Day16
| + | 「Start Line」 |
「Start Line」
ルーツ「なんか外が騒がしいな…。」
俺は今日即出勤し、先輩たちや共用車両へ給油していた。こんなことが何になる訳でもないが。
まぁなんにもせずに過ごすのは嫌だし、こういう少しの努力でも誰かの為になる…よな。
そう、俺に出来る事はなんでもやろう。
…爆発音、銃声。
今日は本当に外が騒がしい。 また零那さんが何かやってるのだろうか。
案の定、零那さんからの緊急無線が流れる。
ルーツ「ちょっと様子見てきます。」
地下駐車場から出動すると出口に巨大な爆発した…ヘリ…?が落ちていた。
レナ「…ルーツ。ここに犯人が乗ってる。持ってけ。」
ルーツ「は、はい…。」
一体何があったんだよ。
俺はその後犯人を牢屋へと送り届ける。
しかし、再び無線が流れる。
レナ『ルーツ、それちょっと待て…』
ルーツ『は、はい…?』
俺は犯人へ伸ばしていた手を引っ込めて外の様子を伺いに行く。
すると無法者の声がした。
見れば、レナさんが人質に取られている…
ルーツ「畜生…。」
アルト「おい、いいのか?そいつを解放しないと…」
レナ「クソッタレが…」
一旦こいつの言うことを聞いた方が良さそうだな…。今は命が最優先だ…。
レナ「本署を出たら追いかけてやるからな…」
アルト「やってみろよ…!」
レナさんとアルトはそのまま地下駐車場から出ていった。恐らくチェイスへ発展したのだろう。
※
その後砂漠のフリーサへの対応へ向かった。
SEVENTHのジョーという男が犯人だ。 今回もチンチロか…?と思っていたが何と撃ち合いを要求してきた。
ルーツ「いいだろう。」
俺も最近は撃ち合いに自信がある。
同じく対応に来ていた六花くんと二人でジョーとの戦闘を始める。
ルーツ『砂漠フリーサ、撃ち合いになったので把握お願いします。』
こういった要求の時に使う弾は互いにゴム弾だ。非致死性なので撃っても死にはしない。当たっても少し痛い程度のペイント弾みたいなもんだ。
だから楽しみながらやろう。
※
俺は負けた。
ルーツ「くそ…」
ゴム弾、クソほど痛ぇじゃん…。
レナ『ルーツ…殺られてんじゃん…。』
何も言い返せない…。
残るは六花くんとジョーの一騎打ちとなった。
が、しかしそこに第三の刺客が現れる。
???「ワンワン…!!」
何と野生?のピットブルが乱入してきたのだ。
ジョー「犬ゥ!?」
そしてなんとジョーは犬にも発砲はできなかったようで、押し倒されてしまう。
ジョー「犬っ!!犬っ!!」
そりゃ焦るよな…。とはいえこの犬、俺がやられた直後にやってくるとは…いったいなんなんだ…?もしかして俺が記憶を失う前に飼ってたとか…?いろいろ考えたがわからない。
俺にも確殺が入り、通知が流れる。
ユユ『ルーツ何回死んでんの?w』
その後も無線で煽られる。
ゆゆ先輩は明日日本へ帰国する。 悲しみと、怒りが入り交じる。
ルーツ「六花くん、ゆゆさんに「黙れ。」って伝えてくれ。」
リッカ『ゆゆさん、ルーツさんが「黙れ」って言ってますw』
その後蘇生され追い打ちをかける。
ルーツ『ゆゆさん早く実家に帰ってください。』
そんなこと思ってない。けど、引き止められるものでも無いし。この位の方が向こうも気楽でいいだろう。
レナ『おい、ルーツ…。』
ルーツ『すみません。ゆゆさん。上官に対する言葉使いではありませんでした。』
ユユ『そうだよ!全く!』
ルーツ『ほんま腹立つな…』
レナ『ルーツ…?』
ルーツ『ごめんなさい。』
※
俺はその後救急で会話しているゆゆさんのところへ言って謝罪しに行った。
ゆゆさんは快く?許してくれた?
その後零那さんとゆゆさんが会話しているのを聞いたが、警察を退職する手続きについて話していたので明日の出国までに警察ではなくなるようだ。
ルーツ「はぁ…。」
別に。
今回の別れは後ろ向きな別れではないとわかっている。ゆゆさんは両親に会いに行く決心をして出国するのだから。俺も引きずらないで別れを受け入れるべきなのはわかっている。
とは言ってもやはり1番関わりがあって世話になった人が誰かと問われれば真っ先にゆゆさんの名前が出てくるくらいには俺もゆゆさんに思うところがある。
少しくらい悲しんだって文句言われないだろう。
※
その後バイクの修理の為にサンシャインメカニックへと向かう。
この街の南には大きなメカニックが2つある。 1つはSunshineMechanic通称サンメカだ。 もう1つはMechahoric通称メカホリ。 最近新たな試み?で共同で修理を行っているらしい。曜日ごとに開いている施設が異なる。
ルーツ「修理頼めるか。」
そして今日はサンメカが営業日というわけだ。
ノレ 一が対応しながら共同で修理をしている理由とかを話してくれるが、そもそもノレ 一はあまり乗り気では無いらしい。
ルー「そもそも俺1人の方が好きだし。」
ルーツ「え?お前が?そんなふうに見えねぇけど。」
ルー「まぁそんなふうに見えないようにしてるからね。」
ルーツ「じゃあなんで無理してんだよ。」
ルー「だってその方がウケるし。」
こいつの価値観は出会った頃からあまり理解できないが、良い奴だとは思っていた。本人はそれを「自己犠牲」と言っている。そんなに自分のやりたくないことを頑張る理由はなんなんだ?いや、俺にはこれからも理解できないのかもしれない。
…けど他人の過去や信条には例え理解が及ばなくても興味がある。
それは俺が記憶を失っているからなのだろうか。
その後、女性が入って来て「今日出張販売だから〜!」とメカニックの前に車両を止めた。
ノレ 一曰くどうやら共同販売?しているらしい。あまり飲食業界には詳しくないがいろいろな手法を取っているんだな。
という、よく見るとその女性はステララボの花陽浴みやびさんだった。前にひまわりさんに会い行った時に対応してくれたアイドルの1人だ。
ルーツ「誰かと思ったらみやびさんか。」
ルー「人の名前覚えるの苦手そう〜。記憶も無くすしな。」
ルーツ「はは…そうだな…。」
確かに人の顔を覚えるのは苦手だ。正確には、名前と顔を一致させるのが苦手だ。
まぁでも初対面とか2回目に会う人なんて、みんなそんなもんなんじゃないのか?
ルー「ってかまだ記憶戻ってねぇんだ?」
ルーツ「まぁな。けどたまに俺のこと知ってるって人とは会うことがあるけど、詳しくは教えてくれねぇんだよな。」
ハルサキ。Seventhの長髪の女。パッと思いつくのはこの2人だ。
そういえばハルサキ最近見ないな。
ルー「なんでそんな意地悪されてんの?w」
ルーツ「いや、わかんねぇけど…昔の俺が嫌な奴だったんじゃねぇの?」
昔の俺のことを、俺はさっぱりわからない。
もしかしたら北の住人な訳だし、もしかすると昔は犯罪者だったかもしれない。 あまり考えたくないが。
ルー「え?じゃあ記憶が戻った後に嫌な奴になる可能性があるってこと??」
ルーツ「わかんねぇな。いやまぁでも、記憶が戻ったとしても、今覚えてることを忘れる訳じゃないしな。」
いや脳科学というか、人間の脳について詳しくないから記憶が戻った時の衝撃で今の俺がどうなってしまうのかはわからない。
そもそもなんで記憶を失ったのかもわからないんだから。なんとも言えない。
昔の俺…か。
※
その後も割と平和だったのでヘリを修理したり、車両を修理したり。あとは全部のヘリとバイクにダクトテープを入れて置いた。何かと役に立つかもしれないし。
そして最後のヘリを再びサンメカへと向かう。
ルー「ルーツ、ヘリ運転できたんだな。」
ルーツ「あぁ。どうも体が覚えてるみたいでな。俺は一体何してたんだろうな。」
ルー「医者じゃね?」
ルーツ「医者は銃撃たないだろw」
ルー「なんで記憶取り戻したいの?」
ルーツ「んー。そりゃ自分が何者かわかんないのって違和感あるし。まぁ記憶は取り戻したい…って…思ってたけど。」
今は少し違う考えもある。
ルーツ「今は思い出さない方がいいのかもなって思いもある。」
思い出したくない。訳じゃないけど。
思い出さない方がいい事ってのも生きてればある。もし、俺がその思い出したくないことを思い出した時に耐えられるかわからないのだ。
※
今の自分のことについても、いろいろと思うところがある。
俺の職だ。理由あって現職なわけだが。
この職もいろいろと曰くがある。
警察。
この街の警察は特殊だ。 歴史について少し読み漁ったからわかるが。元々は軍隊が政府を打ち倒して統治し始めたのが始まりだ。
だから、警察を嫌っている人ってのは多い。
ひまわりさんやノレ 一もそうだ。 根付いた印象というのはそう簡単に変わりはしない。
北の市民が嫌われていたり、警察が嫌われていたり。差別や偏見というのはどこにでもある。
俺だって悪人と対面する度に初めて悪と対峙した時の記憶が巡り基本は信用がならない。
とはいえ、ウェルターのように悪人の中にも良い奴だと思える人もいるし。
つまるところ、組織や居住区への印象と一人一人に対する印象というのは別で持つべきだ。
※
パトロールを行っていると猫原先生から電話がかかってきた。
恐らく前に連絡を入れた時の折り返しだろう。
ニャンバラ「ルーツくんどしたの〜?」
ルーツ「あ、えっと…自分ちょっとお金溜まったんで車のお返ししたいなと思って。」
ニャンバラ「え〜、いいよいいよ!」
ルーツ「いやいや、ちゃんとお返ししたいので。1000万くらいの車なら買えますよ。」
ニャンバラ「えー。あれそんな高くない…。」
あれ、とは俺に買ってくれた車両のことを言っているんだろうが。俺は別に車両の値段がどうとかってことではなく、俺にしてくれたことに値を付けているのだ。
猫原先生はその後もしばらく渋っていたが、最後には「じゃあ、私も好きな選んで渡したから、ルーツくんセレクトで!!」と言って折れてくれた。
俺はディーラーへと連絡を入れて車両を見に行く。
さて…
…何を買えばいいのかさっぱり分からん。
他人にプレゼントなんて目覚めてからしたことが無い。
こういう場合って…どうしたらいいんだろうか。
相手が喜ぶものを買うべき…だよな?
けどよくよく考えてみれば俺は猫原先生のことをほとんどよく知らない。
…猫原先生のことをイメージする。
元気で、いつもあわあわしたりしっかりしたりを繰り返していて…やっぱ救急隊の上官だから色々疲れたりするだろうな…。
俺は車両と猫原先生のことを考え、車を決めて購入した。
ついでに自分が魚を積むためのジャーニーも購入した。
プレゼントの方は明日にでも渡しに行こう。
喜んで…くれるだろうか…。
※
突然の電話。竜胆からだ。
リンドウ「なぁルーツ。俺さ、南に家買おうと思ってるんだけど。一緒にシェアハウスしないか?」
シェアハウス…?
竜胆なりに俺が北からこちらへ出勤していることを知って考えてくれたのだろう。
…しかし、なんだろうな。
俺が南に住むというのをイメージできない。
別に北を愛しているわけでも、南の街並みを嫌悪している訳でもないし、もちろん逆でもない。
しかし、南に住むことを想像すると…なんだろうな。罪悪感?を感じてしまうのだ。
それこそ、北の住人というのは南の人たちの一部では卑下されているのだし。俺も自分の身元も分からないまま北を離れてしまうのはどうなのだろうか。
いろいろ思うところはあるが竜胆の言っていることもありがたくは思う。
ルーツ「たまに…泊まるくらいなら。」
リンドウ「わかった。ってやばい!なんか撃たれてる!本署!」
ルーツ「?!」
突然のことに俺も電話切り直ぐに地下駐車場から車両を取り出して本署前へ。
本署の目の前には緑の車両前に3人組の男達がいた。どうやら零那さんが人質に取られているようだ。
ルーツ「畜生。」
???「武器を仕舞え。俺らの後ろに立つなよ。」
そこに署長も現れた。
めい「あ?この人数いて人質取れるわけねぇだろ。」
???「もう人質に取った!」
そして車を出そうとした途端に零那さんは車を降りる。そして車はそのまま逃亡した。
メイ「撃つな。」
ルーツ「零那さん、人質に取られるところだったんですよ!?」
レナ「人質には取られないよ…。」
その後再び緑の車両は本署へ戻ってくるももう俺たちは車両に乗り込んでいた為そのままチェイスへと移行する。
※
その後3人組のうちの1人を確保したところ、残り2人も大人しく職質を受けることになった。
メイ「話2転3転してよぉ、だせぇんだよ。」
さすが署長…やるときはやるし、言うことは言うんだな。
メイ「手荷物検査しましょうか〜。」
レナ「手ぇあげろや。」
レナさんのその言葉にバカ1人は副署長へと殴り掛かる。
メイ「あ?テメェなに殴ってんだよ。」
???「手をあげろってそういうことじゃ」
言っている所に零那さんの拳が決まる。
メイ「おい、なんでお前警察しか持ってねぇ毒ガス持ってんだよ。」
毒ガスといえば、客船などへの対応時に上官が投げているあれか。でもなぜこんなヤツらが…?
俺が担当した奴も馬鹿みたいに武器を持っていた。
そしてやっと立場を弁えたのか。3人組は謝罪を入れながらその場を後にした。
※
今日も疲れた。
色々あったが明日車をプレゼントするのが今は1番怖い。 喜んで貰えなかったらと思うと、心が痛い。
それに明日はゆゆさんが…。いや、もうそれについては考えないでおこう。どうせ見送りにも、開催するパーティーにも行かないんだ。俺には関係がない。
…ほんとにそれでいいのか?俺。
俺はジャーニーへ魚を移動させながら今日のことを振り返っていた。そしてとあることに気付く。
ルーツ「待てよ…?毒ガス?」
ーーーーー
ヒマワリ「前に事件があって。警察しか持ってないはずの『毒ガス』が使われたの。」
ーーーーー
…警察以外が毒ガスを。持ってる?
意味がわからない。何故?
ひまわりさんに…伝えるべきか…?
いや、警察の誰かが渡した可能性も否定はできない。
…謎は深まるばかりだが。一応心に留めておこう。
※
なんの気の迷いか、俺は服屋に来ていた。
ルーツ「____まぁ、最後くらい。見よう。」
|
Day17
| + | 「I won't say goodbye」 |
「I won't say goodbye」
今日はゆゆ先輩が出国する日だ。
考えただけで嫌になる。
今まで多くの人が離れていった。
別れはいつか必ず来る。
俺ができることはなんでもやるつもりだったが。俺は無力だ。 何も返せない。
だから、少し考えて今日はちゃんとゆゆさんに会おうと思った。別れを耐えて、習ったことをちゃんとこなす。それが俺に今できることだ。
※
とはいえ、まずは猫原先生に返せる恩を返しておこう。
ということで車両をプレゼントした。
喜んでもらえるか心配だったが、猫原先生は案外喜んでくれていた。まぁ、そりゃあ嬉しくなくても、猫原先生は優しいからきっと同じリアクションをするだろうな。 なんて少し冷める考えも頭に過った。
本心で、喜んでくれてればいいが。
※
そろそろパーティーの時間か。
業務に追われていた俺はゆゆさんのお見送りパーティーの開催時間を過ぎていることに気付いた。
ルーツ「少しの間、退勤します。」
無線で報告を入れ、俺は服屋へ向かう。
パーティーのコンセプトがコスプレ?だったので自分とはわからない服にした。
雑誌で見た「ペンギン」だ。
寒い地域に住む飛べない鳥。
俺はマスクを被り、会場へと向かった。
既に会場には人集りができていたが、なんというか、無音だった。
パーティーってもっと音楽とかあるもんだと思ってたけど意外と静かなんだな。
まぁ行ったことがないし、あったとしても記憶が無いので俺にはよくわからない。それにゆゆさんを少し見たら俺は帰る。長居はしない。
奥の方を見るとゆゆさんは踊っていた。
無音なのでかなりシュールだった。が、本人たちは楽しそうなので安心した。
ゆゆ「あの時助けてもらったペンギン?」
ペンギンくん「はい、昔助けて貰ったペンギンです」
ユユ「???」
まずい。
ゆゆさんに声をかけられてしまったが、とても気まずい…。
俺は急ぎその場を後にする。
ルーツ「バレてないよな…?」
俺の行動が俺もよく分からない。いったい俺は何がしたいんだ。
ただゆゆさんの姿が見たいだけだった俺は…なんというか…変質者みたいじゃないか…。
ルーツ「帰ろう…」
※
最終的に見送りも行くことになった。
というか、行かないとは言えない雰囲気だった。
まぁ、いいか。今回は耐えられそうだ。
今までとは違う。後ろ向きな別れではない。あくまで前向きな…。
ゆゆさんは泣いていた。
ユユ「最後まで。警察で居させてくれてありがとうございました。」
署長がいろいろ話をして。警察は敬礼して。
途中意味のわからないシールドを構えさせられて。 そしてゆゆさんは、飛行機に乗って飛んで行ってしまった。
…後ろ向きな別れじゃなくても。
やはり悲しいものは悲しい。 しかし、俺は今回はなんとか耐えられた。 それはゆゆさんのことを俺がどうも思っていないからではなく、ゆゆさんが両親と仲直りというか。ちゃんと対面して話そうという前向きな別れだからだ。
八夜ゆゆ。彼女は俺の良き先輩だった。
そして、いろいろと心配してくれていることもよく伝わっていた。 疑いようがなかったし、有難かった。別にあの人にしてみれば特別な人間ではなかったと思う。それでも俺はあの人を特別だと思っている。だから俺は、ゆゆさんに恩は返せなかったが、きっと俺は忘れない。
いつかまた会おう。
そして、その時は…。 |
Day18
| + | 「Dialogue」 |
「Dialogue」
昨日も。寝付けなかった。
俺が寝れないのはいつもの事だ。だがそろそろ本当に倒れてしまいそうだ。
眠れないというか。寝たとしても直ぐに悪夢に魘されて目が覚めてしまうのだ。
そして目が覚めた時、夢の内容を覚えていない。
そんな毎日を過ごしている。
日に日に、悪夢の内容を朧気に思い出すことも増えてきたが非常にまずい。 というのも銃の引き金が軽くなってしまうのだ。現実なのか、夢なのか。区別がつかなくなる瞬間がある。
おそらくだが、夢の中で俺は人を殺している。
これが俺の記憶ではないことを祈る。
いや、北の人間ということは噂通りなら…追いやられて…。なんてことも考えてしまう。
※
北のインパウンド依頼が入ったので向かう。しかし、依頼主が見当たらないし車もない。
こういう状況になると少し、警戒してしまう。
北だから、という偏見的なものではなく常に警戒しておかないと突然後ろから刺されるなんてのはありうるからだ。
後方から黄色い車両が現れ、緊張度は増していく。とはいえ、依頼主だったらと思いおれは声を掛ける。
ルーツ「すまない。ここでインパウンド依頼が入ったんだが、何か知らないか?」
見ればペコラだった。
どうやら依頼はペコラだったようで水没した車を引き上げて欲しいとの事だった。
ペコラ「大変そうだったね、さっき。」
ルーツ「あぁ。2箇所でほぼ同時のコンテナ強盗だったな。バタバタしてて遅れてすまないな。」
ペコラ「相変わらずあんた北に住んでんだね。本署でいる癖に。」
そういえばseventhは南を敵対視してるんだった。
ペコラ「本署じゃなきゃいけない理由ってなんなの?なんかあまりに不自然だよね。」
ルーツ「南で働いてんだから南に家持てよとかそういうことか?」
ペコラ「いやまぁ別に。」
まぁ、そりゃそうだわな。そう思われても仕方ない。普通の人なら出勤場所はなるべく家から近い方がいいと考えるだろう。けど、まぁ記憶のない俺が今の家や痕跡からみすみす手放してしまう方が俺からすると理解できない。
俺はまだ自分の過去を取り戻すことを諦めたくないのだ。
それに、南に住むことに抵抗を感じる。
自分が南に住んじゃいけないという強迫観念のようなものがある。記憶とは別で、これは俺の体が覚えている事だ。
ペコラ「まぁ根掘り葉掘り聞くつもりはないよ。」
ルーツ「砂漠署に行けって言われたら行くけど今は本署でやるべき事があるんだよ。」
ペコラ「ふぅん。」
ルーツ「北の住人なのか?」
ペコラ「そうだよ。」
ルーツ「ここに住んでんのか?」
ペコラ「いや?たまたまここに用があってね。」
スタブシティーと呼ばれている廃れた小さな集落だ。廃品やら、ボロボロの建物が並んでいる。
ルーツ「さびれてんな。」
ペコラ「それも味ってもんよ。」
ルーツ「まぁ、雰囲気はいいよな。」
ペコラ「へぇ?珍しい。南で働いてる人間が?」
ルーツ「まぁ、古めかしいものとかさびれたもん見るのは好きだな。」
ペコラ「南の人達はこの辺は煙たがって嫌ってるよ。汚いとか臭いとか。」
ルーツ「まぁ…南の暮らしに比べればそう思う人もいるだろうな。」
ペコラ「北に住んでる人たちもさ。南の暮らしや景色に慣れると南の方がいいって言い出す人の方が多いだろうからさ。」
ルーツ「まぁそうだなぁ。」
確かに壁を自由に行き来出来るようになってから北から南へと人が流れていった事実はあるだろうし。今北に住んでいるのは余程の物好きが、犯罪者か、南を嫌っているか。
ルーツ「まぁでも南には南の良さがあるし。北にはきたの良さがある。南にはネオンやらビルの明かり。北には星空。それぞれいい所があるから俺はどっちがって思わないな。」
ペコラ「でも、南の人間はみんなそう言ってる。」
ルーツ「誰が何言ってるとか、気にしてないからな。俺は俺が思ったことが全てだから。」
ペコラ「小さい頃からこの辺で住んでたの?」
ルーツ「あぁ、いや。俺は記憶が無いんだよ。目が覚めたら1000番台の浜辺で目が覚めてな。それまでの記憶が全くなくて。で、南の救急隊に助けられたんだよ。」
ペコラ「あんたは幸せだね。」
ルーツ「…なんかあったのか?南に対して思うところがある口ぶりだけど。」
ペコラ「いや別に。あんたに多くを話すつもりは無いけど。」
…こいつは南でいろいろあったのか?それとも北を愛してるのか?なにやら過去にあったような口ぶりが続いてるな。
正直言って気になる。というのも、自分の過去がわからない分他人の昔話を聞期待という思いもあるし。単純に俺はこいつのことを知りたいと思っている。
ルーツ「いやいや、聞かせてくれよ。俺は自分の昔のこと覚えてないから、他人の昔の話聞くの好きなんだよ。」
ペコラ「あんまり人の過去を探ると後悔するよ。」
ルーツ「なんで俺が後悔するんだよ。」
ペコラ「…長生きしたいならあんまり掘り下げるのはオススメしないね。」
…無理だ。俺は今別に長生きしたいと思ってないし。ただまぁ他人の過去ってのは語れば本人にダメージが入ったりするデリケートなものであることもわかる。
きっと、こいつは自分の過去が好きじゃないんだろう。
ペコラ「人によっては…忘れたいやつもいるんだよ。」
俺がこいつの過去を探るにしても、きっと今じゃないってことだな。
ルーツ「そうか。まぁ、じゃあ時が来れば教えてくれよ。」
ペコラ「一生教えるつもりは無いよ。」
ルーツ「はは。まぁ、人は変わるもんだからな。」
そうだ。他人に迷惑をかけるくらいならば死のうと思っていた俺も今は人の為に生きようと思えている。人は変わっていく。後ろ向きにも前向きにも常に。
ルーツ「じゃ、またな。」
ペコラ「あぁ。」
※
無線「屋上いるぞ」
俺は無線の声にハッとする。しかし、もう遅かった。
ルーツ「っ!くそ。」
2名のAに深手を負わされダウンしてしまう。
しかし、その後別の屋上を取りに行っていた警官にその2名も撃たれ動けなくなった。
そして、しばらくすると現場介入に来ていた救急隊のヘリが屋上へ。
危なくないか?
まだボブキャットの室内に犯罪者がいるのに。 まぁ、警官が入口を押えているので安全と判断したのか。
ジェイソンモンキー「こいつも助ける!」
色々と考えていたが、ジェイソンは俺だけでなくなんと犯罪者であるAの1名も救助しようとしている。それも俺の目の前で。
まぁとは言っても救急隊の大義名分は「命は平等」だ。
せめて、俺と犯罪者とは別の場所で蘇生するんだろう。ならば何も言うまい。
しかし、俺の考えは安直だった。
この救急隊は俺の目の前で犯罪者も蘇生した。
ルーツ「…おい、これどうしたらいいんだよ。」
俺は対応できない。1度ダウンしたらその犯罪者になにもできないのだから。
ジェイソン「じゃあ!あとはジャンケンでうまくやって!」
しかし、目の前の救急隊はそんな無責任なことを言って去っていってしまう。
犯罪者の松葉が外れれば、俺は撃ち殺されてしまうかもしれない。
ルーツ「…俺は何も出来ねぇからさっさとどっか逃げちまえ。」
俺は犯罪者にそう言ってこの場から去ってもらうことしかできなかった。俺の中で複雑な感情が生まれる。
ルーツ『すみません、ルーツ復帰したんですが犯罪者と一緒に蘇生されてしまって…。』
メイ『はぁ?なんで??』
ルーツ『いや、わかりません。あとはジャンケンで上手いことやってって言われて放置されちゃいました。』
メイ『はぁ…1回言ったんだけどなそれ。それ後で話しにいくから。』
めいさんは少し、というかかなり怒っている。
救急隊の今回の動きは警察から見ればおかしな行動だからだ。
※
そして対話が開始された。
警察からは俺、零那副署長とめい署長 救急隊からはジェイソンモンキー、楽々裏ききさん、先導先輩、星乃宮 うららさんだ。
メイ「この話何回すればいいんだよ」
どうやら以前にも同じことがあったらしい。
そしてメイさんは状況説明を行った。
メイ「救急隊はどういう行動原理で動いてるのかわからないけど、このままだと現場介入はできないようになるけど?」
センドウ「犯罪者については介入時ピックしないようにっていう話ではありますね。」
メイ「市民であり、命が大事って言うのはわかってますけど。命を奪われかけたルーツと一緒に犯罪者を蘇生するってどういうことなの?」
センドウ「それってルーツがエスコートしてたとかではなくてですかね?」
メイ「全くバラバラでしたね。さらにいうともう一人ダウンしてたはずの犯人がその場から逃げてるんですよ。こっちがガチガチに囲んでてピックされてるはずがないのに。この状況ですから疑わざるを得ないですよ。」
センドウ「俺病院にいて状況わかんないから、ジェイソン…。」
※
要約すると、2人は救急隊の「命は平等」という言葉の元に蘇生行為を行った。
さらに俺と一緒に蘇生した犯人とは別で女性の犯人も蘇生したとのこと。 メイさんはジェイソンの行動について積める。
ジェイソンモンキー「すみません。甘く見ていました。」
メイ「甘くみすぎでしょ。私たちは行かなくてもいい場所に行って、命かけて、あなた達を守るためでもあるのに。」
それはそうだ。
この街の自警団を担っている警察。きっと命をかける必要も、助ける必要も無い人達は多い。 店舗だって、銀行だって、襲いたいなら襲わせて自分たちも私腹を肥やすことだってできる。
しかしそんなことをしたら早々に街は衰退し、破滅へ向かう。
だから命をかけて。戦っているというのに。それを全て無駄にされてしまうのだ。
その後もめいさんは思いの丈を全て話した。
救急隊の面々も事の重大さは理解しているようで口調は重くなっていた。
結局は救急隊の上官が居なければ話がつかないので改めて話をするということになった。
ジェイソンモンキーも自分の行動が現状を産んでいることは理解しているようだ。
別に俺は彼を責めたい訳ではないし、救急隊の人達を恨んでもいない。
そもそも、身元も分からない、記憶もない俺を救ってくれたのは救急隊だ。しかし、警察としての俺は彼らの行動を許してはいけないのだろう。
ただ今確かに言えるのは、誰かが死ななくてよかったということ。
そして現場に犯人と共に置き去りにされたのが俺でよかったということ。
これがもしも俺じゃない人だったなら俺もめいさんの言うことを言っていたと思うし、救急隊の見え方も変わっていたかもしれない。
____命は平等ではない。
それは俺が救急隊を抜ける前に強く思ったことだ。俺を救ってくれた救急隊を助けたい。武力も持たない彼らを救いたい。そう思ったのは確かだが、その行動指針の気持ちの悪さも俺は感じていた。
命には確実に優劣がある。善悪もなく、平等に助けるなんていうのは綺麗事だ。
メイ「零那とルーツは何か言いたいことは無い?」
レナ「我々は協力関係だよね…。」
ウララ「はい。」
レナ「実際俺の見てる部下がやられて、んで犯罪者起こされて…シャレならんよね…?なぁ、ルーツ。」
ルーツ「…はい。」
今は俺としてではなく、警察として話すべきだろう。
ルーツ「警察は規則でダウン後に犯罪者に対する対抗手段を行使できません。なのにあの場に放置されてしまったら、警官は相手の松葉杖が外れると同時に射殺されるかもしれません。アイツらは逃げるためなら何だってやります。そこでもう一度問いますが、命は平等なんですか?」
メイ「自分たちが1番命を無駄にしてんじゃんw」
あかん、なんか書いてて俺が耐えれんくなってきた。ちょっと会話内容が重いのでちょっと中和するために脳内でめいさんをメスガキに変換してみようか。by魂
メスガキメイ「命平等とか立派な事言ってる割に1番命を粗末に扱ってるじゃん♡救急隊のざぁこ♡ざぁこ♡」
よし。少しは緩和されただろう。ありがとう、メスガキVer署長。
あと観測者たちよ。もしこれを見ているのなら署長に流すのはやめてここでだけ楽しめ。頼む。じゃなきゃ領域展開されてルーツではなくて俺が詰められてしまう。ここに来る前にも印象のところに俺が署長への印象をメスガキっポイと書き込んだことについて詰められてとんでもないことになったんだ頼む。by魂
ジェイソン「…規則でそんなのがあるなんて知りませんでした。」
メスガキメイ「お猿さん何言ってんの?♡新人さんなの?♡なんでそんなことも知らないの〜?♡ざぁこ♡」
いいか。重い話とか怖い人が苦手なヤツはこうやって脳内で変換するんだ。俺もたまに耐えられない時はこうしてるBy魂
メスガキレナ「救急隊さんたち、ルーツくんは元後輩だよね?♡なんでその子を殺った犯人を起こすって、頭まで弱弱なんだね〜♡」
…うん。零那さんも似合うな。けど普段の方がいいので元に戻そう。by魂
レナ「俺からしたら意味わからんよ。『今1番可愛がってる部下』が殺られて。そいつはやったものの、逃がされて。」
えー????零那さん今ルーツのこと『1番可愛がってる部下』って言った??言ったよな??えっ?えっ?えっ?(死)by魂
あかん、ここやと楽しくてふざけちゃうからあと気になる人はライブ見てくれ…すまんw by魂
※
話し合いを終え、俺は会議室を後にする。
ジェイソン「ルーツさん。」
ルーツ「はい。」
ジェイソン「すみませんでした。警察の人たちの行為を無駄にするようなことをしてしまって。」
ルーツ「…まぁ。自分の命は軽いって救急隊にいた頃から話をしていたので。それを覚えていてあの行動を取ったなら…」
仕方がない?いや。違う。
もしあの時の言葉を目の前のこいつが覚えていてそれを行ったのだとすれば。 俺が感じているこの感情は…。
ルーツ「悲しい。って思いました。」
そうだ。俺は最近になってようやく。警察になってようやくまだ死にたくないと思えるようになった。なのに、あの行動を取られてしまったのは悲しい。まぁ、自分の発言が悪いんだが。
ルーツ「警察になってからその考えは変わりつつあるので…。とはいえ、まぁ俺は救急隊の人たちにも世話になったんで。もし今後警察が救急隊を助けないという選択をしても、俺は助けに行くと思います。」
そうだ。例え何がどうあれ、俺は受けた恩は返したい。裏切られようが、俺の行為を無駄にされようが、俺にはこの人たちを助ける義理がある。
ルーツ「…だから、気にしなくていいですよ。」
俺はそう言い残して病院を去った。
※
本署へ帰るとめいさんと零那さんが居た。
めいさんは俺を呼び止める。
メイ「ルーツ。」
ルーツ「はい。」
メイ「お前救急隊やめて良かったな。」
ルーツ「…。」
めいさんはそのままその場を後にした。
救急隊をやめてよかった。それはきっと救急隊が矛盾の多い組織で、適当なことをしている人達がいることに対する皮肉だろう。
ルーツ「そう…ですね。確かに。」
確かに、救急隊をやめてよかったのかもしれない。救急隊をやめて…
レナ「お前。言いたいことあるならはっきり言えよ…。」
ルーツ「…。」
零那さんが俺に背を向けたまま言い放つ。
俺は一瞬体が凍った。 この人は俺の事を見透かしているのだろうか。 それとも俺に言わせたいことがあるのだろうか。
ルーツ「言いたいこと…ですか?」
レナ「救急隊に対してだよ。」
ルーツ「…。」
レナ「お前悔しくねぇのか…。」
ルーツ「…まぁ自分は世話になってるんで。ただ言えるのは救急隊をやめてよかった。ではなく警察になってよかった。と思ってます。」
そうだ。俺は救急隊をやめて良かったなんてそんなことは別に思ってない。
きっと零那さんは俺が救急隊の人たちにぞんざいに扱われたことについて言っているのだと思うが。
元より俺の命は軽いと明言してた。そりゃあまぁ、そう言っていたからと言ってその扱いを受ける人がいれば俺はそいつを可哀想だと思うが対象は俺だ。好きにしたらいい。
それに、俺は救急隊の人たちが命を救う大切な仕事をしていることも理解している。それが警察にとって不利益な行為だったとしても本来であれば責められないのだ。例え自分たちの命を脅かす人間を救ってしまい、本末転倒になってしまっても。
俺はそんな矛盾だらけの人たちを守りたいと思って警察になった。
だから心から今警察になって良かったと思うのだ。
レナ「…まぁ。救急隊と今後どうなるかは正直わからん。」
しかし、俺一人がそう思っていたとしても警察という組織は別だ。
不要となれば現場介入はなくなり、もしも現場で救急隊を見つけたら撃たないといけなくなってしまう。 そういう世界になったら俺は…。 |
Day19
| + | 「For whom?」 |
「For whom?」
本日も出勤。
話し合いがある分気持ちが重い。 そんなこんなしてたら東高速の壁の付近で発砲通知。
零那さんと共に向かうも犯人は居なかった。
最近壁に対する破壊行為を行う人間が増えているので、警察としてもかなり敏感になっている。
…正直に言えば俺はこの壁がどうなろうとどうでもいい。壊れたからと言って、残ってるからと言って別になんとも思わない。
だが、俺が目を覚まして初めてこの壁を見た時に感じたあの感覚。
明らかにあれば『嫌悪』だった。
零那さんとその場で検証をしつつ、会話をした。
ルーツ「俺もこの壁が何のためにあんのかわかんねぇっす。」
レナ「犯罪者を北へ追いやったんだよ…。」
ルーツ「世界史に乗ってましたね。」
レナ「記憶ないんだっけ…?で?取り戻してどうすんの。」
ルーツ「…まぁ自分は、自分が何者か知りたいんすよ。」
そうだ。俺はまだ過去に俺がどんな人間だったのか知らない。何が好きで。何が嫌いだったのか。誰と関わりがあって、誰と関わりがなかったのか。
知らないと、不安でたまらない。
レナ「…もし、ギャングの一員だったらどうする。」
…正直。過去に自分がギャングだったと言われても少しも驚かない。俺なら、やりかねない。
ーーーーー
ルーツ「悪に落ちてでも、殺してやりたいって思いました。」
ーーーーー
けど。俺には「今」がある。
沢山の人に救われて、沢山の人に出会って、それ全部守りたいと思う今が。 過去がどうだろうが。それを曲げることは無い。
レナ「ギャングに戻るか?」
ルーツ「いや。それは無いっすね。俺が今ついて行くべき人はわかってますから。」
レナ「誰だ。」
ルーツ「レナさんですよ。今は学ぶことが多いですから。」
レナ「…今は。か。裏切りの匂いがするな。」
ルーツ「警察をですか?」
レナ「警察はどうでもいい。俺だよ。」
ルーツ「いや。そんなつもりは無いっすね。」
これは本心だ。零那さんには色々と見てもらってる。だからそれに背くような行為を故意にするつもりは無い。むしろ逆で何が零那さんの為になるかを考えてるくらいだ。
…と言ってもこの人のことを俺もよく知らない。だから、これから知る必要がある。
レナ「俺はねぇ…誰も信用しない。って言うと語弊があるな。この街で信用に値する人は3人しかいない。」
ルーツ「3人…めいさんとリノさんと…あと一人は…」
レナ「サンメカのオーナーだよ。」
ルーツ「スカイウォーカーさんですか。」
フィオキーナ・スカイウォーカー。彼とは少しStella*Labの一件で話をした位のものだ。
彼と零那さんが繋がってたのは意外だな。
レナ「フィオは兄貴分だ。ガキの頃に世話になった。」
ルーツ「そうなんですね。」
そういえば零那さんって出身はどっちなんだ?
気になって聞いてみたが濁されてしまった。
ルーツ「零那さんの過去について興味があるんですよ。」
レナ「ならば信用に値することを証明しろ。」
ルーツ「…まだ信用に値しないですか。」
レナ「まだリスクが大きい。」
…そりゃそうか。まだ俺は記憶もない何処の誰かも分からない北の人間だ。警戒して当然だろう。
レナ「いいことを教えてやる。この街の住人の過去については警察内部に保管されてる。」
ルーツ「警察の内部…?」
レナ「俺のはないけどな。」
…言いぶりから察するに、意図的に消したってことか。色々とこの人も訳ありなんだな。
ルーツ「まぁ自分もいつか上に立てたらそういうのも閲覧…ってか俺の情報見てくださいよ!」
レナ「お前この街の出身か?」
ルーツ「北の出身です。」
レナ「じゃああるかもな…。」
警察の内部に俺の情報がある。
なら、俺について何かわかるかもしれない。 期待…してもいいのか?
ルーツ「とりあえず、戻りましょうか。」
レナ「あぁ…。」
※
その後薬事系列の対応を終え、本日のメインデッシュ。救急隊上官を交えた対話が行われる。
もう内容は重いし、ある程度省略する。
結果的に白鷺みことさん(副院長)が辞任することになった。俺もめいさんも止めたが彼の意思は硬いらしい。
もうこの辺はアーカイブで見てくれ。零那さんから始まった柿の種の下りで今日のタイトル回収もした。柿の種最高!!!by魂
※
…まぁ。でも、改めて思うけど複雑な街だよな。
警察は元は軍で。勝手に統治してる自警団。 救急隊は命を平等という矛盾なことをいう最強で最弱の組織。 様々な過去がある住人達。そしてギャング。
俺はいったいこの街で…この人生で…誰の為に…何の為に生きていくのだろうか。
|
Day20
| + | 「Just a game」 |
「Just a game」
もう見慣れた日常。
例のごとく犯罪は起きる。
ルーツ『向かいます。』
これだけの件数を対応してくると流石に慣れてくる。しかし…。
レナ『ルビー。問題発生だよ。』
その無線に俺は聞き耳を立てながら車両を出す。
ルビー『なんすか?』
レナ『…犬がいる。』
俺は直ぐに無線への集中をやめて現場へと向かった。
※
ヴァンジェリコ。
この宝石店のセキュリティはかなり硬い。 なにやらいろいろと突破しなければいけないセキュリティが多いようで、その間人質を取られている警官は何も出来ない。
ウニオウ「…。」
犯人の動向を伺っていると、横に宇仁王先輩が現れる。あまり反応せずに待っていると謎に瓶の蓋を渡された。
ルーツ「なんすか…これ…」
ウニオウ「ルーツ今日誕生日なんです!!!」
いや、俺の誕生日は確か10月1日だ。
もう今は犯罪者にIDカードを奪われたがそこに記載があったのを覚えている。
ルーツ「いや…」
ジョー「ハッピーバースデートゥーユー♪」
勘弁してくれ…。
※
Seventh。
北を中心に暴れているギャングはそう名乗っている。
今回のヴァンジェリコの犯人はその組織のボスであるジョーと部下であるペコラだ。
そして、この組織にはかつて俺に対して「あんたの噂を知ってるよ。」と言い放った女が属している。
レナ『…犯人発砲。』
どうやらペコラを追っていたレナさんが犯人に発砲されたらしい。俺たち警官は犯人が銃を扱うことで初めて銃の発砲が許可される。
昔は有難かったその規則も、今は煩わしい。
そう思えるほどに俺の引き金は軽くなった。
俺は目の前を走るジョーを追いかけ続けた。かなり長いこと終えたのはヘリに乗っている砂漠署の安歩内優子さんのサーマルによる報告のおかげだ。
犯人も溜まったもんじゃないだろうが、1番困っているのは宝石店のオーナーだ。このくらいは過剰とは言わせない。
南から北へ、北から再び南へ。高速道路を駆け抜け追い続けた。
ジョーは山上へと逃げ込んだ。
ここで勝負を決めるつもりだろう。
俺はアクセルを強く踏み込む。
車が宙に浮いたが、その間に俺は車両の下でジョーの車両が止まっているのを目視した。思った通り、アイツは車両を降りて銃を構えようとしていた。
それを先読みして飛び越えておいて正解だった。
車両が地面に着くと同時に俺は車から飛び出して銃を構える。
俺は躊躇いなく、引き金を引いた。
ジョーも抵抗し、俺も軽傷を負ったが問題ない。
俺は草むらを活用して体を隠しながら射撃を続ける。
ジョーがついに力尽き、その場に伏したのが見えた。
ルーツ『やりました。』
痛てぇな。まったくよ。
レナ『ルーツ、それ対応しろ。』
ルーツ『了解。』
やはり、慣れやエスカレートってのは恐ろしいもんだ。犯人に対して引き金を引けなかった俺が今じゃ急所から上手く逸らしながら躊躇いなく引き金を引いているんだから。
ーーーーー
「はぁ?■■■■。お前いつから南の人間の肩を持つようになったんや。」
「そいつ…もう死んでるぞ。」
ーーーーー
最近頭痛が益々酷くなってきているのがわかる。うっすらと聞こえてくる声も段々と明瞭になってきた。
記憶の片鱗…なのだろうか。
ジョー「くそ…」
俺は犯人を警察車両へと担ぎ込み本署へと護送を開始する。
ルーツ「お前ら北で活動してんじゃねぇのか。」
ジョー「たまに出稼ぎに南に来てるんだよ。」
ルーツ「だからなんだよ。」
大方こういう犯罪者の言うことは予想が着く。だいたいが「見逃してくれ」だの。「取引してくれ」だの。誰が信じるかよ。そんな言葉。
ジョー「罰金は取らせてやる。捕まえたんだから。」
ルーツ「なんでお前が上からなんだよ。交渉下手か。優位なのはこっちだぞ。」
ジョー「だからお願いしてんだよ。」
…まぁ、でもSeventhか。
ルーツ「いやぁ〜。まぁ俺被弾してるからなぁ…?」
交渉の価値はあるか。少しくらい乗ってやろう。
ジョー「俺達も頑張ってんだよ。」
ルーツ「じゃあ犯罪もせずに真っ当に生きてる奴はどうなるんだよ。」
ジョー「だからこの金を北で真っ当に生きてるヤツらに落としてんだよ。」
ルーツ「ん〜…。」
正直信用してない。というか、もう目が覚めてから色んなことがあって。人を信用できない。というか。こいつらの言ってることは俺にとってはどうでもいい。
俺は、俺が大切な人達を守れればそれでいい。
その他のことなんてもうどうでもいい。
その後もジョーは御涙頂戴の戯言をつらつらと並べていた。
まぁそれが真実だろうが嘘だろうが、わからないが、ここまで懇願してるんだから、俺も乗ってやることにする。
ルーツ「じゃあ、お前は俺になんかがあった時助けてくれるか?」
取引と行こう。
そう俺が持ちかける。するとジョーは自ら俺の記憶を持っているメンバーのことに触れてきた。
ジョー「だから、お前の記憶を取り戻す協力してやる。」
ルーツ「ふぅん…?いいだろう。じゃあ罰金だけにしてやる。」
俺はジョーのポケットに宝石を押し込み、罰金の書類だけ手渡した。
まぁ宛にはしてない。もう信じて裏切られるのも。頼ってた奴が居なくなるのもごめんだ。
だから誰ともこれからは適切な距離感で居ようって思ったんだ。 これは俺がこれから強く生きる為の方法だ。
ルーツ「じゃあ何かあったら頼んだ。」
犯罪者だからな。
俺の言うことを真面目に聞いてくれるなんて思ってない。だから俺は約束なんてしてない。裏切られようが、無視されようがどうでもいい。
俺は、俺の噂を聞いたことがあるというあの女を脅してでも手に入れればいい。頼る必要なんてないんだ。
ルーツ「まぁ、俺が押収してないことを他の誰かに言うんじゃねぇぞ。」
ジョー「わかった。」
※
ゆゆさんが出国してから暫く釣りに興じていなかったことを思い出した。俺は何となく釣り場へ向かう。
海の香りに交じって漣の心地いい音と、懐かしい声が聞こえた気がする。
しばらく魚と命のやり取りをした後スマホが鳴った。
チャーブルになにやら不穏な投稿がされているのだ。
ルーツ「なんだこれ…。」
エリモスというアカウントから投稿されたそれ複数の住人達の名前があった。そういえば昨日も様々な店舗に謎の張り紙がされていたのを思い出して投稿を確認する。
エリモス『犯行予告。9月27日22:30より。我々エリモスはシミュグラシティにてゲームを行うことにした。プレイヤーは我々が選別した白黒関係ない住民だ。当日まで怯えて過ごすといい。楽しいものが見れるだろう。』
そして今日の投稿を確認する。
参加者
レイムネス、ジェイソン・モンキー、蛇川莉里、二階堂むぎ、ウップス・ドジー、裏切帆利、ヴィンセント、フリューゲル・レド・ルーツ、小泉和、椿零那、フィオキーナ・スカイウォーカー、麦ノ穂翠、小場タバ子、SnowKai
…俺の名前もあるし、なんなら零那さんの名前まである。なんなんだよいったい。
レナ「何してんだお前。」
気がつくと後ろに零那さんが立っていた。
ルーツ「釣りっす。」
レナ「サボりか。」
ルーツ「いや…まぁゆゆさんのこと考えて釣りしてました。」
嘘は言ってない。少しは考えてた。
レナ「居ねぇやつのこと考えでどうすんだよお前は…。」
ルーツ「俺記憶ないんで。目が覚めてから起きたこととか会った人のことなるべく覚えときたいんすよ。」
例え、去った人でも。今はもう敵対している人でも、世話になった人の事を忘れたくないのだ。
レナ「へぇ…。」
ルーツ「零那さんは逆に思い出したりしないんすか?」
レナ「…どうでもいい。」
ルーツ「なるほど。」
まぁ零那さんらしい回答ではあるな。
レナ「俺に情を期待したらダメだよ…俺に情はない。」
ルーツ「そうですかね。」
本人はそう言っているが、まぁ。確かに奇行は目立つし冷徹な言葉や態度は目で見て分かる。
けど、俺は零那さんの心までは冷めてないのが見える。
ルーツ「俺はそうは思わないですね。まぁ、特別な人たちは例外って感じですかね。零那さんは。」
レナ「…まぁ。可哀想だろ。」
ルーツ「可哀想…ですか?」
レナ「現実的に考えてみろ。お前が救える人間は何人いる?…何人助けられる?」
急な質問に俺は一瞬考える。
ルーツ「どう…なんですかね。」
レナ「俺らは神じゃない。ただ一人の人間。…救える人間は限られてるんだよ。」
ルーツ「まぁそうですね…」
レナ「二つより一つ。少ない方が達成率はあがるだろ。だから、俺は守るべき人間を決めてる。」
ルーツ「まぁ…そうですね。」
合理的な判断と言える。
二兎追うものは一兎も得ず。そんなことわざもあるくらいだ。
レナ「正直に言うとな。現場に人質がいるだろ。俺はアイツらのことはどうだっていい。俺からすればどうだっていい命だからね。」
ルーツ「…。」
そうか。零那さんらしいな。
ルーツ「じゃあ俺。零那さんが救わない人達を救えるようになります。」
レナ「…お前の技量で?」
ルーツ「それはこれからどんどん詰めて行きますよ。」
それに。
ルーツ「それに、竜胆や。ルビー先輩やKaiくん。そりゃあ1人だったら救える人数は限られてますけど。みんなでやれば…全員は無理でも『より多く』を救うことはできると思います。」
俺が目が覚めてからの信念でもある。
より多くを。もちろん全てじゃないことを理解している。だが俺は恩がある人達はもちろんだが、この街に住んでいるより多くを救いたいと思っている。
____例えそれが叶わないとしても。
…記憶を失う前の俺もそう願っていただろうか。
レナ「選んだ方がいい…。命の…優先順位。」
ルーツ「それは救急隊を辞めた時に…もう理解しています。」
まぁ俺は…救いたい。なんて綺麗なことよりも…
ーーーーー
ルーツ「許さない。絶対に。」
ーーーーー
ルーツ「救いたい、なんて綺麗なことより。殺したい、って感情の方が先に出ちゃったんですけどね。」
レナ「…お前の1番大事にしてる奴は誰だ?」
また質問。この人は質問が多い。それも突然。
まぁ俺が突然と考えている間にも、零那さんはいろいろと考え決定して次の話を振っているのだろう。
ルーツ「大事にしてる奴…まぁ今だったら竜胆ですかね。やっぱり。」
アイツはポンコツだ。けど、俺の同期であり、よき友人だ。だから、今すぐ全人類で誰を助けるか選べと言われたら少なくとも今選ぶのは竜胆だ。
まぁそんなに壮大なスケールのお話は小説や漫画の世界だけだろうが。
※
ルーツ「そういえばこの投稿見ました?22時からのやつ」
レナ「見たよ。デスゲームだろう。」
ルーツ「なんか俺の名前と零那さんの名前があるんですよね。」
レナ「俺は知らん…。」
ルーツ「まぁでも、勝手に名前使われてノコノコ行くわけないですよね。」
俺は何となく理解している。
この手の変な輩は無視するに限ると。 俺は車両を出そうと車庫へ向かう。
レナ「俺は行くぞ。」
ルーツ「な、なんでですか?」
俺は零那さんのその言葉に驚いて振り返る。
レナ「勝手に名前使われてんだよ…。」
な、なるほどな。その報復に向かうという意味か…。ってか待てよ?デスゲーム?ってことは…
ルーツ「死人が…出るかもですよね…?」
レナ「どうだろうねぇ。」
いや、行くつもりは無いと思っていたが。
もしも、この投稿を見て本当に行くやつらが現れたら…助けてやる奴が必要なはずだ。
ルーツ「俺も…向かいます。」
※
そして指定の時間に俺と零那さんは指示通りにレギオン公園前の駐車場へと向かった。するとそこには参加者と思われる人達が大勢いた。
そして…ゲームの管理をする兵士も。
仮面を深くかぶっており、パーカーを羽織っている。
ルーツ「まるで韓国のドラマですね。」
レナ「…w」
まぁ、いざとなったら体術でなんとか住人が逃げる隙を作らねぇと。持ち物は指定通り全て置いてきた。きっとこの後検査があるだろうからな。
大勢の中に 切裏 帆利を見つける。
前に傭兵のアッシュと話をしている時にいたな。
ルーツ「よぉ、裏切。」
裏切「切裏だ!!」
何度聞いてもいい叫びだ。
ルーツ「なぁ、お前協力しろよ。」
俺は何となくそう持ちかけてみる。切裏なのか裏切なのか。ハッキリさせようじゃねぇか。
裏切「あぁ?別にいいけどよぉ…裏切るなよ?」
ルーツ「お前が言うな。」
裏切「まだ裏切ったことねぇよ!!」
その後、突如としてエリモスのアルファという人物は俺たちを銃で脅し初める。
くそ。銃には体術では対抗できねぇ。それに被害者が出る可能性もある…言うことを聞くしか…
しかし、名簿に名前のなかった「グスターボ」という男が前に出る。
グスターボ「こんなの付き合ってられるかよ!俺は帰らせてもらうぜ!!」
なんというフラグ。記憶のない俺にも伝わるぞそれ。
バンッ
予定調和なので、彼にはあまり触れないでおく。
それから俺たちはエリモスが運転するバスに乗せられて廃車工場のようなフィールドへと運ばれた。
周囲に見えるのは廃車、小さな建物、コンテナ、飛行機の残骸…。
遮蔽は多そうだな。それに隠れられる場所も。
アルファ「お前たちの中で生き残り、優勝したものに賞金をやろう。」
お決まりのセリフだな。
アルファ「優勝条件は二つだ。一つはなぞなぞを解きアルファ、ガンマ、ベータへその答えを伝えることだ。回答を終え、そして最後まで生き残ったものが優勝だ。」
なぞなぞ?なんだそれ。
俺たちは一人一人呼び出された。
アルファの元へ行くと俺にもなぞなぞが提示された。
アルファ「駅は駅でもおしりに1番近い駅はなんだ。これがなぞなぞだ。」
ルーツ「わかった。」
そして俺は列に戻った。回答はすぐに分かった。
それから待っている間に面白い住人にあった。 小泉 和という男だ。こいつは謎かけがうまい。しかもポンポンとだすから待ち時間も暇しなかった。ここを生きて出たら連絡先をもらおう。
※
そしてゲームが開催された。
俺と零那さんは無線を2度押しすることで集合するという話になった。
フィールドには爆弾が設置されているらしいのであまり迂闊には動けない。が、周囲を探索しないと生存率は大幅に下がるだろう。
俺の命は軽い。
あの言葉を今はもう言えないくらいに生きたいと思えるようになった。それでもここにいるヤツらを助ける為なら…。
俺は見つけた車両の中を確認する。
そこには食べ物や飲み物、アーマーや近接戦闘で使えそうなレンチが置いてあった。
裏切とはお互いに2つ目の武器を見つけたら渡そうという話になっている。
ルーツ「もうひとつ見つけたら渡しに行くか。」
アナウンス「キラーが、解放されました。」
無線の2度押し。零那さんからの集合の合図だ。
レナ「…遅い。」
ルーツ「すみません。」
レナ「やべぇぞ、俺。」
零那さんは背中に担いでいたアサルトライフルを取り出す。
じゃあもう終わりじゃねぇか。
ルーツ「弾はありますか?」
レナ「いや…?」
なるほど。弾は別の場所に隠されているのか。
そりゃそうか。
ルーツ「弾探さないとですね。」
レナ「あぁ…。」
※
切裏と出会いお互いに武器が一つであることを確認しその場を去った。
その後も死者はでない。キラーに殺されそうな人達の声は聞こえるが市民同士での争いはまだ起きていないようだ。
このまま進んでくれれば…。
そう思ったが、理想論だった。
「×にやられた!」
「△が先にやってきた!」
だんだんと不穏な空気が流れ始める。
見てない場所で聞こえる情報、そして銃声。耐えかねたからか参加者同士の殺し合いが発生し始める。
くそ…これがエリモスの狙いか。
けど、俺は自ら向かっていくようなことはしない。他人の命を奪う奴しか、俺は奪わない。
そして俺の目の前でジェイソン・モンキーはヴィンセントを殴りつけるのを見た。
状況を把握する前に俺は走った。
ルーツ「おい!お前!」
くそ…間に合わなかった…。
俺は呻くヴィンセントを担いで安全圏へ。
あいつ…。
救急隊内部の一件もある。あいつの行動を俺はやはり許すべきではなかったのかもしれない。
俺は隠れ、ジェイソンが走ってくることを確認し通り過ぎたところをレンチで殴り付けた。
ジェイソン「っ…!!」
ジェイソンはその場で倒れた。
当然の報いだ。命を奪っていいのは、奪われる覚悟のあるやつだけって恐竜の時代から言われてんだよ。あばよ。ジェイソン。
しかし、俺もその音を聞きつけたキラーに見つかってしまった。
ルーツ「っ…!?」
これがブーメランってやつか。
バンッ
弾丸は俺の腹部を貫いた。
ルーツ「くそっ…!!」
くそ…意識が…
撃たれた箇所を抑えながら、なんとか俺は逃げた。
しかし。出血が酷い…。
スカイウォーカー「大丈夫か、ルーツ!」
突如俺へと駆け寄って来たのは零那さんの義兄さんだ。スカイウォーカーさんは俺へ包帯を巻こうとするが俺は間に合わない。と思い、スカイウォーカーさんの手を止める。
死んでしまうなら…せめて…
ルーツ「俺はもうダメです…俺の、全部…持ってってください…。」
スカイウォーカーさんは俺の伝えたいことを理解してくれたようで俺の持ち物を持っていってくれた。
そして、俺の意識はそこで途絶えた。
※
…目が覚めると、俺は砂漠にいた。
夢?いや。まだ腹部が痛いところを考えれば…現実だろう。
デスゲームは開催された。
そしてエリモスという組織は、大勢の被害者と、謎を残して消えてしまった。
俺は…彼らと、このゲームの謎をこれからも追わなければならないだろう。
ルーツ「…ヤツらの謎を俺が必ず見つけてみせる。」
|
Day21
| + | 「Wanted」 |
「Wanted」
朝起きてからすぐ出勤しようと車を走らせていた。
いつもの道。いつもの風景。 いつもと違うのは、突然の着信音だった。
ルーツ「黒河…?」
黒河 羊は俺のサルタンをカスタムしてくれたRe:Hana Mechanics 通称花メカの従業員だったと思う。
けどなんで俺に電話が?
ルーツ「もしもし、メカニックの黒河さん…?」
???「あー。ごめん。今携帯借りてるんだわ。」
ルーツ「借りてる?…誰だよお前。」
???「今から10分後くらいに北のインパウンド場に来い。お前が探してるものあるだろ?」
ルーツ「記憶か?」
???「お前のこと昨日Bossから聞いてるからさ。じゃ。」
なんなんだよ。一体。
とはいえ、記憶か。
ーーーーー
レナ「過去のことは俺が調べてやる。だからお前は今できることをしろ。」
ルーツ「はい。」
ーーーーー
…とはいったものの。俺のことは、俺も知りたい。
俺は車を出勤ルートから外し、北のインパウンド場へ向かわせた。
※
ルーツ「まだ居ないみたいだな。」
砂漠のインパウンド場にはまだ人影は無かった。しばらく店内へ入り、ビリヤードに興じた。まぁ、俺はルールわからねぇけど。
しばらくそうして時間を潰していると1台の車両が駐車場に止まった。俺は店の外へ出ると、車両から出てきたのはSeventhのペコラだった。
ルーツ「なんだ、ペコラかよ。」
ペコラ「何だってなんだよ。」
ルーツ「お前黒河の携帯借りてんだよな?」
ペコラ「うん。で、ボスから聞いたよ。昨日のこと。」
借りてるならまぁ…盗んだとかじゃないならいい…ってか…ん?
ルーツ「ん?昨日…?」
ーーーーー
ジョー「お前の記憶を取り戻す協力をしてやる。」
ルーツ「ふぅん。」
ーーーーー
ペコラ「ありがとな。」
ルーツ「はぁ?アイツ言うなっていったのに…マジか。…でも、いいか。俺は別に俺に利があると思ってやっただけだから周りに言うんじゃねぇぞ。」
ペコラ「別にアンタのこと言いふらすほど暇じゃねぇから。」
ルーツ「じゃあいい。で?なんだよ。」
ペコラ「お前記憶なくて、今探してるんだろ?ってかお前他のやつにも探られてるぞ?警察内部の奴に。」
俺の記憶を探ってる奴が俺以外に?何の話だ。
ルーツ「まぁでも探ってくれる分にはありがてぇけどな。」
ペコラ「けどそいつ、お前に言えって言うなら分かるけど。俺に教えろって言ってんだよ。」
ルーツ「は?」
ペコラ「お前の上司だよ。」
ルーツ「たもつさんか…」
あのクソハゲ。
ペコラ「ちげぇよ。」
どうやら違ったようだ。
ルーツ「レナさんか?」
ペコラ「そうだよ。あの白頭が言ってたよ。」
ルーツ「なん…でだよ。」
なんでだ…?俺に伝えない為にってことか…?いや…でもなんで…。
ペコラ「知らねぇよ。でもあんま味方だと思って信用すんなよ。」
ルーツ「いや。でも少なくとも零那さんとお前なら俺は零那さんを信用するね。」
犯罪者と世話になった人なら誰だってそうする…よな?まぁ、零那さんはちゃんと考えのある人だし。一先ず信用しても…
いや。まぁでもそれは建前で。俺はもう誰も…
ペコラ「で、お前記憶はどこまでねぇの?」
ルーツ「いや、まぁ。なんにも。けど最近たまに変な夢を見るんだよ。」
ペコラ「夢…?」
ルーツ「けど、あんまり深いことは覚えてない。ただの夢だしな。お前もそういうのあるだろ?」
ペコラ「…いや。私は寝れないからね。私はお前と違って過去は消し去りたい人間だし。」
こいつもワケありか。人の過去ってのは本当に…。いや。けど俺も思い出さない方がいい事もあるかもしれないって思ってたし。変わんねぇか。
ペコラ「私はお前がそんなに過去に固執してるのかわかんねぇし。あくまで私はボスがやれって言ったからやってるだけだよ。」
ジョーがそんなことを?ってかあいつ取引の内容をよく覚えてたな。別に律儀に守らなくても持てるもんもって帰ったら後はほっときゃいいのに。
…もしかしてアイツは、ほんとは良い奴なのか?
ルーツ「そうか。」
ペコラ「1個お前に話せることがあるとすれば。今「壁」が立ってるだろ。恐らくお前はあの壁の関係者だ。」
ルーツ「壁の関係者…」
ペコラ「似たやつがいるって噂を聞いたんだよ。」
噂。鵜呑みにはしないが。
まぁ、あながち間違いじゃないのかもな。 …あの壁に対するあの感覚は、きっと無関係ではないことの現れだしな。
ルーツ「…お前に写真を渡しとく。」
俺は携帯を取りだしてペコラへと俺が目が覚めたその日に行った東高速の壁を写真を渡す。
ルーツ「俺が目が覚めてすぐに見た壁のとある場所の写真だよ。俺な。ここに物凄い…なんていうんだろうな…感情って説明が難しいよな。」
イライラするというか…悲しいというか。なんなんだろうな。未だにこの気持ちを説明する言葉が出てこない。
ペコラ「ふぅん…でもさ。その記憶って思い出したくないから無くなった。って可能性はないの?」
ルーツ「…そりゃあ。無いとは言いきれねぇけど。でも俺は生きてて不安なんだよ。記憶が無いっていう今の状況が。お前が同じ境遇ならどうだ?大事な人もわかんねぇ。誰に助け求めたら良いのかもわかんねぇって。」
ペコラ「…まぁ私にとってはこの世界は地獄みたいなもんだったからね。自分を自分として認めて貰えなかったし、大人の好きなように操られてた。」
…詳しくはわからないが。そういう理由があって、過去を消したい奴もいるんだな。俺がもしそうだったら確かに。そんな過去は消えてくれた方がいいと、そう思ってしまうかもしれない。
ペコラ「お前にも簡単に教えてやるよ。私は母さんが2人いるんだよ。私を産んだ母さんと、私を育てた母さん。まぁもう会えないけどね。」
ルーツ「なんで?」
ペコラ「産んだ母さんは私が殺して。育てた母さんは抗争で死んだ。」
ルーツ「…。」
ペコラ「だから、私からすれば過去に固執してるお前が嫌いだ。お前には私の気持ちわかんねぇだろうね。」
ルーツ「…お前の気持ちはわかんねぇけど。なんか理由があるんだろ。」
ペコラ「…ただ憎かったからだよ。」
いいや。違うね。こいつはそんな理由で人を殺めるタイプじゃない。きっともっと深い理由があるんだろう。聞くべきか?いや、過去を思い出したくないなら聞かない方が…。
ルーツ「なんで憎かったんだ?」
いいや俺は聞くね。 俺は他人の過去も知りたいからな。 だって、過去は今を作ってるもんなわけで、だから俺はそいつを知るために過去を知りたい。
俺は今、この犯罪者を。
ペコラのことを知りたいと思っている。
ペコラ「…誰にも言うんじゃねぇぞ。ボスにも言ってない。」
案外。というか、こいつは過去について語るのが嫌なタイプかと思ったがそうでも無いのか。
ペコラ「私は裕福な家庭で産まれた。けど、両親は娘じゃなくて、息子が欲しかったんだ。だから私のことを男として扱った。話し方や歩き方、何から何までな。私の全ては否定されて、両親の為にあらゆる全てを思い通りにされた。私は耐えられなかった。こんなのは私の人生ではないって。だから殺したんだよ。」
両親が悪くね…?なんてこと、今こいつに言っても仕方ないよな。
ペコラ「そして私は殺人犯として追われる身になった。そうこうしているうちに私は「アニマ」というその街のギャングボスに引き取られた。私たちが守って、生き方を教えてやるって。私はそこで「ペコラ」と名乗って生活を始めた。みんなから沢山のものを貰って生きた。だけど、ギャングである以上抗争からは逃げられない。私は別のギャングに連れ去られたんだ。それで、結果的に育ての母親の命を奪ってしまった。気がついたときには私はこの街にいた。持ってた携帯には「黒河 羊」という名前だけが入ってた。」
ルーツ「黒河…羊…?」
ペコラ「そうだよ。」
ルーツ「じゃあお前…。」
黒河 羊と、ペコラは同一人物だったのだ。
※
それで、ペコラはこの街に来てジョーと出会い再びこの街の、北での生き方を習ったと。
ペコラ「だから、私は警察も嫌いなんだよ。」
ルーツ「…警察なぁ。」
まぁ、この街の、ましてや北の住人なら。無理もないか。
ルーツ「警察が正しくて、ギャングが悪だ。なんて事ないって俺も思ってるよ。」
ペコラ「なんとなく嫌いだって訳じゃねぇ。」
ルーツ「わかるよ。…俺も立場が違ってたら警察のこと嫌いだったかもしれねぇし。」
今恩人だと思っている人を憎んでいるかもしれないし。敵対していたかもしれない。
人生とは数奇で妙味でどうしようも無いことばっかりだ。真剣に考えてる俺たちのほうが、辛くて苦しくて、馬鹿なのかもしれない。
ルーツ「立場なんてのは仮初だと思う。俺だって昔人を殺してたり。誰かに悲しい思いをさせてたかもしれねぇし。」
そうだ。俺の記憶ももしかしたらそういう暗くてジメジメとした、もしかすると思い出さない方がいいものなのかもしれない。
零那さんの言う通り、今を生きて過去は捨てた方が、俺にとってはいいのかもしれない。
それでも。俺は知りたい。どんな結末になろうと、俺がどんな人間で、何をしていて、何を大切に思っていたのか。
知りたいんだよ。
※
ルーツ「…じゃあジョーによろしくって伝えといてくれ。」
俺の記憶に関する進展はなく、俺とペコラは一先ず別れることになった。
ペコラ「あのさ、零那には壁の関係者かもしれないってことは伝えたんだけどさ。そうじゃなかったって伝えとくよ。」
ペコラはペコラなりに、俺を心配してくれているのだろう。
俺は零那さんのことを疑ってはいないが、今はペコラの考えに乗ったおく。
ルーツ「わかったよ。ありがとう。」
それに零那さんなら恐らく気付くだろう。
この話の違和感に。 ペコラに対して情はある。それでもペコラは犯罪者だ。 だから俺も警戒しなければならない。
それが、俺が今やるべきことだろう。
※
その後俺は出勤した。
出勤と同時に、俺は本署の内部を探索した。 例の情報保管庫を探すためだ。
そういえばロッカールームの横にまだ入ったことない部屋があったことを思い出し、俺は中へと入った。
そこには大きなサーバー。PC。そして監視カメラの映像と思われるもがいくつもあった。
ルーツ「ここが情報保管庫か…?」
イマイチ、セキュリティが緩いことで疑念はあるが…調べられるものは全て調べよう。
…?
俺はふと、引き出しに挟まっていた書類に目が止まった。
ルーツ「国際…指名手配…?」
image
俺が読み込んでいるとロッカールームへゼン先輩が入っていくのが見え、慌てて手配書をポケットへと押し込んで外へ出た。
やべぇ…勝手に持ち出したけど、怒られたり…するよなぁ…たぶん。
けど、この犯罪者。
もしかしてまだこの街にいるんじゃないか?
俺は頼るあても無く、ただこの書類を処分する訳にも行かず。俺は目の前にたまたま居たルビー先輩へと助けを求めた。
ルーツ「ルビー先輩。ちょっと話が…」
※
その後コリハジ課のルビー先輩から宇仁王先輩に助けを求めたらどうかという指示を貰った。
ルーツ「という…わけなんですよ。」
ウニオウ「なるほどね。」
ルビー「あれ?けどこのタトゥー…見たことある気が…」
ルーツ「本当ですか!?」
やはり、この男はまだこの街にやって来ていたのだ。
ルビー「うん。なんだっけなぁ…俺が事故った時に…救急隊が来て…結構首にもバチバチに入ってんなぁって言った記憶が…」
ルーツ「えっ、じゃあ救急隊に国際指名手配犯がいる…って事ですか!?」
※
そして俺、宇仁王先輩、ルビー先輩、途中で話に加わったぷぅくんも含め、みんなで救急隊へ事情聴取へと向かった。
ルーツ「というわけなんですよ。」
ルビー「それで、こんな感じのタトゥーが入ってる人居た気がするなぁって思って。」
ウララ「なるほど…結構タトゥー入ってる人はいるんですけどね…首と両腕…うーん。」
ヒマワリ「うーん。」
どうやら思いつかないようで、俺たちはそのまましばらく思い出せないか、手配書を見せたりして見るものの合致する人が現れない。
ルーツ「あ、よかったら先導さんも見てくださいよ。」
たまたま救助を終えて帰ってきた先導さんへも手配書を渡す。
なぜか、ルビー先輩と宇仁王先輩が後ろで微かに震えている。
ルーツ「何をモジモジしてるんですか。」
ウニオウ「いや…。」
ルビー「えっ…?」
全く。まぁでもこの2人が変なのはいつもの事か…。とはいえ、救急隊の方々も思い当たるところも無さそうだし、長居するのも失礼か。もしかして2人ともトイレ行きたいのか?
ルーツ「じゃあ、何か思い当たることがあれば連絡ください。」
ウララ「は、はい…。」
※
本署へ帰って来たものの、ずっとさっきから2人が俺に対して「視野が狭い」とか「疲れてる」とか言ってくる。後輩とはいえ俺も人だ。ここはズバッと言うべきだろう。
ルーツ「いったいなんなんですか!!はっきり言ってくださいよ!」
ウニオウ「いや…」
ルビー「だから、先導さん首と両腕にタトゥー入ってたよ。」
え?
ウニオウ「いや、俺はてっきりルーツくんが先導さんが犯人なわけないと思って聞くのも失礼かって、スルーしてるのかと…」
いや。え?
ルーツ「全然気づいてなかったです…。」
結果的にいつも俺が悪いのか。
てか、先導さんタトゥーなんて入ってたっけ? …いや、入ってたかもしれない…。
ピロンッ
通知がなり、チャーブルに投稿がされていた。
『どうやら、この街に俺の情報が来てたみたいだな。』
という投稿と共に、先程俺達が救急隊へ渡した指名手配書が投稿されていた…。
ルーツ「えっ?」
ウニオウ「ふぅん…。」
ルビー「指名手配書持ってるの俺たちとさっきの救急隊の人達だけだよね…?」
確定した。
けど思い返してみれば、確かに。 俺が救急隊だった頃にも先導に怪しい動きが無かったかと言われればあった。車両に大量の武器を貯蔵していたのがいい例だ。
…また1人俺が世話になった人が悪人に。
※
俺たちは再び病院へと向かった。
今回は先導さんから直接話を聞く為だ。
ルビー「先導さん…確認のためにそのマスク取って貰ってもいいですか。」
センドウ「…いいけど。だったらちょっと着替えてくるから待っててよ。」
ルーツ「…。」
※
おかしい。あまりにも時間が経ちすぎている。
何をやっているのか。想像すればキリがない。 証拠隠滅、逃走、なんだってこの時間があればできる。
だが先導さんを信じて待った。
しかし…
俺の微かな期待は直ぐに目の前の現実に揉み消されてしまう。
センドウ「お前ら、手を挙げな。」
一同「…!?」
なんとそこにはうららさんを人質にとった手配書と同じ男の…先導さんの姿があった。
ルーツ「畜生…。」
ウララ「自首した方がいいよ!!」
センドウ「お前ら警察の実力を見ようか…。」
ルーツ「先導先輩…いや。もうお前は先輩じゃねぇ!先導!」
ウニオウ「先導さんだ!!」
ルビー&ルーツ「さんいらねぇよ!w」
※
その後、先導は本性を顕にしうららさんを人質にチェイスを申し込んできた。
流石は国際指名手配犯。かなりの加速力を持つ車両…それに…
ルーツ「テレポートだと…!?」
車両がいつの間にか後ろにいたり、前方にいたりとかなりおかしな挙動をしている。
横に乗っているルビー先輩は警察本部へ応援要請を求めた。警察全員で先導を追うも、追いつけない。さらに腕前も相まってアタックを寄せられてしまう。
サーマルヘリを導入し、なんとかユニオン内部へと追い込んだ。
全員で出口と思われる場所から侵入し、追い詰める。
ここならテレポートしたとしても追い詰められる…!!
無線で先導当たったという報告を受け、全員新カジノと呼ばれる道へと進む。
そこには動けなくなった先導の車両があった。
先導は動けなくなったと見て車両から降りるも対応に来ていた竜胆もほぼ同時に降りて武器を構える。
竜胆「観念しろ…!」
竜胆…やるじゃねぇか!
俺も直ぐにカバーのため降りた。しかし、意外にも先導は抵抗することはなくお縄に着いた。
みんなは国際指名手配犯を捕まえたことで大手柄ということで喜んでいた。
…しかし、俺はあまり嬉しくは思えなかった。
いったい何度こんなことを続ければ。
出会いがあれば別れもある。それは学んだよ。 けど、こんな形でいつも終わりを迎えるなら。 俺は初めから出会いたくなかったとさえ思ってしまう。
ーーーーー
「お前になんか最初から会いたくなかったわ。俺の事なんかほっとけや。」
ーーーーー
…俺もいっその事零那さんのようにもっとドライに物事を見て判断できるようになればいいのか?
ルーツ「…次の事件へ向かいます。」
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Day22
| + | 「Darkness of heart」 |
「Darkness of heart」
…ダメだな。今日も悪夢で目が覚めてしまった。最近頻度が多い。 耳鳴り、幻聴もよく聞こえる。以前よりはっきり。鮮明に。
※
最近、零那さんとのチェイス練習やら。本署前でのテーザーの撃ち合いが楽しいと思った。
上官相手にこんなことをいうのは失敬だとは思うが、友人と戯ているような。そんな気持ちだ。
友人…。記憶を失う前もこんな風に、お互いに高め合う人は俺に居たのだろうか。
ーーーーー
「なぁ、ルーツ。お前…」
ーーーーー
ルーツ「やっべ!!!」
車体が溝にハマり動かなくなる。
レナ「お先…。」
ルーツ「くっそ!!」
※
瞑想明け。
地下駐車場で戯れていたが俺の体はもう動かない。なぁ?これ本当に戯れか??
と思ったら零那さんが俺を抱えてくれた…
ドガンッ!!
…地下駐車場のガソリンタンクに何らかの衝撃が加わったことで零那さんも吹っ飛んだ。
ルーツ「え…?」
レナ「…。」
※
ルーツ「俺の体…まだ動きますかね…」
ヤマナカ「大丈夫ですよぉ〜!」
今、俺を治療してくれているのは山中団三郎さんだ。彼は最近救急隊になったらしい、気のいいおいちゃんだ。しかし腕前は確かで俺の傷口はみるみるうちに治っていく。
アンナ〇ュラルにこんな感じのおじさんがいたと思うがとてもよく似ている。
親近感が湧くし、安心感が凄い。
彼は山で住んでいて、戦争で奥さんを無くしたらしい。そして少しでも誰かの命を救えればという思いで今救急隊をやっているらしい。
この人の考えをみんなが持てたなら、きっと世界はより良くなるだろうな。
そんな現実はどこにも存在しないが。
※
ペコラ「おい、てめぇ!今どこにいんだよ!」
ルーツ「あぁ、悪い。今から向かうよ。」
俺は零那さんとの絡みもそこそこに…いや今朝からがっつりで正直疲れたが、これからペコラは俺との記憶の追走会がある。
俺は東高速を北上していく。すると後方に共同のおかしな黒い車両。
ルーツ「…零那さんじゃね?」
俺は直ぐにペコラに電話をかける。
ルーツ「いやぁ。すまん。今零那さんに追われてる。」
別に聞かれてまずいことも無いが。
…いや、まぁまずいと言えばまずいか。
ギャングと警察が密談をしているというのは。
ペコラ「おいバカ!ちゃんと巻いてからこいよ!!」
俺はペコラの静止を無視してそのまま砂漠のインパウンド場へ向かう。
ルーツ「悪ぃな。」
ペコラ「バカ!ふざけんな!」
※
なんとか零那さんを巻いてから西の海岸へ。
恐らくもう居ないだろう。たぶんな。
ペコラ「なぁ。アイツの行動おかしくないか?」
ルーツ「…。」
なんとも言えない。
零那さんの行動は確かにおかしい。 けれど考えのない人ではないからだ。 俺の情報は警察の情報保管庫にある。だからもう既に閲覧しているはずだ。 それなのに俺には伝えないし、尚且つ零那さんはペコラにルーツに情報を流さずに零那さんへ流すようにと言っている。
ペコラ「お前のことを思うなら、お前に伝えろって言うはずだろ。」
ルーツ「まぁ、本来ならそうだな。」
ペコラ「まぁ私はボスから言われたからやってるだけだからいいけどさ。」
ルーツ「あいつも、義理堅いやつだよな。ほっときゃいいのに。」
ペコラ「ボスのことなんだと思ってんだよ。」
ルーツ「…俺はジョーに記憶のことを頼んだけど、本当にやってくれるなんて信用してなかった。」
そうだ。上司陣。バウバウさんや、龍司さん。彼らが去ってから俺はずっと思ってた。慕ってようが、何をこちらが思ってようが。他人なんてのは自分の思うように生きる。だから、別にもう。どうでもいいんだよ。
まぁけど、ジョーやペコラのように言ったことを守るって確信があるやつは信じられる。 少なくとも今俺が言えるのはこれだ。
ペコラ「ってかお前、額にそんな傷あったか?」
ルーツ「あぁこれか?浜で目が覚めた時にはもうあったよ。ずっと傷んでる。」
ペコラ「それってさ…過去に関係あるんじゃねぇの?」
ペコラの言葉に息を飲む。
それはそうだ。なぜ今まで当たり前だと思ってたんだろうか。俺のこの傷は過去に関係してる。
ペコラ「家庭内の暴力…とか?」
ルーツ「親か…。生きてんのかね。」
ペコラ「けど、それなら見えるところにそんな堂々と付けないか。」
ルーツ「…そういうもんか?」
ペコラ「そりゃ、見えるところに傷なんか付けたら周りの人達に家庭内の暴力を疑われちまうだろ。だから普通は付けない。付けるなら見えないところだ。」
…ペコラの物言いは現実味がある。
それはペコラの境遇を俺が聞いてしまったからだ。
ルーツ「ふぅん…。」
あまり肩入れするのは警官としてどうかと思うが。しかし、今のこいつは犯罪者ではなくてただの俺の…
なんなんだろうな。俺はこいつのことをどう思ってるんだ。
ペコラ「拷問…とか?」
ルーツ「拷問か…。まぁ無くはない。」
今話している全ては、無くはない。という結論にしか行き着かない。俺が何かを思い出すまでは。
その後もしばらくペコラは俺の記憶について色々と考えてくれた。
過去を思い出したくないこいつが、ボスの言いつけだからとは言え、健気に過去を思い出す為に頑張っている姿を見ると少し感動してしまうな。
※
本署へ戻り、車両を出す。
いつもの通り勤務を開始するが、どうやら詳しくは知らないが九十九と零那さんの間でまた何かあったらしい。まぁ諸々終わったようだが。
サンメカで車両の修理をしてもらっていると零那さんから電話がきた。
レナ「黄色のヤツと何してた。」
ルーツ「ペコラですか?」
レナ「あぁ。」
ルーツ「デートというか…なんというか…」
レナ「…いいんだな?それで。」
誤魔化しは効かないか。
レナ「1つ言っておこう。俺は今お前を振るいにかけている。」
ルーツ「だったら問題ないっすね。別にやましい事してないですし。」
レナ「内容を話せっつってんだよ。」
ルーツ「俺の記憶についてですよ。」
その後も零那さんは会話の内容についていろいろと聞いてきた。全て持っているはずの零那さんが探りを入れてくるのは本当に謎だ。
ルーツ「まぁ、そんな感じでいろいろと探ってくれてるんすよ。」
レナ「何故そこまでアイツがやってるか教えてやろうか?」
ルーツ「はい。」
レナ「俺がアイツと取引をしたからだよ。」
ルーツ「取引…?」
レナ「まぁ…お前の情報は大体握ってる。」
情報保管庫の件か。
ルーツ「ちなみにそれって教えてもらえたり…?」
レナ「後で。」
なんで渋るんだ…?
それに取引については自ら言っておいて、俺に伝えるなって件は言わないのか。 …この人も裏切るつもりなのか?
いや、まぁだとしても俺には今ペコラがいる。
アイツは今のところ俺に嘘を着いている様子もないし、今信用すべきはあっちだな。
※
まぁその後は大したこともなかった。
特筆することと言えば、一瞬だけSEVENTHへ潜入した。が、結果的に零那さんに見つかってしまいしごかれた。
悪人へ加担したかった訳じゃない。ただ、俺の取引を律儀に守ってくれたジョーに対する礼のつもりだった。
これで貸し借りは無し。ここからの俺は過去について調べてもらうだけでいい。これ以上肩入れをすればどうなるか分かってるからな。
それに俺は闇落ちするつもりは無い。
警察としてこの街で秩序を守るためにも、そして、俺が恩を返す為にも、辞めたくないのだ。
※
ミヤムラ「ルーツ、金ちゃんにあれ教えといて、大変だと思うけど」
ルーツ「そうですね。了解です。まぁ自分もそろそろ教える側ってことっすね。」
ミヤムラ「そだよ〜!ゆゆちゃんもいないしね〜。」
…。
ゆゆさん日本で両親に会えただろうか。
もう今頃は両親と仲良く団らんでもしていてくれたらいいな。
俺の中で唯一、前向きに別れた恩人だ。
せめて幸福であって欲しい。
※
もう暗くなり始めている道を、俺はバイクで走り抜けた。
ルーツ「はぁ…疲れた。」
なんて言っていると事故の現場に出くわしてしまった。とはいえ、勤務外なので何もしてやれない。
俺はそのまま少し話を聞いてから北へ走った。
明日もペコラと話すだろう。
せめて、俺が夢で見た内容を少しくらい覚えていればいいな。
そしたら…少しは俺の過去に…
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