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「タギツヒメが、死んだだと……!?」

 あれからずっとカフェに居座っていた中始まった放送。
 放送を聞く耳をあまり持っていなかった真希ではあるが、
 流石にタギツヒメがこの短時間で退場するのは想定できない。
 仮にも世界の敵になる存在だ。狼狽えるなと言う方が無理だろう。
 名簿にもしっかりと、あのタギツヒメが記載されているし画像も一致する。

「その様子から相当な強者だって分かるけれど、どういう存在なんだい?」

「簡単に言えば、荒魂の親玉みたいなものだ。少なくとも僕では太刀打ちは不可能とみていい。」

「となると……相性とかも懸念されることだけれど、
 この殺し合いは水準は高い傾向があるという判断で合ってそうだ。」

 死なないことが目的である大外にとって参加者の選り好みはできないと言ったが、
 なおさら最初に真希に出会えたのは幸運と同時に、不幸とも受け取れるだろう。
 いくら大学生と言う若さを持っていても、別に人間の範疇を超えているわけではない。
 幸いアーマードライダーになれるらしいけれど、それもどこまで通用するかは謎である。

「タギツヒメを倒した存在も気がかりではあるけど、
 君の関係者の名前のこれ、君の言ってた燕さんだよね?」

 燕結芽が二人。別人ではなく名簿の画像も同じ顔つきだ。
 違うところがあるなら、片方が少しだけ成長しているようにも見える
 折神親衛隊のメンバーであった全員が参加しており、
 四人いるのは分からなくはない。予想もついていた……はずなのだが。
 もう一人結芽がいることは一体何なのかが皆目見当もつかない。

「さて、君の知ってる燕さんはどちらになるのかな。」

「二人とも会ってみなければわかりそうにない。君の言ってたように、
 別の世界の結芽かもしれない……君の方には信頼できる人物に心当たりは?」

「僕の近くに載ってる塚原音子。知り合いは彼女だけだし、
 少なくとも僕から見ても信用に値する人間ではあるね……一応は。」

「含みのある言い方はやめてもらえないだろうか。」

「君は信用されるが、僕を信用するかについては状況次第ってことだ。
 諸事情で色々あったとだけ説明させてもらうよ。まあ、される謂れはあるけれども。」

 彼女も参加しているなら、少なくとも目の敵にはされても一時休戦を提案するはず。
 肝心の遠因となる阿鳥遥斗は参加してない以上揉めることはないし、殺しをさせた負い目もある。
 無理に悪評を広げるかは分からないし、彼女も集団を疑心暗鬼にさせる不用意な発言も控えるだろう。
 一先ず今は味方と言うことにしておく方が、何かと都合がいいため本当のことを言っておく。

「彼女の推理力ならきっと力になる。そこは保障するよ。
 まあ君と同じで別の世界、パラレルワールドから来てたら別だけども。
 それで、君の方の知り合いについてのことだけど……方針的にはどうなんだい?」

「……仲間としての意識はあるからあまり言いたくはないが、夜見は乗る可能性ある。」

 ただ一人、親衛隊でタギツヒメ……と言うよりは高津側に与した存在。
 高津のためであれば命すら賭けれるであろう彼女は止まらないかもしれない。
 本来ならば親衛隊として全員で行動を共にしたいが、今の彼女はそれどころではないはずだ。
 最悪の事態も想定しなければならず、またしても表情を曇らせる。
 結芽が二人いるのも気がかりではあるが、夜見のことも気になってしまう。

「可能なら止めたい、とでも言うのかい? 答えも出せてない君が。」

「そうだな。今会うべきは結芽だが……彼女がどこに行くのかが分からない。」

「貯蔵施設がノロってものを集めてる場所と思い出すと言ってたけど、それは?」

「結芽は僕みたいに弱いからノロを受け入れたわけじゃない。
 だから、ノロがあるかもしれないとしてもここには来ないだろう。
 寿々花か夜見なら来るとここで待機もありうるがあくまでも貯蔵施設。
 僕達が知っている場所とも限らない。その間、何もせずに待ち続けるのは下策だ。
 何より結芽のことだ、『待ってるのなんて退屈だ』とわがままを言って動いてるはずだ。」

 今いる場所はC-3。
 すぐ隣のエリアには貯蔵施設が存在している。
 行こうと思えば行けるが、行っても成果があるとは思えない。

「じゃあ、南西にある黄昏ホテルはどうかな?
 さっき説明したホテルが存在しているんだ。
 流石に同じ名前で別物ではないと思う。塚原さんもそこを目指す可能性もありうる。」

「ああ、分かった。」

 どうするかの方針は一先ず決まった。
 結芽が生きていることについてもあり、
 優勝を狙う方針は一時的だが保留となった。
 それでいい、と内心どこかで思うところもあるが。

(僕の部屋まで再現されてたらたまったもんじゃないからね。)

 無論、大外にとって困るものを処分しておきたい理由もある。
 隠し部屋みたいなものではあるし、再現されてるかも分からない。
 ベリアルの性格からしてあるのだろうということは十分にありうる。
 念のため処分できそうなものは処分しておきたいという方針で動き出す。
 カフェを出て、目的の地へと赴くべく橋の方へと向かう。
 ───空から二人に弾丸の雨が降り注ぐまでは。




「別行動だぁ?」

 軽い食事を済ませ、今後の方針を考える三人。
 三人寄ればなんとやらとは言うものの、結論についてシドが呟く。
 別に集団行動したいかと言うとそういうわけではないにしても、
 何の理由もなく休戦する相手が同行を拒否されるのは軽い苛立ちがある。

「俺の毒は一般人には半端なく害があるからな。
 さっきも言ったが俺達は利害の一致すぎねえんだ。
 それでも行くとか言う柄じゃねえだろ? 俺たちはよぉ。」

「仲良しこよしでつるむような甘ったるい関係でもないだろ。何にびびってんだ? シドは。」

 互いに生身での戦闘に長けている分、自身より強いのか見下しているのか。
 そんな風に見られてるシドは軽く苛立ちがあるものの、特に何を言うでもなく帽子を被り直して伝える。

「名簿にロシュオっていう怪物の顔があっただろ。そいつは異常に強い。
 会うときは準備を万全にするか逃げるしかねえ。今三人束になっても勝てないのだけは分かる。」

 オーバーロードの王。まともに一太刀すら浴びせられず圧死した記憶。
 あれはどんなアーマードライダーでも勝てるとは到底思えないレベルの存在だ。
 無論、勝てるように首輪などで調整はされてるだろうが、少なくとも優勝候補の筆頭。
 今はとにかく支給品をかき集めて戦力を整えて、ロシュオや貴虎を倒せばいいだけである。

「後は戦極にも警戒しておけよ。あいつのことだ、
 殺し合いはそっちのけで実験体にでもされかねないしな。」

「ま、情報としては悪くねえな。忠告は受け取ったぜ。
 俺は『弾』集めでもしながらどこかへ行くぜ。じゃあな。」

 要するに自分が生前考えた、準備を整えて日ノ元に挑むと同じだ。
 一筋縄ではいかないのは分かったし、画像のおかげでどんな姿かも理解できた。
 強者となる連中や障害になりそうな存在は情報交換でボーマンからも結構な量を得ている。
 最初の掴みとしては上々だ。もう以前のような無知な自分とは違うのだと。
 過去の経験からいまだ抜け出せないまま、北ノ城が一足先に店から出ていく。

「ロシュオか……ちょっと邪魔だな。」

 ジータは強いと言えば強い。
 何度も世界の危機を救ってるものの、万能の存在ではない。
 基本的に一人で解決ではなく、協力による連携が殆どだ。
 だから自分の手で殺しておきたいジータをロシュオにやられても、
 ルールを何も知らないアイルがジータが死んだと言われても実感がないはず。
 いくらか団員が既にやられているようではあるものの、アイルの心を折るなら自分の手でやる方がいい。
 特別、縁の深い団員もこの舞台にはいないから団長以外に当てはないのも厄介で軽くごちる。

「ちょっとで済む問題じゃねえよ、あれは。こっちはあいつのせいで殺されてるんだからな。」

 今でも鮮明に思い出せる。
 岩へと押しつぶされて圧死するあの最期の瞬間を。
 たとえ貴虎であろうともアレを単独で倒すのはまず不可能だろう。

「そりゃ難儀なこって。んじゃ煩わしい雑談もほどほどに、俺らも好き放題やろうじゃないか。」

 飯を食い終えれば、片づけることなく、北ノ城とは別の道を歩き出すボーマン。
 二人を気に入らなさそうな眼差しで見届けた後、シドも店を出ていく。
 各々のやりたいようにやって優勝を目論む。それが結局彼らの求めるものなのだから。

【C-3 街中/深夜/1日目】

【アイル@グランブルーファンタジー】
[状態]:ボーマンの人格
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:好きにやる(ボーマン)
1:団長を殺せればいいんだがな。
2:好き勝手暴れる。最悪こいつら(シド、北ノ城)も殺す。

[備考]
※参戦時期はボーマンの3アビフェイトエピソード後。
※現在アイルは人格がボーマンにのっとられています。
 ビジュアルはアイルにボーマン(闇SSR)の格好になります
※アイルが目が覚めるのは6時間後ですが、何かしらで早まるか遅くなります

【シド@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3(少なくとも戦闘可能)
[思考・状況]
基本方針:優勝する。
1:こいつら(アイル、北ノ城)を利用する。
2:利用はするがガキどもとつるむつもりはねえ。
3:ユグドラシル、行ってみるか?

[備考]
※参戦時期は死亡後。





 唯一三人の中でヴァンパイアになれる彼は、
 飛行能力を兼ね備えており移動は快適な方だ。
 自分一人だけの優位性ではないだろうことは分かるものの、
 真っすぐ見下ろしながら空を飛べるというのはアドバンテージとして大きかった。
 すぐに人の姿を見つけて躊躇くことなく銃弾を無数に放とうとしたものの、
 向こうに殺気か影か何かで気づかれたからか、避けられてしまう。

「早速獲物発見と思ったら、なんだあの動きは。七原程じゃないが弾丸をよけやがった。」

 真希が店を出たところを北ノ城が偶然見つけて軽く撃った。
 だが迅移による移動速度であれば、殺気も感じたので大外を連れて避けれた。
 相手は生身の人間かどうかの試し撃ちでもあったが、生身で七原の加速を思い出す動き。
 ボーマンから聞いた団員達同様、ヴァンパイア以外にもファンタジーなものがいるのだろう。
 店の中に戻られてしまい、地面に降りなければ銃は使えず、念のため近くの建物の屋根の上で様子見をする。

「まあいいさ。威力は低いだろうが『弾』の使い時だな。」





「今のは危なかった……助かったよ。」

 アーマードライダーのベルトで変身で戦闘可能だったとはいえ、
 彼の身体は基本的に一般人の領域を出ているわけではない。
 変身前に銃撃を受けてしまえばそれだけで大ダメージだ。
 通り魔をやってた彼の行為とは逆で、自分が狩られる側の経験は薄い。
 のらりくらりとけむに巻く態度を取ってたが感謝自体は本心になる。

「空中の敵への対抗手段は君の方にあるか?」

 刀使であっても空中戦は荒魂の中にも飛行するタイプがいるので心得はある。
 一方で、刀使は永続的に飛べるわけではない上に基本的に八幡力と迅移による強引な手段。
 上空と言う制空権を持っている上に相手は参加者。大した実力もないと軽率に判断は下せない。
 すぐに降りて攻めてこないのも自身の上空にいる安全圏からの攻撃が優位だと分かってるからだ。
 御刀は薄緑でなくてもちゃんと力を発揮できるらしいものの、出せる力は普段より落ちている。
 とは言え銃口さえ見えてれば見切って避けるぐらいは十分な速度で移動は可能だ。

「一応あるよ。少しだけ待ってもらうけどね。」

『チェリーエナジー』

 錠前を開錠すると、容姿に対し不釣り合いだったベルトにつけられたコアへとはめ込む。
 右側につけられたハンドルグリップを中央へ押し込めば、ベルトの中央に液状のエネルギーが蓄積される。

『ロックオン』

『ソーダ』

 手間がかかるなと思いながらも、彼にとっては大事な武器の一つであることは確かだ。
 上空から穴が開き、錠前を再びロックすれば彼の容姿はかなり様変わりした姿へと変貌する。
 そこからサクランボと同じような赤い装甲に、両腕には毛皮に似た装甲を纏う。

『チェリーエナジーアームズ』

 仮面ライダーシグルド。北ノ城が停戦協定を結んだシドが本来持っていたものだ。
 随分騒がしいなと少しばかり呆れ気味の大外の顔も、今となっては仮面の下にある。
 これで少なくとも完全な戦力外にならないことを願っておきたかった。

「……少し聞きたいことはあるが、後回しにしよう。
 僕が銃を引き受ける。君はその……弓矢で、いいのか? で射撃を頼む。」

「当てられる自信はないけど、やるだけ───」

 作戦会議が終わる前に、事態に変化が起きた。
 派手な音とともに窓ガラスを破るように店内に何がが突っ込む。
 北ノ城ではない。降りてきての銃撃とかではなく、入ってきたのは
 ベリアルが最初に紹介した魔物と呼ばれていたウインドラビットだ。
 魔物がいるとは聞いてたし警戒するものの、二人は動かなかった。
 既に参加者ではない類は淘汰されているはずなのに何故存在しているのか。

(いや、違う。これは死骸か。でもなぜ……?)

 魔物はすべて淘汰されたとレデュエが言っていた。
 加えて、飛び込んできたというよりは投げ込まれたが正しいのと、
 明らかに不自然な姿勢で入ってきたことで違和感を大外が持つ。
 投げ込んだところで何があるのだろうか。仮にもモリアーティと自称した男だ。
 ホームズたる塚原音子相手に劣るようなことはないと自負しているものの、流石に情報が足りない。

 事実、訪れる結果は彼の想像を超えた役割を果たすべく、死骸が突如として爆発を起こす。
 威力は小さくはないが大きいレベルでもなく、既に死体なので血飛沫が大きく飛ぶこともなく。
 目くらましからの乱射を狙っての行動と疑って真希は凝視するものの、

「獅童さん、今すぐ裏口から出るんだ!」

「? ああ、分か……ッ!?」

 問題は煙の方にあるということだ。
 大外の声色が変わるのを珍しく思ってると、頬を伝うものを感じ取って軽く頬を触る。
 冷汗か何かかと思ってみればそれは温い温度でわずかばかりの鉄臭さ。

(毒か、これは……!!)

 瞳から赤い血液が流れてたことにようやく気づきながら、咄嗟に裏口からから外へと向かう。
 だが予想はついてた二人は裏口のドアを開けてからそのまま飛び出すことはしない。
 飛び出すと思っていたのか、上空から地面を抉るように無数の銃弾が撃ち込まれる。
 弾丸が止まった瞬間を迅移で動き、近くの建物を背に立つ。
 続けるように仮面ライダーとして強くなったことで、跳躍一つで彼も並ぶ。

(同じアーマードライダー……ではなさそうだ。あれも異なる世界の住人か。)

(やっぱ潜伏時間が短いとあんまり強くねえか。)

 北ノ城は支給品を確認すると、いくらかではあるが魔物の死骸があった。
 普通ならばハズレの支給品でしかないが、彼からすれば仕込むための爆弾要因だ。
 それを想定して渡したと思われる。一方で必殺にするには長い時間が必要となる。
 今は致命傷は難しいものの、悪い威力ではなかった。

 少なくともドミノとの対決の時、吸うだけで動けなくなる大量の一般人はいた。
 こうなると、一度毒を吸わせて逃げ回って解毒できない状況に持ち込むのは厳しいとみていい。
 縛られる側ではあるものの、自分の強さの評価されてるという裏返しでもあるのか、
 思ってるほどの苛立ちはなく、寧ろ喜ばしいものとして笑みを浮かべてる部分すらある。
 単に毒ガスを出すには時間がかかるので、空爆と言う軽い程度にやっておくのがいいのだろう。

「ま、制空権を取れる状態だからどうにもならねえがな。」

 二人を一瞥した後、何発か弾丸を撃ち込みながら空へと舞う。
 空を舞う北ノ城へ、回避中にソニックアローの弓を引いて大外が対応してみる。
 だが容易に躱され、軽く連射も試してみるもののうまく当てられることはない。
 通り魔と言う不意打ちで人を襲ってた大外にとって動く的を狙うのは簡単ではないと理解している。
 こればかりは慣れが必要だろうと、仮面の下では仕方がないと軽く実感していた。

「相手は空を飛べる以上、やみくもに戦って勝てる状況には持ち込むのはかなり難しい。それと獅童さん、具合は?」

「大丈夫だ……多少毒を吸ったようだが致命傷ではない。血涙のせいで少し前が見づらいが。」

(上から見下ろしながら毒や銃で一方的に殺していく。
 あの蠅みたいな見た目の通り、食べ残しと言う名の参加者を食らう虫のそれか。
 ただまあ銃弾の威力も高いから正面に素直に挑むことは余り得策ではないだろう。
 かといって家屋に入れば毒ガス用の死体を投げ込まれるはず。外も内も完成された動きだ。)

 いかにも小物のような戦術を取ってくるのは面倒だと思いつつも、
 リアルに出されると面倒極まりない厄介な存在であることは変わらない。
 降りてこない理由に臆病さがあれば、イコール慎重な存在ともいえる。
 相手は自分の優位性を理解していて、どうしたものかと軽く考え込む。

「大外。少しの間矢であの……人間か分からないが奴を相手してもらえるか。」

「いいけど、見ての通り僕は弓については素人だよ。」

「当たらなくても構わない。何でもいいから目立ってほしい。」

「思ってるよりも人使いが荒いね……分かったよ。矢はほぼ無尽蔵に使えそうだし。」

 肩を竦めるものの、一応了承は得ることはできた。
 後は事を起こすべく、飛来する弾丸を互いに避けに専念する。
 二人からすれば北ノ城がどうやって毒ガスを散布できるのかが分からない。
 弾丸にも仕込まれてる可能性だって100%ないとは限らないものになる。
 当たればさっきのように爆発する。死体は毒ガスも相まってあまり見れなかったが、
 爆発すればまず死は免れない。とんだふざけた参加者がいるものだともおもうものの、
 タギツヒメが脱落しているのだから、相応の強さを持っている相手なのかもしれない。
 もっとも、あの手の輩に倒されるとは到底思えないのだが。

(先に仮面の方を優先するか。)

 二人は左右反対に動いて狙いをつけない
 真希の得物が刀。制空権を取られることはない。
 ならば最優先で狙うべきはソニックアローを持つ大外になるのは自明の理。
 逃げながら互いに互いを狙うものの、動くせいで余計に狙いが定まらない。
 あらぬところへ飛んでいくか、狙いが定まっても相手は自由に飛べて躱される。
 一方で北ノ城からの銃撃は、大外と比べれば比較的当てられる方だ。
 アーマードライダー、それも次世代のものであるのでスペックは高く、
 当てても装甲をかすめるか、うまいこと避けられてダメージソースにはならない。

「チッ、ちょこまかと……?」

 狙いがうまく定まることができず、ふと疑問が出てきた。
 銃弾を避けれた方はなぜ別行動をとってくるのか。
 七原みたいな加速であれば相手にしてる奴よりも攻撃は避けやすいはず。
 囮かとも考えるが、それなら弓矢を持ってる男を囮にするのは論外だ。

(女の方が本命か!)

 咄嗟に気づいて振り返ると同時に、地面から何かが飛来するように北ノ城へと向かう。
 ギリギリのところで避けると、投擲されたものと思しきものを上を向いて見る。

(は?)

 大外が北ノ城の毒を知らないのと同じで、彼が刀使について知らないものもある。
 迅移と八幡力の両方を使い、一気に彼の上空まで真希自身が飛んできたのだ。

「悪いが、腕の一本は覚悟してもらうぞ。」

 そのまま落下に合わせてにっかり青江を縦に振るう。
 迅移で加速しながらの落下の一撃は、下手をすればヴァンパイアでも必殺の一撃だろう。
 一太刀で腕と共に翼を切り落とそうとするが、ギリギリのところで旋回して回避、

「な、クソがァッ!」

 かと思えば間に合わず背中を軽く斬られながらと、同時に左側の羽根を大きく失う。
 墜落する最中に怒りのこもった連射を行うものの、片方だけでは自由に飛び回れない。
 結果、撃った弾の割には数発発程度の被弾で終わりながら着地することとなる。

(クソ、今確実に五、六発はぶち込んだんだぞ!? ヴァンパイアか何かかあいつは!)

 普通ならば決まれば部位の欠損すらできる威力を持つ銃撃を大量に浴びた。
 だというのに肉体は爆破された部位どころか、銃創の一つすら受けていない。
 写シによる防御の要は、殺し合いにおいてかなり有効な手段ともいえるものだ。
 これがあればたとえ頭を貫かれようが上半身と下半身を両断されようが怪我をすることはない。
 ヴァンパイア態でもない相手が、此処までの攻撃を受けて無事でいることに軽く腰が引ける。

「写シがなければ危なかった……ッ。」

 だからと言って痛みはある程度伴うし、
 消耗しないわけでもなければ、弾が貫通しなければそのまま体内に残る。
 相手の銃撃の威力の高さによって、その辺は気にしなくてよかったのは幸か不幸か。
 近くの屋根の上に互いに着地するものの、北ノ城からすれば休んでる暇はない。

「助かるよ。下手でも狙いが定めやすい上に遠距離射撃もそこまで必要なくなった。」

「あぶね!」

 矢を湯水のように放ち続け、空中の優位なポジションもなくなった。
 今度は地上で逃げる番になり、矢をよければ次は大外の弓矢に備わってる、、
 剣の役割を持つソニックアローのアークリムを斬撃として振るって避けてたり銃で防いでいく。

(クソ、羽根の再生に時間がかかる!)

 高スペックな性能であるヴァンパイア態ではあるものの、
 北ノ城には欠点としてヴァンパイアの中でも耐久力はかなり脆い部類になる。
 いかに御刀が違う都合劣化気味の八幡力での膂力や、次世代アーマードライダーでも、
 腕を切り落とされるぐらいのパワーはあると判断しながら戦うべきだと理解している。
 北ノ城の基本戦術は銃撃や毒で、白兵戦はからっきしと言うのも大外に追いつめられる要因だ。
 距離を取りつつの乱射で攻撃を仕掛けては時間を稼ぐものの、次第に追いつかれてしまう。

「しま……」

 カチカチ、と音とともに銃声は出てこない。弾切れだ。
 ソニックアローの矢と違い北ノ城の銃は再装填(リロード)によるものが必須。
 乱射を無暗にやり続ければ、それだけ弾切れも起こすことも珍しいものではなかった。
 再装填までの時間をいくらヴァンパイアになっていても限度がある。

「貰った!」

 先行して真希の横薙ぎの一撃が迫る。
 狙うは武器破壊による無力化からの情報を抜き取って、始末する。
 親衛隊を務めてた都合、この手の輩が折神紫を狙うこともそう珍しくはない。
 だから衛藤可奈美のような、相手が巻き込まれた人であろうともその刃は揺らぐことはない。





「なんてな。」

 それは既に経験している。
 弾切れについては想定していたことだ。
 再装填までそこまで長く時間はかからないが、
 今の一刻を争う中で、再装填まで待てる余裕はない。
 僅かばかりの無駄遣いとは思いつつも、デイパックから再びウインドラビットの死体を取り出しそれを落とす。

 同時に拳を作りスイッチを入れると、死体が爆発して肉片をばらまきながら毒ガスが発生する。
 死体が出てきた時点で予測はついて咄嗟に真希は離れるものの、流石に今の状況では間に合わない。
 吐血と血涙が同時に発生し、凛々しく端正な顔は苦痛に軽く歪んでいく。

「グッ、アアアアア……!!」

「チッ、直撃する寸前に加速して逃げたか。
 とは言えだ、カハハハ! 毒ガスの影響は悪くなさそうだなぁ───チッ。」

 余裕ぶっていると、煙の中から飛来する黄金色に輝く矢。
 頬を軽くかすめるが、羽根と比べれば軽度の損傷だ。
 向こうはヴァンパイア態なのかそれとも支給品によるものか。
 それが分からない北ノ城にとって、どうしたらいいかを考える。
 前者であれば、強靭な生命力により毒ガスは殆どめくらましにしかならない。
 後者であっても有毒物質を防護できる服の可能性もまた否定できないところだ。
 死体のストックがあるかどうか、相手に分からないから牽制にはなるだろうが、
 羽根の再生まで時間がかかり過ぎる。白兵戦は装備の都合殆ど苦手に等しい。
 事実、不意打ちを食らったとはいえ阿久津の二回の攻撃でボロボロにされてたし、
 立花も部下を盾にしたから何とかなった部分があり、それが通用する相手とも思えない。

(ま、名簿の顔は人間の時の姿だからな。誰かは分からねえのは救いだが、
 後で声をかけに行って集団に潜り込めることになっても声でバレそうだし様子見するか?)

 此処は慎重に、一度退いて羽根が再生してから動くのが得策だ。
 時間が来れば朝になってしまえば、ヴァンパイアとしていられなくなる。
 かといって焦り過ぎて人間の時は警察にパクられたのもあるので、此処は一度だけ退くを選ぶ。
 ヴァンパイア相手でも戦闘ができる人間がいるのだと気を付ける必要がある。
 参加者の情報、ヴァンパイアほど耐久に優れた参加者もそう多くはない。
 それらがこの短時間で得られたのは、十分な掴みとして悪くはないと。
 他の相手を探すか、このまま追撃をかけて一気に支給品を狙ってみるか。
 その場から一度姿を消しながらハエは集り続ける。死へと誘うかのように。
 もっとも、弱さを知ったとはいえ強くなれるかは彼の性格では難しいだろうが。

【北ノ城篤@血と灰の女王】
[状態]:疲労(小)健康、ヴァンパイア態、片翼欠損(再生中)
[装備]:ヴァンパイア態の銃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2、魔物の死体@グランブルーファンタジー×8(毒ガスが出せるように体内に起爆剤を入れてる)
[思考・状況]
基本方針:優勝する。
1:あいつら(アイル、シド)を存分に利用する。
2:追うか? それとも別のをやりにいくか?

[備考]
※参戦時期は死亡後。
※毒ガスは過剰に吸ったりしなければ死に至らない程度に制限されてます。
 ただしD・ナイトは別。





「失明はしてなさそうだ。」

 北ノ城が走る音を聞いて追いかけるのも考えたが、
 毒の類だと分かっている以上今優先順位は真希の生存にある。
 もし彼女を見捨てて北ノ城に味方につけるとしても、すぐに裏切るだろうことが予想できるのもあり、
 少なくとも手を組めるとは到底できそうにもない、そう判断して彼女を連れ、遠く離れた場所で軽く診て貰う。
 毒ガスは気体よりは重いようで、遠くから見ても上にやってくることはなく、次第に終わることが伺える。
 その為、近くにいない限りは何も起きないまま終わるだろう。

「あの男、厄介だ……ケホッ。」

「一度休む方がよさそうかい?」

「僕は追うべきだと思うが……君はどうするかだ。
 僕も負傷をしているが、動きには特別支障はない。」

 あれはどちらのスタンスであれ許容できない。
 最悪、参加者の遺体すら使える尊厳を奪うものだ。
 あれが親衛隊にやられてしまえば、殺意を覚えないわけがない

「狡猾、と言うよりはこそずるいが正解に近い相手だ。
 アーマードライダーでごり押しもできるかもしれないけれど、
 後で君を死なせたことが君の身内に言われるのも後味が悪いからね。」

 無論、大外は大体打算的な行動をとる。
 手を組めそうにもない相手と共に戦うよりも、
 信用できる人物に手を貸しておく方が何かと都合がいい。
 仲間意識とか、そういうのは彼にはないが人を見る目はあるつもりだ。
 あの手の敵は早めに摘む方もいいかもしれないが、深追いには賛成できない。
 ホテルに向かいたいところもあるのだが、それとは別に懸念点もあった。

 飛行していた奴が飛べなくなったらもっと焦るのが普通だ。
 焦らない理由があるとするなら羽根が再度生えるのか、その状況を経験して対策済みか。
 しかし後者の可能性は薄い。経験済みにしては白兵戦の弱さは真希との戦いで確認済み。
 死体の目くらましがなければ大きなダメージを受けていた可能性は高いことになる。

 アーマードライダーや刀使もいる。となれば何か特殊な力があるかもしれない。
 自分の予想を大きく逸脱した存在は、十二分にありうることだ。
 とは言えそれは口にしない。口にすれば倒すことを優先しかねない。
 急いては事を仕損じる。なるべく余力があるときにしておきたい。
 空を飛べる能力が、彼だけの特権とはあまり思えないのもあるが。

「君のベルト、何か変とは思ってはいたが、
 ストームアーマーみたいなものを呼ぶのか。
 選り好みと言った割には、随分便利なものを持ってるみたいだな。」

「けれど変身前に攻撃されたら終わりだったからねさっきは。これは嘘にはならない。」

「敵に回したくないな……君は。」

 彼なりに物事をちゃんと見据えた行動。
 そこに真実が全てあるとは限らないのは察している。
 結局、あの後名簿画像を見るまで彼が大外だと知らなかったのもある。
 とは言え精神的な疲労のせいも含まれているので、これは自分の落ち度でもあるが。

「君には休憩も必要だ。深追いするだけの余力は君にはあまりないだろう。
 最初に君の言うことを聞くと言ったが、相討ちは僕からしたら御免だよ。
 こうして生き残るための忠告はしておくのも、僕の役割と言うべきだから。」

「……助かる。」

 納得はしてもらえたようなので、何より。
 そんな風に笑みを浮かべながら差し出された手を取り、立ち上がる。
 誘導されている部分があるとは、気づかせることなく。

【獅童真希@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
[状態]:精神疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:にっかり青江@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:一先ず結芽に会いたい。
1:僕は……どうしたらいいか。結芽に会って話を聞きたい。
2:黄昏ホテルに向かう。

[備考]
※参戦時期はゲーム版、少なくとも燕結芽蘇生前。

【大外聖生@誰ソ彼レホテル】
[状態]:疲労(小)
[装備]:チェリーエナジーロックシード+ゲネシスドライバー@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:一先ず死なないこと。少なくとも嘘じゃないさ。
1:黄昏ホテルに向かって念のため証拠隠滅を図る。間に合わなかったらどうしたものか。
2:塚原さんは……まあ、今は保留にした方がいいだろう。

[備考]
※参戦時期はホテル外での死亡後(アニメ版で言えば11話)

【魔物の死体@グランブルーファンタジー】
北ノ城に支給。読んで字のごとく、既に死んでいる魔物の遺体。
死体の内容はウインドラビットなど、グランブルーファンタジーにおける魔物で構成されている。
合計十体で一つの支給品。北ノ城の場合は毒ガスの起爆剤として使うことができる。
場合によっては料理に使えるかもしれない。味の保障はできない。と言うか食ったら北ノ城の毒が仕込まれる。

012:Ignited Night 投下順 014:誇りの道を住くものに■■の導きを
時系列順
40:闇上がり アイル
シド
北ノ城篤
123:真実はどこにあるのだろう 獅童真希
大外聖生

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最終更新:2026年05月05日 00:58