AGITATOR/THINKER ◆L62I.UGyuw
雪の住宅街。
疲労困憊の隻眼の剣士は、柄にもなく当惑していた。
当惑の原因こそキャスカを思わせる少女。
雪化粧が施された街路樹の脇に裸でぺたんと尻を付いている。
疲労困憊の隻眼の剣士は、柄にもなく当惑していた。
当惑の原因こそキャスカを思わせる少女。
雪化粧が施された街路樹の脇に裸でぺたんと尻を付いている。
正確には、少女は全裸ではなく新聞紙を数枚と首輪を身に付けてはいる。
しかし首輪は勿論、新聞紙も防寒どころか身体を隠す役目すら果たせていないのだから、これは裸と表現して差し支えない。
ともかく、少女は降りしきる雪の中、捨てられた子猫のように身体を抱えて座り込んでいた。
しかし首輪は勿論、新聞紙も防寒どころか身体を隠す役目すら果たせていないのだから、これは裸と表現して差し支えない。
ともかく、少女は降りしきる雪の中、捨てられた子猫のように身体を抱えて座り込んでいた。
おい。
第一声は、音を成さなかった。喉が粘着く。
ガッツの足元で縮こまる少女は、よくよく見ればキャスカとそう似てはいない。
腰まで届く金の髪も、肌理の細かい白い肌も、キャスカとは大きく異なるものだ。
ガッツの足元で縮こまる少女は、よくよく見ればキャスカとそう似てはいない。
腰まで届く金の髪も、肌理の細かい白い肌も、キャスカとは大きく異なるものだ。
落ち着け。
唾を呑み込む。
唾を呑み込む。
「おい」
どうしたんだよ、と何とか無難な言葉を投げ掛ける。
必要以上に平坦なその声に応えるように、少女はうぅ、と言葉にならない声を発して、ようやくガッツの顔を真っ直ぐ見上げた。
新聞紙が一枚腕から零れて、雪に濡れその色を濃くして行く。
目が合う。
必要以上に平坦なその声に応えるように、少女はうぅ、と言葉にならない声を発して、ようやくガッツの顔を真っ直ぐ見上げた。
新聞紙が一枚腕から零れて、雪に濡れその色を濃くして行く。
目が合う。
やはり。
尋常な人間の反応ではない。
無防備過ぎる。
尋常な人間の反応ではない。
無防備過ぎる。
ガッツは自分自身の風貌を他人がどう捉えるかくらいは自覚している。
好く言って強面、悪く言えば悪党面である。
間違っても好青年や美男子と形容される容姿ではない。
初対面の堅気の者ならまず大抵は怯える。
好く言って強面、悪く言えば悪党面である。
間違っても好青年や美男子と形容される容姿ではない。
初対面の堅気の者ならまず大抵は怯える。
しかし少女はそんなガッツに正面から睨まれてなお緊張の欠片も見せなかった。
後ずさるだとか、悲鳴を上げるだとか、そういった当たり前の行動を起こす素振りすらない。
青みがかった双眸が不安げにただ揺れている。
庇護者を求める幼子の瞳だ。
後ずさるだとか、悲鳴を上げるだとか、そういった当たり前の行動を起こす素振りすらない。
青みがかった双眸が不安げにただ揺れている。
庇護者を求める幼子の瞳だ。
「クソ……冗談じゃねえぞ……」
ガッツは太い眉を寄せて毒吐く。
いっそこの少女がガッツの命を狙うバーキラカのような暗殺者であったなら。
それならば悩むことなどないのだが、幸か不幸かそういう訳でもないらしい。
例えば武器を握る手にさりげなく力を込めてみても、彼女は僅かな反応も見せない。
訓練を受けた戦士ならばどうしても生じる筋肉の緊張が見られないのだ。
それならば悩むことなどないのだが、幸か不幸かそういう訳でもないらしい。
例えば武器を握る手にさりげなく力を込めてみても、彼女は僅かな反応も見せない。
訓練を受けた戦士ならばどうしても生じる筋肉の緊張が見られないのだ。
改めてざっと少女を観察する。
雰囲気はやはりとても幼い。だが実年齢は十台半ばといったところだろう。
顔や身体の泥を拭えば、美少女と呼べる容姿だ。
とても殺し合いなど出来る風には見えないが、首に嵌められた鈍色の輪は彼女がガッツと同じ立場であることを示している。
腰を浮かせて、少女が縋るようにゆっくりと腕を伸ばして来た。
雰囲気はやはりとても幼い。だが実年齢は十台半ばといったところだろう。
顔や身体の泥を拭えば、美少女と呼べる容姿だ。
とても殺し合いなど出来る風には見えないが、首に嵌められた鈍色の輪は彼女がガッツと同じ立場であることを示している。
腰を浮かせて、少女が縋るようにゆっくりと腕を伸ばして来た。
思いの外、筋肉質な腕だとガッツは思った。
新聞紙の隙間から見え隠れする腰周りや脚もしっかりしている。女性の割に腹や尻に付いた脂肪も薄い。
日常的に力仕事をこなしている者の体付きだ。
張りのある乳房や尻も、その土台があってこそのものだろう。
新聞紙の隙間から見え隠れする腰周りや脚もしっかりしている。女性の割に腹や尻に付いた脂肪も薄い。
日常的に力仕事をこなしている者の体付きだ。
張りのある乳房や尻も、その土台があってこそのものだろう。
掌や指に目を走らせると、年季の入ったタコがあることに気付く。
これは鍛冶師か――そうでなくともモノを造る職人特有のものだ。
これは鍛冶師か――そうでなくともモノを造る職人特有のものだ。
つまり。
彼女がこうなったのはごく最近であり――現実的にはこの一日の間であると言い切っていい。
彼女がこうなったのはごく最近であり――現実的にはこの一日の間であると言い切っていい。
――ブチ殺してやる。
戸惑いは腹の底へと消え、代わりに怒りがこみ上げて来た。
薄々感付いてはいる。
きっとこいつはクソッたれの『運命』とやらがもたらした邂逅なのだろう。
この娘を連れ歩けばいずれロクなことにはなるまい。
解っていてなお選択の余地を見出せないことに、ガッツは苛立ちを隠せない。
きっとこいつはクソッたれの『運命』とやらがもたらした邂逅なのだろう。
この娘を連れ歩けばいずれロクなことにはなるまい。
解っていてなお選択の余地を見出せないことに、ガッツは苛立ちを隠せない。
いや、違う。
選択の余地はあるのだ。
自らの復讐を優先するならば、こんな少女は放っておけばいい。
だが、そうするには彼女はあまりにも――。
選択の余地はあるのだ。
自らの復讐を優先するならば、こんな少女は放っておけばいい。
だが、そうするには彼女はあまりにも――。
――と、ガッツの身体に触れる直前に、少女の右腕がびくりと動きを止めた。
ガッツの苛立ちを敏感に感じ取ったのか。
その反応もまた、キャスカを思い起こさせる。
ガッツの苛立ちを敏感に感じ取ったのか。
その反応もまた、キャスカを思い起こさせる。
まるで。
まるで悪夢の再現だ。
まるで悪夢の再現だ。
――けっ。
だから。
「だから、どうしたってんだ」
そうだ。
悪夢がどうした。
抗えぬ運命だの絶対の因果だの。
そんなものは犬にでも食わせてしまえ。
悪夢がどうした。
抗えぬ運命だの絶対の因果だの。
そんなものは犬にでも食わせてしまえ。
――これは戦だ。
「戦ってのはな――」
夜の草原で遮二無二剣を振り回し、こう叫んで開戦の烽火を上げたではないか。
「最後に立ってた奴の勝ちなんだよ!」
あのときと同じ言葉を唸るように吐き出し、そして丸太のような腕で少女の手を取って半ば強引に引き上げる。
少女は小さく呻き、しかしほとんど抵抗なく立ち上がった。
弾みで身体に巻き付いていた泥塗れの新聞紙がべちゃりと落ちた。
震える裸身がガッツの眼前に晒される。
少女は小さく呻き、しかしほとんど抵抗なく立ち上がった。
弾みで身体に巻き付いていた泥塗れの新聞紙がべちゃりと落ちた。
震える裸身がガッツの眼前に晒される。
少女はくしゅんとくしゃみをした。
鼻水が垂れる。
しかし彼女は鼻水を拭くでもなく、身体を抱えたまま動かない。
リアクションが薄い。
寒さのせいだ。
鼻水が垂れる。
しかし彼女は鼻水を拭くでもなく、身体を抱えたまま動かない。
リアクションが薄い。
寒さのせいだ。
ガッツはふんと鼻を鳴らした。
雪に霞む巨大な箱――図書館の方に目を遣る。
雪に霞む巨大な箱――図書館の方に目を遣る。
「おいガキ、来な。悪いようにはしねえよ」
人攫いもかくやといった台詞を吐くと、ガッツは少女の手をぐいぐいと引っ張って行った。
**********
図書館の中は暖かかった。
堂々と正面の入口から進入したガッツは、軽く嘆息した。
図書館というからには、よくある書庫のようなもっと黴臭い所を想像していたのだが、予想に反して館内は清浄な空気に満ちていた。
図書館というからには、よくある書庫のようなもっと黴臭い所を想像していたのだが、予想に反して館内は清浄な空気に満ちていた。
整然と並んだ本棚。落ち着いた昼光色の照明。宮殿でしか見たことのない滑らかな床と壁。
書物を保管するためだけにしては過剰な程の設備に思える。
綺麗だが、何処か現実感に欠けている。
書物を保管するためだけにしては過剰な程の設備に思える。
綺麗だが、何処か現実感に欠けている。
入口付近には複数人の靴跡が残されていた。
誰かがここを訪れたことは確実だ。そしてそれ自体は予想していた通りだった。
街の中央部にある地図に記された大きな建物。そんな場所に誰も訪れていない方がむしろ不自然だからだ。
誰かがここを訪れたことは確実だ。そしてそれ自体は予想していた通りだった。
街の中央部にある地図に記された大きな建物。そんな場所に誰も訪れていない方がむしろ不自然だからだ。
一階の、少なくともメインフロアには誰もいないことを確認すると、ガッツは奥まった位置にあった読書用の長椅子にどっかと腰を下ろした。
図書館全体を見て回るつもりは端からない。要は少し休めればいいのだ。
館内に誰かがいたとしても、奇襲の難しい位置に陣取っているので心配には至らない。
壁に剣を立て掛け、品の良い木製テーブルの上に乱暴に脚を乗せる。
図書館全体を見て回るつもりは端からない。要は少し休めればいいのだ。
館内に誰かがいたとしても、奇襲の難しい位置に陣取っているので心配には至らない。
壁に剣を立て掛け、品の良い木製テーブルの上に乱暴に脚を乗せる。
「おい、あんまりうろつくんじゃねえぞ」
少女に呼び掛ける。返事はない。
彼女は興味津々といった様子で辺りをうろうろしていた。
懸念はこの少女の動向だが、目の届く場所にいる限り大した問題はないだろう。
彼女は興味津々といった様子で辺りをうろうろしていた。
懸念はこの少女の動向だが、目の届く場所にいる限り大した問題はないだろう。
ちなみに現在、少女は黒いジャンパーコートを羽織っている。
図書館の手前にあったアパートの一室から拝借したものだ。
窓際の壁にこれ見よがしに何着も掛けておいたのが、部屋の持ち主――そんなものがいたとして――の不運だったといえる。
図書館の手前にあったアパートの一室から拝借したものだ。
窓際の壁にこれ見よがしに何着も掛けておいたのが、部屋の持ち主――そんなものがいたとして――の不運だったといえる。
ガッツは背もたれに体重を預け、モザイク模様の天井を仰いだ。
無音。不自然なまでに音がしない。
こうも静かだと外の雪すら幻のように思えてくる。
しばらくぼうっと天井に視線を彷徨わせていたガッツは、やがて大儀そうに呟いた。
無音。不自然なまでに音がしない。
こうも静かだと外の雪すら幻のように思えてくる。
しばらくぼうっと天井に視線を彷徨わせていたガッツは、やがて大儀そうに呟いた。
さて――どうする。
勢いで連れてきたはいいものの、本来なら正体不明の少女のお守りなどしている余裕はない。
勢いで連れてきたはいいものの、本来なら正体不明の少女のお守りなどしている余裕はない。
倦み疲れた頭を緩々と動かす。
とりあえず――少しの間、ここで休んでおくべきか。
もうすぐ放送とやらがあるはずだ。進入禁止エリアの場所を聞き逃すと面倒なことになる。
人を馬鹿にした連中の話を黙って聴くのは腹が立つが、とはいえ無視して爆死するのは大馬鹿者の仕業である。
要するに、戦は最後に立っていた者の勝ちなのだ。利用出来るものは何でも利用すべきだ。
もうすぐ放送とやらがあるはずだ。進入禁止エリアの場所を聞き逃すと面倒なことになる。
人を馬鹿にした連中の話を黙って聴くのは腹が立つが、とはいえ無視して爆死するのは大馬鹿者の仕業である。
要するに、戦は最後に立っていた者の勝ちなのだ。利用出来るものは何でも利用すべきだ。
どさばさどさり。
少女の方から何かが落ちる音が聞こえた。何事かとガッツは横目で確認する。
絵本が少女の足元に散らばっていた。本棚から落としたのだろう。
少女の方から何かが落ちる音が聞こえた。何事かとガッツは横目で確認する。
絵本が少女の足元に散らばっていた。本棚から落としたのだろう。
再び天井を見上げる。
工場へ向かうのはひとまず断念せざるを得ない。
行くとしても準備が必要だ。
ガッツ一人ならばともかく、少女を連れて悪天候の山を登るのはいかにも無謀だろう。
それに、グリフィスや使徒とやり合うなら、まずは少女の身の安全を確保する必要がある。
誰かを護りながら戦える程、ヤツらは甘い相手ではない。
行くとしても準備が必要だ。
ガッツ一人ならばともかく、少女を連れて悪天候の山を登るのはいかにも無謀だろう。
それに、グリフィスや使徒とやり合うなら、まずは少女の身の安全を確保する必要がある。
誰かを護りながら戦える程、ヤツらは甘い相手ではない。
少女の方に目を遣る。
少女はガッツに尻を向けて床に絵本を広げていた。
尻の穴が見える。
色気も何もあったものではない。本当に子供である。
少女はガッツに尻を向けて床に絵本を広げていた。
尻の穴が見える。
色気も何もあったものではない。本当に子供である。
ったく。
参ったぜ。
こいつを、どうすりゃいいってんだ。
参ったぜ。
こいつを、どうすりゃいいってんだ。
キャスカは。
キャスカのときは。
キャスカのときは。
向こう見ずな少年の得意顔が、小さな魔女の膨れっ面が、細目の剣士の呆れ顔が、生真面目な元女騎士の怒り顔が、脳裏に去来する。
そう、あいつらが。
仲間が。
仲間がいれば。
そう、あいつらが。
仲間が。
仲間がいれば。
仲間がいれば。
ここへ来てようやくそう思ったそのとき――ガッツは項の右側がじくりと痛むのを感じた。
**********
これは。
この痛みは。
間違いない。
バケモンがいる。
それも大物だ。
そこいらの雑魚ではない。
こいつは。
こいつは――使徒だ。
この痛みは。
間違いない。
バケモンがいる。
それも大物だ。
そこいらの雑魚ではない。
こいつは。
こいつは――使徒だ。
図書館屋上の鉄扉を打ち壊さんばかりの勢いで開いたガッツは、その場で目を見開いて硬直した。
屋上の端、転落防止用の柵の内側にいたのはやはり化物。
しかし。
屋上の端、転落防止用の柵の内側にいたのはやはり化物。
しかし。
「バカな、てめェは――」
巨大な漆黒の体躯。雄牛と獅子の合いの子のような四肢。鋭い爪と牙。蝙蝠のような翼。天を衝く一本角。
見紛うはずもない。その異形はどう見ても、
見紛うはずもない。その異形はどう見ても、
「――ゾッド!?」
何故だ。
確かにヤツは死んだと――。
確かにヤツは死んだと――。
いや。
何を寝惚けている。
ヤツは『不死の(ノスフェラトゥ)』ゾッド。
殺したって死ぬタマではない。
そう、この手で斬り殺さない限りは。
何を寝惚けている。
ヤツは『不死の(ノスフェラトゥ)』ゾッド。
殺したって死ぬタマではない。
そう、この手で斬り殺さない限りは。
ズン、と屋上全体が振動した。
ゾッドがこちらに向き直ったのだ。
ゾッドがこちらに向き直ったのだ。
「ほう……やはりまだ生きていたか、烙印の剣士よ。
もっとも、貴様はあの『蝕』を生き延びたのだから、当然のことだろうがな」
「けっ、生きていたか、じゃねェよクソ野郎。大体よ、こいつはお前らバケモン共が仕組んだ茶番じゃあねえのか? あ?」
「まさかな。この宴はオレの知るところではない。だが、そんなことはどうでもいい。肝心なことは――」
もっとも、貴様はあの『蝕』を生き延びたのだから、当然のことだろうがな」
「けっ、生きていたか、じゃねェよクソ野郎。大体よ、こいつはお前らバケモン共が仕組んだ茶番じゃあねえのか? あ?」
「まさかな。この宴はオレの知るところではない。だが、そんなことはどうでもいい。肝心なことは――」
――ここにはオレの求める戦士が多くいるということだ。
愉しげに、黒々とした咆哮を上げるゾッド。
愉しげに、黒々とした咆哮を上げるゾッド。
そのとき、ゾッドのやや後ろで白い影が動いた。
「蝕……? 生き延びた……? ああ、皆既月蝕というのは、もしや。
ふむ……しかしそうだとすると、『神』の狙いはつまるところ我々の命を使った――。
いや、どうなのでしょうね。いずれにせよ、その刻に何かが起こるのでしょうが……」
「何だ、てめェ……」
ふむ……しかしそうだとすると、『神』の狙いはつまるところ我々の命を使った――。
いや、どうなのでしょうね。いずれにせよ、その刻に何かが起こるのでしょうが……」
「何だ、てめェ……」
そこには上から下まで白い男がいた。
顎を摩り、半眼でこちらに冷たい視線を送るその姿は、雪によく馴染んでいる。
顎を摩り、半眼でこちらに冷たい視線を送るその姿は、雪によく馴染んでいる。
「おっと、申し遅れました。私の名はゾルフ・J・キンブリー。紅蓮の錬金術師と呼ばれている者です。以後お見知り置きを」
ゾッドが放つ毛の逆立つような殺気も何処吹く風といった調子で、男は悠然とゾッドの隣に進み出て、帽子を取って一礼した。
紳士然とした態度が胡散臭いくらい様になっている。
紳士然とした態度が胡散臭いくらい様になっている。
「人間――ではあるみてえだな」
勿論ですよ、とキンブリーと名乗った男は答えた。
何者かは判らない。
だが爬虫類染みた薄笑いが気に食わない。
蟻を観察するような視線が気に食わない。
だが爬虫類染みた薄笑いが気に食わない。
蟻を観察するような視線が気に食わない。
こいつは敵だ。
理屈ではなく戦士の直感がそう告げている。
剣を持ち上げながら半身に構える。
理屈ではなく戦士の直感がそう告げている。
剣を持ち上げながら半身に構える。
どうするか。
よく見ればゾッドの黒い獣毛は所々失われ、皮膚は焼け爛れている。再生力が落ちているのか。
倒すチャンスかもしれない。
だがガッツ自身も万全には程遠い。
よく見ればゾッドの黒い獣毛は所々失われ、皮膚は焼け爛れている。再生力が落ちているのか。
倒すチャンスかもしれない。
だがガッツ自身も万全には程遠い。
じろり、とゾッドを睨み付ける。
「へっ、不死のゾッドともあろうものが人間と仲良しゴッコか?
随分落ちぶれたもんだな。使徒の名が泣くぜ」
随分落ちぶれたもんだな。使徒の名が泣くぜ」
挑発。
ゾッドは射程の長い武器を持たない。必ず接近戦を挑んでくるはずだ。そういう意味でゾッドは読み易い。
ならば、まず突っ込んで来るゾッドをかわし、不確定要素――白服の男を叩っ斬る。
ゾッドは射程の長い武器を持たない。必ず接近戦を挑んでくるはずだ。そういう意味でゾッドは読み易い。
ならば、まず突っ込んで来るゾッドをかわし、不確定要素――白服の男を叩っ斬る。
「フン、減らず口を……」
ゾッドの全身の筋肉が膨れ上がった。
殺気が千の針となってガッツの皮膚に突き刺さる。
殺気が千の針となってガッツの皮膚に突き刺さる。
――来る。
冷たい空気が肺に満ちる。
距離は十五歩。
鉄塊の如き剣を頭上に掲げ――、
距離は十五歩。
鉄塊の如き剣を頭上に掲げ――、
――と、ゾッドが訝しげにガッツの背後に視線を外した。
罠――ではない。ゾッドはそういう搦手を好まない。
ならば。
罠――ではない。ゾッドはそういう搦手を好まない。
ならば。
「ぅ、あ~」
しくじった。
背後に少女がいる。
ガッツを追って来ていたのだ。
背後に少女がいる。
ガッツを追って来ていたのだ。
「馬鹿野郎、来るんじゃねえ!」
違う、馬鹿野郎はオレだ。
ガッツは自身の迂闊さを呪った。
いつもの癖で飛び出せばこうなることは火を見るより明らかだったはずだ。
いつもの癖で。
いつもは仲間がいたから。
だからガッツは戦いに専念出来たのだ。
ガッツは自身の迂闊さを呪った。
いつもの癖で飛び出せばこうなることは火を見るより明らかだったはずだ。
いつもの癖で。
いつもは仲間がいたから。
だからガッツは戦いに専念出来たのだ。
今は彼女を預かる仲間はいない。
歯噛みしつつ少女を背に隠すように動いたそのとき、ガッツはゾッドの様子がおかしいことに気付いた。
「その娘……フン、奴らつまらぬ真似を……」
殺気が消失している。獣の顔は表情が読み難いが、それでもはっきりと厭そうな顔をしているのが判る。
ゾッドはしばらくそのまま黙っていたが――唐突にガッツに背を向けた。
ゾッドはしばらくそのまま黙っていたが――唐突にガッツに背を向けた。
「興が削がれた。その首、しばらく預けておくぞ」
「……あァ?」
「おや、よろしいのですか? 私は特に急いではいないのですが」
「貴様はオレの力を測るつもりだっただけであろう。引き裂かれたくなくば引っ込んでいろ」
「……あァ?」
「おや、よろしいのですか? 私は特に急いではいないのですが」
「貴様はオレの力を測るつもりだっただけであろう。引き裂かれたくなくば引っ込んでいろ」
おやおやと肩を竦め、しかしそれ以上は追求せずにキンブリーはゾッドの背に飛び乗った。
そしてガッツと少女を交互に見比べて、おもむろに口を開く。
そしてガッツと少女を交互に見比べて、おもむろに口を開く。
「なるほど。どうやら、運命の分岐点は間近まで迫っているようです。
運命の分岐点――そこで一体何が起こるのか、私はそれを見てみたい。
全ては『神』の掌の上なのか、そこから零れ落ちる何かがあるのか、興味は尽きません。
しかしいずれにせよ――」
運命の分岐点――そこで一体何が起こるのか、私はそれを見てみたい。
全ては『神』の掌の上なのか、そこから零れ落ちる何かがあるのか、興味は尽きません。
しかしいずれにせよ――」
目が合った。その瞳の奥に並存する理性と狂気の光を、ガッツは確かに見た。
「貴方がたにもし運命に逆らうつもりがあるのなら、日の変わる時に競技場まで来るといいでしょう」
――我々はそこで待っていますよ。
キンブリーの言葉が終わるのを待たず、ゾッドはべた付く雪を切り裂いて飛び立って行った。
キンブリーの言葉が終わるのを待たず、ゾッドはべた付く雪を切り裂いて飛び立って行った。
【H-8/図書館屋上/1日目/夕方】
【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:疲労(大)
[服装]:上半身裸
[装備]:衝撃貝(インパクトダイアル)@ONE PIECE、ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:支給品一式、炸裂弾×1@ベルセルク、折れたキリバチ@ONE PIECE、
妖精の燐粉(残り25%)@ベルセルク、蝉のナイフ@魔王 JUVENILE REMIX
[思考]
基本:グリフィスと、“神”に鉄塊をぶち込む。
1:運命に反逆する。
2:グリフィスを殺す。
3:グリフィスの部下の使徒どもも殺す。
4:なぜヤツが関わっている?
5:工場に向かうのはひとまず保留。
6:競技場方面に向かう?
7:ナイブズとその同行者に微かな羨望。
8:ヴァッシュに出会ったらナイブズの言葉を伝える。
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。
※左手の義手に衝撃貝が仕込まれています。
※鈴子からロベルト関係以外の様々な情報を得ました。
[状態]:疲労(大)
[服装]:上半身裸
[装備]:衝撃貝(インパクトダイアル)@ONE PIECE、ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:支給品一式、炸裂弾×1@ベルセルク、折れたキリバチ@ONE PIECE、
妖精の燐粉(残り25%)@ベルセルク、蝉のナイフ@魔王 JUVENILE REMIX
[思考]
基本:グリフィスと、“神”に鉄塊をぶち込む。
1:運命に反逆する。
2:グリフィスを殺す。
3:グリフィスの部下の使徒どもも殺す。
4:なぜヤツが関わっている?
5:工場に向かうのはひとまず保留。
6:競技場方面に向かう?
7:ナイブズとその同行者に微かな羨望。
8:ヴァッシュに出会ったらナイブズの言葉を伝える。
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。
※左手の義手に衝撃貝が仕込まれています。
※鈴子からロベルト関係以外の様々な情報を得ました。
【ウィンリィ・ロックベル@鋼の錬金術師】
[状態]:記憶退行
[服装]:黒のジャンパーコート
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
0:???
1:うー?
[備考]
※参戦時期は傷の男と合流後(18巻終了後)以降です。
※記憶を幼児まで後退させられています。
[状態]:記憶退行
[服装]:黒のジャンパーコート
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
0:???
1:うー?
[備考]
※参戦時期は傷の男と合流後(18巻終了後)以降です。
※記憶を幼児まで後退させられています。
【H-8/上空/1日目/夕方】
【ゾッド@ベルセルク】
[状態]:疲労(小)、全身に火傷などのダメージ(中、回復中)、使徒化
[服装]:
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本:例え『何か』の掌の上だとしても、強者との戦いを楽しむ。
1:出会った者全てに戦いを挑み、強者ならばその者との戦いを楽しむ。
2:金色の獣(とら)と決着をつける。
3:趙公明の頼みを聞く気はないでもない。武道会に興味。
[備考]
※未知の異能に対し、警戒と期待をしています。
※趙公明に感嘆。
[状態]:疲労(小)、全身に火傷などのダメージ(中、回復中)、使徒化
[服装]:
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本:例え『何か』の掌の上だとしても、強者との戦いを楽しむ。
1:出会った者全てに戦いを挑み、強者ならばその者との戦いを楽しむ。
2:金色の獣(とら)と決着をつける。
3:趙公明の頼みを聞く気はないでもない。武道会に興味。
[備考]
※未知の異能に対し、警戒と期待をしています。
※趙公明に感嘆。
【ゾルフ・J・キンブリー@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[服装]:白いスーツ
[装備]:交換日記“愛”(現所有者名:キンブリー)@未来日記
[道具]:支給品一式×2(名簿は一つ)、ヒロの首輪、キャンディ爆弾の袋@金剛番長(1/4程消費)、ティーセット、小説数冊、
錬金術関連の本、学術書多数、悪魔の実百科、宝貝辞典、未来日記カタログ、職能力図鑑、その他辞典多数、AED
[思考]
基本:優勝する。
1:趙公明に協力。
2:パソコンと携帯電話から“ネット”を利用して火種を撒く。
3:首輪を調べたい。
4:森あいや、ゆのが火種として働いてくれる事に期待。
5:入手した本から「知識」を仕入れる。
6:参加者に「火種」を仕込む?
7:神の陣営への不信感(不快感?)
8:未来日記の信頼性に疑問。
9:白兵戦対策を練る。
10:うしおの性格に興味。使い道がないか考える。
11:西沢さんに嫉妬?
[備考]
※剛力番長に伝えた蘇生の情報はすべてデマカセです。
※剛力番長に伝えた人がバケモノに変えられる情報もデマカセです。
※制限により錬金術の性能が落ちています。
※趙公明から電話の内容を聞いてはいますが、どの程度まで知らされたのかは不明です。
※ゴルゴ13を警戒しています。
[状態]:健康
[服装]:白いスーツ
[装備]:交換日記“愛”(現所有者名:キンブリー)@未来日記
[道具]:支給品一式×2(名簿は一つ)、ヒロの首輪、キャンディ爆弾の袋@金剛番長(1/4程消費)、ティーセット、小説数冊、
錬金術関連の本、学術書多数、悪魔の実百科、宝貝辞典、未来日記カタログ、職能力図鑑、その他辞典多数、AED
[思考]
基本:優勝する。
1:趙公明に協力。
2:パソコンと携帯電話から“ネット”を利用して火種を撒く。
3:首輪を調べたい。
4:森あいや、ゆのが火種として働いてくれる事に期待。
5:入手した本から「知識」を仕入れる。
6:参加者に「火種」を仕込む?
7:神の陣営への不信感(不快感?)
8:未来日記の信頼性に疑問。
9:白兵戦対策を練る。
10:うしおの性格に興味。使い道がないか考える。
11:西沢さんに嫉妬?
[備考]
※剛力番長に伝えた蘇生の情報はすべてデマカセです。
※剛力番長に伝えた人がバケモノに変えられる情報もデマカセです。
※制限により錬金術の性能が落ちています。
※趙公明から電話の内容を聞いてはいますが、どの程度まで知らされたのかは不明です。
※ゴルゴ13を警戒しています。
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| 150:欲望の轍から…… | ウィンリィ・ロックベル | 165:私の救世主さま |
| 150:欲望の轍から…… | ガッツ | 165:私の救世主さま |
| 140:『戦おうじゃないかっ、趙公明1番!!』作詞 C.公明 / 作曲 魔礼海 | ゾッド | 168:燃え上がる策動の炎 |
| 156:AGITATOR/FOLLOWER | ゾルフ・J・キンブリー | 168:燃え上がる策動の炎 |