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  • 真贋バトルロワイヤル
  • 幕間:かつて生徒だった英雄たちへ(前編)

真贋バトルロワイヤル

幕間:かつて生徒だった英雄たちへ(前編)

最終更新:2025年04月28日 12:29

sinjitsurowa

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だれでも歓迎! 編集
 「こっちも終わりました、ジークさん今何時ですかね。」
 「午前10時24分だ。」
 「もうそんな時間ですか。やたらとNPCモンスターが出てきて時間がかかりましたね。」

 巨大なサソリのNPCを撃ち倒したうてなの質問に、同じNPCを切り捨てたジークは浅打を鞘に納め答えた。
 2人が倒したのはアレフガルドに出てくるおおさそりというモンスター。
 砂漠のエリアであることを思えば納得がいく相手ではあるが、単体としての力はそう強くない。うてなとジークだけで十分対処できる。
 だからこの戦いにどこか心ここにあらずと言った梔子ユメの出番なく。彼女は一人愁いを帯びた眼で周囲の景色を見つめていた。

「……やっぱり、寂しいな。誰もいないアビドスは。」
「ユメさんの元居た場所なんでしたっけ?」

 うてなの質問に頷くユメ。日本の都心を思わせる砂漠の都市は記憶と同じく広大で、記憶と同じく砂に埋もれていた。
 解け残った雪のように黄色い砂が積み重なる場所もあれば、一面の砂漠アスファルトに咲くタンポポのように電柱や民家が残っているような場所もあった。
 黄ばんだ建物が墓標のように聳え立つ砂だらけの世界。
 刺すような青空の下にあったはずの梔子ユメの青春が、3人を拒絶するように広がっていた。

「砂漠の街とは聞いてましたけど、思ったより都会というか。
 日本にあるような大きな都市が、そのまま砂に呑み込まれたって感じがしますね。」
「見識が広いとはお世辞にも言えないが、もう少し砂漠地方の民族的な都市を想像していたな。」

 じゃりじゃりと足音を立てて進みながらアビドスを眺めるジークとうてなが抱いた感想はそのようなものだ。
 砂漠の街、砂漠の学園。そう聞いてゲームの砂漠エリアにあるような砂壁で固められた街をイメージしていたが、街並みは租界や現代都市エリアとも引けを取らない。
 違いがあるとすれば衰退の一途をたどっている点だろう。
 シャッターの閉まった店や一棟全てテナント募集中のビルが目立つ。さびれた田舎町を前にしたような物悲しさは、無人と言う事だけが理由ではないだろう。
 掠れたイラストの描かれたシャッターが見える中、カイザーと名前の付く店は妙に看板が真新しく何らかの企業の影が透けて見えた。
 その様子に顎に手を当て考え込むジークの隣で、うてなの視線の先では文房具屋や電気屋と同じように銃火器の販売や銃整備の店舗が並んでいた。
 あまりに平然と並ぶ『激安銃整備』の胡散臭い看板を二度見して、ちょんちょんと前を歩くユメの肩を叩く。

「なんでこう当たり前のように銃火器のお店があるんですか!?」
「うてなちゃんの街にはなかったの?銃整備のお店とか……」
「ありませんけど!?」
「えぇ!?そうなの!?」
 本気の驚愕を見せるユメに、うてなは思わず頭を抱えた。
 超のつく銃社会のキヴォトスらしいといえばらしいのだが、その瞬間柊うてなの中で異文化に対する衝撃が寂寥感を上回る。
 アビドスってもしかしてヤバいところなんじゃ……と苦い顔をうかべるうてなの隣で、そのやり取りを眺めるジークはどこか納得したように足を止めた。

「どうしたのジークくん?」
「疑っていたわけではないが、この街は本当に人が住んでいた場所なんだな。
 銃火器の店が当たり前のように並ぶということは、それだけ需要があり、この街の生活に銃の類が根付いているということだろう。
 キヴォトスで銃撃戦は日常らしいからな。」
「そういうものですか。」
「うてなの住む街には魔法少女のグッズを売る店があるそうだが、それもうてなの街に魔法少女の存在が根付いているからこそ展開される施設だろう。それと同じだ。」
「なるほど。ものすっごくわかりました。」

 都市というものは住む地域や住む人々によって毛色が変わり、需要があるからこそ物品やサービスを供給する存在が出てくる。
 上流階級が住む住宅街とならず者がたむろする市街地では、モラルや治安のみならず求められる需要も差が生じ、必然企業が展開する施設もまるで異なるもの。
 トレスマジアの需要があるから、うてなの街にはトレスマジアのフィギュアを売る店がある。
 同じように銃火器の需要が極めて高いキヴォトスでは銃火器の店が立ち並び、その地域の利権を有するカイザーという企業が幅を利かせる。

 ただ出鱈目に建物を並べただけでは絶対に見られない。意図と需要が建物として立ち並びそれを奪った災害があった。
 アビドスの遺物全てがここが人の営みのあった場所であることを示している。
 ああ、ここにあるのは本当にアビドスの街並みなんだなと。ジークとうてなの会話を聞きながらユメの胸に懐かしさがこみあげてきて。

 「……2人には、もっと元気な姿でアビドスを見てもらいたかったな。」 
 だからこそやるせない。アビドス生徒会長は心の底からそう思った。

多くの参加者にとって、アビドスの注目度は高い。
 運営の1人、羂索が梔子ユメの姿をとったことが1つ。
 そこにラウ・ル・クルーゼの発言にあった『我々の拠点に繋がる物のあるエリア』という情報が加わり、当面の目的地をアビドスと定めた参加者は少なくない。

 ではアビドスに向かう面々の中に『アビドスという街』に意識を向けた人物は何人いるだろうか。
 断言しよう。アビドス高校の関係者を除いて、そんな人物は一人もいない。

 140余名の参加者が薄情だといっているのではない。
 ごくごく当たり前な話として、参加者にとって自分に縁がないランドマークはただの施設であり情報でしかない。
 刀使でない者が美濃関学院に殊更意識を向けることもないだろうし、関係者がいない以上天ノ川学園高校の崩壊に義憤や悲嘆を感じるものはおそらく一人もいないだろう。
 アビドスに向かう参加者たちだって、アビドスを調べて何1つ情報が手に入らなければ、無駄足だったと毒づきながら別の施設に移動するだけだろう。

 それが仕方のないことだと梔子ユメには分かっている。
 前触れなく殺し合いに巻き込まれてみんな自分が生き残るのに精いっぱい。ただのランドマークに気を遣う余裕など誰にもない。
 うてなとジークがアビドスという街を自然とみてくれているのは、ユメからアビドスの話を聞いていて、単なるランドマーク以上のものだと思ってくれているからだ。
 アビドスを知らない者たちは違う。彼らが欲しいのは『運営の拠点につながる情報』、あるいは『施設に残る何らかのアイテム』。それだけだ。
 彼らが胸に抱くのは運営への憤慨か。蜘蛛の糸に縋るような懇願か。他者を害してでも生き残りたいという悪意か。
 その全ての詳細な事象を、把握する者はいないだろう。
 ユメが分かることはただ一つ。彼らの目的がなんであろうとも、その胸中にどんな思いを抱こうと。

 「楽しい体験もキラキラした思い出もない。アビドスが辛くて苦しいだけの場所だって思われちゃうのは……いやだな。」
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 彼らにとって、アビドスという場所が楽しい記憶となることは、絶対にないということだ。
 それが梔子ユメには、どうしようもなくやるせない。

 俯きながら漏れた言葉が、不快な渇きと共に風に溶けていく。
 いつの間にか三人とも足を止めていて、乾ききったように不思議と涙は流れなかった。
 そんなユメの言葉にジークとうてなは顔を見合わせ、互いに何かを思いついたとユメの肩をポンと叩いた。

 「あと1時間もたたずに羂索なりクルーゼなりの放送がある。
 アビドス学園に着くのは放送後でも問題ないだろうし、道すがらにアビドスを見て回るのはどうだ?
 体を休めたり、何かしらのアイテムが回収できるかもしれない。」
「私も賛成です。正直砂漠を歩きっぱなしでかなり疲れていたんですよ。
 ひょっとしたらイドラさんや千佳さんがこっちに来てるかもしれませんし、合流するならアビドス高校に行く前の方がいい気がしませんか。」
「ジークくん……うてなちゃん……。」

 アイテムが見つかるかもしれないというのも体を休めたいというのもジークとうてなの本心だろう。
 それでも、少しでもアビドスを見ていきたいというユメへの気遣いが確かにあった。
 2人から穏やかな笑顔で告げられる提案に、ユメの目が思わず潤む。
 言葉に出来ないほどの感謝を胸に、アビドスの思い出を紐解き少しでも2人に見てもらいたい場所をユメは思い出そうとして。
 そういえばあっちにホシノちゃんとよく行った喫茶店があったなぁなんてことを考えていたところに、その声は響いた。

「なんなのよアンタ!!!」
「シノン!!」
「イマ、オマエナンて言ったァ!」

 アビドス高校から吹く風に乗って聞こえる、剣戟音と発砲音の合間に困惑の入り混じる少女の声とどこか痛々しく響く少年の叫び。
 ただの痴話喧嘩というにはあまりに真に迫っていたし、ここが殺し合いである以上ただの喧嘩ではすまないだろう。

 声を聴くと同時に、梔子ユメは駆けだしていた。
 迷いはなかった。アビドスに帰ってきたことでどこか気が大きくなっていたかもしれないが。それでも梔子ユメは何処であろうと同じことをするだろう。
 静止するジークとうてなの言葉に振り返り、わずかな申し訳なさと折れる気のない決意を秘めて答えた。

「困ってる子がいたなら、助けないと!」

 アビドス生徒会会長として、困っている人が居たら助けたい。
 利用されようと、騙されようと、人を助けることを止めたくない。
 それを馬鹿だと笑う人が居るかもしれないが、梔子ユメという人物の本質は何があっても変わらない。

 困っている人はほおっておけない。底抜けに明るい底なしのお人よし。
 アビドス高校生徒会長 梔子ユメとはそういう人なのだ。

 ◆

 アビドス高等学校の立地はお世辞にも優れているとはいいがたい。
 学校前のバス停こそあれ、周辺にあるのは住宅地かほとんど砂漠の廃墟だ。
 身を隠す場所も音を遮る場所も、現代都市や租界に比べて少ない。
 だからアビドス学園を目前としてギインとカリスアローの刃が黒い剣とぶつかりあう音が、黒見セリカには随分はっきりと聞こえた。

 事の次第など大したものではない。アビドス高校へまっすぐ向かっていた2人に黒い影が強襲してきた。
 その影にキリトを想像したシノンだったが。目の前に姿を見せたのは2人と同い年くらいの緑の髪をした黒い服を着た剣士の青年だ。
 一瞬シノンの知る黒い剣士を期待したが、その姿は別人であり、その精神は明らかにまともではなかった。
 色を失ったように白目をむき、獣のような歯ぎしりと共に青年――夜島学郎はマクアフィテルを振るう。
 自身に向けられた刃をとっさに仮面ライダーカリスに変身することで凌いだシノンだったが、見ず知らずの相手に強襲されて仮面の奥には苛立ちと困惑が渦巻いていた。

「なんなのよアンタ!!!」
「シノン!!」

 学郎を弾き片膝をつくシノンを前に、黒見セリカは不安気な声を上げつつも相応の経験を積んだ体は自然と引き金を引いていた。
 エイムズショットライザーから放たれる50口径対ヒューマギア徹甲弾。
 堅固なヒューマギアを破壊できる銃弾はキヴォトス人であろうとダメージが期待できる代物で、必然学郎にとっては致命傷になりかねない一撃だが。
 夜島学郎は銃弾どころかセリカのことを見向きもせずに、シノンめがけて飛び掛かった。

「イマ、オマエナンて言ったァ!」
「なんのことよ!」

 なぜそれほどまでにこの青年に敵意を向けられるのか。
 学郎の体から外れた銃弾が民家の壁面を貫き、学郎の振るうマクアフィテルが目の前に迫ってもなお、その理由はシノンにもセリカにも分からない。
 普段ならばそんな狂人の戯言は切り捨てただろう。
 理解できない相手、理解してはいけない相手がいることは身に染みて知っている。ましてやここは殺し合いの只中だ。
 適当に戦闘不能にしたのち、立ち去るだけでよかったはずだ。

 シノンにとって一番の不幸は、夜島学郎が弱すぎたことだ。
 ぶんぶんと振り回される刃。剣術に明るいわけではないが、荒々しいを通り越し粗雑と言える動きの精度はキリトやアスナに比べれば数段劣る。
 だが彼らの卓越した剣術技巧(ソードスキル)を知るからこそ、学郎の動きが素人のそれとも違うことがわかる。
 品性の欠片もない蛮人というよりは、正気を失っていると言ったほうが近いだろう。
 白目をむき本能のままに動く彼は、本来の実力の半分も出せてはいないはずだ。
 生身の朝田詩乃ならともかく、ALOのアバターであるうえに仮面ライダーカリスの身体能力も上乗せされているシノンなら、攻撃を避けることは難しくない。

 「アンタ、何をそんなに怒っているのよ。」

 その余裕が、シノンに思考する時間を与えてしまった。
 強襲を受けた焦りと怒りの狭間から、『なぜ』という疑問がドンドン顔を見せ始める。
 この青年のことをシノンは知らない。反応がない以上セリカも知らないだろう。
 自分たちを見て襲ってきた?それにしては妙だとシノンの中で何かが後ろ髪を引く。
 この青年は「なんて言った」 と言ったのだ。
 自分の発言が何かしらの地雷を踏んだのではないか。学郎の弱さはそう考える余裕をシノンに与えてしまっていた。

 記憶を辿る。
 アビドスが近づいたこともあり、シノンはセリカと情報交換がてら談笑しながら進んでいた。
 バトルホッパーで進むには砂まみれの道は1人はともかく2人乗りは厳しく思え、どこか悲しそうなホッパーはデイパックの中でお留守番だ。
 アビドスのことや小鳥遊ホシノのことを聞く代わりに、キリトたちとのことをかいつまんで説明していたはずだ。
 そしてさっきまで死銃の一件について……キリトと出会った時の話をしていたのはないか。

「キリトが、どうかしたの。」

 なぜそんな質問をしてしまったのか。シノンはそのことを深く後悔することになる。
 キリト という言葉に目の前の青年は明らかに動揺し、殺意と憎悪がむせ返るほどに満ち満ちた銅のような色の目を向けた。

「キリトは、藤乃さんヲ殺しタ!!」
「なっ・・・!」

 シノンの一番聞きたくない言葉が、青年の口から嗚咽のように吐き出された。



 殺し合いの只中。それも仮面ライダーのような殺傷力の高い支給品にグリオンのような危険人物もいる状態。殺しを好まなくとも戦いに巻き込まれ人を殺した参加者は何人もいる。
 問題があるとするならば、夜島学郎の見たキリトはPohの化けた贋者であるのだが。それを知る人物は生存者では覇王十代のみだ。
 シノンどころか学郎でさえ、その真実を知る由はなく。
 嘘には聞こえない言葉を、真実だと認めることはシノンの心が許さない。
 冷静だった心と頭が急激に煮えたぎる感覚の中、シノンはカリスアローを構えた。

「アイツが……キリトがそんなことするわけないでしょう!!!!!」

 認められない。納得できない。
 そんな思いを吐露しながら、ラウズカードをスキャンする。

 この襲撃者はキリトを知らない。知っていればたとえ嘘でもそんなことは言わないはずだ。
 名簿にあったレンやユージオといった人物かもなどと考えたが、キリトを知る者なら彼が間違っても人を殺したりはしないと知っているはずだ。
 SAO。こことは異なる電脳世界のデスゲームを経験し、望まない形で命を奪ったこと。
 キリトの背負う十字架は、他人が語れるほど軽くはない。
 仮初の命を奪い合うゲーマーだからこそ、命の重さを知る彼がそのような選択をすることはあり得ない。

『トルネード』『チョップ』
 激情に駆られる心とは裏腹に、カリスアローから響くのは抑揚のない電子音。
 黒衣の剣士の刃の合間を縫って、鳩尾めがけて風を纏ったチョップを叩きこんだ。

『スピニングウェーブ』
 アビドスの砂を纏った風が、猫妖精族(ケットシー)の敏捷力と仮面ライダーカリスの攻撃力(フィジカル)を受けて学郎の体を花火のように打ち上げる。
 獣のように唾液を撒き散らしながら最後の一撃と言わんばかりに学郎が刃を振るう。
 手刀が当たる距離だ、カリスの装甲があるので致命傷にはならなくとも袈裟切りにするには十分だろう。
 フェイントもなければ特殊なスキルも起動していない、普段なら回避は難しくないが頭に血が上ったシノンでは回避や防御への判断は遅れが生じる。
 むしろ追撃のため次なるカードをカリスアローにスキャンして、今度こそとどめを刺そうとさえしていた。
 捨て身の攻勢と理性の縛られた黒い刃。互いが互いの黒い装甲に迫らんとしたその時。

「メナスヴァルナ―!!」
「我が英雄よ、力をお借りする!!」

 3人の背後からそんな叫びと共に、三日月のような衝撃がシノンと学郎に向けて放たれた。
 漆黒の衝撃はシノンの腕に命中し、カリスアローとラウズカードをシノンの手から弾き飛ばし。
 月光のような青白い衝撃が、スピニングウェーブで打ち上げられた黒衣の剣士をアビドス高校側へと大きく吹き飛ばした。

「どっちが悪いか分からなかったから両方とも攻撃しちゃいましたけど、これ絶対あの仮面ライダー被害者ですよね!?」
「だろうな。あちらの剣士はどうも正気には見えなかった。
 剣士には俺が話を聞こう。ユメとうてなはあの二人に話を聞いてくれ。」
                             ・・・・・・ 
 振り返るセリカの先には、破廉恥な姿をした小悪魔風の少女と鈍色の西洋剣を構えた白い肌の少年。
 少女はシノンの元に、少年はわずかな会釈をして校門まで吹っ飛ばされたあの剣士のほうに向かったらしい。

 「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
 「あなた……いえ、大丈夫。私も頭に血が上ってたわ。」

 少女とシノンのそんなやりとりを茫然と見つめる。
 敵ではなさそうだが、その正体が分からない。睨むような目つきを向けてセリカだったが、柔らかいものが背中に当たった感触に思わず振り返る。

 「大丈夫!?」
 見覚えのあるヘイローを浮かべた女が、心配そうにこちらを見つめていた。
 敵意も悪意も感じられない、気の抜けるような温和な声。
 豊満な胸元を支えるベルトからぶら下げられたタグには、セリカが胸につけているものと同じ、馴染み深いアビドスの校章が記されている。

「その校章、もしかしてアビドスの……」
 女もアビドスの校章に気づいたようだった。
 なんどもなんどもセリカの顔と校章を見て、感極まった声ように目が潤みだす。
 そんな女に反して、黒見セリカの体からはどんどんと血の気が引いていく。
 目の前でこちらを心配しアビドスを特別なもののように見つめるその姿は、自分たちを悪趣味なゲームに巻き込んだ元凶のものだ。
 抱きつこうとしたのか、何か尋ねようとしたのか。女がわずかに手を離したその瞬間めがけて、セリカはエイムズショットライザーを引き抜き構えた。

「あんた、羂索!」
 鬱憤をぶつけるように睨みつけたその先で、羂索?こと梔子ユメは「ひぃん。また言われたよぉ。」と情けない声を上げた。

◆◇◆◇◆

 「つまり、彼女は本物の梔子ユメ。ということでいいのよね。」
 「一応、私とジークさん……もう一人いた男の人はその前提で行動してます。
 額に縫い目もないでしょうし、本物ならば貴方達を助ける理由はないでしょう。」

 互いに自己紹介と最低限の知識の共有を済ませ、シノンはうてなから他の参加者について聞いていた。
 残念ながら2人にもあの黒い剣士の正体は分からないらしく、うてなが共闘したという何人かの参加者の中にもシノンの知った名前はない。
 セリカと同じアビドスの人間であるユメは当然としても、うてなもSAO事件やキリトたちのことを知らなかったのはシノンにとって残念だった。
 1つの懸念点だった梔子ユメに関して、羂索ではなく本物の彼女だと分かったことは1つの収穫だろうか。

「それは分かったけどさ、ちょっとこの先輩をどうにかしてよ!」
「先輩……!!」
「何嬉しそうにしてんのよ!」

 シノンとうてなの前では、卵を温める親鳥のようにユメがセリカを背中から抱きしめていた。
 合流してからずっとあの調子だ、先輩と呼ばれるたびに「嬉しいよぉ。アビドスにこんなかわいい後輩が入ってくれて!」と感極まって涙声をあげるのだ。
 豊満な胸の下では、セリカが「はーなーせー!!!」と反抗期の子どものようにじたばたしている。

「アビドスの後輩が可愛くて仕方ないんでしょう。
 小鳥遊ホシノと彼女しかいない学校だと聞いていたので。」
「そうね、せっかくの再会なんだしもう少しそのままでいてあげたら?」
「初対面なんだけど!!!」

 抵抗しながらもセリカはどこかまんざらでもないように見える。自己主張のできるセリカなら、本当に嫌ならショットライザーを引き抜いてでも抵抗するだろう。
 ちょっとめんどくさい絡みをするところはホシノ先輩と似ているなと思っていたし、内心悪い気はしていなかった。
 アビドスの生徒が少ないことやその仲間内の関係の深さはシノンもうてなも知っている、2人はこの光景を微笑ましげに眺めていた。

「じゃあもうこのまま話すけど、結局さっきの男はなんだったのよ。」
 このままではらちが明かないと、話を進めたのはセリカだった。

「詳しいことはジークさんが話を聞いてこないことには分かりませんが。推測ならできます。」
 うてなはホットラインを取り出し、名簿の一画を指さした。
 藤乃代葉。その名前は黒い剣士が叫んだ名前と一致する。

「”藤乃さん”は恐らくこの人のことでしょう。
 あの黒い剣士はこの人と同行していたか、あるいはもともと知り合いだった。ですが……」
「藤乃代葉はもう死亡していて、さっきの男はその犯人をキリトだと思っている。そういうことよね。」

 自分で言いながら、先ほどの剣士の腹に据えかねるとシノンは奥歯を強く噛み締めた。
 キリトが人を殺す。
 信じることなどできない話でも、真正面からその可能性を告げられてしまい心の中で何かが揺らいでいることは確かで。
 自分を奮い立たせるようにシノンは続けた。

「キリトは、絶対に殺し合いに乗るような人間じゃない。
 あの男が藤乃代葉殺害の犯人をキリトだと断じたのには、何か理由があるはずよ。」
「遠目から見てもあの襲撃者は正気には見えませんでした。
 錯乱して幻覚を見たり、誰かに出鱈目を吹き込まれたのかもしれませんね。」
「アヤネやノノミ先輩と同じように、グリオンの作った偽者かもしれないわ。
 キリト本人が居なくても、武器でも何でも手に入れてたらあいつは偽物を作れる!」
「もしかしたらそのキリトって人、誰かに体を乗っ取られちゃったのかも!」
「ユメさんが言うと説得力が違うわね……」

 笑えない事態なのにこの人が言うとどこか緩く聞こえるのは、そのおおらかさ故だろうか。
 あげられた推測はどれ1つとっても笑えない内容だが、キリト本人が殺し合いに乗っているよりは可能性がある。
 どれにせよこれ以上の話はあの黒い剣士に尋ねないことには始まらない。
 剣士とジークを追いアビドス高校に向かおうとした4人の目の前で。

「面白い話をしていますね?」

 ぶうんという音と共に赤黒い穴が空間に空き。
 中から黄金色の帯に翼竜を捉えたような怪人と、天使のような人形を捉えた怪人が姿を見せた。
 翼竜の怪人――プテラノドンマルガムから響く神経を逆撫でするような甘い声に、セリカは覚えがある。
 自分が慕う先輩と同じ声。しかしその正体は悪の錬金術師の傀儡。
 反射的にエイムズショットライザーを構え、その名を呼んだ。

「偽ノノミ……!」
「あれぇ。私のことは”先輩”とは呼んでくれないんですか?寂しいです。」

 変身を解き、嘲るような飄々とした笑顔をノノミは見せる。
 アビドスの制服にユメは思わず目を見開いたが、彼女はセリカとは違いグリオンの生んだ偽者だ。
 後輩であるはずの少女の面影を、ユメは物悲し気に見つめていた。

「……貴方とはこんな形で会いたくなかったな。」
「私もですよ梔子ユメ。
    ・・・・・          ・・・・
 こんな余裕のない状況じゃなく、もっと楽しめる場所で会いたかった。」

 どこか通じているようで、全く別の景色を見た会話。
 相手を思いやるようなユメと反して、悪趣味な遊びを楽しみ切れないと言わんばかりの顔をしていた。
 剣呑な空気が漂う中、嫌なものがこみ上げる感覚の中シノンは切り出す。

「貴女、あの黒い剣士について何か知っているの。」
「黒い剣士……それはキリトのことですか?それとも夜島学郎のことでしょうか?」
「夜島学郎……それが私達を襲った人の名前ね。」
「あら、これはうっかり。口が軽いのが私の欠点ですねぇ。
 まあ、彼も私達と同じくキリトには随分煮え湯を飲まされているので、同情ということにしておいてください。」

 ノノミが笑顔を向け言葉を発するたびに、溌溂な美女の皮を剝いで汚泥の塊である化け物に被せたかのような、強烈な不快感と違和感が全身を襲う。
 視界の端ではセリカが憎々し気に睨みつけていた。ノノミを先輩と慕う彼女の不快感はシノンのそれとは比べ物にならないだろう。
 セリカのことを思うのなら、今すぐにでもこいつを倒すべきだ。

「やっぱりアンタキリトのことを知っているのね。
 教えて、彼に何があったの?」

 そんなことは分かっていても、シノンにはここで彼女を倒すという選択はなかった。
 彼女はシノンの知らない”何か”を知っているのだから。
 うっかり漏らしたなど嘘だろうし、こいつは学郎に同情などしていない。明らかにシノンに聞かせるためにあのようなことを言ったのだ。
 シノンが期待どおりの反応を示したことが嬉しいのかノノミは口角を大きく上げる。
 十六夜ノノミであれば華のある笑顔だったろう顔の歪みが、吐き気がするほど不快に見えた。

「質問の仕方が違いますね。聞くべきは『彼に何があったか』ではなく『彼が何をしたか』ですよ。
 それについては私より、彼女から話を聞いたほうがいいかもしれませんね。」

 強張った空気の中、ノノミは隣にいた天使の怪人――エンジェルマルガムに発言を促し。デッサン人形のような天使の怪物がどこか悲し気に変身を解いた。
 姿を見せた少女にはヘイローがなく、整った顔ながら怪我でもしているのか左目を眼帯で覆っていた。
 その少女――亀井美嘉の姿はセリカには見覚えがない。
 てっきり偽者のホシノ先輩かアヤネだと思っていたため瞠目して気づく。彼女の腕にはノノミと異なりレジスターと令呪があった。
 それはつまり、この少女はグリオンの人形ではなく参加者だということだ。
 その事実に気づいたセリカは糾弾するよう美嘉を指さした。

「まさか、グリオンと協力してる参加者!?
 あんた、こいつが何者なのか知っているんでしょうね!!」
「黒見セリカちゃんよね。貴女の事情は聞いていますし個人的には申し訳ないと思っています。」
 全ての動作にこちらを嘲笑うようなノノミとは異なり、陰の帯びた顔でまっすぐな謝意を美嘉は向けた。
 友人と同じ姿の怪人が動いている。そんな現状に苛立つ黒見セリカのことをノノミやアヤネに聞かされ、美嘉が抱いたのは同情と共感だった。
 てっきりノノミと同じく嫌味の1つでもぶつけられると思っていたセリカは予想だにしない態度に黙りこみ、そのまま美嘉の視線はシノンへと向けられる。

「質問ですが。貴女はキリトの仲間でいいんでしょうか。
 アスナ?サチ?リーファ?シノン?レン? もしくは別の人ですか?」
「シノンよ。」
 キリトに連なる名前を順番に読み上げると、当然シノンの名前も挙がってくる。
 シノンのの名乗りに美嘉は一瞬おどろおどろしい殺気を込めた眼で睨みつけたが、いつの間にか美嘉の目はシノンを品定めするような物へと変わっていた。

「……正直、驚いています。
 あのキリトの仲間なのに、すごく普通に良い人に見える。」
「……ッ!!」
「私の知っているキリトはNPCモンスターを従え私達を襲い、学郎さんを止めようと必死に抗う代葉さんを背後から突き刺し笑うような男です。」
「何を言っているのよ!」

 困惑と殺意の入り混じった言葉に、今度はシノンが美嘉を睨みセリカから奪ったショットライザーを突き付けた。
 恩人でもあり愛する友でもある男を愚弄されたから。反射的にしてしまったことだといえばそれまでだ。
 だが一番の理由は、亀井美嘉がすべて真実を話していると直感として理解できてしまったことだ。
 続く言葉にも嘘はないのだろうと何故だか分かる。
 銃を向ける側のシノンの顔がそのことに怯えたように青ざめ、向けられている美嘉は怯えや恐怖が別の何かに塗りつぶされた昏い顔のまま続けた。

 「夜島学郎の言葉は本当です。
 藤乃代葉を殺したのはキリトです。」
「嘘よ!」
 「この場所以外でキリトと縁がない私や学郎さんが、嘘をつく理由がありますか?」

 その問いが止めだった。亀井美嘉は死銃のようなSAOサバイバーでもなければ、話に聞く須郷のようなキリトやアスナと因縁ある人物ではない。
 デタラメで知らない人間を恨めるほど情報が集まる環境でもないし、出鱈目を吹き込まれたにしては美嘉の言葉は真に迫るものがあった。
 嘘だ。嘘だ。嘘だ。
 シノンの中で何かがそう叫び続けていた。そうしないとこの少女の言葉が真実だと脳が受け入れてしまいそうだから。

 改めてシノンは目の前の少女を見る。
 セリカのように戦場に慣れてはいない。
 シノンのように戦場に立つためのアバターが与えられているわけでもない。
 修羅場を経験した朝田詩乃よりもなお平穏な、そんな世界で生きてきたのだろう。
 日常的な殺意や敵意を持ち合わせた人間ではない。
 だからこそ、彼女の殺意は本物で。キリトへの敵意は本物だ。

「短い付き合いですが、代葉さんは私の仲間でもありました。
 だから私はグリオンさんについた。
 彼がこれ以上私の友達を殺す前に、私が彼を殺すために。」

 告げられた言葉にシノンは膝から崩れ落ちる。
 キリトが人を殺した。
 考えたくなかったし考えられない可能性に、頭にもやがかかったように重くなる。
 そんなシノンの心情を察してかセリカが叫ぶ。

 「どうせ出鱈目よ!グリオンが作った贋者の自作自演でしょ!!」
 「だったら彼女は私と組んではいませんよ。
 それに、そんな面倒なことをグリオン様はなさりませんよ。」

 シノンの心情を代弁するようなセリカの叫びに美嘉は悲し気なままで、一方のノノミは出し物を前にした子供のように無邪気に歪んだ笑顔を浮かべた。
 アヤネから逃げおおせ厄介だと思われていたシノンやセリカが、キリトの殺人1つで顔を歪ませ悲嘆にくれる様が楽しくて仕方がない。
 冷静に努めながら胸の奥ではキリトへの殺意が蠢いている、それが漏れ出さないように蓋をしている美嘉の姿もまた素晴らしい。
 この場で唯一、話題に上がったキリトを偽者だと感づいている(本物であるのならば代葉の死んだ場にデクや亜里紗がいないことがおかしいからだ。)ノノミは内心満足げにほくそ笑む。

「でも、そのキリトが偽物でないとも限らないでしょう。」

 トランスマジア。
 ノノミの興奮に冷や水をかけるように柊うてながそう呟き、その姿を破廉恥な小悪魔――マジアベーゼのものに変える。
 いきなり何をと周囲の視線が集まる中で、マジアベーゼは手にした鞭を近くにあった瓦礫に叩きつける。
 数秒もたたずに瓦礫がむくむくと動き出し、不格好な人形となってその場でてくてくと動き出した。

 マジアベーゼの能力。支配の鞭(フルスタ・ドミネイト)。
 錬金術とはまた異なるが、配下を生み出す能力ならこの女も有している。

「今回は石なのでこんな姿ですが、それこそキリトの姿をした人形でもあればそのままの偽キリトを動かすことが出来ます。
 私やグリオンの能力に大した制約がない以上、他にも似たことが出来る参加者や支給品はあると思いますが。どうでしょうか。」
「うてな……。」
「今はマジアベーゼと呼んでください。」

 美嘉の言うキリトが偽物である可能性を提示され、どこか救われたような面持ちをシノンは浮かべた。
 話していた美嘉も一理あると思ったのだろう、自分の話を否定されたことへの憤慨などはまるで浮かべず、興味深そうに人形とうてなを交互に眺めていた。

「そちらの天使さん。貴女はどう思います?」
「否定することは……できませんね。
 仮面ライダーや怪人を初め変身能力のある支給品だって沢山ありますし。
 キリトが本物だという証明が私にはできません。」

 亀井美嘉は本来友情や敬愛を重んじる、グリオンとは真逆の人間である。
 偽キリトによる代葉殺害を目撃し、殺意の塊である黒阿修羅を取り込んだことでその精神は歪み始めてはいるが。
 基本的な思考は変わらない。話せばわかるしキリトでなければ対話ができるし、自分の思想や行動とは真逆の意見も聞き入れられる程度には思慮深い。
 シノンやセリカがもっとキリトをかばうような言動をすれば殺意と敵意に取り込まれ戦闘することになったかもしれないが、先に夜島学郎と出会っていたこともありキリトのことを無根拠に信じず美嘉やノノミと会話することを選んだためその可能性も無くなった。

(……少々遊びすぎましたね。これではアヤネのことを言えませんか。
 警戒すべきはこの少女でしたか。)

 変身前の少女の時とは似ても似つかない、グリオンとは別種の覇気を宿す悪の華。
 実演も兼ねたその言葉には確かな説得力がある。                ・・
 美嘉が話せば勝手にシノンの心は折れてくれるだろう、そうでなくても美嘉が暴走し奴らへの対処も楽になるだろう。
 そう高をくくっていたノノミの計略に期せずしてベーゼは一石を投じることになった。
 警戒すべきはこいつだったかと、ノノミは苛立ち半分興味半分といった風体でベーゼに微笑み、ベーゼもまた微笑みを返した。

「ですが、同じように贋物だという証明も出来ません。
 シノンさんには悪いですが、違う可能性があるとしても私はキリトを許せません。」
「……まあ、そう言うでしょうね。
 今の貴女、私の知り合いにそっくりですもの。」

 どうしてそうなるのよと言いたげなセリカとシノンをよそに、美嘉とマジアベーゼは続ける。
 敵意や殺意とはそれだけで大きく人を歪める感情だ。
 例えばルルーシュ・ランペルージ。 母を失い友と生き別れたことを契機に人生そのものをブリタニアへの憎悪と復讐に捧げ、適当に使えばいくらでも幸せに生きられるだろうギアスの力も復讐に捧げた。
 例えばキズナブラック。他者との関係性を尊ぶからこそその喪失を何より恐れる青年が、全てを失った末路の姿。他の絆を踏みにじってでも最愛の人が死ぬ未来を拒み妨げる全てを殺そうとした。
 マジアベーゼの言う知り合いとは魔法少女イミタシオのこと。
 最終的には真に魔法少女となった彼女と和解に近い形で敵対し続けているが、そうなる前の彼女はマジアベーゼへの復讐に染まり魔法少女らしからぬ手口まで用いていた。

 亀井美嘉の中にある感情もイミタシオと類似したものだろう。そうマジアベーゼは推測する。
 外見こそ温和な少女のままだが、その中身は曲がりなりにも殺戮にまでは至らなかったイミタシオとは比にならないほどの悪意と憎悪が蠢いている。
 悪意を隠しもしないノノミよりも、何をするか分からないという意味でこちらの方が危険でさえあった。
 話の運び方を間違えればこの場で本気の戦闘をする羽目になる。ベーゼとしてはそれは避けたいところだった。

(ジークさんを呼びに行く余裕はありませんね。となると実質4対2。
 シノンさんが仮面ライダーになれることやユメさんの支給品を考えれば勝率は高いですが。他に何人も参加者が来るであろうこのアビドスで、無計画な戦闘は避けたい……。
 最悪、グリオンどころかノワル級の相手と連戦するかもしれません。そうすれば全滅は必至……)

 マジアベーゼは続く発言に苦心する。そしてそれはノノミも同じ、自分に都合がいいようにイニシアチブを得るために思考を働かせていた。
 マジアベーゼが可能性を示してもなお敵対を口にした美嘉にシノンやセリカは感情の落としどころを見つけ出せないでいた。
 美嘉もまた申し訳なさげな顔はそのままに、だんだんとシノンを見る目が険しくなる。
 剣呑を通り越し一手のミスが戦闘に繋がるような険悪な雰囲気がたちのぼっていた。

「でも今は私達が戦う理由はないんでしょ。よかったぁ。」

 そんな空気の中、これまで会話に入れなかったユメの緩んだ声が沈黙を破る。
 一触即発だった者たちの空気がどっと緩み、全員から『何言ってんだこいつ』と言いたげな視線が梔子ユメに向けられた。

「……なんでそうなるんですか?」
「え、だってキリトが本当に悪いか分かんないんでしょう。
 じゃあキリトを恨んでるノノミちゃん達とキリトの味方をしたいシノンちゃん達が争う理由は、少なくとも今はない。違うの?」
「いえ……今はその証明ができないって話をしてまして……。
 というか証明したところであの2人がに敵であることは変わらないと思うのですが。」
「そもそもこんな贋者とそいつの手を貸す奴と仲良くなんてしたくないわよ!
 どう考えても殺し合いに乗ってる側でしょ!」

 うてなとセリカから各々の言い分を聞かされてもユメの漂わせる空気はどこか緩い。
 危機感が薄いというのもあるのだろうが、それ以上にノノミと美嘉のことをセリカが言うほど悪い人だと思っていないのかもしれない。

「でも2人が本当に悪い人なら、とっくに私達を殺そうと襲ってきてるんじゃないの?
 殺し合いに乗っているかもしれなくても、話をしなくていい理由にはならないよ。
 というか、この状況ってキヴォトスだったらとっくにマシンガンくらい撃たれてるでしょ?」
「それはそうだけど!」
「ずっと気になってましたけどキヴォトス治安悪すぎじゃないです?」
「GGOのPK連中でももう少し民度あるわよ。」
「もしかしてキヴォトスって怖い場所?」

 ユメとセリカのキヴォトスあるあるに、うてな・シノン・美嘉が揃って難色を示す。
 「そんなに怖いところじゃないよ~」とユメは反論するも、定期的に武装集団が学校を襲うような街なので説得力は欠片もなかった。

 「それに本心から私達が許せないならさ」
 コホンと咳払いをして、ユメは美嘉を見つめる。
 鮮やかながら優しい色合いの黄色の瞳に、美嘉はなぜだか太陽を想起していた。

「貴女はどうして、ずっとそんな泣きそうな顔をしているの?」
「!?」

 言葉こそおおらかながらしっかりと目を見て告げられた言葉は、先ほどと違い確かな重さと温かさと共に美嘉の胸に深くしみ込んだ。

 美嘉の憎悪は本物だ。
 藤乃代葉を殺されたキリトを許せない。その事実がある以上、美嘉とシノンらが仲間になる未来は存在しない。
 ユメが気になったのは美嘉の表情だ。
 怒っているだろうし、恨んでいる。だったらもっと怒りや憎しみを表に出してもいいだろう。
 だけど美嘉は贋者のアビドスに怒るセリカに謝り、憎むキリトを信じるシノンには事実のみを伝え、己の殺意に反論するうてなの言葉に納得していた。
 頭の中にある本来の感情と、無限に湧き上がるキリトへの殺意がせめぎ合っているような、矛盾した心が見え隠れする。

 シノンはその矛盾故に美嘉の言葉を信じた。その矛盾はシノンにとって断絶だ。
 うてなはその矛盾故に美嘉を警戒した。その矛盾はマジアベーゼにとってある種の地雷だ。
 ユメにとってはその矛盾は悲鳴だった。亀井美嘉あるいはその中にいる誰かの。助けてほしいという声だった。

 どこまでも他人のために動ける。本来の美嘉と同じ善を為す女。

(これが本物の梔子ユメ……ですか。
 十六夜ノノミの記録……本物の小鳥遊ホシノからの情報では底抜けのお人よしと言う事でしたが、この場でもその在りようを続けられると逆に脅威ですね。
 グリオン様の望む悪意の伝染において、マジアベーゼ以上の脅威かもしれません。)

 その在り方を目の当たりにして、ノノミはユメへの警戒をマジアベーゼ以上に強める。
 悪意の対極にあるような善性はどれだけ嘲笑されても変わらない。そんな手合いが一番厄介なのだ。
 そして美嘉は突き付けられた自分の矛盾に言葉を失っていた。

「私は……」

 キリトが許せない。キリトを殺す。その思いは今なお途切れない。無くならない。
 だけど私はキリトを知らない。”殺したい”ほどキリトを知らない。
 代葉を殺したキリトと同じ屑だと思っていたシノンは、思ったより普通に話せる人だった。他の人たちはどうなのだろうか。
 キリトは偽物かもしれない。その可能性を理解してもなおそれでも消えない殺意を自然と受け入れている自分が、いったい誰なのか分からなくなる。
 何か大事なものが欠落しているような感覚に、何かを言おうとしたその瞬間。

「探したぞアビドスのヴィラン諸君!!」

 金メッキのように痛々しいギラギラした声が、ヒロインを携え最悪の邪魔をしにやってきた。

◆◇◆◇◆

「……ここ……は。」

 消え入りそうな声をどうにか絞り出しながら夜島学郎は目を覚ます。
 既に霊衣ではなく普段通りの学生服だ、真っ白のシャツは砂でどろどろに汚れていた。
 石壁か何かに勢いよく全身をぶつけたのかじんじんと痺れるように痛む、額からはぼたぼたと血が垂れているようで周囲の気温もあっていやに熱い。
 流れる血液に赤い糸のようなきれっぱじが見えたのは気のせいだろうか。
 何があったのか記憶を辿るが、くしゃくしゃに折り曲げられた新聞を読むかのようにぼやけて上手く思い出せない。
 揺らぐ意識と力が入らない足腰をどうにか動かし立ち上がり、ふと持たれた先に手をやると石に彫り込まれた施設の名前が見えた。
 アビドス高等学校。どこか聞き覚えがある気がしたが、どこだったか。

「……どうやら、今は正気のようだな。」   ・・・
 ふいに投げかけられた言葉に目を向けると、日本刀を構えた色白い青年がわずかな汗をかいて立っていた。
 いきなりの武装した相手に手にした西洋剣を握る手が強張る。
 そこで初めて学郎は手にした剣、マクアフィテルの存在に気づいた。

「――俺はいつの間に、こんな剣を持っていたんだ?」
「それは俺に聞かれても分からないが……いったいどこまで覚えている?
 2人の少女に襲い掛かったことは、記憶にあるか?」
「俺がそんなことを……」

 してない……と言おうとしたが、猫のような耳をした青い少女と黒い学生服の少女を襲った記憶が確かにある。
 その記憶を皮切りに、学郎の脳内に溢れ出す存在する記憶。

 既に夜島学郎は精神仮縫いから解放されている。
 代葉の行ったバーサーカーの夢幻召喚(インストール)でズタズタになった生命繊維はシノンとジークが与えたダメージにより期せずしてとどめを刺されている。
 彼の脳を縛る糸もうない、赤い糸に縛られた記憶が解け堰を切ったように溢れ出る。

 鬼龍院羅暁に襲われた少女たちを助けようとして、逆に羅暁の傀儡にされたこと。
 おぼろげな意識の中、藤乃代葉の奮闘でわずかに意識を取り戻したこと。
 目の前で黒い剣士に藤乃代葉を殺されたこと。
 そしてその黒い剣士を、本能のままに殺したこと。

「あ……ああ……。」

 心に入ったヒビから溢れる濁流が嗚咽となって溢れ出る。
 人を守るために、人のために闘う。彼の存在意義を揺るがす事実がナイフのように胸を刺す。
 不甲斐なさ、罪悪感、後悔。そんな感情がぐちゃぐちゃになった瞳から涙を流す様を、ジークは黙って見つめていた。

「悪いが、俺は君から話を聞かなければならない。
 何があったのか、なぜあの少女たちを襲ったのか。それを知るために俺はここに来ている。」
「……。」
「だが、今の君にそれを聞くのは酷だ。
 幸い時間はある、話せるようになるまで俺もここで待つ。」

 わずか数時間の間にただならぬ事態に巻き込まれ大きなものを失ったことが学郎の悲痛な眼差しが訴えている。
 経験上こうした人間から話を聞くのは難しい。より正確には時間が必要になる。
 特にキリトの仲間らしい青い髪の少女との会話など、どうあがいても為せないだろう。
 だからいったん女性陣との合流を諦め、青年の隣に座り込む。

 「少なくとも、俺は君の味方で居たいと思っている。」

 その一言に学郎は初めてジークの顔へと向き直った。
 中性的な顔立ちに、ルビーのような瞳が静かな決意をたたえてそこにある。
 その対応はジークなりに考えてかつて会った聖女や英雄ならどうしただろうか考えた結果の答えだったが、あながち間違いではなかったようだ。
 数分経つ頃には、ぽつりぽつりと学郎は一部始終を語りだしていた。

(無理にユメやうてなと合流させなくて正解だったな……。
 恐らく襲われていた少女……青髪の少女はキリトの友人だろうし。間違いなく対立が起こっただろう。)

 学郎の話にジークは頭を抱え、女性陣と合流しなくて正解だったと数分前の自分を評価する。
 『藤乃さん』こと藤乃代葉は、間違いなくすでに死亡している。
 そしてその犯人であるキリトを、学郎はめった刺しにする形で殺害していた。
 決着は既についていた、ついてしまっていた。
 少なくとも、夜島学郎の中においては。

 明確にしておくが、藤乃代葉を殺害したのはキリトではない。
 代葉と美嘉を襲ったのはキリトの姿をしたPohであり、夜島学郎が殺したのもまたPohである。
 だが、その事実を夜島学郎が知る方法はない。参加者の中で知っているのはPohと組んでいた覇王十代とセレブロくらいだ。
 彼がその認識違いに気づくのは30分後の放送においてキリトの名前が呼ばれないその時になるだろう。無論、キリトが放送まで生きていられたらの話だが。

「俺はどうすればいい。」

 赤く腫らした目をした学郎の言葉は、ジークに向けられたものなのか、学郎自身に向けられたものなのか。
 守れなかった。人を殺した。
 他人のために闘う彼の在り方を穢す愚行を、夜島学郎は2つも犯してしまった。

「その質問に対して、俺は答えることが出来ない。
 答えられるほどのものを持っていない。というべきか。
 君のような戦いをした覚えはあるが、君と俺とはきっと事情が大きく違うだろう。」

 激情を抱いたこと。誰かに恨みを抱いたこと。ジークにも経験がある。
 その身を炎に捧げた聖女を失ったことで、全ての人類を救おうとした――限りなく誤った形でとの注釈が付くが――救世主相手に戦いを挑んだ。
 あの時のジークはその戦いを使命だと思った。数多の英霊や魔術師が戦い紡いだ聖杯戦争の果ての戦い。
 残されるものがなくとも挑んだその戦いに後悔はない。

 夜島学郎には後悔が山のようにあるだろう。
 望月穂波と早々に分かれてしまった。
 鬼龍院羅暁に意識を縫い合わされ傀儡となった。
 藤乃代葉を助けられなかった。
 悲壮と決意を抱いた復讐ではなく、獣のような害意と共に復讐を為した。
 誇れるものは1つもなく。得た物はせいぜい回収していた藤乃代葉の支給品くらいのものだ。

「君が襲った少女は恐らくキリトの知己だ。彼女はきっと君を許さない。
 君が死のうと、どれだけこれから償おうと。それはきっと変わらない。」

 キリトの知り合い。その言葉に学郎の肩に何かが重くのしかかる。
 仲間だったかもしれないし、家族だったかもしれないし、恋人だったかもしれない。
 彼女がその何者かと出会う未来を奪う。殺すというのはそういうことだ。
 奪った命を背負うというのは、高校生の青年には余りある重責だった。
 糾弾されても仕方がないと、学郎の瞳が淀む。
 ここは殺し合いの只中だ。平気で人を殺す人間だと思われ逆に殺される可能性だって十分あるし、そうした判断を非難する気にはなれなかった。

「その上で君がどうすべきか。それは君自身が見つけるしかないだろう。
 それを見つけるために、君は生きるべきだ。俺から言えるのはそれだけだ。」

 その上で投げかけられた言葉が自身の生を求めるものであることに、学郎は目を見開いて。
 ああと、ジークは目の前の青年の憔悴した顔にかつての自分を重ねていた。
 言葉には次第に熱がこもり、血が通いだす。その熱さは学郎にとって救いでもあり後悔でもある。

「なんのために。」
「あえて理由をつけるなら藤乃代葉のためだ。」

 吐き捨てるような問いかけにしばし考えた末に、ジークの口から出たのはそんな言葉だった。

「君が鬼龍院羅暁の呪縛から解放されたのは彼女の献身によるものだ。そう言ったのは君だ。
 もし君が死んでしまえばその献身は無となり、藤乃代葉という名は多くの参加者にとって『早々に脱落し何者残せない、取るに足らない者』として刻まれるだろう。
 俺の個人的な願望もあるが……そのような未来は避けたい。」
「そういう考えも……あるんですね。」

 ジークの言葉に自分をかばって死んだ父、夜島拓郎のことを思い出していた。
 幼いころレベル3の幻妖に、学郎の目の前で殺された父。
 その敵はここに来る前に妹と共に倒しているが、惨劇の記憶は今なお鮮明に思い出せた。
 目の前の年が変わらなく見える青年が、何故だかあの時の父と重なった。

「なぜこうも俺のことを気にしてくれるんですか?」
「俺も託された側だからだ。
 俺の心臓は俺のものではない。
 かつて何の役割もなく死ぬはずだったところを英雄たちによって救い出され、その心臓を与えられた。
 それだけではない、俺はこの身に余る多くのものを多くの者たちに与えられた。」

 黒のライダーに生きろと言われ、黒のセイバーの心臓を受け継いだ。
 理由もなく名もなきホムンクルスとして終わるはずの命が、生きるための理由と鼓動を得た。
 ジークという個体は多くの奇跡と英雄に支えられ、ここに居る。
 そんな過去を持つからこそ、与えられた彼だからこそ。
 夜島学郎のことを助けたいと、ジークは心からそう思う。

「俺もせめてその英雄たちに恥じないよう生きたいと思った。
 そう考えると、同じ託された者でありどこかかつての俺に似ている君を見捨てる選択肢は無くなっていた。」

 どこか誇らしげに告げるジークに学郎がまず思ったことは、俺もこうなりたいという尊敬の念だった。
 父に命を、鵺に力を与えられ。さらに藤乃さんに正しい心を与えられた。
 それが今の学郎なんだと、すっと受け入れられていた。
 いつの間にか視界は随分クリアになった気がした。
 藤乃さんを守れなかった咎も、キリトを殺した罪も背負う。
 それでも生きることが今の俺のできる贖いなのだと。そう思うと、次にすべきことが見えた気がした。

「俺が襲った女の子に、会わせてくれませんか?」
「ああ、今俺の仲間が話を聞いている。無事には違いないが……」

 きっとその少女――シノンは君を許さない。
 本当に良いのか。問うようなジークの視線に学郎は強く首を振る。
 学郎は既に背負うと決めた。

 ならば分かったと、決断を尊重するようにジークは手を伸ばし。その手を取った学郎は立ち上がる。
 決意を秘めた男の体は鍛えているのか見た目よりも随分重く感じられた。
 ユメやうてな合流し、キリトに関する軋轢を執り成し。アビドスを調べる。
 ジークが思索した今後の選択が。




「ここがアビドス高校か。」



 底冷えするような言葉に、一瞬にして塗り替えられた。

 同行者と合流するためにアビドス高校に背を向けていた2人は、全く同じタイミングで振り返りその男を見た。
 アビドス高等学校の校庭。捻じ曲がったような空間を通り現れた、2人よりも数歳年上の青年。
 荘厳な緋色のマントを羽織り、並々ならぬ威圧感を放つその姿に2人の本能がかつてないほどの警鐘を鳴らしていた。

 その男はこの悪鬼羅刹が集う殺し合いの中で、指折りの怪物に他ならない。
 学郎が垣間見た幻妖の祖の本領だとか、ジークが対峙した神霊に分類されるサーヴァントだとか。
 彼らと同格、下手すればそれ以上の怪物。

 その男が、ぐるりと首を傾け学郎とジークを見た。
 人を見るような敬意も、虫を見るような嫌悪もない。
 これから払う煤を視界に入れたかのような、無感情な視線だった。

「チリが2つか。
 学園の中にもいくつかありそうだが、まずは貴様らからだな。」

 その男。名を宇蟲王ギラと言った。



060:幕間:やがて冥黒という名の雨 投下順 060:幕間:かつて生徒だった英雄たちへ(後編)
時系列順
柊うてな
ジーク
梔子ユメ
シノン
黒見セリカ
夜島学郎
亀井美嘉
冥黒ノノミ
魔王グリオン
冥黒アヤネ
ダークマイト
九堂りんね
宇蟲王ギラ
豊臣秀吉

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