Daydreamers ◆ARe2lZhvho


時刻、12時36分。
場所、E-3学習塾跡の廃墟二階、階段を登って最初の教室。
そこで僕、供犠創貴水倉りすかから今まで何をしてきたか、そしてどのような人物に会ったのかを何とかして聞き出した。
聞き出すのに時間がかかったことは否めないが、やっと僕とりすかが出会えた今情報の共有は何より優先すべき事項だった。
最初は真庭蝙蝠も交えて三人でやっていたのだが蝙蝠は「言っていることがわからない」と早急に匙を投げ、結局はいつもの運びとなったのだが。
しかし、「りすかの言っていることがわからない」ことは魔法の国、長崎出身ならまずありえないはず。
忍法といい、本当に魔法使いではないとでも……?
これについては今聞いてもりすかを混乱させるだけだからまだ伏せてはいるが。
ともかく、これでりすかの事情は――

「なるほど、大体わかった」

そして、「ふう」と一息ついて、

「りすか、一体何をやっていたんだ!」
「ひっ!」

怒鳴った。
始まってそうそう殺されて大人りすかになったのはまあいい。
箱庭学園で男から逃げるために『省略』したのも許そう。
だが、僕の名前を出した上捕まっていたとはどういうことだ。
人数も一人や二人じゃない。
黒神真黒が死んでいるのを抜きにしても伝聞を考えたらそんじょそこらじゃ済まない可能性だってある。
まあ、名簿に載ってしまってる以上完全な隠匿が不可能なのはわかってはいるが。

「無事だったからよかったものの相手が相手だったら死んでいたぞ」
「ご、ごめんなさい……」
「もう起きてしまったことはしょうがない、それにまだ負けたわけでもないんだからな。これからをどうするか考えよう」

零崎たちに宇練銀閣の名前を出しておいたことは本当に正解だった。
僕の名前が知られていても捜索対象を二倍に増やせるんだからな。
ツナギのことも知っているようだったが、これは半ば仕方がないと諦めよう。
彼女の魔法が生半可なものではないということは僕たちが身をもって体験したことなんだし。

「まずは追跡の可能性だが……何か飲まされたというのは無いんだよな?」
「診療所で気絶していたのが私だしわからないの」
「気絶してたのならその線は消えるな。服や帽子に発信機をつけられたというのは?」
「それもわからないのが私なの」
「調べた方がいいだろうな。さすがに僕の前で脱ぐわけにはいかないだろうから隣の教室に行ったらどうだ?」
「そうするの」
「何か見つけたらすぐに僕を呼べよ」

頷くことを返事としてりすかは出て行った。
これでこの教室には僕と蝙蝠の二人だけが残される。

「どうだ?役に立ちそうな情報はあったか?」
「きゃはきゃは。どうだろうな、あのお嬢ちゃんの視点しかないんじゃ一概に信用し切れねえからなあ」
「ああ見えてりすかは僕の優秀な『駒』だ。あいつならそういう状況に陥ったときは徹底的に僕のためになるようなことをしてくれる」
「大層な自信だな」
「伊達に『魔法使い』使いを名乗っちゃいない。まあ、それを抜きにしても得られた情報は少なかったみたいだがな」

得られた情報は零崎双識零崎人識、それにツナギと繋がりがあるかもしれない『欠陥製品』と呼ばれていた参加者のみ。
『欠陥製品』が誰のことを指すのがわかればかなり大きな情報だったのだが……悔やんでも仕方がない。
もしもそれが魔法使いの称号だったならその人間は是非とも駒にしたいものだが。
りすかの情報じゃあ豪華客船にいたそうだが時間がかなり経ってしまっているから今から行っても移動してしまってる可能性の方が高いしな。

「それで、あそこで二人殺せたかもしれない機会を逃してでも連れ出すことを選んだ女なんだ、情報以外にも利用価値はあるんだろう?」
「それについては僕も後で言おうと思っていたことだ。りすかが戻ってきたらもう一度僕に変態してくれるか?」
「別に今なっちまってもいいのによ」
「りすかにはお前の忍法を説明していない。さっきまでいた人間がいなくて同じ人間が二人になっていたら混乱するだろうが」
「ああ、そういうことか。じゃあとりあえずあの服に着替えておけばいいのか?」
「服はそのままでいい」

りすかにあらぬ誤解を植え付けるような真似はするな。
本当に。

「ついでだからこれからやることについて説明しておく。まずは――」

僕が蝙蝠に作戦の説明を終えた頃、見計らったようにりすかが戻ってきた。

「終わったけど何もなかったのが発見なの」

りすかの様子からして大丈夫だとは思うが蝙蝠との会話が聞かれていなかったか少しヒヤヒヤしたのは秘密だ。
聞かれて困るような内容ではなかったが服のことを持ち出されるのは勘弁だからな。


  ★   ★


時刻、12時54分。
さて、これから始めることの前に済ませておかないといけないことがある。

「りすか、先に確認しておきたいことが二つあるんだが、いいか?」
「構わないの」
「手錠はどうした?」

クラッシュクラシックで再会してからずっと疑問に思ってたことをぶつける。
赤を基調としたりすかのファッションの中で唯一赤でない、銀色の無骨な手錠がりすかの右手首に掛かっていなかったのだ。
奇妙なブレスレットのように見えるそれは『省略』するときに僕とりすかを『固定』させるのに必要なもので、それがない状態で『空間移動』に成功するかは賭けだった。
実際は成功したし、万一失敗したときの対策もちゃんと考えてはあったが。

「右腕ごとツナギさんに食べられちゃったのが手錠……ってあのときもいたはずなのがキズタカなの」
「食べられた?ツナギに?何があったらそうなるんだ?現に今は五体満足じゃないか」
「説明できないのが現象が多すぎて不可解。本当に覚えていないのがキズタカなの?」
「質問に質問で返すな……と言いたいところだが全く覚えていないな。僕が覚えているのは地球木霙をツナギが殺してからホテルの部屋に入ったとこまでだ」
「蠅村召香を知らないのがキズタカ?過去に跳んで『泥の底』を殺してきたのが私」
「そう、それだ。もう一つ聞きたかったことでもあるんだが、過去に跳べるようになったのか?」

気になっていたことの二つ目がそれだった。
扉をがっちり塞がれていて、『省略』した結果出た場所がトラックの荷台の上。
あの状況で『自分が外に出られる』というイメージを作るのは困難だった上(零崎人識を怖がっていたようだしな)、荷台の上に移動する理由がない。
それを踏まえると『未来』ではなく『過去』に『時間移動』して『空間移動』したと考えられる。

「なったもなにもそうするように命令したのがキズタカじゃない」
「怒ってるわけじゃないんだ、そう語気を荒らげるな」

更にどうやら僕とりすかの間には時間の齟齬があるらしい。
話を聞く限りじゃ僕の方がりすかより過去……ということになるのか?
だがそれは些細なことに過ぎない。
むしろりすかが過去にも跳べるようになったことは喜ぶべきなのだから。
まあ、今は過去に跳ぶ必要性もないし慣れている未来への移動だが。

「それじゃあ始めるか。蝙蝠、永劫鞭を」
「応よ」

蝙蝠のことは属性『肉』の魔法使いだとりすかには説明しておいた。
厳密には違うようだがここでややこしくしてもしょうがないしな。
最初にすることは『同着』するために傷を作ること。
いつもならカッターナイフを使うのだが今は零崎双識に取られてしまっているらしいので蝙蝠が持っている永劫鞭の先についている刃物で代用する。
そして僕とりすかの右手首同士、僕に変態した蝙蝠とりすかの左手首同士を糸でそれぞれ結びつけて『固定』、糸はりすかが手足を縛られていたものを使った。
最後に傷口を重ね合わせて準備は完了だ。

「頼むぞ、りすか」
「了解なの」

呪文の詠唱が始まり――

「えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく
 えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく
 えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく
 えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく
 えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく
 えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく――」

視界が、歪む。


  ★   ★


目を開いた。
りすかがいる。
視線を右に移す。
蝙蝠はいなかった。
周囲を見回してみる。
白い壁と天井があった。
ここが西東診療所だろう。
糸を解いて手を自由にする。
口を開こうとしたそのとき――

「貴様達、どこから現れた?」

背後から声をかけられた。
振り向くと長髪を濡らした女がいた……のはまあいい。
様子からして風呂上りのようだし。
だが、何故下着姿(しかも上はつけていない)なんだ。
着替えを持って入らなかったのか。

ふと、部屋の一点に目が留まる。
そこにあったのは血に染まった包帯。
怪我の治療に使ったとしては出血の量が尋常じゃない。
包帯の長さもあまりにも長いしまるで『全身に巻きつけていた』かのようじゃないか――

「ああ、怯えなくても大丈夫だ。今私は殺し合いを止めるために動いている」

黙っていた僕達を見て怯えているとでも思ったのか向こうから話を切り出してくれた。
無防備な姿をさらけ出している時点で予想はついていたが乗ってないのなら好都合だ。
敵意が無いことを示すため、デイパックを自分から離れたところに投げる。

「僕達も殺し合いをするつもりはない。僕は供犠創貴、こっちは水倉りすかだ」

どうせりすかが僕の名前を呼ぶときにばれてしまうし、ここは敵対する場面ではないから本名はあっさり出す。
殺し合いをするつもりもないというのも本当のことだしな。
ただ、みんなを幸せにするために邪魔な者にはいなくなってもらうだけのことで。

「そういえば申し遅れたな、私は箱庭学園第九十九代目生徒会長黒神めだかだ」
「箱庭学園生徒会長?なら最初のあの場にいた不知火の爺さんとは」
「もちろんよく知っておるよ。フラスコ計画も完全に叩き潰したし最近は大人しくしているようだったから油断していたらこの様だよ。
 全く、もっと私が目を光らせておけば防げたかもしれないと思うと悔やんでも悔やみきれん。しかし貴様、見たところ小学生のようだが理事長のことを知っていたのか?」
「それは箱庭学園に寄ったときにパンフレットを見つけたからだ。ところで、そろそろ服を着てくれないか?さすがに目の毒になる」

抜群のプロポーションを誇る女性は大人りすかで見慣れているとはいえ下着姿でいつまでもいられるのは困る。
というかその巨乳で何もつけないとか頭おかしいんじゃないのか。
しかし黒神めだか、高校生だというの割に随分と大人びているな……
僕が言えたことじゃないかもしれないが。

「む、配慮が足りなかったか。それにしても何故皆理解してくれないのだろうな……服なんぞ着なくても学園生活は送れるだろうに」
「……………………」

露出狂じゃねえか。
それはともかく、黒神めだかはすたすたと歩いてデイパックを開ける。
そこから取り出したのは着替え――ではなく木刀。
わざと自分から離れたところ――黒神めだかのデイパックに密着するように投げたのだが、まさかこうも早く王刀の効果を確かめられるとは――

「おっと、失礼した。間違えてしまったようだ」

……とりたてて変化がないようだ。
都城王土は「持った者の悪意、戦う気を大幅に削ぐ刀」と言っていたが……この状況で持ったのが敵意のない人間だ、本来の効果を発揮できていない可能性もある。
かといって殺気満々な相手に持たせようとしたところでそれができるかどうかとなるとそう簡単にできることでもないし、本当に使い勝手が悪いな……
王刀を僕のデイパックに戻した黒神めだかは今度こそ自分のデイパックを開けて着替えを取り出す。
やっぱりとは思ってたが部屋から出ていかないんだな。
僕達が勝手に入ってきたとはいえ、恥じらいとかはないのか。
すごく気まずいんだぞ。
やがて、着替え終えた黒神めだかが僕達に声をかけてくる。
あんなことを言っていた割にはまともな服で安心した。

「待たせたな。それで、何の用もなく来たわけではあるまい?」
「もちろんだ。僕は『みんなを幸せにしたい』。そのために協力者を必要としている」
「奇遇だな。いや、奇縁と言うべきか。私は『他人の役に立つために生まれてきた』人間だ。存分に協力できると思うぞ」

そうして、露出狂な点を除けばこれ以上ない『駒』と出遭った。
何故鉄扇を広げた上ポーズを決めているかについては触れたら負けなんだろうな、きっと。


  ★   ★


時刻、14時03分。
デイパックを手に持つ。

「いいのか?別に離れる必要はないのだぞ?」
「別の協力者を待たせているからな。合流は第三回放送のときにランドセルランドで構わないか?」
「ならば仕方ないな。集合場所はそこで構わないぞ」

りすかが一度『省略』すると再び『省略』できるようになるまで時間がかかることは聞いていたので、その時間を埋めるために専ら情報交換に終始した。
そこで聞いたのは黒神めだかの知り合いのことだったり、
黒神めだかが出遭い、そして殺してしまった阿良々木暦という参加者のことだったり、
黒神めだかが通う箱庭学園の生徒の一部が有する魔法とは似て非なるスキルの存在(いつの間にか乾いていた髪もそれによるものだったらしい)のことだったり、
戦場ヶ原ひたぎという名の探し人のことだったり。
一方で僕も情報を開示する。
魔法の国のことだったり、
真庭蝙蝠という協力者のことだったり、
零崎一賊という敵対者のことだったり、
都城王土という主催の人間と結んだ密約と行橋未造という探し人のことだったり。
勿論、魔法と蝙蝠については肝心なことは隠して話してはいるが。
その結果わかったことが、この黒神めだかという人間、場合によってはりすか以上に扱えない『駒』になるかもしれないということだ。
りすかとは違い、一人にして暴走する危険性は低そうだったので僕が下手に手元に置いておくよりは自由にした方がいいと踏んだのだが。
ちなみに僕と黒神めだかが話している間りすかは基本的に隅の方で大人しくしていた。
元々人見知りの気があったからな。
そうでなくとも普通の人間にりすかの話し方はわかりづらいものがあるし。
ともかく、零崎のことを伝えられたのは大きな前進だった。
向こうには『欠陥製品』という知り合いがいるのは確実だし、こちらの持ち駒が蝙蝠とりすかだけでは心細いものがある。
二人を使えないと思っているわけではないが、駒は多いに越したことはないのだから。

「りすか、準備はいいか?」
「ないのが問題なの」

黒神めだかにはりすかの魔法について『空間を移動できる』とだけ説明しておいた。
『切り札』のことまで言う必要はないし、何より知られたくないというのもある。
血を流さずに殺してしまえばりすかはあっさりと死んでしまうのだから。
再び呪文の詠唱が始まり――

「えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく
 えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく
 えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく
 えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるひ えぐなむ・えぐなむ・かーとるく か・いかいさ・むら・とるまるく――」

再び視界が歪む。
最後に僕は右後ろのポケットの中身を使わなくて済んでよかったとほっと息を吐いた。


  ★   ★


供犠創貴と水倉りすかがいなくなった西東診療所の一室、そこには黒神めだかだけが残される。
一刻も早くバトルロワイアルを止めようとしていためだかがわざわざ寄り道をした理由は単純、己の現状を見回してだ。
阿良々木暦の返り血と左右田右衛門左右衛門から受けた攻撃による出血で包帯は暗赤色を通り越して真っ黒と言ってしまっても差し支えない。
仮に出血がなかったとしても全身に包帯を巻き付けるような出で立ちをした人間に誰が近づこうというのか。
その場で着替えるという選択肢もあるにはあったが、さすがに無防備な姿を晒すのは危険だと判断してたまたま近くにあった西東診療所に向かうことにしたのだ。
いざ包帯を解いてみれば想像していた以上にひどい有様だったので風呂も借りる運びとなったのだが。

「それにしても、こんなところで協力できる者と出会えるとはな。寄り道をしてしまったと思ったが存外近道だったらしい」

めだかに着替えとして支給されたのは箱庭学園女子生徒の制服。
生徒会の制服ではなく一般生徒のものだったのは主催からの皮肉のつもりか。

「もう留まる理由もないし行くとしよう……ん?やれやれ、年の割にはしっかりしていると思ったが相応な面も持っているようだな」

診療所を出ようとしためだかが違和感に気付く。
どうやら、デイパックを取り違えられてしまったようだった。

「中身は私にはそれほど必要のあるものではないから向こうの手に渡ること自体は構わないが、あやつらにとって大事なものが入っていたら困ったことになるな。
 悪いが中身を検めさせてもらうか……ふむ、不幸中の幸いというべきか武器らしい武器は木刀だけか。それでも早く返さねばならないことは変わらないが」

王刀を持ちめだかは外へと踏み出す。
創貴は「持った者の毒気を抜く――分かり易く言えば、持った者の悪意、戦う気を大幅に削ぐ刀」としか聞いていなかったため王刀の本質を見抜ききれなかった。
王刀の正確な特性は、人を正し、心を正す、精神的王道を歩ます、教導的な解毒の刀。
故に、「正し過ぎる」めだかが手にしたところで変化が生まれるはずがないのだ。
未だその間違いを正すものは現れない。
人間も、刀も。


【1日目/午後/B-4 西東診療所前】
【黒神めだか@めだかボックス】
[状態]『不死身性(弱体化)』
[装備]『庶務』の腕章@めだかボックス、箱庭学園女子制服@めだかボックス、王刀・鋸@刀語
[道具]支給品一式、否定姫の鉄扇@刀語、A4ルーズリーフ×38枚、箱庭学園パンフレット@オリジナル
[思考]
基本:もう、狂わない
 0:ランドセルランドへ向かう
 1:戦場ヶ原ひたぎ上級生と再会し、更生させる
 2:話しても通じそうにない相手は動けない状態になってもらい、バトルロワイアルを止めることを優先
 3:哀しむのは後。まずはこの殺し合いを終わらせる
 4:再び供犠創貴と会ったら支給品を返す
 5:零崎一賊を警戒
 6:行橋未造を探す
[備考]
※参戦時期は、少なくとも善吉が『敵』である間からです。
※『完成』については制限が付いています。程度については後続の書き手さんにお任せします。
※『不死身性』は結構弱体化しました。(少なくとも、左右田右衛門左衛門から受けた攻撃に耐えられない程度には)
 ただあくまで不死身性での回復であり、素で骨折が九十秒前後で回復することはありません、少し強い一般人レベルです
※都城王土の『人心支配』は使えるようです。
宗像形の暗器は不明です。
※黒神くじらの『凍る火柱』は、『炎や氷』が具現化しない程度には使えるようです。
※戦場ヶ原ひたぎの名前・容姿・声などほとんど記憶しています
※『五本の病爪』は症状と時間が反比例しています(詳細は後続の書き手さんにお任せします)。また、『五本の病爪』の制限についてめだかは気付いていません。
※軽傷ならば『五本の病爪』で治せるようです。
※左右田右衛門左衛門と戦場ヶ原ひたぎに繋がりがあると信じました
※供犠創貴とかなり詳しく情報交換をしましたが蝙蝠や魔法については全て聞いていません


  ★   ★


「戻ったか」
「待たせたな」
「それで、成果は?」
「結論から言うと、王刀は手放した」
「なんだと!?あれにはどれくらいの価値があると……」
「それは聞いてる。だが、そんなものこの場所で役に立つのか?」
「そう言うからにはそれなりのものは持って帰ってきたんだろうな?」
「中身を確認しないとなんともいえないな。まあ、それを見越して武器は全部お前に預けておいたんだが」

学習塾跡の廃墟の教室の一室に戻った僕とりすかを蝙蝠が迎える。
大成功とはいかないまでも及第点以上の結果は得られた。
事前に想定していたパターンは5つ。
最高のパターンは蝙蝠も一緒に移動し、その上で誰も診療所にいなかった場合や協力できそうな人間がいた場合だ。
次善のパターンは蝙蝠も一緒に移動できたが、診療所に危険人物がいた場合。
『骨肉細工』だから血までは変えられなかったということだろうが、移動できないとわかっただけでも大きな収穫だ。
僕に変態した状態で移動できないということはりすかに変態しても魔法は使えないと見て間違いなさそうだしな。
3つめが今回の結果となったパターンで僕のみがりすかと一緒に移動し、協力できそうな人間がいた場合。
これまで僕が出会った人間は全員死んでしまっているし、情報を得ることができたのは大きかった。
持て余すと判断した王刀を手放す代わりに「間違えた」ふりをして支給品を交換することができたしな。
蝙蝠が移動できなかった場合を想定して武器はほぼ全て蝙蝠に持たせておいたし、得られた支給品が役に立たないものだったら会ったときに素直に返せばいいと判断した。
人を疑うようなやつじゃなかったし「間違えた」と言えば向こうも王刀を返してくれるだろうから。
4つめが二人しか移動できず、診療所に誰もいなかったパターン。
家探しや周囲の探索で得られるものはあっただろうが蝙蝠がいない以上いずれは戻らないといけないし収穫も少ないし時間の損失もあるというパターン。
最後、最悪のパターンが二人で移動した先に危険人物がいた場合。
そのときは迷いなく僕がりすかを殺すつもりだった。
ポケットに忍ばせた拳銃を使って。
下手に手を打つよりかは大人りすかにやってもらった方が手っ取り早いからな。
だが、大人りすかになった後すぐに『省略』できるかどうかわからないし、できなかった場合は時間をかけて戻らなくてはならない懸念があった。
その場合蝙蝠をどれくらい待たせることになるかわからないし特に避けたいものだったのでこのパターンにならなくて助かった。
『省略』が自由に使えない以上、どのパターンでもりすかには基本的に僕の指示に従ってもらうだけになるので診療所に着いたら大人しくするようには命令していたが。
西東診療所を跳ぶ先に選んだのはなんてことはない、ただの消去法だ。
りすかが立ち寄った施設の内、箱庭学園は禁止エリア、クラッシュクラシックは論外だったからな。

「どうだ蝙蝠?使えそうなものはあったか?」
「こいつは大収穫だ!王刀を手放したことなんてもうどうでもよくなっちまうくらいによお!きゃはきゃはきゃはきゃは!!」

蝙蝠がひっくり返したデイパックの中身を見てみる。
こうして見ると、三人分の支給品が手に入ったのはやはり大きいな。
直刀に日本刀に小刀くらいか、武器として普通に使えそうなものは。
他はシャベルとアンモニアの入った瓶と携帯電話にスーパーボール、カスタネットとリコーダーに手錠……か。
遊び道具が多いのは気のせいだろう、そう思おう。
スーパーボールは市販品よりやたら弾むが屋内でもなければ牽制にも使えなさそうだ。
蝙蝠が喜んでいたのは直刀が絶刀『鉋』といって元々持っていたものだったかららしい。
なんでも絶対に折れないし曲がらないし錆びないのだとか。
王刀よりかは使い勝手もよさそうだしこれを得られただけでも移動した価値はあったようだ。
『無銘』という名前らしい小刀はりすかに持たせることにした。
カッターナイフが無い今、手ごろな刃物があった方がいいのは確かだから。
日本刀は切れ味を確かめるために刃を触ったらすり抜けてしまったので何かの魔法陣でもあるのかと思ったがりすかによると魔法は使われていないらしい。
絶刀は蝙蝠が呑み込んでしまったので自然、僕が持つことになった。
チェンバリンが作ったものとは違うが、それでも手錠は手錠なのでりすかの右腕に装着させる。
いつもより軽いじゃらじゃらという音が響くが、そのうち慣れるだろう。
武器にならないもの、所謂外れ支給品も手錠以外は僕が預かった。
精々シャベルくらいしか武器になりそうなものはないし、携帯電話も二人は操作方法がわからないようだったしな。
それじゃあ、次の目的地、ランドセルランドへ向かおうか。
『みんなを幸せにする』という夢を実現するためにも、止まってはいられないんだ。

【1日目/午後/E-3 学習塾跡の廃墟2階】
【供犠創貴@新本格魔法少女りすか】
[状態]健康
[装備]グロック@現実
[道具]支給品一式×3(名簿のみ2枚)、銃弾の予備多少、耳栓、書き掛けの紙×1枚、「診療所で見つけた物(0~X)」、心渡@物語シリーズ、シャベル@現実、
   アンモニア一瓶@現実、携帯電話@現実、スーパーボール×10@めだかボックス、カスタネット@人間シリーズ、リコーダー@戯言シリーズ
[思考]
基本:みんなを幸せに。それを邪魔するなら容赦はしない
 1:ランドセルランドで黒神めだかと合流する
 2:ツナギ、行橋未造を探す
 3:このゲームを壊せるような情報を探す
 4:蝙蝠の目的をどう利用して駒として使おうか
[備考]
※九州ツアー中、地球木霙撃破後、水倉鍵と会う前からの参戦です
※蝙蝠と同盟を組んでいます
※診療所でなにか拾ったのかは後続の書き手様方にお任せします
※主催者の中に水倉神檎、もしくはそれに準ずる力の持ち主がいるかもしれないという可能性を考えています
※王刀の効果について半信半疑です
※黒神めだかと詳しく情報交換しましたが蝙蝠や魔法については全て話していません
※携帯電話から掲示板に行けることに気付いていません
※心渡がりすかに対し効果があるかどうかは後続の書き手にお任せします


【水倉りすか@新本格魔法少女りすか】
[状態]出血(小)、零崎人識に対する恐怖
[装備]手錠@めだかボックス、無銘@戯言シリーズ
[道具]支給品一式
[思考]
基本:創貴に従う
 1:創貴と共にランドセルランドへ向かう
[備考]
※九州ツアー中、蠅村召香撃破直後からの参戦です。
※治癒時間、移動時間の『省略』の魔法は1時間のインターバルが必要なようです。(使用可能まであと五十五分)
 なお、移動時間魔法を使用する場合は、その場所の光景を思い浮かべなければいけません。
※大人りすかについての制限はこれ以降の書き手にお任せします。


 ★   ★


帰ってくるまでの間退屈で退屈で仕方がなかった……なんてことはなかったぜ。
目安は告げられていたからそれまでは自由にできたしな。
ちょっくら付近を見て回ったが(もちろん零崎に見つからないように最大限警戒してだ)、見つけたのは入る前に見かけた死体と上半身と下半身が綺麗に分かれた死体だけ。
もちろん落し物があるなんてこともなかったし収穫は無いに等しいんだが。
「これから西東診療所に移動するがお前は来れない可能性もある」と言われたときは何事かと思ったがなるほど得心いった。
この女は忍法、いやあいつの言ってた魔法を使えるってことがわかれば十分だ。
わざわざあいつらを狙う機会を捨ててまで優先した女ってだけはあるな。
ただまあ、残念なことに俺には使えないってのは困るんだよなあ。
下手こくと俺だけ残して逃げられる、なんて事態になりかねねえ。
そろそろ裏切ってもいい頃合いかもしれないが、王刀はその黒神めだかってやつから回収はしておきてえな。
四季崎記紀の完成系変体刀の効果が確かめられなかったってんならそれはその必要性がない人格なんだろう。
そういった点に頭が回らないようじゃまだまだだぜ?
尤も、奇策士の本性を見抜けるような俺だからこそ考えついたってのもあるかもしれないが。
まあ、この先何があろうと恨むような真似はしてくれるなよな。
なんせ、忍者ってのは卑怯卑劣が売りなんだからよお?きゃはきゃはきゃはきゃは。


【1日目/午後/E-3 学習塾跡の廃墟2階】
【真庭蝙蝠@刀語】
[状態]健康、零崎軋識に変身中
[装備]軋識の服全て、絶刀・鉋@刀語
[道具]支給品一式×2(片方名簿なし)、愚神礼賛@人間シリーズ、書き掛けの紙×1枚、ナース服@現実、諫早先輩のジャージ@めだかボックス、
   少女趣味@人間シリーズ、永劫鞭@刀語
[思考]
基本:生き残る
 1:創貴とりすかと行動、ランドセルランドへ向かう
 2:双識を殺して悪刀を奪う
 3:強者がいれば観察しておく
 4:完成形変体刀の他十一作を探す
 5:行橋未造も探す
 6:危なくならない限りは供犠の目的を手伝っておくがそろそろ裏切ってもいい頃かもしれない
 7:黒神めだかに興味
[備考]
※創貴と同盟を組んでいます
※現在、変形できるのはとがめ、零崎双識、供犠創貴、阿久根高貴、都城王土、零崎軋識、零崎人識、水倉りすか、元の姿です
※都城王土の『異常』を使えるかは後の書き手の方にお任せします
※放送で流れた死亡者の中に嘘がいるかも知れないと思っています
※鑢七実の危険性について知りましたが、嘘の可能性も考えています
※絶刀は呑み込んでいます
※供犠創貴に変態してもりすかの『省略』で移動することはできません。また、水倉りすかに変態しても魔法が使えない可能性が高いです
※宇練銀閣の死体を確認しましたが銀閣であることは知りません


 ★   ★


こうして二人の夢追い人は出会い、別れ、動き出す。
途方もない夢の実現に向けて。



支給品紹介
【箱庭学園女子制服@めだかボックス】
黒神めだかに支給。
胸部が空いている生徒会制服ではなく一般生徒の制服。
すごくどうでもいいけど筆者はこっちの制服を着ためだかちゃん(コミックス16巻参照)の方が好き

【手錠@めだかボックス】
黒神めだかに支給。
1年3組風紀委員鬼瀬針音がメリケンとして使っていたもの。
鍵がなくても自由に外せるようになっている。

【携帯電話@現実】
黒神めだかに支給。
もう説明とかいいですよね。

【無銘@戯言シリーズ】
人吉善吉に支給。
十一代目古槍頭巾が制作した刀子。
元々は零崎人識のものだったが回りまわって戯言遣いの元に渡った。

【カスタネット@人間シリーズ】
人吉善吉に支給。
零崎人識の人間関係、零崎双識との関係冒頭で零崎曲識が使っていたもの。
一般人が手にすればただの楽器である。

【スーパーボール@めだかボックス】
阿良々木暦に支給。
雲仙冥利が使う武器の一つで武器になるよう改造が施されたもの。
市販のものよりも凄くよく弾む。
1個あたり定価120万円。

【リコーダー@戯言シリーズ】
阿良々木暦に支給。
澄百合学園にて紫木一姫が戯言遣いの背中に突き付けて銃だと錯覚させた。


――かもしれない何かの話 時系列順 配信者(廃神者)
――かもしれない何かの話 投下順 配信者(廃神者)
絡合物語は 供犠創貴 君の知らない物語(前編)
絡合物語は 水倉りすか 君の知らない物語(前編)
絡合物語は 真庭蝙蝠 君の知らない物語(前編)
成し遂げた完成(間違えた感性) 黒神めだか 「意外と楽でいいが」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年11月06日 18:03