アットウィキロゴ
新漫画バトルロワイアル
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

反撃の狼煙

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

反撃の狼煙 ◆L62I.UGyuw



「おい」

薄暗い森に鋼の錬金術師、エドワード・エルリックの声が吸い込まれる。

「……」

一方、シンの皇子、リン・ヤオは無言。時折、落ち葉を踏みしめる音が聞こえる。

「おいって」
「……」

なおも無言。
木々を揺らす風の音。舞い上がる木の葉。湿った土の匂いが二人を包む。

「おい! もう起きてるってんだよ。降ろせって!」

しびれを切らしたエドが声を張り上げた。
リンは耳のすぐ後ろからの大声に顔を顰め、

「あーうるさイ。怪我人は大人しく黙ってロ! つーか起きて第一声がそれカ!?
 せっかく助けてやったってのニ! 俺だってムサい男なんか背負いたくないヨ!」

一息で反論。
背負われていたエドが口を閉じ、妙な沈黙が生まれる。

「……」

「……」

「……お前も巻き込まれてたんだな」
「……まあナ」
「……とりあえず降ろせよ」
「断ル」
「い・い・か・ら、降ろせっつーの」
「ぐェ!? 絞まル絞まル」

左腕でリンにチョークをかけるエド。弾みでエドの体重を支える手が緩んだ。
その隙に、エドは身を捩って尻から地面に落ちる。
尻に付いた土を払いつつ、立ち上がろうと脚に力を込めるが、

「よっ……と。うぉ!?」

あえなく膝から崩れ落ちてしまった。
気絶するほどの錬金術の連続使用による身体への影響は大きかったらしい。

「だから言ったのニ。まあいいカ。これだけ離れればヤツらも簡単には追ってこれないだロ」

縒れた襟首を整えながら、リンもその場に腰を下ろした。
額に薄く汗が浮いている。

「ヤツら? そもそもここは何処だよ? 俺が倒れてる間に何があったんだ?」

矢継ぎ早に質問するエド。
リンは鬱陶しいと言いたげに手をひらひらと振るう仕草を見せる。

「一遍に訊くナ。色々あったんだヨ。
 ホントは病院に行こうと思ってたんだけど、この状態で目立つ場所に出るのはマズいと思ってナ。
 人気の無いとこまで逃げてきたんダ」
「あー……そりゃ正解だぜ。病院には白コートのヤベーのがいてな……。今ハチ合わせしたら多分殺られる」

エドは疲れた様子で言葉を吐く。が、すぐに真面目な顔でリンに向き直った。

「で、リン……放送ってやつはもう終わったのか?」
「……あア」

若干の間。
リンの目から心なしか力が失われる。

「侵入禁止エリアには印を付けておいタ。確認しロ」

手だけを動かして、持っていたエドの荷物から地図を取り出す。
そのぎこちない行動を訝しむエド。
風は凪ぎ、森が静寂に包まれる。

「……名簿は?」

抑えた声で訊く。
無言で、リンがデイパックに手を入れた。そこで一瞬躊躇うような仕草を見せ、

「………………これダ。……放送で呼ばれた名は赤くなる仕掛けらしイ」

しかし結局名簿を手渡した。
エドは名簿に目を通し始め――すぐにその視線が一点に縫い止められる。

「……オイ、冗談――だろ?」

あってはならない出来事。
あるはずのない出来事。
世界が、音を立てて崩れ去る。

アルフォンス・エルリック
エドワード・エルリックの唯一無二の弟。
その名が、名簿の上の方で死の色に染まっていた。

「……っざっ――――けんな!!」

脇に生えた樹に右腕の機械鎧を激情のまま叩き付ける。
ギリリと奥歯を噛み締める音。ややあって、落ちてきた葉がエドとリンの頭や肩に徐々に積もっていく。
エドは顔を伏せたまま動かない。
狭い空はいつの間にか青く染まり、小さな雲が浮かんでいるのが見える。
リンは何も言わず、ただ静かに座っていた。

森に一時の静寂が戻った。



木々の隙間から射し込む陽の光が剥き出しの土に斑模様を描く。
斑の中に、影が二つ。
なあ、とエドが沈黙を破った。表情は窺えない。
なんダ、と何でもない調子で返すリン。

グリードは、死んだのか?」

平坦な声。

「死んダ。『俺は閻魔をブッ殺して地獄の王になって待っててやる。お前は神をブッ殺してこの世の王になれ』だそうダ。
 ……最期まで強欲なヤツだったヨ」
「……」

再び沈黙。
だが今度はすぐにリンが口を開いた。

「十八人死んダ」
「そうだな」
「ホムンクルスの不死性すらこのゲームに都合良くコントロールされてル」
「みたいだな」
「俺達を集めた連中は、人間でもホムンクルスでもない――本物の化け物ダ」
「かもな」
「ヤツらに逆らってもまず勝ち目は無いだろウ」
「だろうな」
「助かりたいなら諦めてゲームの勝者になった方がいイ」
「おそらくな」

「…………なア……エド、お前は――これからどうすル?」

「……」

三度の沈黙。
そして、

「……も……」

ボソリと。エドの口が動いた。
全身が、微かに震えている。
そして、ゆっくりと、伏せていた顔が上がり、



「どうもこうもあるかァ――――――――――――!!!!!!!!」



吼えた。



ビシリ、と。鋼の指を見えぬ敵に突きつける。



「勝ち目? 知るかッ!! ゲーム? そんなもんクソッくらえだッ!!!!
 おい!! どうせ聞いてんだろ!! バカピエロにチビジャリ!!!!
 テメーら地獄の底まで追い回してでもフン捕まえてやるからな!!!!
 そんでもって顔の形変わるまでボッコボコのギッタギタにしてやる!!!!
 悪党らしく部屋の隅で腰抜かして泣きながら土下座する準備でもしてやがれ!!!!
 許さねーけどな!!!!!!!!」



焔の点いた目。
それを見て、口の端を吊り上げ、まるでグリードのように獰猛な笑みを浮かべるリン。
エドはリンに向き直り、その目を真っ直ぐに見据えて、

「共闘といこうぜ、リン。何があったか詳しく教えろ」
「いいだろウ。俺も聞きたいことが山ほどあル」


*****

この場に関するエドとリンの認識に大きな差異は無かった。
すなわち、異なる世界――違う国などではなく――から多くの人や人でないもの達が集められているらしい、という点だ。
ゲームの主催者の目的は不明だが、国土練成陣のような大掛かりな儀式か何かではないか、という推測も一致した。
ただし細かい部分ではお互い知らなかったことや勘違いもあった。

「それじゃ、逃げた二人はエドの仲間だったのカ」

例えばリンは聞仲やうしおを襲撃者と思い込んでいた。
もとを糺せば、この勘違いこそがエドとリンが二人きりという今の状況を作ってしまったといえる。

「仲間っつーか成り行きの道連れっつーか……。変な奴らだったけど、でも信用していいと思うぜ。
 タカマチも逃げ切れたみたいだし、どうにかして合流したいんだけどな……」

逸れたときの集合場所くらい決めておくべきだったかとエドは後悔する。
狭い島とはいえ、闇雲に探し回っても都合良くまた会えるとは限らない。彼らの行き先の心当たりも無い。
それなら優先すべきは――。
顎に手を当てて暫し考えをめぐらせ、

「あいつらには悪いけど、まずウィンリィを探す。あいつまで死なせちまったら、それこそアルに合わせる顔がねぇよ。
 ……それでいいか?」
「分かっタ。幸い俺の仲間は名簿に無いしナ。でも何処にいるか見当付いてるのカ?」
「研究所か工場に行く。あいつが首輪を外す気ならまず真っ先に目指すだろ。
 それに俺も工具が欲しいしな」

小声でそんなに簡単に外せるわけないけどな、とも付け加える。

「じゃあ行くぜ。高みの見物決め込んでるドサンピン共に天誅食らわせてやらぁ」

今度はしかと立ち上がり、力強く宣言。

「よシ。だけどその前ニ」
「その前に?」

リンの腹の虫が盛大に鳴いた。

「腹減っタ。朝メシ食ってから出発しないカ?」


*****

リンの緊張感の無い提案にずっこけたエドだったが、考えてみれば飲まず食わずで行動するのは出来れば避けたいことは確かだ。
空腹は判断力を損ねる。それに、ここは少しでも体力を回復しておきたい。

「エドが……モグ……寝てるときに……ムグ……ちょっと……ング……食ったんだけど、その、余計……モグ……腹が減ってナ」
「分かったから食いながらしゃべんなバカ。つーか当たり前みてーに人のメシ食うんじゃねーよ」
「非常事態だったんだからいいじゃないカ」

悪びれる様子もなく言い放つ。
先程の放送中のこと。リンはとりあえず体に力が入るように握り飯を口に放り込み、そのままここまで逃げてきたのだ。
正体不明の気配の近くで暢気に食事を続けるほどリンは間抜けではない。

「ところでずっと気になってたんだけどサ。ソレは何なんダ?」

さっさと先に食べ終えたリンがエドのデイパックから覗く物体に興味を示した。
手に付いた米粒を舐め取りながらエドが答える。

「さあ? タカマチは『前衛的なデザインのカドマツ』だとか何とか言ってたけど。
 別にいらねーし、欲しけりゃやるよ」

それはいわゆる門松――なのだが、竹の先端に星の飾りが付いていたり両脇にベルが飛び出していたりとファンシーだ。
間違っても殺し合いの場に似合うアイテムではない。

「いや、いらなイ。それよりコレやるヨ。そのカドマツってのは武器にはならないだロ」

リンは持っていたナイフを投げ渡す。

「ここだと錬金術が使いにくいんだロ? それなら武器は持ってた方がいイ。
 なるべく錬金術は使わずにそいつで戦エ」

それを無言で受け取り、手の中で弄ぶエド。

「そうだな……じゃあありがたく貰っとくぜ」

そして握り飯の最後の一口を頬張った。
それを飲み込んでから――ふとリンを眺めて不思議そうな顔をする。

「そういや――奴ら、グリードが死んだってのはどうやって判断したんだ?
 監視してるにしたって、お前は生きて歩いてるんだから見た目じゃ判らねぇだろ」

リン達は名簿に『グリード(リン・ヤオ)』と記載されているのだが、そのうち『グリード』の部分だけが赤くなっていた。
これはグリードのような存在をムルムルたちが感知出来ることを示唆しているのだが、

「そんなもの、『気』を探れば一発だヨ。
 ホムンクルスは中に沢山の気があるからナ。普通の人間や獣なんかとは全然違ウ」

リンは当たり前のことのように答えた。
水を飲んでいたエドはそれを聞いて、納得したようなそうでないような微妙な表情になる。

「『気』ねえ……。じゃあ奴らにもお前みたいな能力があるってことか? いやそれとも――」

首に嵌められた鈍色の枷をさすり、

「――こいつ、か?」

ボソリと低い声。

「首輪?」

リンも自分の首元を確かめる。

「ああ、この首輪に錬金術が通用しないことは確認した。練成エネルギーが通らないんだ。
 いや、というよりは『首輪に練成エネルギーが吸収されてる』って感じだな。
 リン、お前、気の動きが分かるってんなら、首輪周りのエネルギーがどう動いてるか探れないのか?」

肩を竦めて、リンが答える。

「残念だけど、そこまでは判らないヨ。ここに来てから調子が悪くてサ。
 ……でも、そういえばグリードも首の周りが硬化出来ないって言ってたナ」

やっぱりかと呟くエド。
グリードの『炭素硬化』も錬金術の一種であり、発動するためにはエネルギーが必要だ。
首輪周辺のエネルギーを吸収されれば当然硬化は不可能。理屈は合っている。
考えてみれば、首輪の機能が単なる爆弾に過ぎないというのは不合理だ。
エドは慎重に思考を展開し、リンに理解出来る形で必要な部分を説明する。

「それで……もしこいつにエネルギーの吸収機能があるなら、だ。放出機能もあるんじゃないか?
 つまり吸収したエネルギーの情報をヤツらに送るような機能ってことだ。
 その方法ならオレ達の生死を判定するのは簡単だからな。
 ……もしかしたら制限ってやつもこの首輪で一括制御してるのかもな」
「ふーン。……要するに、やっぱりまずこの首輪を何とかしろってことカ?」

リンが簡潔に要点を纏めて、すっくと立ち上がった。
デイパックを腕に掛け、エドが続く。

「ま、そういうこと。オレの予想が合ってようとなかろうと、な。
 どっちにしろこれ以上は情報不足だ。まずは行動あるのみ、だぜ」
「よシ。それじゃ、今度こそ行くとするカ」

木々の隙間から零れる朝の陽射しに向かって、二人の反逆者が歩み出す。


【E-3/1日目 朝】

【リン・ヤオ@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[服装]:
[装備]:降魔杵@封神演義
[道具]:なし
[思考]
基本:エドと共にこの殺し合いを叩き潰す。
1:工場か研究所へ行く。
2:咲夜、ひいてはグリードの仇を討つ。
3:グリードの部下(咲夜)を狙った由乃と雪輝を無力化したい。
[備考]
※原作22巻以降からの参戦です。
※雪輝から未来日記ほか、デウスやムルムルに関する情報を得ました。
※異世界の存在を認識しました。
※リンの気配探知にはある程度の距離制限があり、どの気が誰かなのかを明確に判別は出来ません。
※エドと情報交換をしました。
※首輪にエネルギー吸収と送信機能があるかもしれないと疑っています。

【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ
[服装]:
[装備]:機械鎧、バロンのナイフ@うえきの法則
[道具]:支給品一式(ニ食消費)、かどまツリー@ひだまりスケッチ
[思考]
基本:リンと共にこの殺し合いを叩き潰す。
1:工場か研究所へ行く。
2:ウィンリィの保護を優先する。
3:首輪を外すためにも工具が欲しい。
4:出来れば亮子と聞仲たちと合流したい。
[備考]
※原作22巻以降からの参戦です。
※首輪に錬金術を使うことができないことに気付きました
※亮子と聞仲の世界や人間関係の情報を得ました。
※レガートと秋葉流に強い警戒心を抱いています。
※リンと情報交換をしました。
※首輪にエネルギー吸収と送信機能があるかもしれないと疑っています。

【かどまツリー@ひだまりスケッチ】
ひだまり荘の前に飾ってあった、クリスマスツリーと門松の合体事故で発生しそうな物体。名称は適当。
一応凶器として使えないこともない。


時系列順で読む


投下順で読む


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー