手先だったのだ。
祈りを捧げる一兵卒に見えなくもない。
思いの限りをぶちまけて、マイクを通じて島に絶望をもたらした女。
死んだ今は、何の力もない涜職した迷惑な者に成り下がっていた。




「やあ! 君らはこんな場所で何しているんだ?」

 階段から、三人分の能力を飲み込んだ少年が降りてきた。
英邁な二人の間に割り込み、じっとヒトだったものを観察する。
介入者は、腹の内を見せない二人を前にしても、無邪気で純粋なままだった。夢と希望で胸を一杯に膨らませている。

「ああ、"彼"と歩もうとしてたヒト? 役立てるとは思ってなかったけど、全然使えなかったね。
 それにしたって、死体の周りで会合なんて、君らも趣味が悪いなあ」
「趣味のいい死体なんて存在しない」
「なんだ、それぐらいは同じ事考えてるんだ」

 アノンは共通の感覚を意外そうに受けとめる。
女の死体は原型を留めているだけいい方だ。島の惨状と比べれば、ずっと綺麗だった。
死体の価値観が全く麻痺していないだけ、この様相は異様に映った。
眉をついと上げ、アノンはドームを見回す。
巨大な宝玉の内側にいるようで、美しく磨かれている。光の輪が壁に届いていないのがもったいない。
そのままアイズが座る石台に、死体ごと腰かけた。死体の傷口から、弾みで残り少ないピンク色の肉が吹き出た。未練がましく、何かを喋ろうとしているように、ごぼごぼ動いていた。

「殺した女の墓参りかな?」
「そんな些細なことに時間は使わない」
「……やっぱり。



 ここでまたなんかしようとしてるね」

 声のトーンがいきなり落ちた。
コインよりも小さい、ひやりとした穴がアイズの額へ突き付けられた。
放送者を撃った箇所と全く同じ部位へ、銃口があてがわれる。
指を引く寸前、アイズは凶器を持つ手首を掴んだ。
弾は明後日の方向へ飛ぶ。
そのまま腕を回し、関節を折る体制に入る。
ばり、と静電気に近い音がした瞬間、距離を取った。
アノンは様々な能力を持っているが、あえて銃を抜いた。
柔らかな光に当てられて、銃は色彩を淡く変える。
ひとつあればいくつもの命を奪えるものとしては、軽いことこの上ない色だった。

「俺を処分する命令でも下されたのか」
「僕の独断だよ。君ら勝手すぎ。ウォッチャーから聞いたよ。
 なんだい君ら、『観測者になる』って?」

 これは牽制でも威嚇でもない。邪魔の排除だ。
引き金をいつでも引ける状態にして、焦点を犬養の脳天に絞った。血が騒ぐ。
ほんのりと犬養は引き金を眺めた。

「僕は予定の範囲内と対象を見ているだけのウォッチャー(観察者)に収まるつもりはない。
 『観察』は曖昧だ。曖昧だから穴が出る。キリエ君のようにね。
 運命の『観測者』として僕らはいる」

 へぇ、と納得しているのかいないのかわからない呟きをアノンは漏らす。
観察と観測、似ているようで本質は違う。

「観て察するか、観て測るか。
 『測るもの』を投入して、客観的に観ることが『観測者』の役目だろう」
「断りなしにウォッチャーから独立した二人が、どの口でものを言うかな。
 セイバーの僕からすれば、もう飲み込んでもいいぐらいの罪だと思う」

 直接戦闘に使える能力の無い二人を飲んでも、無駄が増えるだけだ。頭が今以上によくなる訳でもない。
似合わぬ銃はそのために用意した。
それぞれの思惑でしかつながっていない、義理一遍の仲に情けは必要だろうか。

「仲間ができたんだ。できたんだと思ってたんだ!
 "彼"と共に、同じ道を歩ける仲間が! でも違ったね。
 女は余計なことするし、ピエロは裏切るし、霧っぽいアレは勝手だし、さっき飲んだ奴だって仕事はやっつけで雑だし。
 君らはなんだか"彼"のオーラに似てるからどうかな、とは考えてたけど、やっぱダメだね。
 "彼"の隣に相応しいのは僕だ。
 君らはハンター紛いの測りをぶちこんで、間違ったオブザーバーエフェクトを起こしたいだけじゃないのか?」

 ぐりぐりした目玉が動く。立派に裂けた口で、柄にもなくまくしたてる。
揺さぶりに二人とも、特に目立つ反応はなかった。
それどころか、女の魂が勘違いして洗い清められそうな雰囲気すら漂わせていた。
犬養は何のためらい無しに、言い切った。

「それを含めて、『観測者』の役割だと思うからさ」

 軽い音だった。
銃弾を、吐きかける唾のように、侮蔑して撃った。
汚い塊が、一転して鮮やかな弾道を描く。小さな鉛のかけらが、光の中に大きく一の字を残した。
銃を下げる。
衝撃波になりかけた銃声が不協和音をたてて、ドームの空気を撹拌した。
ぱっと、銀髪に血が散る。練り込められるように、壁に弾が埋まった。

「『観測者』の僕らは、胸に穴が空いても生きている悪運を持っていた。知っているだろう?
まぁ、"彼"ほどではないが」
「"彼"と一緒にしてたまるもんか。始末の悪い男だ」

 犬養は耳たぶから滴る血を、軽く拭った。もう一度、アノンは銃を向ける。
どこか胸が疼いた気がした。
ばさりと長い髪を翻し、犬養は左胸に手を当てた。

「抜けるのなら、あのピエロと組めばいいじゃないか」
「"彼"の目的に反発するのは神様のレシピに逆らうこと。僕は僕の目的を果たすまでだ。
示されるまま受け入れるだけだ」

 説き伏せるように堂々と胸を張り、心臓をさらけ出す。

「"彼"には感謝している。
 あの時、国の頂点に立ち、僕はスタジアムで演説をしていた。そこで国民の空っぽな意志を見た。少し残念だったよ。
 そのすぐあと、"彼"に呼ばれた。若い姿を与えてね。
 全ての導きを若いこの眼で観測できるなんて、素晴らしいことじゃないか。それに、」

 ふっと緊張を緩めた。
他意がありそうで意地の悪い、それでいて愛想たっぷりの笑顔を、アノンに注ぐ。

「かつてデウスに与えられてこの役目をこなしていたBL少年探偵と比べれば、まともな仕事しているつもりだよ」
「…………」

 本音とも冗談ともとれる発言に、観測者の片割れは返す言葉がなかった。

「『観測者』の行動はウォッチャーに伝わってる。
 それでも続ける?」
「続けてこそ、僕らが創り出された意義がある。そう思うよ」

「……結果的にゲームを助長してる訳だし。
 それに元々殺る気もなかったのはわかってたんだよね? 僕が本気出してるなら銃なんて使わないし。
 本当に『観測者』なんて馬鹿げたことやってるのか聞きたかっただけ。
 で、今度は何をするつもり?」

 べろりと銃口を舐めた。
なんとなく、あの霧の魔物のような味がした。

ゾッドと言ったかな。あの『測り』は役に立たなかった。何のために返してやったのか、
理解してもらうつもりはなかったけど」

 あれだけ常時バーサク状態なら、理解する頭すらなさそうにも思える。それは満場一致らしい。
非凡の集団にとっては貶められる存在でしかなかった。

「最初から潜入している戦闘狂も、想像はしていたがあまりいいものではない。
 あれはリードが外れた犬だ」

 首輪はついているのに、解き放たれたと思い込んで暴れ回る犬。確かによく似ている。

「詩人みたいに語るのを得意にしてると思ってたけど、ずいぶん的確な表現じゃないかアイズ君」

 犬養はグラスホッパーの上着を脱ぎ、女にかぶせた。それだけでドーム内の汚れが取り除かれ、綺麗になった錯覚を起こす。
床上にアノンはあぐらをかいて座った。頬杖をつき、予想ついたことを話す。

「そうか。また『測り』を投入する気だね?」

 もう一人、『測り』として島に返してやろうとしているのは、目に見えていた。
二人は答えない。答えないからこそ正解だと示していた。

 ウォッチャーが握っていた情報が『観測者』にも流れてきていた。
生死の情報はウォッチャーの管轄だったが、これで『観測者』が動く準備は整った。
対象はハンターの手によって身体を失っていた。
更に都合がいいことに、対象はあのプラントドームの近くで行方不明になっている。
最初に送り出した狂戦士の次に好条件が揃っていた。

「もちろん、そのまま返したりはしない。観測しやすいようにいじらせてもらう」
「本当にいい趣味してるよ、君ら」

 『観測者』は言う。
対象の彼女は、必ず最も収まりのいいところへ行きつくだろう。
心の底から再開を願う者の元へではなく、心の隙間を持つ者へ。取り入るように、導かれたように。
存在しない駒が、盤上に立てられた。


#####


 音という音を遮り、静かにあたりを白く染める。降りかかる雪を払う。
羽虫が飛んでいるか、ごみ屑が落ちているかのようだ。島の不快な気色を吸っていて、汚いとしか思えない。
見上げれば灰色に灰色が重なり、余計寒さに拍車をかける。
自爆した娘は、積もるだろうとの予報も聞いていたと話した。
しばらくはやみそうにない。
雪をしのげ、休めそうな場所を探す。寒さが全身の痛みを麻痺させてるが、苦痛の先伸ばしでしかない。


 白く大きく深く、肺で温まった空気を放出する。
代わりに凍てついた空気が、口から身体の内側へ侵蝕してくる。
ボタ雪の粒は吐息で軽く舞い上がり、風に吹き飛ばされていった。
雪が肩に積もり、キシキシと一つの氷のようになっていくのがわかる。


 こんなに傷ついていながら生きている。まだ生きている。
身体の一部分一部分がじりじり使えなくなり、こそげ落ちていく苦痛はうんざりするほどあった。
作り上げたものは片っ端から形を失くす。ありのままのものは、触れた途端に無に還る。
すれ違った者は……それだけで消えた。
腕に仕込まれた衝撃貝が、微かにうごめいた気がした。
唇が凍るのを感じる。
口を引き結び、新たな冷風に備えた。
道に残った跡を消すべく、また雪は降りしきる。


――俺ごと消そうとしているのか。


な訳がない。

 考えたくもないが、弱っているのだろうか。
墓場の中まで付き合わせる仲間は必要ない。その墓場に今も向かおうとしている。
死ぬなら一人で、と考えていた矢先に、わずかな羨望を覚えてしまった。滑稽だ。
道なりに行けば、この先に図書館がある。
この状況下で書物に囲まれるのはあまり好ましくないが、仕方ない。
雪を踏み潰す軽い音とは正反対の、棒になった重い脚で、のろのろと向かう。
そのとき、ごくかすかに、「……ぅー」というような声を聞いた。
せっかく鞭くれてやっと動きだした足を止め、耳を澄ます。空耳なのか?
いや、確かに聞こえた。

「うー……」

 途切れそうな細い泣き声がした。見えはしないが、歯を鳴らして震えているのがまざまざと伝わってくる。
見回した。
腰の丈程度の街路樹が動いている。隙間から、一瞬金色の髪がのぞいた。
ドラゴンころしを振り上げ、出方を窺う。
分厚い雲で薄れたドラゴンころしの影はそいつを覆ったが、ただ震えるだけで逃げる気配も攻撃する様子もない。
空いた手で街路樹を掻き分けると、娘が膝を抱えてうずくまっていた。
あいつとは対称的な、それこそ雪に紛れる白さの肌が光った。真っ赤になった鼻が目立つ。 
唇は紫を通り越して黒くなっていた。
丸まった背の薄い皮膚を、下から背骨が押し上げている。細くも要所要所は肉付きのいい肢体は、何も着ていなかった。
濡れた新聞紙をかぶり、かきあわせていた。
そこらのごみ箱から拾ったらしく、泥だらけだった。身体を隠す為とはとても言い難い。
少しでも寒さをしのぐ、無駄な砦のつもりらしい。

 身ぐるみ剥がれて捨てられたのか。
だが、それならこの寒空の下に留まっている理由は無い。
移動して服を調達ぐらいはするはずだ。あの男がやっていたように。

「誰だ、お前は」
「あう……? うう」



――なぜ誰もが、俺を試すような出合いをするんだ。



脳裏に浮かぶのは、あの女しかいなかった。





【ウィンリィ・ロックベル@鋼の錬金術師 肉体授与】

【H-08南西/図書館近くの路上/1日目/午後】


ガッツ@ベルセルク】
[状態]:疲労(特大)
[服装]:上半身裸
[装備]:衝撃貝(インパクトダイアル)@ONE PIECE  ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:支給品一式、炸裂弾×1@ベルセルク、折れたキリバチ@ONE PIECE、
    妖精の燐粉(残り25%)@ベルセルク、蝉のナイフ@魔王 JUVENILE REMIX
[思考]
基本:グリフィスと、“神”に鉄塊をぶち込む。
0:なんだ、この女は……
1:運命に反逆する。
2:グリフィスを殺す。
3:グリフィスの部下の使徒どもも殺す。
4:なんか、夢に見たか?
5:なぜヤツが関わっている?
6:工場に向かい、使徒どもの所業を見極める。
7:その足で競技場方面に向かい、グリフィスをぶち殺す算段を整える。
8:ナイブズとその同行者に微かな羨望。
9:ヴァッシュに出会ったらナイブズの言葉を伝える。
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。
※左手の義手に衝撃貝が仕込まれています。
※鈴子からロベルト関係以外の様々な情報を得ました。


ウィンリィ・ロックベル@鋼の錬金術師】
[状態]:記憶退行
[服装]:全裸。新聞紙を巻きつけている他は首輪のみ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
0:???
1:うー?
[備考]
※参戦時期は傷の男と合流後(18巻終了後)以降です。
※記憶を幼児まで後退させられています。記憶が戻るかどうかは後の書き手さんにお任せします。
※ウィンリィは『観測者』の運命観測対象としての復活です。ジョーカーのような働きは一切出来ません。



#####



「――昔、望遠鏡を覗いた学者は、火星には運河があり、文明も存在するものだと信じていた。
 見えていたものは現代と変わらないのに、なぜ学者たちは騙されたのか、わかるかい?」

 脈絡なしに、犬養は問いかけた。首を捻るアノンに代わって、アイズが答える。

「天体を写真に収める技術がなかった。学者は自ら様子を描かざるをえない。
 観『察』して書き下ろすうちに、意図せず想像力が働いて、光の加減で見えた影を運河だと勘違いした」
「正解。これが観察と観測の違いだよ、セイバー。
 全てを客観的に、普遍的に見る観『測』者がいなければいけないんだ。
 観察だけするから、余計なものが見えてこういったことが起きる」
「わかったよ、ウザいね君ら」

 少し間を置き、アイズは尋ねた。

「お前はここに何しに来た。ただ『観測者』の行動を確かめるためだけに来た訳じゃないだろう。
 招集でもかかったのか」
「ああ、そうだった。
 次の放送について、"彼"から連絡があるらしいよ。

 運命だとか何とか……

 ところでさ、君らにとって、運命って何?
 ウォッチャーに確認されてるのを承知とはいえ、勝手な行動してまで見いだしたいものってなんだい?」
「はは、興味あるね。気になるのもわかるよ」

 よく似た二人は、同時に言った。

「全ては予定調和だ」
「世界は変えられる」

 短い会話だった。「神」にも届きはしないだろう。
円の外影に隠れながらも、犬養は笑っていた。さっきの薄笑いとは全く違う。本当に面白げだった。

「それが君が言う、運命の螺旋が示す未来かい?」
「それがお前の言う、運命のリトマス紙なのか?」

 また同時に互いを皮肉り合う。

「……勝手に出ていった者同志ですら仲が悪いね。
 煮ても焼いても食えないよ」

 アノンの溜め息は受け流された。


時系列順で読む


投下順で読む


136:素晴らしき日々~不連続存在~ ガッツ 157:AGITATOR/THINKER
136:肉体授与 ウィンリィ・ロックベル 157:AGITATOR/THINKER

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー