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 レデュエによる悪辣な放送が終わり、やれやれとため息とともに名簿を見やる承太郎。
 敵か味方か不明だが十二名。事態は思ったより深刻な状況へと陥っているのは十分に理解できる。
 幸いホリィと言った家族や見知った名簿は誰もいないのでそこはさほど問題ではない。
 不良のレッテルを貼られてるのが彼ではあるが、家族を想う気持ちは強い男だ。
 こういった殺し合いにいないならいないで、特に越したことはなかった。
 辛うじて知り合いがいるとするなら織田信長と言った昔の偉人の名前ぐらいなもので、
 世界を超えて干渉してきてるのだから今更気にすることでもないことだ。

「あ、ハンナさんがいますね!」

 一方でこんな状況でも元気溌剌とでもいうべきか、
 快活な表情で自分の知り合いの存在に反応するシェリーの姿。
 しかしハンナの名前を見て喜ぶと共に、うーむと顎に手を当て悩みだす。
 今までの笑顔が絶えない少女としては珍しい顔に彼も反応せざるを得ない。

「どうした橘。」

 知り合いが参加してない方がいいに決まっている。
 ただ彼女の場合はそれを憂いているというものではなく、
 どちらかと言えば何やら危機感を抱いてるような雰囲気だ。
 そういった疑問も含めての質問、と言ったところになる。

「ああいえ。ハンナさん別の意味で大丈夫かなー、と思いまして。」

「……どういうことだ?」

「そういえば会ってからはいろいろありましたから、
 承太郎さんにはまだちゃんと話してませんでしたね。私達魔女のことを。」

「魔女だと?」

 出会ったときは色々あって話しそびれたことを話す。
 魔女因子を持った少女たちが牢屋敷に拉致されての集団生活を。
 そして魔女因子を持った者ははやがて殺意を増幅させて人を殺すことに至り、
 魔女となった存在を処刑するための魔女裁判を行うと言う風に軽く説明しておく。
 こっちもこっちでとんでもなく趣味の悪い内容に承太郎も(元からそういう顔だが)顔を軽くしかめる。
 魔女裁判とか今時流行らねえことをやるなと軽くごちるものの、信長の存在を見るに世界が違うのだろう。
 ハンナを心配する理由が一先ず理解することができた。

「で、魔法が強くなっていればいるほど危険な状態ってわけか。」

 彼女が招かれたのはハンナと逃避行をしてみた結果の時期だ。
 ハンナの魔法は浮くことができるというシンプルな魔法を持つ。
 最初は少しだったがどこまでも飛べていたということは、魔女化が進んでる証拠だ。
 となると、彼女が今魔女になってしまっている可能性は十分にありえてしまう。

「遠野が仮に魔女になった時、戻す方法は?」

「もしかしたらあったのかもしれませんが、現時点では私の知る限りありませんね。」

 戻せるのであれば、そも魔女裁判で処刑する必要なんて最初からないのだ。
 処刑とは言うが、一度魔女化してしまえば実際は殺すのは不可能とされている。
 勿論、これは殺し合いだ。魔女になっても殺せる可能性は十分にあるだろう。
 あるいは、殺せるだけの支給品が中にはいくつも存在しているのかもしれない。

「となると、殺す以外の選択肢がねえってのか。やれやれ、ヘビーな話だな。」

 これは本来の未来の話ではあるが、承太郎は敵対するスタンド使いを殺しもする。
 ただ、まだそれらを知らない彼にとっては少しばかりだが殺しはヘビーなものとして扱われるものだ。
 それに、言ってしまえば自分と同じ暴走してるだけの相手を殺さねばならないのと同じになる。
 無論、だからって躊躇って放置するようなことはしない。最悪の場合やるときはやるのが承太郎と言う男なのだから。

「そうですねー。必要なら殺すしかなくなっちゃいますよね。」

 友達を殺すしかない可能性。
 その示唆をする発言の割には、何も困惑とか不安と言った表情を彼女は見せない。
 多少トーンは落ちているとしても、気落ちしてる雰囲気は見受けられなかった。

「逆にテメーの方はずいぶん落ち着いてるな。」

「ああ、すみません。話すようなことでもないので、
 細かいことは省略しますけど。こう見えてちょっと感情が希薄でして。」

 シェリーの感情と言うのは基本的には感じていない。
 主に客観的な形で学習した感情を真似ているだけに過ぎず、
 今の快活な少女と言う印象も、全体的に演じてるだけと言えばそうだ。
 ベリアルとレデュエに対しても怒りとか、憎しみとかの感情は薄いものになる。

「だから多分、仮にハンナさんが死んだとなっても泣くどころか、
 あんまりどころか全く悲しいとは思わない可能性とかがあるんですよねー。
 『あ、そっかー。ハンナさん死んじゃったんですね』とか、言ってしまいそうなぐらいに。
 その辺の発言があると思いますが『そういうやつなんだな』ぐらいに思ってください。」

 この辺はシェリーにとっての自己防衛の類だ。
 もし何も言わずにそんな無神経なことを言えば、
 他人から怒りをや顰蹙を買うであろうことを学習している。
 だから一先ず、過去を省略してるとはいえ自分の今を軽く説明しておく。
 此処ではあの牢屋敷や好みのマーダーミステリーとは違う、殺伐とした空間なのだから。
 それらを無理なくごまかせるような魔法の言葉なんてものは、彼女は知らない。
 彼女の使える魔法はあくまで少女とは思えぬ怪力、これだけになる。

「過去は詮索するつもりはねえが、お互い厄介なことになってるな。」

 そういう過去ぐらいあるだろうなとは思うが、それ以上何かを聞くことはしない。
 誰にでも暗い過去はあってもおかしくはないし、かといって特別同情とかもしない。
 今がちゃんとしてるのであれば過去のことをあれこれ言うつもりは余りないのが彼だ。
 だから洗脳を説いた花京院、ポルナレフとだって基本気にせず接していられるのだから。
 もっとも、そういった経験を彼は知らないのだが。

「一応聞くが、テメーが魔女になる可能性もあるのか?」

 単なる危惧と言うよりは興味本位のものだ。
 魔女因子を持った者と言うことはイコール彼女も持っている。
 可能性としてはあるのかないのかははっきり聞いておきたくもあった。
 別にびくつくことはしないが、何かあった時の対処を考えるのは当然だ。

「はい。一応レベルで存在はしているんですが、
 多分ないんじゃないでしょうか。強いストレスをかけられて疲弊すると
 魔女へと変貌するようですが、見ての通りシェリーちゃんはこんなに健康体です!」

 片眼を閉じて舌を出しながら自分が底抜けの明るい少女らしく振舞う。
 これはどうみてもストレスと言ったものを感じてるようには見えなかった。
 無論、それが演技的なものであることも理解した上での理解になる。

「……なら、どっちかと言えば俺の悪霊の方が問題か。」

 今回はシェリーが止めてくれたし、
 今は行動してこないことから最低限の理性を獲得できてるのだろう。
 とは言え行動を起こすにあたって悪霊の方があらぬ誤解を生む可能性は高い。

「どうせですし、悪霊と呼ぶのをやめて守護霊とか式神とかどうですか?
 全体的に承太郎さんを守るために行動をしているので、悪いものではなさそうですし。
 もっと親しみを込めれば、もしかしたらより良い方向へ傾くこともあるかと。
 腕だけの守護霊のようですし、ザ・ハンドとか名付けても面白いと思いますよ!」

「当分の間は悪霊やゴーストと言った方が、よっぽど似合ってると思うがな。」

 守護霊と言うのは否定はできない一方、
 悪意がなかったシェリーにも攻撃を仕掛けたのは事実。
 今後の活躍次第で何かしらの愛着か何かを持てるのかもしれないが、
 やはり今の時点ではプラス方面で物事を考えるのは少々難しいところだ。

「そうですかー、残念です。マーゴさんとかなら占いで、
 いい名前とかつけてくれそうな気がするんですけどねー。」

 この手のタイプの知識人と言えば、
 牢屋敷では年下ながら大人の女性の妖美な雰囲気を持っていた、
 マーゴ辺りならば名付け親としてぴったりな印象を持つ。

「名前なんて今は後回しだ。名無しの悪霊、とでもつけとけばいい。」

「えー、かっこ悪いじゃないですかー。出ろ! 名無しの悪霊! って。」

「かっこよさとか求めちゃあいねえよ。んで、遠野やテメエが行く場所の当てはあるのか?」

 承太郎にとってこの留置場だけが唯一心当たりのある場所だ。
 秤やイェーガーズ本部と言った固有名詞付きの場所についても、
 特に心当たりはないため行先のついての当ては彼にはなかった。

「あ、でしたらハンナさんが魔女化してないのであれば、
 南の牢屋敷が私の知る唯一の場所かもしれないのでそこに行きたいです。」

 二人の知り合いは合計してもハンナだけ。
 となれば彼女が理性を保っているか魔女になっても無意識か、
 牢屋敷へと向かっている可能性と言うのは否定できない要素だ。

「魔女になってなくとも諸事情で行けねえこともあるだろうが。
 聞く限り、遠野って奴は人を見捨てられねえタイプみてーだしな。」

「一応近くのエリアにあるクラッシュタウンも少し気になります。
 町ですから物資の節約にもなるかもしれませんし、ついでで寄れますからね。」

 残り八十人いるとは言え殺し合いにおける物資は有限だ。
 ある程度の余裕を持っておきたいというのは確かではある。
 留置場と言った建物よりは街やタウン、あるいは巨大な施設と思しきキャメロット。
 この辺りを散策する方が後につながる可能性は高いとみていいだろう。

「そういえば承太郎さん、守護霊の制御ってどの程度できるようになったんですか?」

「……まあ、これぐらいだろうな。」

 空を殴るように右フックを繰り出す。
 すると悪霊の右腕がロケットパンチのように飛び出し、
 抜け出した留置場の壁に対して轟音とともにクレーターを作る。
 少なくとも人にぶつければただでは済まないパンチなのは間違いない。

「射程距離は『遠くても10m』と言ったところだ。
 制御がある程度できたせいかもうあんまり遠くにはいけねえが、
 無手の状態からぶん殴れるならこれぐらいあれば十分な方だな。
 今はこれ以外はできねえ。さっきみてえな自動的な防御はしそうだが。」

「おー、ちゃんとできてるじゃないですか。偉いですねー。」

「ガキ扱いするんじゃあねえ。」

「お互いまだ子供じゃないですかー。」

「テメーに扱われたくねえんだよ。」

 留置場を抜けて、一先ず牢屋敷へと目指す。
 牢屋から出たと思えばまた牢屋を目指すことになるのは、
 少しどうなのかと内心でやれやれと思う承太郎だった。

【C-7 留置場/深夜/1日目】

【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:ベリアルをブチのめす
1:脱出の手段を探す。
2:殺し合いに乗る悪党どもには容赦しない。
3:悪霊を完全に制御できるようにコントロールする。
4:遠野って奴が魔女になった時は、悪いが遠慮はしない。
5:牢屋敷へ行く。また牢屋か、やれやれだ。
6:悪霊の名前……いるか? 考えておく。
[備考]
※本編開始前からの参戦です
※悪霊(スタンド)の完全な制御はできていない上に全身も出せません。
 現在可能なのは制御可能範囲は射程10mまで手を飛ばして殴るや掴むなどの行為のみです。
 (能力を失って射程距離が伸びたエピタフのようなものが近いです)
 自動的に悪霊が(両腕で防げる範囲のみ)防御や反撃をしますが、これらはまだ制御できません。
 (自動防御についてはOVAの承太郎VSDIOの時のが近いものとします)
 今後はっきりとした姿になるかもしれません。

【橘シェリー@魔法少女ノ魔女裁判】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:脱出する
1:承太郎さんと一緒に牢屋敷に向かいましょう!
2:ハンナさんがどうなってるのか気がかり。魔女化してた場合は、まあ仕方ないですよね?

[備考]
※3話バッドエンドの逃避行エンドからの参戦です


002:わたし、ちゅうぶらりん 投下順 004:TOUGHーーー父を継ぐ男
時系列順
138:破壊探偵と悪霊に取り憑かれた男 空条承太郎
橘シェリー

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最終更新:2026年04月03日 06:08