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無限桃花の愉快な冒険2

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eroticman

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シンとしている。
白に覆われた世界に音はない。雪は森の生命を止めたかのように厚く積もっている。
見渡せば黒い点がひとつ。自らの痕跡となる足跡を描きながらゆっくりとゆっくりと歩いていた。
その黒い点である彼女、無限桃花は雪の道を歩くにはあまりにも適していない格好をしている。
ポニーテールはまだいい。セーラー服に膝小僧より少し上のスカート。そして革靴と黒のソックス。
腰には黒い鞘を下げている。どの部分も転んだせいで濡れている。
どんあに高いところから見渡しても人家はない。ただ白く白く白く。
彼女は通常の人間とは違う。だが、それでもこの環境はどうやら負担が大きいらしい。
雪に足を取られて再び躓いた。いつもなら立ち上がってた。だけどもうその体力はない。
彼女は何も呟くことなく、静かに眼を閉じた。


彼は地図を開き、方角を確かめる。葉巻の煙を一旦吹いて、火を消す。
再び地図を見て、正面を見る。地図をたたむと木の箱を背負い、誰かの漕いだ道を歩き始めた。
誰かが躓いたであろう跡を見ながらしばらく歩いていると、雪に倒れている桃花を見つけた。
急いで近寄り、息を確認する。生きていることを確認すると
木の箱を前に持ち、彼女を背負うと休めそうな場所を探すために歩き始めた。


桃花が眼を開けると眼の前に焚き火が爆ぜている。時折音を立てて、火は高く伸びモノを温めるための、今は何も乗っていない土台を温める。
彼女は丁度石の傘の下にいた。近くには川が流れている。
「目が覚めたか。その格好で雪道を歩くのは危険だぞ」
桃花の後ろから男が現れる。手には鉄で出来た器を持っていた。器を土台を上に置く。中にはそこの川で取ったであろう水が入っていた。
「私は……。そうか、雪道で倒れたのか」
「慣れない道を歩いて疲れたんだろう。そもそもそんな格好で歩くところじゃない」
「気付いたら雪道で……まさかこんなになるとは」
「まぁこの先に村がある。そこまでは俺と一緒に来てもらうぞ」
「すまない。世話になる。私の名は無限桃花だ」
「無限桃花?」
男が眉を顰める。
「正体不明の蟲を切ったとかいのはお前さんか」
「いや、それは私ではない。私は刀を抜かないから」
脇に置いてあった刀を引き寄せる。刀の棹には傷がなく、綺麗な漆が塗ってあった。
「そうか。ならいい。俺はギンコだ。蟲師をしている」
銀髪の男はそう名乗った。
「虫師? 虫を使うのか」
「昆蟲とかじゃないぞ。それらとは一線を画く、生命そのものに近いもの。それが蟲」
「この暗がりに溜まる不可解なもののことか」
桃花が端のほうの暗がりを指す。石に阻まれ、影となっている場所に半透明の、不可解な形をしたソレが浮いていた。
「まぁそれだな。触るなよ。あまりいい蟲じゃないから」
「ふむ。生命そのものに近い蟲か。他の場所では見なかったな」
「見なかった? そこらへんにいるぞ。この辺は少ないみたいだが。
 そういえばあんなところに倒れていたがどこへ行こうとしてたんだ?」
「どこ、ということはない。人を探して歩いている。魔王ハルトシュラーという女を知らないか」
「知らないな。そんな物騒なやつは。友人か?」
「いや、多分違う。私は記憶を失っていて、彼女は私の過去を知っているかもしれないんだ」
「記憶喪失? 病気かなにかか」
「いや、それすらも」
その時、腹の音が鳴った。石の中で反響したおかげでより大きく鳴る。
桃花の顔が段々赤くなっていく。目線もどんどんと下に。先ほどまで石すらも貫くような目つきをしていたが
今は歳相応の可愛らしい眼をしていた。
「……腹が減って倒れたのか」
「いや、違う。私は、そのその辺で適当に済まそうかと、だからまさかこんな森に入るなんて」
それを聞いて、桃花が手をあたふたさせながら真っ赤になって弁解する。
ギンコは先ほど置いた器になにやら粉のようなものを入れて混ぜる。
「あまりおいしいものじゃないぞ」
「……すまない」
器を笑いながら差し出す。桃花はそっぽを向きながら受け取った。



敵と戦ったり、敵と切ったり、妹とチュッチュしたり……あれ、俺の桃花以外みんな戦ってね?
ギンコの口調がおかしいというか三人称やっぱり難しいです、ええ。



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