零崎舞織の暴走 ◆ARe2lZhvho


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どっきりもんだい編
1 図書館/一階受付付近

僕こと櫃内様刻は同行者である無桐伊織さんと共に図書館へ辿り着いた。
伊織さんが玖渚さんとの通話を終えてからはこれといった会話は特にしていない。
未だに繰想術の影響下にある僕を気遣ってくれたのか、あるいは――
不要湖を抜けた後は地面はなだらかになっていたし、見通しもよかったのでそれらしい建物を見つけるのは簡単だった。
もちろん、周囲や建物の中に危険かそうでないかは関係なく人間がいる可能性は十分にあったので警戒を怠ったつもりはないけれど。
それらしい気配は僕も伊織さんも感じなかったので中に入ったはいいが、

「様刻さん、ここって美術館ですかね?」
「いや、図書館だろう。地図の通り来たんだし」
「じゃあその地図が間違っていたんでしょうか」
「信用問題に関わるから間違った地図を配布するなんてことは主催はしないと思うが」
「ならちょっと質問の趣旨を変えますが、ぱっと見でここが図書館だとわかりますか?」
「正直……疑うかな」
「でしょう?」
「でもまあ、本いっぱいあるし閲覧スペースもあるししばらく見ればわかると思う」
「それもそうですね」

入って早々議論になったのも無理はない。
僕達が想像していた一般的な図書館とは随分と違う内装だったからだ。
例えるならば、某アニメ制作会社がデザインしたような。
本棚の配置は個性的だし螺旋階段が複数、しかもお互い近い位置にあるし(せめて場所を離せと思う)、胸像が置いてあるし……美術館と見紛うてもおかしくはない。
伊織さんも半分はネタで言ってたんだろう。
というかそうでないと引く。

「で、どうします?」
「どうすると言っても普通に探索するしかないんじゃ?」
「その通りなんですけど様刻さんはどこから探すのかなって」
「そりゃあ、DVDがあるだろう映像フロアからだけど……って『様刻さんは』?」
「なら私は普通に一階の開架から探しますかねえ……ってどうしたんですか?」
「あのさ、さっきの僕の話聞いてた?」
「ああ、DVDが自動的に記録されてるかもしれないって話でしたっけ」
「いや、その前なんだけど……」
「……あ、思い出しました思い出しました。誰か主催側の人間が潜伏してるかもって話でしたね」
「そこまで思い出したなら僕の言いたいこともわかってくれるよな?」
「確かに可能性が低いとはいえ手分けして探すのは愚策でしたね。伊織ちゃんうっかりしてました」
「ま、気付いてくれたらいいんだけどさ」

外観と中身のギャップに最初は驚きこそしたけれどやっぱり隠れられる場所はそこかしこにあるからな。
僕達以外の人間がいない可能性も決して高くはないだろうし用心しておくに越したことはない。
後ろに伊織さんがいることをちゃんと確認してから僕は映像フロアがある三階を目指して螺旋階段を登りだした。


2 エリアF-7/北部

ふらふらと、ぶらぶらと、ゆらゆらと、彷徨うように、遷ろうように、漂うように、存在した。
西条玉藻という名の『現象』は。
かの人間失格にもひけを取らない気まぐれさを持つ彼女であるが、人類最強の言に従うという気まぐれをおこしたらしい。
現象に気まぐれという単語をあてるのもふさわしくないかもしれないが。
そして、彼女から一定の距離を置いたある地点。
例えば、樹上。
例えば、塀の側。
例えば、屋根の上。
同じところには一分と佇むことなく、常に移動し続ける影があった。
影の正体は滅びかけた、否、滅んでしまった忍の里の十二頭領が一人。
更にその中でも実質的な束ね役を担い、二つ名に神を冠した男。
『神の鳳凰』真庭鳳凰の姿がそこにあった。
彼は首輪探知機に表示された光点をかなり前から発見し、尾けているが未だに手を出せないでいる。
一つ目の理由としては、彼女が真庭狂犬を葬ったからだと言えよう。
どういうわけか、毒刀はおろか武器らしい武器も持っていないようだが。
貝木泥舟から奪ったデイパックの中に入っていた江迎怒江のデイパックの更に中、真庭狂犬のデイパックから記録辿りで読み取った情報なのでまず間違いない。
また、貝木のデイパックにも彼女の情報が記録されていた。
二つ目の理由に繋がるが、見かけからは想像もできぬ速度で走る身体能力や察知能力を見て迂闊には手を出すべきではないと判断したのだ。
その二つ目の理由とは、

「……ふむ。やはりこの距離からでも感付かれるか」

懐から取り出しかけたデザートイーグルを戻す。
構えてすらいなかったのに彼女の首がぐるり、と回り鳳凰の方向を見据えたのだ。
目の焦点は定まっておらず、鳳凰の存在には気付いてないだろうが、それ故に恐ろしい。
彼女はおそらくは「なんとなく」で振り向いただろうことから戦闘能力の高さが窺える。

「我の目的は殺戮ではなく優勝。今無理をして殺す必要もないが……」

建物の陰へと移動しつつ探知機を取り出す。
移動したことで端に現れた光点を見て鳳凰の口角がつり上がった。

「あやつに協調性などあるとも思えぬし、仮に徒党を組まれても狙撃という手段もある。つぶし合いを期待するのも手か」

先程より少しだけ玉藻から距離をおきつつも鳳凰の尾行は続く。


3 図書館/三階映像フロア

特徴的な内装に多少は戸惑ったが見取り図はちゃんとしたものだったので迷うことはなかった。
うん、やはり建物というのはこうでなくっちゃな。
尤も、到着してからが問題なんだけども。
あのDVDは参加者でも発見できるとはいえ、そう易々と見つけられるとは思えなかったからだ。
だって、決して狭くない範囲にそのDVDだけがぽつんと置いてあったら警戒する。
逆に罠だと思って触れることすらしないかもしれない。
ただまあ、宗像さんの話だと見つけたのは火憐さんだったらしいし彼女はそんなこと気にする性格には思えなかったけど。
そしてここまで並べ立てておいてなんだが、僕の懸念は杞憂だったようで目的のDVDはあっさり見つかった。

「実物を見せてもらっておけばよかったとか思う暇もなかったな」
「あっさり見つかりましたもんね」
「これも火憐さんが事前に訪れていたおかげ、かな」

ぎっしり、とまではいかずともそれなりに並べられた棚の中、大きい隙間があれば嫌でも目につく。
それに、この棚だけ何故か最下部に映像資料は並んでおらず、真っ黒な板で覆われていたのだから尚更だ。

「でもこれ、放送ごとに追加されると思ってましたけどどうやらリアルタイムで作られてるようですねえ」
「みたいだな。確か第二放送で死んだのが7人、今ここにあるのが16本か……」
「相変わらず積極的な人はいるようで」
「僕達の近くにいないことを願うばかりだよ」
「私としては双識さんが人を殺して回ってないかも心配なんですけどね。人識くんや私と違って何かあったら容赦はしない人ですし」
「忘れかけてたけど殺人鬼だったんだっけ」

よくよく考えなくても恐ろしい状況だった。
殺人鬼とバトルロワイアルについて呑気に会話するって。
普通なら僕真っ先に殺されててもおかしくないぜ?

「で、持ち出すのは当然としまして内訳はどうします?」
「とりあえず僕は時宮時刻のことさえわかればいいからな。番号が若い7本だけ貰っておくよ」
「第二放送はそちら側でしょうしね。じゃあ残りを……」

言いかけた伊織さんの動きが言葉と共に止まるが無理はない。
前触れもなくDVDが下から『せり出て』きたのだ。
驚きだとか様々な感情や思考が僕の中で渦巻いてはいたが、とりあえず疑問の一つは氷解した。
なるほど、下の部分は編集機械とでも考えておけばいいのか。
DVDが置かれる場所に対して棚の覆われている部分が大きすぎるし、全て録画してあったとしてもおかしくはないかもしれない。
そう考えることを見越してカムフラージュされてるだけかもしれないが。
さすがに死んだかどうかの判断までは自動でできないと思うからそこについては人間が遠隔で操作してるとは思うけど。

「……ともかく、これで人間が手動で動かしてる可能性ってのは消えたかな」
「ですかねえ。あれ、何かおかしくありません?」

今しがた出てきた10本目のDVDをデイパックに放り込みながら伊織さんが何かに気付いたみたいだ。
僕には不審な点は見当たらないけど……

「そうか?そもそも言ってしまえばこんなDVDが存在するってことがおかしいんだし」
「いや、もうその辺のことには目を瞑っていただくとしまして、ほら、DVDが置いてあった場所に線が見えるじゃないですか」
「本当だ。さっきまでの僕達の立ち位置とDVDで影になって見えなかったのか」

少し考えればわかることだが、金属の板を通り抜けて物が出てくるわけがないのだ。
取り出し口のようなものがあって当たり前である。
そこを利用して下の部分を覗き見れるか試してみたがこちらからはどうにもできなさそうだった。

「それでですね、私気付いちゃったんですよ。左側がなーんか狭いなーって」
「言われてみれば確かに。えっと、一番新しい番号が25だったから……端に出るのは40本目?」
「でも参加者は全部で45人でしょう?最後に残る人は死なないとしても4本足りないじゃないですか」
「40本までしか作れない、なんて技術的な問題じゃあなさそうだし……つまり、何らかの目的があるってことか?」
「恐らくはそうでしょうね。ただ、残りが5人になったときに意味があるのか、あくまでも目安に過ぎないのかどうかすらわかりませんが」
「手がかりが少なすぎるんだよな……かと思えばネットワークは一般人からすれば不自由なく使えるし、主催からすれば意味のないだろうDVDは置いてあるし」
「案外答えがもう出ていたりして。そういえば最初の場所でお爺さんが言ってたじゃないですか『この『実験』で遂に悲願を果たせる』とかなんとか」
「『実験』――確かに言ってた。……待てよ、その直前にも何か言ってたはず。なんだったっけ……」
「あのときどうにも眠くなっていましたからねー。今無理して思い出さなくてもいいんじゃないですか?まだ探索してない場所はありますしそれが終わってからでも」
「その通りなんだけど、一度気になってしまうと、な」

このもやもやとした気分、くろね子さんの気持ちが少しだけわかった気がする。
さすがに自殺したくなったりはしないけれど。


4 図書館/一階閲覧スペース

開架、閉架問わず館内を隈無く探索した僕達だったけれど、DVD以外に成果は得られず、参加者に出会うこともなかった。
参加者が潜んでいたところで、危険人物の可能性は大いにあったんだしプラスマイナスは零ってとこだろう。
宗像さんの話から聞き及んでいた感じじゃあ図書館内でDVDの視聴はできなさそうだったけど、時間が経っていたしあるいは、と思ったが無駄だった。
全部で13台あったうち12台は電源すら入らず残りの一台はディスプレイが破壊されていたとかさあ……
宗像さんがやったとは思えないし火憐さんの仕業だろう、きっと。
どうせ僕達はこれから玖渚さんと再び合流するんだし今確認することの必要性は薄かったんだし、と自分に言い聞かせる。
これだけ時間が進み、死人も増えた現状時宮時刻を殺したやつが死んでいないとも限らない。
なんにせよ、今焦っても仕方がないのだ。
それに、今まで精神的なショックやら歩き詰めになっていて休息をほとんど取っていなかったこともある。
いざ座ってみれば疲労が一気に襲ってきたので伊織さんが休憩を提案してくれたのは素直に嬉しかった。

「食べ物って一人一人違ってたんだな」
「私はまだリハビリ中の身ですからお箸は十全に扱えませんからね、様刻さんが交換に応じてくださって助かりました」
「別にお礼を言われる程のものじゃないよ」

僕の食料がバランス栄養食品、いわゆるカ○リーメイトだったのに対し、伊織さんの食料はいかにもコンビニで売ってそうな弁当だった。
味気ない栄養食より様々な味が楽しめる弁当の方がよかったのでこの交換は僕にとっても利があるのだ。
口に出すことは憚られるけど。
しかし、咎める人がいないからと堂々と広げているがこれが結構気持ちいい。
禁忌を破るってこういう感覚なのだろうか。
いや、もちろん、殺人なんかと一緒くたにするつもりは全くない。
あんなもの、一度だって経験しなくていいものだ。
ああ、嫌なことを思い出してしまったよ、もう。
僕が背負うべきものなのだから忘れることは一生できないけれど。

「様刻さん、どうしました?顔色が優れないようですが」

それでも、今はちょっとだけ離れさせて欲しいんだ。

「そうか?考えてみればまともに休むのって今が初めてだったから」

でないと重みで潰れてしまいそうで。

「私が言うのもなんですけど、無理はしないでくださいよう」

逃げたくなってしまう。

「大丈夫だって。長居はできないしそろそろ出発しようか」
「あ、じゃあトイレ行ってからにしましょう。研究所出てからまだ行ってないですので」
「僕もそうしようか。どこにあったっけ」
「確か男子が三階、女子が二階ですね」
「一階にはないのか……」
「文句を言ってもしょうがありません。入口で待ち合わせましょうか」
「ま、別行動しても問題なさそうだしそれでいいよ」
「では」

空き箱や食べかすなどを綺麗に集めてデイパックに突っ込んで伊織さんは足早に離れていく。
我慢していたのだろうか、気づけなかったのが恥ずかしい。
それでいて、後始末を忘れないあたりはさすがと言う他ない。
誰かがいた痕跡を残すのはどう考えても得策ではないし。
僕も同じように片付けて席を後にする。
さっきとは違う螺旋階段を登りながらふと思い出したことがあった。
それはさっきまで必死に思い出そうと努力していたことではなく、ほんの少ししか会話をしなかった阿良々木火憐さんのことだった。


5 図書館/三階開架

『こう言っちゃなんだけどさ、あんたはあたしの兄ちゃんに似てるよ。そういう過保護なところとかさ』

彼女との口論は基本的に高圧的な物言いを僕がいかに受け流すかだったように思う。
その中で僕が強固に反応したときにムキになった火憐さんが返したのがこれだったはずだ。
僕が溺愛する妹である夜月とは性別くらいしか共通点がなさそうな彼女だったけど、彼女から見るにお兄さんと僕には共通点はあったらしい。
普通妹ってのは大事な存在なんだ、過保護にならない方がおかしい。
だからといって夜月をいじめっ子から助けるために骨を折って入院させたのはやりすぎだったと思うけど。
というかあれはさすがにやる前に気づけよ、僕。
翻って伊織さんはどうだろう。
彼女の本当の母親は死んだらしい。
彼女の本当の父親も死んだらしい。
彼女の本当の姉も死んだそうだし、彼女の本当の兄も死んだそうだ。
代わりにその直後に新しい家族ができて、兄も二人できたけれど上の方の兄はすぐ死んだらしい。
一緒に過ごした時間は一日にも満たなかったけれど、それでも大きなものを得ることができたと話していた。
ただ、年の近い兄である零崎人識についてはそれほど詳しく聞かせてくれなかったように思う。

――気まぐれで『兄貴以外を家族と思っちゃいない』とか言っておきながらちゃんと私のことを気にかけてくれる人なんですよう。

後は、精々『競争相手なんです』と言っていたくらいか。
何の競争相手なのかは聞かない方がいいと思ったので聞かなかった。
言われてみれば、僕のとっさの申し出にも付き合ってくれたいいやつだった反面、あのときあっさり僕から離れて行ってしまったっけ。
それについては僕に全面的に非があるので零崎の行動について非難するつもりはこれっぽっちもないが。
むしろ途中までとはいえついてきてくれたことにお礼を述べるべきなのだ。
話を戻すが、伊織さんと零崎の間には兄妹らしさはあまり感じられなかったように思う。
兄と妹、という関係ではなく弟同士妹同士とでも言えばいいのか。
一言で片付けてしまうならば『対等』な関係。
一般的な兄妹関係ではないのだから多少は複雑なのもうなずけるが、それでも本来あるべき姿からはかけ離れていたように感じた。
おそらくは伊織さんではなく零崎に起因するものだと思うが……
尤も、僅かな時間しか共に過ごしていない僕が邪推するのも身の程知らずというものだろう。
そこまで考えて、トイレからの帰り道で唐突にあることに気づく。

「ん、ここ通ることになるのか」

さっきは探索しながらですぐ奥に行っていたため気づかなかったが、トイレとの最短距離だとDVDを見つけた棚を通ることになるらしい。
それがどうしたという話だが、棚にぽつんとDVDが置いてあれば話は別だ。
やれやれ、僕達がここを後にした短い時間の間にもまた死人が出たらしい。
僕達の知る人じゃないことを祈りつつ慣れた手つきでデイパックに放り込むと伊織さんが待ってるだろう入口へ向かった。


『時宮時刻』が『時宮時刻』を殺していた。


6 図書館/一階入口付近

久しぶりに嗅ぐ匂い。
だけど嗅ぎ慣れた匂い。
なぜこの匂いを僕は知っているのだろう。
違う、なぜこの匂いに気づけなかったのだろう。
だってそれは僕がずっと放っていたじゃないか。

落ち着け。
落ち着け。
興奮するな。
昂奮するな。
静まれ。
鎮まれ。
あの二人は時宮時刻じゃない。
同じ人間が二人いるわけない。
時宮時刻は死んだはずだ。

「■■■■■■……?」

大鋏を銜えた『時宮時刻』が、僕に顔を向ける。
いや、『時宮時刻』じゃない。

あれは――無桐伊織さんだ。

これが、彼女の言っていたことだったのか……?
この溢れる殺気をずっと抑えてきていたのか……?
僕に向けられたわけでもないのに立ち竦んでしまう。
しかし、現状の把握が精一杯で思考が追いついていない僕に現実はそう待ってくれるわけがなかった。

伊織さんが跳ねる。
『時宮時刻』、いや、少女の死体がびくんと動く。
遅れて、ぱん、と音がする。
銃声だ。
大鋏を銜えたまま伊織さんが飛び出していく。
けたたましい音が響く。
防犯ゲートからだろう。

僕はそれらを呆然とただ見ることしかできなかった。


【1日目/夕方/F-7 図書館】
【無桐伊織@人間シリーズ】
[状態]暴走
[装備]『自殺志願』@人間シリーズ、携帯電話@現実
[道具]支給品一式×2、お守り@物語シリーズ、将棋セット@世界シリーズ、バトルロワイアル死亡者DVD(18~27)@不明
[思考]
基本:零崎を開始する。
 0:? ? ?
 1:曲識、軋識を殺した相手や人識君について情報を集める。
 2:そろそろ玖渚さん達と合流しましょうか。
 3:黒神めだかという方は危険な方みたいですねえ。
 4:宗像さんと玖渚さんがちょっと心配です。
[備考]
 ※時系列では「ネコソギラジカル」からの参戦です。
 ※黒神めだかについて阿良々木暦を殺したらしい以外のことは知りません。
 ※宗像形と一通りの情報交換を済ませました。
 ※携帯電話のアドレス帳には箱庭学園、ネットカフェ、斜道郷壱郎研究施設、ランドセルランド、図書館の他に櫃内様刻、玖渚友、宗像形が登録されています。

【櫃内様刻@世界シリーズ】
[状態]健康 、『操想術』により視覚異常(詳しくは備考)
[装備] スマートフォン@現実
[道具]支給品一式、影谷蛇之のダーツ×10@新本格魔法少女りすか、バトルロワイアル死亡者DVD(11~17、29)@不明
[思考]
基本:死んだ二人のためにもこの殺し合いに抗う。
 0:…………え?
 1:玖渚さん達と合流するためランドセルランドへ向かう。
 2:時宮時刻を殺したのが誰か知りたい。
 3:玖渚さんと宗像さんは大丈夫かな……。
[備考]
 ※「ぼくときみの壊れた世界」からの参戦です。
 ※『操想術』により興奮などすると他人が時宮時刻に見えます。
 ※黒神めだかについて詳しい情報を知りません。
 ※スマートフォンのアドレス帳には玖渚友、宗像形が登録されています。
 ※阿良々木火憐との会話については、次以降の書き手さんに任せます。

【1日目/夕方/F-7 図書館付近】
【真庭鳳凰@刀語】
[状態]身体的疲労(小)、精神的疲労(小)、左腕負傷
[装備]炎刀・銃(回転式3/6、自動式7/11)@刀語、デザートイーグル(6/8)@めだかボックス、匂宮出夢の右腕(命結びにより)
[道具]支給品一式×6(うち一つは食料と水なし)、名簿、懐中電灯×2、コンパス、時計、菓子類多数、輪ゴム(箱一つ分)、
   首輪×1、真庭鳳凰の元右腕×1、ノートパソコン@現実、けん玉@人間シリーズ、日本酒@物語シリーズ、トランプ@めだかボックス、鎌@めだかボックス、
   薙刀@人間シリーズ、シュシュ@物語シリーズ、アイアンステッキ@めだかボックス、蛮勇の刀@めだかボックス、拡声器(メガホン型)@現実、首輪探知機@不明、
   誠刀・銓@刀語、日本刀@刀語、狼牙棒@めだかボックス、金槌@世界シリーズ、デザートイーグルの予備弾(40/40)、
   「箱庭学園の鍵、風紀委員専用の手錠とその鍵、ノーマライズ・リキッド、チョウシのメガネ@オリジナル×13、小型なデジタルカメラ@不明、
   マンガ(複数)@不明、三徳包丁@現実、中華なべ@現実、虫よけスプレー@不明、応急処置セット@不明、鍋のふた@現実、出刃包丁@現実、
   食料(菓子パン、おにぎり、ジュース、お茶、etc.)@現実、おみやげ(複数)@オリジナル、『箱庭学園で見つけた貴重品諸々、骨董アパートと展望台で見つけた物』」
   (「」内は現地調達品です。『』の内容は後の書き手様方にお任せします)
[思考]
基本:優勝し、真庭の里を復興する
 1:逃げるか?迎え撃つか?
 2:虚刀流を見つけたら名簿を渡す
 3:余計な迷いは捨て、目的だけに専念する
 4:ノートパソコンや拡声器については保留
[備考]
 ※時系列は死亡後です。
 ※首輪のおおよその構造は分かりましたが、それ以外(外す方法やどうやって爆発するかなど)はまるで分かっていません。
 ※支給品の食料は乾パン×5、バームクーヘン×3、メロンパン×3です。
 ※右腕に対する恐怖心を克服しました。が、今後、何かのきっかけで異常をきたす可能性は残ってます。
 ※記録辿りによって貝木の行動の記録を間接的に読み取りました。が、すべてを詳細に読み取れたわけではありません。
 ※首輪探知機――円形のディスプレイに参加者の現在位置と名前、エリアの境界線が表示される。範囲は探知機を中心とする一エリア分。

 ※辺りに防犯ゲートのブザー音が鳴り響きました。
 ※西条玉藻の支給品一式は彼女の死体の側に放置してあります。


ねたばらし編
7 ???/???

なぜ僕が変わらず語り部をやっているかについては特に理由はない。
このあとあっさり死んでしまっていわゆる死後の世界から全てを知った、
運良く生き延びて事の顛末を聞いた、
いわゆる神が僕の口調を借りている、だとかそんなものでいい。
肝心なのは図書館で立ち尽くしている僕はその事実を知らないということさえわかっていてくれればいいということだ。
どうしてこんな曖昧な形になってしまうかというと、一部始終を全て見ていたとしてもそれらの事象を説明するにはどうしても推論が入ってしまわざるを得ないからだ。
それらに無理矢理にでも納得していただいたところで答え合わせにすらならないドッキリのねたばらしを始めよう。
始めたところで、終わりが来るとは思えないけれども。

そもそも、無桐伊織さんの殺人衝動は限界まではまだ余裕があったはずだった。
少なくとも、本来辿るべき未来から鑑みるにまだ2ヶ月は耐えられるだけの。
その閾値が下がった原因としては、まず第一にこのバトルロワイアルで間違いないだろう。
いくら会場が広くても閉鎖空間ということに変わりはなく、ましてや行われているのは殺し合い。
更には、僕という存在と6時間以上同行していたことも悪手だった。
正確に言うなら『病院坂黒猫の返り血をたっぷりと浴びた』僕という存在が、だ。
『血の匂い』というのは『死の匂い』に結びつく。
僕の側にいたことで彼女の殺人衝動は加速度的に溜まっていった。
そして不要湖での日和号との邂逅を経て、ついに限界を迎えてしまったのだろう。
おっと、これだけではまだ側面を語ったに過ぎない。
僕からすれば名前すら知らない二人――西条玉藻と真庭鳳凰――についても述べなければならないだろう。
ただ、真庭鳳凰については多くを述べる必要はない。
西条玉藻を尾行し、図書館の入口が見えるところで待ち構え、伊織さんが隙を見せた瞬間を狙って狙撃しただけのこと。
『殺気を感じ取る』という零崎一賊の特性からか、彼女に銃弾は当たることなくむしろ自身の居場所を教えてしまう結果に終わったが。
一方の西条玉藻、こちらは簡単に済ますわけにはいかない。
僕より早く席を立った伊織さんは当然ながら僕より早く入口に着いていた。
そこで訪れたのが一般人ならあの惨状にはならなかっただろう。
例え殺し合いに乗った者であったとしてもだ。
だが、伊織さんのコンディションを考えるなら現時点で生き残っている参加者の中ではほぼ最悪に近いカードを引いてしまっていた。
毒は抜けても狂戦士。
何もしていなくても溢れ出る狂気は伊織さんの精神を昂ぶらせるには十分だった。
加えて、彼女は武器を持っておらず身を守るすべが体術しかなかったというのもあるだろうが、それでも無抵抗で殺されるようなタマではない。
彼女は『動かなかった』のではなく『動けなかった』のだ。
例え狂戦士であれど格というものは存在する。
格上の狂戦士を相手にしたとき怯んでしまったように、伊織さんが放った圧倒的な殺気は彼女の動きを止めるのには十分だった。
後は説明する必要もないだろう。
硬直している彼女の頸動脈を自殺志願の刃が切り裂いただけのこと。
彼女が伊織さんを見た直後に呟いた『あなた、ひとしきくんの――』という響きは誰にも届くことはなく。
届いていたところで意味があったとも思えないけれど。


【西条玉藻@戯言シリーズ 死亡】


×××××&×××××――「あ」から始まる愛コトバ 時系列順 Overkilled Red(Overkill Dread)後編
みそぎカオス 投下順 Overkilled Red(Overkill Dread)前編
撒き散らす最終(吐き散らす最強) 西条玉藻 GAME OVER
配信者(廃神者) 無桐伊織 きみとぼくのずれた世界
配信者(廃神者) 櫃内様刻 きみとぼくのずれた世界
かいきバード 真庭鳳凰 きみとぼくのずれた世界

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最終更新:2013年11月06日 18:07