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無限桃花の愉快な冒険3

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eroticman

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「きみ、いいかな」
とある地方の駅前広場。ポニーテールサムライガールの無限桃花が町の案内板を見ていると
一人の風変わりな男が話しかけてきた。男が刀を指して言う。
「それ、本物?」
「そうだが」
「見せてくれないか?」
「断る」
「どうしても?」
「どうしても」
「絶対に?」
「絶対に」
「なら仕方ない」
男が桃花に背を向け、歩き出す。それを見て桃花も案内板を読み始める。
この時、桃花は油断していた。現在位置から図書館までの道のり覚えるのに一生懸命だったからだ。
だから男がこちらを見ていることに気付かなかった。
「漫画のためなら仕方ない! ヘブンズドアー!」
その男の名は岸辺露伴。この町に住む漫画家であり、【スタンド】能力の持ち主だった。
気配にやっと気付いた桃花が男の出した、小人のようなエネルギー体を避けようとするがぎりぎり頬を掠めていった。
「お前も何かしらの力を持っている人間か」
「そういうお前もスタンド使いか。ヘブンズドアーを避けるなんて」
「スタンド? その小人のことか」
「スタンドが見えるのに知らないのか。まぁいい。すぐにその理由もわかる」
桃花はすぐに自分の顔の変化に気付いた。顔の端。先ほど当たった場所の皮が捲れている。
桃花が皮を捲ろうとする。だがソレは桃花が捲るよりも早く広がった。
「ヘブンズドアー。人を本にする能力。逃げようと思って体がページ化して上手く動けないだろう?」
露伴の言うとおり桃花の足には力が入らない。なぜなら足もページ化されているから。指先も。徐々にページ化が蝕んでいく。
「まさか、こんな力が……」
「別に悪いようにはしないさ。ちょっときみのことを読ませてもらうだけ」
露伴が桃花の顔のページを捲る。
「蟲師? 電気を放つ少女? 魔王ハルトシュラー! すごいぞこれは! 漫画のような体験だ!」
「貴様の能力のほうがよっぽど漫画的だ」
「まぁそう怒るなって。……ん?」
ヘブンズドアーとはその人間が体験した嘘偽りのない記憶を本にする能力。
本人がどんなに隠そうとも本名年齢身長といった個人情報から黒歴史まで全て読まれてしまう。
偽造不可能の能力。それゆえに露伴はソレを見て、首をかしげた。
白紙なのだ。人間は生きていれば多かれ少なかれ記憶を持つことになる。
例え本人が忘れていても脳には刻み込まれているものなのだ。
「白紙? どうなっているんだ」
「おかしいのかそれは」
「これは体験した記憶を読む能力。白紙というのは体験していないということ。
 つまりきみはいきなりその姿でこの世に現れたということだ。そしてそれはあり得ないこと」
露伴がぺらぺらとページを捲る。捲れども捲れども白紙だが良く見ると薄く何かが書いてあることに気づく。
気になって急いで捲る。文字らしきものは捲れば捲るほど色が濃くなっていく。
やがれそれは解読できるほどの色になった。
「『この娘の記憶をそれ以上読むのを禁ずる』だと? どういうことだ。誰がどうやって」
もう一枚捲る。そこには先ほど読んだ名前があった。
「『これ以上読むな。早くページを閉じろ。ハルトシュラー』……?」
「ハルトシュラーだと!」
一瞬、空間が歪んだ。
それは彼女達の上にいた。彼女達はそれが桃花のページから現れたのを感知することすら出来ず、そして。
「……ヘブンズドアー」
それは露伴を本にした。それと同時に露伴と桃花の余白の部分に書き込みをする。
「『岸部露伴は無限桃花と会ったことを忘れて家に帰る』『無限桃花は記憶を読まれない』これでいい……」
さらにそれは本の状態の桃花を持ち上げるとふわふわと浮いて、山のほうへと飛んでいった。
決して時間が止まっているわけではない。だがそこにいる人間全てが露伴が独り言をしていたという印象しか残っていない。
そして露伴自身も。
「……今更案内板なんか見ても発見なんてないな」
「何やってるんですか、露伴先生」
「お、いいところに来たね。康一くん。ちょっとうちに寄らないか? 面白いものが手に入ってね……」
一方桃花は一人で海辺の海岸にいた。ここまでの記憶はないがまた迷ったのだろうと結論付けた。



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